(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の磁石を保持し該第2の磁石を前記シャフトの前記端部に相互接続するように構成された磁石ホルダによって、前記第2の磁石が前記シャフトの前記端部にマウントされている、請求項1に記載のデバイス。
前記第2の磁石は、直径に沿って双極性に磁化された磁石を含み、該磁石が前記第2の磁気センサに対して可変の直交および平行の磁束を与えるように構成されている、請求項5に記載のデバイス。
前記第2の磁気センサと前記アナログインターフェイスとが、特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であるか、または、特定用途向け集積回路(ASIC)に設けられている、請求項9に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらのおよび他の観点、利点、および本教示の新規な特徴は、次に続く発明の詳細の説明を読み、添付の図面を参照すれば明らかになるであろう。図面において、同様の部材は、同様の参照番号を有する。
【0023】
本明細書で開示されるのは、高分解能の非接触式の位置検出デバイスの実施形態の例である。本明細書で説明されるように、そのような検出デバイスは、費用効果の高い態様で設計および実施可能である。ある実装形態では、そのような検出デバイスは、多回転検出デバイスとして作動するように構成可能である。
【0024】
図1は、位置検出デバイス600が、一実装形態で、角度位置センサ部602と、回転センサ部604とを含んでいてもよいことを模式的に示している。一実施形態で、回転センサ部604は、
図2〜
図18を参照して説明されるような1つまたは複数の方式で作動するように構成されていてもよい。また、そのような回転センサ部に関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれる「高分解能の非接触多回転位置センサ」という名称の米国特許出願公開第2011−0175601号(2010年1月18日に出願された米国出願第12/689,047号)にも見られる。
図19〜
図23は、どのように角度位置センサ部602が回転センサ部604と組み合わせられて、とりわけ、複数の回転を含み得る回転範囲にわたり高分解能の性能を生じさせることができるかということの例を示している。
【0025】
回転センサは、本明細書で説明されるように、有利な特徴を提供するように構成可能である。例えば、回転センサは、多回転の入力性能を提供するように構成されていてもよく、また、そのような入力の回転数は選択されてもよいし、プログラムされていてもよい。したがって、センサの回転位置分解能は、相対的に粗い分解能から相対的に高い(すなわち良好な)分解能へ調整可能である。別例で、回転センサは、検出部材と被検出部材との間の非接触の配置で、そのような機能を提供する構成であってもよい。そのため、一般に物理的に接触する構造に関連する様々な機械的な問題を避けることが可能である。
【0026】
一実施形態で、回転センサは、回転物体(シャフトなど)の回転運動を被検出部材の進行運動に変換するように構成可能である。検出部材は、被検出部材の進行位置を決定できるように、被検出部材に対する位置決めおよび配置がされていてもよい。一実施形態で、被検出部材のそのような進行位置は、シャフト固有の回転位置に対応していてもよい。
【0027】
図2は、そのような機能を提供できる回転センサ100を示している。一実施形態で、回転センサ100に関連する特徴のいくつかまたは全てが、
図1の回転センサ部604において実施可能である。
【0028】
一実施形態で、回転センサ100は、キャリア104に機械的に接続されたシャフト102のような回転物体を有していてもよい。機械的連結は、シャフト102の回転がキャリア104の進行運動に変換されるように構成可能である。一実施形態で、キャリア104のそのような進行運動は、シャフト102の回転軸線に実質的に平行な方向に沿った実質的な直線運動であってもよい。
【0029】
一実施形態で、シャフト102とキャリア104との間の機械的連結は、シャフト102上に、およびキャリア104によって画定された開口部の内側表面上に形成された係合ネジ部を含むことが可能である。そのようなネジ山が付けられた連結の例の追加的な詳細が、本明細書で説明されている。
【0030】
一実施形態で、係合ネジ部のリード値は、シャフト102の回転とキャリア104の進行との間の機械的なギア比を提供するように選択可能である。本明細書において説明する目的のために、様々な例示のネジが一条ネジの形態を有するという仮定のもと、用語「ピッチ」を用語「リード」と互換性を持って使用することが可能である。本開示の1つまたは複数の特徴は、多条ネジの形態のネジ部にも適用することが可能であるということが理解されるであろう。したがって、本説明において適切な場合には、2つの用語の区別がなされ得る。
【0031】
図2に示すように、回転センサ100は磁石106をさらに有していてもよく、この磁石106は、キャリア104上に配置され、キャリア104と一緒に運動可能である。進行運動方向に対する磁石106の異なる配向についての追加的な詳細が本明細書で説明されている。
【0032】
図2に示すように、回転位置センサ100は検出部材108をさらに有していてもよく、この検出部材108は、進行運動方向に沿った様々な位置で磁石106を検出する。検出部材108についての追加的な詳細が本明細書で説明されている。
【0033】
一実施形態で、様々な部品を保護し、取付けを促進するなどのために、回転位置センサ100がハウジング110をさらに含むことが可能である。ハウジングについての追加的な詳細が本明細書で説明されている。
【0034】
図3Aおよび
図3Bは、一実施形態では、シャフト102の第1の方向の回転(矢印120)により、キャリア104(および磁石106)が、シャフト102とキャリア104との間の機械的なギア比に基づき、第1の方向(矢印122)に直線的に運動してもよいことを示している。また、シャフトの反対方向の回転(矢印130)により、キャリア104(および磁石106)が第1の線形方向122と反対の第2の方向(矢印132)に直線的に運動することとなってもよい。
【0035】
シャフトおよびキャリアのそのような連結に基づいて、シャフト102の回転運動の範囲(Δα)(矢印140によって図示されている)が、キャリア104の2つの端部位置(144a、144b)により画定される磁石106の直線運動範囲(ΔY、矢印142によって図示されている)に対応していてもよい。一実施形態で、キャリア104および/または磁石106の直線運動をハウジング110の中に制限することが可能である。したがって、シャフト102の回転範囲(Δα)に対応する直線運動範囲(ΔY)が、キャリア104および/または磁石106の機械的に制限された範囲よりも小さくなるまたは等しくなるように、シャフト102とキャリア104との間の機械的連結が選択されていてもよい。
【0036】
図3Bは、直線運動方向を表す「Y」と共に例示の座標系を示している。示されている座標系は、単に、説明する目的のためであって、いかなる態様にも本開示の範囲を限定することを意図していないということが理解されるであろう。
【0037】
図4は、一実施形態においては、回転センサ100が様々な機能的な構成要素を含んでいてもよいことを示している。
図2および
図3を参照して説明されるように、機械的連結156は、シャフト(102)の回転運動を、磁石部158として表すことができる磁石(106)の直線運動に変換可能である。磁石の位置は検出部材(108)で検出でき、その検出部材(108)は磁場センサ要素154として表すことができる。
【0038】
