特許第6359078号(P6359078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359078
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】シーリングバー
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   B29C45/14
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-503620(P2016-503620)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-514631(P2016-514631A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2014055182
(87)【国際公開番号】WO2014146990
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】13160099.1
(32)【優先日】2013年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロランド・パルムキスト
(72)【発明者】
【氏名】ホーカン・アンデション
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ・エドフェルト
(72)【発明者】
【氏名】リキャルド・サンドバリ
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−341628(JP,A)
【文献】 特開平11−310209(JP,A)
【文献】 特開2000−103413(JP,A)
【文献】 米国特許第05736719(US,A)
【文献】 特開平07−164524(JP,A)
【文献】 米国特許第05649407(US,A)
【文献】 米国特許第06276114(US,B1)
【文献】 欧州特許出願公開第02468480(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
B65B 9/00− 9/24
B65B 51/00−51/32
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導シーリングバーを提供する方法であって、
少なくとも1つの加熱領域を有する誘導コイルを提供するステップと、
前記少なくとも1つの加熱領域を有する前記コイルを支持体内に組み込むステップと、
前記コイルが前記少なくとも1つの加熱領域の長さ全体に沿って露出されるように、前記コイルおよび前記支持体を平坦化して前記コイル及び前記支持体に同一平面を形成し、前記シーリングバーのシーリング面を提供するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コイルおよび前記支持体は、単一のステップで同時に平坦化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シーリング面を提供するステップは、機械加工工程によって実施されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械加工工程は、ミリングであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
シーリング面を提供するステップは、前記少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりに平行な方向における前記コイルおよび前記支持体の平坦化によって実施されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コイルを前記支持体に組み込むステップは、モールディング工程によって実施されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モールディング工程は射出成形であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コイルを前記支持体に組み込むステップは、前記少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりの少なくとも一部に沿って前記コイルをオーバーモールディングすることによって実施されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オーバーモールディングは、ポリマー材料を、前記少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりに平行な方向に流動できるようにすることによって、形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シーリング面を提供するステップにおいて、前記コイルおよび前記支持体を平坦化して前記コイル及び前記支持体に同一平面を形成する際に、前記少なくとも1つの加熱領域の長さに沿って延在する隆起部を提供し、前記隆起部を備えるシーリング面を形成することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シーリングバーのシーリング面を提供するステップは、前記支持体が前記コイルの外周の少なくとも180°を包囲するように、前記コイルの一部および前記支持体の一部を除去するステップを含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
