(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パルスシーケンスの実行を制御することによって、心臓及び横隔膜を含む範囲のデータを収集する第1撮像と、診断画像用に心臓全体のデータを収集する第2撮像とを実行するシーケンス制御部と、
前記第1撮像によって収集されたデータを用いて心臓及び横隔膜を含む画像を生成する画像生成部と、
前記画像を用いた画像処理に基づいて、前記画像から、心臓及び横隔膜の位置を検出し、検出した位置に基づいて、心臓の領域、及び、呼吸動を検出して撮像領域を移動させるための動き検出パルスであってSE(Spin Echo)法の励起パルスとリフォーカスパルスとを交差させる交差方式の動き検出パルスの印加領域を導出する導出部とを備え、
前記導出部は、前記心臓の領域と、前記動き検出パルスの印加領域とが重ならないように、相互の位置関係を調整した上で、前記心臓の領域、及び前記動き検出パルスの印加領域を導出する、磁気共鳴イメージング装置。
心臓及び横隔膜を含む範囲のデータを収集する第1撮像によって収集されたデータと、診断画像用に心臓全体のデータを収集する第2撮像によって収集されたデータとを記憶する記憶部と、
前記第1撮像によって収集されたデータを用いて心臓及び横隔膜を含む画像を生成する画像生成部と、
前記画像を用いた画像処理に基づいて、前記画像から、心臓及び横隔膜の位置を検出し、検出した位置に基づいて、心臓の領域、及び、呼吸動を検出して撮像領域を移動させるための動き検出パルスであってSE(Spin Echo)法の励起パルスとリフォーカスパルスとを交差させる交差方式の動き検出パルスの印加領域を導出する導出部とを備え、
前記導出部は、前記心臓の領域と、前記動き検出パルスの印加領域とが重ならないように、相互の位置関係を調整した上で、前記心臓の領域、及び前記動き検出パルスの印加領域を導出する、画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(以下、適宜「MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置」)及び磁気共鳴イメージング方法を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、各実施形態において説明する内容は、原則として、他の実施形態においても同様に適用することができる。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源102と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御部106と、送信コイル107と、送信部108と、受信コイルアレイ109と、受信部110と、シーケンス制御部120と、計算機130とを備える。なお、MRI装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御部120及び計算機130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0011】
静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源102から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源102は、静磁場磁石101に電流を供給する。なお、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、MRI装置100は、静磁場電源102を備えなくてもよい。また、静磁場電源102は、MRI装置100とは別に備えられてもよい。
【0012】
傾斜磁場コイル103は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及び読み出し用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0013】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御部106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部106は、計算機130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0014】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信部108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0015】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、適宜「MR信号」)を受信する。受信コイル109は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部110へ出力する。
【0016】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0017】
受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号を検出し、検出したMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部110は、受信コイル109から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部110は、生成したMRデータをシーケンス制御部120へ送信する。なお、受信部110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0018】