一実施形態で、回転位置センサ100は、プロセッサ要素150とメモリ要素152を含んでいてもよく、それらは本明細書で説明されるように1つまたは複数の機能を提供するものであってもよい。一実施形態で、プロセッサ150およびメモリ152は、例えば、センサ100の較正レンジおよび作動ダイナミックレンジに関してプログラムできる機能を提供することが可能である。
【0039】
そのようなプログラム可能性により、一例として、所望の回転範囲(入力160として図示されている)の選択を容易にし、また、そのような範囲の中のシャフトの回転位置には、選択された出力範囲(出力170として図示されている)の中にある独自の出力値が与えられる。上記プログラム可能性についての追加的な詳細は本明細書で説明されている。
【0040】
一実施形態で、
図2および
図3に示された磁石106は多数の方式で構成可能である。
図5Aは、本明細書で説明されるような回転センサ100の1つまたは複数の実施形態で利用可能な磁石の非限定的な例を示す。例えば、磁石は、円筒形状の磁石(172a、172b、172c)または箱形状の磁石(172d、172e、172f)のような幾つかの他の形状の磁石であってもよい。
図5Aを説明する目的のために、斜線で埋められたパターンおよび埋められていないパターンは、双極子磁石の2つの磁極を示しているということが理解されるであろう。例えば、埋められていないパターンはN極を表し、斜線で埋められたパターンはS極を表すことができる。
【0041】
一実施形態で、磁石106は永久磁石であることが可能である。一実施形態で、永久磁石は、単一の双極子磁石であるか、組合せであるか、または2つもしくはそれ以上の双極子磁石であることが可能である。
【0042】
本明細書で説明する目的のために、永久磁石は、磁化された材料を含み実質的に永続する自分自身の磁場を発生させる磁石を含むことが可能である。そのような材料は、鉄、ニッケル、コバルト、および特定の希土類金属、ならびに幾つかのそれらの合金などの強磁性材料を含むことが可能である。
【0043】
本明細書で説明する目的のために、単一の双極子磁石は、一般的に「N」極および「S」極として参照されるようなものを有し、その結果、磁力線はN極からS極へ向かうように示されるということが理解されるであろう。単一の双極子磁石のために、磁化軸線は、磁石のN極およびS極を通って延びる線であるということが一般的に理解される。
【0044】
例示の磁石172aは、例えば、円筒の軸線に沿ってN極およびS極を有する円筒形状の磁石である。そのような構成では、磁化軸線は、円筒の軸線に対してほぼ同軸となっていてもよい。
【0045】
円筒形状の磁石172bの別の例では、N極およびS極は、円筒の方位角の半分であるように示されている。したがって、その磁化軸線は、円筒の軸線とほぼ垂直であることが推定される。2つ以上の磁石(例えば、172c、172f)を有する形状の磁石において、磁化軸線は、その形状の軸線に対して比較的単純な配向を形成しても、または形成しなくてもよい。本明細書で説明する目的のために、磁化軸線は、全体的な磁石の特性と、磁石によって発生させられる磁場パターンの局所的な特性との両方を含んでいてもよいことが理解されるであろう。
【0046】
本明細書で説明する幾つかの例では、磁化軸線は長手方向の磁石の運動に対して概して垂直であるように示されている。しかしながら、磁化軸線の他の配向も可能であるということが理解されるであろう。例えば、磁石構成172b、172c、172e、および172fは、図示のように位置付けられ、示されているY方向に移動させられたときに、垂直でない磁化軸線を生じさせることが可能である。
【0047】
図5Bは、一実施形態で、磁石106は、その磁化軸線182が長手方向の磁石の運動の方向(矢印174で示されている)に対して実質的に垂直となるように位置決めされた双極子磁石であってもよいことを示している。例えば、円筒形状の永久磁石は、そのN極およびS極が長手方向に対して実質的に垂直な磁化軸線182を略形成するように位置決めされてもよい。本明細書で説明されるように、そのような長手方向の運動は、磁石106が接続されたシャフト102の回転(120、130)によって起こり得る。また、本明細書で説明されるように、そのような長手方向の運動は、検出部材108に対し磁石の長手方向の位置を決定しやすくするように磁石106を検出部材108に対して動かせてもよい。
【0048】
図5Bに示されている例では、磁化軸線182は、磁石の形状(例えば、円筒)の軸線とほぼ同じであってもよい。
図5Cの例は、磁石106で生じた磁力線180のより局所的な図を示している。
図5C〜
図8Bに示されている磁石106は、
図5Bに示されているような双極子磁石との関連で説明されているが、1つまたは複数の双極子磁石を有する他の磁石構成によって、同様の磁場パターンが発生または近似させられることが可能であるということが理解されるであろう。
図5Cに示された磁化軸線182は、検出部材108に影響を与える局所的な磁場を示すことが可能である。
【0049】
一実施形態で、磁石106は、検出部材108のところもしくはその付近の磁場をあらわす磁化軸線182が進行運動方向に対して略垂直であるように、方向付けられていてもよい。一実施形態で、磁化軸線および長手方向の軸線が、検出部材108のほぼ中心を通って延在する平面を略画定するように、磁石106が位置決めされていてもよい。
図3Bに示されている例示の座標系との関連で、磁石106の磁化軸線は、そのような実施形態において、Z軸線にほぼ沿っている。本明細書で説明されるように、そのような構成は、望ましい特徴を提供することが可能である。
【0050】
図5Cは、検出部材108の側面図に対して、磁石106の磁極区域のより詳細な図を示している。図示のように、磁石106の磁化軸線182が、検出部材108によって画定された平面に対して概して垂直であるように示されている。
【0051】
磁石106によって生じた磁力線180も示されている。図示の磁極がN極であると仮定し、複数の磁場ベクトルが、
図3Bに示されている例示の座標系で分解された形態(B
ZおよびB
Y)で示されている。図示のように、磁場ベクトル184は、磁化軸線182周りにおいて略対称的である。したがって、磁場ベクトル184aのZ成分は、磁場ベクトル184dのZ成分と方向および大きさが概して同一であり、また、ベクトル184aのY成分は、ベクトル184dのY成分と方向が反対であるが、大きさが略同一である。同様に、磁場ベクトル184bは、磁場ベクトル184cの略鏡像である。
【0052】
上述に基づいて、B
Zの平均寄与度は、磁石がY方向に沿って移動するときにおいては、所定のY=0の周りに概して対称的である。そのような対称性は
図6AでB
Z曲線190として示されている。もし、B
Z成分が、検出部材108によって単独で計測されるとすれば、磁石の位置決定において不明確さがある可能性も、または不明確さがない可能性もある。例えば、もし、磁石の運動が検出部材の長手方向の片側に限定されるように検出部材108および磁石106が構成されている場合、計測されたB
Z成分は曲線190のY>0の部分のものとなるであろう。そのような状況では、単独のB
Z成分に基づいての位置決定における不明確さはないようである。しかし、もし、磁石の運動が検出部材の長手方向の両側で可能であるように、検出部材108および磁石106が構成されている場合、位置決定における不明確さの可能性があり、それは解決され得る。
【0053】
一実施形態で、進行運動方向(B
Y)に沿う磁場成分はB
Z成分と同時に計測可能である。
図5Cの例示の磁場表現184に基づいて、B
Yの平均寄与度は、磁石がY方向に沿って移動するとき、あるY=0周りに略非対称的である。そのような非対称性は
図6BのB
Y曲線192として示されている。したがって、Y=0周りのB
Zの不明確さは、Y>0のときにB
Y>0でありY<0のときにB
Y<0であるという非対称性によって解決され得る。
【0054】
