特許第6359263号(P6359263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6359263流れモニタリングに基づく、側方流動アッセイ装置の品質/プロセス制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359263
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】流れモニタリングに基づく、側方流動アッセイ装置の品質/プロセス制御
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20180709BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20180709BHJP
   G01N 33/543 20060101ALN20180709BHJP
【FI】
   G01N35/00 F
   G01N37/00 101
   !G01N33/543 521
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-235693(P2013-235693)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2014-98700(P2014-98700A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2016年10月21日
(31)【優先権主張番号】61/726,933
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500174627
【氏名又は名称】オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エイ・ヘブナー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・エイ・トマッソ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・イー・ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ディン
【審査官】 渡▲辺▼ 純也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/130625(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/125676(WO,A1)
【文献】 米国特許第06113855(US,A)
【文献】 国際公開第2009/145172(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0258479(US,A1)
【文献】 特開2008−164360(JP,A)
【文献】 特表2013−525762(JP,A)
【文献】 特開2006−170654(JP,A)
【文献】 特開2009−109429(JP,A)
【文献】 特開2009−250710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 〜 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための方法であって、前記装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの試薬区画、前記少なくとも1つの試薬区画の下流の少なくとも1つの検出区画、及び前記少なくとも1つの検出区画の下流の少なくとも1つの吸上区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含み、各前記区画は、毛管作用により前記サンプル添加区画から前記吸上区画までサンプルが流れる流体流路に沿って流体相互接続され、前記方法は、
サンプルを前記サンプル添加区画に添加する工程と、
ンプル及び試薬を混合する工程であって、記試薬は、検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含み、前記少なくとも1つの試薬区画が、前記少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、
サンプルが添加されるか、または前記アッセイ装置の前記サンプル添加区画にサンプルを添加させる試験機器の中に前記装置が装填される時間からタイマーを開始する工程と
読み取り機器を用いて、流れる前記サンプルによる前記検出物質の溶解によって生じる前記検出可能な信号の存在が前記読み取り機器によって検出されるまで、前記タイマー開始工程に続いて前記アッセイ装置の前記少なくとも1つの検出区画の周期的な読み取りを行う工程と、
前記アッセイ装置が適切に作動しているかどうかを判定するために、前記からの経過を所定の標準の時間間隔と比較する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記検出物質は蛍光信号を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出器具による、前記検出可能な信号の検出又は不検出を可能にするように、前記側方流動アッセイ装置の前記流路からサンプルの一部をそらす工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記そらす工程は、少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程を含み、前記少なくとも1つの毛管チャネルは前記流路から延び、前記検出器具により使用された前記側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じて更に延びる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記装置の少なくとも1つの検出区画をモニタリングする工程と、
前記検出可能な信号を有するサンプルが前記少なくとも1つの検出区画に対して最初に検出される時間を判定する工程であって、前記時間は、前記サンプル添加工程から開始する、工程と、
前記側方流動アッセイ装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記装置の試験の前に試験機器に前記側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、前記試験機器に最初にサンプルが存在しない、工程と、
前記検出可能な信号が前記側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、前記試験機器の検出器具で、前記装置をモニタリングする工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプル区画にサンプルを添加した直後に、前記検出可能な信号が存在するかどうかを判定するために、検出器具で前記吸上区画の端部において前記装置をモニタリングする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記検出可能な信号を有するサンプルが、前記吸上区画の所定の部分内に最初に流れた時間を測定する工程と、
前記装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出可能な信号を有する前記サンプルが、前記装置の少なくとも2つの部分の間に流れ込んだ時間を測定する工程と、
この時間を所定の閾値と比較する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出器具は、一度サンプルが前記側方流動アッセイ装置を通って十分に流れると、少なくとも1つの検出区画内で少なくとも1つの検体の存在を判定するために使用され、前記方法は更に、
前記試薬区画の下流で前記側方流動アッセイ装置の少なくとも一部をモニタリングする工程と、
前記少なくとも1つの試薬区画の前記検出物質が完全に溶解する時間を前記モニタリング工程に基づいて測定する工程と、
前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
検体の検出は、前記測定された時間を、前記既知の時間と良好に比較しない限り、行われない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記装置の少なくとも1つの所定の部分において、複数の時間基準の測定を行う工程と、
前記測定に基づいて、前記検出可能な信号の時間履歴を生成する工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
側方流動アッセイ装置において、
基材と、
少なくとも1つのサンプル添加区画と、
前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの試薬区画と、
前記少なくとも1つの試薬区画の下流にあり、これと流体接続した少なくとも1つの検出区画であって、前記少なくとも1つの検出区画は、線形検出経路に沿って配置されて、これが、前記少なくとも1つの検出区画内の少なくとも1つの関心の検体の存在を検出器具が判定することを可能にする、検出区画と、
前記少なくとも1つの検出区画の下流の吸上区画と、
を含み、前記区画のそれぞれが流体相互接続し、毛管作用でサンプル添加区画から前記吸上区画までサンプルが流れ、サンプルが試薬と混合される流路を形成し、前記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含み、前記少なくとも1つの試薬区画が前記少なくとも1つの検出物質を保持し、
前記側方流動アッセイ装置は、
サンプルの一部をそらすための、少なくとも1つの毛管チャネルであって、前記少なくとも1つの毛管チャネルが前記流路の一部から延び、その場での検出を可能にするために、前記装置の前記線形検出経路を通じて更に延びる、毛管チャネルと
前記検出可能な信号を検出できる読み取り機器であって、前記少なくとも1つの検出区画の周期的な読み取りを行うように構成されている、読み取り機器と、
更に含む、側方流動アッセイ装置。
【請求項14】
少なくとも2つの毛管チャネルを含む、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2012年11月15日に出願された米国特許仮出願番号第61/726,933号の優先権を主張し、その開示は本明細書において参照によってその全体が組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、臨床診断、及びより具体的には、品質及びプロセス制御のための、側方流動アッセイの現場モニタリングに関する。一形態により、一定の重要なプロセスが、予測及び規定される限界内において機能しているかどうかを評価するために、少なくとも1つの試験が完了する前に、側方流動アッセイ装置の様々な部分において、検出器具を使用した読み取り値が取られ得る。別の変化形態により、検出器具を使用した読み取り値は、様々なプロセスに関連する事象を開始させるために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
診断アッセイは幅広く普及しており、多くの疾患の診断、治療及び管理のための中心になっている。この点において、様々なタイプの診断アッセイが、血液、血清、血漿、尿、唾液、組織生検、便、痰、皮膚若しくは喉スワブ及び組織サンプル、又は処理した組織サンプルの検出を容易にするために、多くの年月にわたって開発されてきた。これらのアッセイは多くの場合において、迅速で確実な結果を生じる一方で、使用方法が容易であり、製造が安価であることを期待される。
【0004】
一般的な種類の使い捨てアッセイ装置は、液体サンプルを受ける区画又は領域、少なくとも1つの試薬区画、及び検出区画としても既知の反応区画を含む。一般的に側方試験ストリップとして既知であるこれらのアッセイ装置は、毛管流を支持することができる液体の経路を画定する、例えば、ニトロセルロースなどの多孔質材料を利用する。例としては、米国特許第5,559,041号、同第5,714,389号、同第5,120,643号、及び同第6,228,660号に示される装置が挙げられ、これらは本明細書において参照によりその全体が組み込まれる。
【0005】
これらのアッセイ装置のサンプル受け取り区画は、多くの場合において、液体サンプルを吸収することができ、かつ血球の分離が必要な場合にはまた、赤血球を捕捉するために好適である、より多孔質の材料からなる。このような材料の例は、紙、フリース、ゲル若しくは組織(例えば、セルロース、ウール、ガラス繊維、アスベスト、合成繊維、ポリマー又はこれらの混合物を含む)などの、繊維性材料である。
【0006】
別の種類の側方流動アッセイ装置が、毛管流を生じるように構成された、上方に延びる複数の突起部を有する、非多孔質の基材によって画定される。各装置の実施例は、米国特許番号第8,025,854B2号、国際特許公開番号第2003/103835号、同第2005/089082号、同第2005/118139号、及び同第2006/137785号に記載され、これらは本明細書においてその全体が組み込まれる。
【0007】
上記の種類の既知の非多孔質アッセイ装置が、図1に示される。アッセイ装置1は、少なくとも1つのサンプル添加区画2、試薬区画3、少なくとも1つの検出区画4、及び少なくとも1つの吸上区画5を有し、それぞれ、共通の基材上に配置される。これらの区画は、サンプル添加区画2から吸上区画5へとサンプルが流れる、画定された流路に沿って位置合わせされる。抗体などの捕捉要素は、検出区画4に支持され、これらの要素は、関心の検体と結合することができ、捕捉要素は任意により、(例えば、コーティングにより)装置に堆積する。加えて、やはり検体の濃度の判定を可能にする、反応に関わることができるラベリングした結合物質は、試薬区画の装置上に別個に堆積され、結合物質は、アッセイ装置の検出区画における検出のためのラベルを有する。
【0008】
結合物質は、サンプルが試薬区画を通じて流れると、段階的に溶解して、ラベル付き結合物質及びサンプルが溶解した結合物質プルームを形成し、これは、画定された装置の流路に沿って、検出区画へと下流に流れる。結合物質プルームが検出区画へと流れると、結合済み物質が、例えば結合済み物質と検体の複合体を介して(例えば、「サンドイッチ」アッセイにおいて)、又は直接的に(例えば、「競合」アッセイにおいて)捕捉要素により捕捉される。拘束されない溶解した結合済み物質は、検出区画4を通過して吸上区画5へと流される。
