特許第6359061号(P6359061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6359061監視システム、情報処理装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359061
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】監視システム、情報処理装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   G05B23/02 V
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-182155(P2016-182155)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-45637(P2018-45637A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100196829
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 言一
(74)【代理人】
【識別番号】100205969
【弁理士】
【氏名又は名称】氷室 詩乃
(72)【発明者】
【氏名】内 和哉
(72)【発明者】
【氏名】高山 直之
(72)【発明者】
【氏名】北崎 恵凡
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−140746(JP,A)
【文献】 特開2010−049532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 − 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習システム及び情報処理装置を有する監視システムであって、
前記学習システムは、
複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用重要度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器と、
前記複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれを出力した監視対象装置及び前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれの原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた第2定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用関連度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測関連度を出力する第2学習器とを有し、
前記情報処理装置は、
複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得するアラーム情報取得部と、
前記アラーム情報を稼働アラーム情報として前記第1学習器に入力し、前記第1学習器から出力された前記推測重要度を取得する重要度取得部と、
前記推測重要度が第1閾値以上である場合、前記アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得する手順書取得部と、
前記アラーム情報取得部が取得したアラーム情報を前記稼働アラーム情報として前記第2学習器に入力し、前記第2学習器から出力された前記推測関連度を取得する関連度取得部と、
前記推測重要度が前記第1閾値未満であり、且つ、前記推測関連度が第2閾値未満である場合、前記アラーム情報の原因となる装置の候補を特定する装置候補特定部と、
前記手順書取得部が取得した手順書又は前記装置候補特定部が特定した候補を示す情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記学習システムは、複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記手順書を示す学習用手順書情報とが関連付けられた第3定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用手順書情報との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された複数の推測手順書情報を、前記稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に出力する第3学習器をさらに有し、
前記手順書取得部は、前記重要度取得部が取得した重要度が前記第1閾値以上である場合、前記アラーム情報取得部が取得したアラーム情報を前記稼働アラーム情報として前記第3学習器に入力し、前記第3学習器から出力された複数の前記推測手順書情報を取得することにより前記複数の手順書を取得し、
前記出力部は、前記複数の手順書を前記確度が高い順に並べて出力する、請求項に記載の監視システム。
【請求項3】
前記アラーム情報には、当該アラーム情報を出力した監視対象装置を示す情報が含まれ、
前記学習システムは、所定時間内に複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報に含まれる学習用の監視対象装置を示す情報と、前記アラーム情報の原因となる装置の候補を示す学習用候補情報とが関連付けられた第4定義データを用いて、前記学習用の監視対象装置を示す情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記学習用の監視対象装置を示す情報に対応する前記学習用候補情報との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に含まれる前記監視対象装置を示す情報に対して推測された複数の推測候補情報を、前記稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に出力する第4学習器をさらに有し、
前記装置候補特定部は、前記推測重要度が前記第1閾値未満であり、且つ、前記推測関連度が前記第2閾値未満である場合、前記アラーム情報取得部が取得したアラーム情報に含まれる監視対象装置を示す情報を前記第4学習器に入力し、前記第4学習器から出力された複数の前記推測候補情報を取得することによりアラーム情報の原因となる装置の複数の候補を特定し、
前記出力部は、前記装置候補特定部が取得した複数の推測候補情報を前記確度が高い順に並べて出力する、請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用重要度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器と、
前記複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれを出力した監視対象装置及び前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれの原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた第2定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用関連度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測関連度を出力する第2学習器とを有する学習システムと通信する情報処理装置であって、
複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得するアラーム情報取得部と、
前記アラーム情報を稼働アラーム情報として前記第1学習器に入力し、前記第1学習器から出力された前記推測重要度を取得する重要度取得部と、
前記推測重要度が第1閾値以上である場合、前記アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得する手順書取得部と、
前記アラーム情報取得部が取得したアラーム情報を前記稼働アラーム情報として前記第2学習器に入力し、前記第2学習器から出力された前記推測関連度を取得する関連度取得部と、
