特許第6359082号(P6359082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359082
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】積層造形された部品の再生
(51)【国際特許分類】
   B22D 23/06 20060101AFI20180709BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20180709BHJP
   B33Y 70/00 20150101ALI20180709BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20180709BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20180709BHJP
   B22C 9/02 20060101ALI20180709BHJP
   B22C 9/22 20060101ALI20180709BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20180709BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180709BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180709BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20180709BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   B22D23/06
   B33Y10/00
   B33Y70/00
   B22F3/16
   B22F3/105
   B22C9/02 103B
   B22C9/22 C
   B22C1/00 B
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F01D5/28
   B22F3/24 A
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-509094(P2016-509094)
(86)(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公表番号】特表2016-524537(P2016-524537A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】US2014034455
(87)【国際公開番号】WO2014204570
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】61/813,871
(32)【優先日】2013年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マクブライエン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キャッスル,リー,ケナード
(72)【発明者】
【氏名】スパングラー,ブランドン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ジンクァン
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−057984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0071562(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0121636(US,A1)
【文献】 特開昭59−155504(JP,A)
【文献】 特表2005−523819(JP,A)
【文献】 特開2006−051542(JP,A)
【文献】 特開平06−154947(JP,A)
【文献】 特開2005−028455(JP,A)
【文献】 特開2004−306044(JP,A)
【文献】 特開平04−294858(JP,A)
【文献】 特開平04−294857(JP,A)
【文献】 特開平01−018561(JP,A)
【文献】 特開2006−175516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/00
B22D 23/06
B22F 3/105
B29C 67/00
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を再生するための方法であって、前記方法は、
ニアネットシェイプで、容量で、0パーセントより多いが、15パーセント未満のボイドを有するように部品を積層造形すること、
前記部品をシェルモールドで包み込むこと、
前記シェルモールドを硬化処理すること、
前記包み込まれた部品を炉に入れて、前記部品を溶融すること、
溶融物を前記シェルモールド内で再度凝固させること、
前記シェルモールドを前記凝固した部品から取り除くこと、
を含む、部品を再生するための方法。
【請求項2】