【0009】
米国特許番号第2006/0289787A1号、同第2007/0231883A1号、同第7,416,700号、及び米国特許番号第6,139,800号(これらは全て、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる)に開示される器具が、検出区画内の結合済み物質を検出するように構成される。一般的な標識としては、蛍光染料を励起し、生じる蛍光を感知することができる検出器を導入する器具によって検出され得る、蛍光染料が挙げられる。
【0010】
従来の装置、及びアッセイの動作において、検出区画における信号の生じるレベルは、結合物質が全て溶解し、装置の試薬区画に添加されたサンプル及び結合していない結合物質及び洗浄液が、装置の吸上区画に到達し、その後これを満した後に、好適な検出器具を使用して読み取られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の装置を使用すると、例えば、側方流動アッセイ装置の動作を遅延させる、遅らせる、又は停止させる、製造上の又は他の欠陥により、試験の完了の前に、問題が生じることがある。これを受けて、このような誤差条件の存在を積極的に判定することが有益である。加えて、例えば、検体試験の前の装置又はプロセスフローにおける潜在的な誤差を判定するために、上記のような、側方流動アッセイ装置、の効率性及び有効性を改善する、一般的な必要性がこの分野において存在する。
【0012】
加えて、側方流動アッセイ装置は、例えば、上記の洗浄液又は他の試薬の導入などの、外部走査を必要とし得る。この流体がいつ添加されるべきかを最適に示す、プロセス関連のトリガを提供することが有益である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、一態様により、側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための、方法が提示される。側方流動アッセイ装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含む。少なくとも1つの検出区画が、少なくとも1つのサンプル添加区画の下流に、少なくとも1つの吸上区画が少なくとも1つの検出区画の下流に配置され、各区域は、毛管作用により、サンプル添加区画から吸上区画へと流れる流体流路に沿って流体相互接続されている。方法は、挿入前、挿入中又は挿入後にサンプル添加区画にサンプルを添加する工程と、サンプル及び試薬を混合する工程であって、サンプル及び試薬はサンプル添加区画又はアッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合されてもよく、上記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、サンプルがサンプル添加区画に添加された後に、側方流動アッセイ装置内に検出可能な信号の存在に関連する少なくとも1つの時間関連の測定を行う工程と、装置が適切に作動しているかどうかを判定するために少なくとも1つの時間関連の測定を所定の閾値と比較する工程とを含む。
【0014】
一形態において、アッセイ装置は、サンプル添加区画の下流に配置された少なくとも1つの試薬区画を含み、試薬区画は、少なくとも1つの検出物質を含む。
【0015】
一形態において、方法は、検出器具による検出可能な信号の検出、又は不検出を可能にするように、側方流動装置の流路からサンプルの一部をそらす工程を更に含み得る。一実施形態により、検出物質は、蛍光光度計又は同様の器具によって検出され得る、蛍光信号を生じる。一実施形態により、そらす工程は、少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程を含み、少なくとも1つの毛管チャネルは流路から延び、更に、検出器具と位置合わせされた側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じて延びる。
【0016】
アッセイ装置の線形検出経路は、少なくとも1つの検出区画を含む上記流路の線形部分に沿って延びる場合があり、少なくとも1つの毛管チャネルが吸上区画から延びている。一実施形態において、少なくとも1つの毛管チャネルは、検出区画と位置合わせされた読み取りウィンドーを形成する、より大きな中間部分を含む。好ましくは、少なくとも1つの毛管チャネルは通気され、少なくとも1つの検出区画の前に、流路の一部からサンプルをそらすように構成される。一形態において、少なくとも1つの毛管チャネルは、吸上区画の入口及び出口の少なくとも一方から延びる。
【0017】
方法は、装置の少なくとも1つの検出区画をモニタリングする工程と、検出可能な信号を有するサンプルが、少なくとも1つの検出区画に対して最初に検出される時間を測定する工程であって、上記時間はサンプル添加工程から開始される、工程と、側方流動装置が適切に作動しているかどうかを確認するために、測定された時間を既知の時間と比較する工程とを更に含む場合がある。
【0018】
更に、方法は、装置の試験前に側方流動装置を試験機器に挿入する工程であって、サンプルは最初に試験機器内に存在しない、工程と、検出可能な信号が、側方流動アッセイ装置の所定の部分内に存在するかどうかを判定するために、検出器具で装置をモニタリングする工程とを更に含む場合がある。
【0019】
少なくとも1つの他の形態により、方法は、検出可能な信号を有するサンプルが吸上区画の所定の部分内に最初に流れた時間を測定する工程と、装置が適切に作動しているかどうかを確認するために測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む。
【0020】
一実施形態において、方法は、検出可能な信号を有するサンプルが、装置の少なくとも2つの部分の間に流れ込んだ時間を測定する工程と、この時間を所定の閾値と比較する工程とを含む場合がある。一実施形態において、少なくとも2つの部分の少なくとも一方、又は少なくとも2つの部分のそれぞれが、側方流動アッセイ装置の吸上区画にある。一形態において、少なくとも2つの部分が、吸上区画の入口及び出口を含む。
【0021】
少なくとも一実施形態において、一度サンプルが側方流動装置を通って十分に流れると、少なくとも1つの検出区画内で少なくとも1つの検体の存在を判定するために使用され、この方法は更に、側方流動アッセイ装置の少なくとも一部分をモニタリングする工程と、少なくとも1つの試薬区画の検出物質が完全に溶解する時間をモニタリング工程に基づいて測定する工程と、測定された時間を既知の時間と比較する工程とを更に含む。
【0022】
1つの好ましい形態において、検体検出は、測定された時間が既知の時間と良好と比較されない限り、生じない。
【0023】
別の形態において、方法は更に、装置の少なくとも1つの所定の部分において複数の時間基準の測定を行う工程と、測定に基づいて検出可能な信号の時間履歴を生成する工程とを含む。所定の時間内において測定された時間が良好に比較されない場合、エラーの通知を提供し得る。
【0024】
別の態様により、側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための、方法が提示される。装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含む。少なくとも1つの検出区画が、少なくとも1つのサンプル添加区画の下流に、少なくとも1つの吸上区画が少なくとも1つの検出区画の下流に配置され、各区域は、毛管作用により、サンプル添加区画から吸上区画へと流れる流体流路に沿って流体相互接続されている。方法は、装置の試験の前に試験機器に側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、試験機器内に最初にサンプルが存在しない、工程と、サンプル及び試薬を混合する工程であって、サンプル及び試薬は、サンプル添加区画又はアッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合されてもよく、上記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む工程と、検出可能な信号が側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、検出器具で装置をモニタリングする工程とを含む。
【0025】
更に別の形態により、少なくとも1つのサンプル受け取り区画を有し、かつこれと流体連通した基材を含む、側方流動アッセイ装置がもたらされる。装置は更に、少なくとも1つのサンプル添加区画の下流にあり、これと流体接続したる少なくとも1つの検出区画を含み、少なくとも1つの検出区画は、検出又は走査経路に沿って配置され、これは、少なくとも1つの検出区画の少なくとも1つの関心の検体の存在を検出器具が判定することを可能にする。吸上区画は、少なくとも1つの検出区画の下流に配置され、各区画のそれぞれが流体接続し、毛管作用でサンプル受け取り区画から吸上区画までサンプルが流れ、サンプルが試薬と混合される流路を形成し、上記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質と、サンプルの一部をそらすための少なくとも1つの毛管チャネルとを含む。少なくとも1つの毛管チャネルは、流路の一部から延び、その場での検出を可能にするために、装置の線形検出経路を通じて更に延びる。
【0026】
一形態において、装置は、少なくとも2つの毛管チャネルを含む。一実施形態において、少なくとも2つの毛管チャネルは、吸上区画の別個の部分に対して配置される。少なくとも1つの毛管チャネルは、より大きな中間部を含むことができ、このより大きな部分は検出経路と位置合わせされ、検出器具のために読み取りウィンドーとして機能する。一形態により、少なくとも1つの毛管チャネルは通気され、少なくとも1つの検出区画の前に流路の一部からサンプルをそらす。装置は更に、流路に沿って配置された少なくとも1つの洗浄区画又は追加的な試薬区画を含み得る。
【0027】
更に別の態様により、側方流動アッセイ装置を処理するための方法が提示され、側方アッセイ装置は少なくとも1つのサンプル添加区画を有する基材を含む。少なくとも1つの検出区画が、少なくとも1つのサンプル添加区画の下流に配置され、少なくとも1つの吸上区画が少なくとも1つの検出区画の下流に配置され、各上記区画はサンプル添加区画から吸上区画までサンプルが流れる流路に沿って流体接続され、方法は、側方アッセイ装置のサンプル受け取り区画に、ある量のサンプルを添加する工程と、サンプルを試薬と混合する工程であって、サンプル及び試薬はサンプル添加区画又はアッセイ装置上にサンプルを添加する前に組み合わされてもよく、上記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む工程と、側方流動装置の少なくとも1つの領域において、検出可能な信号を検出することに基づいてプロセス関連事象を開始させる工程とを含む。
【0028】
一形態により、アッセイ装置は、検出物質を有する試薬を含む、サンプル添加区画の下流に配置された少なくとも1つの試薬区画を含む。
【0029】
一形態において、方法は試薬区画の下流の側方流動装置の少なくとも1つの区画においてモニタリングする工程と、検出可能な信号を有するサンプルが上記少なくとも1つの区画において最初に検出される時間を測定する工程と、測定された時間を既知の時間と比較する工程と、上記測定された時間が上記既知の時間の閾値内である場合のみ、上記側方流動装置上でプロセス関連事象を開始させる工程とを含む。
【0030】
一実施形態において、プロセス関連事象は、サンプル及び検出物質を洗い流すために、側方流動アッセイ装置の洗浄区画に少なくとも1つの洗浄液を分配することであり、検出は側方流動装置の吸上区画の所定の部分において行われる。
【0031】
少なくとも一形態において、方法は、少なくとも1つの検出区画を通じて延びる側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じた流路からサンプルの一部をそらすための少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程と、上記チャネルの検出可能な信号の存在又は不在を検出する工程とを含み、この検出工程はプロセス関連事象を開始させる。検出又は走査経路は好ましくは線形であるが、必須ではない。
【0032】
一形態において、検出可能な信号は光学的に検出可能である。より具体的に、少なくとも一実施形態において、検出信号は蛍光性である。更により具体的に、検出物質は、蛍光プルームを生じる結合物質であり得る。
【0033】
側方流動アッセイ装置は、少なくとも1つの区画に配置された複数の突起部を含む場合があり、複数の突起部は、流路に沿って毛管流を生じるような寸法である。
【0034】
サンプルをサンプル添加区画に適用する前に、少なくとも1つの試薬区画の外側のいずれかの区画の検出物質の存在に関し、アッセイ装置の少なくとも1つの所定の区画をモニタリングする工程を更に含む場合がある。少なくとも1つの流れに関連するパラメーターは、吸上区画などの、側方流動装置の1つ、又は2つ以上の所定の部分における検出可能な信号の出現及び中断の少なくとも一方のモニタリングに基づいて計算され得る。
【0035】
側方流動装置は、試験機器内に挿入され得、試験機器は、検出可能な信号を検出することができる検出器具を含む。一形態において、試験機器は、ベンチトップ、卓上、又はメインフレーム分析器などの、臨床分析器である。別の形態において試験機器はポイントオブケア装置である。
【0036】
方法は、試薬区画の下流の側方流動装置の少なくとも1つの領域をモニタリングして、ある時間にわたって領域の溶解した検出物質の量を測定する工程を更に含み得る。
【0037】
好ましくは、蛍光プルーム又は他の検出信号の終了の検出は、信号の第1の出現の後の既定の経過時間内に生じるべきである。側方流動アッセイ装置が、複数(N)の試薬区画を含む例において、各試薬区画において溶解を完了するために経過時間内に一定の変化が生じる場合があり、よって好適な検出器具によって検出される、生じた信号は段階的な形式をとる場合がある。これらの段階が過剰な時間にわたって生じるとき、溶解が正常な様式で生じず、装置を通じた遅すぎる流体流速度、不十分なサンプル体積、側方流動装置に最初から存在する過剰な検出物質、又は溶解の速度を遅くし過ぎる試薬区画のおける他の欠陥を表す、エラー条件が生じたものと考えるに足る理由が存在し得る。逆に、蛍光プルームの端部、又は他の感知可能な検出信号が、最小の経過時間の前のいずれかの時点で検出されるとき、これは過剰な流体流速度、側方流動アッセイ装置内の十分な検出物質の不在、又は溶解をあまりに早く生じさせる少なくとも1つの試薬区画における他の欠陥を示すことがある。