シーケンス制御部120は、計算機130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信部108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部110がMR信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御部120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。
【0019】
なお、シーケンス制御部120は、傾斜磁場電源104、送信部108及び受信部110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部110からMRデータを受信すると、受信したMRデータを計算機130へ転送する。
【0020】
計算機130は、MRI装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。計算機130は、インタフェース部131、記憶部132、制御部133、入力部134、表示部135、及び画像生成部136を備える。また、制御部133は、撮像条件設定部133a、及び領域導出部133bを備える。
【0021】
インタフェース部131は、シーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信し、シーケンス制御部120からMRデータを受信する。また、インタフェース部131は、MRデータを受信すると、受信したMRデータを記憶部132に格納する。記憶部132に格納されたMRデータは、制御部133によってk空間に配置される。この結果、記憶部132は、k空間データを記憶する。
【0022】
記憶部132は、インタフェース部131によって受信されたMRデータや、制御部133によってk空間に配置されたk空間データ、画像生成部136によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、記憶部132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0023】
入力部134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。表示部135は、制御部133による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、画像生成部136によって生成された画像等を表示する。表示部135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0024】
制御部133は、MRI装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、撮像条件設定部133aは、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、撮像条件設定部133aは、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部120へ送信する。また、例えば、領域導出部133bは、撮像条件設定部133aによって受け付けられた撮像条件や、画像生成部136によって生成された画像を用いて、撮像領域や、その関連領域(若しくはこれらの候補)を自動的に導出する。例えば、制御部133は、ASIC、FPGA等の集積回路、CPU、MPU等の電子回路である。なお、撮像条件設定部133aや領域導出部133bによる処理の詳細は、後述する。
【0025】
画像生成部136は、k空間データを記憶部132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
【0026】
続いて、
図2及び
図3は、第1の実施形態における心臓の撮像を説明するための図である。第1の実施形態においては、呼吸動を検出して、心臓を含む撮像領域をリアルタイムに移動させることで、呼吸動に起因する撮像部位の位置ずれを補正する。また、第1の実施形態においては、この補正法として、1D Motion Probeを用いたMotion Correctionを用いる。
【0027】
例えば、動き検出パルスの印加領域は、右横隔膜の凸面のトップ(頂点)に設定される。制御部133は、この印加領域から収集されたMRデータを1次元フーリエ変換する。すると、
図2に示すように、横隔膜の移動量が検出される。例えば、シーケンス制御部120は、
図3に示すように、心電信号(ECG(Electrocardiogram))に同期しながら、各心拍において、撮像領域からMRデータを収集する直前に、動き検出パルスの印加領域からMRデータを収集する。なお、以下では、説明の便宜上、撮像領域からMRデータを収集することを「本収集」と呼び、動き検出パルスの印加領域からMRデータを収集することを「Motion Probe収集」と呼ぶ。また、
図3において、黒塗りの矩形がMotion Probe収集を示し、白塗りの矩形が本収集を示す。
【0028】
一方、制御部133は、Motion Probe収集によって収集されたMRデータを1次元フーリエ変換することで、横隔膜の移動量をリアルタイムに検出し、検出した移動量に基づき、読み出し方向、位相エンコード方向、及びスライスエンコード方向のずれ量を、リアルタイムに推定する。そして、制御部133が、推定したずれ量に基づき、同心拍で実行される本収集の撮像領域の位置を補正すると、シーケンス制御部120は、この補正された撮像領域からMRデータを収集する。
