【実施例1】
【0028】
本発明の屋上配管取出箱の実施例について図面を参照して説明すると、
図1は本実施例の屋上配管取出箱を上面側から示した斜視図であり、また、
図2は、本実施例の屋上配管取出箱を下面側から示した斜視図、
図3は本実施例の屋上配管取出箱の分解斜視図であり、図において1が本実施例の屋上配管取出箱である。
【0029】
そして、本実施例の屋上配管取出箱1では、屋上スラブに形成した取出孔を閉鎖する配置で屋上スラブに固定されるベースを有しており、このベースの上にはアッパーが配置され、更にアッパーの上部は蓋部材で閉鎖されている。
【0030】
ここでまず、前記ベースについて説明すると、図において2がベースであり、本実施例における前記ベース2は箱状としており、上部及び底部を開口としている。また、本実施例において前記ベース2は、正面視野における左右側に向いた幅寸法は約800mmとしており、前後寸法は約600mmとし、更に高さ寸法は約450mmとしている。
【0031】
そして、前記底部開口は、屋上スラブに形成した取出口を介して屋上に引き出した各種の配管、配線をベース2内に受け入れるための受入孔3としている。
【0032】
一方、前記上部開口は、ベース2内に受け入れた各種の配管、配線をベース2から上部に出すためのベース側貫通路4としている。
【0033】
なお、図において201は前記ベース2を屋上スラブに取り付けるための取付ベースであり、本実施例において前記取付ベース201は、平板状としており、前記ベース2の下端部の周囲に外周側に向けて連設している。そして本実施例においては、前記ベース2の下端部を外周側に折り曲げることで、前記取付ベース201を形成している。
【0034】
また、前記ベース2の上端部全域には、内周側に向けて載置棚部202がわずかに連設されており、この載置棚部202上に前記アッパーが載置されることとしている。
【0035】
次に、前記アッパーについて説明すると、図において5がアッパーであり、また
図4は前記アッパー5を下側から示した斜視図である。そして、本実施例における前記アッパー5は、前記ベース2と同様に箱状としており、上部は開口とし、この上部開口は蓋部材11で閉鎖されている。
【0036】
一方、前記アッパー5の底部は底板6で閉鎖されており、この底板6は、前後寸法は前記ペース2の前後寸法とほぼ同程度としているが、左右寸法は前記ベース2の左右寸法よりも多くしている。具体的には、前記底板6の左右側に向いた幅寸法は、約1,200mmとしている。そしてこれにより、前記底板6は、前記ベース2の上部の載置棚部202上に載置される部分と、前記ベース2の上部の左右側に張り出した鍔部7を備えた構成となっている。
【0037】
そして、前記底板6において、前記ベース2の上部に備えたベース側貫通路4に対向する部分には開口が形成され、この開口部分を、前記ベース側貫通路4に連続するアッパー側貫通路8としている。そしてこれにより、前記ベース側貫通路4を介してベース2の上部に出された各種の配管、配線は、アッパー側貫通路6を介してアッパー5内に受け入れられることとしている。
【0038】
一方、前記鍔部7にはそれぞれ、複数個の取出孔が形成されている。即ち、図において9が取出孔であり、本実施例においてこの取出孔9は、丸状としており、前記鍔部7のそれぞれに3個ずつ形成しており、前記アッパー側貫通路8を介してアッパー5内に受け入れた各種の配管、配線を、アッパー5から外に出すために用いられる。
【0039】
即ち、本実施例の配管取出箱1では、アッパー5の鍔部7に取出孔9を形成して、アッパー5の下側に向けて配管、配線等を取り出すこととしている。従って、各種の配管、配線を取り出すための取出孔を側壁に形成している従来の配管取出箱と異なり、取出孔を介して雨等が直接配管取出箱の内部に浸入してくることを防止できるため、防水措置が容易である。
【0040】
次に、図において10は、前記取出孔9を取り外し自在に閉鎖しているキャップである。即ち、本実施例において前記取出孔9はキャップ10により閉鎖されており、このキャップ10は、前記底板6を半抜き状態にすることで形成されており、これによって前記キャップ10は、取外し自在としている。
【0041】
この関係を説明すると、本実施例においては、前記底板6の鍔部7において、取出口9を形成する部分の外周に沿って、底板6を刃物等で上下に貫通して切断しているとともに、その際に、対向する2点部分のみを残して切断している。そしてこれにより、通常は取出孔9がキャップ10により閉鎖されているが、キャップ10を、例えばペンチ等で軽くたたくことで、キャップ10を外すことを可能にしている。即ち、本実施例において前記キャップ10は、前記底板6における鍔部7を半抜きすることで形成し、これによって、取外し自在としている。
【0042】
従って、本実施例においては、使用していない取出孔9については防水措置を行う必要が無いとともに、使用するときはキャップ10をペンチ等で軽くたたいてキャップ10を外すのみで良いので、これによっても防水のための措置が良いである。