【0038】
別の態様により、流速又は流量速度などの様々な流れに関連するパラメーターは、例えば、吸上区画などの、アッセイ装置内のいずれかの2つの点における、検出信号の出現に基づいて算出され得る。例えば、流速は、予測後補正をもたらすために使用されてもよい。一形態において、吸上区画が、固定された検出器具に対するアッセイ装置の線形走査経路にないとき、検出器具による信号検出を可能にするために、少なくとも1つの毛管チャネルが、吸上区画内の1つ以上の点、又は流路の他の部分から、試験機器の走査経路に沿って配置される位置まで、設けられてもよい。
【0039】
一形態により、装置の吸上区画内の流れ前端の位置は、検出器具によりモニタリングされ得、この位置は、洗浄事象の開始のために開始点として機能し得る。加えて、洗浄は、バックグランド除去のために使用されてもよい。
【0040】
更に別の形態により、検出信号が、定期的/頻繁にアッセイ装置の既知の位置でモニタリングされる場合、検出物質の溶解の時間履歴が得られ、図表化され得る。生じるプロット付き曲線の下の面積(流体流速度で補正することができる)は、とりわけ、側方流体装置内の製造上の欠陥又はこれへの損傷による可能な要因により、装置内に存在する検出物質の不足又は過剰を検出するための潜在的な手段を更にもたらし得る。
【0041】
更に、別の態様により、吸上区画など、アッセイ装置の特定の領域における非結合検出物質の存在がまた検出され得る。後者の例において、吸上区画は、装置の検出又は走査経路の一部ではなく、少なくとも1つの毛管チャネルは、関心の点において吸上区画からそらし、この物質の存在が検出される流路に達する。1つの特定の形態において、アッセイ装置の製造中における材料の堆積中、蛍光色素分子の液滴が、チャネルが吸上区画と接合する場所の直ぐ上で、毛管内に滴下され得る。この非結合物質は毛管に入る流体に容易に溶解し、流体が毛管の端部に到達したとき(装置の線形走査経路内)、堅牢な信号をもたらす。同様に、流体前端が装置の流路に沿って前進するときに、その位置を追跡することが重要である場合、ごく少量の非結合蛍光色素分子が、流路の入口において堆積される場合があり、よって結合物質が、この初期の流体前端に溶解するための十分な時間を有さなかったことを示す。
【0042】
別の形態により、側方流動アッセイ装置のいわゆる「乾式」走査はまた、好適な検出器具を使用して行われてもよく、後者の走査により得られる情報は、装置の欠陥、又は、実際のサンプルの結果に影響し得るか若しくは装置が以前に使用されたことを示すくず、の検出を判定するために、処理され得る。
【0043】
本明細書において記載される方法による、好適な検出器具は、いくつかの形態を含み得る。例えば、側方流動アッセイ装置の少なくとも1つの蛍光剤流体前端の存在及び位置といったものを決定するために蛍光光度計などの走査機器、あるいは、画像化機器及び画像分析に基づく場合がある。更に別の代替的な形態により、赤外線センサーは、側方流動アッセイ装置の流体位置の位置を追跡するために使用され得る。例えば、赤外線センサーは、サンプルが実際に側方流動アッセイ装置の基材に接触したことを確認するために、流体サンプル内の水と関連する約1200ナノメートルのピークを感知するように使用され得る。他の代替的な検出手法が本明細書において使用され得ることが明らかとなる。
【0044】
本明細書において記載される方法から生じる重要な利益は、プロセス関連事象の品質管理及び/又は開始が、アッセイ装置において必要な検体濃度を検出又は数量化する同じ検出物質を使用して生じ、よって全体的な試験プロセスがより堅牢かつ効果的に管理されることを可能にする。
【0045】
本明細書において開示される方法により実現される別の利益は、側方流動アッセイ装置に関連する潜在的なエラー条件が、先を見越して、試験の完了のために典型的に必要な時間の前に、容易に決定され得る。
【0046】
別の利益は、側方流動アッセイ装置の流れ、及び流れに関連する特徴が容易に計算され得ることである。
【0047】
更に別の利益は、本明細書において記載される方法が、顕著な装置の修正を伴わず、かつ既存の走査又は他の検出器具を使用して行われ得ることである。
【0048】
他の変動及び修正が、「発明を実施するための形態」に従って可能であることが明らかであり、これは、添付の図面と合わせて読まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】既知の側方流動アッセイ装置の平面図である。
図2】別の側方流動アッセイ装置の平面図である。
図3】別の側方流動アッセイ装置の平面図である。
図4】側方流動アッセイ装置の別の形態の平面図であり、示される装置はそれぞれ、本明細書において記載される方法にとって有用である。
図5】検出信号の段階的出力、及びより具体的には、複数の検出区画を有する側方流動アッセイ装置の蛍光又は結合物質プルームを含む出力の、グラフ表示である。
図6】装置の吸上区画と線形検出区画との間で延びる、そらすチャネルを含む、代表的な側方流動アッセイ装置の平面図であり、この装置は本発明に記載される方法にとって有用である。
図7】経時的な、アッセイ装置上における検出物質の異なる堆積量及びパターンの溶解に基づく、様々な検出信号プロファイルを含む、グラフ表示である。
図8】アッセイ装置上の様々な検出信号プロファイルの比較によるグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の記載は、装置における試験の完了前の、側方流動アッセイ装置のモニタリングのための、いくつかの実施形態に関する。本明細書において記載される実施形態は例示を目的とし、よって他の様々な変形及び修正が可能であることは明白である。加えて、添付の図面に関連して、好適な基準枠をもたらすために、以下の説明を通じて様々な用語が使用される。これを受けて、これらの用語は、本明細書において明示的に示される場合を除き、記載の機器及び方法の範囲において、過度に限定的に捉えられるべきではない。
【0051】
添付の図面は、必ずしも尺度を表すものではなく、したがって示される寸法に関して解釈を狭めるべきではないことを更に記述しておく。
【0052】
本明細書及び付属の「特許請求の範囲」で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に文脈に明確に示されない限り、複数の参照を更に含むことが意図される。
【0053】
説明及び請求項を通じて多くの値に関連して使用される用語「約」は、当業者にとって周知であり、許容され得る不正確性を示す。本用語を支配する区間は、好ましくは±10%である。
【0054】
以下の用語のいくつかの定義に関して、用語「検体」とは、用語「マーカー」の同義語として使用され、定量的若しくは定性的に測定される任意の化学的又は生物学的物質を最小限に包含することを意図し、また小分子、タンパク質、抗体、DNA、RNA、核酸、ウイルス構成成分若しくは無傷ウイルス、細菌構成成分若しくは無傷細菌、細胞構成成分若しくは無傷細胞、並びに複合体及びその誘導体を含むことができる。
【0055】
本明細書における用語「サンプル」とは成分の存在又は不在、成分の濃度など、そのいずれかの特性を定性的又は定量的に判定されるべく意図された、液体、溶液又は懸濁液の容量を意味する。本明細書において記載される、本発明の文脈における典型的なサンプルは、人間又は動物の体液、例えば血液、血漿、血清、リンパ、尿、唾液、精液、羊水、胃液、喀痰、痰、粘液、涙、便などである。他の種類のサンプルは、ヒト又は動物の組織サンプルに由来し、この組織サンプルは、検査のために特定の組織成分を明らかにするために、液体、溶液又は懸濁液へと加工されている。本発明の実施形態は、あらゆる身体的サンプルに適用可能であるが、好ましくは全血、尿又は痰のサンプルに適用される。
【0056】
他の例において、サンプルは食物試験、環境試験、生物学的脅威又は生物汚染試験などに関連し得る。これは、本発明において使用され得るサンプルの僅かな例を示すにすぎない。
【0057】
本発明において、サンプルの側方流動、及びサンプル中に存在する成分と、装置内に存在するか、又は手順の間に装置に追加される試薬との相互作用、並びに定量的又は定性的なこのような相互作用の検出に基づく判定は、診断目的など、いずれかの目的のためであり得る。このような試験は多くの場合において、側方流動アッセイと称される。
【0058】
診断判定の例としては、例えば、慢性的な代謝異常など、異なる疾患に特異的な検体(マーカーとも称される)、例えば、血糖、血中ケトン、尿中ブドウ糖(糖尿病)、血中コレストロール(アテローム性動脈硬化症、肥満等);他の特定の疾患(例えば、急性疾患)のマーカー、例えば、冠状動脈感染マーカー(例えば、トロポニン−T、NT−ProBNP)、甲状腺機能のマーカー(例えば、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の判定)、ウイルス感染のマーカー(特定のウイルス抗体の検出のための側方流動イムノアッセイの使用)などの判定が挙げられるがこれらに限定されない。
【0059】
更に別の重要な分野は、コンパニオン診断の分野であり、薬剤などの治療薬が、そのような薬剤を必要とする個人に投与される。薬剤がその所望の効果を有するかどうかを判定するための適切なマーカーの濃度を決定するために、その後、適切なアッセイが実行される。あるいは、薬がこれを必要とする個人を助けるかどうかを判定するために、治療薬の投与の前に、本発明のアッセイ装置が使用され得る。
【0060】
更に別の重要な分野は、薬剤乱用を示す薬剤及び薬物代謝産物の容易かつ迅速な検出、例えば、尿又は他のサンプル内の特定の薬物及び薬物代謝産物の判定の分野である。
【0061】
用語「側方流動アッセイ装置」とは、サンプルなどの流体を受けるいずれかの装置を指し、毛管力又は他の適用される力の影響下において、それを通じてサンプルが横断し、少なくとも1つの関心の検体の検出に関して側方流動アッセイが行われる、様々な試薬、フィルターなどを支持するための、ステーション又は部位(区画)がもたらされる、流体移送路又は流路を含む。
【0062】
本明細書で論じられるように、用語「自動臨床分析器」、「臨床診断機器」、又は「臨床分析器」とは、本明細書で論じられる側方流動アッセイ装置等の、様々な分析試験要素を計画し、処理することが可能である任意の機器を指し、複数の試験要素は、最初に処理のために装填され得る。この機器は、自動又は半自動様式で複数の分析試験要素を装填、インキュベート、及び試験/評価するように構成される複数の構成要素を更に含み、試験要素は、ユーザーが介入することなく、カートリッジ等の少なくとも1つの収容された格納供給部から自動的に分配される。
【0063】
用語「試験機器」とは、側方流動アッセイ装置の支持、計画、及び処理を可能にするいずれかの装置又は分析システムを指す。試験機器としては、ベンチトップ、卓上、又はメインフレーム臨床分析器、加えてポイントオブケア、及び他の好適な装置などの、自動臨床分析器、又は臨床診断機器を含み得る。この定義のため、試験機器は、アッセイ装置の少なくとも1つの検出可能な信号の存在を検出するために、検出器具を含む、少なくとも1つの側方流動アッセイ装置の充填、及び試験/評価のための、複数の構成要素/システムを含み得る。
【0064】
用語「区画」、「領域」、及び「部位」は、本説明の文脈、実施例、及び「特許請求の範囲」において、先行技術装置又は本発明の実施形態による少なくとも1つの側方流動アッセイ装置のいずれかの基材上の流体流路の部品を画定するために使用される。
【0065】
用語「反応」は、基材上又は基材内のサンプル成分と少なくとも1つの試薬との間で、又はサンプル内に存在する2つ又は3つ以上の成分の間で生じるいずれかの反応を定義するために使用される。用語「反応」は特に、検体の定性的又は定量的な決定の一部として検体と試薬との間で生じる、反応を定義するために使用される。
【0066】
用語「基材」又は「支持体」とは、決定が実施される、又は検体と試薬との間で反応が生じるサンプルが添加される担体又はマトリックスを指す。
【0067】
用語「検出」及び「検出信号」とは、本明細書において、視覚的に、及び/又は検出器具などのマシン・ビジョンのいずれかによりモニタリングすることができる、知覚可能な指示器をもたらす能力を指す。
【0068】
用語「プロセスに関連する事象」とは、本明細書において、例えば、洗浄試薬などの少なくとも1つの試薬の追加など、側方流動アッセイ装置内の検体の検出前に生じる事象を指す。
【0069】
図2を参照すると、側方流動アッセイ装置20の一形態が示され、この装置は、成形可能なプラスチック、又は他の好適な非多孔質の材料から作製され得る、平坦な基材40を含む。基材40は上面44によって画定され、これは、区画48、試薬区画52、複数の検出区画56(図示されるもの)及び受け取り又は吸上区画60を含む、複数の別個の領域又は区画によって画定される。この設計により、上記の区画のそれぞれは、流路64に沿って線形の構成で互いに流体接続し、図1の装置1にもたらされるものと同様の複数の突起部が、区画及び/又は流路の少なくとも1つの中に配置され、突起部は、流路64の下面、又はアッセイ装置20上に画定される別個の区画のいずれかから、上方に延びる。
【0070】
突起部は、側方毛管流を含むように好適な寸法であり、突起部は好ましくは、流れを生じるための、高さ、寸法、及び/又は中心間隔を含む。この一形態において、突起部は、追加的な構造(すなわち、側壁、カバー、又は蓋)、又はいずれかの外的に適用される力の適用を必要とせずに毛管流を自然に生じるために、十分な寸法であり得る。この設計により、画定された流体流路は、少なくとも一部が開いた、吸上区画60まで延びるサンプル添加区画48から形成される。別の実施形態において、流路は完全に開いている。「開いた」とは、毛管流に寄与する距離に維持された蓋又はカバーが存在することを意味する。よって、蓋は、流路に関して物理的保護として存在する場合、流路において毛管流動に寄与しない。この具体的な設計により、親水性ホイル層70は、装置内の流体流を増加させるために、吸上区画60内の突起部の上部に適用され、ホイル層内には複数の通気口72が画定される。画定された突起部を含む、開いた側方流路は、以下の出願公開に記載され、これらは本明細書において参照によりその全体を組み込まれる:国際公開第2003/103835号、同第2005/089082号、同第2005/118139号、同第2006/137785号、及び同第2007/149042号。延在する突出部は、区画において、血漿(好ましくはヒト血漿)等の適用された流体の側方毛管流動が達成されるような高さ(H)、直径(D)、及び突出部間の距離又は複数の距離(t1、t2)を有する。これらの関係は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第2006/0285996号で論じられている。