前記部品が、容量で、0パーセントより多いが、1パーセント未満のボイドを有するように積層造形される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部品が、前記ニアネットシェイプで、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部品が、ブレードまたはベーンであり、かつ容量で、前記最大15パーセントの余分の材料が、前記部品の付け根部または翼の先端に配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記部品をシェルモールドで包み込むことが、前記部品の外表面全体が前記シェルモールドによって覆われるように、前記部品の全体を前記シェルモールドで包み込むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記部品を前記シェルモールドで包み込むことが、
(a)前記部品の前記全体をスラリーに浸して、前記部品の前記全体の上に前記シェルモールドの層を形成すること、
(b)前記シェルモールドの前記層を乾燥すること、
(c)前記部品の前記全体を包み込むために、許容可能なシェルモールドの厚さが形成されるまで、ステップ(a)および(b)を繰り返すこと、
の工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記部品が、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結、直接金属レーザー溶融、および電子ビーム溶融のうちの少なくとも1つを使用して、積層造形される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記部品が、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物から成る群から選択された金属のものとなるように積層造形される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
内部通路をもつ部品を再生する方法であって、前記方法は、
ニアネットシェイプで、内部通路をもち、容量で、0パーセントより多いが、15パーセント未満のボイドを有するように前記部品を積層造形すること、
前記内部通路をスラリーで充填すること、
前記スラリーを硬化処理してコアを形成すること、
前記部品をシェルモールドで包み込むこと、
前記シェルモールドを硬化処理すること、
前記包み込まれた部品を炉に入れて、前記部品を溶融すること、
溶融物を前記シェルモールド内で再度凝固させること、
前記シェルモールドおよびコアを前記凝固した部品から取り除くこと、
を含む、内部通路をもつ部品を再生する方法。
【請求項10】
前記コアが、前記部品の前記内部通路の形状に一致し、かつ前記シェルモールドが、前記部品の形状に一致する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記部品が、容量で、0パーセントより多いが、1パーセント未満のボイドを有するように積層造形される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記部品が、前記ニアネットシェイプで、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記部品が、ブレードまたはベーンであり、かつ容量で、前記最大15パーセントの余分の材料が、前記部品の付け根部または翼の先端に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記部品が、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結、直接金属レーザー溶融、および電子ビーム溶融のうちの少なくとも1つを使用して、積層造形される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記部品が、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物から成る群から選択された金属のものとなるように積層造形される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スラリーが、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、およびカオリンから成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記シェルモールドが、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、カオリンおよびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記部品をシェルモールドで包み込むことが、前記部品の外表面全体が前記シェルモールドによって覆われるように、前記部品の全体を前記シェルモールドで包み込むことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記部品をシェルモールドで包み込むことが、
(a)前記部品の前記全体をスラリーに浸して、前記部品の前記全体の上に前記シェルモールドの層を形成すること、
(b)前記シェルモールドの前記層を乾燥すること、
