(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両長手方向端部に配置されると共に車両幅方向に沿って延設される第1端梁およびその第1端梁から車両内方側に離間して配置されると共に車両幅方向に沿って延設される第2端梁を有する台枠と、前記第1端梁および第2端梁の間に配設されると共に衝突時に前記第1端梁から入力され第2端梁へ伝達されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材と、を備えた鉄道車両において、
前記第1端梁および第2端梁の間を車両長手方向に沿って連結すると共に前記衝突時に受ける荷重が所定値を超えると座屈して前記第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容するヒューズ部材を備え、
前記ヒューズ部材は、車両長手方向に沿って延設されるウェブと、そのウェブの両縁部から立設される一対のフランジと、を備えた断面略コ字状のチャンネル材から形成され、
前記ヒューズ部材の前記第1端梁側のフランジを前記第1端梁に接合する第1ガセット板と、前記ヒューズ部材の前記第2端梁側のフランジを前記第2端梁に接合する第2ガセット板と、を備えることを特徴とする鉄道車両。
前記フランジの前記ウェブからの立設高さは、前記第1ガセット板と前記第2ガセット板との間の領域において、前記基準位置へ向かうに従って連続的に低くされることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両。
前記ウェブの正面または背面に固着される板状の板部材を複数備え、前記基準位置では、前記板部材が非固着とされることで前記ウェブの板厚が薄くされることを特徴とする請求項5記載の鉄道車両。
前記低剛性部は、前記基準位置における前記フランジの前記ウェブからの立設高さが低くされ、かつ、前記基準位置における前記ウェブの板厚が薄くされることで形成され、
前記ウェブは、前記基準位置と、前記基準位置よりも前記第1端梁側となる第1位置と、前記基準位置よりも前記第2端梁側となる第2位置との3箇所における板厚が薄くされることを特徴とする請求項2記載の鉄道車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では、第1梁部材および第2梁部材の嵌合部分に複数の孔が穿設されると共に、それら複数の孔にそれぞれ結合部材が挿通され、衝突に伴い第1梁部材および第2梁部材が互いに反対方向へ変位されることで、複数の結合部材をそれぞれ破断させる構造であるため、孔や結合部材のそれぞれの寸法公差や位置公差に起因して、結合部材が破断して、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容する荷重にばらつきが発生しやすい。そのため、意図した荷重が入力された場合に、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することが困難であるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、意図した荷重が入力された場合に、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の鉄道車両は、車両長手方向端部に配置されると共に車両幅方向に沿って延設される第1端梁およびその第1端梁から車両内方側に離間して配置されると共に車両幅方向に沿って延設される第2端梁を有する台枠と、前記第1端梁および第2端梁の間に配設されると共に衝突時に前記第1端梁から入力され第2端梁へ伝達されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収部材と、を備えたものであり、前記第1端梁および第2端梁の間を車両長手方向に沿って連結すると共に前記衝突時に受ける荷重が所定値を超えると座屈して前記第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容するヒューズ部材を備え、前記ヒューズ部材は、車両長手方向に沿って延設されるウェブと、そのウェブの両縁部から立設される一対のフランジと、を備えた断面略コ字状のチャンネル材から形成され
、前記ヒューズ部材の前記第1端梁側のフランジを前記第1端梁に接合する第1ガセット板と、前記ヒューズ部材の前記第2端梁側のフランジを前記第2端梁に接合する第2ガセット板と、を備え
る。
【0009】
【0010】
請求項
2記載の鉄道車両は、請求項
1記載の鉄道車両において、前記ヒューズ部材は、前記第1ガセット板と前記第2ガセット板との間となる基準位置に、剛性が部分的に弱くされる低剛性部が形成される。
【0011】
請求項
3記載の鉄道車両は、請求項
2記載の鉄道車両において、前記低剛性部は、前記基準位置における前記フランジの前記ウェブからの立設高さが低くされる。
【0012】
請求項
4記載の鉄道車両は、請求項
3記載の鉄道車両において、前記フランジの前記ウェブからの立設高さは、前記第1ガセット板と前記第2ガセット板との間の領域において、前記基準位置へ向かうに従って連続的に低くされる。
【0013】
請求項
5記載の鉄道車両は、請求項
2から
4のいずれかに記載の鉄道車両において、前記低剛性部は、前記基準位置における前記ウェブの板厚が薄くされることで形成される。
【0014】
請求項
6記載の鉄道車両は、請求項
5記載の鉄道車両において、前記ウェブの正面または背面に固着される板状の板部材を複数備え、前記基準位置では、前記板部材が非固着とされることで前記ウェブの板厚が薄くされることを特徴とする請求項6記載の鉄道車両。
【0015】
請求項
7記載の鉄道車両は、請求項
6記載の鉄道車両において、前記第2端梁の底面側に配設されると共に前記第1端梁よりも車両外方へ突出される連結器を備え、前記複数の板部材のうちの前記第2端梁側に位置する板部材は、その縁部が前記第2端梁の車両外方側の面に固着される。