【0043】
なお、
図2及び
図4において12は雨返しである。即ち、本実施例において前記アッパー5は、側壁の下端部全域を、前記底板6の下方部分まで延長することで、前記底板6の周囲に雨返し12を形成している。そしてこれにより、取出孔9を介してアッパー5内に雨等が入り込むことを防止し、防水措置をサポートしている。
【0044】
次に、このように構成される本実施例の配管取出箱1の素材について説明すると、本実施例においては、前記ベース2、取付ベース201、アッパー5、及び蓋部
材11のすべてを鋼板で構成している。より具体的には、本実施例において前記ベース2、取付ベース201、アッパー5、及び蓋部
材11は、高耐食性溶融めっき鋼板によって構成している。
【0045】
従って、本実施例の配管取出箱1は、躯体全体をコンクリートにより構成している従来の配管取出箱と異なり、躯体全体の軽量化を図ることができ、そのために、屋上スラブ上の設置位置に制限が生じることも無く、更に設置作業も容易である。
【0046】
なお、
図2及び
図3において13は、前記ベース2を組み付けるための取付金具である。即ち、本実施例において前記ベース2は、それぞれが下端部を外周側方向に曲げて取付ベース201を形成した平板状の鋼板を、全体で箱状になるように組み付けるとともに、4か所の角部分の内側に、長手方向に見た形状をL字状とした取付金具13を当接させ、その状態で取付金具13とベース2を構成する鋼板をビス、リベット等で連結して構成されている。但し、必ずしもこのようにしてベース2を構成する必要は無く、下端部を外周側方向に曲げて取付ベース201を形成した平板状の鋼板を接着、溶着によって箱状に組み付けても良い。
【0047】
次に、このように構成される本実施例の配管取出箱1の使用方法について説明すると、本実施例の配管取出箱1を用いて各種の配管、配線の屋上へと取り出しを行う場合には、屋上に形成された取出口の上部にベース2の受入孔3が位置する配置で本実施例の配管取出箱1を屋上スラブ上に設置する。
【0048】
そして、屋上に形成された取出口を介して屋上に引き出した各種の配管、配線を、受入孔3よりベース2内に受け入れるとともに、ベース2内に受け入れた各種の配管、配線等を、ベース側貫通路4及びアッパー側貫通路8を介してアッパー5内に受け入れる。そしてその後に、使用する取出孔9に取り付けられているキャップ10をペンチ等で軽くたたいて取り外した後に、アッパー5内に受け入れた各種の配管、配線等を、キャップ10を取りはずした取出孔9からアッパー5の外に取り出すとともに、その取り出した配管、配線等を、屋上に配置してある室外機、分電盤、受水槽等の装置まで伸ばして連結する。またこのとき、好ましくは、キャップ9を取りはずした取出孔9に、配管、配線等を貫通させる貫通孔が形成された樹脂製のシート材をはめ込み、このシート材に形成した貫通孔を貫通させる形態で、配管、配線等を取出孔9からアッパー5の外に取り出すと良く、これにより容易に防水措置を行うことが可能となる。
【0049】
そうするとこれにより、多数本の配管、配線をまとめて管理することが可能であるとともに、屋上に多数本の配管、配線等が這ってしまうことを防止することも可能である。
【0050】
そしてこのとき、本実施例の配管取出箱は、ベース、取付ベース、アッパー、蓋部材を高耐食性溶融めっき鋼板で構成しているために、躯体全体をコンクリートにより構成している従来の配管取出箱と異なり、躯体全体の軽量化を図ることができ、屋上スラブ上の設置位置に制限が生じることも無く、更に設置作業も容易である。
【0051】
また、本実施例の屋上配管取出箱では、底板6における鍔部7に取出孔9を形成して、配管取出箱1の内部に受け入れた各種の配管、配線等を底板側から下方に向けて取り出すこととしており、更にそのとき、取出孔9は取外し自在としたキャップ10で閉鎖して使用しないときには取出孔9から雨等が浸入することを防止しているために、取出孔9を介して雨等が直接配管取出箱の内部に浸入してくることが無く、従って、防水措置が容易である。
【0052】
なお、前述の説明では、前記底板6の左右寸法のみを前記ベース2の左右寸法よりも多くして、前後寸法は前記ペース2の前後寸法とほぼ同程度にすることで、底板6の鍔部7を、前記ベース2の上部の左右側に張り出した構成としたが、必ずしも左右側にのみ張り出す構成にする必要は無く、例えばその他、アッパー5の底板6を、左右寸法、及び前後寸法の双方の寸法をベースの左右寸法、前後寸法よりも多くして、鍔部7が、ベース2の上部の周囲全体に張り出す構成としても良い。
【0053】
また、前述の説明では、ベース、アッパー、蓋部材を高耐食性溶融めっき鋼板で構成した場合を説明したが、軽量化のみを目的とする場合には、必ずしも高耐食性溶融めっき鋼板にする必要は無く、通常の鋼板でもよい。