(c)前記部品の前記全体を包み込むために、許容可能なシェルモールドの厚さが形成されるまで、ステップ(a)および(b)を繰り返すこと、
の工程を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2013年4月19日に出願された、「Method For Forming Single Crystal Parts Using Additive Manufacturing And Remelt」という名称の米国仮出願第61/813,871号に対する優先権を主張し、その開示が参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本実施形態は、一般に、積層造形の分野に関し、より詳細には、積層造形された部品における欠陥を直すことに関する。
【0003】
積層造形は、部品が一層ずつ、その部品の3次元(3D)コンピュータモデルに従って各層を作成するマシンによって作成できる工程である。粉末床積層造形では、粉末の層がプラットフォーム上に拡げられ、選択的な領域が、指向性エネルギー光線によって焼結または溶融することにより結合される。プラットフォームは、割送りで下げられて、粉末の別の層が重ねられ、選択された領域が同様に結合される。その工程が、完成した3D部品が製造されるまで繰り返される。直接堆積積層造形技術では、少量の溶融材料または半固体材料が、部品の3Dモデルに従い、押出し、注入、またはワイヤー供給によってプラットフォームに塗布され、エネルギー光線によって活性化され、材料を接着させて部品を形成する。一般的な積層造形工程は、選択的レーザー焼結、直接レーザー溶融、直接金属レーザー焼結(DMLS)、電子ビーム溶融、レーザー粉末堆積、電子ビームワイヤー堆積、などを含む。
【0004】
積層造形作業では、部品は、連続工程で製造されるので、機械加工、鍛造、溶接、鋳造などの従来の製造工程と関連付けられた特徴が取り除かれて、費用、材料、および時間の節約をもたらし得る。その上、積層造形は、複雑な形状の部品が、従来の製造工程と比較して、比較的容易に形成されるのを可能にする。
【0005】
しかし、積層造形に関連した1つの課題は、積み上げて形成される部品の品質管理である。一般に、部品の表面下欠陥は、積層造形工程に内在的である。1つの部品を積み上げて形成するために何十時間(またはそれ以上)もかかり得るが、それにも関わらず、少なくともいくつかの完成した積み上げ形成された部品が、汚れおよびボイド(void)などの、表面下欠陥を有することは免れない。結果として、かかる欠陥品は、これらの部品を形成するためにかなりの資源を費やした後に、はねられる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態は、部品を再生する方法を含む。本方法は、完成品に近い形状で、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイドを有するように部品を積層造形することを含む。この部品はシェルモールドで包み込まれる。シェルモールドが硬化処理される。包み込まれた部品が炉に入れられて部品が溶融される。部品がシェルモールド内で凝固される。シェルモールドは凝固した部品から取り除かれる。
【0007】
別の実施形態は、内部通路をもつ部品を再生する方法を含む。本方法は、完成品に近い形状で、内部通路をもち、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイドを有するように部品を積層造形することを含む。内部通路はスラリーで充填される。スラリーが硬化処理されてコアを形成する。この部品はシェルモールドで包み込まれれる。シェルモールドが硬化処理される。包み込まれた部品が炉に入れられて、部品が溶融される。部品がシェルモールド内で凝固される。シェルモールドおよびコアは凝固した部品から取り除かれる。
【0008】
さらなる実施形態は、内部通路をもつ中間部品を含む。中間部品は、完成品に近い形状で、内部通路をもつ、固体金属の積層造形された部品を含む。部品は、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイド、および完成品に近い形状で、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有する。部品の内部通路内に配置されたセラミックコアおよび、部品の外表面全体が外側のセラミックシェルモールドで覆われるように、部品の全体を包み込んでいる外側のセラミックシェルモールドも含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コアおよびシェルモールドを有する、内部通路のある中間部品の断面図である。
図2】積層造形された部品を再生するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記の図は、本発明の1つ以上の実施形態を説明するが、他の実施形態も検討される。いかなる場合でも、本開示は、制限ではなく、代表的なものとして、本発明を提示する。多数の他の修正および実施形態が当業者によって考案され得、それらは、本発明の原理の範囲および精神に含まれることが理解されるべきである。図は、縮尺通りに描かれていない可能性があり、本発明の適用および実施形態は、図に具体的に示されていない特徴および構成要素を含み得る。
【0011】