【0016】
請求項
8記載の鉄道車両は、請求項
2記載の鉄道車両において、前記低剛性部は、前記基準位置における前記フランジの前記ウェブからの立設高さが低くされ、かつ、前記基準位置における前記ウェブの板厚が薄くされることで形成され、前記ウェブは、前記基準位置と、前記基準位置よりも前記第1端梁側となる第1位置と、前記基準位置よりも前記第2端梁側となる第2位置との3箇所における板厚が薄くされる。
【0017】
請求項
9記載の鉄道車両は、請求項
8記載の鉄道車両において、前記第1位置には、前記第1ガセット板の縁部が位置し、前記第2位置には、前記第2ガセット板の縁部が位置する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の鉄道車両によれば、第1端梁および第2端梁の間を車両長手方向に沿って連結するヒューズ部材を備え、ヒューズ部材は、衝突時に受ける荷重が所定値を超えると座屈して第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容するので、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容する荷重のばらつきを抑制できる。その結果、意図した荷重が入力された場合に、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0019】
特に、請求項1によれば、ヒューズ部材は、車両長手方向に沿って延設されるウェブと、そのウェブの両縁部から立設される一対のフランジとを備えた断面略コ字状のチャンネル材から形成されるので、通常時(荷重が所定値以下の場合)には、第1端梁および第2端梁の連結強度を確保して、車端部(車両長手方向における端部)の剛性の向上を図ることができる一方、衝突に伴い所定値を超える荷重を受けた場合には、速やかに座屈して、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0020】
また、ヒューズ部材の第1端梁側のフランジを第1端梁に接合する第1ガセット板と、ヒューズ部材の第2端梁側のフランジを第2端梁に接合する第2ガセット板とを備えるので、衝突時に荷重を受けた際に、ヒューズ部材の基端側(第1端梁または第2端梁との連結部分)が先に座屈することを抑制できる。即ち、ヒューズ部材の長手方向中央部分(第1ガセット板および第2ガセット板の間の領域)を座屈させることができる。よって、ヒューズ部材を意図した形状に座屈させやすくすることができる。即ち、意図した荷重が入力された場合に、ヒューズ部材を確実に座屈させ、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0021】
請求項
2記載の鉄道車両によれば、請求項
1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1ガセット板と第2ガセット板との間となる基準位置に、剛性が部分的に弱くされる低剛性部が形成されるので、かかる低剛性部を基点して、ヒューズ部材を確実に座屈させることができる。即ち、ヒューズ部材を意図した形状に座屈させやすくすることができる。その結果、意図した荷重が入力された場合に、ヒューズ部材を確実に座屈させ、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0022】
なお、低剛性部は、基準位置の形状を部分的に変化させて形成しても良く、基準位置の材質を部分的に変化させて形成しても良く、これら形状および材質による部分的な変化を組み合わせても良い。
【0023】
請求項
3記載の鉄道車両は、請求項
2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、低剛性部は、基準位置におけるフランジのウェブからの立設高さが低くされることで形成されるので、かかる低剛性部(立設高さが低くされた部分)を基点として、ウェブが折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。即ち、ヒューズ部材を意図した形状に座屈させやすくすることができる。その結果、意図した荷重が入力された場合に、ヒューズ部材を確実に座屈させ、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0024】
請求項
4記載の鉄道車両によれば、請求項
3記載の鉄道車両の奏する効果に加え、フランジのウェブからの立設高さは、第1ガセット板と第2ガセット板との間の領域において、基準位置へ向かうに従って連続的に低くされるので、低剛性部(立設高さが低くされた部分)を基点として、ウェブの背面側が外側(フランジの立設側が内側)に折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。
【0025】
請求項
5記載の鉄道車両によれば、請求項
2から
4のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、低剛性部は、基準位置におけるウェブの板厚が薄くされることで形成されるので、かかる低剛性部(板厚が薄くされた部分)を基点として、ウェブが折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。即ち、ヒューズ部材を意図した形状に座屈させやすくすることができる。その結果、意図した荷重が入力された場合に、ヒューズ部材を確実に座屈させ、第1端梁の第2端梁へ向けた移動を許容することができる。
【0026】
請求項
6記載の鉄道車両によれば、請求項
5記載の鉄道車両の奏する効果に加え、ウェブの正面または背面に固着される板状の板部材を複数備え、基準位置では、板部材が非固着とされることでウェブの板厚が薄くされるので、例えば、切削加工を施すことでウェブの板厚を部分的に薄くする場合と比較して、工数を低減でき、その分、製品コストの低減を図ることができる。
