(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記包装部材収納装置(70)へ複数の前記ホルダー型包装部材(21)を一括して供給するためのカートリッジ(25)を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品収納容器包装装置(1)。
【背景技術】
【0002】
現在、コンビニエンスストアやファーストフード店などにおいて、セルフサービス等によりコーヒーや飲食物商品をテイクアウトする際に、購入者がカップへコーヒーなどを注いで持ち帰る途中で零れたりしないように、厚紙を折り曲げた固定基台をカップの底部に敷いて、安定させた上でビニール袋に入れて持ち帰る手段を取り入れていることが主流となっている。しかしながら、係る方法による飲食物のテイクアウトでは、一つ一つを組み立てる時間と手間などが掛かる。よって、上記方法よりも低コストで簡易的な便利なシステムが求められている現状がある。
【0003】
また、食品収納容器が上方に向かって末広がり状に広がる形状の容器である場合では、容器のテーパ部や開口縁部に係止させるホルダー型の包装部材を用いている店舗も多く、係るホルダー型の包装部材によれば、包装袋の中から食品収納容器を取り出さなくても、持ち手部だけ広げて飲食を可能とすることができる効果や、販売店の商標がそのまま見得る態様にてお客様に提供できるなどのメリットがある。
【0004】
また、食物を簡易的な紙袋やビニール袋で提供する方法を用いると、熱い食べ物においては、直接熱が伝わったり、袋の内部で食べ物がバラバラになったりするといった不都合が生じることがある。また、荷物を持って状態で、飲み物等を片手で袋に入れることは非常に困難である。そこで、食物や飲み物が容器から零れることなく、片手でも操作できる技術の開発が望まれている。
【0005】
そこで、従来より、種々の技術提案がなされている。例えば、発明の名称を「持ち帰り梱包箱」とする技術が開示されている(特許文献1参照)。具体的には、「1枚のシート材に糊付け加工を施さず、折り曲げて構成される食品収納箱及び調理用容器の機能を持ち接着加工を施さずに固定することを特徴とした持帰り梱包箱」が公開され公知技術となっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、組み立ての手間やコストの面などを考えると本発明の課題を解決するに至っていない。
【0006】
また、発明の名称を「テイクアウト食品用容器及び同容器の持ち運び用手提げ」とする技術が開示されている(特許文献2参照)。具体的には、「テイクアウト食品を収容する容器であって、該容器は容器本体、中間容器及び蓋体からなり、前記容器本体は、底部が狭く、上方に開放した拡大する逆台形であり、前記中間容器は、前記容器本体の開放部に嵌合する深皿状で、周縁部に容器本体の開放部の周縁部と係合して該開放部に該中間容器を保持する係合縁部を備え、前記蓋体は中間容器上に被せて閉蓋し、上方に膨出する逆皿状であり、前記容器本体に食品を収容し、上方開放部に嵌合した中間容器に他の食品を収容し、該中間容器上に蓋体を被せるようにした、ことを特徴とするテイクアウト食品用容器」というものである。しかしながら、特許文献2に記載の技術は、中身の安定する構造を用いたものの、やはり、組み立ての手間や、コストの面などにおいて、本発明の課題を解決するに至っていない。
【0007】
また、発明の名称を「機能性テイクアウトカップキャリア」とする技術が開示されている(特許文献3参照)。具体的には、「二つ以上のカップを支持できるように枠面を支える支持面が形成され、中央または側面に貫通口が形成された上部支持ブラケット及び前記上部支持ブラケットの貫通口を連結できるように挿入突起が上部に形成され、カップを運搬できるように形成された運搬用取手を含んで構成されることを特徴とする機能性テイクアウトカップキャリア」というものである。しかしながら、特許文献3に記載の技術は、構造が複雑なうえ、安定性があるとは言えず、本発明の課題を解決するに至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、食品収納容器に包装部材による包装作業を片手でも容易、且つ安全に行なえる包装装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、食品収納容器を包装部材で包む包装する装置であって、包装部材収納部と、引出装置収納部と、基台部と、から構成され、前記包装部材収納部と前記引出装置収納部は相互間に前記食品収納容器を挿通させる為の挿通部を設ける位置に前記基台部にそれぞれ配置され、前記包装部材収納部内には前記包装部材を収納する包装部材収納装置を備え、前記引出装置収納部内には前記包装部材を引き出す包装部材引出装置を備え、前記包装部材収納装置は前記包装部材を折り畳んで多数収納する装置であり、前記包装部材引出装置は前記食品収納容器を下方へ移動させる下方移動動作を利用した回動機構により腕部を回動させ、該腕部の先端に設けた爪部を前記包装部材の当接させる当接部の位置から前記食品収納容器の下側に開口部を回り込ませて包装し、前記腕部は元の位置に復帰する一連の動作を行う構成を採用する。
