(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359077
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】金管楽器用のマウスピース
(51)【国際特許分類】
G10D 9/02 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
G10D9/02 111
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-242076(P2016-242076)
(22)【出願日】2016年12月14日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3190551号
【原出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-49619(P2017-49619A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514048062
【氏名又は名称】ファルコン・ルネッサンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 修一
(72)【発明者】
【氏名】関口 宏彦
(72)【発明者】
【氏名】関口 玲
【審査官】
菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−11053(JP,A)
【文献】
特開2008−152015(JP,A)
【文献】
実開平5−047994(JP,U)
【文献】
米国特許第5847300(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 7/00− 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金管楽器用のマウスピースにおいて、リムの外周形状を、リムカンター部を真円とし、シャンク側を断面多角形とした、金管楽器用のマウスピース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トランペット等の金管楽器に取り付けて使用されるマウスピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金管楽器の演奏においては、演奏者の唇の振動がマウスピース内の空気を伝わって楽器本体を共鳴させて大きな音を発するが、マウスピース自体の振動も楽器本体の共鳴に寄与していることはよく知られている。
しかしながら、従来におけるマウスピースの改良に関する提案の多くは、マウスピース内面の構造に係るものであり、外周形状に関する提案は以下の特許文献程度であって、殆ど存在しない。
特開2008−152015号公報(特許文献1)にはリム部のリムカンター側の外周形状を楕円形にしたものが開示されているが、これはリム部の内周形状を楕円形としたことによるものである。特開2010−26111号公報(特許文献2)には、リムとシャンクとの間の外周面に溝を設けた構造が開示され、実開平5−47994号公報(特許文献3)にはリムの外周面に環状凸部を設けた構造が開示されているが、いずれも該当部分の断面形状は真円である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152015号公報
【特許文献2】特開2010−26111号公報
【特許文献3】実開平5−47994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来のマウスピースは外周の断面形状の変化に乏しく、そのためにマウスピース自体の振動を、演奏者が好みに応じて選択することが難しかった。
この発明は、種々の振動特性を備えたマウスピースを得ることにより、演奏者が好み又は曲想ににあった振動特性を備えたマウスピースを使用することができるようにし、演奏レベルの向上を図ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、金管楽器用のマウスピースにおいて、リムのリムカンター以外の部分の断面形状を真円以外の形状とすることにより、上記課題を解決するものである。
具体的には、リムにおいて、その外周形状を、リムカンター部を真円とし、シャンク側を断面多角形として金管楽器用のマウスピースを構成するものである。
請求項1の構成に加えて、リムとシャンクとの間において、真円以外の外周断面形状、例えば断面多角形、断面楕円形又は外周面に凹凸を形成した形状など、を有する部分を備えたものとしてもよい。また、外周の断面形状は中心軸を通過する面において非対称であることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、外周の断面形状を適宜選択することにより種々の振動特性を有するマウスピースを得ることができる。したがって、演奏者が好み又は曲想ににあった振動特性を備えたマウスピースを使用することが可能となり、演奏レベルの向上を図ることができる。
副次的な効果として、外周の断面形状が真円ではないために、マウスピースを楽器本体に着脱する際に滑りにくくなり、また演奏中の照明が多様な反射をするので、マウスピースの装飾性を高めることにもなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1はトランペット用のマウスピースAの断面図であり、符号1はリム、2は演奏者の唇が接触するリムカンター、3はトランペット本体に挿入されるシャンクである。この発明では、リム1におけるリムカンター2以外の部分の外周形状を断面多角形し、又はリム1とシャンク3との間のカップ状部分4の外周形状を真円以外、例えば断面多角形、断面楕円形又は外周面に凹凸を形成した形状などとするものである。
【実施例1】
【0009】
マウスピースAのリム1において、リムカンター2以外の部分にリムカンター2の外径よりも大きな断面7角形のフランジを形成し、カップ状部分4は断面真円としたものである(
図2参照)。断面7角形の部分は実施例2のようにリムカンター2の外径に収まる大きさとしてもよい。
【実施例2】
【0010】
マウスピースAのリム1において、リムカンター2以外の部分をリムカンター2の外径に収まる断面7角形に形成し、カップ状部分4も断面7角形としたものである(
図3参照)。
【実施例3】
【0011】
マウスピースAのリム1において、リムカンター2以外の部分に断面7角形のフランジを形成し、カップ状部分4の表面に多数の凹凸を形成したものである(
図4参照)。断面7角形の部分は実施例2のようにリムカンター2の外径に収まる大きさとしてもよい。
【実施例4】
【0012】
マウスピースAのリム1において、リムカンター2以外の部分に断面7角形のフランジを形成し、カップ状部分4は表面をダイヤモンドカット状の多面体としたものである(
図5参照)。断面7角形の部分は実施例2のようにリムカンター2の外径に収まる大きさとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0013】
この発明は、マウスピースの外周の断面形状を真円以外とすることにより、固有の振動が異なる多種類のマウスピースを得ることができるものであって、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0014】
A マウスピース
1 リム
2 リムカンター
3 シャンク
4 カップ状部