【0027】
請求項
7記載の鉄道車両によれば、請求項
6記載の鉄道車両の奏する効果に加え、複数の板部材のうちの第2端梁側に位置する板部材は、その縁部が第2端梁の車両外方側の面に固着されるので、ヒューズ部材と第2端梁との連結部分における連結強度を高めて、かかる連結部分が折れ曲がることを抑制できる。よって、ヒューズ部材を意図した形状に座屈させやすくできる。
【0028】
即ち、第2端梁の底面側に配設されると共に第1端梁よりも車両外方へ突出される連結器を備える場合、相手車両に連結器が先に衝突されることがあり、この場合には、連結器から入力された荷重により車両が妻面(第1端梁)を下方へ向ける(頭を下げる)形態で変形されることで、ヒューズ部材には第2端梁との連結部分に大きな曲げモーメントが作用される。よって、上述のように、板部材の縁部が第2端梁の車両外方側の面に固着され、ヒューズ部材と第2端梁との連結部分における連結強度が高められていることで、曲げモーメントに対抗でき、連結部分における折れ曲がりを抑制できる。
【0029】
請求項
8記載の鉄道車両によれば、請求項
2記載の鉄道車両の奏する効果に加え、低剛性部は、基準位置におけるフランジのウェブからの立設高さが低くされ、かつ、基準位置におけるウェブの板厚が薄くされることで形成され、ウェブは、
基準位置と、基準位置よりも第1端梁側となる第1位置と、基準位置よりも第2端梁側となる第2位置との3箇所における板厚が薄くされるので、基準位置(低剛性部、即ち、立設高さが低くされ且つ板厚が薄くされた部分)では、ウェブの背面側が外側(フランジの立設側が内側)となる形態で折り曲げられると共に、第1位置および第2位置では、ウェブの背面側が内側(フランジの立設側が外側)に折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。即ち、ヒューズ部材が座屈した後、そのヒューズ部材の変形に要する荷重を小さくすることができる。
【0030】
請求項
9記載の鉄道車両によれば、請求項
8記載の鉄道車両の奏する効果に加え、第1位置には、第1ガセット板の縁部が位置し、第2位置には、第2ガセット板の縁部が位置するので、第1位置または(及び)第2位置において、ウェブが折り曲げられる際、第1ガセット板または第2ガセット板に拘束されたフランジを切断させることができる。よって、ヒューズ部材が座屈した後、そのヒューズ部材の変形に要する荷重を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1から
図4を参照して、鉄道車両1の全体構成について説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態における鉄道車両1の側面図である。また、
図2は、
図1のII−II線における鉄道車両1の断面図であり、
図3は、
図1のIII−III線における鉄道車両1の断面図である。
【0034】
図1から
図3に示すように、鉄道車両1は、内部に客室や機器室を有する車体2と、その車体2を空気ばね(図示せず)を介して支持する台車3と、その台車3に軸支される車輪4とを主に備え、上下2層の客室構造を有する2階建て車両であって、前後の台車3部分を高床とし、台車3間(車両長手方向中央部分)を低床とする部分低床車として形成される。
【0035】
車体2は、1階の床面を支持する台枠10と、その台枠10の車両幅方向(
図2及び
図3左右方向)側部に下端が連結される側構体60と、台枠10の車両長手方向(
図1左右方向)端部に下端が連結される妻構体70と、側構体60及び妻構体70の上端に接続される屋根構体80と、台枠10及び屋根構体80の間に位置し2階の床面を支持する2階床部材90とを備える。
【0036】
台枠10の車両長手方向端部には、連結器5が配設される。連結器5は、妻構体70よりも車両長手方向外方へ突出される。台枠10及び2階床部材90により支持される床面には、複数の座席6が列設されると共に、それら複数の座席6の上方には、荷棚7が側構体60の内面から突設される。側構体60には、複数の窓開口部61が1階および2階に、複数のドア開口部62が1階の低床部分に、それぞれ開口形成される。
【0037】
図4は、車体2の正面図であり、外板を取り外して骨組とした状態が図示される。
図4に示すように、妻構体70は、車両幅方向両端部において鉛直方向(
図4上下方向)に延設される一対の隅柱71と、それら一対の隅柱71の間において車両幅方向に所定間隔を隔てつつ鉛直方向に延設される一対の妻柱72と、隅柱71及び妻柱72の間または妻柱72どうしの間を車両幅方向(
図4左右方向)に連結する補強梁73とを備える。なお、隅柱71及び妻柱72は、下端が第1端梁22(台枠10、
図5参照)に、上端が屋根構体80に、それぞれ連結される。
【0038】
次いで、
図5及び
図6を参照して、台枠10の詳細構成について説明する。
図5は、台枠10の部分拡大上面図であり、
図6は、
図5のVI−VI線における台枠10の部分拡大断面図である。なお、
図5及び
図6では、連結器5及びエネルギー吸収部材27を二点鎖線を用いて模式的に図示する。
【0039】
図5及び
図6に示すように、台枠10は、車両長手方向(
図5左右方向)中央部に配置される低床台枠30と、その低床台枠30を挟んで車両長手方向一側および他側に配設されると共に低床台枠30よりも上下位置が高くされる高床台枠20と、それら高床台枠20及び低床台枠30の間を高床台枠20から低床台枠30へ向けて下降傾斜する姿勢(
図11参照)で連結する連結部材40とを備え、車両幅方向に対称に形成される。
【0040】
高床台枠20は、車両幅方向(
図5上下方向)両側に位置し車両長手方向に延設される一対の側梁21と、車両長手方向端部に位置し車両幅方向に延設される第1端梁22と、その第1端梁22から車両長手方向内方側(
