【氏名又は名称原語表記】INSTITUT DES CORPS GRAS ETUDES ET RECHERCHES TECHNIQUES − ITERG
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
網目構造ポリウレタンを得るために、前記溶媒が、前記式(I)の化合物の溶媒和を可能にする溶媒、とりわけ、DMFまたはDMSO、から選択されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
直鎖状ポリウレタンを得るために、前記溶媒が、前記式(I)の化合物の溶媒和を可能にしない溶媒、とりわけTHF、から選択されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
とりわけ医療、薬学、化粧品分野における、ベクター化、カプセル化、または分子認識のための;とりわけ分析の分野における、クロマトグラフ分離;あるいは接着剤、補助界面活性剤、またはコーティング剤の製造のための、請求項2から7のいずれか一項に記載のポリマーの使用。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1態様によれば、本発明は、ポリウレタンおよびポリエステルから選択されるポリマーを製造するための、式(I):
【0010】
【化1】
[・Rは、3から27個の炭素原子、好ましくは8から27個の炭素原子、を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、前記アルキル基は、少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されたものであり、任意に1つ以上の不飽和を含んでいてもよく;ならびに
・R’は、糖または糖−アルコールから選択される]
の化合物の使用に関する。
【0011】
好ましくは、本発明は、ポリウレタンを製造するための、上記において定義された式(I)の化合物の使用に関する。
【0012】
本発明の範囲内において、別に言及しない限り、「糖」は、1から10の単糖単位を有する、オースおよびオシドから選択される炭水化物を意味する。例えば、本発明に係る糖として、トレオース、エリトロース、デオキシリボース、リボース、キシロース、リブロース、リキソース、グルコース、メチルグルコシド、マンノース、フルクトース、イドース、ソルボース、ガラクトース、アロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、イソマルツロース、セロビオース、およびサッカロース、ラフィノース、メレジトースが見出される。オシドは、1から12個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルグリコシド鎖を含む。好ましくは、本発明に係る糖は、メチルグルコシドおよびサッカロースから選択される。
【0013】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、「糖−アルコール」は、本発明により定義される、1から12個のヒドロキシル官能基を有する糖誘導体を意味する。「糖−アルコール」は、とりわけ、1つまたは複数のヒドロキシル官能基もしくは糖を有する鎖が接続された糖であり得、そのために還元基が水素化されている糖であり得る。本発明によれば、「糖−アルコール」なる用語は、「糖誘導体」なる用語と同一と見なしうる。例えば、本発明に係る糖−アルコールとして、ソルビトール、イソマルト、キシリトール、マンニトール、およびアラビニトールが見出される。好ましくは、本発明に係る糖−アルコールは、ソルビトールおよびイソマルトから選択される。
【0014】
別の態様によれば、本発明は、式(I):
【0015】
【化2】
[・Rは、3から27個の炭素原子、好ましくは8から27個の炭素原子、を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、前記アルキル基は、少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されたものであり、任意に1つ以上の不飽和を含んでいてもよく;ならびに
・R’は、糖または糖−アルコールから選択される]
の化合物に関する。
【0016】
ある実施形態によれば、Rは、10から25個の炭素原子、好ましくは15から20個の炭素原子、を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。特に、Rは、17個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。
【0017】
ある実施形態によれば、Rは、直鎖状のアルキル基を表す。
【0018】
ある実施形態によれば、Rは、少なくとも2つのヒドロキシル基、好ましくは2から4つのヒドロキシル基、で置換されている。好ましくは、Rは、2つのヒドロキシル基で置換されている。
【0019】
ある実施形態によれば、Rは不飽和を有する。
【0020】
ある実施形態によれば、本発明は、式(I):
【0021】
【化3】
[・Rは、8から27個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し、前記アルキル基は、少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されたものであり、任意に不飽和を有していてもよく;ならびに
・R’は、糖または糖−アルコールから選択される]
の化合物に関する。
【0022】
ある実施形態によれば、本発明は、Rが式(A):
【0023】
【化4】
[・nは、1から3に含まれる整数であり;
・mは、1から6に含まれる整数であり;
・pは、1から9に含まれる整数である]
に適合する、先に定義された式(I)の化合物に関する。
【0024】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、記号
【0025】
【化5】
が見出される結合は、当該結合が、化合物(I)のカルボニル官能基の炭素に接続されていることを意味する。したがって、本発明の範囲内において、式(I)の化合物は、以下の2通りに書きうる:
【0027】
ある特定の実施形態によれば、前述の式(I)において、Rは、以下の式(A−1):
【0028】
【化7】
[・mは、1から6に含まれる整数であり;ならびに
・pは、1から9に含まれる整数である]
に適合する。
【0029】
Rが式(A−1)に適合する式(I)の化合物は、Rが式(A)に適合し、nが値1を有する、式(I)の化合物に対応する。
【0030】
好ましくは、前述の式(I)において、Rは、以下の式(A−2):
【0032】
Rが式(A−2)に適合する式(I)の化合物は、Rが式(A)に適合し、nが値1を有し、pが値5を有し、mが6に等しい、式(I)の化合物に対応する。
【0033】
ある実施形態によれば、本発明は、R’が、トレオース、エリトロース、デオキシリボース、リボース、キシロース、リブロース、リキソース、グルコース、メチルグルコシド、マンノース、フルクトース、イドース、ソルボース、ガラクトース、アロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、イソマルツロース、セロビオース、サッカロース、ラフィノース、メレジトース、ソルビトール、イソマルト、キシリトール、マンニトール、およびアラビニトールからなる群より選択される、先に定義された式(I)の化合物に関する。
【0034】
ある実施形態によれば、R’は、トレオース、エリトロース、デオキシリボース、リボース、キシロース、リブロース、リキソース、メチルグルコシド、イドース、ガラクトース、アロース、マルトース、ラクトース、イソマルトース、イソマルツロース、セロビオース、サッカロース、ラフィノース、メレジトース、ソルビトール、イソマルト、キシリトール、およびアラビニトールからなる群より選択される。
【0035】
好ましくは、R’は、ソルビトール、イソマルト、メチルグルコシド、およびサッカロースからなる群より選択される。
【0036】
ある特定の実施形態によれば、本発明は、R’が以下の式(B):
【0037】
【化9】
[R
1、R
2、R
3、およびR
4は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
1およびR
2、R
2およびR
3、またはR
3およびR
4が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合することを特徴とする、式(I)の化合物に関する。
【0038】
好ましくは、R
1、R
2、R
3、およびR
4は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0039】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
1がメチルを表し、R
2、R
3、およびR
4がHを表すものである。
【0041】
【化10】
[R
5、R
6、R
7、およびR
8は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
5およびR
6、またはR
7およびR
8が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合しうる、式(I)の化合物にも関しうる。
【0042】
好ましくは、R
5、R
6、R
7、およびR
8は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0043】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
5がメチルを表し、R
6、R
7、およびR
8がHを表すものである。
【0044】
別の実施形態によれば、本発明は、R’が式(C):
【0045】
【化11】