一実施形態で、Y方向に沿った磁石の位置を、B
Y成分の値に基づいて特徴づけることができる。しかし、B
Z成分を利用することは多くの理由で有利である。例えば、(磁場検出平面に対する)垂直成分の検出は、通常、他の成分よりも好ましい。別の例では、B
Y曲線192はY=0において値0を通過する。したがって、Y=0およびY=0の近辺において、B
Y成分が0または比較的小さい値を有することとなる。結果的に、Y方向に沿った磁石の移動の中間部分であり得る位置において、SN比が、受け入れられない程度に低くなることがありうる。一方、B
Z成分はY方向に沿った磁石の移動の略同一の中間部分において最大値を有する。さらに、B
Z成分の最大値は、B
Y成分の最大値よりも通常極めて高くなりうる。
【0055】
図5Cに例示の磁石の向きは、上述の特徴に加えて、有利な特徴を提供することができるという他の考慮事項がある。そのような特徴は、磁石の向きの様々な偏りに対して出力(
図4の170)は比較的に感度が低いということを含むことが可能である。
【0056】
図7Aおよび
図7Bはキャリア104に装着された磁石106を示しており、それは磁化軸線に沿って示されている。そのような構成に関しては、キャリア104によるマウントが実現可能であって、該キャリア104は、磁石106の少なくとも一部分と同様の形状をした凹部(
図9の262)(例えば、円筒形状の磁石を受け入れるための円筒形状の凹部)を画定するものである。そのようなマウント構造との関連で言えば、
図7Aおよび
図7Bは次のようなことを示している:磁化軸線(
図7Aおよび
図7BのZ軸線に平行)に対する磁石106の方位角の向きが、略対称的な磁場であることから、検出部材(
図5Cの108)に到達する磁場180に一般に影響を与えない。異なる方位角方向を示すため、磁石106の上に指示部200が示されている。
【0057】
一実施形態では、磁石の磁化軸線が実質的にZ軸線に沿いX軸線およびY軸線の両方に垂直となるように、磁石106がキャリア104に装着されることが好ましい。しかし、様々な理由によって、磁化軸線はZ軸線から偏向することがあり、そのような偏向の例が
図8Aおよび
図8Bに示されている。
【0058】
図8Aでは、磁石−キャリア組立体の側面図により、装着された磁石の軸線182がZ軸線(210として示されている)から偏向し磁石106がY方向に傾いていることが示されている。
図8Bでは、磁石−キャリア組立体の端面図により、装着された磁石の軸線182がZ軸線(210として示されている)から偏向し、磁石106がX方向に傾いていることが示されている。ある状況では、磁石106は、
図8Aおよび
図8BのX傾斜およびY傾斜の組み合わせを生じさせるように傾くことがある。
【0059】
もし、磁石106が上記のように傾いている場合、磁場パターンが、
図6Aおよび
図6Bのような理想的パターンから逸脱する可能性がある。B
Z成分がB
Y成分よりも比較的大きく、Z軸線に対する偏向角が相対的に小さいことから、B
Zの正味の影響は相対的に小さい。さらに、たとえB
Z成分および/またはB
Y成分にかなりの偏向があるとしても、本明細書で説明されるような一実施形態では、プログラム可能性(プログラム可能であること)によりそのような偏向が示され、したがって、磁石の配向に対して出力を比較的低感度にすることができる。
【0061】
シャフト102は、図示のように、第1の端部230を有しており、その第1の端部230は、外部要素(図示せず)からシャフト102にトルクを伝達することを容易にするように構成されている。図示の例では、そのような目的のためのスロット302(
図10A)が第1の端部230によって画定されている。多数の異なる構成が可能であるということが理解されるであろう。
【0062】
シャフト102は、第2の端部232も有しており、それは、キャリア104に接続するように構成されている。図示の例では、シャフト102の第2の端部232と、キャリア104の係合開口部260とによって係合ネジ部パターンが画定されており、これにより、シャフト102の回転に応じてキャリア104の進行運動が容易になる。
【0063】
シャフト102の第2の端部232は、キャリア104の移動を限定するための保持クリップ256を受け入れるような寸法とされている。第2の端部232は先端部234(
図10A)を含み、この先端部234は、凹部304(端部キャップ272によって形成され同様の寸法となっている)によって受け入れられるような寸法となっており、これにより、シャフトの第2の端部232が制限される。
【0064】
図示の例では、シャフト102の第1および第2の端部(230、232)の間の部分は、スリーブ250に形成された開口部252の中に支持されるようような寸法となっている。スリーブ250は、ブッシング240およびワッシャ254によりハウジング110に固定されるような寸法となっている。これにより、スリーブ250と端部キャップ272の凹部304とでシャフト102が支持され、シャフトは、ハウジング110に対して正確に回転可能となっている。また、ブッシング240(および、したがってハウジング110)に対するシャフト102の長手方向の運動は、保持ワッシャ242およびワッシャ254によって制限される。
【0065】
一実施形態では、ブッシング240は雄ネジ部を有していてもよく、この雄ネジ部は装着ナット244と噛み合ってセンサ組立体の装着を可能にする。
図10Bに示すように、装着ナット244とハウジングとの間に調整空間312が設けられプレートのような様々な寸法の構造体への装着が容易になるように、ブッシングのネジ部のパターンは選択可能である。ワッシャ246により、そのような装着をさらに容易にすることができる。
【0066】
ある状況では、センサ組立体の全体形状を特定形態にすることが望ましいことがある。例えば、設計によっては、長手方向に見たときに丸い形態のハウジングが要求されることがある。より具体的には、設計選択によっては、シャフトの長手方向の軸線に対して円形形状のハウジングが要求されることがある。しかし、もし、ハウジング内部が円形形状にされ、かつ、キャリア中心を通って延在するシャフトと共にキャリアも円形形状にされている場合、何らかの回転抑制機能がないとするとシャフトの回転に応じてキャリアが回転することが抑制されないおそれがある。
【0067】
そのため、一実施形態では、ハウジング110の側壁部270は長手方向に見たときに「U字」形状に形成可能であり、また、それに合わせてキャリアが形成される。一実施形態では、「U字」の曲線部分は、実質的に半円形状であることが可能であり、シャフト102の長手方向の軸線は、そのような2つの半円によって形成されことになる円形の中心に位置決めされていてもよい。そのような構成は、前述の円形の設計選択の少なくともいくつかを収容することが可能である。一実施形態では、「U字」の側部は、キャリア104が回転することを抑制するように上方に延在していてもよい。
【0068】
一実施形態では、「U字」形状の側壁部270の上部部分がほぼ平坦であってもよく、これにより、平坦な回路基板に形成可能な回路組立体280が収容される。図示の例では、回路組立体280は、プリント回路基板の上の実質的な完成ユニットとして形成可能であり、プリント回路基板は、側壁部270の上部部分付近に形成された溝部276内をスライドするような寸法となっている。
【0069】
図9に示すように、一実施形態で、例示のキャリア104も側壁部270にフィットする「U字」形状を有し、シャフト102の回転に応じて、その中を長手方向にスライド可能である。キャリア104の上部部分は、側壁部270同様、回路組立体280を収容するように略平坦であってもよい。キャリアの「U字」形状の高さは、検出部材108から所望のZ距離(
図3Bの例示の座標系を参照)において、その上に(凹部262を介して)磁石106を装着することを可能とするように選択可能である。