図5右側)に離間して配置されると共に車両幅方向に沿って延設される第2端梁23と、その第2端梁23の車両幅方向中央に一端が連結され車両長手方向に延設される中梁24と、その中梁24の他端に連結されると共に一対の側梁21間に架設され台車3(
図1参照)に支持される枕梁25と、車両幅方向に延設される複数の床受け梁26と、第1端梁22及び第2端梁23の間に配設されるエネルギー吸収部材27、突設部材28及びヒューズ部材Fと、を備える。
【0041】
第1端梁22は、一対の側梁21の長手方向端部から車両長手方向外方に離間して配置される。上述したように、第1端梁22には、長手方向両端部に一対の隅柱71の下端が連結されると共に、それら一対の隅柱71の間において一対の妻柱72の下端が連結される。第2端梁23は、一対の側梁21の長手方向端部どうしを車両幅方向に連結すると共に、車輪4(
図1参照)よりも車両長手方向外方に位置する。
【0042】
なお、妻柱72の下端は、第1端梁22の上面に形成された開口から内部に挿通され、第1端梁22の内面(車両長手方向に対向する2面および開口に対向する面)に連結される。また、第2端梁23の内部には、板状の補強板29が、その外縁を第2端梁23の内面(車両長手方向に対向する2面および下方(
図6下側)の面)に連結させた状態で、配設される。
【0043】
中梁24は、第2端梁23側(
図6左側)の端部が、車両長手方向外方へ向かうに従って上下方向寸法を拡大するように下方に湾曲して形成され、その端部の車両長手方向外方の端面が、連結器5が取り付けられる取付面24aとされる。本実施形態では、中梁24の取付面24aは、第2端梁23の車両長手方向外方側の面と略面一に形成される。
【0044】
枕梁25は、中梁24の車両長手方向内方側の他端が連結されると共に車両幅方向に延設される枕梁中央部25aと、一対の側梁21に連結されると共に車両長手方向に延設され枕梁中央部25aの車両幅方向両側に位置する枕梁延設部25bとを備え、これら枕梁中央部25a及び枕梁延設部25bから上面視略H形に形成される。
【0045】
エネルギー吸収部材27は、衝突に伴い第1端梁22が第2端梁23へ向けて移動する際に、それら第1端梁22及び第2端梁23の間で圧縮変形されることで、第1端梁22から第2端梁23へ伝達されるエネルギーを吸収するための部材であり、第1端梁22との間に所定の間隔を隔てた(隙間を設けた)状態で、第2端梁23の車両幅方向中央に基端が連結される。なお、エネルギー吸収部材27としては、公知の構成が採用可能であるので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
ここで、第2端梁23の車両幅方向略中央における車両長手方向内方側(
図5右側)の面には、中梁24が連結され、その反対側の面(第2端梁23の車両幅方向中央における車両長手方向外方側の面)にエネルギー吸収部材27が連結されるので、衝突時に第1端梁22が第2端梁23へ向けて移動され、エネルギー吸収部材27が圧縮される際には、第2端梁23を中梁24により後方から支持して、エネルギー吸収部材27を確実に変形(圧縮)させることができると共に、第2端梁23が車両長手方向内方へ変形して客室へ影響を与えることを抑制できる。
【0047】
また、エネルギー吸収部材27は、第1端梁22との間に所定の間隔を隔てるので、その間隔の分、衝突時の初期段階において、第1端梁22へ入力された荷重をヒューズ部材Fのみへ伝達しやすくできる。よって、エネルギー吸収部材27がヒューズ部材Fの座屈に対する抵抗となることを抑制できる。即ち、意図した荷重の入力時に、ヒューズ部材Fを確実に座屈させることができる。
【0048】
突設部材28は、第1端梁22の移動方向を案内するための部材であり、第1端梁22の車両長手方向内方側の面から第2端梁23へ向けて車両長手方向に沿って突設される。第2端梁23は、車両長手方向に沿って貫通された開口であるスライド保持部23aを備え、このスライド保持部23aに突設部材28の突設先端を受け入れる(スライド保持部23aに突設部材28の先端が挿通される)。これにより、突設部材28が車両長手方向に沿ってスライド可能にスライド保持部23aに保持される。即ち、衝突時に、第1端梁22の第2端梁23へ向けての移動方向を車両長手方向に規制できる。
【0049】
ここで、突設部材28は、断面矩形の鋼管(閉断面構造の鋼材)から形成され、スライド保持部23aは、突設部材28の外形と同一または若干大きな内形を有する開口として形成される。突設部材28が鋼管から形成されることで、開断面や中実の部材から同じ重量で形成される場合と比較して、曲げやねじれに耐えることができる。よって、第1端梁22及び第2端梁23の連結強度を確保して、車端部(車両長手方向端部)の剛性の向上を図ることができる。
【0050】
スライド保持部23aは、上述したように、第2端梁23に車両長手方向に沿って貫通される開口として形成されるので、第1端梁22が第2端梁23へ向けて移動される場合には、第2端梁23の背面側(車両長手方向内方側)の空間を利用して、突設部材28を受け入れさせることができる。即ち、第1端梁22を車両長手方向に沿って案内する効果(スライド保持部23aに対する突設部材28のスライド変位)を、第1端梁22が第2端梁23に当接する直近まで維持することができる。
【0051】
また、スライド保持部23aが第2端梁23の開口として形成されることで、第2端梁23の上面や下面に配設した別部材により突設部材28をスライド可能に保持する場合と比較して、スペース効率を向上して、客室空間を確保できるだけでなく、スライド保持部23aの剛性を確保できる。よって、スライド保持部23aによって突設部材28を強固に保持でき、その分、第1端梁22及び第2端梁23の連結強度を確保できるので、車端部(車両長手方向における端部)の剛性の向上を図ることができる。
【0052】