【0011】
また、本発明は、前記包装部材収納装置内に収納される前記包装部材が、突出した把手部を有する袋状包装部材である構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記食品収納容器が上方に向かって末広がり形状であり、前記包装部材収納装置内に収納される前記包装部材が、突出した前記把手部を有するとともに底部が開口した略円筒状のホルダー型包装部材である構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記食品収納容器が上方に向かって末広がり形状であるか、又は、開口縁部に段差部を有する形状であり、前記包装部材収納装置内に収納される前記包装部材が、突出した前記把手部を有するとともに伸縮する弾性素材で形成されることを特徴とする前記ホルダー型包装部材であり、前記腕部が、略舌片形状をした舌片型腕部の、前記食品収納容器の底部より大きい面積とすることで前記食品収納容器の底部よりも大きく伸長させて前記食品収納容器の下側を回り込ませて前記ホルダー型包装部材を装着させる構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記腕部の先端から前記爪部を押圧して突出させる突出機構と、前記包装部材の背面側から前記食品収納容器を押し出す押出機構と、を備え、前記爪部が前記当接部を押圧することによって前記開口部を形成し、該開口部に前記爪部が入り込んで前記包装部材を下方へ引き下げる構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記包装部材収納装置へ複数の前記包装部材を一括して供給するためのカートリッジを用いた構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る食品収納容器包装装置によれば、コンビニエンスストア等で買い物後に、商品を片手に持った状態で、テイクアウトサービスにおけるコーヒー等の飲料提供装置から取り出した容器を袋に包装したり、ホルダー型の包装部材へ装着して持ち帰ることを容易にできるという優れた効果を発揮する。
【0017】
また、本発明に係る食品収納容器包装装置によれば、食品に直接触れることもなく、衛生的であり、また、火傷等の怪我を防止できるという優れた効果を発揮する。
【0018】
また、本発明に係る食品収納容器包装装置によれば、簡易な構造で構成できるため、コストを抑えた量産も可能であり、また食べ物のみならず、例えば廃油に塗れたネジや、ブラスト用のガラスの粉状物の入ったボウルなどをビニール袋に包装するなど、様々な用途及び分野で利用可能とする優れた効果を発揮するものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、飲料や食品の容器に包装部材20を包装する作業を、片手でもできるようにした装置であることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。但し、係る図面に記載された形状や構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の創作として発揮する効果の得られる範囲内で変更可能である。
【0021】
図1は、本発明に係る食品収納容器包装装置1の構成を説明する基本構成説明図である。本発明に係る食品収納容器包装装置1は、食品収納容器10を包装部材20で包装する装置であって、包装部材収納部40と、引出装置収納部50と、基台部60とから構成され、包装部材収納部40は包装部材収納装置70を収納し、該包装部材収納装置70はカートリッジ25を収納し、該カートリッジ25は包装部材20を複数収納する構成となっている。引出装置収納部50は、包装部材引出装置90を収納し、該包装部材引出装置90は包装部材収納装置70内のカートリッジ25から、最も手前側にある包装部材20を開口するための腕部80を収納する構成となっている。
【0022】