前記推測重要度が前記第1閾値未満であり、且つ、前記推測関連度が第2閾値未満である場合、前記アラーム情報の原因となる装置の候補を特定する装置候補特定部と、
前記手順書取得部が取得した手順書又は前記装置候補特定部が特定した候補を示す情報を出力する出力部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用重要度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器と、
前記複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれを出力した監視対象装置及び前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれの原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた第2定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用関連度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測関連度を出力する第2学習器とを有する学習システムと通信する情報処理装置の制御方法であって、
複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得し、
前記取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として前記第1学習器に入力し、前記第1学習器から出力された前記推測重要度を取得し、
前記取得した推測重要度が第1閾値以上である場合、前記アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得し、
前記取得したアラーム情報を前記稼働アラーム情報として前記第2学習器に入力し、前記第2学習器から出力された前記推測関連度を取得し、
前記推測重要度が前記第1閾値未満であり、且つ、前記推測関連度が第2閾値未満である場合、前記アラーム情報の原因となる装置の候補を特定し、
前記取得した手順書又は前記特定した候補を示す情報を出力する、
ことを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項6】
複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用重要度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器と、
前記複数の学習用アラーム情報と、前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれを出力した監視対象装置及び前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれの原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた第2定義データを用いて、前記複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と前記複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する前記学習用関連度との関係から、入力された前記複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測関連度を出力する第2学習器とを有する学習システムと通信する情報処理装置の制御プログラムであって、
複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得し、
前記取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として前記第1学習器に入力し、前記第1学習器から出力された前記推測重要度を取得し、
前記取得した推測重要度が第1閾値以上である場合、前記アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得し、
前記取得したアラーム情報を前記稼働アラーム情報として前記第2学習器に入力し、前記第2学習器から出力された前記推測関連度を取得し、
前記推測重要度が前記第1閾値未満であり、且つ、前記推測関連度が第2閾値未満である場合、前記アラーム情報の原因となる装置の候補を特定し、
前記取得した手順書又は前記特定した候補を示す情報を出力する、
ことを前記情報処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の監視対象装置を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークで接続された複数の監視対象装置を監視する監視システムが利用されている。
【0003】
特許文献1には、各機器から入力されるアラーム信号を受け付け、受け付けられたアラームを解析してアラームの種別やアラームを発生させた機器とアラームとの対応関係を特定し、アラームの発生した機器とアラームとの対応関係を表示装置に可視表示するアラーム監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−192554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、監視対象装置は、それぞれスイッチ、ルーター等の通信装置を経由してネットワークに接続されており、監視対象装置又は通信装置が故障した場合、アラーム情報を出力する。監視システムの監視者は、アラーム情報が出力された場合、アラーム情報に対して対処する必要性を判断し、その必要性に応じて、特定の対処を実行する必要がある。
【0006】
しかしながら、監視者の技術レベル及び対応経験等の有無によっては、監視者が対処する必要があるアラーム情報を見逃したり、対処する必要がないアラーム情報の対応に長時間をかけたりすることがある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決すべくなされたものであり、監視対象装置から出力されるアラーム情報に対して監視者が適切に対応することを可能とする監視システム、情報処理装置、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る監視システムは、学習システム及び情報処理装置を有する監視システムであって、学習システムは、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用重要度との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器を有し、情報処理装置は、複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得するアラーム情報取得部と、アラーム情報を稼働アラーム情報として第1学習器に入力し、第1学習器から出力された推測重要度を取得する重要度取得部と、推測重要度が第1閾値以上である場合、アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得する手順書取得部と、手順書取得部が取得した手順書を出力する出力部と、を有する。
【0009】
本発明に係る監視システムにおいて、学習システムは、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれを出力した監視対象装置及び複数の学習用アラーム情報のそれぞれの原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた第2定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用関連度との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測関連度を出力する第2学習器をさらに有し、情報処理装置は、アラーム情報取得部が取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として第2学習器に入力し、第2学習器から出力された推測関連度を取得する関連度取得部と、推測重要度が第1閾値未満であり、且つ、推測関連度が第2閾値未満である場合、アラーム情報の原因となる装置の候補を特定する装置候補特定部と、をさらに有し、出力部は、装置候補特定部が特定した候補を示す情報を出力することが好ましい。