[R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
9およびR
10、またはR
10およびR
11、またはR
11およびR
12、またはR
12およびR
13が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合する、式(I)の化合物に関する。
【0046】
好ましくは、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0047】
前述の式(I)の好ましい化合物は、R’が以下の式:
【0048】
【化12】
のいずれかに適合するものである。
【0049】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13がHを表すものである。
【0050】
本発明の範囲内において、別に明記されない限り、
【0051】
【化13】
は、脂肪族の主鎖によって形成された平面の前方または後方にあり得る結合を表す。
【0052】
別の実施形態によれば、本発明は、R’が以下の式(D):
【0053】
【化14】
[R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、およびR
20は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
14およびR
17、またはR
19およびR
20が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合する、式(I)の化合物に関する。
【0054】
好ましくは、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、およびR
20は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0055】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、およびR
20がHを表すものである。
【0056】
別の実施形態によれば、本発明は、R’が以下の式(D’):
【0057】
【化15】
[R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、およびR
27は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C1〜C6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
23およびR
24、またはR
21およびR
25、またはR
26およびR
27が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合する、式(I)の化合物に関する。
【0058】
好ましくは、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、およびR
27は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0059】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、およびR
27がHを表すものである。
【0060】
別の実施形態によれば、本発明は、R’が以下の式(E):
【0061】
【化16】
[R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、およびR
35は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
29およびR
30、またはR
31およびR
32、またはR
32およびR
33、またはR
33およびR
34が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合する、式(I)の化合物に関する。
【0062】
好ましくは、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、およびR
35は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0063】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、およびR
35がHを表すものである。
【0064】
別の実施形態によれば、本発明は、R’が以下の式(E’):
【0065】
【化17】
[R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、およびR
43は、互いに独立して、H;1から12個の炭素原子を有するアルキル基;CH
3C(O)−基;6から12個の炭素原子を有するアリールアルキル基;((C
1〜C
6)アルキル)
3−Si−基を表すか、あるいは、R
37およびR
38、またはR
38およびR
39、またはR
40およびR
41、またはR
41およびR
42、またはR
42およびR
43が、一緒にイソプロピリデン基を形成する]
に適合する、式(I)の化合物に関する。
【0066】
好ましくは、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、およびR
43は、互いに独立して、Hおよび1から12個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。
【0067】
前述の式(I)の好ましい化合物は、R’が以下の式:
【0069】
本発明によれば、好ましい化合物は、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、およびR
43がHを表すものである。
【0070】
本発明によれば、基R
1からR
43は、糖のヒドロキシル官能基を保護するための任意の知られた基、とりわけ、−SO
2−(C
6〜C
10)アリール基または−SO
2−(C
1〜C
6)アルキル基を表し得る。
【0071】
本発明者らは、有利なことに、再生可能な資源から誘導された新規のグリコシル化モノマーを製造した。
【0072】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、「グリコシル化モノマー」または「グリコシル化シントン」なる用語は、ヒドロキシル化脂肪鎖と1つ以上の糖単位を含む誘導体との縮合から誘導される生物由来のポリオールモノマーを表す。脂肪鎖の中でも、オレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、またはリシノール酸から誘導される鎖を挙げることができる。
【0073】
本発明に係るグリコシル化モノマーは、脂肪鎖および糖の両方から誘導されるので、「糖脂質(glycolipidiques)誘導体」または「糖脂質(glycolipides)誘導体」とも呼ばれる。
【0074】
したがって、前述の式(I)の化合物は、それぞれが1つ以上のアルコール官能基を有する、「脂肪鎖」部分および「糖」部分の両方を、それらの構造内に含んでいる。
【0075】
本発明に係るこれらの生物由来のポリオールの構造は、複数のアルコール官能基が当該ポリオール上に存在し、このことが、それらをポリマーの網目構造、とりわけポリウレタンの網目構造、の潜在的前駆体としているので、非常に興味深いことが判明した。これらのモノマーは、制御された官能性を有する、有利な官能性前駆体である。
【0076】
さらに、当該モノマーの純度は、本発明により得られるポリマーの特性の最適化を可能にし得るので、重要である。
【0077】
前述の式(I)の化合物は、界面活性剤として使用しうる。
【0078】
「アルキル」基の中でも、それらが直鎖状の場合には、とりわけ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、およびデシル基を挙げることができる。それらが分岐鎖状であるか、または1つ以上のアルキル基で置換されている場合には、とりわけ、イソプロピル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、および3−メチルヘプチル基を挙げることができる。
【0079】
本発明によれば、「アルキレン」基は、アルカンから、2つの末端水素原子が除かれて誘導される基(アルキリデンとも呼ばれる)を表す。当該アルキレン基が直鎖状の場合、それらは、式−(CH
2)
k−で表すことができ、ここでkは当該アルキレン基が由来するアルカンの炭素原子の数に対応する。
【0080】
本発明によれば、「アリール」基は、任意に置換されていてもよい、6から14個の炭素原子を有する単環式または二環式の炭化水素を表し、とりわけ、フェニルまたはアントラセンを挙げることができる。
【0081】
本発明によれば、「シクロアルキレン」基は、シクロアルカンから1つの末端水素原子が除かれて誘導される基を意味する。
【0082】
本発明によれば、シクロアルキレン基は、1つ以上の(C
1〜C
6)アルキル基で置換されていてもよい。
【0083】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、(C
1〜C
6)アルキルは、1から6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0084】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、(C
6〜C
10)アリールは、6から10個の炭素原子を有するアリール基を意味する。
【0085】
「アリーレン」なる表現は、アレーンから、環の2つの水素原子が除かれて誘導される基(アレーンジイル(arenediyl)とも呼ばれる)を言及する。アリーレン基の中でも、例えば、o−フェニレンまたはベンゼン−1,2−ジイル基を挙げることができる。
【0086】