支持体に少なくとも1つの前記コイルを組み込むステップは、前記支持体内に少なくとも1つの磁性インサートを組み込むステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの磁性インサートを組み込むステップは、丸みをおびたコーナーを備える少なくとも1つの磁性インサートを提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシーリングバーに関するものである。より詳細には、本発明は、厚紙製パッケージをシーリングするための誘導シーリングバーおよびそうしたシーリングバーを提供するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
厚紙製パッケージは一般的に液状の食品のパッケージングに使用される。典型的にはそうしたパッケージを形成するために厚紙材料からなるウェブが充填機械を通って移送される。充填機械では、厚紙材料からなるウェブは、閉じた容器を形成して液状の食品を封入するよう使用される。
【0003】
そうしたパッケージを提供する方法の1つは、材料ウェブの2つの長手方向端部がシールされるチューブ形成ステーションを通過するよう厚紙ウェブを供給することを含む。液状の食品がチューブに導入されると、続いて上端部と下端部とを横方向にシーリングすることによって、個別のパッケージが形成される。パッケージの略平坦な上端部および下端部を実現するためにフラップの折りたたみがさらに提供されてもよい。
【0004】
厚紙製パッケージを形成する別の方法は、例えばキャップなどの別個の閉鎖部材によって閉鎖されるプラスチック製の蓋を用いることを含む。厚紙製のチューブは、プラスチック製の蓋のモールディングと同時にあるいはプラスチック製の蓋が製造された後に別個のステップで、プラスチック製の蓋に接続される。続いて液状の食品はチューブ/蓋構造に導入され、そして厚紙製チューブの開端部が閉じられたパッケージを形成するためにシールされて折りたたまれる。
【0005】
シーリングはさまざまな方法によって実施されてもよいが、誘導シーリングが非常に効果的な方法であると判明している。この原理は、無菌パッケージの厚紙材料が、外部環境に対する信頼性のあるバリアを形成するために、ポリマー材料からなる2つの層の間にサンドイッチ構造で配置されるアルミニウムからなる薄層を含むような無菌パッケージに特に有益である。そうした厚紙材料の2つの端部が、横方向または長手方向シールが実現されようとする場合に互いに近接して配置される際に、シーリングバーは厚紙材料に対して押し付けられてもよい。シーリングバーはコイルを含み、電流は該コイルを流れることができる。そのためコイルは、アルミニウムホイルに熱を発生させる渦電流を誘導する。発生した熱は、アルミニウムホイル付近のポリマー材料を溶かして、それらの層を互いに結合する。
【0006】
例えばシーリングバーの実施例が特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0007】
このためシーリングバーを製造する場合、シーリングバーとパッケージング材料との間の密接な接触を制御するために平坦な表面を提供する必要がある。これは、コイルを提供する第1のステップを伴うマルチステッププロセスによってなされる。通常は丸められた銅から形成されるコイルは、滑らかで平坦な表面を形成するために続いて研磨される。その後コイルはプラスチック本体に組み込まれ、それによってコイルの平坦な表面は本体の平坦な表面と整列される。この方法ではシーリングバーは、コイルおよびプラスチック本体の両方を露出させて、シーリング工程のための押圧面とコイルのための支持体とを形成する全体的に平坦な表面を有する。
【0008】
しかしながら、シーリングバーは、特にその平坦な表面は、他の部品の中では、パッケージのシーリング中に非常に高い温度にさらされるよう実現される。このように高い温度にさらされることによって、プラスチック本体は最終的にその当初の形状から変形され、場合によってはコイルとプラスチック本体との間に破損した境界を引き起こすことがある。
【0009】
そうした欠点は最終的にシーリングバーによって得られるシーリングの質を低減させることがあり、液状の食品のパッケージの全体的な質を下げてしまう。
【0010】
そのため上述の欠点を解消するより頑丈で長持ちするシーリングバーを提供することが有利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】スウェーデン国特許出願公開第451973号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0642914号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらを考慮した本発明の目的は上述の問題を解消するか少なくとも低減することである。
【0013】