【0029】
こうして、シーケンス制御部120は、Motion Probe収集と本収集とを交互に繰り返しながら、画像の生成に必要とされる全てのMRデータを収集する。なお、自由呼吸下でこの撮像が行われる場合、例えば、
図2に示すように、横隔膜の移動量に上限値及び下限値を設定し、閾値の範囲外の移動が発生した場合には、本収集によって収集されたMRデータを、画像生成の対象から除外する等の制御を行ってもよい。なお、上述した心臓の撮像は一例に過ぎない。例えば、撮像は、自由呼吸下でなく、息止め下で行ってもよい。
【0030】
次に、
図4は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。以下、
図5〜
図10を併せて参照しながら、第1の実施形態における処理手順を説明する。
【0031】
まず、撮像条件設定部133aが、操作者による撮像条件の入力を、入力部134を介してGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する(ステップS101)。
【0032】
図5は、第1の実施形態における撮像条件入力用のGUIを示す図である。例えば、
図5に示すように、GUI上には、右から順に、プロトコル(パルスシーケンス)の一覧を表示する領域1、領域1に表示された一群のプロトコルの総称を表示する領域2、及び、人体模型図上で撮像部位毎の選択を受け付ける領域3が表示される。このようなGUI上で、操作者は、例えば、階層構造に従って、領域3、領域2、領域1の順に選択を行うことで、実行すべき所望のプロトコル群(パルスシーケンス群)を指定することができる。
【0033】
例えば、操作者が、領域1上で『胸部』に対応する矩形を選択すると、『胸部』に関連するプロトコルの総称の一覧が領域2に表示される。続いて、操作者が、領域2上で、心臓全体を画像化する目的の一群のプロトコルの総称である『Whole Heart』を選択すると、この総称に対応する一群のプロトコルの一覧が、領域1に表示される。この一覧には、例えば、感度マップを収集するためのプロトコルや、シミングのためのプロトコル、イメージングのためのプロトコルが、それぞれ、1つ又は複数含まれる。そこで、操作者は、領域1に表示された一覧の中から、感度マップ用、シミング用、イメージング用等、それぞれについて、所望のプロトコルを選択し、終了ボタンを押下する。こうして、撮像条件設定部133aは、実行すべき所望のプロトコル群の指定を受け付け、各プロトコルに定義された撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。なお、
図5に示すGUIは、説明の便宜上の一例に過ぎず、例えば、各領域に表示される情報は、運用の形態に応じて、任意に変更することができる。
【0034】
図4に戻り、続いて、被検体Pに受信コイル109が装着され、被検体Pが寝台105の天板105a上に載置され、受信コイル109がMRI装置100に電気的に接続される(ステップS102)。例えば、受信コイル109は、複数のコイルエレメントを有するボディコイルである。
【0035】
次に、寝台制御部106が、寝台105を移動する(ステップS103)。具体的には、寝台制御部106が、天板105aを所定位置に移動させると、投光器(図示を省略)の光が被検体Pに当てられる。操作者は、この投光器の光が、撮像部位(例えば、心臓)に当てられたタイミングで、入力部134を介して、撮像部位の位置の指定を入力する。すると、寝台制御部106は、指定された撮像部位が磁場中心に位置付けられるように、天板105aを移動させる。
【0036】
続いて、シーケンス制御部120が、シーケンス情報に基づきパルスシーケンスの実行を制御することによって、心臓を含む範囲の3次元のMRデータを収集する(ステップS104)。例えば、シーケンス制御部120は、GE(Gradient Echo)系のパルスシーケンスを用いてMRデータを収集する。GE系のパルスシーケンスは、小さなフリップ角の励起パルス、及び傾斜磁場パルスを印加する手法であるので、SE(Spin Echo)系のパルスシーケンスに比較してTR(Repetition Time)が短い。例えば、シーケンス制御部120は、3D FFE(Fast Field Echo)を用いて、MRデータを収集する。
【0037】
図6は、第1の実施形態における3次元のMRデータを説明するための図である。
図6に示すように、例えば、シーケンス制御部120は、頭足方向を読み出し方向に設定し、左右方向を位相エンコード方向に設定し、背腹方向をスライスエンコード方向に設定して、3次元のMRデータを収集する。頭足方向を読み出し方向に設定することで、頭足方向の分解能を高めることができる。
【0038】
また、例えば、シーケンス制御部120は、磁場中心を中心に、MRI装置100として設定可能な最大FOV(Field Of View)(例えば、静磁場強度の均一性を担保可能な範囲)で、MRデータを収集する。後述するように、このMRデータから生成された3次元画像は、心臓を含む撮像領域、及び動き検出パルスの印加領域の導出に用いられる。このため、MRデータは、各領域の導出においてランドマークとして用いられる部位を含む範囲で収集される必要がある。例えば、第1の実施形態において、MRデータは、心臓及び右横隔膜の凸面のトップを含む範囲で収集されることが望ましい。
【0039】
次に、画像生成部136が、ステップS104において収集されたMRデータを用いて3次元画像を生成する(ステップS105)。そして、領域導出部133bが、ステップS105において生成された3次元画像を用いた画像処理に基づいて、心臓を含む撮像領域、及び動き検出パルスの印加領域を導出する(ステップS106)。