一般に、本実施形態は、部品が、はねられる必要がなく、意図した通りに使用できるように、欠陥を直すために、欠陥(例えば、表面下欠陥)のある、積層造形された部品を製造ないし再生するために提供される。積層造形された部品における欠陥は、従来のインベストメント鋳造法におけるシェルモールドと同様に、その部品を、シェルモールドを作るための原型として使用することにより、直される。部品は、シェルモールドで完全に包み込まれて、溶融され、次いで、凝固されて、同じ、潜在的に複雑な形状の実質的に欠陥のない部品を製造することができる。添付の図を含め、本開示の全体を見ると、他の特徴および利益が認識されよう。
【0012】
図1は、積層造形された中間部品10の概略断面図である。中間部品10は、翼12、プラットフォーム14、付け根部16、および内部通路18を含む、タービンブレードであり得る。図1に示すような中間部品10は、制限ではなく、例として提供された、一例に過ぎない。積層造形された部品10は、積層造形されるのが可能な任意の部品であり得、例えば、燃料ノズルまたはタービンブレードまたはベーンを含み得る。中間部品10に含まれていて、図1に示されているのは、内側のコア20および外側のシェルモールド22である。図1に示すような一例では、コア20はセラミックコアであり、シェルモールド22は、セラミックシェルモールドである。他のコア20およびシェルモールド22の材料も検討される。
【0013】
中間部品10は、完成品に近い形状に積層造形されて、翼12、プラットフォーム14、付け根部16および内部通路18が、部品10として一体化されている。しかし、セラミックコア20およびセラミックシェルモールド22は、積層造形工程中に、部品10の一部として形成されるものではない。部品10は、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結(DMLS)、直接金属レーザー溶融、電子ビーム溶融、電子ビームワイヤー溶融および当技術分野で知られたその他を含むが、それらに制限されない、多層構造を利用する、任意のタイプの積層造形工程を使用して、積層造形できる。部品10は、完成品に近い形状で(すなわち、図1に示すような中間部品10)、部品10の所望の完成した構成(すなわち、実質的に表面下欠陥がなくなるように再生された後の部品10)と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形される。部品10のいずれの余分の材料も、余分の材料の機械加工が可能な任意の位置に配置することができる。一例では、余分の材料は、付け根部16および/または翼12の先端に配置することができる。さらに、部品10は、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物などの、金属によって積層造形できる。
【0014】
積層造形された結果として、部品10は、表面下欠陥を有し得る。表面下欠陥は、汚れおよび/またはボイドなどの、望ましくない欠陥を含み得る。ボイドは、例えば、孔および/または亀裂を含み得る。例えば、部品10は、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイドを有し得る。多くの場合、部品10は、容量で、0パーセントより多いが、約1パーセント未満のボイドを有し得、さらにいくつかの場合には、容量で、約0.1パーセント未満のボイドしか有していない。部品10は、望ましくないレベルのボイドを含む場合、意図した通りの使用に適していないと考えられ得るが、それは、多くの用途では、容量でほんのわずかな割合であり得る。このため、部品10は、表面下欠陥を直すために再生できる。
【0015】
実質的に表面下欠陥がなくなるように部品10を再生するための工程の一部として、部品10は、部品10が積層造形された後に、部品10に付加されたセラミックコア20およびセラミックシェルモールド22を有する。他の実施形態では、部品10は、セラミック以外の材料のコア20およびシェルモールド22を有し得る。セラミックコア20が実質的に内部通路18の形状に一致するように、セラミックコア20は、内部通路18内に形成される。セラミックコア20は、内部通路18をセラミックスラリーで充填することにより形成でき、その結果、内部通路18の容積がセラミックスラリーで占められる。セラミックスラリーは、インベストメント鋳造のコア材料として一般に使用されるセラミック、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、カオリン、およびそれらの混合物など、であり得る。内部通路18がセラミックスラリーで充填されるか、または実質的に充填されると、セラミックスラリーが硬化処理され(一般に固体で剛性の特性を有する)セラミックコア20が形成される。部品が積層造形されていて、内部通路18を有していない、他の実施形態では、部品は、セラミックコア20を使用することなく、欠陥を実質的に直すために再生できる。
【0016】