本発明の目的は、コイルと該コイルを包囲する支持体との間に改良された境界を有する、厚紙製パッケージをシーリングするためのシーリングバーおよびシーリングバーを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、少なくとも1つの加熱領域を有する誘導コイルを提供するステップと、支持体が少なくとも1つの加熱領域の長さの少なくとも一部に沿ってコイル全体を被覆するようにコイルを支持体内に組み込むステップと、コイルが少なくとも1つの加熱領域の長さ全体に沿って露出されるように、コイルおよび支持体を平坦化することによって、シーリングバーのシーリング面を提供するステップと、を含む誘導シーリングバーを提供する方法によって達成される。
【0015】
1つ以上の実施形態では、コイルおよび支持体は、単一のステップで同時に平坦化される。
【0016】
1つ以上の実施形態では、シーリング面を提供するステップは、材料を除去する機械加工工程によって実施される。1つ以上の実施形態では、材料を除去する機械加工工程は、ミリングである。
【0017】
さらに1つ以上の実施形態では、シーリング面を提供するステップは、少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりに平行な方向におけるコイルおよび支持体の平坦化によって実施される。
【0018】
1つ以上の実施形態では、コイルを支持体に組み込むステップは、モールディング工程によって実施される。
【0019】
さらに1つ以上の実施形態では、モールディング工程は射出成形である。
【0020】
さらに1つ以上の実施形態では、コイルを支持体に組み込むステップは、少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりの少なくとも一部に沿ってコイルをオーバーモールディングすることによって実施される。
【0021】
1つ以上の実施形態では、オーバーモールディングは、ポリマー材料を、少なくとも1つの加熱領域の長手方向の広がりに略平行な方向に流動できるようにすることによって、形成される。
【0022】
1つ以上のさらなる実施形態では、ポリマー材料は、2つの平行なウェブを形成するようにコイルの両側を流動でき、かつ平行なウェブを接続するためにコイルの長手方向軸線と中央で整列される区切られたキャビティ内に流動できる。
【0023】
1つ以上の実施形態では、シーリング面を提供するステップは、少なくとも1つの加熱領域の長さに沿って延在する隆起部を提供するステップをさらに含む。
【0024】
さらに1つ以上の実施形態では、シーリングバーのシーリング面を提供するステップは、支持体がコイルの外周の少なくとも180°を包囲するように、コイルの一部および支持体の一部を除去するステップを含む。
【0025】
さらに1つ以上の実施形態では、支持体に少なくとも1つのコイルを組み込むステップは、支持体内に少なくとも1つの磁性インサートを組み込むステップをさらに含む。
【0026】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの磁性インサートを組み込むステップは、丸みをおびたコーナーを備える少なくとも1つの磁性インサートを提供するステップをさらに含む。
【0027】
上記目的は、さらに上記方法によって製造された、充填機械でパッケージング材料をシーリングするためのシーリングバーによって達成される。
【0028】
上述の本発明のさらなる目的、特徴および利点は、添付の図面を参照する以下の本発明の例示および実施形態の非限定的な詳細な説明からより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態に基づくシーリングバーを使用する充填機械の斜視図である。
図2a】一実施形態に基づくシーリングバーの平面図である。
図2b図2aに図示されるシーリングバーの横方向断面図である。
図3a】製造中のシーリングバーの上面図である。
図3b図3aに図示されるシーリングバーの第1の横方向断面図である。
図3c図3aに図示されるシーリングバーの第2の横方向断面図である。
図4】一実施形態に基づくシーリングバーを提供するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1をまず参照すると、液状食品充填機械6が図示される。充填機械6は、厚紙材料のウェブのための供給ユニット7を含む。作動時に、厚紙材料のウェブは、滅菌セクション3やさまざまな張力/速度調整セクションなどの多様なセクションを通って充填機械6を経て移送される。ウェブの滅菌後、材料はチューブ形成セクション8を通るよう移送される。このセクション8ではパッケージング材料の長手方向端部が長手方向にシールされて、端部が開放されたチューブ9が形成される。液状食品供給ユニット10を用いてミルクやジュースなどの液状の食品がチューブ9内に導入され、そして横方向シーリングセクション14が、チューブ9をシールして該チューブ9から個々のパッケージ15を切断するよう設けられている。シーリングセクション14には好ましくはパッケージの閉端部を形状付けるための折りたたみ手段が設けられててもよい。
【0031】