【0070】
回路組立体280は、図示のように、1つまたは複数の電気接点282を含んでいてもよく、それらの接点は、端部キャップ272に適切に形成された穴を通じてハウジング110から延在していてもよい。一実施形態で、シール部材274が設けられていてもよく、このシール部材274は、回転センサデバイスの組立てを容易にし、ハウジング110の中の様々な要素に対して少なくともいくらかのシール機能を提供する。そのようなシール部材は、ガスケット、エポキシ、または、幾つかのそれらの組合せを含むことが可能である。
【0071】
図11は、回転位置センサの模式的組立
図320を示している。本明細書で説明されるような様々な要素の構成例および配置によって、回転位置センサは、特定の設計基準を満たしながら、比較的に簡易でかつコンパクトなパッケージで、磁場を検出する機能を提供できるということが分かる。
【0072】
図11および
図12Aに示すように、一実施形態で、ハウジングの側壁部270は、シールド290を容易に装着および除去できるように形成されたスロット324を有していてもよい。ある状況では、回転位置センサは、外部の電場および/または磁場、および/または放射線にさらされることがある。
【0073】
検出部材108は磁場を検出することで作動するものであるので、正確な計測のためには、磁場を、磁石106からの磁場に制限することが望ましい。したがって、一実施形態では、シールド290は、比較的高い透磁率を有する材料で形成可能である。例えばシールド290を形成するために、パーマロイおよびミューメタルなどの金属合金を使用可能である。
【0074】
図示のように、シールド290は、側壁部270の上部部分322に実質的に適合するような形状であってもよい。一実施形態で、カバー292は、その縁部をスロット324内にスライドさせて、カバー部分292と側壁部270の上部部分322との間にシールド290を挟み込むような寸法であってもよい。一実施形態で、カバー292は、(スロット324に装着されるために)シールド290よりも複雑なその形状を実現するために、プラスチックで比較的容易に形成可能である。
【0075】
ある作動条件では、回転位置センサは、X線、ガンマ線、荷電粒子、中性子、および/または他の電離放射線などの放射線にさらされる可能性がある。そのような放射線は、とりわけ長期間さらされると、回転センサの1つまたは複数の部品に対して有害な影響を有する可能性がある。例えば、検出部材108が、半導体材料および/または部品から形成される実施形態では、あるいは、半導体材料および/または部品に基づいて形成される実施形態では、放射線にさらされることによって、検出性能が劣化するおそれがある。
【0076】
図12Bは、一実施形態で、例示のシールド290が、ハウジング270を完全に取り囲むことなく、放射線328から検出部材108を効果的に遮蔽することを提供することが可能であることを示している。放射線328の概略の方向が知られている一般状況では、シールド290が検出部材108および/または他の(1つまたは複数の)要素を放射線から覆ってそれらがさらされることを低減するように、回転位置センサが方向付けられていてもよい。
【0077】
例えば、回転位置センサが、放射線に基づく治療デバイスまたは撮像デバイスのための患者用可動プラットフォームの位置を監視するために使用されることを考える。そのようなプラットフォームの多くは、スクリュージャッキによって動かされ、そのようなスクリュージャッキの回転を回転位置センサによって監視することで、プラットフォーム位置についての情報が提供される。そのような制御された臨床状況では、治療デバイスまたは撮像デバイスに関連する放射線の方向および量は、一般的によく知られている。したがって、シールド付きの回転位置センサは、放射線からの遮蔽効果を提供するように方向付けられていてもよい。
【0078】
一実施形態で、放射線シールド290は、特定の放射線の強度を弱めることでそのような放射線からの遮蔽効果をもたらすように、形成および寸法付けられていてもよい。重原子核を有する鉛のような材料は、X線およびガンマ線を遮蔽するのに適しているが、プラスチックまたはアクリルガラスなどのような比重の小さい材料は、エネルギ電子に対して適している。他のタイプの放射線に対して、他の材料も可能である。
【0079】
本明細書で説明されるように、容易に取付け/取外し可能なシールドを使用することは、放射線の安全性との関連で有利な特徴を提供しうる。放射線を劣化させる性能により、内部部品が遮蔽されているので、回転位置センサはより長い耐用年数を有することが可能である。長期間さらされることにより自身に与えられた放射線のためシールドを取り換える必要があるときには、シールドは、比較的容易に取り換えることができ、また、放射性シールドが比較的小さいサイズで簡易な形態であるため、安全に容易に格納または廃棄可能である。
【0080】
図13A〜
図13Fは、回転位置センサの一部分として使用可能なハウジング270の様々な非限定的な例を示している。また、本明細書で説明されるような1つまたは複数の特徴を有するシールド290の非限定的な例示の構成が示されている。
【0081】
図13Aは、例示のハウジング構成500を示している。ここでは、ハウジング270は、曲面の壁部502と、第1および第2の壁部504a、504bとを含み、これらの壁部は、「U字」形状壁部を形成するように曲面の壁部502から延在している。U字形状の壁部によって提供されることができる有利な特徴の例は、
図9および
図10を参照して、本明細書で説明されている。
【0082】
図13Aは、一実施形態で、キャリア104が、U字形状の壁部内側にほぼ一致し、U字形状の壁部の内部に対し長手方向に移動するように形成されていてもよいことをさらに示している。キャリア104の様々な特徴(例えば、検出部材108に対して長手方向の移動ができるようにシャフト102と接続すること、および、磁石106を保持すること)は、本明細書で説明されている。
【0083】
図13Bは、一実施形態で、曲面の壁部は、円形部516の一部分によって画定されていてもよいことを示している。例えば、例示のハウジング構成510では、曲面の壁部は、円形部516の一部である半円形部512によって画定されていてもよい。一実施形態で、曲面の壁部を画定する円形部の一部分は、半円形部に関連して約180度よりも大きいかまたは小さく延在する円弧であることが可能である。
図13Bに示されている例では、半円形壁部512を画定する円形部516の中心は、シャフト102の中心と実質的に同軸であることが可能である。
【0084】
図13Bにさらに示すように、第1の壁部514aおよび第2の壁部514bは、ハウジング270のU字形状の壁部を形成するように半円形壁部512から延在していてもよい。一実施形態では、キャリア104は、U字形状の壁部の曲線部分内部に実質的に一致するように形成可能である。例えば、キャリア104の曲線部分は、例示の半円形壁部512に一致するように、図示された円形部518の一部分である半円形部によって画定可能である。
【0085】
図13Cおよび
図13Eは、U字形状のハウジングの上部部分が、多数の異なる方式で構成可能であるということを示している。
図13Cの例示の構成520は、キャップ壁部524が、522a、522bで示された実質的に四角の角部を形成するように、側壁部(例えば、
図13Bの514a、514b)に接続可能であることを示している。
図13Eの例示の構成540は、キャップ壁部544が、542aおよび542bとで示された丸い形の角部を形成するように、側壁部(例えば、
図13Bの514a、514b)に接続可能であるということを示している。
【0086】
図13Dおよび
図13Fは、本明細書で説明されるような1つまたは複数の機能を有するシールド290は、多数の方式で形成可能であるということを示している。