【0071】
上記の高さ、直径及び突起部間の距離を最適化することに加え、例えば、アッセイ装置20の試薬区画及び検出区画の目的のために、突起部表面を変性させることによって上記突起部は、所望の化学的、生物学的又は物理的機能を付与され得る。一実施形態において、突起部は、約15〜約150μm、好ましくは約30〜約100μmの範囲の高さ、約10〜約160μm、好ましくは40〜約100μmの直径、及び互いから約3〜約200μm、好ましくは5〜50μm又は10〜約50μmの突起部間の間隔を有する。サンプル添加区画48と吸上領域60との間の流路64は、約5〜約500mm、好ましくは約10〜約100mmの長さ、及び約0.3〜約10mm、好ましくは約0.3〜約3mm、好ましくは約0.5〜1.5、好ましくは約0.5〜1.2mmの幅を有してもよい。この装置設計による突出部は、構成及び断面が実質的に円筒形である。しかしながら、突起部の特定の設計は、流動を増加させる、並びに物質を濾過するために、異なる形状(例えば、ひし形、六角形等)及びサイズのものに容易に変形され得る。
【0072】
別の実施形態において、流路は多孔質であり、毛管流を支持することができる流路を画定する、ニトロセルロースなどの、多孔質材料を含む。例としては、米国特許第5,559,041号、同第5,714,389号、同第5,120,643号、及び同第6,228,660号に示されるものが挙げられ、これらは本明細書において参照によりその全体が組み込まれる。
【0073】
図3を参照すると、別の側方流動アッセイ装置100が示され、これは、成形可能なプラスチック、又は他の好適な非多孔質材料から作製され得、装置100の流路116に沿って配置された少なくとも1つの検出区画114へと更に延びる、結合物質又は他の試薬などの検出物質を含む試薬区画112を通じて延びる、側方に折り畳まれた流体流路の一端に配置されたサンプル添加区画108を有する、平坦な基材104によって画定され、後者は更に、側方流体流路の反対の端部を画定する吸上区画120へと延びる。この特定の結合物質により、2つの別個の折り畳み部、試薬区画112と検出区画114の入口端部との間の第1折り畳み部、及び第2区画の第2又は出口端部と吸上区画120との間の第2折り畳み部が存在する。記載される折り畳み式構成は代表的であり、他の好適な流路の選択肢が容易に構成可能である。加えて、及び任意により、側方流路は更に、検出結合物質などの試薬を収容する追加的な別個の区画、加えて、例えば、分配されたサンプル、及びそのいずれかの結合又は非結合構成要素を洗い流すための、他の試薬の添加のために使用され得る、この流路に沿った他の区画、領域、又は部位を含み得る。
【0074】
この特定の実施形態によると、図1において先に示されたものと同様の、複数の突出部130は、この装置100の境界線内に画定される活性区画を実質的に画定する基材104の上面から上向きに延在し、この場合、サンプル添加区画108と吸上区画120との間の画定された流体流路に沿って、単に側方毛管流動を自然に促進するように、突出部が高さ及び直径に関して、並びに相対的なピラー間の離間により、寸法で具体的に設計される。以下に記載されるように、この特定の装置設計は、「オープン」システム又は装置と称され、これは毛管力の形成を補助するために側壁及びカバーが必ずしも必要とされないことを意味し、以下の公開出願に記載されている:国際公開特許2003/103835号、同第2005/089082号、同第2005/118139号、同第2006/137785号、及び同第2007/149042号(これらは先に参照によりその全体を組み込まれている)。カバー又は蓋は、所望により含むことができ、例えば、カバーは、必要に応じて装置に加えることができ、カバーは、サンプル液体の側方毛管流動に寄与しないように、突出部に関連して離間されることに更に留意する。しかしながら、親水性ホイル又は層を吸上領域120の少なくとも1つの部分の上のみに直接加えることは、吸引されたサンプルの全体的な流量(処理時間)に寄与することが確認された。
【0075】
別の実施形態において、アッセイ装置の流路は多孔質であり、毛管流を支持することができる流路を画定する、ニトロセルロースなどの、多孔質材料を含む。例としては、米国特許第5,559,041号、同第5,714,389号、同第5,120,643号、及び同第6,228,660号に示されるものが挙げられ、これらは本明細書において参照によりその全体が組み込まれた。
【0076】
本発明のために本明細書に記載される、別の側方流動アッセイ装置300の例示的な設計が図4に示される。この特定のアッセイ装置は、例示的な実施形態に関して、この説明の残りを通して言及されるが、他の装置設計及びこれらの設計の可能な変形も、同様に構成され得ることは容易に理解されるだろう。代表的なアッセイ装置300は、ピペット又は他の好適な手段など、液体ディスペンサからのサンプルを受け取る液体サンプル添加区画308を含む基材304によって画定される。サンプルは典型的には、区画308の上に堆積される。サンプル添加区画308は、サンプルが付着したときの点から任意のフィルターを通じて一対の平行な離間した試薬区画312、313に、及び、好ましくは毛管流を通じて隣接する試薬添加区画315に、分配された液体を移送することができる。毛管流を生じさせる構造は、ニトロセルロースなどの多孔質材料、又は先に記載された方法でアッセイ装置300を通じて毛管流を自発的に生じるマイクロ柱状物などの、透過突起部を含む場合がある。サンプルから微粒子を濾過するため、又は血漿がアッセイ装置300を通過できるように、血液から血液細胞を濾過するために、充填材料(図示されず)もサンプル添加区画308内に設置され得る。
【0077】
サンプル添加区画308と検出区画318との間に一対の隣接する試薬区画312、313が位置し、これらは、本明細書においては平行に位置合わせされている。試薬区画312、313は、この分析要素内に組み込まれる試薬(複数可)を含むことができ、一般に、反応に有用な試薬、つまり、イムノアッセイ用の抗体若しくは抗原、酵素アッセイ用の基質、分子診断アッセイ用のプローブ、又は組み込まれた試薬、干渉反応を抑制する材料を安定させる材料等の補助剤等の結合対象である。一般に、反応に有用な試薬の1つは、本明細書に記載されるように検出可能な信号を有する。いくつかの場合において、試薬は、直接又は反応カスケードを通して検体と反応し、着色又は蛍光分子等の検出可能な信号を形成することができる。1つの好ましい実施形態において、試薬区画312、313は、結合物質を含む。用語「結合物質」とは、検出要素及び結合対象の両方を有するいずれかの部分を意味する。
【0078】
この説明の目的において、検出要素は、これらに限定されないが、発光分子(例えば、蛍光剤、リン光剤、化学発光剤、生物発光剤等)、着色分子、反応時に色を生成する分子、酵素、放射性同位体、特定の結合を示すリガンド等の、その物理的分布及び/又はそれが送達する信号の強度に関して検出可能である薬剤である。標識とも称される検出要素は、好ましくは、発色団、蛍光団、放射能標識及び酵素から選択される。好適な標識は、抗体、タンパク質及び核酸の標識のための広範な染料を提供する、供給元から市販されている。例えば、実際に全可視及び赤外スペクトルに及ぶ蛍光色素分子が存在する。好適な蛍光又はリン光標識は、例えばフルオロセイン、Cy3、Cy5等を含むが、これらに限定されない。好適な化学発光標識は、ルミナル、シアリウム等を含むが、これらに限定されない。
【0079】
同様に、放射能標識は市販されており、又は、放射能標識を組み込むようにして検出要素が合成され得る。好適な放射能標識は、放射能ヨウ素及リン、例えば125I及び32Pを含むが、これらに限定されない。
【0080】
好適な酵素標識は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、βガラクトシターゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ等を含むが、これらに限定されない。2つの標識は、これらが、互いに阻害、干渉又は抑制することなく、個別に検出され、かつ好ましくは同時に数量化され得るときに、「区別可能」である。多数の検体又はマーカーが検出される際、2つ又は3つ以上の標識が使用され得る。
【0081】
結合対象は、検体の存在又はその量を決定するために使用され得る複合体を形成することができる材料である。例えば、「サンドイッチ」アッセイにおいては、結合物質の結合対象は、検体及び結合物質を含む複合体を形成し、この複合体は、検出区画に組み込まれる、捕捉要素とも称される別の結合対象へと更に結合し得る。競合イムノアッセイにおいて、検体は結合物質の内の結合対象の、検出区画に組み込まれた捕捉要素とも称される別の結合対象への結合と干渉する。結合物質に含まれる例の結合対象は、抗体、抗原、検体又は検体擬似体などを含む。
【0082】
試薬区画312の前後、及び検出区画318の前に、任意の試薬添加区画315が流体流路に位置する。試薬添加区画315は、装置300の外部からの試薬の添加を可能にすることができる。例えば、試薬添加区画315は、流体流路に存在するサンプル及び他の未結合構成要素を洗浄するために使用され得る中断試薬(interrupting reagent)を、吸上区画324に添加するために使用され得る。好ましい実施形態において、試薬添加区画315は、試薬区画312、313のすぐ下流に位置する。
【0083】
図4を更に参照し、試薬区画312、313、及び任意の試薬添加領域315の下流において、かつ流路317によって画定される側方に折り畳まれた流路に沿って、検出区画318が存在し、これは試薬区画と流体連通している。検出区画318及び/又は流路317は、例えば上記のような、複数の突起部又はマイクロ柱状物を含み得る。上記にも記述されるように、これらの突出部は、好ましくは、射出成形又は型押しプロセス等を通して、Zeonor等の光学プラスチック材料から基材に一体成形される。検出区画318の流路の幅は、典型的に約0.5mm〜約4mm、好ましくは約2mmであるが、但し、試薬プルームが検出区画の幅全体を網羅しない場合でも、蛍光光度計等の好適な検出装置に関して十分な信号を読み取ることができれば、他は約1mmで調整され得る。
【0084】
検出区画318は、あらゆる検出可能な信号が読み取られ得る場所である。好ましい実施形態では、検出区画318中の突出部に捕捉要素が取り付けられる。捕捉要素は、前述のように、結合物質、又は結合物質を含む複合体のための結合対象を有することができる。例えば、検体が特異的タンパク質である場合、結合物質は、このタンパク質を蛍光プローブ等の検出要素に特異的に結合させる抗体であり得る。捕捉要素は、ひいてはこのタンパク質にやはり特異的に結合する別の抗体であり得る。別の例において、マーカー又は検体がDNAである場合、捕捉分子は、合成オリゴヌクレオチド、その類似物又は特定の抗体であり得るが、これらに限定されない。他の好適な捕捉要素としては、検出される抗体に特異的な、抗体、抗体断片、アプタマー、及び核酸配列が挙げられる。好適な捕捉要素の非限定的な例は、ビオチン官能基を含有する結合物質に結合するアビジン官能基を有する粒子である。検出区画318は、多数の検出区画を含み得る。多数の検出区画は、1つ又は2つ以上のマーカーを含むアッセイで使用され得る。多数の検出区画の場合において、捕捉要素は、第1及び第2捕捉要素などの多数の捕捉要素を含み得る。結合物質は例えば、試薬区画内のコーティングによりアッセイ装置300に予め堆積されてもよい。同様に、捕捉要素は、検出区画318のアッセイ装置上に予め堆積されてもよい。好ましくは、検出及び捕捉要素の両方は、アッセイ装置上に、又はそれぞれ反応区画312、313及び検出区画318に予め堆積される。
【0085】
側方流動アッセイ装置300の一般的なプロセスの簡単な処理がここで一般的に説明される。所定の量のサンプルが、サンプル添加区画308に分配された後、サンプルは画定された流路に沿って、平行に配置された一対の試薬区画312、313内へと、側方に移動させられる。サンプルはこの形態の装置に従って毛管作用下において流れ続け、試薬区画312、313の突起部内で浸漬された検出物質と相互作用する。サンプルが相互作用すると検出物質が溶解し始め、ここで生じた検出可能な信号が流体流に含まれ、これはその後、隣接する試薬添加区画315へと運搬される。代替的に、及び試薬区画312、313の代わりに、サンプルは、サンプル添加区画308に添加する前に、検出物質を有する試薬と組み合わされ得る。この形態により、検出物質は、検出要素及び結合対象の両方を有する結合物質を含み、この場合、これは、往々にして結合物質プルームと称され、蛍光信号を生じる。あるいは検出信号は、試薬区画312に溶解された試薬材料のいずれか、又は任意の試薬添加区画315を通って添加されるものを含むことができる。
【0086】
検出区画318と流体連通にある吸上区画324は、折り畳まれた流体経路に沿った検出区画318の下流にある。吸上区画324は、液体サンプル及び流路内の他のいずれかの物質(例えば、非結合試薬、洗浄流体など)を受ける容量を有する、アッセイ装置300の領域である。吸上区画324は、アッセイ装置300の中間的検出区画を通じて、その外へと液体サンプルを移動させ続ける毛管力を提供する。本明細書において記載される装置300の吸上区画324及び他の区画は、ニトロセルロースなどの多孔質材料を含む場合があり、又は代替的に、これは先に記載された突起部によって画定される非多孔質の構造であってもよい。吸上区画314は更に、蒸発加熱器又はポンプなどの、毛管力によらない流体駆動手段を含み得る。本発明による側方流動アッセイ装置に使用されるような吸上区画の更なる詳細は、米国特許公開第2005/0042766号及び同第2006/0239859号に見出すことができ、その両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
少なくとも一形態により、サンプル添加区画308、反応区画312、313、及び吸上区画324を含むアッセイ装置300の流路の全体が、基材304に対して実質的に垂直であり、高さ、直径、及び流路にサンプルの側方毛管流を生成することができる、逆格子空間を有する、突起部を含む。