シーリングセクション14は、典型的にはシーリングバーおよび対応するアンビル(図示せず)を含んでもよい。シーリングバーおよび/またはアンビルは、チューブ9をシーリングセクション14内に移動させかつチューブ9をシーリングセクション14から移動できるようにするために、チューブ9へ向けてかつチューブ9から離れるように移動可能である。チューブ9の開端部がシールされる場合、シーリングバーが、チューブ9のパッケージング材料の2つの層の一方と密接に接触される。対応するように、パッケージング材料の反対側の層の外面には関連するアンビルが密接に接触する。作動時にはシーリングバーがパッケージング材料に熱を発生させ、パッケージング材料の層のうち内側ポリマー材料層は溶融されると同時に互いに押圧される。加熱後は2つのポリマー層は結合され、それによってパッケージはシールされる。
【0032】
ここで図2aおよび図2bを参照すると、シーリングバー100がより詳細に図示される。シーリングバー100は、ポリマー材料から形成される支持体120に組み込まれた銅製のコイル110を含む。コイル110は、シーリングバー100の第1の端部102から反対側の端部104へ直線的に延在しており、かつコイルには、外部電源(図示せず)を用いてコイル110を電流が流れるように電気接点(図示せず)が接続される。冷却手段(図示せず)がシーリングバー内に設けられてもよい。好ましくはコイル110は2つの加熱領域を形成するよう設けられており、これら領域は平行にかつ離間されて設けられる。そうした実施形態ではコイル110は、第1の加熱領域111aを形成するように第1の端部102から反対側の端部104へ直線的に延在し、そしてコイルは方向転換して、第2の加熱領域111bを形成するように第1の端部102へ直線的に戻る。第1の加熱領域は、好ましくは第2の加熱領域から既定の距離をおいて配置される。そのため2つの電気接点は第1の端部102に設けられる。そのため2つの加熱領域のために1つだけの電源しか必要とされない。そうした構造のコイルを有することによって、単一のシーリングバー100は2つの隣接するシールを同時に提供してもよい。溝106は、切断ツールが溝106内を移動できるようにコイル110の加熱領域間に設けられており、それによってパッケージは効率的な様式でチューブ9から切り離されてもよい。そのため単一のシーリングバーは、第1のパッケージの上端部と後続のパッケージの下端部とを同時にシールしてもよく、また最初のパッケージと後続のパッケージとを互いに分離するための切断ラインを提供してもよい。これを実現するためにコイルは好ましくは第1の加熱領域を第2の加熱領域に接続する部分を備えており、その端部部分は、コイル110が溝106内に延在できないように、これら加熱領域に対して所定の角度で延在する。
【0033】
ここで図2bを参照すると、シーリングバー100の断面が図示される。シーリングバー100は、シーリングバー100の長さ全体に沿ってパッケージング材料と密接するように略平坦な上面130を有する。上面130は、コイル110の2つの加熱領域にわたって延在しておりかつ溝106で中断される。コイル110の加熱領域の各々は、シーリングバー100とパッケージング材料との間の完全な接触を保証するために、平坦な表面130から突出するとともに各加熱領域の長さ全体に沿って直線的に延在する隆起部112をさらに含む。
【0034】
好ましくは磁性インサート140が支持体120内に設けられる。磁性インサート140は少なくともある程度の範囲にわたってコイル110を包囲する。磁性インサート140は、例えばフェロトロン(登録商標)から形成されてもよく、シーリングバー100の作動時に発生する磁界を増大させる。そのためパッケージの十分なシーリングを実現するために小さな電流しか必要にならない。
【0035】
磁性インサート140はコイル110の長さ全体に沿って延在してもよく、あるいは磁性インサート140は、コイル110の長さに沿った様々なポジションに分散された遮断部材として設けられてもよい。好ましくはそうした遮断磁性インサート140は、コイル110の加熱領域の端部102,104およびコイル110の中央に配置されてもよい。これら端部ポジションは、パッケージング材料が折りたたまれる際に付加的な出力が必要とされ得る点に関して利点となる。さらに中央に配置された磁性インサート140は、パッケージの長手方向シールが存在する領域に対してさらなる出力を提供してもよく、そのためパッケージング材料のさらなる層を介して熱を伝達する必要がある。
【0036】
好ましくは、1つ以上の磁性インサート140には、図2bから明らかなように丸みをおびたコーナーが設けられる。これは、磁性インサート140の角が尖っている場合に存在し得る閉じ込められた穴やクラックのリスクを低減し、ポリマー本体120が非常に安定した様式でインサート140を包囲する点において有利となる。
【0037】
平坦な表面130は、コイル110の加熱領域の長さ全体に沿って支持体120とコイル110との間に均一な境界150を形成する。これは、シーリングバー100の安定した動作を保証し、かつこの境界150に沿った支持体120のクラックまたは変形のリスクを低減する。
【0038】
改良されたシーリングバー100を提供するために図3a〜図3cを参照されたい。これら図面では、製造中のつまりコイル110が支持体120内に組み込まれた後の中間状態にあるシーリングバー100が図示される。
【0039】