食品収納容器10は、飲食物を収納するための容体であり、一般的に普及している紙コップ等の形状であって、素材には耐熱性に優れるとともに熱を伝えにくい素材として広く用いられているものを基準とし、特に限定されるものではない。従って、水平断面形状が四角形や楕円形であってもよい。大きさについては、包装部材20との関係で定められることとなるが、少なくともS、M、Lといった容量の異なる食品容器等を用意することが一般的であるといえる。
【0023】
包装部材収納部40は、内部に包装部材収納装置70を収納し、食品収納容器10を上方から下方へ案内して移動させる挿通部30の一側面となる。また、素材には、撥水性の高い素材を用いることが望ましい。なお、該包装部材収納部40は、基台部60に固定される。
【0024】
窓41は、包装部材収納部40の正面若しくは側面には、収納される包装部材収納装置70内の食品収納容器10の残量を外部から目視可能とすることが望ましく、開口や透明素材を用いることなどが考え得る。
【0025】
引出装置収納部50は、内部に包装部材引出装置90を収納し、食品収納容器10を上方から下方へ案内して移動させる挿通部30の一側面となる。また、素材には、撥水性の高い素材を用いることが望ましい。なお、該包装部材収納部40は、基台部60に固定される。
【0026】
基台部60は、包装部材収納部40と引出装置収納部50を、挿通部30を設ける距離に配置する基台となる部材である。また、素材には、撥水性の高い素材を用いることが望ましい。なお、基台部60の上面は食品収納容器10を上方から最も下方へ引き下げた時の挿通部30の最も底部に位置して、食品収納容器10を手前に引き出せるよう平面とする。
【0027】
挿通部30は、包装部材収納部40と引出装置収納部50との間の空間内に、食品収納容器10を上方から下方へ移動させ、該移動による動作から包装部材引出装置90を駆動し、包装部材20を食品収納容器10に包装させるために必要な移動距離を確保する高さを有し、また、食品収納容器10の異なる大きさに対応できる幅と奥行きを有するように構成される。
【0028】
包装部材収納装置70は、包装部材20、又は複数の包装部材20を集めて連結したカートリッジ25を収納し、包装部材20を一部ずつ引き出すための装置である。また、包装部材収納装置70は、カートリッジ25を外部から包装部材収納部40内部へ装着及び取り外しを可能とし、複数のカートリッジ25の装着や、包装部材20又はカートリッジ25の残量を視認可能とする窓41を設ける構成とすることが望ましい。
【0029】
押出機構71は、包装部材収納装置70に装着された包装部材20を、常に包装部材引出装置90側へ押し出すための機構であり、包装部材収納装置70内の包装部材20の収納数が減少しても、爪部83が当接部22から包装部材20を一枚ずつ下側へ引き下げられるように押し出す。なお、該押し出す力は、例えばバネ部材や弾性特性の優れた素材の反発力を利用するなど、簡易な構造で押し出すことが可能な構造とする。
【0030】
包装部材引出装置90は、挿通部30の上部から下方に移動する食品収納容器10の動作を利用して腕部80を駆動し、該腕部80によって包装部材収納装置70から包装部材20を一部ずつ取り出す装置である。
【0031】
なお、
図1では、挿通部30の背面となる位置に、カバーが設けられているように示しているが、更に上面、及び前面を被覆するカバーを用意し、これを基台部60に固定して全体的にゴミや埃の付着を防止するとともに、そのカバーの上部に持ち手を設けることにより、持ち運びを自在とすることも有効である。
【0032】
図2は、本発明に係る包装部材20の形状並びに種類を説明する包装部材20の実施例説明図であり、
図2(a)は、包装部材20がホルダー型包装部材21である場合を示し、
図2(b)は、包装部材20が袋状包装部材24である場合を示し、
図2(c)は、包装部材20の把手部23が一つである場合を示している。
【0033】
包装部材20は、食品収納容器10に包装して持ち帰り易くするための把手部23を設けた袋状包装部材24又はホルダー型包装部材21のように、形状とその形状による包装部材20としての機能により、店舗毎に使い分けられる種類のものを用意することが望ましい。例えば、袋状包装部材24を用いる場合では、外部から内容物を見えないようにしたい場合や、食品収納容器10の形状が円筒形などに限定されることなく使用する利点がある。他方、ホルダー型包装部材21では、装着した状態で蓋を外してそのままコーヒーを飲んだりすることができるとともに、食品収納容器10に印刷された店舗や商品の商標などを表示したまま持ち運ばれるため、宣伝広告機能を発揮し得るなどの利点がある。
【0034】