【0010】
本発明に係る監視システムにおいて、学習システムは、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する手順書を示す学習用手順書情報とが関連付けられた第3定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用手順書情報との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された複数の推測手順書情報を、稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に出力する第3学習器をさらに有し、手順書取得部は、重要度取得部が取得した重要度が第1閾値以上である場合、アラーム情報取得部が取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として第3学習器に入力し、第3学習器から出力された複数の推測手順書情報を取得することにより複数の手順書を取得し、出力部は、複数の手順書を確度が高い順に並べて出力することが好ましい。
【0011】
本発明に係る監視システムにおいて、アラーム情報には、当該アラーム情報を出力した監視対象装置を示す情報が含まれ、学習システムは、所定時間内に複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報に含まれる学習用の監視対象装置を示す情報と、アラーム情報の原因となる装置の候補を示す学習用候補情報とが関連付けられた第4定義データを用いて、学習用の監視対象装置を示す情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と学習用の監視対象装置を示す情報に対応する学習用候補情報との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に含まれる監視対象装置を示す情報に対して推測された複数の推測候補情報を、稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に出力する第4学習器をさらに有し、装置候補特定部は、推測重要度が第1閾値未満であり、且つ、推測関連度が第2閾値未満である場合、アラーム情報取得部が取得したアラーム情報に含まれる監視対象装置を示す情報を第4学習器に入力し、第4学習器から出力された複数の推測候補情報を取得することによりアラーム情報の原因となる装置の複数の候補を特定し、出力部は、装置候補特定部が取得した複数の推測候補情報を確度が高い順に並べて出力することが好ましい。
【0012】
本発明に係る情報処理装置は、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用重要度との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器を有する学習システムと通信する情報処理装置であって、複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得するアラーム情報取得部と、アラーム情報を稼働アラーム情報として第1学習器に入力し、第1学習器から出力された推測重要度を取得する重要度取得部と、推測重要度が第1閾値以上である場合、アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得する手順書取得部と、手順書取得部が取得した手順書を出力する出力部と、を有する。
【0013】
本発明に係る制御方法は、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用重要度との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器を有する学習システムと通信する情報処理装置の制御方法であって、複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得し、取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として第1学習器に入力し、第1学習器から出力された推測重要度を取得し、取得した推測重要度が第1閾値以上である場合、アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得し、取得した手順書を出力する、ことを含む。
【0014】
本発明に係る制御プログラムは、複数の学習用アラーム情報と、複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた第1定義データを用いて、複数の学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された複数の要素と複数の学習用アラーム情報のそれぞれに対応する学習用重要度との関係から、入力された複数の学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報に対して推測された推測重要度を出力する第1学習器を有する学習システムと通信する情報処理装置の制御プログラムであって、複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得し、取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として第1学習器に入力し、第1学習器から出力された推測重要度を取得し、取得した推測重要度が第1閾値以上である場合、アラーム情報に対する対処の手順を示す手順書を取得し、取得した手順書を出力する、ことを情報処理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る監視システム、情報処理装置、制御方法及び制御プログラムは、監視対象装置から出力されるアラーム情報に対して監視者が適切に対応することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は監視システム1が第1定義データを学習システム4に学習させる流れを示す模式図であり、(b)は監視システム1が稼働中である状態を示す模式図である。
図2】監視システム1の概略構成の一例を示す図である。
図3】情報処理装置3の概略構成の一例を示す図である。
図4】第1定義データのデータ構造の一例を示す図である。
図5】第2定義データのデータ構造の一例を示す図である。
図6】(a)は第3定義データのデータ構造の一例を示す図であり、(b)は第4定義データのデータ構造の一例を示す図である。
図7】学習装置4aの概略構成の一例を示す図である。
図8】監視システム1が各定義データを学習システム4に学習させる場合における動作シーケンスの一例を示す。
図9】監視システム1が稼働中である状態における処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
(システムの概要)
図1(a)は監視システム1が第1定義データを学習システム4に学習させる流れを示す模式図であり、図1(b)は監視システム1が稼働中である状態を示す模式図である。
【0019】
監視システム1は、複数の監視対象装置を監視するシステムである。監視システム1は、複数の監視対象装置2、情報処理装置3及び学習システム4を有する。監視対象装置2は、特定のサービスを提供しつつ、稼働時、障害発生時等に、各装置の状態に応じたアラーム情報を出力する装置であり、情報処理装置3によりその状態を監視される。情報処理装置3は、監視システム1の運用者及び監視者等が監視対象装置2の状態を監視するために使用するコンピュータである。学習システム4は、複数の学習装置4a〜4cを有する。複数の学習装置4a〜4cの内の一つ以上の学習装置は、第1学習器431を有する。
【0020】