図3bから明らかなように、コイル110は、平坦なシーリング面がない状態で支持体120内に組み込まれている。実際にコイルは、円形または楕円形の断面を有する導電管路によって予め製造されている。好ましくはコイルは、中空の内部空間を含む筒状形状を有する。この内部空間には作動中のシーリングバーの温度を下げるための冷却流体が供給されてもよい。図3a〜図3cを参照すると、この時点ではコイルの最終的な形状は(つまりコイルは隆起部112を備える平坦なシーリング面を有する状態では)提供されない。
【0040】
支持体120はポリマー材料のモールディングによって形成される。この実施形態では支持体120は、モールド内でコイル110と整列されてポリマー材料を射出成形することによって形成される。こうした特定のシーリングバー100に関して、コイル110は、支持体120のポリマー材料が少なくともコイル110の加熱領域の長さのある程度の部分に沿ってコイル110全体をカバーするように、モールドの内縁部から既定の距離をおいてモールド内に整列される。図3aにさらなる詳細が図示されており、ここではコイル110は各加熱領域の長さのいくつかの部分114に沿ってのみ露出されている。コイル110の露出された領域114の正確な構成は当然のことながら変更されてもよい;しかしながらコイル110の加熱領域は平行でありかつ支持体120内の特定の深さにおいて広がっているべきである。
【0041】
露出された領域114は、モールドの壁における突出部によって形成される。これら突出部は、支持体120を形成するためにポリマー材料の射出中にモールド内に正しく位置決めされるコイル110をしっかりと保持するために提供される。つまり露出された領域114においてコイル110およびモールドはポリマー材料の射出中に互いに接触する。
【0042】
磁性インサート140も、コイル110に対するインサート140の正しい位置決めが保証されるようにモールド内に整列される。
【0043】
コイル110全体を少なくともその長さの一部に沿って覆うように支持体120を射出成形することによって、支持体120がコイル110の長さ全体に沿ってコイル110と密接に接触することが補償される。そして(図3bおよび図3cにおいて破線で示される)平坦な表面130を提供する後続のステップが、支持体120およびコイル110の間に均一な境界150を形成する。
【0044】
このように製造中にコイル110はオーバーモールドされる。「オーバーモールド」との用語は本明細書ではコイルを覆うようモールドすることを、つまりコイルが支持体120を形成するポリマー材料によって少なくとも部分的に埋め込まれるか封入される(すなわち本体120を形成するポリマー材料によって少なくともある程度の範囲にわたって被覆される)こと、シーリングバーがある程度余剰のポリマー材料を用いて製造されることを意味する。
【0045】
オーバーモールディングはさまざまな方法で実施されてもよい。図3bを参照すると半分完了した状態のシーリングバー100が図3aに図示される線l−lに沿って示される。図示されるように、この線では、コイルは露出領域114において露出されており、支持体120は、コイル110のすべての側に形成されており、かつコイル110の露出される上面よりも高い位置に上面115を有する。ここで図3aの線ll−llに沿ってシーリングバーを図示する図3cを参照すると、コイル110のオーバーモールドされた領域が示される。ポリマー材料からなる上面は均一ではない。露出された領域114同士の間では、コイル110の上方に被覆領域116が設けられる。該被覆領域16ではオーバーモールドされたポリマー材料の厚さは、コイル110に隣接して配置される領域における厚さほど大きくない。被覆領域116を形成するために、モールドは、コイル110を保持する突出部同士の間において付加的な突出部が設けられる。そのためポリマー材料は、コイル110に隣接して配置される領域と同じ程度までコイル110上の領域116を充填することはできない。
【0046】
溶融したポリマー材料が一方の端部102から反対側の端部104へ流動するよう方向付けられるように、モールドの側方端部には溶融したポリマー材料のための入口が設けられる。そのため溶融したポリマー材料は、被覆領域116が形成されるようにかつオーバーモールディングによる長手方向ウェブがコイルと平行にかつ両側に設けられるように、コイルの長手方向の広がりに沿って流動してコイルの上方に形成された開放空間へ向けて漏出する。
【0047】
ここで図4を参照すると、シーリングバー100を提供するための方法がより詳細に開示される。方法300は、コイル110を提供する第1のステップ302を含む。コイル110は液状食品のパッケージを形成するためにシールされたパッケージの幅に少なくとも対応する長手方向の広がりを有する。さらにコイル110は、上述のように例えば円形または楕円形の筒状断面を有する。
【0048】
次のステップ304では、コイルのオーバーモールディングが準備され得るように、コイルがモールドの内面から特定の距離をおいてモールド内に導入される。好ましくはこの方法は、1つ以上の磁性インサートがモールド内に配置されて既定の距離をおいてコイルと整列されるステップ306をさらに含む。コイル110はモールド内の突出部によって適所に保持される。
【0049】
後続のステップ308は、ポリマー系材料が少なくともコイルの長さのいくつかの部分に沿ってコイル全体を被覆するように、ポリマー系材料をモールド内に射出成形することによって実施される。ポリマー系材料は最終的なシーリングバーの質を向上させるために例えば複合材であってもよい。特にポリマー系材料は、急速な加熱および冷却の際に変形せず高温に耐え得るものであるべきである。