本発明によれば、「アリールアルキル」基は、アリール基で置換されているアルキル基を表す。アリールアルキル基は、アリール−アルキル−基であり、アリールおよびアルキル基は、上記において定義された通りである。アリールアルキル基の中でも、とりわけ、ベンジルまたはフェネチルを挙げることができる。これらのアリールアルキル基は、アミノ、ヒドロキシ基、ハロゲン、アルキル、またはアルコキシ基から選択される、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0087】
本発明によれば、「シクロアルキル」基は、4から10個の炭素原子を有する任意の単環式または二環式の非芳香族基を表す。とりわけ、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルを挙げることができる。
【0088】
別の態様によれば、本発明は、先に定義された式(I)の化合物と(ポリ)イソシアネートとの重合によって得られうるポリマーに関する。この実施形態により得られるポリマーは、ポリウレタン型のホモポリマーである。
【0089】
別の態様によれば、本発明は、先に定義された式(I)の化合物と、例えば酸ジクロリドとの反応によって得られうるポリエステルに関する。
【0090】
ある実施形態によれば、本発明により使用される(ポリ)イソシアネートは、A
3が、
・2から20個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基;または
・6から30個の炭素原子を有する、シクロアルキレン−アルキレン−シクロアルキレン基;または
・6から30個の炭素原子を有する、アリーレン−アルキレン−アリーレン基;または
・3から10個の炭素原子を有する、シクロアルキレン基;
・3から15個の炭素原子を有する、アルキレン−シクロアルキレン基;または
・6から10個の炭素原子を有する、アリーレン基
を表す、式(O)CN−A
3−NC(O)に適合するジイソシアネートであり得る。
【0091】
好ましくは、ジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−hexamethylene diisocyanate:HDI)、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3及び/又は1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナト−メチルシクロヘキサン(1−isocyanato 3,3,5−trimethyl−5−diisocyanato−methyl cyclohexane:IPDI)、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(diphenylmethane 4,4’−diisocyanate:MDI)、1,3−ビス−イソシアナトメチルシクロヘキサン、並びにメチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)からなる群より選択される。
【0092】
好ましくは、ジイソシアネートは、1−イソシアナト3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナト−メチルシクロヘキサン(IPDI)である。
【0093】
ある特定の実施形態によれば、化合物(I)と先に定義された(ポリ)イソシアネートとの重合によって得られうるポリマーは、以下の式(IV):
【0094】
【化19】
[・nは、1であり;
・mは、1から6に含まれ;
・pは、1から9に含まれ;
・R’は、糖または糖−アルコールから選択され;
・A
3は、
・2から20個の炭素原子を有する、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基;
・6から30個の炭素原子を有する、シクロアルキレン−アルキレン−シクロアルキレン基;
・6から30個の炭素原子を有する、アリーレン−アルキレン−アリーレン基;
・3から10個の炭素原子を有する、シクロアルキレン基;
・3から15個の炭素原子を有する、アルキレン−シクロアルキレン基;および
・6から10個の炭素原子を有する、アリーレン基;
からなる群より選択され;
・qは、2から500,000、好ましくは2から50,000、とりわけ2から5000、好ましくは2から500、優先的には2から50、に含まれる整数を表す]
に適合する。
【0095】
好ましくは、化合物(I)と、上記において定義された(ポリ)イソシアネートとしてのIPDIとの重合によって得られうるポリマーは、下記の式(IV−1):
【0097】
特には、前述の式(IV−1)において、mは値6を有し、pは値5を有する。
【0098】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(B)に適合するものである。好ましくは、式(B)において、R
1はメチルを表し、R
2、R
3、およびR
4はHを表す。
【0099】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(B’)に適合するものである。好ましくは、式(B’)において、R
5はメチルを表し、R
6、R
7、およびR
8はHを表す。
【0100】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(C)に適合するものである。好ましくは、式(C)において、R
9、R
10、R
11、R
12、およびR
13はHを表す。
【0101】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(D)に適合するものである。好ましくは、式(D)において、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、およびR
20はHを表す。
【0102】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(D’)に適合するものである。好ましくは、式(D’)において、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26、およびR
27はHを表す。
【0103】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が先に定義された式(E)に適合するものである。好ましくは、式(E)において、R
28、R
29、R
30、R
31、R
32、R
33、R
34、およびR
35はHを表す。
【0104】
本発明に係る好ましいポリマーは、前述の式(IV)または(IV−1)において、R’が、先に定義された式(E’)に適合するものである。好ましくは、式(E’)において、R
36、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
42、およびR
43はHを表す。
【0105】
別の態様によれば、本発明は、先に定義された化合物(I)と、(ポリ)イソシアネートと、ジオールとの重合によって得うるポリマーに関する。
【0106】
ある態様によれば、本発明は、先に定義された化合物(I)と、(ポリ)イソシアネートと、アルカン−ジオール、ポリアルキレン−ジオール、ポリエーテル−ジオール、ポリエステル−ジオール、ならびに以下の式:
【0107】
【化21】
[・R’
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・R’
2は、1から8個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・A
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の二価のアルキレン基を表し;
・A
2は、1から10個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の二価のアルキレン基を表す]
および
【0108】
【化22】
[・R”
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・R”
2は、1から8個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・A’
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の二価のアルキレン基を表す]
のうちの1つを有するジオールから選択されるジオールとの重合によって得られうるポリマーに関する。
【0109】
この実施形態によって得られるポリマーは、ポリウレタン型のコポリマーを表す。
【0110】
アルカン−ジオールの中でも、例えば、エタン−ジオール、プロパン−ジオール、ブタン−ジオール、ペンタン−ジオール、ヘキサン−ジオール、ヘプタン−ジオール、オクタン−ジオール、デカン−ジオール、またはドデカン−ジオールを挙げることができる。
【0111】
ポリアルキレン−ジオールの中でも、例えば、ポリプロピレン−グリコール、ポリエチレン−グリコールを挙げることができる。
【0112】
特に、本発明は、先に定義された化合物(I)と、(ポリ)イソシアネートと、式(III)のジオールとの重合によって得られうるポリマーに関する。
【0113】
好ましくは、前述の式(III)のジオールにおいて、R”
1はオクチル基を表し、R”
2はエチル基を表し、A’
1はヘプチレン基を表す。
【0114】
特に、本発明は、先に定義された化合物(I)と、(ポリ)イソシアネートと、式(II)のジオールとの重合によって得られうるポリマーに関する。
【0115】
好ましくは、前述の式(II)のジオールにおいて、R’
1はオクチル基を表し、R’
2はエチル基を表し、A
1はヘプチレン基を表し、A’
2はペンチレン基を表す。
【0116】
当該実施形態によれば、本発明に係るポリマーの製造を可能にする(ポリ)イソシアネートは、A
3が先に定義された通りである式(O)CN−A