図1(a)に示すように、監視システム1が第1定義データを学習システム4に学習させる場合、情報処理装置3は、複数の監視対象装置2のそれぞれから出力された各アラーム情報を取得し、学習用アラーム情報として使用する(1)。次に、情報処理装置3は、監視システム1の運用者による操作に従って、各学習用アラーム情報に対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度を設定し、各学習用アラーム情報と各学習用重要度とを関連付けて定義する第1定義データを作成する(2)。次に、情報処理装置3は、第1定義データを学習システム4に送信し、学習用アラーム情報と学習用重要度との関係性を学習させる(3)。次に、第1学習器431は、第1定義データを用いて学習用アラーム情報と学習用重要度との関係性を学習する(4)。
【0021】
なお、第1学習器431は、いわゆる「教師あり学習」により学習を実行する。第1学習器431は、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された各要素と各学習用アラーム情報に対応する学習用重要度との関係から、稼働アラーム情報が入力された場合に推測重要度を出力するように学習を実行する。稼働アラーム情報は、監視システム1が稼働中である場合に各監視対象装置2から出力されるアラーム情報であり、学習用アラーム情報と異なるアラーム情報である。推測重要度は、入力された稼働アラーム情報に対して推測された対処する必要性の度合いを示す。
【0022】
一方、図1(b)に示すように、監視システム1が稼働中である場合、情報処理装置3は、複数の監視対象装置2のそれぞれから出力されたアラーム情報を取得する(1)。情報処理装置3は、取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として学習システム4に入力する(2)。学習システム4の第1学習器431は、第1定義データを用いて、入力された稼働アラーム情報に対する推測重要度を情報処理装置3に出力し、情報処理装置3は、出力された推測重要度を取得する(3)。情報処理装置3は、推測重要度が第1閾値以上であるか否かを判定し、推測重要度が第1閾値以上である場合、稼働アラーム情報に対して対処するための一連の手順を示す手順書を表示する(4)。
【0023】
このように、情報処理装置3は、学習用アラーム情報を用いて事前に学習した学習結果を利用して、各監視対象装置から出力された稼働アラーム情報の重要度を判定し、監視者による対処が必要である場合、さらに手順書を出力する。これにより、監視者が、対処する必要があるアラーム情報を見逃したり、対処する必要がないアラーム情報の対応に長時間をかけたりすることを防止することが可能となり、監視者は、監視対象装置から出力されるアラーム情報に対して適切に対応することができる。
【0024】
図2は、監視システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0025】
監視システム1は、複数の監視対象装置2、情報処理装置3、学習装置4a〜4cを含む学習システム4及び手順書データベース5を有する。
【0026】
監視システム1では、複数の監視対象装置2のそれぞれが不図示のネットワークデバイスを介してネットワーク6に接続される。情報処理装置3は、ネットワーク6を介して各監視対象装置2及び手順書データベース5と通信可能に接続され、ネットワーク7を介して学習システム4と通信可能に接続される。例えば、ネットワーク6はイントラネットであり、ネットワーク7はインターネットである。
【0027】
監視対象装置2は、特定のサービスを提供しつつ、稼働時、障害発生時等に、各装置の状態に応じたアラーム情報を出力する装置であり、例えばサーバ、ネットワーク機器等である。
【0028】
手順書データベース5は、複数の手順書を記憶する装置であり、例えばサーバである。手順書データベース5には、各手順書が各手順書の識別情報と関連付けて記憶される。
【0029】
図3は、情報処理装置3の概略構成の一例を示す図である。
【0030】
情報処理装置3は、監視システム1の運用者及び監視者等が監視対象装置2の状態を監視するために使用するコンピュータである。情報処理装置3は、記憶部31、通信部32、表示部33、入力部34及び制御部35を有する。
【0031】
記憶部31は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置の内の少なくとも一つを有する。記憶部31は、制御部35による処理に用いられるプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)、データ等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部31にインストールされてもよい。記憶部31は、データとして第1〜第4定義データ等を記憶する。各定義データの詳細については後述する。
【0032】
通信部32は、情報処理装置3をネットワーク6及び7に接続するための通信インターフェース回路を有する。通信部32は、外部の各装置等から受信したデータを制御部35に供給し、制御部35から受信したデータを外部の各装置等に送信する。
【0033】
表示部33は、出力部の一例であり、文書ファイル、動画像、静止画像等の出力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル式の表示装置、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等である。表示部33は、制御部35から供給される手順書等を表示する。
【0034】
入力部34は、データが入力可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル式の入力装置、キーパッド等である。運用者又は監視者は、入力部34を用いて、例えば、第1〜第4定義データを入力することができる。
【0035】
制御部35は、一又は複数個のプロセッサ又はその周辺回路を有する。制御部35は、情報処理装置3の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部35は、情報処理装置3の各種処理が記憶部31に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部32等の動作を制御する。また、制御部35は、複数のプログラムを並列に実行できる。
【0036】
制御部35は、第1学習処理部351、第2学習処理部352、第3学習処理部353、第4学習処理部354、アラーム情報取得部355、重要度取得部356、手順書取得部357、関連度取得部358及び装置候補特定部359等を有する。制御部35が有するこれらの各部は、制御部35が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ又はファームウェアとして情報処理装置3に実装されてもよい。
【0037】
図4は、記憶部31に記憶される第1定義データのデータ構造の一例を示す図である。
【0038】
図4に示すように、第1定義データは、アラーム番号と、学習用アラーム情報と、学習用アラーム情報に対して対処する必要性の度合いを示す学習用重要度とが関連付けられた学習用データである。アラーム番号は、各学習用アラーム情報を一意に識別するための番号である。アラーム情報には、例えば、そのアラーム情報が出力された日時、そのアラーム情報を出力した監視対象装置2を示すホスト名情報、エラーメッセージ等が含まれる。学習用重要度は、例えば、監視システム1の運用者により、学習用アラーム情報に対して対処する必要性の度合いが高いほど値が高くなるように設定される。エラーメッセージには、例えば通信異常、処理異常、ディスク異常等の各種メッセージが含まれる。
【0039】
図4に示す例では、各監視対象装置2がサービスを提供できなくなることを示すような、対処する必要性の度合いが高い学習用アラーム情報の学習用重要度は「30」に設定されている。一方、各監視対象装置2がサービスを一時的に提供できなくなるが自動的に復旧することを示すような、対処する必要性の度合いが中程度である学習用アラーム情報の学習用重要度は「20」に設定されている。また、異常状態から復旧したことを示すような、対処する必要性の度合いが低い学習用アラーム情報の学習用重要度は「10」に設定されている。
【0040】