把手部23は、包装部材20の上部から更に上方へと向かって延びる持ち手となる部材である。包装部材20の形態が、ホルダー型包装部材21であっても、袋状包装部材24であっても、形状や素材に関わらず、食品収納容器10の上部から更に上方に開口する穴部を備えて、持ち帰り易くするための部材である。
図2(a)及び
図2(b)では、係る把手部23を二つ有する構成で記載され、
図2(c)では把手部23を一つのみ有する構成で記載されているが、把手部23の数及び形状については、これら図面に示された構成に限定されることはなく、把手可能な数や形状であって、目的の食品収納容器10を包み込んで持ち帰れるものであればよい。なお、把手部23として突出した形状ではなく、単に把手用穴部を設けてもよい。
【0035】
ホルダー型包装部材21は、食品収納容器10の形状が、底部から上部に向かって末広がり状の容器である場合に用いられ、該食品収納容器10の上部開口部よりも小さな内径の円筒形状のホルダーにより、食品収納容器10の外径との関係において嵌装することで、食品収納容器10を持ち運びできるようにする部材である。上部には突出して開口する把手部23を備え、素材には紙、ビニール、伸縮性を有するゴム、又はシリコーンなど、特に限定されるものではない。
【0036】
ホルダー型包装部材21が弾性素材で形成される構成を採用することも有効である。係る構成を採用した場合には、弾性力により食品収納容器10をしっかりと保持することができ、脱落防止に資することとなるからである。特に容器の形状が円筒形に限られず、複数の異なる断面形状(例えば四角形)などの容器でもホルダー型包装部材21対応可能となる。但し係る構成を採用する場合には、食品包装容器10の底部を覆える大きさまで引き延ばす必要がある。なお、係る弾性素材の選択には弾性特性と厚みの関係や爪部83との接触抵抗など総合考慮して決定することが必要となる。更には、処分時における環境問題を考慮して生分解性特性を有する素材であることが望ましい。
【0037】
袋状包装部材24は、食品収納容器10の全体を包み込んで包装するための袋状の部材であり、上部には突出して開口する把手部23を備え、素材には紙又はビニールなど、特に限定されるものではない。
【0038】
図3は、本発明に係るカートリッジ25の形状並びに種類を説明するカートリッジ25の実施例説明図であり、
図3(a)は、カートリッジ25において、包装部材20との接合状態が、腕部80の動作によって、下方への力が包装部材20に作用した時、せん断方向に作用して切断される構成のカートリッジ25を示し、
図3(b)は、包装部材20とカートリッジ25との接合状態が、腕部80の動作によって、下方への力が作用した時に引張り力として作用し引き延ばされて切断される構成のカートリッジ25を示し、
図3(c)は、連結部材27を不要とし、包装部材20のみで構成される態様を示している。
【0039】
係る異なる構成のカートリッジ25とするのは、食品収納容器10に対する包装部材20の形状等の関係において、どのような配置とすれば適切に一枚の包装部材20だけを正確に引き離すことができるかを考慮したものであればよく、その一例を示したものであり、他の構成を除く主旨で限定して記載したものではない。
【0040】
カートリッジ25は、包装部材収納装置70へ複数の包装部材20を一括して供給するため、多数積層して充填作業を容易にするために重畳的に積層させるユニットである。また、収納する包装部材20が紙製のホルダー型包装部材21である場合と、ビニール製の袋型包装部材24とでは厚みが大きく違うため、カートリッジ25内に装着できる数など、異なる要素があるため、包装部材20の形状や素材等に応じた構成を適宜採用することが必要となる。
【0041】
当接部22は、手前側と奥側とに折り込まれた一つの包装部材20において、爪部83を奥側にみに当接させ、手前側と奥側との間に入り込ませるための段違い部であり、腕部80の回動動作によって手前側のみが爪部83に引っ掛けられて開口部26を形成する。
【0042】
開口部26は、包装部材20が折りたたまれて包装部材収納装置70、又はカートリッジ25内に収納された状態から、爪部83により当接部22から下方へ引き下げることにより開口する部分である。係る開口部26を形成しやすくする機構として、爪部83を突出させる突出機構85を設けることが有効であり、該突出機構85によって爪部83が当接部22に当接した状態から突き出し、当接部22が背面側へ押されることにより爪部83が開口部26に入り込み易くなる。なお、例えば素材が紙製の場合には、開口部26を形成しやすくするために、左右の折部のみならず、その中心となる前後にも折り曲げ易くなるよう、一度折り曲げて戻した折部を備えることも有効である。
【0043】