【0088】
本明細書に記載される側方流動アッセイ装置の構成要素(即ち、装置の他の部品とは異なる要素であるか否かに関わらず、装置の物理的構造)は、コポリマー、ブレンド、ラミネート、金属ホイル、金属フィルム又は金属から調製され得る。あるいは、装置構成要素は、コポリマー、ブレンド、ラミネート、金属ホイル、金属フィルム又は金属から、以下の材料の1つを堆積させて調製される:ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン含有ポリマー、ポリカーボネート、アクリルポリマー、塩素含有ポリマー、アセタールホモポリマー及びコポリマー、セルロース類及びこれらのエステル、硝酸セルロース、フッ素含有ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、硫酸含有ポリマー、ポリウレタン、シリコン含有ポリマー、ガラス並びにセラミック材料。あるいは、装置の構成要素は、プラスチック、エラストマー、ラテックス、シリコンチップ、又は金属で作製され得、エラストマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、シリコンエラストマー、又はラテックスを含み得る。あるいは、装置の構成要素は、ラテックス、ポリスチレンラテックス又は疎水性ポリマーから調製され、疎水性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステルを含み得る。あるいは、装置の構成要素はTEFLON(登録商標)、ポリスチレン、ポリアクリレート、又はポリカーボネートを含み得る。あるいは、装置構成要素は、エンボス加工、ミリング又は射出成形され得るプラスチックから、又は銅、銀及び金のフィルムの表面から作製され、この上に様々な長鎖アルカンチオールが吸収され得る。ミリング又は射出成形され得る、プラスチックの構造は、ポリスチレン、ポリカーボネート、又はポリアクリレートを含み得る。特に好ましい実施形態において、側方流動アッセイ装置は、例えば、商標名Zeonor(登録商標)で販売されるシクロオレフィンポリマーから射出成形される。好ましい射出成形技術は、米国特許第6,372,542号、同第6,733,682号、同第6,811,736号、同第6,884,370号、及び同第6,733,682号に記載され、これらは全て、本明細書において参照により全体が組み込まれる。
【0089】
装置300を含む、本明細書に記載される側方流動アッセイ装置の画定された流路は、開いた又は閉じた経路、溝、及び毛管を含み得る。好ましくは流路は、毛管流が流路を通じて維持されるような寸法、形状及び相互の間隔を有するように、突起部に隣接する側方流動経路を含む。一実施形態において、流路は、底面及び側壁を有する基材304内のチャネル内にある。この実施形態において、突起部は、流路の底面から突出している。側壁は、液体の毛管機能に寄与してもしなくてもよい。側壁が液体の毛管現象に寄与しない場合、液体が突起部により画定される流路に収容された状態に維持するために、最外突起部と側壁との間に間隙が提供され得る。好ましくは、反応区画312、313で使用される試薬、及び検出区画318で使用される捕捉部材又は検出剤は、本明細書に記載されるアッセイ装置300に使用される突出部の外部表面に直接結合される。
【0090】
試験(アッセイ)は典型的には、結合物質の最後が、側方流動アッセイ装置300の吸上区画324に移動した際に完了する。この段階において、蛍光光度計又は同様の装置などの検出器具は、検出区画318を走査するために使用され、検出器具は可動であり、軸319に沿って流路317と光学的に位置合わせされる。本明細書において記載される様々な方法及び技術を実行するために使用され得る検出器具は、様々な数の形態を取り得る。例えば、本実施形態において記載されるように、器具は蛍光剤又は蛍光信号を検出できる走査機器であり得る。あるいは、画像化機器及び画像分析はまた、アッセイ装置の少なくとも1つの流体前端の存在及び位置を判定するために使用され得る。更に別の代替的な形態により、赤外線(IR)センサーは、側方流動アッセイ装置の流体位置の位置を追跡するために使用され得る。例えば、IRセンサーは、サンプルが実際にアッセイ装置の基材に接触したことを確認するために、典型的に流体サンプル内の水と関連する約1200ナノメートルのピークを感知するように使用され得る。これらの技術を実行できる他の好適な手法及び機器が本明細書において使用され得ることが容易に認められるべきである。
【0091】
本実施形態の目的のため、本明細書において記載されるように、検出器具は携帯用(手持ち式、又はベンチトップ)試験機器内に組み込まれ、これは少なくとも1つの側方流動アッセイ装置300を受容し、流路317に沿い、レーザーダイオード並びに光学的システム及び濾過機能(光学軸を有し、側方流動アッセイ装置のアッセイ蛍光色素分子から発射される、規定の波長における蛍光信号の定性的測定をもたらすことができる)などの検出器具の発光要素に対する軸319と一致する、走査経路を画定する手段を含む。他の装置又は試験機器はまた、本明細書において記載されるモニタリング方法のために検出器具を保持するように使用され得る。例えば、複数の側方流動アッセイ装置を保持するためにメインフレーム臨床分析器が使用され得、これは2012年6月12日に出願された、同時係属米国特許番号第USSN 61/658,698に記載され、この内容は本明細書において参照により全体が組み込まれる。臨床分析器において、蛍光光度計などの少なくとも1つの検出器具は、装置の流路と位置合わせされ、インキュベータアセンブリに関連して、モニタリングステーションとして提供され得、モニタリングステーションにおいて、結果は、収容されているプロセッサへと伝達され得る。
【0092】
1つの代表的な流れモニタリング方法が本明細書において記載される。本方法のために、かつ以下の記載において、図4において先に記載された側方流動アッセイ装置が使用されるが、他の装置構成も使用され得、この実施形態は、より一般的な技術の代表であることを意図される。
【0093】
この特定の形態のために、一対の検出又は読み取り機器、すなわち、軸319に沿った検出区画318を含む流路317の線形区画と線形に位置合わせされた第1読み取り機器331と、第2軸337に沿った、吸上区画324と線形に位置合わせされた第2読み取り機器334とが利用される。従来の機器のそれぞれにおいて、蛍光光度計などの読み取り機又は検出器は、側方流動アッセイ300上に指定された特定の領域に対し、各軸319、337に沿って読み取ることができる。あるいは、単一の読み取り機器(図示されない)が使用されてもよく、読み取り機器は、検出軸319又は337のいずれかに沿って選択的に位置合わせするように、長手方向及び横方向で読み取る能力を有する。
【0094】
サンプルが投入されるか、ないしは別の方法で分配される前に、側方流動アッセイ装置300は最初に、側方流動アッセイ装置300の特定の領域において、いわゆる「乾式走査」を行って評価するか、又は第1読み取り機器331及び第2読み取り機器334のそれぞれを使用して読み取られる。本実施形態のために、読み取り値は、それぞれ指定位置351及び355の、吸上区画324の入口及び出口に隣接する、第2読み取り機器334を使用して取られ、第1読み取り機器331は、検出区画318において読み取り値を取る。「乾式走査」の目的は、サンプルを分配し、バックグラウンド信号を既知の水準と比較する前に、バックグラウンド信号レベルを得ることである。バックグラウンド水準を超える読み取り値は、例えば、装置の構造的な欠陥、又は試薬の時期尚早な漏れ、又は前回使用の残りなど、エラー条件を示す場合がある。いずれにせよ、バックグラウンド信号の好適な範囲内でない判定がいずれかの読み取り機器によって検出され得、アッセイ装置300は廃棄されることになる。
【0095】
あるいは、又は加えて、読み取り値は、装置が試験機器内に挿入された直後、及びサンプルが装置300に添加される前又は後に、吸上区画において、例えば、指定位置355における吸上区画324の出口において、取られる。バックグラウンド水準を超える読み取り値は、例えば、試薬の時期尚早な漏れ、前回使用の残りなど、エラー条件を示す場合がある。いずれにせよ、バックグラウンド信号の好適な範囲内でない判定が検出され得、アッセイ装置300は廃棄されることになる。
【0096】
サンプルは、臨床分析器、卓上、又はポイントオブケア装置などの試験機器(図示されない)に搭載される、アッセイ装置300のサンプル添加区画に分配される。サンプルは、アッセイ装置300を試験機器に挿入する際、又は挿入後に、投入され得る。この代表的な実施形態による試験機器は、時間測定手段及び十分なメモリを有するプロセッサ(図示されない)を含む。タイマーは、サンプルが分配されるとき、又は装置が試験機器内に搭載されるとき(これによりサンプルが分配される)に、起動する。第1読み取り機器331は、この場合において、検出物質が流れるサンプルと相互作用する際に検出物質を溶解することによって生じる、結合物質プルームにより、生じる検出可能な信号の最初の検出のため、検出区画318と位置合わせされたままである。この方法により、読み取り機器331は、読み取り機器331によって、信号の大きな増加によって、サンプルの投与から結合物質の前端の存在が最初に検出されるまで、読み取りを周期的に行う(例えば、1.5〜2.5秒毎)ように構成される。サンプルの分配から、この信号が検出されるまでの経過時間(T)が、所定の標準時間間隔(T)と比較され、試験機器の補助メモリに記録される。Tが規定の標準時間間隔Tよりも大きい場合、これはいずれかの装置及び/又はプロセスの問題を意味するために、装置の更なる試験は、終了され得る。エラーメッセージ又は信号がまた、音声により、又は他の好適な手段により、機器のユーザーに伝達され得る。
【0097】
の決定の後、試薬区画に関する信号プロファイルを得るために、第1読み取り機器331は、規定の時間(例えば、10秒)にわたり、規定の時間間隔(例えば、約2秒)で、検出区画318を、本実施形態に従って、モニタリングし続けることができる。エラーは、標準的なプロファイル、ないしは試験機器に保存された別のものと比較することによって検出され得る。例えば、図5を参照し、多数(N)の試薬区画312、313を備えるように構成されたアッセイ装置に関して、合計N個の蛍光剤信号(プルーム)が、一定の時間枠内において装置の流路内に形成される。1つ以上の生じるプルームが遅延する場合(例えば、流路を通じた遅い流れ)、蛍光信号はその生成において異なる工程をとる。もしこの工程が、規定の閾値よりも長い時間枠にわたって生じる場合、結合物質の溶解が正常に生じず、エラーを生じたものと考えるべき根拠が存在し得る。図5に示されるように、このような工程は、円形区域336で表されるようなものとして示され、平行に配置された試薬区画312と313との間の潜在的な遅延を表す。
【0098】
この結合前端(試薬区画312、313から溶出する際に検出可能な信号を含む液体サンプルの前端)はその後、アッセイ装置300の吸上区画324に関して更に検出され得る。本実施形態による第2読み取り機器334を使用して、読み取り機は、吸上区画324の入口付近の位置351へと移動される。サンプルが分配される時間、及びTを保存した、最初のタイマー及びプロセッサをそのまま使用し、第2読み取り機器334は、結合物質前端の存在を示す信号が先に記載されたものと同じ方法で検出されるまで、規定の時間間隔(例えば、1秒)で読み取られるように構成される。前端が検出された時間は、プロセッサに保存され、同じくプロセッサに保存された標準的な時間間隔と比較される(Tから、又はサンプルが最初に分配された時間に基づいて計測される)。この比較が好適でない場合、すなわち、計られた時間が保存される標準的な時間間隔を超える場合、試験は終了し、装置300は廃棄され得る。
【0099】
第2読み取り機器により検出される、結合物質前端が吸上区画324の入口351に到達するまでの時間はまた、プロセッサに記録される。試験の終了時における検体の測定の前に、装置300が適切に作動しているかどうかを判定することに加え、他のプロセスに関連する事象を制御するために、結合物質前端及び検出可能な信号の検出は更に使用され得る。例えば、全てのサンプルが分配され、アッセイ装置300を通じて吸上区画324まで移動された後に、洗浄液が添加され得ることは、既知である。本方法を使用して、この判定は、試薬区画312、313内の全ての結合物質が溶解した時点を判定することによって定性的に行うことができる。一形態において、第1読み取り装置331は、吸上区画324の入口における結合物質の検出後に、検出区画318に移動され得る。読み取り値は、信号の終了時まで、規定の時間間隔で取ることができる(図5参照)。信号の終了時に取られる時間(T)は、結合物質の終了を表し、これは、保存された標準値と比較され得る。Tが長すぎる場合、試験は終了してもよく、装置300が破棄されてもよい。
【0100】
この形態により、Tが規定の水準内である場合、洗浄試薬は、任意の試薬添加区画315に添加され得る。あるいは、洗浄試薬の添加を開始するために、吸上区画324内の流体容量が使用できると示した。この形態により、第2読み取り機器334は例えば、この代表的な実施形態により、吸上区画324の範囲に沿って、その入口と出口との間で、位置353の中央付近で、最初に位置付けられる。読み取り装置334はその後、結合物質流体前端の存在を示す信号の生成が検出されるまで、所定の時間間隔(例えば、1秒)で読み取り値を生じるように構成される。結合物質前端に到達するまでの時間(Twzcenter)は、所定の標準時間間隔と比較される。Twzcenterが規定値より高い場合、試験が終了し、装置300が破棄されてもよい。この時間が許容可能な限界内である場合、区画515から洗浄液の分配が開始され、非結合物質が吸上区画324に流され得る。
【0101】
洗浄工程が開始された後、本実施形態により、追加的な品質保証がもたらされる。例えば、一度Twzcenterが終了すると、第1流量は、関係式Q=V/(Twzcenter−Twzentrance)によって判定され、ここでVは吸上区画内の流体体積であり、Twzcenter及びTwzentranceは、それぞれ、吸上区画353の内側、及び吸上区画324の入口351において最初に検出された。吸上区画流体体積Vは、アッセイ装置設計の寸法から既知であり、試験機器のプロセッサによって事前に保存される。第2読み取り機器334はその後、吸上区画324の出口端部355まで移動し、出口端部355に最初に達する結合物質前端の存在を示す信号が検出されるまで、所定の間隔(例えば、1秒)で読み取り値が取られる。サンプルが最初に分配された時間、又は代替的にTのいずれかと比較した、この読み取り値を得るために取られる時間が判定され、保存された規定の標準値と比較される。この時間(Twzexit)が、所定の標準値よりも大きい場合、試験が終了し、アッセイ装置300は破棄され得る。