図13Dの例示の構成530では、シールド290は、
図13Cのハウジングの例示の四角形状の角部(522a、522b)の上部部分に、ほぼ一致するように形成でき、シールド290は、532aおよび532bで示された略四角形の角部を含むようになるということを示している。
図13Fの例示の構成550は、シールド290は、
図13Eのハウジングの例示の丸い形の角部(542a、542b)の上部部分に、概して適合するように形付け可能であり、シールド290は、552aおよび552bとして示された概して丸い形の角部を含むようになるということを示している。
【0087】
図13A〜
図13Fを説明する目的のために、「上部」および「側部」などの用語は、U字形状の壁部に関連する異なる部品の相対的な位置との関連で使用され、回転位置センサが、全体としてそのように位置付けられる必要があるということを意味すると解釈されるべきでないということが理解されるであろう。明確化のために、U字形状のハウジングを有する回転位置センサの実施形態に対して、センサは、必要または要望に応じて、任意の態様(例えば、上部が開いている「U字」、下部が開いている「U字」、横が開いている「U字」、またはそれらの任意の組合せ)で方向付けられていてもよいことが理解されるであろう。
【0088】
図4を参照して本明細書で説明するように、回転位置センサ100の一実施形態は、例えばセンサ100の較正レンジおよび作動ダイナミックレンジに関してプログラム可能な機能を有していてもよい。
図14および
図15は、そのようなプログラム可能性の例を示している。
【0089】
図14において、較正システム330は制御装置332を含んでいてもよく、この制御装置332は、制御されたシャフト102の回転(矢印338)を実現するためにアクチュエータ336(ライン334として示されている)に接続されている。制御された回転(例えばステップ状)に応じて、磁石106がハウジング110内の選択長手方向の運動範囲(350として示されている)において検出部材108に対して移動することが示されている。制御されたそれぞれの磁石の位置において、出力信号は、コネクタ342を介した接点282を通して収集可能であり、そのような信号は、処理のために制御装置332へ提供可能である(ライン340)。
【0090】
前述の態様で得られた較正データ360は、多数の方式で表すことが可能である。
図15の例のグラフ360に示されているように、電圧などの出力と角度位置αなどの入力との関係を得てもよい。多数の角度位置において得られた(例えば、Δα毎に得られた)複数の較正データ点362についての、直線380のような曲線は、出力電圧および入力角度位置との間の関係を示すのに適していることが可能である。そのような代表的な曲線に適するということは、一般的に知られている多数の方式で実現可能である。
【0091】
ある状況では、較正データ点の(1つまたは複数の)位置は、代表的な曲線から体系的に偏向する可能性がある。例えば、角度位置αの上限近辺のデータ点は、直線380(角度範囲の主要部分の代表)から偏向しているように示されている。そのような偏向は、多数の理由によって起こりうる。説明する目的のために、体系的な偏向は、偏向曲線370によって表されるように示されている。
【0092】
一実施形態で、所望の出力表現を生じさせるように出力を調整するために、1つまたは複数の補正を行うことが可能である。例えば、出力電圧が、角度位置αの画定された範囲内において実質的に線形関係として表すことができるように、体系的な偏向370が調整可能(矢印372)である。
【0093】
一実施形態で、較正された入力と出力との関係についての情報は、回転位置センサ100の作動中に取り出せるように格納可能である。例えば、そのような情報は、ルックアップテーブル、関係を代表するアルゴリズムに対する1つまたは複数のパラメータ(例えば、もし線形関係が使用されるなら、傾斜および中断パラメータ)などを含む多数のフォーマットのうちの1つで、
図4のメモリ要素152に格納可能である。
【0094】
図16は、
図14および
図15を参照して説明された較正プロセスの1つまたは複数の特徴を実現するために実施されうる例示のプロセス400を示している。プロセスブロック402では、角度位置センサ100のシャフトは、回転運動の所望範囲の第1のリミット(例えば下限)を示す第1の位置(α
1)まで回転してもよい。次に、プロセス400は、インクリメンタルステップにおいて計測が行われる反復シーケンスに入ることが可能である。そして、決定ブロック404において、プロセス400は、現在の角度位置αが、回転運動の所望範囲の第2のリミット(例えば上限)を示す第2の位置(α
2)よりも小さいかどうかを決定する。もし、答えが「はい」ならば、プロセス400は、計測の別の反復を継続する。プロセスブロック406では、現在のシャフト位置αで較正計測値を得ることができる。プロセスブロック408では、シャフト位置をΔαずつ徐々に増やして変化させてもよく、プロセス400は、最新の角度位置で決定ブロック404の試験を実施することが可能である。
【0095】
もし、決定ブロック404において、答えが「いいえ」ならば、(もしあるなら)体系的な補正が、プロセスブロック410において随意的に適用可能である。プロセス412において、代表的な出力応答(例えば、線形出力応答)を得ることが可能である。プロセスブロック414において、代表的な出力応答についての情報は、角度位置センサ100の作動中に取り出して使用できるように格納可能である。
【0096】
一実施形態で、較正の特性が、承認されていない較正および/または出力応答についての情報を変更することを禁止するロック機構を含んでいてもよい。ある状況では、そのようなロックは、加工施設などのような承認された設備において実施される較正プロセスの後に生じることが可能である。
【0097】
ある状況では、較正特性および/または較正情報をロックした後に、調整、カスタマイズなどのための少なくともいくらかの性能を提供することが望ましいことがある。一実施形態で、較正特性は、承認された関係者がそのような機能の少なくともいくらかをロック解除できるようにするキー(例えば、電子キー)を、さらに含んでいてもよい。ロックする、ロック解除する、および前述についての関連の動作は、既知の態様で実現可能である。
【0098】
図14〜
図16を参照した前述の説明では、出力と入力との線形関係は、多数の可能な関係のうちの1つであるように説明されている。一実施形態で、そのような線形関係は、検出部材108に対する磁石の進行位置から生じることが可能である。
【0099】
例えば、一実施形態で、検出部材108は、磁場の3つの成分(B
X、B
Y、B
Z)を検出する性能を有する集積回路であってもよい。そのような集積回路(IC)は、例えば、Melexis Microelectronic Systemsによって製造されるホール検出モノリシックセンサIC(MLX90333モデル)を含むことが可能である。例示のICベースのセンサ部材についての追加的な情報は、製造者のウェブサイトhttp://melexis.comにおいて入手可能な様々な文献(アプリケーションノートを含む)において見つけることが可能である。
【0100】
2つ以上の磁場成分を検出する性能を有するセンサ部材(例示のMelexisセンサなど)について、B
Zおよび長手方向の成分(例えば、B
Y)は、(センサ部材に対する)磁石の長手方向位置とほぼ線形関係を有する量を生じさせることが可能である。例えば、θ=arctan(B
Y/B
Z)(θは、
図5Cに示されるように画定される)は、Y軸線に沿って磁石の長手方向位置に対してほぼ線形の応答を生じさせることが可能である。
【0101】
一実施形態で、そのような例示の量θとY位置との間のほぼ線形の関係は、量θとシャフトの角度位置(α)との間のほぼ線形の関係を得るために拡張可能である。シャフトの角度位置(α)は、通常、実質的に一様なネジ部によって接続された磁石キャリアの進行運動と線形関係を有するので、そのような関係の拡張は容易にできる。