連結部材27は、複数の包装部材20を連続して積層するために連結する部材であり、係る連結部材27と包装部材20とは切取部28によって切断され分離可能な構成を有している。
【0044】
切取部28は、ミシン目等により連結部材27と積層される複数の包装部材20とを容易に分離可能とするものである。なお、ミシン目等による切取部28の構成は、分離するための一つの手段としての例示であり、接着や圧着等による脆弱部を設ける構成でもよい。
【0045】
図4は、本発明に係る腕部80の形状並びに種類を説明する腕部80の実施例説明図である。
図4における腕部80は、中心に一本若しくは両側に二本の腕を備え、
図4(a)では両側二本の場合の構成を示し、
図4(b)では、腕部80の受け皿82が舌片型腕部84であって食品収納容器10の底面よりも大きな面積を有する舌片形状とした例を示している。
【0046】
腕部80は、先端に爪部83と、後端付近に支点81と、略中央部に食品収納容器10の動作を受け止めるための受け皿82又は、先端に爪部83を有する略舌片型形状を成す舌片型腕部84で構成される。また、腕部80は、少なくとも挿通部30内において食品収納容器10を上方から下方へ移動させる際に、係る挿通部30に干渉することなく回動し、該腕部80が逆方向に回動して元の位置に復帰する動作を行う。但し、係る腕部80の構成は、あくまで例示的なものであり、各部の構成は回動動作に伴って同一の作業効果を発揮する腕部80と規制部91との関係があればよい。
【0047】
なお、図面では腕部80の形状を支点81から爪部83まで屈曲させた形状で示しているが、係る形状としたのは、曲げ部を多数設けることにより、回動動作における腕部80にしなやかな動きを与えて、包装部材20に無理な
負荷をかけないよう考慮したことによるものである。従って、係る形状に限定されるものではなく、例えば、食品収納容器10を受け皿82に載置する状態において、支点81から爪部83を略直線的な形状としてもよい。なお、この場合は、支点81から爪部83が水平の時に、爪部83が包装部材20に最も近づくため、水平近傍での角度は、爪部83と当接部22との接触状態に影響を与えることとなり、係る点を考慮して腕部80全体の形状を構成することも有効である。
【0048】
支点81は、腕部80の先端部に設けられる爪部83を回動させる中心点となり、水平規制部92と垂直規制部93とに規制される腕部80の動作範囲内で繰り返し回動する支点81である。なお、図面では、支点81に特別な軸や軸受け等を示していないが、弾性部材94との関係で多少の遊びを備えることが望ましい。但し、回転軸と軸受け機構を設ける構成を除くものではない。また、支点81の位置は、腕部80全体と受け皿82に作用する荷重との距離によって、上下方向に必要な高さに影響を及ぼすため、適宜、適切な位置に定めることが必要である。
【0049】
受け皿82は、食品収納容器10を載置し、該食品収納容器10を上方から下方へ移動させる動作に伴って、腕部80を駆動するための受け部である。また、受け皿82は、食品収納容器10を可能な限り安定して底部に移動させるため、水平を維持しながら下降することが望ましい。
【0050】
爪部83は、腕部80の先端に設けられ、包装部材収納装置70から収納された包装部材20を、一部のみ引き出すために包装部材20の当接部22に引っ掛けて引き下げるために設けられる接触抵抗な摩擦係数を有する、素材が望ましく爪部83にはシリコーン、エラストマー、又はゴムを用いることで、包装部材20の形状等により適宜大きさや形状は変更して対応する。包装部材20の当接部22に接触後、手前側のみを正確に一枚だけ引っ張るための、摩擦係数の大きい素材を用いることが有効である。
【0051】
突出機構85は、腕部80の先端から爪部83を押圧して突出させる機構であり、カートリッジ25の背面側から食品収納容器10を押し出す押出機構71によって、カートリッジ25内の包装部材20の収納数が減少しても、爪部83が当接部22から食品収納容器10を一枚ずつ下側へ引き下げられるように押圧する。
【0052】
舌片型腕部84は、舌片状の形状をした受け皿82において、食品収納容器10の底面部の一部を案内するような曲面を有する溝部を形成し、食品収納容器10を下方へ押し下げる際にぶれることなく安定した動作をさせる構成とすることが望ましい。なお、図面には示していないが、係る食品収納容器10の下方への移動を安定させる機構としては、挿通部30内にアーム状の規制部材を複数設けて案内させる構成を採用することも有効である。
【0053】
図5から
図9に示した回動動作の実施例では、規制部91に水平規制部92と垂直規制部93とを備え、腕部80にはこれらに対応して規制される被規制部がそれぞれ設けられて当接し、その範囲内で回動動作が規制される構成を示している。係る規制の構成については