【0102】
吸上区画324の出口端部355までの検出される時間が許容可能であるものと想定し、時間(Twzexit)が記録され、以下の式に従って、吸上区画の中央353と、吸上区画324の出口端部355との間の第2流体流量が記録される:Q=V(Twzexit−Twzcenter)(式中、V=V−Vであり、V及びVはそれぞれ、試験機器のプロセッサによって事前に保存された既知の値である)。吸上区画324内の計算された流体流量の比率Q/Qはその後計算され、保存された閾値と比較される。
【0103】
上記の説明は、信号前端の検出の読み取りに関する、信号/時間の判定を行うために、一対の読み取り装置を使用した。あるいは、図6を参照し、単一の読み取り機が、読み取り機が2つの水平の平面的な寸法において移動するように構成された、検出又は走査経路(軸319、337)のそれぞれに関連して、提供され得る。別の形態により、単一の読み取り機はまた、軸319に対して提供され得る。より具体的に、側方流動アッセイ装置は、読み取り機器によるモニタリングを可能にするため、装置の好ましくは線形の走査経路319に沿って位置合わせされた位置を超える、吸上区画324内の1つ以上の点から、少なくとも1つの毛管チャネルが延びるように、構成され得る。
【0104】
少なくとも1つの毛管チャネルを備えるように構成されたアッセイ装置400の代表的な形態が、図6に表される。このアッセイ装置400は、成形可能なプラスチックなどの非多孔質材料から製造された平坦な基材404によって画定されるが、多孔質材料が代わりに使用されてもよい。基材404は、平行な試薬区画416、420(これらの区画はそれぞれ、内部に堆積された検出物質を含む)の対に、好ましくは毛管流を促進し、上記の液体サンプルと相互作用する複数の突起部と流体相互接続された、サンプル受容領域412を含む複数の別個の領域又は区画によって更に画定された、頂面又は上面408によって画定され、試薬区画は、少なくとも1つの検出区画又は領域425を含む装置400の折り畳まれた流体流路として延びる流路424内で流体相互接続され、この流路は、更に下流の受け取り又は吸上区画428まで延びる。流路424の線形部分は、蛍光光度計などの好適な検出器具(図示されない)と位置合わせされ得る、点線の軸429によって表される、検出部(走査経路)を画定する。上記のように、洗浄区画などの任意の試薬添加区画422はまた、反応区画416、420に隣接するように提供される。
【0105】
更に図6を参照し、本実施形態により、一対のマイクロチャネル432、436は、装置の吸上区画428と、流路424、及びより具体的には装置400の検出部429とを相互接続するものとしてもたらされる。より具体的には、第1マイクロチャネル432は一端において、吸上区画428の入口又はその付近で、流路424に接続され、一方、第2マイクロチャネル436は吸上区画の端部又は出口から実質的に延びる。マイクロチャネル432、436のそれぞれは、検出軸429を通じて基材404の側方側部まで延び、それぞれ通気口440、444を備えるものとして画定され、これを周囲空気に暴露する。第1マイクロチャネル432、第2マイクロチャネル436のそれぞれは、約0.05mm〜0.1mmの幅を有するものとして画定され、本実施形態により、約1.1mmの長さ、及び0.5mm以下の幅を有する拡張部448、452を含み、拡張部はそれぞれ、検出器具のために読み取りウィンドーを形成し、拡張部448、452のそれぞれは、互いに、かつ画定された検出軸429に沿って線形流路224と位置合わせされる。
【0106】
この設計のために、例えば、吸上区画428の中央から実質的に延びる、少なくとも1つの更なるマイクロチャネル(図示されない)を提供して、追加的なモニタリング位置がもたらされてもよく、ここでマイクロチャネルは、検出部429に沿って位置合わせされた、拡張部(読み取りウィンドー)を含む。装置基材404の側方縁部において後者のマイクロチャネルのための通気孔が設けられてもよく、又は吸上区画428の親水性カバー(図示されない)に開口部が形成されてもよい。好ましくは、任意のマイクロチャネルは出来る限り小さく、チャネルの幅はチャネル底部において約30マイクロメートル以下である。加えて、少なくとも一実施形態において、流速又は流体流量の推定は、既知の距離にわたり、吸上区画内のいずれかの2つの点において結合物質プルームが現れる時間から計算することができる。信号の検出の間の時間344は、マイクロチャネル間の既知の距離にわたる流体流量を計算するために使用され得る。少なくとも一形態により、流速又はサンプルの測定時間はその後、予測後補正をもたらすために使用され得る。追加的な方法は、本明細書と同時に出願された、第1発明者Zhong Dingによる、USSN(未定)、[代理人整理番号第CDS5125USNP号]、表題「Calibrating Assays Using Reaction Time」に記載されており、その全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0107】
このアッセイ装置400の基本動作原理は、先に記載されたものと同様である。すなわち、ある量のサンプルがサンプル受け取り領域412に適用され、これは、これを画定する突起部の影響下において毛管力により、試薬区画416、420に移送される。各試薬区画416、420のそれぞれにおいて、結合検出物質、及び検出可能な信号、例えば、蛍光結合物質プルームが、流体サンプルの移動前端の付近に生成される。この装置設計におけるように、試薬領域が複数である場合には、検出可能な信号の生成が遅らされ、よって段階的な出力が生成されてもよく、そこでは、最初の検出可能な信号が存在し、流れるサンプルの後の、又は若干重複する部分において別の信号、又はより強い強度の信号が続く。
【0108】
サンプルは、吸上区画428の入口に流体が到達するまで装置400の検出区画425を通じて移動し続けてもよく、ここでサンプルの一部がマイクロチャネル432内へと引き込まれる。このそらされた流体部分は、毛管作用下において、検出器具により特定されるように、検出部429と位置合わせされた拡張部448を超えて移動してもよい。この後の信号の時間は、吸上区画428に入る流体の指標である。これを受けて、流体サンプル、非結合物質、及び/又は洗浄流体は、本実施形態により、突起部及び/又は親水性カバー(図示されない)の影響下で、吸上区画428を通じて、毛管力により移動する。サンプル及び非結合検出物質が、吸上区画428の最後まで前進すると、別の部分が毛管作用によりマイクロチャネル436内へと吸引され、検出器具によりこれを特定するために、検出軸429とやはり位置合わせされる、画定された読み取りウィンドー452を超えて移動させられる。吸上区画428の入口及び出口における物質の存在を表す信号の検出の間の時間を知ること、並びにマイクロチャネル432、436の間の距離を知ることは、サンプルの流量、加えて他の関連する流れに関連するプロセスパラメーターを測定することを可能にする。
【0109】
更に別の態様に従い、かつ本明細書において記載される蛍光結合物質検出物質の性質により、側方流動アッセイ装置の特定の領域における非結合物質、又は遊離検出物質を検出することが可能である。これらの領域は、流路に沿ってこれを検出するために、走査機器を使用して先に記載された方法によって特定され得る。あるいは、吸上区画が流体流路の一部ではない例において、少なくとも1つの毛管チャネルが、関心の点において側方流動アッセイ装置の吸上区画からそれて流路まで達する場合があり、そこでこの物質の存在が、図6を参照して先に記載された走査機器を使用するために走査され得る。堆積中、非結合の蛍光色素分子の液滴が、毛管が吸上区画と結合する、結合部のすぐ上の毛管に、滴下され得る。この非結合物質は毛管に入る流体に容易に溶解し、流体が毛管の端部に到達したとき(装置の走査経路内)、堅牢な信号をもたらす。同様に、流体前端が流路に沿って前進するときに、その位置を追跡することが重要である場合、ごく少量の非結合蛍光色素分子が、流路の入口において堆積される場合があり、よって結合物質が、この初期の流体前端に溶解するのに十分な時間を有さなかったことを示す。
【実施例】
【0110】
(実施例1)
シッフ塩基連結による、タンパク質の共有結合不動化のために、表面上に酸化デキストランを有する、Zeonor(Zeon,Japan)で作製されたプラスチック基材チップが使用された。蛍光で標識されたAnti−NT−proBNPモノクローナル抗体は、試薬区画を生成するために堆積させ、かつ乾燥させた。Anti−NT−proBNPモノクローナル抗体は、試薬区画を生成するために堆積させ、かつ乾燥させた。より良好な毛管流のためにサンプルの湿潤性を増加させるために、装置に少量のTriton X−45が堆積された。検出区画における、蛍光標識された複合物からの信号強度は、プロトタイプ線形照明蛍光スキャナーにおいて記録された。図5を参照し、多数(N)の試薬区画を備えるように構成されたアッセイ装置に関して、合計N個の蛍光剤信号(プルーム)が、一定の時間枠内において装置の流路内に形成される。1つ以上の生じるプルームが遅延する場合(例えば、流路を通じた遅い流れ)、蛍光信号はその生成において異なる工程をとる。もしこの工程が、規定の閾値よりも長い時間枠にわたって生じる場合、結合物質の溶解が正常に生じず、エラーを生じたものと考えるべき根拠が存在し得る。図5に示されるように、このような工程は、円形区域336で表されるようなものとして示され、多数の試薬区画の間の潜在的な遅延を表す。
【0111】
(実施例2)
蛍光プルームの端部が、スキャナーによって検出する際に所定の時間間隔の前に検出されないとき、これはi)流体流量が早過ぎること、ii)チップ上に最初に存在する結合物質が少なすぎること、又はiii)物質をあまりに早く溶解させた試薬区画内の別の欠陥を含む、異常を示すことがある。この実施例において、アッセイ装置は、実施例1と同様の方法で調製され、全て同じチップ設計を使用する。図7を参照し、異なる堆積パターン及び量の、1x〜1/6xの範囲のAnti−NT−proBNPのモノクローナル抗体結合物質が、多数のアッセイ装置の試薬区画にもたらされ、これは異なるサンプル粘度に基づく。図7に示されるように、検出物質の量は、生じるプロファイルの形状、加えて検出される最大信号、及び各プロファイルの全体的な持続時間に直接影響する。流路に沿った様々な指標点におけるプルームの外観、加えて信号レベル及び持続時間は、確認することができ、よって本明細書において記載される方法により、粘稠なサンプルと流動性の流れとの間の差異を判定する。
【0112】
(実施例3)
アッセイ装置は、実施例1と同様の方法で調製され、全て同じチップ設計を使用する。この実施例において、かつ図8を参照し、基本又はバックグラウンドレベルに戻るプロファイルの部分394を明確に示す、代表的な検出信号プロファイル390は、流れの停止を示す部分398を含む別個のプロファイル396と対比される。最大経過時間間隔の後に、蛍光剤信号の終了を全く検出できないことは、i)遅すぎる流体流量(又は流体流の完全な欠如)、ii)不十分なサンプル容積、iii)過剰な結合物質(検出物質)は最初にアッセイ装置に存在するか、又はサンプルと共にサンプル添加区画に添加されるか、又はiv)検出物質をあまりにも遅く溶解させる試薬区画又は流路の別の欠陥などの、一定の異常を示す場合がある。
【0113】
追加的な実施形態
1.側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための方法であって、上記装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、上記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの検出区画、及び上記少なくとも1つの検出区画の下流の少なくとも1つの吸上区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含み、各上記区画は、毛管作用により上記サンプル添加区画から上記吸上区画までサンプルが流れる流体流路に沿って流体相互接続され、上記方法は、
サンプルを上記サンプル添加区画に添加する工程と、
上記サンプル及び試薬を混合する工程であって、上記サンプル及び試薬は、上記サンプル添加区画又は上記アッセイ装置上に上記サンプルを添加する前に混合されてもよく、上記試薬は、検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、
サンプルが、上記サンプル添加区画に添加された後に、上記側方流動アッセイ装置内の上記検出可能な信号の存在に関連する、少なくとも1つの時間関連の測定を行う工程と、
上記装置が適切に作動しているかどうかを判定するために、上記少なくとも1つの時間関連の測定を所定の閾値と比較する工程とを含む、方法。
2.上記検出物質は蛍光信号を生成する、実施形態1に記載の方法。
3.上記アッセイ装置は、上記サンプル添加区画の下流に配置され、上記流路に沿ってこれと流体相互接続された、少なくとも1つの試薬区画を含み、上記試薬区画は、上記少なくとも1つの検出物質を含む、実施形態1に記載の方法。
4.検出器具による、上記検出可能な信号の検出、又は不検出を可能にするように、上記側方流動装置の上記流路からサンプルの一部をそらす工程を更に含む、実施形態1に記載の方法。
5.上記そらす工程は、少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程を含み、上記少なくとも1つの毛管チャネルは上記流路から延び、上記検出器具により使用された上記側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じて更に延びる、実施形態4に記載の方法。
6.上記線形検出経路は上記少なくとも1つの検出区画を含む、上記流路の線形部分に沿って延びる、実施形態5に記載の方法。
7.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、上記吸上区画から延びる、実施形態6に記載の方法。
8.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、上記検出区画と位置合わせされた読み取りウィンドーを形成する、より大きな中間部分を含む、実施形態5に記載の方法。