【0040】
図7は、第1の実施形態における各種領域の導出手順を示すフローチャートである。
図7は、
図4のステップS106の処理に対応する。また、
図8及び
図9は、第1の実施形態における各種領域の導出を説明するための図である。
図7に示すように、まず、領域導出部133bは、
図4のステップS101で設定された撮像条件を判定する(ステップS106−1)。領域導出部133bは、後述するように、各種領域の導出にあたり、その目的に合致したモデル画像を読み出し、また、読み出したモデル画像を用いて、その目的に合致した撮像領域や関連領域を導出する必要がある。このため、領域導出部133bは、撮像条件設定部133aによって受け付けられた撮像条件の入力を用いて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定する。なお、第1の実施形態において、モデル画像とは、予め被検体P(例えば、標準的な1人の患者)をMRI装置100によって撮像することで得られた画像(MR画像)である。また、実施形態はこれに限られるものではなく、モデル画像として、例えば、複数の患者を撮像することで得られた画像の平均画像を用いてもよい。また、モデル画像は、画像処理が施された画像でもよい。
【0041】
図5を用いて説明したように、例えば、操作者は、領域1、領域2、及び領域3の階層それぞれで、撮像条件を指定することができる。このため、領域導出部133bは、そのいずれかの階層における撮像条件の指定によって、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定することができる。例えば、領域導出部133bは、領域3で『胸部』に対応する矩形が選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、領域2で『Whole Heart』の総称が選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、領域1で、Whole Heartのイメージングスキャンに相当するプロトコル(例えば、Whole Heart専用のプロトコル等)が選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。
【0042】
そして、領域導出部133bは、いずれかの撮像条件に基づいて、例えば、心臓の撮像(WH MRCA)であるか否かを判定する(ステップS106−2)。心臓の撮像(WH MRCA)でないと判定した場合(ステップS106−2,No)、領域導出部133bは、他の領域の導出処理を行い(ステップS106−3)、処理を終了する。
【0043】
一方、心臓の撮像(WH MRCA)であると判定した場合(ステップS106−2,Yes)、領域導出部133bは、予め記憶していたモデル画像の中から、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置が既知であるモデル画像を読み出す(ステップS106−4)。なお、このモデル画像には、例えば、ステップS104でMRデータを収集する際のプロトコル(例えば、3D FFE)と同じプロトコルで収集されたものを用いることが望ましい。画像のコントラストが類似するので、モデル画像を用いた画像処理の精度を高めることができる。
【0044】
図8において、モデル画像M1及びモデル画像M2は、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置が既知であるモデル画像であり、いずれも同じモデル画像である。一方、入力画像I1は、
図4のステップS105で生成された画像であり、入力画像I2は、この入力画像I1に対して、後述する剛体変形、若しくは非剛体変形の画像処理を行った画像である。また、合成画像F1は、モデル画像M1と入力画像I1との合成画像であり、合成画像F2は、モデル画像M2と入力画像I2との合成画像である。なお、合成画像F1及び合成画像F2は、いずれも、2つの画像の差分を説明するためのものであり、領域導出部133bによる領域導出の処理に用いられるものではない。なお、いずれの画像も、3次元の画像である。
【0045】
図7に戻り、領域導出部133bは、モデル画像に一致するように、入力画像に対して剛体変形、若しくは非剛体変形の画像処理(g)を行う(ステップS106−5)。例えば、領域導出部133bは、下記の(1)式を解き、画像変形パラメータを求めるレジストレーションを行う。
【数1】
【0046】
(1)式における『i』は、画像の位置ベクトルであり、『I(i)』は、位置iにおける入力画像の画素値であり、『M(i)』は、位置iにおけるモデル画像の画素値である。また、関数『E』は、入力画像とモデル画像との類似度の評価関数である。関数『E』は、類似しているほど値が低くなる関数であり、対応画素同士の二乗誤差の総和等で実現される。また、関数『g』は、剛体変形や、Affine変換、Thin−Plate−Spline変換等の非剛体変形の関数である。
【0047】
例えば、
図8では、モデル画像M1(若しくはモデル画像M2)に一致するように、入力画像I1に対して、剛体変形、若しくは非剛体変形の画像処理(g)を行った結果、入力画像I2が得られた様子を示す。合成画像F1に比較して、合成画像F2は、2つの画像の差分が少なくなっている。
【0048】
図7に戻り、領域導出部133bは、剛体変形、若しくは非剛体変形後の入力画像で、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置を特定する(ステップS106−6)。例えば、