3−NC(O)に適合するジイソシアネートである。
【0117】
別の態様によれば、本発明は、40℃から100℃に含まれる温度において、好ましくは60℃において、溶媒中で、上記において定義された式(I)の化合物を、先に定義された式(O)CN−A
3−NC(O)のジイソシアネートと反応させる工程を含む、ポリウレタンを製造する方法に関する。
【0118】
典型的には、当該反応は、試薬の総質量に対して0.01から0.9質量%に含まれる量の触媒の存在下において実施しうる。好ましくは、使用される触媒は、0.02から0.1質量%に含まれる量のジブチルスズジラウレートである。
【0119】
本発明に係るポリウレタンの形成は、FTIR(赤外分光法)により、2,250cm
−1におけるイソシアネート官能基の振動バンドの消失と、1,530cm
−1に局在するウレタン官能基の振動バンドの出現とによって確認することができる。当該反応は、時間が経過してもイソシアネート官能基の振動バンドが変化しなくなったとき、完了したと判断されうる。
【0120】
別の態様によれば、本発明は、式(I)の少なくとも2つの異なる化合物と、先に定義された(ポリ)イソシアネートとの重合によって得られうるコポリマーに関する。特に、当該コポリマーは、式(I)の2つの異なる化合物と、先に定義された(ポリ)イソシアネートとから得られる。
【0121】
本発明の方法において使用される溶媒の性質により、様々な種類のポリマーを得うる。実際に、本発明に係る方法では、反応溶媒中での先に定義された式(I)の化合物の溶媒和に応じて、直鎖状ポリマーまたは網目構造のポリマーをもたらしうる。したがって、重合溶媒の性質により、式(I)の化合物の官能性の選択性が存在する。
【0122】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、網目構造ポリマーは、架橋されたポリマーを意味する。
【0123】
ある実施形態によれば、当該溶媒は、前述の式(I)の化合物の溶媒和を可能にする溶媒、とりわけ、DMF、N−メチルピロリドン(N−methylpyrrolidone:NMP)、またはDMSO、から選択されうる。好ましくは、使用される溶媒はDMFである。そのような溶媒の使用は、上記の反応溶媒への式(I)の化合物の可溶化を可能にし得、このことは、脂肪鎖および糖の両方が有する、糖脂質モノマーのすべてのアルコール官能基が反応し得ることを意味する。したがって、そのような溶媒中において実施される方法は、網目構造ポリマー、とりわけ網目構造ポリウレタンの、製造をもたらしうる。
【0124】
別の実施形態によれば、当該溶媒は、前述の式(I)の化合物の溶媒和が可能にしない溶媒、とりわけ、THF、ジエチルエーテル、または酢酸エチル、から選択される。好ましくは、使用される溶媒はTHFである。そのような溶媒の使用は、当該反応溶媒中における式(I)の化合物の可溶化を可能にせず、これは、糖脂質モノマーのすべてのアルコール官能基が反応できるわけではないことを意味する。とりわけ、例えばTHF中などの溶媒中において実施される反応は、糖脂質モノマーの糖単位が有するアルコール官能基の可溶化を可能にしない。そのような溶媒中において、当該化合物は、逆ミセルとして出現し得、当該逆ミセルでは、糖部分は集合し、当該ミセルの内側に再び現れ、その一方で、化合物(I)の脂肪鎖部分は、外側において再び現れる。したがって、脂肪鎖が有するアルコール官能基のみが、反応し得る。実際に、脂肪鎖部分は、THFなどの溶媒に可溶である。化合物(I)の脂肪鎖部分は可溶であるが、その一方で、化合物(I)の糖部分は不溶であることが分かる。その結果、当該反応溶媒は、化合物(I)の溶媒和を全体的に可能にするわけではない。
【0125】
したがって、そのような溶媒中において実施される本発明の方法は、糖単位がペンダント状に存在する、直鎖状のポリマー、とりわけ、直鎖状のポリウレタンの製造をもたらし得る。
【0126】
本発明によれば、本発明の方法において使用されるイソシアネート官能基と糖脂質モノマーのアルコール官能基との比率も、当該方法によって得られるポリマーの性質について役割を果たしうる。実際に、低分子量の直鎖状オリゴマーから網目構造ポリマーまで及ぶ広範囲のポリウレタンを得ることができるが、分岐鎖状ポリマーも得ることができる。したがって、重合反応の際に使用されるイソシアネート官能基と糖脂質モノマーのアルコール官能基との比率に応じて、より高いもしくはより低い分岐度を有することが可能な広範囲の分岐鎖状ポリマーが存在する。典型的には、THFのように前述の化合物(I)の溶媒和を可能にしない溶媒中では、当該比率がより増加するほど、すなわち、より多くの(ポリ)イソシアネート化合物が導入されるほど、反応しうる糖脂質モノマーの脂肪鎖部分のヒドロキシル官能基の数が多くなり、結果として直鎖状ポリマーがもたらされる。一旦、脂肪鎖部分のすべてのヒドロキシル官能基が反応すると、当該比率がより大きいほど、より確実に、糖部分におけるヒドロキシル官能基が反応することができるであろう。これにより、分岐の形成がなされ、その結果、分岐鎖状のポリマーが得られる。したがって、イソシアネート官能基とヒドロキシル官能基との間の比率がより増加するほど、より多く分岐した分岐鎖状ポリマーが生じる傾向はさらに高まるであろう。
【0127】
本発明の範囲内において、別に示さない限り、「分岐鎖状ポリマー」は、1つ以上の分岐を有するが架橋はされていないポリマーを意味する。そのようなポリマーは、網目構造ポリマーとは異なる。
【0128】
別の態様によれば、本発明に係る方法は、上記において定義された式(I)の化合物を、
・アルカン−ジオール、ポリアルキレン−ジオール、ならびに上記において定義された式(II)または(III)のうちの1つを有するジオール、からなる群からのジオール;
・A
3が上記において定義された通りの、式(O)CN−A
3−NC(O)のジイソシアネート、
と、40℃から100℃を含む温度において、好ましくは60℃の温度において、溶媒中で反応させる工程を含み得る。
【0129】
ある特定の実施形態によれば、当該方法において使用されるジオールは、式(II):
【0130】
【化23】
[・R’
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・R’
2は、1から8個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表し;
・A
1は、2から14個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の二価のアルキレン基を表し;
・A
2は、1から10個の炭素原子を有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の二価のアルキレン基を表す]
の化合物である。
【0131】
好ましくは、当該方法において使用されるジオールは、R’
1がオクチル基を表し、R’
2がエチル基を表し、A
1がヘプチレン基を表し、A’
2がペンチレン基を表す、式(II)の化合物である。
【0132】
ある特定の実施形態によれば、当該方法において使用されるジオールは、式(III):
【0134】
好ましくは、当該方法において使用されるジオールは、R”
1がオクチル基を表し、R”
2がエチル基を表し、A’
1がヘプチレン基を表す、式(III)の化合物である。
【0135】
ある実施形態によれば、本発明に係る方法において、R’が先に定義された基(B)または(B’)を表す場合、使用されるジオールは、好ましくは、式(III)のジオールである。
【0136】
ある実施形態によれば、本発明に係る方法において、R’が先に定義された基(D)または(D’)を表す場合、使用されるジオールは、好ましくは、式(II)のジオールである。
【0137】
ある実施形態によれば、当該方法において使用される溶媒は、網目構造ポリウレタンを得るために、前述の式(I)の化合物の溶媒和を可能にする溶媒、とりわけ、DMFまたはDMSO、から選択され得る。
【0138】
別の実施形態によれば、当該方法において使用される溶媒は、直鎖状ポリウレタンを得るために、式(I)の化合物の溶媒和を可能にしない溶媒、とりわけTHF、から選択され得る。
【0139】
したがって、ポリマー、とりわけ、生体適合性のポリウレタンを、生物由来のモノマーから製造した。
【0140】
当該方法において使用される溶媒の性質に応じて、本発明のグリコシル化モノマーの官能性の選択性が存在することが示された。そのような選択性は、直鎖状ポリマーと網目構造ポリマーとの両方を得る制御された方法をもたらす可能性を提供する。
【0141】
したがって、ポリウレタンとして、全く予期されない物理化学的特性を有する新規のポリウレタンが製造された。実際に、本発明に係るポリウレタンは、技術水準において知られた脂肪の誘導体から誘導されるポリウレタンと比較して、改良された物理化学的特性、熱機械特性、および流動特性を有する。後者は、概して、低いガラス転移温度および小さいモデュライなどの、限定された熱機械特性を有する。
【0142】
本発明者らは、有利なことに、本発明に係る糖脂質モノマーを組み入れることにより、結果として得られるポリウレタンの熱機械特性、物理化学特性、および流動特性を調整および改良することが可能であることを示した。本発明に係るポリウレタンは、有利なことに、−40℃から+150℃まで調整されうるガラス転移温度を有する。
【0143】
したがって、本発明に係る糖脂質モノマーを組み入れることにより、粘性油の形態の脂肪から誘導されるポリウレタンよりはるかに硬質の固体のポリウレタンを得ることが可能である。
【0144】
本発明の別の態様によれば、得られるポリマーは、とりわけ、医療、薬学、または化粧品分野における、ベクター化(vectorisation)、カプセル化(encapsulation)、または分子認識のために;とりわけ分析の分野における、クロマトグラフ分離;あるいは接着剤、補助界面活性剤、またはコーティング剤の製造のために使用しうる。本発明によれば、当該使用は、得られるポリマーの性質、すなわち、直鎖状であるか、分岐が多いか少ないか、または網目構造ポリマーであるか、に依存し得る。