9.上記少なくとも1つの毛管チャネルは通気されている、実施形態5に記載の方法。
10.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、上記少なくとも1つの検出区画の前に上記流路の一部からサンプルをそらす、実施形態6に記載の方法。
11.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、上記吸上区画の入口及び出口の少なくとも一方から延びる、実施形態7に記載の方法。
12.上記装置の少なくとも1つの検出区画をモニタリングする工程と、
上記検出可能な信号を有するサンプルが上記少なくとも1つの検出区画に対して最初に検出される時間を判定する工程であって、上記時間は、上記サンプル添加工程から開始する、工程と、
上記側方流動装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、上記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを更に含む、実施形態1に記載の方法。
13.上記装置の試験の前に上記試験機器に上記側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、上記試験機器に最初にサンプルが存在しない、工程と、
上記検出可能な信号が上記側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、上記試験機器の検出器具で、上記装置をモニタリングする工程とを更に含む、実施形態1に記載の方法。
14.上記サンプル区画にサンプルを添加した直後に、上記検出可能な信号が存在するかどうかを判定するために、検出器具で上記吸上区画の端部において上記装置をモニタリングする工程を更に含む、実施形態1に記載の方法。
15.上記検出可能な信号を有するサンプルが、上記吸上区画の所定の部分内に最初に流れた時間を測定する工程と、
上記装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、上記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、実施形態1に記載の方法。
16.上記測定された時間は、サンプルが上記サンプル添加区画に添加されたときに開始する、実施形態13に記載の方法。
17.上記検出可能な信号を有する上記サンプルが、上記装置の少なくとも2つの部分の間に流れ込んだ時間を測定する工程と、
この時間を所定の閾値と比較する工程とを更に含む、実施形態1に記載の方法。
18.上記少なくとも2つの部分の少なくとも一方が上記側方流動アッセイ装置の上記吸上区画にある、実施形態17に記載の方法。
19.上記少なくとも2つの部分のそれぞれが上記側方流動アッセイ装置の上記吸上区画にある、実施形態17に記載の方法。
20.上記少なくとも2つの部分が、上記吸上区画の入口及び出口を含む、実施形態19に記載の方法。
21.上記検出器具は、一度サンプルが上記側方流動装置を通って十分に流れると、少なくとも1つの検出区画内で少なくとも1つの検体の存在を判定するために使用され、上記方法は更に、
上記試薬区画の下流で上記側方流動アッセイ装置の少なくとも一部をモニタリングする工程と、
上記少なくとも1つの試薬区画の上記検出物質が完全に溶解する時間を上記モニタリング工程に基づいて測定する工程と、
上記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、実施形態3に記載の方法。
22.検体の検出は、上記測定された時間を、上記既知の時間と良好に比較しない限り、行われない、実施形態21に記載の方法。
23.生成された上記検出可能な信号が光学的に検出され得る、実施形態1に記載の方法。
24.上記装置の少なくとも1つの所定の部分において、複数の時間基準の測定を行う工程と、
上記測定に基づいて、上記検出可能な信号の時間履歴を生成する工程とを更に含む、実施形態1に記載の方法。
25.上記所定の時間内において上記測定された時間が良好に比較されない場合、エラーの通知を提供する工程を更に含む、実施形態21に記載の方法。
26.上記試験機器は、臨床分析器である、実施形態14に記載の方法。
27.上記試験機器は、ポイントオブケア装置である、実施形態14に記載の方法。
28.側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための方法であって、上記装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、上記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの検出区画、及び上記少なくとも1つの検出区画の下流の少なくとも1つの吸上区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含み、各上記区画は、毛管作用により上記サンプル添加区画から上記吸上区画までサンプルが流れる流体流路に沿って流体相互接続され、上記方法は、
上記装置の試験の前に上記試験機器に上記側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、上記試験機器に最初にサンプルが存在しない、工程と、
サンプル及び試薬を混合する工程であって、上記サンプル及び試薬は、上記サンプル添加区画又は上記アッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合されてもよく、上記試薬は、検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、
上記検出可能な信号が上記側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、検出器具で上記装置をモニタリングする工程とを含む、方法。
29.基材と、
少なくとも1つのサンプル添加区画と、
上記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流にあり、これと流体接続した少なくとも1つの検出区画であって、上記少なくとも1つの検出区画は、線形検出経路に沿って配置されて、これが、上記少なくとも1つの検出区画内の少なくとも1つの関心の検体の存在を検出器具が判定することを可能にする、検出区画と、
上記少なくとも1つの検出区画の下流の吸上区画であって、上記区画のそれぞれが流体相互接続し、毛管作用でサンプル受け取り区画から上記吸上区画までサンプルが流れ、サンプルが試薬と混合される流路を形成し、上記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、吸上区画と、
サンプルの一部をそらすための、少なくとも1つの毛管チャネルであって、上記少なくとも1つの毛管チャネルが上記流路の一部から延び、その場での検出を可能にするために、上記装置の上記線形検出経路を通じて更に延びる、毛管チャネルとを含む、側方流動アッセイ装置。
30.上記サンプル添加区画の下流に配置された少なくとも1つの試薬区画を含み、上記試薬区画が上記少なくとも1つの検出物質を保持する、実施形態29に記載の装置。
31.少なくとも2つの毛管チャネルを含む、実施形態29に記載の装置。
32.上記少なくとも2つの毛管チャネルは、上記吸上区画の別個の部分に対して配置される、実施形態31に記載の装置。
33.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、より大きな中間部分を含み、上記より大きな部分は上記検出経路と位置合わせされ、検出器具のために読み取りウィンドーとして機能する、実施形態29に記載の装置。
34.上記少なくとも1つの毛管チャネルは通気されている、実施形態29に記載の方法。
35.上記少なくとも1つの毛管チャネルが、上記少なくとも1つの検出区画の前に上記流路の一部からサンプルをそらす、実施形態29に記載の装置。
36.上記流路に沿って配置された少なくとも1つの洗浄区画を含む、実施形態29に記載の装置。
37.側方流動アッセイ装置を処理する方法であって、上記側方アッセイ装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、上記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流にある少なくとも1つの検出区画、及び上記少なくとも1つの検出区画の下流に配置された少なくとも1つの吸上区画を有する、基材を含み、各上記区画は、上記サンプル添加区画から上記吸上区画までサンプルが流れる流路に沿って流体接続しており、上記方法は、
上記側方流動アッセイ装置の上記サンプル添加区画に、ある量のサンプルを添加する工程と、
サンプル及び試薬を混合する工程であって、上記サンプル及び試薬は、上記サンプル添加区画、又は上記アッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合され得、上記試薬は、上記線形流路に沿って上記側方流動装置の残部を通じて流れる、検出可能な信号を生成する検出物質を含む、工程と、
上記側方流動装置の少なくとも1つの領域において上記検出可能な信号が検出されることに基づいて、プロセス関連事象を開始させる工程と、を含む方法。
38.上記検出物質を含む上記試薬が、上記サンプル添加区画の下流に配置され、これと流体接続する、少なくとも1つの試薬区画に配置される、実施形態37に記載の方法。
39.上記少なくとも1つの試薬区画の下流の、上記側方流動装置の少なくとも1つの区画をモニタリングする工程と、
上記検出可能な信号を有するサンプルが上記少なくとも1つの区画において最初に検出される時間を測定する工程と、
上記測定された時間を既知の時間と比較する工程と、
上記測定された時間が、上記既知の時間の閾値内である場合のみ、上記側方流動装置上で上記プロセス関連事象を開始させる工程とを更に含む、実施形態38に記載の方法。
40.上記プロセス関連事象は、サンプル及び検出物質を洗い流すために、上記側方流動アッセイ装置の洗浄区画に少なくとも1つの洗浄流体を分配することである、実施形態37に記載の方法。
41.検出は、上記側方流動装置の上記吸上区画の所定の部分において行われる、実施形態37に記載の方法。
42.上記少なくとも1つの検出区画を通じて延びる、上記側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じた上記流路からサンプルの一部をそらすための少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程と、
上記チャネルの上記検出可能な信号の存在又は不在を検出する工程であって、上記検出工程が、上記プロセス関連事象を開始させる、工程とを更に含む、実施形態37に記載の方法。
43.上記検出可能な信号が光学的に検出可能である、実施形態37に記載の方法。
44.検出可能な信号が蛍光性である、実施形態37に記載の方法。
45.上記検出物質は、蛍光プルームを生じる結合物質である、実施形態37に記載の方法。
46.上記側方流動アッセイ装置は、上記少なくとも1つの区画に配置された複数の突起部を含み、上記複数の突起部は、上記流路に沿って毛管流を生じるような寸法である、実施形態37に記載の方法。
47.サンプルを上記サンプル受け取り区画に適用する前に、上記少なくとも1つの試薬区画の外側のいずれかの区画の検出物質の存在に関し、上記アッセイ装置の少なくとも1つの所定の区画をモニタリングする工程を更に含む、実施形態38に記載の方法。
48.上記側方流動装置の2つ以上の所定の部分における上記検出可能な信号の出現及び中断の少なくとも一方のモニタリングに基づいて、少なくとも1つの流れ関連パラメーターを計算する工程を更に含む、実施形態38に記載の方法。
49.上記側方流動装置の上記少なくとも1つの領域において、上記検出可能な信号の中断を判定する工程を更に含む、実施形態38に記載の方法。
50.上記サンプルは全血である、実施形態37に記載の方法。
51.上記モニタリング工程は、上記吸上区画で行われる、実施形態39に記載の方法。
52.上記側方流動装置を試験機器内に挿入する工程を含み、上記試験機器は上記検出可能な信号を検出することができる器具を含む、実施形態37に記載の方法。
53.上記試験機器は、臨床分析器である、実施形態52に記載の方法。
54.上記側方流動装置の上記少なくとも1つの領域をモニタリングし、ある時間にわたって上記領域の溶解した検出物質の量を測定する工程を更に含む、実施形態38に記載の方法。
55.上記検出可能な信号の出現から終了まで、上記側方流動アッセイ装置の上記少なくとも1つの領域をモニタリングする工程を更に含む、実施形態38に記載の方法。
56.上記側方流動装置の上記少なくとも1つのモニタリングされた領域に関連する上記検出可能な信号の時間履歴を生成する工程を更に含む、実施形態55に記載の方法。
【0114】
【表1-1】
【0115】
【表1-2】
【0116】
本明細書において記載される概念の意図される領域内で、かつ、以下の請求項に従って、他の修正及び変形形態が可能であることが容易に理解される。
【0117】
〔実施の態様〕
(1) 側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための方法であって、前記装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの検出区画、及び前記少なくとも1つの検出区画の下流の少なくとも1つの吸上区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含み、各前記区画は、毛管作用により前記サンプル添加区画から前記吸上区画までサンプルが流れる流体流路に沿って流体相互接続され、前記方法は、
サンプルを前記サンプル添加区画に添加する工程と、
前記サンプル及び試薬を混合する工程であって、前記サンプル及び試薬は、前記サンプル添加区画又は前記アッセイ装置上に前記サンプルを添加する前に混合されてもよく、前記試薬は、検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、
サンプルが、前記サンプル添加区画に添加された後に、前記側方流動アッセイ装置内の前記検出可能な信号の存在に関連する、少なくとも1つの時間関連の測定を行う工程と、
前記装置が適切に作動しているかどうかを判定するために、前記少なくとも1つの時間関連の測定を所定の閾値と比較する工程とを含む、方法。
