(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359079
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】外部磁界に対して鈍感なホールセンサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/07 20060101AFI20180709BHJP
G01D 5/14 20060101ALI20180709BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
G01R33/07
G01D5/14 H
G01R33/02 L
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-504543(P2016-504543)
(86)(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公表番号】特表2016-514833(P2016-514833A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2014054078
(87)【国際公開番号】WO2014154446
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年9月28日
【審判番号】不服2017-5336(P2017-5336/J1)
【審判請求日】2017年4月14日
(31)【優先権主張番号】102013205313.4
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト ラング
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス メス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベーリンガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ザントマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クロッツビューヒャー
【合議体】
【審判長】
中塚 直樹
【審判官】
清水 稔
【審判官】
須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−71381(JP,A)
【文献】
特開2011−169813(JP,A)
【文献】
特開2005−315696(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/019958(WO,A2)
【文献】
特表2013−533496(JP,A)
【文献】
特開2007−271443(JP,A)
【文献】
特開平3−176682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/07, G01D 5/14, G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホールセンサ(1)であって、
第1の測定信号(21)を形成するように構成された第1のホール素子対(5)と、
第2の測定信号(23)を形成するように構成された第2のホール素子対(7)と
を備え、
前記ホールセンサ(1)は、さらに、第3の測定信号(25)を形成するように構成された第3のホール素子対(9)を備え、
前記第3のホール素子対(9)の各ホール素子(3)は、前記第1のホール素子対(5)のホール素子(3)と前記第2のホール素子対(7)のホール素子(3)との間に配置されており、
前記第1の測定信号(21)及び前記第2の測定信号(23)及び前記第3の測定信号(25)に基づいて、外部磁界(19)に起因する誤差を補償した1つの包括測定信号が形成されるように、前記第1、第2及び第3のホール素子対(5,7,9)は駆動可能であり、
前記ホールセンサ(1)は、少なくとも前記第1の測定信号(21)及び前記第2の測定信号(23)及び前記第3の測定信号(25)を求め、これらを結合して、外部磁界(19)に起因する誤差が最小化される包括測定信号を形成するように構成された測定装置(17)を有し、
前記測定装置(17)は、前記測定信号を同時に求めるように構成されており、
前記包括測定信号の形成時に、前記測定装置(17)が、前記第1、第2及び第3のホール素子対(5,7,9)の位置に依存した計算アルゴリズムを適用することにより、前記外部磁界(19)が前記包括測定信号に与える影響を除去する、
ことを特徴とするホールセンサ(1)。
【請求項2】
前記第1の測定信号(21)及び前記第2の測定信号(23)及び前記第3の測定信号(25)は、磁界方向依存性の信号である、
請求項1記載のホールセンサ(1)。
【請求項3】
前記ホールセンサ(1)は、さらに、第4の測定信号(27)を形成するように構成された第4のホール素子対(11)を備え、