図8に示すように、モデル画像M2では、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置が、3次元で既知であるので、これと一致するように剛体変形、若しくは非剛体変形された入力画像I2でも、同じ位置に、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置を特定することができる。なお、トップの位置は、点で特定されてもよいし、ある程度の範囲を有する領域で特定されてもよい。
【0049】
続いて、領域導出部133bは、剛体変形、若しくは非剛体変形後の入力画像を、元の入力画像に逆変形する画像処理(g
-1)を行う(ステップS106−7)。すると、
図8に示すように、領域導出部133bは、逆変形後の入力画像I1上に、心臓及び右横隔膜の凸面のトップの位置を特定することができる。そこで、領域導出部133bは、これらの位置に基づいて、心臓を含む撮像領域、及び動き検出パルスの印加領域を導出する(ステップS106−8)。
【0050】
例えば、領域導出部133bは、モデル画像を用いた画像処理により「心臓」の位置を特定すると、続いて、この「心臓」を包含する「心臓領域」を導出し、次に、導出した「心臓領域」を包含する「心臓を含む撮像領域」を導出する。この手法は、モデル画像から直接導出される「心臓」の大きさと、「心臓領域」の大きさとが異なる(「心臓領域」の方が大きい)場合を主に想定するものである。後述するように、動き検出パルスの印加領域は、心臓と重ならないように設定されることが望ましいため、「心臓領域」をある程度大きめに導出しておいた方が、動き検出パルスの印加領域との重なりは、より確実に回避可能であるとも言える。
【0051】
また、領域導出部133bは、モデル画像を用いた画像処理により「右横隔膜の凸面のトップ」の位置を特定すると、この「右横隔膜の凸面のトップ」に基づいて、「動き検出パルスの印加領域」を導出する。このような処理により、領域導出部133bは、心臓を含む撮像領域及び動き検出パルスの印加領域について、その位置、大きさ、及び向きのうち、少なくとも1つを導出する。この点について、以下、詳細に説明する。
【0052】
例えば、領域導出部133bは、予め、心臓領域の大きさや、動き検出パルスの印加領域の大きさを定めておき、入力画像I1上に特定された撮像部位や、その他のランドマークを包含するように、予め定めた大きさの領域を設定する。
【0053】
例えば、
図9に示すように、入力画像I1上には、撮像部位である心臓Hと、その他のランドマークである右横隔膜の凸面のトップTとが、特定されている。一方、
図9に示すように、心臓領域HRや、動き検出パルスの印加領域MP1及びMP2は、その直方体の大きさが予め定められている。なお、第1の実施形態においては、動き検出パルスの印加方式として、SE法の励起パルスとリフォーカスパルスとを交差させて四角柱状の領域を励起する2面の交差方式を採用する。このため、動き検出パルスの印加領域は、MP1及びMP2の2つである。
【0054】
そこで、例えば、領域導出部133bは、逆変形後の入力画像I1上に特定された心臓を包含するように、予め大きさの定まった直方体の心臓領域HRを設定する。また、例えば、領域導出部133bは、右横隔膜の凸面のトップTが、交差する四角柱状の領域(
図9において実線で表現)の中心に位置づけられるように、予め大きさの定まった直方体の印加領域MP1及びMP2を設定する。
【0055】
このとき、領域導出部133bは、印加領域MP1及びMP2が、心臓領域HRと重ならないように、その交差具合、即ち、印加領域MP1及びMP2の向きを調整する。これは、上述したように、心臓を含む撮像領域からMRデータが収集される直前に、動き検出パルスの印加領域からMRデータが収集されるため、心臓に印加領域が重なってしまうと、縦磁化の回復との関係で、心臓の画像にアーチファクトが生じてしまうおそれがあるからである。領域導出部133bは、3次元画像上で心臓の位置を把握しているので、このような設定も可能である。
【0056】
また、領域導出部133bは、心臓領域HRを導出すると、心臓領域HRを包含するように、実際にMRデータが収集される撮像領域を導出する。なお、撮像領域は、心臓領域HRを包含するように導出されるだけでなく、画像の折り返し等を考慮した十分な大きさで導出される。この撮像領域の大きさも、予め設定されている。
【0057】
なお、上述では、予め、心臓領域の大きさや、動き検出パルスの印加領域の大きさ、撮像領域の大きさを定めておく例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、入力画像上で特定した心臓の大きさや、右横隔膜の凸面のトップと心臓との距離等の情報に基づいて、適宜、各種領域の大きさや向きを調整してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像上で、直方体の各種領域自体を設定しておいてもよい。この場合、逆変形の過程で、各種領域が直方体の形状を維持できなくなると考えられるが、逆変形後に、領域導出部133bが、直方体の形状に整えてもよい。例えば、上述した手法では、モデル画像から「心臓」の位置を特定し、更に「心臓領域HR」を導出するというように、2段階の手順を踏む手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、モデル画像を用いた画像処理により、直接「心臓領域HR」を導出してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像を用いた画像処理により、直接、動き検出パルスの印加領域MP1及びMP2を導出してもよい。