(2) 前記検出物質は蛍光信号を生成する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記アッセイ装置は、前記サンプル添加区画の下流に配置され、前記流路に沿ってこれと流体相互接続された、少なくとも1つの試薬区画を含み、前記試薬区画は、前記少なくとも1つの検出物質を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 検出器具による、前記検出可能な信号の検出又は不検出を可能にするように、前記側方流動装置の前記流路からサンプルの一部をそらす工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記そらす工程は、少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程を含み、前記少なくとも1つの毛管チャネルは前記流路から延び、前記検出器具により使用された前記側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じて更に延びる、実施態様4に記載の方法。
【0118】
(6) 前記線形検出経路は前記少なくとも1つの検出区画を含む、前記流路の線形部分に沿って延びる、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、前記吸上区画から延びる、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、前記検出区画と位置合わせされた読み取りウィンドーを形成する、より大きな中間部分を含む、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記少なくとも1つの毛管チャネルは通気されている、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、前記少なくとも1つの検出区画の前に前記流路の一部からサンプルをそらす、実施態様6に記載の方法。
【0119】
(11) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、前記吸上区画の入口及び出口の少なくとも一方から延びる、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記装置の少なくとも1つの検出区画をモニタリングする工程と、
前記検出可能な信号を有するサンプルが前記少なくとも1つの検出区画に対して最初に検出される時間を判定する工程であって、前記時間は、前記サンプル添加工程から開始する、工程と、
前記側方流動装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記装置の試験の前に試験機器に前記側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、前記試験機器に最初にサンプルが存在しない、工程と、
前記検出可能な信号が前記側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、前記試験機器の検出器具で、前記装置をモニタリングする工程とを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記サンプル区画にサンプルを添加した直後に、前記検出可能な信号が存在するかどうかを判定するために、検出器具で前記吸上区画の端部において前記装置をモニタリングする工程を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 前記検出可能な信号を有するサンプルが、前記吸上区画の所定の部分内に最初に流れた時間を測定する工程と、
前記装置が適切に動作しているかどうかを確認するために、前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、実施態様1に記載の方法。
【0120】
(16) 前記測定された時間は、サンプルが前記サンプル添加区画に添加されたときに開始する、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記検出可能な信号を有する前記サンプルが、前記装置の少なくとも2つの部分の間に流れ込んだ時間を測定する工程と、
この時間を所定の閾値と比較する工程とを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(18) 前記少なくとも2つの部分の少なくとも一方が前記側方流動アッセイ装置の前記吸上区画にある、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記少なくとも2つの部分のそれぞれが前記側方流動アッセイ装置の前記吸上区画にある、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記少なくとも2つの部分が、前記吸上区画の入口及び出口を含む、実施態様19に記載の方法。
【0121】
(21) 前記検出器具は、一度サンプルが前記側方流動装置を通って十分に流れると、少なくとも1つの検出区画内で少なくとも1つの検体の存在を判定するために使用され、前記方法は更に、
前記試薬区画の下流で前記側方流動アッセイ装置の少なくとも一部をモニタリングする工程と、
前記少なくとも1つの試薬区画の前記検出物質が完全に溶解する時間を前記モニタリング工程に基づいて測定する工程と、
前記測定された時間を既知の時間と比較する工程とを含む、実施態様3に記載の方法。
(22) 検体の検出は、前記測定された時間を、前記既知の時間と良好に比較しない限り、行われない、実施態様21に記載の方法。
(23) 生成された前記検出可能な信号が光学的に検出され得る、実施態様1に記載の方法。
(24) 前記装置の少なくとも1つの所定の部分において、複数の時間基準の測定を行う工程と、
前記測定に基づいて、前記検出可能な信号の時間履歴を生成する工程とを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(25) 前記所定の時間内において前記測定された時間が良好に比較されない場合、エラーの通知を提供する工程を更に含む、実施態様21に記載の方法。
【0122】
(26) 前記試験機器は、臨床分析器である、実施態様13に記載の方法。
(27) 前記試験機器は、ポイントオブケア装置である、実施態様13に記載の方法。
(28) 側方流動アッセイ装置において品質管理をもたらすための方法であって、前記装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流の少なくとも1つの検出区画、及び前記少なくとも1つの検出区画の下流の少なくとも1つの吸上区画を含む、複数の別個の区画を有する基材を含み、各区画は、毛管作用により前記サンプル添加区画から前記吸上区画までサンプルが流れる流体流路に沿って流体相互接続され、前記方法は、
前記装置の試験の前に前記試験機器に前記側方流動アッセイ装置を挿入する工程であって、前記試験機器に最初にサンプルが存在しない、工程と、
サンプル及び試薬を混合する工程であって、前記サンプル及び試薬は、前記サンプル添加区画又は前記アッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合されてもよく、前記試薬は、検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、工程と、
前記検出可能な信号が前記側方流動アッセイ装置の所定の部分に存在するかどうかを判定するために、検出器具で前記装置をモニタリングする工程とを含む、方法。
(29) 基材と、
少なくとも1つのサンプル添加区画と、
前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流にあり、これと流体接続した少なくとも1つの検出区画であって、前記少なくとも1つの検出区画は、線形検出経路に沿って配置されて、これが、前記少なくとも1つの検出区画内の少なくとも1つの関心の検体の存在を検出器具が判定することを可能にする、検出区画と、
前記少なくとも1つの検出区画の下流の吸上区画であって、前記区画のそれぞれが流体相互接続し、毛管作用でサンプル受け取り区画から前記吸上区画までサンプルが流れ、サンプルが試薬と混合される流路を形成し、前記試薬は検出可能な信号を生成する少なくとも1つの検出物質を含む、吸上区画と、
サンプルの一部をそらすための、少なくとも1つの毛管チャネルであって、前記少なくとも1つの毛管チャネルが前記流路の一部から延び、その場での検出を可能にするために、前記装置の前記線形検出経路を通じて更に延びる、毛管チャネルとを含む、側方流動アッセイ装置。
(30) 前記サンプル添加区画の下流に配置された少なくとも1つの試薬区画を含み、前記試薬区画が前記少なくとも1つの検出物質を保持する、実施態様29に記載の装置。
【0123】
(31) 少なくとも2つの毛管チャネルを含む、実施態様29に記載の装置。
(32) 前記少なくとも2つの毛管チャネルは、前記吸上区画の別個の部分に対して配置される、実施態様31に記載の装置。
(33) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、より大きな中間部分を含み、前記より大きな部分は前記検出経路と位置合わせされ、検出器具のために読み取りウィンドーとして機能する、実施態様29に記載の装置。
(34) 前記少なくとも1つの毛管チャネルは通気されている、実施態様29に記載の装置。
(35) 前記少なくとも1つの毛管チャネルが、前記少なくとも1つの検出区画の前に前記流路の一部からサンプルをそらす、実施態様29に記載の装置。
【0124】
(36) 前記流路に沿って配置された少なくとも1つの洗浄区画を含む、実施態様29に記載の装置。
(37) 側方流動アッセイ装置を処理する方法であって、前記側方アッセイ装置は、少なくとも1つのサンプル添加区画、前記少なくとも1つのサンプル添加区画の下流にある少なくとも1つの検出区画、及び前記少なくとも1つの検出区画の下流に配置された少なくとも1つの吸上区画を有する、基材を含み、各前記区画は、前記サンプル添加区画から前記吸上区画までサンプルが流れる流路に沿って流体接続しており、前記方法は、
前記側方流動アッセイ装置の前記サンプル添加区画に、ある量のサンプルを添加する工程と、
サンプル及び試薬を混合する工程であって、前記サンプル及び試薬は、前記サンプル添加区画、又は前記アッセイ装置上にサンプルを添加する前に混合され得、前記試薬は、前記線形流路に沿って前記側方流動装置の残部を通じて流れる、検出可能な信号を生成する検出物質を含む、工程と、
前記側方流動装置の少なくとも1つの領域において前記検出可能な信号が検出されることに基づいて、プロセス関連事象を開始させる工程と、を含む方法。
(38) 前記検出物質を含む前記試薬が、前記サンプル添加区画の下流に配置され、これと流体接続する、少なくとも1つの試薬区画に配置される、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記少なくとも1つの試薬区画の下流の、前記側方流動装置の少なくとも1つの区画をモニタリングする工程と、
前記検出可能な信号を有するサンプルが前記少なくとも1つの区画において最初に検出される時間を測定する工程と、
前記測定された時間を既知の時間と比較する工程と、
前記測定された時間が、前記既知の時間の閾値内である場合のみ、前記側方流動装置上で前記プロセス関連事象を開始させる工程とを更に含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記プロセス関連事象は、サンプル及び検出物質を洗い流すために、前記側方流動アッセイ装置の洗浄区画に少なくとも1つの洗浄流体を分配することである、実施態様37に記載の方法。
【0125】
(41) 検出は、前記側方流動装置の前記吸上区画の所定の部分において行われる、実施態様37に記載の方法。
(42) 前記少なくとも1つの検出区画を通じて延びる、前記側方流動アッセイ装置の線形検出経路を通じた前記流路からサンプルの一部をそらすための少なくとも1つの毛管チャネルを提供する工程と、
前記チャネルの前記検出可能な信号の存在又は不在を検出する工程であって、前記検出工程が、前記プロセス関連事象を開始させる、工程とを更に含む、実施態様37に記載の方法。
(43) 前記検出可能な信号が光学的に検出可能である、実施態様37に記載の方法。
(44) 前記検出可能な信号が蛍光性である、実施態様37に記載の方法。
(45) 前記検出物質は、蛍光プルームを生じる結合物質である、実施態様37に記載の方法。
【0126】
(46) 前記側方流動アッセイ装置は、前記少なくとも1つの区画に配置された複数の突起部を含み、前記複数の突起部は、前記流路に沿って毛管流を生じるような寸法である、実施態様37に記載の方法。
(47) サンプルを前記サンプル受け取り区画に適用する前に、前記少なくとも1つの試薬区画の外側のいずれかの区画の検出物質の存在に関し、前記アッセイ装置の少なくとも1つの所定の区画をモニタリングする工程を更に含む、実施態様38に記載の方法。
(48) 前記側方流動装置の2つ以上の所定の部分における前記検出可能な信号の出現及び中断の少なくとも一方のモニタリングに基づいて、少なくとも1つの流れ関連パラメーターを計算する工程を更に含む、実施態様38に記載の方法。
(49) 前記側方流動装置の前記少なくとも1つの領域において、前記検出可能な信号の中断を判定する工程を更に含む、実施態様38に記載の方法。
(50) 前記サンプルは全血である、実施態様37に記載の方法。
【0127】
(51) 前記モニタリング工程は、前記吸上区画で行われる、実施態様39に記載の方法。
(52) 前記側方流動装置を試験機器内に挿入する工程を含み、前記試験機器は前記検出可能な信号を検出することができる器具を含む、実施態様37に記載の方法。
(53) 前記試験機器は、臨床分析器である、実施態様52に記載の方法。
(54) 前記側方流動装置の前記少なくとも1つの領域をモニタリングし、ある時間にわたって前記領域の溶解した検出物質の量を測定する工程を更に含む、実施態様38に記載の方法。
(55) 前記検出可能な信号の出現から終了まで、前記側方流動アッセイ装置の前記少なくとも1つの領域をモニタリングする工程を更に含む、実施態様38に記載の方法。
【0128】
(56) 前記側方流動装置の前記少なくとも1つのモニタリングされた領域に関連する前記検出可能な信号の時間履歴を生成する工程を更に含む、実施態様55に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8