【0102】
一実施形態で、シャフトの角度位置(α)と磁場の量θとの間の例示の線形関係には、所望の出力範囲の選択を可能にする振幅パラメータを与えることが可能である。例えば、振幅パラメータは、約0と5ボルトとの間の範囲において出力値を生じさせるように選択可能である。
【0103】
前述の例は、磁場成分の幾つかの組合せから生じうる略線形の特性との関連で説明されているが、そのような検出された量は、最初に線形である必要は必ずしもないということが理解されるであろう。例えば、
図6を参照して説明された例示のB
Yおよび/またはB
Z成分は、一般的に既知の技術を較正データ点および/または代表曲線に適用することによって、直線にすることが可能である。
【0104】
一実施形態で、回転位置センサ100の出力は、入力回転に応答して線形である必要は全くない。しかし、シャフトの角度位置のそれぞれは、独自の対応する出力を有することが好ましい。
【0105】
本明細書で説明された様々な例では、回転位置センサ100の出力は、電圧であるとして説明される場合がある。しかし、出力は、多数の異なる形態であり得るということが理解されるであろう。出力は、デジタルフォーマットまたはアナログフォーマットのいずれかであり、それに限定されないが、パルス幅変調またはシリアルプロトコルに基づいた信号を含んでいてもよい。
【0106】
一実施形態では、回転位置センサ100の出力は、処理されたフォーマットであることが可能である。そのような処理は、例えば、増幅および/またはアナログ−デジタル変換を含んでいてもよい。
【0107】
一実施形態では、磁石の進行位置(そして、したがってシャフトの角度位置)を検出することによって、そのような位置が変化する速度を決定すること可能にすることができる。したがって、
図17に模式的に示すように、センサシステム420は、本明細書で説明されるような特徴を有する位置決定部422と、任意で速度部424とを含むことが可能である。一実施形態で、速度部は、本明細書で説明されるような位置計測と時間情報(例えば、サンプリング期間)とを組み合わせることによって、シャフトの瞬間的な回転速度の平均または概算を決定するように構成可能である。一実施形態で、そのような速度決定は、シャフトの角度加速度の評価に拡張可能である。
【0108】
図18Aおよび
図18Bは、回転位置センサを使用可能なシステムの非限定的な例を模式的に示している。
図18Aに示されている1つの例示のシステム430では、回転位置センサ440は、アクチュエータ432と制御されたデバイス444との間に配置されていてもよく、このデバイス444は、機械的連結436を介してアクチュエータ432によって機械的に駆動される。したがって、アクチュエータ432の機械的な出力(矢印434)は、例えば、シャフトを介してセンサ440に接続可能であり(矢印438)、その機械的な駆動は、センサ440を通じて持続し、制御されたデバイス444へ伝達されてもよい(矢印442)。
【0109】
センサ440は、例えば、機械的連結の回転状態(例えば、シャフトの回転位置)の決定を容易にするように、本明細書で説明されるように作動することが可能である。図示のように、センサ440は制御装置450と連通していていてもよく、この制御装置450は、センサの出力に応じてアクチュエータ432を制御(ライン452)するように構成されている。一実施形態では、アクチュエータ432(および、したがって制御されたデバイス444)をそのように検出および制御することは、フィードバック制御システムとして構成可能である。
【0110】
図18Bは、
図18Aのシステムの変形形態であり得る別の例示のシステム460を示している。例示の構成460では、機械的連結466は、アクチュエータ462から機械的出力(矢印464)を受け、別々の機械的出力472および468を提供するように構成されていてもよい。出力472は制御されたデバイス474に提供可能であり、出力468はセンサ470に提供可能である。
図18Aに例示のシステム430と同様に、センサ470は、アクチュエータ462を制御(ライン482)するように構成された制御装置480に出力434を提供することが可能である。繰り返しになるが、そのような検出およびアクチュエータ462を制御することは、フィードバック制御システムとして構成可能である。
【0111】
図18Aおよび
図18Bを参照して説明されるように、例示の構成430は、直列型監視システムであると考えることが可能であり、例示の構成460は、並列型監視システムであると考えることが可能である。また、他の監視および/またはフィードバック構成も可能である。
【0112】
図2〜
図18の例示の回転センサ100との関連で説明されているが、本開示の1つまたは複数の特徴は、他の回転センサの設計を用いて実施可能であることが理解されるであろう。
図2〜
図18の回転センサ100の例示の関連では、
図1の位置検出デバイス600は、
図19〜
図21に示されているデバイス610として実施可能である。
図19は、デバイス610の組立図を示している。
図20は、デバイス610の分解図を示している。
図21は、デバイス610の切断図を示している。
【0113】
図20の分解図に示すように、
図1の回転センサ604は、センサ組立体630として実装可能である。そのようなセンサ組立体についての追加的な詳細は
図2〜
図17を参照して本明細書で説明されている。
【0114】
図20および
図21は、一実施形態で、
図1の角度位置センサ602はセンサ組立体620として実装可能であるということを示している。角度位置センサ620は磁石702を含むことが可能であり、磁石702は、装着部材704によってデバイス610の回転可能軸632に装着されている。角度位置センサ620は、回路基板706に装着された磁気センサ700をさらに含むことが可能である。一実施形態では、角度位置センサ620は、特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であるように構成可能である。一実施形態では、磁石702と磁気センサ700とは、実質的に非接触となるように互いに位置決めされていてもよい。磁石702および磁気センサ700に関連する例の追加的な詳細は、本明細書でより詳しく説明されている。
【0115】
図22Aおよび
図22Bは、磁石722(
図20および
図21の702)の例示の構成720、ならびに磁気センサ726(
図20および
図21の700)に対するその非接触の位置についての分離された側面図および軸線方向図を模式的に示している。磁石722は、回転可能軸724(
図21の632)に装着されるように示されている。
図22Aおよび
図22Bでは、磁石ホルダ(例えば、
図20および
図21の704)は示されていない。
【0116】
一実施形態で、可変の直交および平行の磁束を磁気センサ726に生じさせるように、磁石722は直径に沿って双極性に磁化されていてもよい。一実施形態で、そのような磁石は、例えば、約1mm±0.5mmの作動距離だけ磁気センサから分離されていてもよく、磁気センサ726は、磁石722の角度位置を10〜14ビットの分解能で読み取るように構成可能である。また、他の分離距離および/または他の分解能も利用することが可能である。
【0117】
図23A〜
図23Dは、磁気センサ726に対する
図22A、
図22Bの磁石722(およびしたがって回転可能軸724)の角度位置を決定するように、どのようにそのような磁束を検出できるかについての例を示している。一実施形態で、磁気センサ726は、H1〜H4として示されているホール効果センサを有する直交ホール効果センサ組立体752を含んでいてもよい。そのようなホール効果センサは、一体型のセンサとして形成されても、または形成されなくてもよい。磁気センサ726はホール効果センサとの関連で説明されているが、他のタイプのセンサも、実装可能であるということが理解されるであろう。例えば、正弦−余弦磁気抵抗センサ(MR)または巨大磁気抵抗センサ(GMR)を、例えば、ブリッジ構成で利用することが可能である。