【0050】
ステップ308は好ましくは、溶融したポリマー材料、加熱領域の長さに沿ってコイルに実質的に平行に流動しかつ特定のポジション(つまり被覆領域116)でコイルを被覆するようにコイルとモールドとの間に形成された空間内に漏出できるように実施される。それゆえポリマー材料の長手方向ウェブはコイルの両側(つまり各加熱領域の両側)においてコイルに近接して形成される。コイルの各加熱領域に関して、両側にある2つの溶融したポリマー材料のウェブは、コイルがモールドと接触しないポジションにおいて合流でき、それによってコイルはこうしたポジションで完全に被覆される。
【0051】
最終ステップ310では、モールドされたシーリングバーつまり支持体に組み込まれたコイルは、平坦なシーリング面を形成するために機械加工される。ステップ310はさらに、長手方向隆起部112を提供するステップを含む。好ましくは支持体120の平坦な面とコイル110の平坦な面と隆起部112とを提供するために単一のミリングステップが実施される。より好ましくはミリングステップは、端部102,104の一方から開始してシーリングバーの長手方向に実施される。
【0052】
この最終ステップ310は、シーリングバーの表面におけるコイルとポリマー本体との間の境界が均一となることを確実なものとする。そのため製造後のさらなる範囲にわたってポリマー材料がコイルを露出させる原因となるクラックや変形が存在しない。
【0053】
上述のように、コイルをオーバーモールディングするステップと余剰の支持体の材料および余剰のコイル材料を除去する後続のステップとは、コイルと支持体との間に、特にシーリングバーの使用時にパッケージング材料に面するよう意図された平坦な表面において、より均一な境界を保証する。
【0054】
オーバーモールディングはさまざまな方法で実現されてもよい。例えば上述のようにコイルは、長手方向ウェブから流れる溶融ポリマー材料によって、コイルにわたって横方向に延在する複数のリブによってオーバーモールドされてもよい。これらリブは、互いから一定の距離をおいて設けられてもよく、好ましくは各々のリブの幅は、2つの隣接するリブの間の距離とほぼ同じである。さらにオーバーモールディングは、コイルを被覆するようコイルの長さに沿って延在する1つ以上の長手方向リブを提供することによってなされてもよい。
【0055】
当業者には明らかなように、こうした基本的なアイデアは技術的発展を伴って様々な方法で実施されてもよい。そのため本発明およびその実施形態は上述の例に限定されず;特許請求の範囲に記載の範囲内で変更され得るよう意図されている。
【0056】
例示的な実施形態において、コイル110は銅から形成され、かつ支持体はポリマー材料から形成される。他の実施形態では、他の材料を使用できる。代替的にはコイルは例えばアルミニウム、銀、金または銅由来の合金から形成されてもよい。支持体120は代替的にセラミック材料から形成されてもよい。
【0057】
図3a〜図3cに図示される実施形態は、露出領域114を伴うオーバーモールディングの一例を示す。代替的なオーバーモールディングも可能であることを理解されたい。コイル110がその側方端部102,104における固定手段によって適所に保持される場合、露出領域114を形成するモールドの壁における突出部によって保持される代わりに、コイルは全体的にオーバーモールドされてもよい。図3a〜図3cにおける実施形態と同様に、溶融したポリマー材料のための流入部は、溶融したポリマー材料が一方の端部102から他方の端部104へ流動するよう方向付けられるように、モールドの側方端部に配置されるべきである。別の代替的なオーバーモールディングでは、コイル110は、モールド内に設けられて一方の側方端部102から他方の側方端部104に延在する薄手の長手方向突出部によって保持される。オーバーモールディングは続いてコイル110に隣接する領域内においてコイル110にある程度沿って形成されるが、コイル110は、少なくともコイル110の長手方向の広がりと整列される連続的な中央線に沿って、露出されたままとなる。
【0058】
例示的な実施形態では、モールドされたシーリングバーつまり支持体に組み込まれたコイルは、平坦なシーリング面を形成するように機械加工され、ミリング工程が実施される。ミリング加工は、回転ミリングカッターを用いて材料を切削するステップを伴う機械加工工程である。代替的には、例えば研削などの砥粒加工などの別の材料除去工程が用いられてもよい。
【0059】
同様に、支持体120はポリマー材料の射出成形によって形成されるよう説明してきたが、代替的な実施形態では、支持体120は、圧縮成形、射出圧縮成型および転写加圧/成形などの別の従来のモールディング工程によって形成される。
【符号の説明】
【0060】
3 滅菌セクション
6 充填機械
7 供給ユニット
8 チューブ形成セクション
9 チューブ
10 液状食品供給ユニット
14 シーリングセクション
15 パッケージ
16 被覆領域
100 誘導シーリングバー
102,104 端部
106 溝
110 コイル
111 加熱領域
114 露出領域
116 被覆領域
130 平坦な表面
140 磁性インサート
150 境界
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4