図5は、記憶部31に記憶される第2定義データのデータ構造の一例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、第2定義データは、各アラーム番号と、各学習用アラーム情報と、各学習用アラーム情報を出力した監視対象装置及び各学習用アラーム情報の原因となる装置の関連性の度合いを示す学習用関連度とが関連付けられた学習用データである。学習用関連度は、例えば、監視システム1の運用者により、各学習用アラーム情報を出力した監視対象装置及び各学習用アラーム情報の原因となる装置の関連性の度合いが高いほど値が高くなるように設定される。
【0042】
図5に示す例では、各学習用アラーム情報の原因となる装置が学習用アラーム情報を出力した監視対象装置であるような、関連性の度合いが高い学習用アラーム情報の学習用関連度は「3」に設定されている。一方、各学習用アラーム情報の原因となる装置が学習用アラーム情報を出力した監視対象装置と同じシステムに属する装置又は同じサービスを提供する装置であるような、関連性の度合いが中程度である学習用アラーム情報の学習用関連度は「2」に設定されている。また、各学習用アラーム情報の原因となる装置が学習用アラーム情報を出力した監視対象装置と異なるシステムに属する装置又は異なるサービスを提供する装置であるような、関連性の度合いが低い学習用アラーム情報の学習用関連度は「1」に設定されている。
【0043】
図6(a)は記憶部31に記憶される第3定義データのデータ構造の一例を示す図であり、図6(b)は記憶部31に記憶される第4定義データのデータ構造の一例を示す図である。
【0044】
図6(a)に示すように、第3定義データは、各アラーム番号と、各学習用アラーム情報と、各学習用アラーム情報に対応する手順書を示す学習用手順書情報とが関連付けられた学習用データである。学習用手順書情報は、例えば、複数の手順書を一意に識別するための手順書番号である。学習用手順書情報として、例えば、監視システム1の運用者により、対応する学習用アラーム情報に対して対処するための一連の手順が示された手順書の手順書番号が設定される。
【0045】
図6(b)に示すように、第4定義データは、各アラーム番号と、所定時間内に複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報に含まれる学習用の監視対象装置を示す学習用アラーム装置情報と、各アラーム情報の原因となる装置の候補を示す学習用候補情報とが関連付けられた学習用データである。第4定義データに含まれるアラーム番号は、学習用アラーム装置情報に対応する全てのアラーム情報のアラーム番号である。学習用アラーム装置情報は、アラーム情報を出力した監視対象装置を示すホスト名情報である。学習用候補情報は、例えば、監視対象装置と通信する複数の装置のうち、アラーム情報の原因となる装置の候補(被疑装置)の装置名情報である。
【0046】
例えば、図6(b)に示す例では、所定時間内に複数の監視対象装置のそれぞれから出力されたアラーム情報に対応するアラーム番号として「アラーム1、アラーム2、アラーム3、アラーム4、アラーム5、アラーム6」がグループ化されている。また、そのアラーム番号に対応する学習用アラーム装置情報として、図4等に示したアラーム1のアラーム情報に含まれるホスト名「Node_A」、アラーム2のアラーム情報に含まれるホスト名「Node_B」及びアラーム3〜アラーム6のアラーム情報に含まれるホスト名「L2SV」が抽出されている。また、学習用アラーム装置情報に対応する学習用候補情報として、「装置1、装置2」が限定されている。
【0047】
図7は、学習装置4aの概略構成の一例を示す図である。
【0048】
学習装置4aは、学習システム4に含まれる学習処理を実行するコンピュータの内の一つである。学習装置4a〜4cの構成は、同様であるため、以下では、代表して学習装置4aの構成について説明する。図7に示すように、学習装置4aは、第2記憶部41、第2通信部42及び第2制御部43を有する。
【0049】
第2記憶部41は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置の内の少なくとも一つを有する。第2記憶部41は、第2制御部43による処理に用いられるプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)、データ等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶部41にインストールされてもよい。第2記憶部41は、データとして、情報処理装置3から入力された第1〜第4定義データを記憶する。
【0050】
第2通信部42は、学習装置4aをネットワーク7に接続するための通信インターフェース回路を有する。第2通信部42は、外部の各装置等から受信したデータを第2制御部43に供給し、第2制御部43から受信したデータを外部の各装置等に送信する。
【0051】
第2制御部43は、一又は複数個のプロセッサ又はその周辺回路を有する。第2制御部43は、学習装置4aの全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。第2制御部43は、学習装置4aの各種処理が第2記憶部41に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、第2通信部42等の動作を制御する。また、第2制御部43は、複数のプログラムを並列に実行できる。
【0052】
第2制御部43は、第1学習器431、第2学習器432、第3学習器433及び第4学習器434等を有する。第2制御部43が有するこれらの各部は、第2制御部43が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ又はファームウェアとして学習装置4aに実装されてもよい。
【0053】
(学習処理)
図8は、監視システム1が各定義データを学習システム4に学習させる場合における動作シーケンスの一例を示す。
【0054】
以下に説明する動作シーケンスは、記憶部31及び第2記憶部41に記憶されているプログラムに基づいて、主に制御部35及び第2制御部43により、情報処理装置3及び学習装置4a〜4cの各要素と協働して実行される。
【0055】
最初に、情報処理装置3の第1学習処理部351は、入力部34を用いた監視システム1の運用者による操作に従って、第1定義データを作成する(ステップS101)。第1学習処理部351は、監視対象装置2から出力された各アラーム情報を、運用者が学習用アラーム情報として選択できるように表示部33に表示する。第1学習処理部351は、運用者によって、学習用アラーム情報が選択され、対応するアラーム番号及び学習用重要度が入力されると、選択された学習用アラーム情報と、入力されたアラーム番号及び学習用重要度とを関連付けて、第1定義データを作成する。
【0056】
次に、第1学習処理部351は、作成した第1定義データを通信部32を介して第1学習器431に送信し、学習用アラーム情報と学習用重要度との関係性を第1学習器431に学習させる(ステップS102)。
【0057】
次に、第1学習器431は、第2通信部42を介して受信した第1定義データを用いて学習用アラーム情報と学習用重要度との関係性を学習する(ステップS103)。
【0058】
第1学習器431は、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された各要素と各学習用アラーム情報に対応する学習用重要度との関係から、稼働アラーム情報が入力された場合に推測重要度を出力するように学習を実行する。
【0059】
第1学習器431は、例えば、WORD2VEC等の公知の自然言語解析技術を用いて、各学習用アラーム情報に含まれる空白、カンマ等の特定の記号又は特定の文字等を抽出し、抽出した記号又は文字毎に各学習用アラーム情報を複数の要素に分割する。第1学習器431は、例えば、各学習用アラーム情報を日時、ホスト名情報、エラーメッセージ等の各要素に分割する。次に、第1学習器431は、分割した各要素を特徴ベクトルに変換する。第1学習器431は、対応する学習用重要度が一致又は近似する各学習用アラーム情報に含まれる各要素の特徴ベクトルが近似するように、各要素の特徴ベクトルを設定する。特に、第1学習器431は、対応する学習用重要度が大きいほど各要素の特徴ベクトル値が大きくなり、対応する学習用重要度が小さいほど各要素の特徴ベクトル値が小さくなるように、各要素の特徴ベクトルを設定する。