セラミックシェルモールド22も、部品10に付加される。部品10の外表面全体がセラミックシェルモールド22によって覆われて、セラミックシェルモールド22が実質的に部品10の形状に一致するように、セラミックシェルモールド22は、部品10の全体を包み込むことができる。部品10は完成品に近い形状を有しているので、中間部品10は、セラミックシェルモールド22を作るための原型として役立つ。セラミックシェルモールド22は、部品10の全体をセラミックスラリーに浸して、部品10の全体の上に未硬化の(すなわち、硬化処理されていない)セラミックシェルモールドの層を形成することにより、部品10を包み込むように形成できる。層は乾燥され、そして、十分な厚さの未硬化のセラミックシェルモールドを形成するのに必要な回数だけ、部品が繰り返し、浸されて乾燥される。未硬化のセラミックシェルモールドの厚さは、約5mm〜約32mmに及び得る。未硬化のセラミックシェルモールドは次いで、硬化処理されて、(一般に固体で剛性の特性を有する)セラミックシェルモールド22を形成する。セラミックスラリー、および従って、セラミックシェルモールド22は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、カオリン、およびそれらの混合物など、であり得る。代替として、一例では、セラミックシェルモールド22およびセラミックコア20は、セラミックシェルモールド22が部品10の外表面全体を包むとともにセラミックコア20が内部通路18の表面全体を包むように、同時に形成できる。
【0017】
図2は、積層造形された部品の再生方法30の一実施形態を示すフローチャートである。方法30は、部品10が要望通りに使用できて、はねられる必要がないように、表面下欠陥のある部品10を直すために使用できる。
【0018】
まず、任意選択的に内部通路18を含み得る、中間部品10が、完成品に近い形状に積層造形される(ステップ32)。選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結、直接金属レーザー溶融、電子ビーム溶融、電子ビームワイヤー溶融、および当技術分野で知られたその他を含むが、それらに制限されない、任意のタイプの積層造形工程が、部品10を積層造形するために使用できる。さらに、部品10は、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物などの、金属のものとして積層造形できる。積層造形された部品10は、望ましくない欠陥を有し、この欠陥は、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイド(例えば、孔および/または亀裂)を有し得る(他の望ましくない欠陥としては汚れを含み得る)。一実施形態では、部品10は、容量で、0パーセントより多いが、約1パーセント未満、さらには、容量で、約0.1パーセント未満の、望ましくないボイドを有し得る。その上、部品10は、完成品に近い形状で、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形され得る。これは、積み上げて形成された部品10が、所望の完成した構成を形成するために必要なものを超えた、余分の材料を含み得ることを意味する。この余分の材料は、余分の材料の機械加工が可能な任意の位置で、部品10上に配置することができる。一例では、余分の材料は、別々の湯口位置などの、付け根部16および/または翼12の先端に配置することができる。一実施形態では、部品10は、積層造形工程の時間の節約のために、中空部分(例えば、所望のサイズ、形状の孔に似た中空部分など)を意図的に含むように積層造形される。
【0019】
次に、少なくとも1つの内部通路18が存在する場合は、セラミックスラリーまたは他の適切なコア材料で充填できる(ステップ34)。内部通路18をスラリーで充填すると、内部通路18の容積がスラリーによって占められる結果となる。各々の内部通路18がスラリーで充填できる。スラリーは、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、およびカオリンを含むが、それらに制限されない、従来の鋳造工程でコア材料として一般に使用されるセラミック材料であり得る。
【0020】
内部通路18がセラミックスラリーで充填されると、セラミックスラリーは硬化処理され、内側のコア20が形成される(ステップ36)。スラリーは、適切な熱処理によって部品10内でその場で硬化できる。コア20は、コア20が部品10の内部通路18の形状に実質的に一致するように、内部通路18を占有する。ステップ34および36は、内部通路18が存在しない場合には、省略できる。
【0021】
次いで、部品10が未硬化の(硬化処理されていない)シェルモールドで包み込まれる(ステップ38)。部品10の外表面全体が未硬化のシェルモールドによって覆われて、未硬化のシェルモールドが実質的に部品10の形状に一致するように、未硬化のシェルモールドは、部品10の全体を包み込むことができる(すなわち、実質的に部品10を密封する)。コア20が部品10の外表面またはその近くにあって、コア20がシェルモールド22の一部を形成し、その結果、コア20の部分の上のシェルモールド22内に間隙が生じる状況があり得る。未硬化のシェルモールドは、部品10の全体をセラミックスラリーに浸して、部品10の全体の上に未硬化のセラミックシェルモールドの層を形成することにより、部品10を包み込むように形成できる。層は乾燥され、そして、十分な厚さの未硬化のシェルモールドを形成するのに必要な回数だけ、部品が繰り返し、浸されて乾燥される。部品10をセラミックスラリーに浸すことに代わる一代替手段として、セラミックスラリーを、部品10上にかけて、乾燥することもできる。未硬化のシェルモールドの許容可能な厚さは、約5mm〜約32mmに及び得る。未硬化のシェルモールドは、中間温度で加熱されて、セラミックを部分的に焼結し、未硬化のシェルモールド内のいずれのバインダー剤も熱して除き得る。