【0145】
別の態様によれば、本発明は、以下の式(I’):
【0146】
【化25】
[・R’は、糖または糖−アルコールから選択され;
・nは、1から3に含まれ;
・mは、1から6に含まれ;ならびに
・pは、1から9に含まれる]
に適合する中間化合物に関する。
【0147】
ある実施形態によれば、式(I’)の中間化合物は、以下の化合物:
【0149】
好ましくは、前述の式(I’)の中間化合物は、以下の化合物:
【0151】
本発明によれば、式(I)の化合物は、2つの工程:
a)式(I’)の中間化合物を得るための、以下の式(V):
【0152】
【化28】
[・R”は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、を有するアルキル基を表し;
・nは、1から3に含まれる整数であり;
・mは、1から6に含まれる整数であり;ならびに
・pは、1から9に含まれる整数である]
の化合物と、以下の糖もしくは糖−アルコール:
【0154】
【化30】
[基R
1〜R
43は、先に定義された通りである]
から選択される化合物とのエステル交換;ならびに
b)先に定義された式(I)の化合物を得るための、エポキシド官能基の加水分解
において得られうる。
【0155】
好ましくは、式(V)の好ましい化合物は、nが1の値を有し、R”がメチルもしくはエチルを表すものである。
【0156】
典型的には、エステル交換反応a)は、任意の種類の溶媒、好ましくは試薬のうちの1つと反応することができない溶媒、の中で、酸または塩基の触媒の存在下において、実施しうる。好ましくは、本発明に係る当該反応は、塩基の触媒としてのK
2CO
3の存在下、DMSO中において実施される。
【0157】
典型的には、当該反応a)は、30℃から100℃に含まれる温度において実施され得る。好ましくは、当該反応a)は、50℃から95℃、優先的には60℃から90℃において実施され得る。
【0158】
ある実施形態によれば、加水分解工程b)は、30℃から100℃に含まれる温度において、溶媒中で実施され得る。好ましくは、当該反応は、50℃から90℃、好ましくは80℃から90℃に含まれる温度において、ジメチルイソソルビド(dimethylisosorbide:DMI)中またはDMSO中において実施される。
【0159】
典型的には、当該加水分解は、塩酸、硫酸、硝酸、およびリン酸から選択される酸の存在下において実施され得る。好ましくは、当該加水分解b)は、リン酸の存在下において実施される。
【0160】
別の実施形態によれば、式(I)の化合物は、先に定義された式(I)の生成物を得るための、以下の式(VI):
【0161】
【化31】
[・R”は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子を有する、アルキル基を表し;
・nは、1から3に含まれる整数であり;
・mは、1から6に含まれる整数であり;ならびに
・pは、1から9に含まれる整数である]
の化合物と、先に定義された式(B)、(B’)、(C)、(D)、(D’)、(E)、または(E’)の糖または糖−アルコールから選択される化合物とのエステル交換反応による一段階工程において得られうる。
【0162】
以下の実施例は、本発明の例示を可能にするものであるが、ただし、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0163】
略語:
・AcOEt:酢酸エチル;
・AOG:6−O−メチルα−D−グルコピラノシル−9,10−ジヒドロキシオクタデカノエート(メチルα−D−グルコピラノシド9,10−ジヒドロキシステアレートとも呼ばれる)(化合物D);
・MeOH:メタノール;
・DAM:ジクロロメタン/アセトン/メタノール
・DMI:ジメチルイソソルビド;
・CTAB:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;
・IPDI:イソホロンジイソシアネート;
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート。
【0164】
【表1】
【0165】
A.モノマーの合成
実施例1:6−O−α−D−メチルグルコシル9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(2)の製造
1)メチル9,10−エポキシ−オクタデカノエート(B)の合成
3.5gのオレイン酸メチル(11.8mmol;1当量)および0.18mLのギ酸(4.7mmol;0.4当量)に、0℃において、2.1mLの過酸化水素(35重量%水溶液;70.7mmol;6当量)を滴下した。当該反応媒体を、室温で4h、次いで40℃で撹拌した。16h後、TLC(ペンタン/酢酸エチル 98/2)により、オレイン酸メチルがすべて転化したことを確認した。飽和NaHCO
3溶液によってpH=7まで中和した後、当該混合物を酢酸エチルで抽出した(3×25mL)。有機相を75mLの飽和NaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、次いで蒸発乾燥させた。98%の収率で化合物(B)が得られた(黄色油)。
【0166】
【化32】
【0167】
2)エステル交換による6−O−α−D−メチルグルコシル9,10−エポキシ−オクタデカノエート(1)および3−O−α−D−メチルグルコシル9,10−エポキシ−オクタデカノエート(1’)の合成
磁性棒および蒸留システムを備えた250mLのフラスコ内において、10gのエポキシ化オレイン酸メチル(32mmol)(B)、4当量の1−O−メチル−α−D−グルコピラノシド(24g;128mmol)、および0.2当量のK
2CO
3(0.9g;6.4mmol)を、70mLのDMSOに溶解させ、当該反応媒体を、70℃から90℃の減圧下(14〜27mmHg)に維持した。当該反応をTLCで追跡した。
【0168】
エポキシ化オレイン酸メチル(B)の全転化の後、DMSOを減圧下において蒸発させた。残留物を300mLの蒸留水において可溶化し、酢酸エチルで抽出した(3×250mL)。有機相を200mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下において酢酸エチルを蒸発させた。粗生成物を、60/40から2/98の範囲のペンタン/AcOEt勾配を用いて、通常のシリカによるクロマトグラフィによって精製し、メチルグルコシド(1)および(1’)モノエステルの混合物11gを得た(73%)。
【0169】
冷ペンタン/AcOEt:80/20混合物中において沈殿させることにより、メチルグルコシド(1)のC
6モノエステルを単離することができた。フリットによるろ過により、5.4gの白色粉末を得うる(36%の収率)。
【0170】
【化33】
【0171】
Rf:0.34(AcOEt/ペンタン:9/1)
【0172】
1H NMR(CDCl
3、400MHz):4.73(d;1H;J
1〜2=4.4Hz;H−1);4.34〜4.40(dd;1H、J
5〜6a=6.7Hz;J
6a〜6b=15.2Hz;H−6a);4.26〜4.33(dd;1H;J
5〜6b=6.7Hz;J
6a〜6b=15.2Hz;H−6b);3.67〜3.77(m;2H;H−3およびH−5);3.51(m;H;H−2);3.40(s;3H;OCH
3(メチルグルコピラノシド));3.32(t;1H;J=12.6Hz;H−4);2.88(m;2H;H−9’およびH−10’);2.35(t;2H;J=10.4Hz;CH
2(α OCO));1.15〜1.70(m;26H;CH
2(アルキル鎖));0.86(t;3H;J=8.8Hz;CH
3)
【0173】
13C NMR(CDCl
3、100MHz):175.5(C=O);99.8(C−1);74.5(C−3);72.4(C−2);70.6(C−4);70.1(C−5);63.8(C−6);57.4(C−9’およびC−10’);55.4(OCH
3(メチルグルコピラノシド);34.5(CH
2(α OCO));23.1〜34.6(CH
2(アルキル鎖));14.5(CH
3)
【0174】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=497.3085
質量の測定値=497.3066
【0175】
【化34】
【0176】
Rf:0.55(AcOEt/ペンタン:9/1)
【0177】
1H NMR(CDCl
3、400MHz):5.05(t;1H;J
3〜4=J
2〜39.2Hz;H−3);4.70(d;1H;J
1〜2=3.7Hz;H−1);3.80〜3.92(m;2H;H−6a,b);3.55〜3.70(m;3H;H−2;H−4およびH−5);3.40(s;3H;OCH
3(メチルグルコピラノシド));2.90(m;2H;H−9’およびH−10’);2.41(t;2H;J=10.4Hz;CH
2(α OCO));1.20〜1.75(m;26H;CH
2(アルキル鎖));0.87(t;3H;J=8.8Hz;CH
3)
【0178】
13C NMR(CDCl
3、100MHz):176.0(C=O);99.7(C−1);77.6(C−3);71.8(C−5);71.1(C−2);69.6(C−4);62.6(C−6);57.7(C−9’およびC−10’);55.8(OCH
3(メチルグルコピラノシド);34.5(CH
2(α OCO));23.06〜32.2(CH
2(アルキル鎖));14.5(CH
3)
【0179】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=497.3085
質量の測定値=497.3066
【0180】
3)6−O−α−D−メチルグルコシル9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(2)の合成