【0060】
次に、第1学習器431は、例えば、ディープラーニング等の公知の機械学習技術を用いて、学習用アラーム情報と学習用重要度との関係性を学習する。ディープラーニングは、入力層、中間層及び出力層から構成される多層構造のニューラルネットワークを用いた機械学習である。入力層の各ノードには、学習用アラーム情報を分割した各要素の特徴ベクトルが入力される。中間層の各ノードは、入力層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力し、さらに、出力層は、中間層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力する。第1学習器431は、各重みを調整しながら、出力層からの出力値と学習用重要度との差分が小さくなるように学習する。
【0061】
例えば、図5のアラーム1については、入力層の各ノードに日時「Oct 31 01:07:20」、ホスト名情報「Node_A」及びエラーメッセージ「疎通が取れません」の各要素に対応する特徴ベクトルが入力され、出力層が「30」に近い値を出力するように、各重みが調整される。
【0062】
なお、入力層の各ノードに入力される情報は、各要素の特徴ベクトル自体ではなく、各要素の特徴ベクトルが所定範囲に含まれる場合に所定値(例えば1)となり、所定範囲に含まれない場合に他の値(例えば0)となる変数でもよい。さらに、各学習用アラーム情報の一つの要素に対応する入力層のノードは、一つに限定されず、複数でもよい。例えば、入力層の特定のノードには、エラーメッセージに対応する特徴ベクトルが、「疎通が取れません」に対応する特徴ベクトルと一致又は近似する場合に所定値となり、一致又は近似しない場合に他の値となる変数が入力される。そして、他のノードには、エラーメッセージに対応する特徴ベクトルが、「フェイルオーバーしました」に対応する特徴ベクトルと一致又は近似する場合に所定値となり、一致又は近似しない場合に他の値となる変数が入力されてもよい。これにより、各重みをより細かく設定することが可能となり、出力層からの出力値が学習用重要度により近くなるように第1学習器431を学習させることが可能となる。
【0063】
次に、情報処理装置3の第2学習処理部352は、入力部34を用いた監視システム1の運用者による操作に従って、第2定義データを作成する(ステップS104)。第2学習処理部352は、第1学習処理部351と同様に、監視対象装置2から出力された各アラーム情報を、運用者が学習用アラーム情報として選択できるように表示部33に表示する。第2学習処理部352は、運用者によって、学習用アラーム情報が選択され、対応するアラーム番号及び学習用関連度が入力されると、選択された学習用アラーム情報と、入力されたアラーム番号及び学習用関連度とを関連付けて、第2定義データを作成する。
【0064】
次に、第2学習処理部352は、作成した第2定義データを通信部32を介して第2学習器432に送信し、学習用アラーム情報と学習用関連度との関係性を第2学習器432に学習させる(ステップS105)。
【0065】
次に、第2学習器432は、第2通信部42を介して受信した第2定義データを用いて学習用アラーム情報と学習用関連度との関係性を学習する(ステップS106)。
【0066】
第2学習器432は、第1学習器431と同様に、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された各要素と各学習用アラーム情報に対応する学習用関連度との関係から、稼働アラーム情報が入力された場合に推測関連度を出力するように学習を実行する。推測関連度は、入力された稼働アラーム情報に対して推測された、各稼働アラーム情報を出力した監視対象装置及び各稼働アラーム情報の原因となる装置の関連性の度合いを示す。
【0067】
第2学習器432は、第1学習器431と同様にして、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割した各要素を特徴ベクトルに変換する。第2学習器432は、対応する学習用関連度が一致又は近似する各学習用アラーム情報に含まれる各要素の特徴ベクトルが近似するように、各要素の特徴ベクトルを設定する。特に、第2学習器432は、対応する学習用関連度が大きいほど各要素の特徴ベクトル値が大きくなり、対応する学習用関連度が小さいほど各要素の特徴ベクトル値が小さくなるように、各要素の特徴ベクトルを設定する。
【0068】
次に、第2学習器432は、第1学習器431と同様にして、学習用アラーム情報と学習用関連度との関係性を学習する。第2学習器432の入力層の各ノードには、学習用アラーム情報を分割した各要素の特徴ベクトルが入力される。中間層の各ノードは、入力層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力し、さらに、出力層は、中間層の各ノードから出力された各特徴ベクトルに重みを乗算した値の総和を出力する。第2学習器432は、各重みを調整しながら、出力層からの出力値と学習用関連度との差分が小さくなるように学習する。
【0069】
例えば、図5のアラーム1については、入力層の各ノードに日時「Oct 31 01:07:20」、ホスト名情報「Node_A」及びエラーメッセージ「疎通が取れません」の各要素に対応する特徴ベクトルが入力され、出力層が「3」に近い値を出力するように、各重みが調整される。
【0070】
なお、第1学習器431と同様に、入力層の各ノードに入力される情報は、各要素の特徴ベクトル自体ではなく、各要素の特徴ベクトルが所定範囲に含まれる場合に所定値となり、所定範囲に含まれない場合に他の値となる変数でもよい。さらに、各学習用アラーム情報の一つの要素に対応する入力層のノードは、一つに限定されず、複数でもよい。
【0071】
次に、情報処理装置3の第3学習処理部353は、入力部34を用いた監視システム1の運用者による操作に従って、第3定義データを作成する(ステップS107)。第3学習処理部353は、監視対象装置2から出力された各アラーム情報の内、対応する手順書が存在するアラーム情報(学習重要度が第1閾値以上であるアラーム情報)を、運用者が学習用アラーム情報として選択できるように表示部33に表示する。第3学習処理部353は、運用者によって、学習用アラーム情報が選択され、対応するアラーム番号及び学習用手順書情報が入力されると、選択された学習用アラーム情報と、入力されたアラーム番号及び学習用手順書情報とを関連付けて、第3定義データを作成する。
【0072】
次に、第3学習処理部353は、作成した第3定義データを通信部32を介して第3学習器433に送信し、学習用アラーム情報と学習用手順書情報との関係性に係る初期学習処理を第3学習器433に実行させる(ステップS108)。
【0073】
次に、第3学習器433は、第2通信部42を介して受信した第3定義データを用いて学習用アラーム情報と学習用手順書情報との関係性に係る初期学習処理を実行する(ステップS109)。
【0074】
第3学習器433は、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割し、分割された各要素と各学習用アラーム情報に対応する学習用手順書情報との関係から、複数の推測手順書情報を稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に出力するように初期学習処理を実行する。推測手順書情報は、入力された稼働アラーム情報に対して推測された、各稼働アラーム情報に対応する手順書を示す。
【0075】
第3学習器433は、第1学習器431と同様にして、各学習用アラーム情報を複数の要素に分割する。
【0076】