【0058】
こうして、領域導出部133bによって、心臓を含む撮像領域、及び動き検出パルスの印加領域が導出された。
図4に戻り、続いて、領域導出部133bは、領域導出部133bによって導出された各種領域を操作者に確認させるための確認画面を表示部135に表示する(ステップS107)。
【0059】
図10は、第1の実施形態における確認画面を説明するための図である。領域導出部133bは、例えば、ステップS104で収集されたMRデータから、2次元の断面像であるコロナル像及びアキシャル像を生成する。そして、領域導出部133bは、
図10に示すように、生成したコロナル像及びアキシャル像それぞれの上に、ステップS106で導出された、心臓を含む撮像領域(
図10において点線で表現)、心臓領域HR、印加領域MP1及びMP2、並びに2つの印加領域の交差領域(
図10において網掛けで表現)を表示する。操作者は、この確認画面上で、適宜、心臓を含む撮像領域や、心臓領域HR、印加領域MP1及びMP2を修正することができる。なお、この
図10において明らかであるように、撮像領域自体は、心臓領域HRよりも、十分に大きく設定される。例えば、
図10のコロナル像において、撮像領域は、被検体Pの体の横幅よりも大きい幅で設定されていることが分かる。また、例えば、
図10のアキシャル像において、撮像領域は、被検体Pの体を包含する大きさで設定されていることが分かる。
【0060】
図4に戻り、領域導出部133bは、確認の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。確認の入力を受け付けていない場合(ステップS108,No)、領域導出部133bは、確認画面上で修正の入力を受け付けて(ステップS109)、再び、確認画面を表示する(ステップS107)。一方、確認の入力を受け付けると(ステップS108,Yes)、続いて、シーケンス制御部120が、各種準備スキャンを実行する(ステップS110)。
【0061】
例えば、準備スキャンには、例えば、各コイルエレメント(若しくはチャネル)の配列方向の感度を示すプロファイルデータを収集するためのスキャン、各コイルエレメント(若しくはチャネル)の感度分布を示す感度マップを収集するためのスキャン、RFパルスの中心周波数を求めるためのスペクトラムデータを収集するためのスキャン、静磁場の均一性を調整するために補正コイル(図示を省略)に流す電流値を求めるためのスキャン等がある。なお、感度マップは、通常、画像生成処理までに収集されればよいので、必ずしもイメージングスキャンに先行して収集されなくてもよい。
【0062】
そして、シーケンス制御部120は、ステップS106で導出され、ステップS108で確認された、撮像領域や動き検出パルスの印加領域を設定の上、Motion Probe収集と本収集とを交互に繰り返すイメージングスキャンを実行する(ステップS111)。
【0063】
その後、画像生成部136が、シーケンス制御部120によって収集されたMRデータから画像を生成し(ステップS112)、生成した画像を表示部135に表示する(ステップS113)。
【0064】
上述したように、第1の実施形態によれば、イメージングスキャンに先行して収集された3次元のMRデータから、撮像領域と、動き検出パルスの印加領域とを、自動的に導出することができるので、各種領域を、簡易且つ短時間で設定することができる。また、第1の実施形態によれば、動き検出パルスの印加領域が心臓と重ならないように、領域相互間の位置関係を調整して導出するので、撮像に必要な領域を、矛盾無く高精度に導出することができる。
【0065】
また、第1の実施形態によれば、操作者から入力された撮像条件によって、領域導出で用いられるモデル画像等を判定するので、領域導出までの処理を、領域導出のための付加的な操作なしに、中断なく行うことができる。また、第1の実施形態によれば、自動的に導出した各種領域の確認画面を表示し、操作者からの修正を受け付けるので、例えば、個別の検査毎の細かい要望にも対応することができる。
【0066】
(第1の実施形態の変形例)
なお、実施形態は、上述した第1の実施形態に限られるものではない。
【0067】
例えば、第1の実施形態においては、右横隔膜の凸面のトップをランドマークとして動き検出パルスの印加領域を求めたが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、左横隔膜(心尖部側)をランドマークとして検出して動き検出パルスの印加領域を求めてもよい。また、この場合、例えば、領域導出部133bは、複数の印加領域の候補を求めて確認画面に表示し、操作者による選択を受け付けてもよい。また、例えば、領域導出部133bは、より適切な印加領域を判定して、最適な印加領域のみを確認画面に表示するか、あるいは優先順位とともに印加領域を表示してもよい。この判定は、例えば、心臓との重なり具合等を基準に行うことができる。なお、複数の候補を求める点等、上述した内容は、他の実施形態においても同様に適用することができる。
【0068】
また、例えば、上述した第1の実施形態においては、動き検出パルスの印加方式として2面の交差方式を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、GE系のパルスシーケンスで用いられるペンシルビーム方式でもよい。
【0069】