磁性棒を備えた50mLフラスコ内において、1gのエポキシ化メチルグルコシド(1)オレエートモノエステル(2.1mmol)を、50℃において1.8mLのジメチルイソソルビド(dimethylisosorbide:DMI)に溶解させ、次いで、5.6mLのH
3PO
4溶液(5質量%水溶液)をゆっくりと加え、当該反応媒体を80℃にした。当該反応をTLCで追跡した。
【0181】
3〜4hの反応後、(1)の転化があった(TLCによる)。当該反応媒体を酢酸エチルで抽出し(2×50mL)、有機相を飽和NaHCO
3溶液で洗浄してpHを7にし、次いで飽和NaCl溶液(75mL)で洗浄した。当該有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下において酢酸エチルを蒸発させた。0℃において当該残留物に15mLのエーテルを加えた。固体が沈殿し、次いで、それをろ過し、メチルグルコシドジオールオレエートモノエステル(2)(0.64g;収率62%)を回収した。
【0182】
【化35】
【0183】
Rf:0.41(DAM:ジクロロメタン/アセトン/メタノール:8/1/1)
【0184】
1H NMR(CD
3OD、400MHz):4.73(d;1H;J
1〜2=4.4Hz;H−1);4.34〜4.40(dd;1H、J
5〜6a=6.7Hz;J
6a〜6b=15.2Hz;H−6a);4.26〜4.33(dd;1H;J
5〜6b=6.7Hz;J
6a〜6b=15.2Hz;H−6b);3.67〜3.77(m;2H;H−3およびH−5);3.64〜3.71(m;2H;H−9’およびH−10’);3.51(m;2H;H−2);3.40(s;3H;OCH
3(メチルグルコピラノシド));3.32(t;1H;J=12.6Hz;H−4);2.35(t;2H;J=10.4Hz;CH
2(α OCO));1.15〜1.70(m;26H;CH
2(アルキル鎖));0.86(t;3H;J=8.8Hz;CH
3)
【0185】
13C NMR(CD
3OD、100MHz):175.5(C=O);101.6(C−1);75.6(C−9’およびC−10’);75.4(C−3);73.8(C−2);72.2(C−4);71.4(C−5);65.1(C−6);56.04(OCH
3(メチルグルコピラノシド);35.5(CH
2(α OCO));24.5〜34.4(CH
2(アルキル鎖));14.9(CH
3)
【0186】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=515.3191
質量の測定値=515.3181
【0187】
実施例2:1−O−D−ソルビトール9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(4)および6−O−D−ソルビトール9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(4’)の製造
1)エステル交換によるソルビトールエステル:1−O−D−ソルビトール9,10−エポキシ−オクタデカノエート(3)および6−O−D−ソルビトール9,10−エポキシ−オクタデカノエート(3’)の合成
磁性棒および蒸留システムを備えた100mLフラスコ内において、5gのエポキシ化オレイン酸メチル(B)(16mmol)、4当量のD−ソルビトール(11.7g;64mmol)、および0.2当量のK
2CO
3(0.4g;3.2mmol)を、35mLのDMSOに溶解させ、当該反応媒体を、70℃から90℃の減圧下(14〜27mmHg)に維持した。当該反応をTLCで追跡した。エポキシ化オレイン酸メチル(B)がすべて転化した後、減圧下においてDMSOを蒸発させた。残留物を、150mLの蒸留水において可溶化し、酢酸エチルで抽出し(3×150mL)、当該有機相を200mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下において酢酸エチルを蒸発させた。粗生成物を、60/40から2/98の範囲のペンタン/AcOEt勾配を用いた通常のシリカによるクロマトグラフィによって精製し、部分的固体ゲルとしてソルビトールモノエステル(3)および(3’)の7.2gの混合物を得た。当該モノエステルは、冷メタノールから沈殿させることによって精製させてもよい。フリットによるろ過及びペンタンによる洗浄の後で、5.2gの茶色固体を得うる(収率70%)。
【0188】
【化36】
【0189】
Rf:0.37(AcOEt/MeOH 95/5)
【0190】
1H NMR(CD
3OD、400MHz):δ(ppm)4.37(dd、1H、J15.2Hz、J3.5Hz、COOCH
2 A)、4.24(dd、1H、J15.2Hz、J1.5Hz、COOCH
2 B)、4.18(dd、1H、J15.2Hz、J6.1Hz、COOCH
2 B)、4.16(dd、1H、J15.2Hz、J3.5Hz、COOCH
2 A)、4.01〜3.85(m、4H、C
HOHソルビトール)、3.82〜3.59(m、8H、C
H2OH AおよびBならびにC
HOHソルビトール)、2.95(m、4H、H−9’およびH−10’)、2.39(2t、4H、J=10.04Hz、CH
2CO)、1.31〜1.65(m、52H、CH
2)、0.95(t、6H、J=8.8Hz、CH
3)
【0191】
13C NMR(CD
3OD、125MHz):δ(ppm)175.8および175.5(2×C=O)、75.1、73.7、73.5、73.3、73.0、72.6、70.9、70.5(2)、67.4(COO
CH
2 A)、66.7(COO
CH
2 B)、64.8(CH
2OH AまたはB)、64.1(CH
2OH AまたはB)、58.7(2×C−9およびC−10エポキシド)、55.7(2×OCH
3)、35.0(2×CH
2CO)、23.7〜33.0(CH
2アルキル鎖)、14.4(2×CH
3)
【0192】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=485.3085
質量の測定値=485.3063
【0193】
2)1−O−D−ソルビトール9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(4)および6−O−D−ソルビトール9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(4’)の製造
a)助溶媒としてのDMIの使用
磁性棒を備えた100mLフラスコ内において、エポキシ化ソルビトールオレエート(3)および(3’)の3.1gの混合物(6.7mmol)を、50℃において、4.1mLのジメチルイソソルビドに溶解させ、次いで、11.5mLのH
3PO
4溶液(5質量%水溶液)をゆっくりと加えた。当該反応媒体を80〜90℃にし、当該反応をTLCで追跡した。
【0194】
5hの反応後、エポキシド(3)および(3’)の転化があり(TLCによる)、当該反応媒体を室温まで冷却した。黄色ゲルが沈殿し、次いで、それをろ過し、エチルエーテルで洗浄し、黄色固体を得た。当該固体を150mLの酢酸エチルに溶解させ、次いで、蒸留水および飽和NaHCO
3溶液で4回洗浄し、次いで、飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、溶媒を減圧下において蒸発させた。残留DMIを含むジオール(4)および(4’)の2.3gの混合物(74%)を得た。
【0195】
b)助溶媒としてのDMSOの使用
磁性棒を備えた100mLフラスコ内において、エポキシド(3)および(3’)の2gの混合物(4.1mmol)を、50℃において、4.1mLのDMSOに溶解させ、次いで、11.5mLのH
3PO
4溶液(5質量%水溶液)をゆっくりと加えた。当該反応媒体を80〜90℃にし、当該反応をTLCで追跡した。5hの反応後、エポキシド(3)/(3’)の消失があり(TLCによる)、当該反応媒体を放置して室温まで冷却した。白色ゲルが沈殿し、それをろ過し、150mLの酢酸エチルに溶解させ、次いで、蒸留水および飽和NaHCO
3溶液で4回洗浄し、次いで、飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、次いで、減圧下において濃縮した。ジエチルエーテルからの冷沈殿による精製により、ジオール(4)および(4’)の1.8gの混合物(82%)が得られたと思われた。
【0196】
【化37】
【0197】
Rf:0.44(AcOEt/MeOH:9/1)
【0198】
1H NMR(CD
3OD、323K、400MHz)δ(ppm)4.66(dd、1H、J=11.6Hz、J2.8Hz、COOC
H2 A)、4.54〜4.46(m、2H、COOC
H2 B)、4.46(dd、1H、J11.7Hz、J6.2Hz、COOCH
2 A)、4.28〜4.12(m、4H、C
HOHソルビトール)、4.10〜3.89(m、8H、C
H2OH AおよびBならびにC
HOHソルビトールおよびC
HOHソルビトール)、3.67(m、4H、H−9’およびH−10’ジヒドロキシ)、2.66および2.65(2t、4H、J7.5Hz、2×CH
2CO)、1.60〜1.90(m、2×26H、CH
2)、1.19(t、6H、J6.3Hz、CH
3)
【0199】
13C NMR(CD
3OD、323K、100MHz)δ(ppm)175.8および175.6(2×C=O)、75.4および75.3(
CHOH 9,10−ジヒドロキシ)、75.0、73.8、73.5、73.2、72.6、71.1、70.9(2)、67.4(COO
CH
2 A)、66.7(COO
CH
2 B)、64.9(CH
2OH AまたはB)、64.3(CH
2OH AまたはB)、35.1、および35.0(
CH
2CO)、34.1〜23.6(脂肪族CH
2)、14.3(CH
3)
【0200】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=503.3191