前記第4のホール素子対(11)のホール素子(3)は、それぞれ、前記第1のホール素子対(5)のホール素子(3)と前記第2のホール素子対(7)のホール素子(3)との間に配置されている、
請求項1又は2記載のホールセンサ(1)。
【請求項4】
前記第1、第2、第3及び第4のホール素子対(5,7,9,11)は、4つの測定信号(21,23,25,27)のそれぞれが他の3つの測定信号のいずれかの補償に用いられるように配置されている、
請求項3記載のホールセンサ(1)。
【請求項5】
前記第1のホール素子対(5)は前記第2のホール素子対(7)に対して90°ずらされており、
前記第3のホール素子対(9)は前記第1のホール素子対(5)に対して45°ずらされている、
請求項1から4までのいずれか1項記載のホールセンサ(1)。
【請求項6】
前記ホールセンサ(1)は、特定用途向け集積回路(29)の一部として構成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載のホールセンサ(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載のホールセンサ(1)の製造方法であって、
第1の測定信号(21)を形成するように構成された第1のホール素子対(5)を設けるステップと、
第2の測定信号(23)を形成するように構成された第2のホール素子対(7)を設けるステップと
を含む方法において、
当該方法は、さらに、
第3の測定信号(25)を形成するように構成された第3のホール素子対(9)を設けるステップと、
前記第3のホール素子対(9)のホール素子(3)を、それぞれ、前記第1のホール素子対(5)のホール素子(3)と前記第2のホール素子対(7)のホール素子(3)との間に配置するステップと、
前記第1の測定信号(21)及び前記第2の測定信号(23)及び前記第3の測定信号(25)に基づいて、外部磁界(19)に起因する誤差を考慮した1つの包括測定信号が形成されるように駆動可能な、前記第1、第2及び第3のホール素子対(5,7,9)を構成するステップと
を含む
ことを特徴とするホールセンサの製造方法。
【請求項8】
車両での角度測定用のホールセンサ(1)である、
請求項1から6までのいずれか1項記載のホールセンサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
ホールセンサは、多くの技術分野で使用されている。例えば、ホールセンサは、回転運動、特に回転角度を非接触で検出するために使用可能である。
【背景技術】
【0002】
ホールセンサの測定信号は磁界依存性の信号である。したがって、ホールセンサは一般に、例えば電流を導通している線路又は磁石によってホールセンサの周囲に生じる障害磁界に対しても感応性を有する。例えば、ホールセンサでの障害磁界は、測定角度値の誤りを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
したがって、センサ測定値が障害磁界に対して特に小さな感応性しか有さないことを保証する、改善されたホールセンサ及びその製造方法が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この要求は、独立請求項に記載されている本発明の対象によって満たされる。本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0005】
以下に、装置の個々の特徴及び利点を本発明の実施例に則して詳細に説明する。
【0006】
本発明の第1の特徴によれば、ホールセンサが提案される。ホールセンサは、第1の測定信号を形成するように構成された第1のホール素子対を備えている。ホールセンサは、さらに、第2の測定信号を形成するように構成された第2のホール素子対を備えている。本発明のホールセンサは、さらに、少なくとも1つの別のホール素子対を備えており、これを第3のホール素子対と称する。第3のホール素子対は、第3の測定信号を形成するように構成されている。第3のホール素子対のホール素子は、それぞれ、第1のホール素子対のホール素子と第2のホール素子対のホール素子との間に配置されている。第1の測定信号及び第2の測定信号及び第3の測定信号が結合されて、外部磁界に起因する誤差を考慮した1つの包括測定信号が形成されるように、前記ホール素子対は駆動可能である。
【0007】
言い換えれば、本発明のアイデアは、2つのホール素子対を有する公知の構成に比べて、少なくとも1つの別のホール素子対を設け、その測定データを他の2つの測定信号と組み合わせて使用し、外部磁界に起因する誤差を計算によって除去できるようにすることに基づいている。この場合、ホール素子対は相互に角度をずらして配置されており、個々の測定値を比較することにより、例えば、定常的もしくは静的な外部磁界を、角度測定のためのホールセンサに対応する回転磁石の磁界から区別することができる。
【0008】
付加的なホール素子対を備えたホールセンサの構成により、包括測定信号を外部磁界に対して鈍感に計算できる。さらに、本発明のホールセンサは、公知のセンサに比べて付加的なコストに結びつかない。
【0009】