【0118】
図23Aは、幾つかの実施で、磁気センサ組立体752は、正弦−余弦センサとして作動するように構成可能であり、磁気センサ組立体752における直交および平行の磁束(例えば、
図23Bの760)の変化は、直角位相の正弦および余弦として近似可能であるということを示している。ホール効果センサのそのような出力はアナログインターフェイス750によって処理可能であり、そのインターフェースは、1つまたは複数の出力(758)を生じさせるように、増幅および調整(754)ならびにデジタルデータ(756)への変換などの機能を提供するように構成されている。一実施形態では、前述の読み出し装置の後置部分は、A/D、D/Aおよびシリアル通信性能を備えたプログラム可能なインターフェースを提供するように構成可能である。
【0119】
図23Aおよび
図23Bに示されている例では、ホール効果センサH1〜H4は、それぞれ+正弦、+余弦、−正弦、−余弦の信号を出力するように示されている。そのような信号は、電流(I)と磁場(B)との相互作用から生じるホール電圧(V
H)に基づくものであってもよい。したがって、そのような信号を検出することは、以下のように表すことができる磁束値H1〜H4を生じさせることが可能である。
【0122】
異なる読み出しに基づき、信号は、正弦および余弦信号として近似可能である。そのような信号は、磁気センサに対する磁石の角度変位(A)を計算するために使用可能である。例えば、量Aを以下のように評価することが可能である。
【0124】
したがって、
図23Cに示すように、直交位相における正弦および余弦信号(784、780)の読出しは、位相角αと線形であるとして評価することができる磁石の角度変位(A)を生じさせることが可能である。そのような線形の推定が傾斜線782、786、および788によって示されている。
【0125】
一実施形態で、ホールセンサの振幅は、機械的なミスアライメント、内部の磁場変化、温度変化、および/または外部の磁場などの効果によって変化することが可能である。しかし、
図23Dに示すように、そのような効果は、信号振幅に影響を与える可能性があるであろうが、正弦/余弦比には影響を与えないであろう。したがって、正弦/余弦比または位相角αによって角度変位を評価する前述の例は、安定したセンサを生じさせることが可能である。
【0126】
図19〜
図21の例示のデバイス610を参照して、0から360度の範囲において角度位置センサ620が前述の角度変位値Aを生じさせることを考える。さらに、そのような角度変位値Aを、例えば、14ビットの分解能によって計測することが可能であるということを考える。一実施形態で、デバイス610の高い分解能は、角度位置センサ620によって提供可能であり、回転センサ630が比較的低い分解能(例えば、4ビット)を備え、回転可能軸632によってなされた回転数を計数するように構成可能である。そのような構成によれば、角度位置センサ620によって回転運動の全範囲を通じて提供された角度毎の分解能を維持することが可能であり、ある状況では、回転運動は、回転可能軸632の複数の回転を含むことが可能である。したがって、角度位置センサ620の高分解能と組み合わせられて回転カウンタとして作動する回転センサ630は、回転運動の広い範囲にわたって高分解能の位置検出デバイスを生じさせることが可能である。
【0127】
角度位置センサ620が14ビットの分解能を提供するように構成され、回転センサ630が4ビットの性能を提供するように構成された前述の例では、回転センサ630は、0から15までの回転数を決定することができる。それぞれの回転の中で、角度位置センサ620は、約0.02°(360/(2
**14))の角度分解能を提供することが可能である。回転センサ630が回転数の情報を提供しているので、0から15度の範囲の中の任意の回転の角度位置は、0.02°の分解能の利益を享受できる。したがって、全範囲の運動についての角度分解能は、0.02°に維持され、0以上15以下の回転の範囲にわたり18ビットの角度分解能を効果的に生じさせる。
【0128】
もし、角度位置センサ620が使用されない場合、デバイス610の角度分解能は、(
図2〜
図18を参照して説明されたような)直線位置検出モードで作動する回転センサ630に依存してもよい。そのようなモードでは、所定の角度分解能を維持するために、回転数を増加させることがビット分解能の増加を伴ってもよい。
【0129】
したがって、本明細書で説明されるように、回転計数能力を含むように構成された、角度位置センサ(例えば、620)および回転センサ(例えば、630)の組合せにより、複数の回転にわたり高い角度分解能を有するデバイスが構成されうる。本明細書で説明される1つまたは複数の概念は、他の構成で実施可能であるということが理解されるであろう。例えば、回転を計数することは、ある他の検出デバイスによって提供可能である。さらに、角度変位は、1つまたは複数の他の技術を使用して計測可能である。
【0130】
一実施形態で、
図2〜
図18を参照して説明された回転センサに関連した遮蔽、ハウジング、および/または較正などの様々な特徴のいくつかまたは全ては、
図19〜
図21を参照して説明された位置検出デバイス610において実施可能である。
【0131】
本開示は、様々な特徴を説明しており、そのうちの1つだけが、単独で、本明細書で説明される利益に関与しているのではない。当業者には明らかであるように、本明細書で説明される様々な特徴は、組み合わせられ、修正され、または省略可能であるということが理解されるであろう。本明細書で具体的に説明されるもの以外の、他の組合せおよびサブコンビネーションが、当業者には明らかであろう。そして、それらは、この開示の一部を形成することが意図されている。様々な方法が、様々なフローチャートステップおよび/またはフェーズに関連して、本明細書で説明されている。多くのケースでは、フローチャートに示された複数のステップおよび/またはフェーズが、単一のステップおよび/またはフェーズとして実施されることができるように、特定のステップおよび/またはフェーズを一緒に組み合わせることが可能であるということが理解されるであろう。また、特定のステップおよび/またはフェーズは、別々に実施される追加的なサブコンポーネントに分解可能である。ある場合では、ステップおよび/またはフェーズの順序は、再編成可能であり、特定のステップおよび/またはフェーズは、完全に省略可能である。また、本明細書で説明された方法は、変更可能であり、また、本明細書で示され説明された、それらに対する追加的なステップおよび/またはフェーズも実施することが可能であるということが理解されるべきである。
【0132】
本明細書で説明されたシステムおよび方法のある観点は、例えば、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、およびファームウェアの任意の組合せを使用して、有利に実施可能である。コンピュータソフトウェアは、実行時に本明細書で説明された機能を実施するコンピュータ可読媒体(例えば、一時的でないコンピュータ可読媒体)に格納されたコンピュータ実行可能コードを含むことが可能である。一実施形態で、コンピュータ実行可能コードは、1つまたは複数の汎用コンピュータプロセッサによって実行される。本開示を参照して、当業者は、汎用コンピュータで実行されるソフトウェアを使用して実施されることができる任意の特徴または機能が、ソフトウェア、ハードウェア、またはファームウェアの異なる組合せを使用して実施されることも可能であるということを認識するであろう。例えば、そのようなモジュールは、集積回路の組合せを使用して、完全にハードウェアの中で実施可能である。別法としてまたは追加的に、そのような特徴または機能は、汎用コンピュータを使用するよりも、本明細書で説明された特別の機能を実施するために設計された専用コンピュータを使用して、完全にまたは部分的に実施可能である。