質量の測定値=503.3188
【0201】
実施例3:サッカロースエステル:6−O−サッカロース9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(6)および(6’)の製造
1)メチル9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(C)の合成
磁性棒を備えた100mLのフラスコ内において、1gのエポキシ化オレイン酸メチル(B)(3.1mmol)を、5.8mLのジメチルイソソルビド(DMI)に溶解させ、次いで、8mLのH
3PO
4溶液(5質量%水溶液)および0.1gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(hexadecyltrimethylammonium bromide:CTAB)(0.31mmol;0.1当量)を滴下した。次に、当該反応媒体を80〜90℃にした。エポキシ化オレイン酸メチルが転化した後(TLCによる)、当該混合物を、14hかけて、室温まで冷却した。沈殿物をフリットによりろ過した。当該固体を、100mLの酢酸エチルにおいて可溶化し、蒸留水(6×100mL)で洗浄し、飽和NaHCO
3溶液で洗浄してpHを約7にし、次いで、飽和NaCl溶液で洗浄した(2回、50mL)。当該溶液を、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させた。86%の収率で化合物(C)が得られた(残留DMIを含有する黄色味がかった固体)。
【0202】
【化38】
【0203】
Rf:0.27(酢酸エチル/ペンタン:2/8)
【0204】
1H NMR(CDCl
3、300MHz):3.62(s;3H;OCH
3);3.36〜3.40(m;2H;H−9およびH−10);2.26(t;2H;J=7.5;CH
2(α OCO));1.23〜1.61(m;26H;CH
2(アルキル鎖));0.84(t;3H;J=6.9;CH
3)
【0205】
13C NMR(CDCl
3、75MHz):174.2(C=O);75.3(C−9;C−10);51.7(C−OCH
3);34.1(CH
2(α OCO));22.7〜31.9(CH
2(アルキル鎖));14.1(CH
3)
【0206】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=353.2662
質量の測定値=353.2657
【0207】
2)エステル交換による6または6’−O−サッカロース9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(6)および(6’)の合成
磁性棒および蒸留システムを備えた500mLのフラスコ内において、18gのメチルジヒドロキシ−オレエート(C)(83重量%;43.5mmol)、4当量のサッカロース(50.6g;147mmol)、および0.2当量のK
2CO
3(1.02g;7.4mmol)を、130mLのDMSOに溶解させ、当該反応媒体を、70℃から90℃の減圧下(14〜27mmHg)で撹拌した。ジオール(C)がすべて転化した後(TLC)、DMSOを減圧下において蒸発させた。当該残留物を250mLの蒸留水において可溶化し、最初に酢酸エチル(100mL)で抽出し、次いでブタノールで抽出し(3×150mL)、当該有機相を200mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、ブタノールを減圧下で蒸発させた(痕跡量のブタノールを除去するために、メタノールと共蒸発させた)。6.3gの粗混合物(6)および(6’)を、DAME−AからDAME−Cの溶離勾配を用いたカラムによるクロマトグラフィによって精製し、(6)および(6’)を含むサッカロースモノエステル3.4gを得た。
【0208】
【化39】
【0209】
Rf:0.30(DAME−C)
【0210】
クロマトグラフィ後の混合物のNMR分析は以下の通りである。
1H NMR(CD
3OD;400MHz)(主要シグナル):5.36(m、2H、H−1スクロース)、4.43〜4.40(m、3H、
CH
2OCO)、4.11〜3.33(m、Hスクロースおよび4Hジヒドロキシ)、2.39(t、4H、J10Hz、CH
2CO)、1.75〜1.25(m、2×26H、CH
2)、0.92(t、6H、J8.8Hz、CH
3)
【0211】
13C NMR(CD
3OD、100MHz)(主要シグナル):175.5(C=O)、105.5、105.2、104.0(C−2’スクロース)、93.5および93.4(C−1スクロース)、83.9〜71.5(CHOHスクロースおよびCHOHジヒドロキシ)、66.9および64.7(2×
CH
2OCO)、64.1、63.9、63.8、63.2、62.5(4×OCH
2)、35.1および34.9(2×
CH
2CO)、35.1〜23.7(CH
2脂肪族))、14.4(CH
3)
【0212】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=663.3562
質量の測定値=663.3560
【0213】
実施例4:イソマルトエステル(8)および(8’)の製造
1)エステル交換による6−O−イソマルト9,10−エポキシ−オクタデカノエート(7)および6’−O−イソマルト9,10−エポキシ−オクタデカノエート(7’)の合成
磁性棒および蒸留システムを備える500mLのフラスコ内において、10gのエポキシ化オレイン酸メチル(B)(30.6mmol)、4当量のイソマルト(44g;128mmol)、および0.2当量のK
2CO
3(0.8g;6.4mmol)を、110mLのDMSOに溶解させた。当該反応媒体を、70℃から90℃の減圧下(14〜27mmHg)で撹拌した。当該反応をTLCで追跡した。エポキシ化オレイン酸メチル(B)がすべて転化した後、DMSOを減圧下において蒸発させた。当該残留物を、250mLの蒸留水において可溶化し、ブタノールで抽出し(3×150mL)、有機相を200mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。当該有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、減圧下においてブタノールを蒸発させた。9gの粗生成物を、ジクロロメタン/アセトン/メタノール/水:78/10/10/2から56/20/20/4の溶離勾配を用いたカラムでのクロマトグラフィによって精製し、イソマルトモノエステル(7)および(7’)を含有する混合物5.2gを得た。
【0214】
【化40】
【0215】
Rf:0.28(ジクロロメタン/アセトン/メタノール/水:56/20/20/4)
【0216】
NMR分析では、得られた生成物を明確には同定できない。
【0217】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=647.3613
質量の測定値=647.3612
【0218】
2)加水分解による6−O−イソマルト9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(8)および6’−O−イソマルト9,10−ジヒドロキシ−オクタデカノエート(8’)の合成
磁性棒を備える50mLのフラスコ内において、1gのエポキシ化イソマルトオレエート(7)および(7’)の混合物(1.6mmol)を、50℃において、3mLのH
3PO
4溶液(5質量%水溶液)に溶解させた。次に、当該反応媒体を80〜90℃にした。当該反応をTLCで追跡した。3〜4hの反応後、イソマルトエステルエポキシド(7)の消失があった(TLCによる)。当該媒体を室温に戻した後で、ゲルが沈殿した。後者をろ過により回収した。当該ゲルを、50mLのブタノールにおいて可溶化し、次いで、飽和NaHCO
3溶液で洗浄してpHを7にし、次いで飽和NaCl溶液で洗浄した(2回、30mL)。当該有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過し、ブタノールを減圧下で蒸発させ(痕跡量のブタノールを除去するためにメタノールと共蒸発させた)、ベージュ色の固体として、イソマルトオレエートジオール(8)および(8’)モノエステルを含有する混合物0.9gを得た。
【0219】
【化41】
【0220】
Rf:0.17(DAME−C:ジクロロメタン/アセトン/メタノール/水:56/20/20/4)
【0221】
NMR分析では、得られた生成物を明確には同定できない。
【0222】
MS:(高分解能)m/z[M+Na]
+ 質量の計算値=665.3719
質量の測定値=665.3697
【0223】
B.モノマーからの直鎖状ポリウレタンの合成
以降において説明する、適用手順は、任意のグリコシル化ポリオールに対し、ならびに任意のイソシアネートに対して適用しうる。
【0224】
実施例5:6−O−メチルα−D−グルコピラノシル−9,10−ジヒドロキシオクタデカノエート(メチルα−D−グルコピラノシド9,10−ジヒドロキシステアレートとも呼ばれる)(D)または(AOG)からのホモポリマーの合成
1)合成
IPDIの存在下での新規ポリウレタンの合成におけるポリオールとして、化合物(D)を試験した。
【0225】
【化42】
【0226】
冷却管(refrigerant)を搭載し、磁性棒を備える250mLのフラスコ内において、事前に50mLのTHFに溶解させた化合物(D)(5g;10.1mmol)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)(2.47g;11.1mmol)、およびDBTDL(ジブチルスズジラウレート)触媒(マイクロピペットで採取した7.5mg)を混合した。次いで、当該フラスコを、60℃に加熱されたオイルバスに浸けた。IPDIの転化を、赤外分光法により、2,250cm
−1に局在するイソシアネート官能基の振動バンドの消失と、1,530cm