例えば、本発明のホールセンサは車両技術において使用される。特に、改善されたホールセンサはハイブリッド車両及び電気車両で有利に利用可能である。ハイブリッド車両及び電気車両では多数の電流導通線路、永久磁石、電磁石及びパワーエレクトロニクス回路等が設けられているので、これらの素子とホールセンサとの間に相互作用が生じる。本発明のホールセンサはこうした相互作用を考慮して、包括測定信号の計算の際にこれを補償する。
【0010】
例えば、角度測定のためのホールセンサは、電気的なスロットル装置及び電気的な制御弁、特にスロットルバルブにおいて使用される。また、ホールセンサは、バルブ用の調整素子(汎用アクチュエータGPA)の角度位置を求めるためにも用いられる。さらに、ホールセンサは、アクセルペダルモジュールAPM又はペダル値センサPWGにおいても用いられる。
【0011】
さらに、ホールセンサは、モータの回転速度を求めるため、又は、ABSアプリケーションにおける車輪の回転周波数を求めるため、又は、車両のステアリングコラムのトーションバーのトルクを測定するためにも利用可能である。
【0012】
ここで、ホールセンサは、磁界強度依存性センサとして、又は、特には磁界方向依存性センサとして構成される。ホールセンサは複数のホール素子を有する。ホール素子に電流が流れて例えばこのホール素子に対して垂直に延在する磁界が発生すると、出力電圧に対応する測定信号が送出される。当該出力電圧は磁界強度と電流との積に比例する。
【0013】
さらに、ホールセンサをスピニングカレント式ホールセンサとして構成してもよい。この場合、複数の端子のそれぞれが電流供給端子及びホール電圧検出端子として用いられる。各端子の機能は順次に交換可能である。測定結果を相応に評価することにより、オフセット電圧を著しく低減できる。
【0014】
ホールセンサの複数のホール素子は複数のホール素子対にまとめられている。ホール素子対は、同じ形態で互いに向かい合って配置されるホール素子を2つずつ含む。この場合、1つのホール素子対の2つのホール素子は、1つの接続線上、すなわち180°の角度に配置される。第1のホール素子対の各ホール素子の接続線と第2のホール素子対の各ホール素子の接続線とは交差しうる。また、第3のホール素子対の各ホール素子の接続線も、他のホール素子対の接続線と交差しうる。
【0015】
ここでは、ホール素子は、包囲する構造体に固定に接続された定置のモジュールである。ホール素子は当該モジュールの角度位置を求めることができる。このために、回転するモジュールには、例えば、設定された磁界方向を有する永久磁石を固定できる。ホール素子ひいては永久磁石の回転は、第1のホール素子対によって、例えば正弦値又は磁界方向のx値に対応する第1の測定信号が求められる。第2のホール素子対によって、例えば余弦値又は磁界方向のy値に対応する第2の測定信号が求められる。さらに、第3のホール素子対によって、例えば正弦値又は磁界方向のx値に対応し、第1の測定信号との比較に用いられる第3の測定信号が求められる。ホールセンサに外部磁界が存在しなければ、第1の測定信号は第3の測定信号に対応する。外部磁界が存在すると、第3の測定信号は第1の測定信号から偏差する。当該測定信号間の偏差と、ホールセンサの個々のホール素子の既知の位置とから、外部磁界の影響が求められる。
【0016】
このようにして、包括測定信号における、外部磁界に起因する誤差が考慮される。すなわち、例えば、所定の計算アルゴリズムを用いて、誤差を除去乃至補償できる。この場合、包括測定信号は、例えば、ホールセンサによって求めるべきモジュールの回転角度に対応する。
【0017】
外部磁界は障害磁界とも称され、ホールセンサ近傍に延在する電流導通線路によって生じる。外部磁界の磁界方向は静的であるが、外部磁界の磁界強度は変化しうる。
【0018】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の測定信号及び第2の測定信号及び第3の測定信号はセンサ磁石の磁界方向に依存して変化する。つまり、各測定信号はセンサ磁界の方向を表す。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、ホールセンサは、場合により磁界方向依存性である第4の測定信号を形成するように構成された第4のホール素子対を含む。第4のホール素子対のホール素子は、この場合、それぞれ、第1のホール素子対のホール素子と第2のホール素子対のホール素子との間に配置される。こうしたさらなるホール素子対を設けることにより、外部磁界の影響を良好に補償できる。包括測定値の補正を付加的に改善するために、ホール
センサが任意の数のさらなるホール素子対を含んでもよい。
【0020】