【0133】
複数分散コンピューティングデバイスを、本明細書で説明されたコンピューティングデバイスの任意の1つの代わりに用いることが可能である。そのような分散型の実施形態では、ある機能がそれぞれの分散コンピューティングデバイスで実施されるように、1つのコンピューティングデバイスの機能は、(例えば、ネットワークにわたり)分散される。
【0134】
ある実施形態を、等式、アルゴリズム、および/またはフローチャート図を参照して説明することが可能である。これらの方法は、1つまたは複数のコンピュータで実行可能なコンピュータプログラム指令を使用して実施可能である。また、これらの方法は、それぞれ別々のコンピュータプログラム製品として、または装置もしくはシステムのコンポーネントとして実行されることも可能である。この点で、それぞれの等式、アルゴリズム、ブロック、またはフローチャートのステップ、およびそれらの組合せは、コンピュータ可読プログラムコードロジックで具現化された1つまたは複数のコンピュータプログラム指令を含むソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェアによって実施可能である。認識されるように、それらのコンピュータプログラム指令は、マシーンを作るために、汎用コンピュータまたは専用コンピュータの限定なしに1つまたは複数のコンピュータにロードされ、または、他のプログラム可能な処理装置にロード可能であり、(1つまたは複数の)コンピュータまたは(1つまたは複数の)他のプログラム可能な処理デバイスで実行されるコンピュータプログラム指令は、等式、アルゴリズム、および/またはフローチャートで特定された機能を実施するようになっている。また、それぞれの等式、アルゴリズム、および/またはフローチャート図の中のブロック、ならびにそれらの組み合わせは、特定の機能もしくはステップ、または、特殊目的のハードウェアおよびコンピュータ可読プログラムコードロジック手段を実施する特殊目的のハードウェアベースのコンピュータシステムによって実施可能であるということも理解されるであろう。
【0135】
さらに、コンピュータ可読プログラムコードロジックにおいて具現化されるようなコンピュータプログラム指令をコンピュータ可読メモリ(例えば、一時的でないコンピュータ可読媒体)に格納することも可能である。コンピュータ可読メモリは、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプログラム可能な処理デバイスに特定の態様で機能するように指示することが可能であり、コンピュータ可読メモリに格納された指令は、(1つまたは複数の)フローチャートの(1つまたは複数の)ブロックにおいて特定された(1つまたは複数の)機能を実施するようになる。また、コンピュータプログラム指令は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプログラム可能なコンピューティングデバイスにロードされ、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプログラム可能なコンピューティングデバイスにおいて実施される一連の作動ステップを引き起こし、コンピュータで実行されるプロセスを作り出し、コンピュータまたは他のプログラム可能な処理装置で実行される指定が、(1つまたは複数の)等式、(1つまたは複数の)アルゴリズム、および/または(1つまたは複数の)フローチャートの(1つまたは複数の)ブロックにおいて特定された機能を実施するためのステップを提供するようになることが可能である。
【0136】
本明細書で説明された方法およびタスクのいくつかまたは全ては、コンピュータシステムによって実施され、および完全に自動化可能である。あるケースでは、コンピュータシステムは、ネットワーク上で説明された機能を実施するように通信および相互運用する複数の別個のコンピュータまたはコンピューティングデバイス(例えば、物理サーバ、ワークステーション、ストレージアレイなど)を含む。そのようなコンピューティングデバイスのそれぞれは、メモリまたは他の一時的でないコンピュータ可読ストレージ媒体またはデバイスに格納されたプログラム指令またはモジュールを実行するプロセッサ(または複数のプロセッサ)を含む。開示された機能のいくつかまたは全ては、別法として、コンピュータシステムの特定用途向け集積回路(例えば、ASICまたはFPGA)において実施されることも可能であるが、本明細書で説明された様々な機能は、そのようなプログラム指令において具現化可能である。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、そうする必要はないが、同一場所に配置可能である。開示された方法およびタスクの結果は、固体メモリチップおよび/または磁気ディスクなどの物理ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって永続的に格納可能である。
【0137】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、明らかに文脈上他の意味に解すべき場合を除き、用語「comprise」、「comprising」などは、排他的なまたは網羅的な意味とは反対の包含的な意味に、すなわち「含むが、それに限定されない」という意味に解釈されるべきである。本明細書で一般的に使用されるように、用語「接続された」は、直接接続されるか、または1つまたは複数の中間部材によって接続可能である2つ以上の部材に関連する。さらに、用語「本明細書で」、「上述の」、「以下の」、および同様の意味の用語は、この出願で使用されるとき、全体としてこの出願に関連するべきであり、この出願の任意の特定の部分に関連するべきではない。また、文脈が許せば、単数形または複数形を使用する上述の発明の詳細な説明の中の用語は、それぞれ複数または単数も含むことが可能である。2つ以上の項目のリストを参照した用語「または」は、その用語の次の解釈の全て、すなわち、リストの中の任意の項目、リストの中の項目の全て、および、リストの中の項目の任意の組合せを含む。用語「例示の」は、本明細書で「例、実例、図解例としての役割を果たす」ということをもっぱら意味するために使用されている。「例示」として本明細書で説明された任意の実施は、他の実施を超えて好ましいまたは有利であるとして解釈される必要はない。
【0138】
本開示は、本明細書で示された実施に限定されることを意図していない。この開示の中で説明された実施に対する様々な修正例が、当業者にとって明白であり、本明細書で画定された包括的な原理は、この開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実施に適用可能である。本明細書で提供された発明の教示は、他の方法およびシステムに適用可能であり、上述の方法およびシステムに限定されず、上述の様々な実施形態の部材および行為は、さらなる実施形態を作り出すために組み合わせられることが可能である。したがって、本明細書で説明された新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化可能である。さらに、本明細書で説明された方法およびシステムの形式の様々な省略形態、代用形態、変更形態が、本開示の精神を逸脱することなくなされることが可能である。添付の特許請求の範囲およびその均等物は、そのような形態または修正例が本開示の範囲および精神に該当するものとして含まれるということが意図されている。