−1に局在するウレタン官能基の振動バンドの出現とにより追跡した。20h後、ポリウレタンを得た。
【0227】
以下の表1に、イソシアネート官能基/アルコール官能基の様々なモル比において、THF中で実施した重合の結果をまとめる。
【0228】
【表2】
【0229】
0.5から1の間に含まれるモル比(イソシアネート官能基/アルコール官能基)の場合(項目1、2、および3)、イソシアネート官能基の転化は不完了のままであり、これは、ある特定のアルコール官能基の反応性の欠乏によって表される。
【0230】
0.38以下のモル比の場合、イソシアネート官能基の転化は、20h後では完了している。注目すべきことに、それによって得られるポリウレタンは、THFに可溶である(項目4および5)。これらの結果は、この閾値0.38が、ポリオール(D)が有する5つのアルコール官能基のうちの2つだけによる単独での寄与の考慮のみに対応していることを示している。
【0231】
得られたポリウレタンの
1H NMRスペクトルの分析から、C
18鎖のアルコール官能基を有する炭素の2つのプロトンの4.40ppmでのシグナルの消失が明らかとなる。逆に、グリコシド基のアルコール官能基を有する炭素のプロトンに関連する4.25ppm、4.50ppm、および4.75ppmに位置するシグナルは消失しておらず、これは、これらのアルコール官能基が重合の際に反応しなかったことを示している。
【0232】
化合物(D)の
13C NMRスペクトルとの比較は、C
18鎖のアルコール官能基が消費され、その一方で、グリコシド基のそれが保持されていることを示している。実際に、C
18鎖におけるアルコールを有する2つの炭素に関連する73.17ppmのシグナルは、重合の終了時に消失し、その一方で、グリコシド基の炭素に対応する73.08ppm、71.77ppm、および69.55ppmのピークは依然として存在する。
【0233】
C
18鎖の両方のアルコール官能基がTHF中において優先的に反応したという事実は、脂肪酸誘導体とは異なってグルコースはTHFに可溶でないという事実によって説明される。したがって、この溶媒中におけるこれら両方のアルコール官能基のタイプの選択性は、およそ0.4のモル比の直鎖状ポリウレタンが得られる可能性を与える。
【0234】
0.2のイソシアネート官能基/アルコール官能基比の使用の際、全転化の後にも直鎖状ポリウレタンが得られたことが認められる。その一方で、得られた分子量はより小さい。これは、ポリオール(D)の脂肪鎖部分のヒドロキシル官能基のすべてが反応したわけではないという事実によって説明される。
【0235】
一方で、モル比を0.4から0.5に増加させた場合、その結果として、脂肪鎖のすべての官能基が反応し、ならびに糖部分のいくらかのヒドロキシル官能基も反応し得る。この結果として、分岐の形成を生じ、それにより、分岐鎖状ポリマーが得られる。さらにモル比を増加させると、網目構造ポリマーが生じる傾向が強まるであろう。
【0236】
2)ポリウレタンの熱機械特性
示差熱量分析によるポリウレタンのキャラクタリゼーションから、直鎖状ポリウレタンのガラス転移温度(T
g)がおよそ38℃であることが明らかとなる。
【0237】
実施例6:サッカロースから誘導されたオレエートからのホモポリマーの合成
IPDIの存在下での新規ポリウレタンの合成におけるポリオールとして、当該サッカロースエステル(E)を試験した。
【0238】
【化43】
【0239】
当該重合は、実施例5において説明した手順に従って実施した。以下の表2に、様々なイソシアネート官能基/アルコール官能基モル比に対して、THF中で実施した重合(総所要時間:22h)の結果をまとめる。
【0240】
【表3】
【0241】
当該ポリウレタンは、すべての場合において粉末として得られる。
【0242】
実施例7:化合物(D)/HPO(ヒドロキシル化ペンタノールオレエート)コポリマーの合成
1)合成
一連のコポリマーを、IPDIの存在下において、ヒドロキシル化ペンタノールオレエート(F)および化合物(D)から合成した。
【0243】
【化44】
【0244】
当該重合反応は、THF中において実施した。化合物(D)のC
18鎖の2つのアルコール官能基とHPOの2つのアルコール官能基とのみを考慮して、加えるIPDIの量を算出した。化合物(D)を、0から100%において変量する様々なモル分率において組み入れた。赤外におけるイソシアネート官能基の振動バンドが完全に消失したとき、全転化に達した。
【0245】
AOG/HPOモノマーの混合物中に組み入れられたAOG(化合物(D))のモル分率はx
AOGであり、ジオールの総質量が5gであることを考慮して、導入するIPDIの質量を以下ようにして算出した。
【0246】
【数1】
【0247】
冷却管(refrigerant)を搭載し、磁性棒を備える250mLのフラスコ内に、50mLのTHFに溶解させた5gのAOG/HPO混合物(AOGモル分率はx
AOG)、ならびに上記の式に従って計算した質量m
IPDIのIPDI、最後にDBTDL触媒(試薬の総質量に対して0.1質量%)を導入した。当該フラスコを、60℃に加熱したオイルバスに1から10h浸けた。IPDIの転化を、赤外分光法により、2,250cm
−1に局在するNCO基の振動バンドの消失によって追跡した。
【0248】
表5に、得られた直鎖状ポリウレタンのモル質量およびT
gの値をまとめる。
【0249】
【表4】
【0250】
AOG/HPOコポリマーのモル質量の値は、AOGの割合(化合物(D))に応じてわずかに変わり、
AOGから製造したホモポリマーの場合、より大きな値(15,600g/mol)が得られた。このことは、後者がより多くの反応性末端アルコール官能基を有するという事実によって説明しうる。
【0251】
DSCによって得られたサーモグラムから、T
g温度が−36から39℃を含むことが判明する。化合物(D)の割合による直鎖状ポリウレタンのT
gの経時変化は、多項式トレンドに従うように見える。
【0252】
実施例8:モノマー(E)およびジオール(G)からのコポリマーの合成
一連のコポリマーを、IPDIの存在下において、ジオール(G)および事前に合成したモノマー(E)から合成した。
【0253】
【化45】
【0254】
様々な重合反応を、実施例7の条件下において実施した。以下の表6に、THF中において、様々な質量比において実施した重合(総所要時間:22h)の結果をまとめる。
【0255】
【表5】
【0256】
C.モノマーからのポリウレタン網目構造の合成
実施例9:化合物(D)からのホモポリマーの合成
1)合成
IPDIの存在下での新規な網目構造ポリウレタンの合成におけるポリオールとして、化合物(D)を試験した。
【0257】
【化46】
【0258】
冷却管(refrigerant)を搭載し、磁性棒を備えた250mLのフラスコ内において、50mLのDMFに事前に溶解させた化合物(D)(5g;10.1mmol)、IPDI(5.61g;25.3mmol)、およびDBTDL触媒(28mg、試薬の総質量に対して0.1質量%)を混合した。次いで、当該フラスコを、60℃に加熱したオイルバスに浸けた。15h後、溶媒を蒸発させることにより、ポリウレタンを得た。
【0259】
化合物(D)の良好な溶媒であることが判明したDMF中において、いくつかの重合試験を実施した。以下の表7に、様々なイソシアネート官能基/アルコール官能基比率に対して、溶媒中において実施された重合の際に得られた結果をまとめる。
【0260】
【表6】
【0261】
0.2〜1において変わるモル比において実施したすべての重合により、イソシアネート官能基はすべて転化し、DMFに不溶性のポリマーが得られた。この結果は、5つすべてのアルコール官能基の溶媒中での反応性によって論理的に説明される。
【0262】
2)ポリウレタンの熱機械特性
示差熱量分析による網目構造ポリウレタンのキャラクタリゼーションにより、3D網目構造の場合のガラス転移温度T
gが35から149℃の範囲であることが明らかとなる。当該網目構造の熱特性は、実際に、網目構造の密度に直接影響を及ぼすNCO/OHモル比の値によって調整しうる。ガラス転移温度は、モル比が0.2の場合の35℃から、モル比が1の場合の149℃まで変わる(表7)。
【0263】
実施例10:AOG/HPO(ヒドロキシル化ペンタノールオレエート)網目構造コポリマーの合成
1)合成
一連のコポリマーは、IPDIの存在下において、ヒドロキシル化ペンタノールオレエート(F)と化合物(D)(AOG)とから合成した。
【0264】
【化47】
【0265】
重合反応は、DMF中において実施し、アルコール官能基の総数に基づいた化学量論比においてIPDIを導入した。AOG/HPO網目構造コポリマーを、様々なAOGモル分率(化合物(D))から製造した。
【0266】
AOG/HPOモノマーの混合物に組み入れられたAOGのモル分率がx
AOGであり、総ジオール質量が5gであることを考慮して、導入されるIPDIの質量を以下のようにして算出した。
【0267】
【数2】
【0268】
冷却管(refrigerant)を搭載し、磁性棒を備える250mLのフラスコ内に、50mLのDMFに溶解させた5gのAOG/HPO混合物(AOGモル分率はx
AOG)、IPDI、およびDBTDL触媒(試薬の総質量に対して0.1質量%)を導入した。当該フラスコを、60℃に加熱されたオイルバスに浸けた。
【0269】
2)網目構造ポリウレタンの熱機械特性
以下の表5に、得られたポリウレタンのT
gの値をまとめる。
【0270】
【表7】
【0271】
結果として得られたポリウレタンのAED分析により、材料のT
gに対する化合物(D)の影響が明らかとなり、T
gは、化合物(D)のモル分率に対して直線的に増加する。T
gは、化合物(D)が0%の場合の−36℃から、導入された化合物(D)が100%の場合の149℃まで変わる。
【0272】
この結果は、調整することができる熱機械特性を有する生物由来のポリウレタン網目構造の入手を可能にするので、非常に興味深いものである。