ヒューズ部材Fは、通常時は車端部(第1端梁22及び第2端梁23の連結部分)の剛性を確保する強度部材として機能する一方、衝突時に受ける荷重が所定値を超えると座屈することで第1端梁22の第2端梁23へ向けての移動を許容するための部材であり、第1端梁22と第2端梁23との間を車両長手方向に沿って連結する。
【0053】
台枠10によれば、相手車両が第1端梁22に衝突された際には、第1端梁22と第2端梁23との間でヒューズ部材Fを長手方向に圧縮し、荷重が所定値を超えた場合に、かかるヒューズ部材Fを座屈させて、第1端梁22が第2端梁23へ向けて移動することを許容することができる。
【0054】
即ち、複数のリベットやボルトなどの結合部材を破断させることで、第1端梁22の第2端梁23へ向けた移動を許容する従来品の構造では、孔や結合部材のそれぞれの寸法公差や位置公差の影響が積み重なり、破断強度にばらつきが発生しやすいため、意図した荷重が入力された場合に、第1端梁22の第2端梁23へ向けた移動を許容することが困難であったところ、本実施形態のように、ヒューズ部材Fの座屈を利用する構造とすることで、第1端梁22の第2端梁23へ向けた移動を許容する荷重のばらつきを抑制できる。その結果、意図した荷重が入力された場合に、第1端梁22の第2端梁23へ向けた移動を許容することができる。
【0055】
突設部材28及びスライド保持部23aからなる組(スライド機構)は、一対が配設され、それら一対のスライド機構は、エネルギー吸収部材27を挟んで車両幅方向(
図5上下方向)に対称に配置される。これにより、例えば、相手車両が車両幅方向に偏って衝突し、第1端梁22へ偏荷重が入力される場合であっても、第1端梁22を第2端梁23へ向けて真っ直ぐに案内(車両長手方向に沿って移動)させることができる。その結果、ヒューズ部材Fを意図した荷重で座屈させることができると共に、エネルギー吸収部材27を車両長手方向に沿って安定して圧縮させることができる。
【0056】
同様に、ヒューズ部材Fは一対が配設され、それら一対のヒューズ部材Fは、エネルギー吸収部材27を挟んで車両幅方向(
図5上下方向)に対称に配置される。これにより、ヒューズ部材Fの座屈時および座屈後の変形に要する荷重を車両幅方向において均一化できる。即ち、第1端梁22の第2端梁23に対する姿勢が傾いて、突設部材28がスライド保持部23a内でこじれることを抑制できる。その結果、スライド保持部23aに対する突設部材28のスライド変位をスムーズに行わせることができる。
【0057】
この場合、本実施形態では、スライド機構(突設部材28及びスライド保持部23aの組)は、ヒューズ部材Fよりも車両幅方向外側(
図5上側または下側)に配置される。これにより、例えば、相手車両が車両幅方向に偏って衝突し、第1端梁22に偏荷重が入力される場合であっても、第1端梁22を第2端梁23へ向けて真っ直ぐに案内(車両長手方向に沿って移動)させやすくできる。その結果、ヒューズ部材Fを意図した荷重で座屈させやすくできると共に、エネルギー吸収部材27を車両長手方向に沿って安定して圧縮させやすくできる。
【0058】
次いで、
図7から
図10を参照して、ヒューズ部材Fの詳細構成について説明する。
図7は、台枠10の部分拡大上面図である。
図8は、
図7のVIII−VIII線における台枠10の部分拡大断面図であり、
図9は、
図7のIX−IX線における台枠10の部分拡大断面図である。また、
図10は、
図8のX−X線における台枠10の部分拡大断面図である。
【0059】
図7から
図10に示すように、ヒューズ部材Fは、第1端梁22と第2端梁23との間を連結するチャンネル材50と、そのチャンネル材50に長手方向に沿って等間隔に固着される3枚の板状体(第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53)と、第1端梁22及びチャンネル材50に架設される第1ガセット板54と、第2端梁23及びチャンネル材50に架設される第2ガセット板55とを備える。
【0060】
チャンネル材50は、ヒューズ部材Fの骨格をなす部材であり、車両長手方向(
図7左右方向)に沿って延設されるウェブ50aと、そのウェブ50aの両端部(縁部)から立設される一対のフランジ50bとを備えた断面略コ字状に形成され、ウェブ50aが鉛直方向に平行とされる(フランジ50bが水平方向に平行とされる)姿勢で、ウェブ50aの長手方向端面とフランジ50bの長手方向端面とが第1端梁22及び第2端梁23にそれぞれ連結される。
【0061】
このように、ヒューズ部材Fは、断面略コ字状のチャンネル材50から形成されるので、通常時には、第1端梁22及び第2端梁23の連結強度を確保して、車端部の剛性の向上を図ることができる一方、衝突に伴い所定値を超える荷重を受けた場合には、速やかに座屈して、第1端梁22の第2端梁23へ向けた移動を許容することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、ヒューズ部材Fは、チャンネル材50の開放側(フランジ50bが立設される側)を車両幅方向外方(突設部材28側)に対面させる姿勢で配設される(
図5参照)。後述するように、ヒューズ部材Fは、基準位置Psを基点として、ウェブ50aの背面側(
図7下側)が外側(フランジ50bの立設側(
図7上側)が内側)に折り曲げられるモードでの座屈が可能とされる。即ち、チャンネル材50を、突設部材28から離間する方向へくの字に折り曲げることができる。
【0063】
よって、上述のように、開放側を突設部材28へ向けることで、折り曲げられたチャンネル材50が突設部材28に干渉することを抑制できるので、ヒューズ部材Fを突設部材28へ近接して配置することができる。これにより、スライド機構(突設部材28及びスライド保持部23a)によるスライド方向の案内効果を得やすくできるので、ヒューズ部材Fの座屈を安定的に形成できる。
【0064】
なお、チャンネル材50の厚み寸法(一対のフランジ50bの外面間の寸法、