次に、第3学習器433は、例えば、決定木等の公知の機械学習技術を用いて、学習用アラーム情報と学習用手順書情報との関係性を学習する。決定木は、木構造のグラフであり、入力された情報が根(親節点)から複数の節点を介して特定の葉(端点)に分類されるように構成される。各節点には分岐条件が設定され、節点同士又は節点及び端点は枝で結ばれる。親節点には、分割された複数の要素が入力され、各節点には、各要素に対応する分岐条件が設定され、端点には、各学習用アラーム情報に対応する学習用手順書情報が設定される。第3学習器433は、各端点に設定された学習用手順書情報毎に、入力された学習用アラーム情報が、各端点に到達するまでに通過した節点の数に対する、設定された分岐条件が満たされた節点の数の比率を、稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度として算出する。そして、第3学習器433は、各端点に設定された学習用手順書情報を、推測手順書情報として、稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に並べて出力する。
【0077】
例えば、各節点には、「稼働アラーム情報の日時が特定の学習用アラーム情報の日時と一致するか」、「稼働アラーム情報のホスト名情報が特定の学習用アラーム情報のホスト名情報と一致するか」、「稼働アラーム情報のエラーメッセージが特定の学習用アラーム情報のエラーメッセージと一致するか」等の分岐条件が設定される。第3学習器433は、第3定義データに含まれる各学習用アラーム情報が入力された場合に、対応する学習用手順書情報が設定された端点に到達するように、決定木を作成する。
【0078】
次に、情報処理装置3の第4学習処理部354は、入力部34を用いた監視システム1の運用者による操作に従って、第4定義データを作成する(ステップS110)。第4学習処理部354は、監視対象装置2から出力された各アラーム情報に含まれる監視対象装置を示すホスト名情報を、運用者が、学習用アラーム装置情報として選択できるように表示部33に表示する。第4学習処理部354は、運用者によって、一又は複数の学習用アラーム装置情報が選択され、対応するアラーム番号及び学習用候補情報が入力されると、選択された学習用アラーム装置情報と、入力されたアラーム番号及び学習用候補情報とを関連付けて、第4定義データを作成する。
【0079】
次に、第4学習処理部354は、作成した第4定義データを通信部32を介して第4学習器434に送信し、学習用アラーム装置情報と学習用候補情報との関係性に係る初期学習処理を第4学習器434に実行させる(ステップS111)。
【0080】
次に、第4学習器434は、第2通信部42を介して受信した第4定義データを用いて学習用アラーム装置情報と学習用候補情報との関係性に係る初期学習処理を実行する(ステップS112)。
【0081】
第4学習器434は、学習用アラーム装置情報を複数の要素に分割する。第4学習器434は、分割された各要素と学習用アラーム装置情報に対応する学習用候補情報との関係から、複数の推測候補情報を、アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に出力するように初期学習処理を実行する。推測候補情報は、入力された、所定時間内に複数の監視対象装置のそれぞれから出力された稼働アラーム情報に含まれる監視対象装置を示す稼働アラーム装置情報に対して推測された、アラーム情報の原因となる装置の候補を示す。
【0082】
第4学習器434は、学習用アラーム装置情報を複数の要素に分割する。第4学習器434は、第4定義データに含まれる、運用者によってまとめて選択された学習用アラーム装置情報を一つずつのホスト情報に分割する。
【0083】
次に、第4学習器434は、第3学習器433と同様に、例えば、決定木等の公知の機械学習技術を用いて、学習用アラーム装置情報と学習用候補情報との関係性を学習する。決定木の親節点には、分割された複数の要素が入力され、各節点には、各要素に対応する分岐条件が設定され、端点には、学習用アラーム装置情報に対応する学習用候補情報が設定される。第4学習器434は、各端点に設定された学習用候補情報毎に、入力された学習用アラーム装置情報が、各端点に到達するまでに通過した節点の数に対する、設定された分岐条件が満たされた節点の数の比率を、アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度として算出する。そして、第4学習器434は、各端点に設定された学習用候補情報を、推測候補情報として、アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に並べて出力する。
【0084】
例えば、各節点には、「入力された稼働アラーム装置情報にホストAが含まれるか」、「入力された稼働アラーム装置情報にホストBが含まれるか」、「入力された稼働アラーム装置情報にホストCが含まれるか」等の分岐条件が設定される。第3学習器433は、第4定義データに含まれる各学習用アラーム装置情報が入力された場合に、対応する学習用候補情報が設定された端点に到達するように、決定木を作成する。
【0085】
(監視処理)
図9は、監視システム1が稼働中である状態における処理のフローチャートを示す。
【0086】
最初に、アラーム情報取得部355は、通信部32を介して各監視対象装置2から出力されたアラーム情報を取得する(ステップS201)。
【0087】
次に、重要度取得部356は、取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として通信部32を介して学習システム4に送信し、第1学習器431に入力する。そして、重要度取得部356は、第1学習器431から出力された推測重要度を通信部32を介して学習システム4から受信し、取得する(ステップS202)。
【0088】
次に、手順書取得部357は、重要度取得部356が取得した推測重要度が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。
【0089】
取得した推測重要度が第1閾値以上である場合(ステップS203:YES)、手順書取得部357は、アラーム情報取得部355が取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として通信部32を介して学習システム4に送信し、第3学習器433に入力する。そして、手順書取得部357は、第3学習器433から出力された、稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に並べられた複数の推測手順書情報を通信部32を介して学習システム4から受信し、取得する(ステップS204)。
【0090】
次に、手順書取得部357は、取得した複数の推測手順書情報の内、稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に所定数の推測手順書情報に対応する手順書の取得要求を通信部32を介して手順書データベース5に送信する。そして、手順書取得部357は、送信した取得要求に対する応答として、対応する複数の手順書を通信部32を介して手順書データベース5から受信し、取得する(ステップS205)。
【0091】
次に、手順書取得部357は、取得した複数の手順書を稼働アラーム情報に対する対処の手順を示す確度が高い順に並べて表示部33に表示し、出力する(ステップS206)。
【0092】
このように、情報処理装置3は、学習用アラーム情報を用いて事前に学習した学習結果を利用して、各監視対象装置から出力された稼働アラーム情報の重要度を判定し、監視者による対処が必要である場合、さらに手順書を出力する。これにより、監視者が、対処する必要があるアラーム情報を見逃したり、対処する必要がないアラーム情報の対応に長時間をかけたりすることを防止することが可能となり、監視者は、監視対象装置から出力されるアラーム情報に対して適切に対応することができる。
【0093】
次に、手順書取得部357は、入力部34を用いた監視システム1の監視者による、表示された手順書又はその順序が適切であるか否かを指定する操作を受け付ける(ステップS207)。
【0094】
表示された手順書又はその順序が適切であることが指定された場合(ステップS207:YES)、手順書取得部357は、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。
【0095】
一方、表示された手順書又はその順序が適切でないことが指定された場合(ステップS207:NO)、手順書取得部357は、入力部34を用いた監視システム1の監視者による、稼働アラーム情報に対応する適切な手順書を示す手順書情報の指定を受け付ける(ステップS208)。
【0096】