また、例えば、上述した第1の実施形態においては、呼吸動に起因する撮像部位の位置ずれを補正する補正法として、1D Motion Probeを用いたMotion Correctionの場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではなく、例えば、2D Motion Probeを用いたMotion Correctionを用いてもよい。2D Motion Probeでは、Motion Probe収集で収集されたMRデータに対して2次元フーリエ変換が施され、画像化されたデータに基づき、例えば、横隔膜の上下方向や前後方向の移動量が検出される。この場合、2D Motion Probeの断面設定は、特定された横隔膜のトップの位置(点)を通る体軸方向のラインを軸とした、例えば、2D水平断面として設定することができる。あるいは、重要な臓器、若しくは脈管系統の位置も特定できているため、横隔膜のトップの位置(点)を通る体軸方向のラインを軸として、これらの重要臓器等を避けるような角度で断面設定を行うようにしてもよい。
【0070】
また、第1の実施形態の実施形態においては、撮像部位として心臓を想定したが、実施形態はこれに限られるものではなく、他の撮像部位でもよい。例えば、腹部のDWI(Diffusion Weighted Image)検査等において2D Motion Probeを用いる場合を想定することができる。
【0071】
図11は、第1の実施形態の変形例を説明するための図である。
図11に示すように、腹部のDWI検査等においては、腹部の撮像領域ARとともに、例えば、右横隔膜の凸面のトップの位置に、動き検出パルスの印加領域MP3が設定される。動き検出パルスの印加領域は、第1の実施形態と同様であるが、2D PACEである分、やや幅が広くなる場合が多い。領域導出部133bによる処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、領域導出部133bは、入力された撮像条件に基づく判定に従って、その目的に合致したモデル画像を読み出し、読み出したモデル画像を用いて、その目的に合致した腹部の撮像領域や、動き検出パルスの印加領域を導出する。この場合、ランドマークとしては、例えば、横隔膜、肝臓、心臓、脊椎、その他の脈管系等が、適宜選択されたり、組み合わせて利用される。
【0072】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態においては、Time−SLIPによる門脈の撮像を説明する。なお、第2の実施形態に係るMRI装置100は、第1の実施形態と同様の構成を備え(
図1を参照)、また、第1の実施形態と同様の処理手順を実行する(
図4を参照)。
【0073】
まず、Time−SLIPについて簡単に説明する。Time−SLIPでは、撮像領域に流入、若しくは撮像領域に流出する流体を、この撮像領域とは独立した標識化領域(タグパルスの印加領域)内で標識化する。標識化領域は、例えば、流体経路の上流に設定される。すると、所定時間後に撮像領域に流入、若しくは撮像領域に流出する流体の信号値は、相対的に高く、若しくは低くなり、流体が描出される。なお、この所定時間のことを、BBTI(Black-Blood Time to Inversion)時間等と称する場合がある。
【0074】
例えば、シーケンス制御部120は、心電信号のR波のピークから所定の遅延時間が経過すると、タグパルスとして、領域非選択インバージョンパルス、及び領域選択インバージョンパルスを印加する。通常、領域非選択インバージョンパルスは、撮像領域全体に印加され、領域選択インバージョンパルスは、標識化領域に印加される。どのように信号を描出するかによって、領域非選択インバージョンパルスの印加の有無は、選択することができる。
【0075】
典型的な例を説明する。例えば、標識化領域が撮像領域内に設定された場合を想定する。まず、シーケンス制御部120が、撮像領域全体に領域非選択インバージョンパルスを印加すると、撮像領域全体の組織の縦磁化成分は反転する。続いて、シーケンス制御部120は、撮像領域内の標識化領域にのみ領域選択インバージョンパルスを印加する。すると、標識化領域内の組織の縦磁化成分は再び反転する。この印加からBBTI時間後、領域非選択インバージョンパルスのみを印加された組織、すなわち標識化された組織以外の組織は回復し、その縦磁化成分が0になる(Null Point)。シーケンス制御部120は、例えばこのタイミングでMR信号を収集する。この結果、標識化された流体のみが、高い信号値で可視化される。標識化された流体は撮像領域に流出するので、「フローアウト」等と称される場合がある。
【0076】
一方、例えば、標識化領域が撮像領域外に設定された場合を想定する。シーケンス制御部120が、撮像領域外の標識化領域にのみ領域選択インバージョンパルスを印加すると、標識化領域内の組織の縦磁化成分は反転する。標識化された流体は、その後、撮像領域内に流入するが、撮像領域内の組織はインバージョンパルスの印加を受けていないため、両者の縦磁化成分には差が生じる。シーケンス制御部120は、BBTI時間後にエコー信号を収集する。この結果、標識化された流体のみが、低い信号値で可視化される。標識化された流体は撮像領域に流入するので、「フローイン」等と称される場合がある。
【0077】
なお、Time−SLIPでは、上述した典型例に限らず、標識化領域の設定方法や、領域非選択インバージョンパルスの印加の有無等を適宜組み合わせることで、所望の対象を選択的に描出することができる。
【0078】
さて、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の処理手順(