図8及び
図9上下方向寸法)は、第1端梁22及び第2端梁23の厚み寸法と略同一に設定される。
【0065】
第1ガセット板54及び第2ガセット板55は、それぞれ上下2枚からなり、第1端梁22の上面および下面とチャンネル材50の各フランジ50bの外面とが第1ガセット板54により、第2端梁23の上面および下面とチャンネル材50の各フランジ50bの外面とが第2ガセット板55により、それぞれ接合される。
【0066】
これにより、衝突に伴う荷重が作用された際に、チャンネル材50の基端側(第1端梁22又は第2端梁23との連結部分)が先に座屈することを抑制できる。即ち、チャンネル材50の長手方向略中央部分(第1ガセット板54及び第2ガセット板55の間の領域)で折り曲げられるモードの座屈を確実に形成できる。その結果、ヒューズ部材F(チャンネル材50)を意図した形状に座屈させやすくすることができる。
【0067】
ここで、ヒューズ部材Fには、第1ガセット板54と第2ガセット板55との間における基準位置Psに、剛性が部分的に弱くされる低剛性部が形成され、かかる基準位置Ps(低剛性部)を基点とすることで、意図した形状で座屈するように構成される。低剛性部は、フランジ50bの立設高さを低くすることと、ウェブ50aの板厚を薄くすることで形成される。この低剛性部について、以下に説明する。
【0068】
ヒューズ部材Fには、フランジ50bのウェブ50aからの立設高さ(
図7上下方向寸法)が部分的に低くされることで、基準位置Psに低剛性部が形成される。これにより、衝突に伴う荷重が作用された際に、基準位置Ps(低剛性部)を基点として、ウェブ50aが折り曲げられるモードの座屈を発生させることができ、ヒューズ部材Fを意図した形状に座屈させやすくすることができる。
【0069】
特に、本実施形態では、チャンネル材50は、フランジ50bのウェブ50aからの立設高さが、第1ガセット板54と第2ガセット板55との間の領域において、基準位置Psへ向かうに従って連続的に低くされる(
図7参照)。即ち、フランジ50bの外縁が略V字状に形成される。これにより、衝突に伴い作用される荷重を基準位置Psに安定的に集中させることができるので、基準位置Ps(低剛性部)におけるウェブ50aの背面側(
図7下側)が外側(フランジ50bの立設側(
図7上側)が内側)に折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。
【0070】
また、ヒューズ部材Fには、ウェブ50aの板厚が薄くされることによっても、基準位置Psに低剛性部が形成される。これにより、衝突に伴い作用される荷重を基準位置Psに更に集中させることができるので、基準位置Ps(低剛性部)におけるウェブ50aの背面側(
図7下側)が外側(フランジ50bの立設側(
図7上側)が内側)に折り曲げられるモードの座屈をより確実に発生させることができる。
【0071】
この場合、本実施形態では、ウェブ50aの背面(フランジ50bの立設方向と反対側の面)に板状体(第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53)を固着することで、ウェブ50aの板厚に変化を持たせる。具体的には、第1板部材51と第2板部材52とを所定の間隔を隔てて固着することで、基準位置Psでは、板状体を非固着として、その板厚を部分的に薄くする。これにより、例えば、切削加工を施すことでウェブ50aの板厚を部分的に薄くする場合と比較して、工数を低減でき、その分、製品コストの低減を図ることができる。
【0072】
なお、第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53は、正面視横長の矩形状に形成される。よって、これら各板部材51〜53を、その長手方向をチャンネル材50(ウェブ50a)の長手方向に沿わせた姿勢でそれぞれ固着することで、ウェブ50aの長手方向に直交する方向(
図8上下方向)に等幅で延設される薄肉部分(板厚が薄くされる部分)を容易に形成することができる。
【0073】
ここで、ウェブ50aに開口を設けることで、基準位置Psに低剛性部を形成することも考えられる。しかしながら、開口により基準位置Psに低剛性部が形成される場合には、基準位置Ps(低剛性部)において、ウェブ50aがいずれの方向へ折れ曲がるかを規定できず、その折れ曲がる方向が不安定となる。これに対し、ウェブ50aの背面に板状体を固着することで基準位置Psに低剛性部を形成する構造によれば、ウェブ50aの折れ曲がる方向を安定的に規定できる。即ち、基準位置Ps(低剛性部)におけるウェブ50aの背面側(
図7下側)が外側(フランジ50bの立設側(
図7上側)が内側)に折り曲げられるモードの座屈を確実に発生させることができる。
【0074】
第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53は、上述したように、ウェブ50aの長手方向に沿って互いに等間隔に配置される(第1板部材51及び第2板部材52の間の間隔と第2板部材52及び第3板部材53の間の間隔とが同一とされる)。
【0075】
一方、各板部材51〜53からなる群は、ウェブ50aの長手方向において、第2端梁23側(
図8右側)へ偏って配置される。そのため、第1端梁22と第1板部材51との間には、各板部材51〜53どうしの間の間隔よりも大きな間隔が形成される一方、第3板部材53と第2端梁23との間には、隙間が形成されない(即ち、第3板部材53の縁部が第2端梁23に固着(連結)される)。
【0076】
これにより、ヒューズ部材Fと第2端梁23との連結部分における連結強度を高めて、かかる連結部分が折れ曲がることを抑制できる。よって、ヒューズ部材Fを意図した形状に座屈させやすくできる。
【0077】
即ち、第2端梁23の底面側には連結器5が配設され、かかる連結器5は第1端梁22よりも車両長手方向外方へ突出される(