【0022】
未硬化のシェルモールドは、次いで、硬化処理されて、外側のシェルモールド22を形成する(ステップ40)。シェルモールド22は、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、カオリン、およびそれらの混合物であり得る。セラミックシェルモールド22は、約649°C(1200°F)〜約982°C(1800°F)の間の範囲の温度で、約10〜約120分間、硬化処理されて、セラミックシェルモールド22を完全な密度に硬化できる。未硬化のセラミックシェルモールドが部品10の全体を包み込んで実質的に部品10の形状に一致するので、部品10は、セラミックシェルモールド22内の原型としての役割を(従来のインベストメント鋳造工程で使用されるろう型の代わりに)果たす。
【0023】
次に、望ましくない欠陥のある部品10が、今や部品10の原型を有する、セラミックシェルモールド22内で溶融される(ステップ42)。セラミックシェルモールド22内で部品10を溶融する一方法は、部品10の少なくとも一部を炉に入れることである。しかし、部品10がセラミックシェルモールド22内で溶融されるように熱を加える他の手段が使用できる。例えば、二重チルブロックおよび炉組立体が使用できる。部品10が作られる材料は、一般に、コア20およびシェルモールド22を形成する材料の溶融点より低い溶融点を有する。これにより、部品10の材料をセラミックコア20および/またはセラミックシェルモールド22の材料で汚すことなく、部品10が、セラミックシェルモールド20の内部で溶融するのを可能にできる。セラミックシェルモールド22内で部品10を溶融すると、部品10の材料が、重力または他の手段の助けを受けて、高密度となり、部品10内に元々存在した望ましくないボイドを実質的に取り除くことを可能にする。部品10が、容量で、最大15%の余分な材料を有するように積層造形された場合、この余分な材料も溶融されて、部品10内の孔および/または亀裂を充填する(それにより、部品10内の孔および/または亀裂を充填した余分な材料は、元々あった場所にもはや存在しなくなる)。シェルモールド22内で部品10を溶融すると、部品10から汚れを取り除くのにも役立ち得、汚れは、一般に、固相の部品10よりも液相の部品10における方が溶解しやすい。
【0024】
部品10が、セラミックシェルモールド22の内部で溶融された後、部品10は、セラミックシェルモールド22内で凝固される(ステップ44)。部品10は、部品10が凝固できる温度まで部品10を冷却するチルブロックや任意の他の手段を使用して、凝固できる。セラミックシェルモールド22内で凝固した部品10は、元々積層造形された部品10と同じ形状に部品10を形成するが、今や、部品10は、密度が高まって、ボイドや他の欠陥が減っているか、または実質的に取り除き(すなわち、所望の完成した構成に)されている。部品10が、スターターシードまたは粒子セレクタを使用して指向性凝固される場合には、部品10内の汚れは、凝固界面により、部品10の共通の領域に押し出されるか、または集められるので、その後、除去および廃棄できる。
【0025】
最後に、セラミックコア20およびセラミックシェルモールド22が凝固した部品10から取り除かれる(ステップ46)。例えば、セラミックコア20は、腐食性の溶出(caustic leaching)により、エッチアウト(etched out)ないし除去することができ、また、セラミックシェルモールド22は、叩いて壊すことができる。完成した部品10は、ボイドなどの望ましくない欠陥が減っているか、または実質的に取り除かれていて、完成した部品10が積層造形された部品10と同じ形状を有することを確認するために、検査することもできる。方法30は、次いで、必要に応じて、繰り返すことができる。
【0026】
部品が積層造形されていて、内部通路18を有していない場合、その部品は、方法30に対して説明したものに類似した、表面下欠陥を実質的に直すために再生できる。しかし、内部通路18がないので、ステップ34および36は実行する必要がない。
【0027】
[考えられる実施形態の説明]
以下は、本発明の考えられる実施形態の非排他的な記述である。
【0028】
部品を再生するための方法であって、その方法は、完成品に近い形状で、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイドを有するように部品を積層造形すること;部品をシェルモールドで包み込むこと;シェルモールドを硬化処理すること;包み込まれた部品を炉に入れて、部品を溶融すること;部品をシェルモールド内で凝固すること;およびシェルモールドを凝固した部品から取り除くこと;を含む。
【0029】
前項の方法が、任意選択で、追加および/または代替として、以下の技術、ステップ、特徴および/または構成のいずれか1つ以上を含み得る:
部品が、容量で、0パーセントより多いが、約1パーセント未満のボイドを有するように積層造形される。
【0030】
部品が、完成品に近い形状で、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形される。
【0031】