特に、第4の測定信号は、例えば、余弦値又は磁界方向のy値を表し、第2の測定信号との比較に用いられる。ホールセンサに外部磁界が存在しなければ、第4の測定信号は第2の測定信号に対応する。外部磁界が存在すると、測定信号相互の偏差が生じる。個々のホール素子の偏差及び既知の位置から、外部磁界の影響をより正確に求めることができる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、第1のホール素子対は第2のホール素子対に対して90°ずれて配置される。さらに、第3のホール素子対は、第1のホール素子対に対して45°ずれて配置される。例えば、個々のホール素子は、1つの円の周上に配置される。また、第4のホール素子対を第1のホール素子対に対して−45°ずらして配置すると有利である。つまり、第3のホール素子対と第4のホール素子対とは相互に90°ずれることになる。このようにすれば、個々のホール素子の位置が既知となる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、ホールセンサは、さらに、測定装置を備える。ここでの測定装置は、第1の測定信号及び第2の測定信号及び第3の測定信号及び場合により第4の測定信号を求め、かつ、これらの信号を結合して、外部磁界に起因する誤差が最小化される包括測定信号を形成するように構成される。
【0023】
測定装置は、この場合、マイクロプロセッサユニットである。特に、測定装置は、特定用途向け集積回路ASIC(アプリケーションスペシフィックインテグレーテッドサーキット)の一部として構成される。測定装置は測定信号を同時に又は連続的に検出するか又は読み出す。さらに、測定装置は、求められた測定信号に対して所定の計算アルゴリズムを適用するので、得られた包括測定信号では外部磁界に起因する誤差が最小化されている。例えば、計算アルゴリズムは、第1の測定信号と第3の測定信号との間で加減算及び平均値形成を行うことにより、求めるべき磁界について外部磁界のない正弦測定値を計算する。相応に、第2の測定信号と第4の測定信号とに基づいて余弦測定値も求められる。続いてアークタンジェントが形成され、これにより、出力された包括測定信号は、永久磁石の設けられた構造体の回転角度を表す。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、ホールセンサは特定用途向け集積回路ASICの一部として構成される。すなわち、ホールセンサは、出力電子回路又は制御電子回路内に集積可能である。
【0025】
本発明の第2の特徴によれば、上述したホールセンサの製造方法が提案される。本発明の方法は、第1の測定信号を形成するように構成された第1のホール素子対を設けるステップと、第2の測定信号を形成するように構成された第2のホール素子対を設けるステップと、第3の測定信号を形成するように構成された第3のホール素子対を設けるステップと、第3のホール素子対のホール素子を、それぞれ、第1のホール素子対のホール素子と第2のホール素子対のホール素子との間に配置するステップと、第1の測定信号及び第2の測定信号及び第3の測定信号が結合されて、外部磁界に起因する誤差を考慮した1つの包括測定信号が形成されるように駆動可能な、上記ホール素子対を構成するステップとを含む。
【0026】
本発明の第3の特徴によれば、上述したホールセンサの、ハイブリッド車両もしくは電気車両での角度測定への使用が提案される。
【0027】
本発明の別の特徴及び利点を、当業者が容易に理解できるよう、添付の図に示された実施例に則して、以下に詳細に説明する。なお、実施例は例示のためのものであり、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明の実施例の4つのホール素子対を備えたホール
センサの上面図である。
【
図3】特定用途向け集積回路の一部としての
図2のホール
センサを示す図である。
【
図4】
図2のホールセンサの個々のホール素子対の測定信号を示す図である。
【0029】
全図を通して、本発明の実施例の装置及びその要素は概略的に示されているのみである。特に、それぞれの要素の間隔比及び寸法比は、図中では縮尺どおりに描かれていない。なお、複数の図にわたって対応する要素には同じ参照番号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には、公知のホールセンサ1’が示されている。ホールセンサ1’は、磁界方向依存性センサとして構成されており、同一半径の周上に90°ずつの角度で配置された4つのホール素子3’を備えている。それぞれ向かい合う2つのホール素子3’が協働して1つの出力信号もしくは1つの出力電圧を送出する。各ホール素子3’を相互に90°ずつずらして配置することにより、正弦信号と余弦信号とが得られる。
【0031】
ホール素子3’の測定信号は、構造体に固定された永久磁石の磁界方向に依存する。これにより、永久磁石の角度位置、ひいては例えばバルブなどの構造体の角度位置を求めることができる。ホール素子3’が磁界方向に依存するため、ホールセンサ1’は障害磁界もしくは外部磁界19に対して感応性を有する。外部磁界19は、例えば、ホールセンサ1’の近傍に延在する電流導通線路によって生じる。特に、定常的な外部磁界19と回転する永久磁石の磁界15とは、
図2に示されているように重なることがある。この場合、ホールセンサ1’の出力信号に誤りが生じるので、例えば永久磁石を備えた構造体の角度位置のデータが誤ってしまう。
【0032】
以下に、本発明のホールセンサ1を
図2乃至
図4に即して詳細に説明する。本発明のホールセンサ1によれば、外部磁界19の影響がホールセンサ1の出力信号もしくは包括測定信号において低減される。