図6参照)。そのため、相手車両に連結器5が先に衝突されることがあり、この場合には、連結器5から入力された荷重により車体2が妻構体70(第1端梁22)を下方へ向ける(頭を下げる)形態で変形されることで、ヒューズ部材Fには第2端梁23との連結部分に大きな曲げモーメントが作用される。
【0078】
よって、第3板部材53の縁部が第2端梁23の車両長手方向外方側(
図8左側)の面に固着され、ヒューズ部材Fと第2端梁23との連結部分における連結強度が高められていることで、上述した曲げモーメントに対抗でき、第2端梁23との連結部分においてヒューズ部材Fが折れ曲がることを抑制できる。
【0079】
また、各板部材51〜53からなる群が、ウェブ50aの長手方向において、第2端梁23側(
図8右側)へ偏って配置されることで、後述する第1位置P1及び第2位置P2におけるウェブ50aの板厚の変化を形成しつつ、第2ガセット板55の大型化を図ることができる。即ち、かかる第2ガセット板55の大型化も、上述した曲げモーメントに対抗して、第2端梁23との連結部分においてヒューズ部材Fが折れ曲がることを抑制することに有効となる。
【0080】
チャンネル材50のウェブ50aは、その背面に第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53が固着されることで、基準位置Psと、その基準位置Psよりも第1端梁22側となる第1位置P1と、基準位置Psよりも第2端梁23側となる第2位置P2との3箇所における板厚が薄くされる。
【0081】
よって、衝突時の荷重が作用された際には、ヒューズ部材Fを、基準位置Psでは、上述したように、ウェブ50aの背面側(
図7下側)が外側(フランジ50bの立設側(
図7上側)が内側)となる形態で折り曲げる一方、これとは逆に、第1位置P1及び第2位置P2では、ウェブ50aの背面側が内側(フランジ50bの立設側が外側)に折り曲げられるモードの座屈を発生させることができる。これにより、ヒューズ部材Fが座屈した後、そのヒューズ部材Fの変形に要する荷重を小さくすることができる。
【0082】
特に、本実施形態では、第1位置P1には、第1ガセット板54の縁部が位置すると共に、第2位置P2には、第2ガセット板55の縁部が位置するので、第1位置P1又は第2位置P2の一方または両方において、ウェブ50aが上述の形態で折り曲げられる際に、第1ガセット板54又は第2ガセット板55に拘束されたフランジ50bを、第1ガセット板54又は第2ガセット板55の縁部に沿って、切断させることができる。よって、ヒューズ部材Fが座屈した後、そのヒューズ部材Fの変形に要する荷重をより一層小さくすることができる。
【0083】
上述したように、妻柱72の下端は、第1端梁22の内面に連結されると共に、第2端梁23の内部には、板状の補強板29が、その外縁を第2端梁23の内面に連結させた状態で、配設される。
【0084】
この場合、妻柱72と補強板29とは、車両長手方向に沿って一直線上に配置され(
図10参照)、これら妻柱72及び補強板29とヒューズ部材Fとは、車両幅方向(
図10上下方向)位置が少なくとも一部で重なる位置に配置される。即ち、車両長手方向視(
図10左右方向視)において、妻柱72及び補強板29とヒューズ部材Fとが少なくとも一部で重なる。本実施形態では、妻柱72及び補強板29とチャンネル材50のウェブ50aとが車両長手方向に沿って一直線上に配置される。
【0085】
これにより、相手車両が妻構体70(
図4参照)に衝突した際、即ち、相手車両が第1端梁22よりも高い位置を中心に衝突された場合であっても、妻柱72を介して、衝突の際の荷重をヒューズ部材F(チャンネル材50のウェブ50a)へ伝達しやすくできる。その結果、ヒューズ部材Fを座屈させ、エネルギー吸収部材27によるエネルギーの吸収を可能とできる。
【0086】
また、相手車両が第1端梁22よりも高い位置で衝突したか第1端梁22に直接衝突したかに関わらず、荷重を受けたヒューズ部材F(チャンネル材50のウェブ50a)を補強板29が後方から支持することができるので、ヒューズ部材F(チャンネル材50)を確実に座屈させることができる。
【0087】
図5及び
図6に戻って説明する。低床台枠30は、車両幅方向(
図5上下方向)両側に位置し車両長手方向に延設される一対の側梁31と、車両幅方向に延設される複数の床受け梁36と、を備える。上述したように、鉄道車両1は、部分低床車として形成され、台枠10は、低床台枠30とその低床台枠30よりも上下位置が高くされる高床台枠20とが連結部材40により連結される台枠構造として形成される。この台枠構造について、
図11から
図13を参照して説明する。
【0088】
図11は、
図5のXI−XI線における台枠10の部分拡大断面図であり、
図12は、
図5のXII−XII線における台枠10の部分拡大断面図である。また、
図13は、車体2の部分拡大断面図であり、
図5のXI−XI線における断面に対応する。なお、
図13では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、主要な構成のみを図示する。
【0089】
図11から
図13に示すように、連結部材40は、断面矩形の鋼管(閉断面構造の鋼材)からなる本体部材41と、その本体部材41の長手方向両端部における外面から張り出して形成される上下一対のフランジ部材42とを備え、高床台枠20の枕梁25における枕梁延設部25bの下面と低床台枠30の側梁31の上面との間を連結する。
【0090】
なお、上下一対のフランジ部材42は、互いに平行な正面視矩形の板状体として形成され、上側のフランジ部材42は、高床台枠20における枕梁25(枕梁延設部25b)の下面と側梁21の下面とに連結される大きさ(幅寸法、
図12左右方向寸法)を有して形成される。
【0091】
上述したように、高床台枠20には、第2端梁23の車両幅方向中央に一端が連結され車両長手方向に延設される中梁24と、その中梁24の他端が連結される枕梁25とを備え(