図5から
図9に示したものに限定されるものではなく、係る水平規制部92と垂直規制部93とに該当する規制部91とに、それぞれ当接し回動動作を規制するものであればよい。なお、
図5から
図9に示す包装部材20はホルダー型包装部材21を例にしたものである。
【0054】
規制部91は、腕部80の回動動作における範囲を規制し、通常の状態において受け皿82が水平方向に位置するように規制する水平規制と食品収納容器10を上方から下方に向かって腕部80を回動させ、爪部83を食品収納容器10と包装部材20との間に生ずる隙間からむき出して元の状態に戻すように規制する。係る規制により元の状態に復帰させるために、弾性特性を備えた弾性部材94を用いる。
【0055】
弾性部材94は、食品収納容器10を上方から下方へ移動させる動作に伴って、腕部80が回動した後、食品収納容器10に装着された包装部材20から抜き出た腕部80を元の位置に戻すための部材であり弾性特性を備えたゴムやコイルバネを元いることが有効である。なお、弾性部材94に減衰機構を設け、コイルバネ等の弾性部材94により元の位置に戻る腕部80の動作速度を減衰させて安定した動作とすることも望ましい。
【0056】
図5は、本発明に係る食品収納容器包装装置1の動作初期の状態を示している。係る状態において、腕部80は、略水平に延びた状態で食品収納容器10を乗せ、この時、爪部83はカートリッチ25内の最も挿通部30側に配置された包装部材20の当接部22に接触し、該当接部22と開口部26となる挿通部30側の縁部との間に入り込んだ状態を示している。この直前における動作前は図面に示していないが、動作前の状態において爪部83は、該隙間の少し上の当接部22に位置して、受け皿82に食品収納容器10が乗ることで、腕部80が回動をはじめ
図2の状態となる。
【0057】
図6は、本発明に係る食品収納容器包装装置1の包装部材引出装置90により、腕部80の先端に設けられた爪部83が、包装部材20の当接部22から手前側の一枚にのみ引っ掛けて、包装部材20を開口させる初期の状態を示している。
【0058】
図7は、本発明に係る食品収納容器包装装置1の包装部材引出装置90により、腕部80が包装部材20を開口させ、食品収納容器10を開口した包装部材20を回り込んで包んだ状態を示している。
【0059】
図8は、本発明に係る食品収納容器包装装置1において、食品収納容器10が下方へ位置し、腕部80が、挿通部30に略垂直状態となり、ホルダー型包装部材21の開口部26と食品収納容器10の間から引き抜かれる初期の状態を示している。この場合において包装部材20が、伸縮性を有する素材で構成される場合には、
図5に示すように食品収納容器10の底部よりも大きく開口させなければならず腕部80の素材には硬質のものを用いることが望ましい。他方、紙製のホルダー型包装部材21では開口部26が伸縮しないため、
図5に示した状態とは異なる。即ち、紙製のホルダー型包装部材21では開口される開口穴部と食品収納容器10と隙間に余裕がないため、食品収納容器10のテーパ状の傾斜に沿うように腕部80が変形する素材を持つことが望ましい。
【0060】
図9は、本発明に係る食品収納容器包装装置1において、食品収納容器10が挿通部30の上部から基台部60の上面まで引き下げられた状態を示している。
図9においては、腕部80は未だ下方に向いて下がった状態で示されているが、この後、食品収納容器10を手前に引く動作に伴って、該腕部80が今までとは逆方向に回動して元の位置に復帰するか、手前に追従する回動機構を備えても良い。
【0061】
包装部材20を背面から押圧する押出機構71の取付位置を略上方とすることにより、カートリッジ25内の包装部材20の下方では多少の逃げが許容され、腕部80が当接部22を押し出して、次の動作のための開口部26を形成しやすくする構成も有効である。
【解決手段】包装部材収納部と、引出装置収納部と、基台部と、から構成され、前記包装部材収納部と前記引出装置収納部は相互間に前記食品収納容器を挿通させる為の挿通部を設ける位置に前記基台部にそれぞれ配置され、前記包装部材収納部内には前記包装部材を収納する包装部材収納装置を備え、前記引出装置収納部内には前記包装部材を引き出す包装部材引出装置を備え、前記包装部材収納装置は前記包装部材を折り畳んで多数収納する装置であり、前記包装部材引出装置は前記食品収納容器を下方へ移動させる下方移動動作を利用した回動機構により腕部を回動させ、該腕部の先端に設けた爪部を前記包装部材の当接させる当接部の位置から前記食品収納容器の下側に開口部を回り込ませて包装し、前記腕部は元の位置に復帰する一連の動作を行う構成を採用した。