部品が、ブレードまたはベーンであり、容量で、最大15パーセントの余分の材料が、部品の付け根部または翼の先端に配置される。
【0032】
部品をシェルモールドで包み込むことが、部品の外表面全体がシェルモールドによって覆われるように、部品の全体をシェルモールドで包み込むことを含む。
【0033】
部品をシェルモールドで包み込むことが、(a)部品の全体をスラリーに浸して、部品全体の上にシェルモールドの層を形成すること;(b)シェルモールドの層を乾燥すること;ならびに、(c)部品の全体を包み込むために、許容可能なシェルモールドの厚さが形成されるまでステップ(a)および(b)を繰り返すこと;の工程を含む。
【0034】
部品が、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結、直接金属レーザー溶融、および電子ビーム溶融のうちの少なくとも1つを使用して、積層造形される。
【0035】
部品が、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物から成る群から選択された金属のものとなるように積層造形される。
【0036】
内部通路をもつ部品を再生する方法であって、その方法は、完成品に近い形状で、内部通路をもち、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイドを有するように部品を積層造形すること;内部通路をスラリーで充填すること;スラリーを硬化処理してコアを形成すること;部品をシェルモールドで包み込むこと;シェルモールドを硬化処理すること;包み込まれた部品を炉に入れて、部品を溶融すること;部品をシェルモールド内で凝固すること;ならびにシェルモールドおよびコアを凝固した部品から取り除くこと;を含む。
【0037】
前項の方法が、任意選択で、追加および/または代替として、以下の技術、ステップ、特徴および/または構成のいずれか1つ以上を含み得る:
コアが、実質的に部品の内部通路の形状に一致し、シェルモールドが、実質的に部品の形状に一致する。
【0038】
部品が、容量で、0パーセントより多いが、約1パーセント未満のボイドを有するように積層造形される。
【0039】
部品が、完成品に近い形状で、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有するように積層造形される。
【0040】
部品が、ブレードまたはベーンであり、かつ容量で、最大15パーセントの余分の材料が、部品の付け根部または翼の先端に配置される。
【0041】
部品が、選択的レーザー焼結、選択的レーザー溶融、直接金属堆積、直接金属レーザー焼結、直接金属レーザー溶融、および電子ビーム溶融のうちの少なくとも1つを使用して、積層造形される。
【0042】
部品が、ニッケル基超合金、コバルト基超合金、鉄基超合金、およびその混合物から成る群から選択された金属のものとなるように積層造形される。
【0043】
スラリーが、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、およびカオリンから成る群から選択される。
【0044】
シェルモールドが、シリカ、アルミナ、ジルコン、コバルト、ムライト、カオリンおよびそれらの混合物から成る群から選択される。
【0045】
部品をシェルモールドで包みこむことが、部品の外表面全体がシェルモールドによって包まれるように、部品の全体をシェルモールドで包み込むことを含む。
【0046】
部品をシェルモールドで包み込むことが、(a)部品の全体をスラリーに浸して、部品の全体の上にシェルモールドの層を形成すること、(b)シェルモールドの層を乾燥すること、ならびに(c)部品の全体を包み込むために、許容可能なシェルモールドの厚さが形成されるまで、ステップ(a)および(b)を繰り返すこと:の工程を含む。
【0047】
内部通路をもつ中間部品であって、この中間部品は、完成品に近い形状で、内部通路をもつ、固体金属の積層造形された部品であって、部品が、容量で、0パーセントより多いが、約15パーセント未満のボイド、および完成品に近い形状で、所望の完成した構成と比較して、容量で、最大15パーセントの余分の材料を有する、固体金属の積層造形された部品;部品の内部通路内に配置されたセラミックコア;ならびに、部品の外表面全体が外側のセラミックシェルモールドで包まれるように、部品の全体を包み込んでいる外側のセラミックシェルモールドを含む。
【0048】
「一般に」、「実質的に」、「約」、および同様のものなどの、本明細書で使用される任意の相対語または程度の語は、本明細書に明記された任意の当てはまる定義または制限に従って解釈され、その対象となるべきである。いかなる場合でも、本明細書で使用される任意の相対語または程度の語は、通常の製作公差の変動、偶発的な配置の変動、動作条件によって引き起こされた一時的な配置または形状の変動、および同様のものを包含するためなど、任意の関連する開示された実施形態、ならびに、当業者により本開示の全体を考慮して理解され得るような範囲または変動を、広く包含すると解釈されるべきである。
【0049】
本発明は好ましい実施形態を参照して説明されているが、当業者は、形式および詳細における変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、行われ得ることを理解するであろう。
図1
図2