図5参照)、低床台枠30の側梁31には、側構体60が連結される。よって、高床台枠20に車端圧縮荷重が入力された場合には、その車端圧縮荷重を、高床台枠20の中梁24・枕梁25から、連結部材40を介して、低床台枠30の側梁31へ直接伝達することができる。これにより、車端圧縮荷重を側構体60へ分散させることができ、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0092】
側構体60には、低床台枠30の側梁31に下端が連結されると共に上下方向(
図13上下方向)に延設される第1側柱63と、その第1側柱63を高床台枠20の側梁21に連結すると共に車両長手方向(
図13左右方向)に延設される第1骨部材65とが配設される。
【0093】
よって、高床台枠20に車端圧縮荷重が入力された場合には、その車端圧縮荷重を、高床台枠20の側梁21から、第1骨部材65を介して、第1側柱63へ伝達することができる。即ち、車端圧縮荷重を側構体60へ伝達する経路を、連結部材40による経路とは別に、更に確保することができる。これにより、車端圧縮荷重を側構体60へ分散させやすくでき、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0094】
この場合、側構体60の第1側柱63は、その上端が2階床部材90に連結される。よって、高床台枠20に車端圧縮荷重が入力された場合には、その車端圧縮荷重を、第1側柱63を介して、2階床部材90へも伝達することができる。これにより、車端圧縮荷重を、側構体60に加え、2階床部材90へも分散させることができ、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0095】
また、側構体60には、高床台枠20の側梁21に下端が連結されると共に上下方向(
図13上下方向)に延設される第2側柱64が配設され、かかる第2側柱64は、その長手方向の途中が2階床部材90に連結される。よって、高床台枠20に車端圧縮荷重が入力された場合には、その車端圧縮荷重を、その高床台枠20の側梁21から、第2側柱64を介して、側構体60及び2階床部材90へ伝達できる。これにより、車端圧縮荷重を側構体60及び2階床部材90へ分散させることができ、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0096】
この場合、側構体60の第2側柱64は、連結部材40(本体部材41及びフランジ部材42)が高床台枠20の枕梁25に連結される位置と車両長手方向(
図13左右方向)に略一致する位置において下端が高床台枠20の側梁21に連結されるので、高床台枠20に入力され、その高床台枠20の中梁24・枕梁25から伝達される車端圧縮荷重を、枕梁25・側梁21を介して、第2側柱64へ効率的に伝達することができる。これにより、車端圧縮荷重を側構体60へ分散させやすくでき、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0097】
更に、第2側柱64は、その上端が屋根構体80に連結される。よって、高床台枠20に車端圧縮荷重が入力された場合には、その車端圧縮荷重を、その高床台枠20の側梁21から、第2側柱64を介して、屋根構体80へも伝達できる。これにより、車端圧縮荷重を、側構体60及び2階床部材90に加え、屋根構体80へも分散させることができ、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0098】
ここで、連結部材40の本体部材41と同様に、第1側柱63、第2側柱64及び第1骨部材65が、断面矩形の鋼管(閉断面構造の鋼材)から形成される。よって、車端圧縮荷重を受けた際に、これら各部材(本体部材41、第1側柱63、第2側柱64及び第1骨部材65)が座屈することを抑制できる。その結果、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0099】
第1側柱63と第2側柱64との間には、間柱と複数の補強梁とが配設される(いずれも図示せず)。間柱は、上下方向(
図13上下方向)に延設され、2階床部材90と第1骨部材65との間を連結する。補強梁は、車両長手方向(
図13左右方向)に延設され、第1側柱63と間柱との間および間柱と第2側柱64との間を連結する。
【0100】
また、第1側柱63、第2側柱64及び間柱の車室側(外板と反対側、
図13紙面手前側)の面には、せん断プレートが張られる(固着される)。せん断プレートは、正面視略矩形の板状体であり、本実施形態では、第1側柱63と間柱との間、及び、間柱と第2側柱64との間に架設される形態で配設される。これにより、車端圧縮荷重に対する車両強度を確保することができる。
【0101】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0102】
上記実施の形態では、突設部材28の外形が断面矩形に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、外形が断面円形に形成されても良い。また、突設部材28が中空とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、中実であっても良い。
【0103】
上記実施形態では、ウェブ50aの板厚に変化を付与する(部分的に板厚が薄い箇所を形成する)方法として、ウェブ50aに複数の板状体(第1板部材51、第2板部材52及び第3板部材53)を固着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、ウェブ50aに切削加工を施すことで、ウェブ50aの板厚を部分的に薄くするものであっても良い。また、板状体を固着する方法と、切削加工を施す方法とを組み合わせても良い。