次に、第3学習処理部353は、その稼働アラーム情報及び指定された手順書情報を学習用アラーム情報及び学習用手順書情報として第3定義データに追加する。そして、第3学習処理部353は、更新した第3定義データを通信部32を介して第3学習器433に送信し、学習用アラーム情報と学習用手順書情報との関係性に係る学習処理を第3学習器433に実行させ(ステップS209)、一連のステップを終了する。
【0097】
第3学習器433は、ステップS109に示した初期学習処理と同様にして、学習処理を実行する。第3学習器433は、各節点の配置、分岐条件等を変更することにより、新たに追加した学習用アラーム情報が入力された場合に、対応する学習用手順書情報が設定された端点に到達するように、決定木を更新する。
【0098】
このように、第3学習器433は、監視者による指示に従って決定木を更新することにより、稼働アラーム情報に対して、より適切な順序で各手順書を出力することが可能となる。これにより、監視者は、稼働アラーム情報に対応する手順書をより容易に特定することができる。
【0099】
なお、第3学習処理部353は、第3定義データの内、新たに追加した学習用アラーム情報及び学習用手順書情報のみを第3学習器433に送信して学習処理を実行させてもよい。その場合、学習処理に係る処理負荷を低減することができる。
【0100】
一方、ステップS203において、手順書取得部357が取得した推測重要度が第1閾値未満であった場合(ステップS203:NO)、関連度取得部358は、取得したアラーム情報を稼働アラーム情報として通信部32を介して学習システム4に送信し、第2学習器432に入力する。そして、関連度取得部358は、第2学習器432から出力された推測関連度を通信部32を介して学習システム4から受信し、取得する(ステップS210)。
【0101】
次に、装置候補特定部359は、関連度取得部358が取得した推測関連度が第2閾値(例えば、3)以上であるか否かを判定する(ステップS211)。
【0102】
取得した推測関連度が第2閾値以上である場合(ステップS211:YES)、装置候補特定部359は、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。
【0103】
一方、取得した推測関連度が第2閾値未満である場合(ステップS211:NO)、装置候補特定部359は、所定時間内に各監視対象装置2から出力された稼働アラーム情報に含まれる監視対象装置を示す稼働アラーム装置情報を特定する。装置候補特定部359は、所定時間前から現在までにアラーム情報取得部355が取得した稼働アラーム情報から稼働アラーム装置情報を抽出する。装置候補特定部359は、抽出した稼働アラーム装置情報を通信部32を介して学習システム4に送信し、第4学習器434に入力する。そして、装置候補特定部359は、第4学習器434から出力された、稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に並べられた複数の推測候補情報を通信部32を介して学習システム4から受信し、取得する(ステップS212)。これにより、装置候補特定部359は、稼働アラーム情報の原因となる装置の複数の候補を特定する。
【0104】
次に、装置候補特定部359は、取得した複数の推測候補情報を稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を示す確度が高い順に並べて表示部33に表示し、出力する(ステップS213)。
【0105】
このように、情報処理装置3は、学習用アラーム情報を用いて事前に学習した学習結果を利用して、各監視対象装置と、稼働アラーム情報の原因となる装置の関連性を判定し、関連性が低い場合、さらに稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を出力する。これにより、監視者は、稼働アラーム情報の原因となる装置の候補を特定することができるため、稼働アラーム情報に対して適切に対応することができる。
【0106】
次に、装置候補特定部359は、入力部34を用いた監視システム1の監視者による、表示された推測候補情報又はその順序が適切であるか否かを指定する操作を受け付ける(ステップS214)。
【0107】
表示された推測候補情報又はその順序が適切であることが指定された場合(ステップS207:YES)、装置候補特定部359は、特に処理を行わず、一連のステップを終了する。
【0108】
一方、表示された推測候補情報又はその順序が適切でないことが指定された場合(ステップS214:NO)、装置候補特定部359は、入力部34を用いた監視システム1の監視者による、稼働アラーム装置情報に対応する適切な推測候補情報の指定を受け付ける(ステップS215)。
【0109】
次に、第4学習処理部354は、その稼働アラーム装置情報及び指定された推測候補情報を学習用アラーム装置情報及び学習用候補情報として第4定義データに追加する。そして、第4学習処理部354は、更新した第4定義データを通信部32を介して第4学習器434に送信し、学習用アラーム装置情報と学習用候補情報との関係性に係る学習処理を第4学習器434に実行させ(ステップS216)、一連のステップを終了する。
【0110】
第4学習器434は、ステップS112に示した初期学習処理と同様にして、学習処理を実行する。第4学習器434は、各節点の配置、分岐条件等を変更することにより、新たに追加した学習用アラーム装置情報が入力された場合に、対応する学習用候補情報が設定された端点に到達するように、決定木を更新する。
【0111】
このように、第4学習器434は、監視者による指示に従って決定木を更新することにより、稼働アラーム装置情報に対して、より適切な順序で各推測候補情報を出力することが可能となる。これにより、監視者は、稼働アラーム情報の原因となる装置をより容易に特定することができる。
【0112】
以上説明したように、監視システム1は、第1定義データを用いて学習した第1学習器431に学習用アラーム情報と異なる稼働アラーム情報を入力して、出力された推測重要度が第1閾値以上であるか否かを判定する。また、監視システム1は、推測重要度が第1閾値以上である場合、稼働アラーム情報に対して対処するための一連の手順を示す手順書を表示するため、監視者は、対処する必要性が高いアラーム情報に対して適切に対応することができる。
【0113】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されない。例えば、監視システム1は、複数の情報処理装置3を有し、複数の情報処理装置3が協同して、上記した情報処理装置3の各機能を分担してもよい。
【0114】
また、重要度取得部356は、ステップS202において、取得した推測重要度を表示部33に表示してもよい。関連度取得部358は、ステップS210において、取得した推測関連度を表示部33に表示してもよい。これらにより、監視者は、稼働アラーム情報に対して対処する必要性の度合いをより早期に認識することが可能となる。
【0115】
また、情報処理装置3は、手順書取得部357が取得した手順書を、情報処理装置3に表示する代わりに、通信部32を介して情報処理装置3以外の他の端末に送信し、他の端末に表示させてもよい。その場合、通信部32が出力部の一例となる。
【0116】
また、情報処理装置3は、任意のタイミングで、入力部34を用いた監視システム1の運用者による、各定義データの更新指示を受け付けてもよい。情報処理装置3は、各定義データの更新指示を受け付けた場合、更新した各定義データを用いて、学習システム4の各学習器を再学習させる。これにより、監視システム1において、新たなアラーム情報(エラーメッセージ)が発生するようになった場合でも、監視者は、新たなアラーム情報に対して適切に対処することが可能となる。
【0117】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0118】
1…監視システム
2…監視対象装置
3…情報処理装置
355…アラーム情報取得部
356…重要度取得部
357…手順書取得部
358…関連度取得部
359…装置候補特定部
33…出力部
4…学習システム
431…第1学習器
432…第2学習器
433…第3学習器
434…第4学習器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9