【0033】
図2に示されているように、ホールセンサ1は、第1の測定信号21を形成するように構成された第1のホール素子対5を備える。ホールセンサ1はまた、第2の測定信号23を形成するように構成された第2のホール素子対7を備える。ホールセンサ1はさらに、第3の測定信号25を形成するように構成された第3のホール素子対9を備える。ホールセンサ1はさらに、第4の測定信号27を形成するように構成された第4のホール素子対11を備える。
【0034】
ホール素子対5,7,9,11はそれぞれ、向かい合って配置された2つずつのホール素子3を有する。この場合、ホール素子3は、例えば円形に集積された磁束導通部材13上に配置されている。磁束導通部材13はホール素子3の領域の磁界を増幅する。
【0035】
第1のホール素子対5は、第2のホール素子対7に対して90°ずらされて配置されている。すなわち、第1のホール素子対5の一方のホール素子3が0°の位置にあるとき、第1のホール素子対5の他方のホール素子3は180°の位置にあり、第2のホール素子対7の一方のホール素子3は90°の位置にあり、第2のホール素子対7の他方のホール素子3は270°の位置にある。
【0036】
第1のホール素子対5及び第2のホール素子対7はここでは主特性曲線を形成している。例えば、
図4に示されているように、第1のホール素子対5は第1の測定信号21として正弦信号を形成する。第2のホール素子対7は第2の測定信号23として余弦信号を形成する。ただし、外部磁界19があると、これらの特性曲線が変形乃至歪曲され、計算の際に誤った角度データが生じてしまう。計算される角度データへの外部磁界19の影響を低減するために、少なくとも1つの付加的なホール素子対が用いられる。
図2の実施例では、付加的な2つのホール素子対9,11が設けられる。これらの付加的なホール素子対9,11の各ホール素子3は、第1のホール素子対5と第2のホール素子対7との間の空間に配置される。
【0037】
第3のホール素子対9及び第4のホール素子対11の各ホール素子3はそれぞれ第1のホール素子対5及び第2のホール素子対7の各ホール素子3の間に配置される。すなわち、例えば、第3のホール素子対9の一方のホール素子3は45°の位置に、他方のホール素子3は225°の位置に配置される。さらに、第4のホール素子対11の一方のホール素子3は135°の位置に、他方のホール素子3は315°の位置に配置される。
【0038】
付加的な2つのホール素子対9,11により、別の正弦状信号及び別の余弦状信号をそれぞれ1つずつ読み出すことができる。第3のホール素子対9で形成された正弦状信号は第3の測定信号25と称される。第4のホール素子対11で形成された余弦状信号は第4の測定信号27と称される。全体として、
図4に示されているように、ホールセンサ1は2つの正弦状特性曲線と2つの余弦状特性曲線とを形成する。
【0039】
ホール素子対5,7,9,11は、第1の測定信号21及び第2の測定信号23及び第3の測定信号25及び場合により第4の測定信号27の結合によって、外部磁界19に起因する誤差を考慮した包括測定信号が形成されるように駆動可能である。すなわち、包括測定信号の計算時には、個々の測定信号21,23,25,27は、例えば計算アルゴリズムを用いて、外部磁界19が包括測定信号に対して殆どもしくは全く影響を有さないように結合又は比較される。この場合、各ホール素子対5,7,9,11の各ホール素子3の位置の知識を計算に利用できる。また、外部磁界19が方向変化しない磁界であるのに対して、永久磁石を備えた回転構造体の磁界15は方向変化する運動磁界であることも考慮される。例えば、包括測定信号は、正弦信号及び余弦信号の和の形成及びアークタンジェントの形成を基礎とすることができる。
【0040】
したがって、計算された包括測定信号は外部磁界19に対して大きく鈍感となる。このことは特にホールセンサ1をハイブリッド車両又は電気車両で使用する際に有利である。なぜなら、これらの車両では、特に多くの電気線路やパワーエレクトロニクス回路が外部磁界19の源となるからである。
【0041】
図3には、ホールセンサ1がASIC29の一部として構成される実施例が示されている。この場合、同様にASIC29に集積された測定装置17が個々の測定信号21,23,25,27を読み出す。また、同様にASIC29の一部として構成可能なマイクロプロセッサによって計算アルゴリズムを実行し、包括測定信号を出力してもよい。この場合、測定装置17はマイクロプロセッサに集積可能であるか又はマイクロプロセッサとして構成可能である。
【0042】
図4には、個々のホール素子対5,7,9,11の測定信号21,23,25,27が示されている。ここで、x軸には角度[°]が示されており、y軸にはホール電圧[V]が示されている。
【0043】
なお、「備える」などの語は、別の要素又は別のステップが設けられる可能性を排除するものでないことに注意されたい。さらに、「1つの」「所定の」などの語は、複数を排除しない。また、個々の特徴を種々の実施例に関連して説明したが、これらは相互に任意に組み合わせることもできる。さらに、特許請求の範囲における参照番号は本発明の範囲を規定するものではない。