図4を参照)で全体の処理が進められる。すなわち、第2の実施形態において、まず、撮像条件設定部133aが、撮像条件の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。続いて、被検体Pに受信コイル109が装着され、寝台制御部106が、寝台105を移動する。このとき、操作者は、投光器の光が、撮像部位(例えば、腹部)に当てられたタイミングで、撮像部位の位置の指定を入力する。すると、寝台制御部106は、指定された撮像部位が磁場中心に位置付けられるように、天板105aを移動させる。
【0079】
続いて、シーケンス制御部120が、シーケンス情報に基づきパルスシーケンスの実行を制御することによって、磁場中心を中心に、MRI装置100として設定可能な最大FOVで3次元のMRデータを収集する。次に、画像生成部136が、収集されたMRデータを用いて3次元画像を生成し、領域導出部133bが、生成された3次元画像を用いた画像処理に基づいて、腹部の撮像領域、及びタグパルスの印加領域を導出する。領域導出部133bによる各種領域に導出については、後述する。
【0080】
その後、領域導出部133bが、各種領域を操作者に確認させるための確認画面を表示して確認を受け付けた後、シーケンス制御部120が、各種準備スキャンや、イメージングスキャン(例えば、3D SSFP(Steady−State Free Precession)や、3D FFE)を実行して、画像生成部136が、画像の生成・表示を行う。
【0081】
図12は、第2の実施形態における各種領域の導出手順を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、領域導出部133bは、第1の実施形態と同様、
図4のステップS101で設定された撮像条件を判定する(ステップS206−1)。
【0082】
図13は、第2の実施形態における撮像条件入力用のGUIを示す図である。例えば、領域導出部133bは、領域3で『腹部』に対応する矩形が選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、領域2で、Time−SLIPを用いた門脈の撮像を目的とする一群のプロトコルの総称である『Time-SLIP(portal)』が選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、領域1で、Time−SLIPを用いた門脈のイメージングスキャン(例えば、Time−SLIPを用いた門脈の撮像専用のプロトコル等)に相当するプロトコルが選択されたことに基づいて、読み出すべきモデル画像や、導出すべき各種領域を判定してもよい。
【0083】
そして、領域導出部133bは、いずれかの撮像条件に基づいて、例えば、Time−SLIPを用いた門脈の撮像であるか否かを判定する(ステップS206−2)。Time−SLIPを用いた門脈の撮像でないと判定した場合(ステップS206−2,No)、領域導出部133bは、他の領域の導出処理を行い(ステップS206−3)、処理を終了する。
【0084】
一方、Time−SLIPを用いた門脈の撮像であると判定した場合(ステップS206−2,Yes)、領域導出部133bは、予め記憶していたモデル画像の中から、肝臓、脾臓、及び、脈管系である門脈及び腸間膜静脈の位置が既知であるモデル画像を読み出す(ステップS206−4)。
図14は、第2の実施形態におけるモデル画像を説明するための図である。
図14に示すように、第2の実施形態においては、モデル画像M3上で、肝臓、脾臓、及び、脈管系である門脈及び腸間膜静脈(例えば、門脈と腸間膜静脈との分岐)の位置が既知である。
【0085】
図12に戻り、領域導出部133bは、第1の実施形態と同様、モデル画像に一致するように、入力画像に対して剛体変形、若しくは非剛体変形の画像処理(g)を行う(ステップS206−5)。
【0086】
続いて、領域導出部133bは、剛体変形、若しくは非剛体変形後の入力画像で、肝臓、脾臓、及び、脈管系である門脈及び腸間膜静脈(例えば、門脈と腸間膜静脈との分岐)の位置を特定する(ステップS206−6)。例えば、
図14に示すように、モデル画像M3では、肝臓、脾臓、及び、脈管系である門脈及び腸間膜静脈の位置が、3次元で既知であるので、これと一致するように剛体変形、若しくは非剛体変形された入力画像でも、同じ位置に、これらの位置を特定することができる。
【0087】
続いて、領域導出部133bは、剛体変形、若しくは非剛体変形後の入力画像を、元の入力画像に逆変形する画像処理(g
-1)を行う(ステップS206−7)。すると、領域導出部133bは、逆変形後の入力画像上に、肝臓、脾臓、及び、例えば、門脈と腸間膜静脈との分岐の位置を特定することができる。そこで、領域導出部133bは、これらの位置に基づいて、撮像領域、及びタグパルスの印加領域を導出する(ステップS206−8)。
【0088】
図15は、第2の実施形態における撮像領域及びタグパルスの印加領域を説明するための図である。まず、第2の実施形態において、撮像領域としては、肝臓及び脾臓を包含する大きさの立方体が設定される。また、第2の実施形態において、タグパルスの印加領域としては、門脈に流れ込む血液を画像化する第1のパターン、腸間膜静脈から門脈に流れ込む血液のみを画像化する第2のパターン、脾静脈から門脈に流れ込む血液のみを画像化する第3のパターンのそれぞれが設定される。なお、実施形態は
図14に示す例に限られるものではない。撮像領域やタグパルスの印加領域は、画像化の対象や、どのように描出するか(例えば、ブラックブラッドで描出するか、ブライトブラッドで描出するか)等によって、任意に変更することができる。
【0089】
例えば、
図15の(A)に示すように、領域導出部133bは、入力画像上に特定された肝臓及び脾臓の位置に基づいて、これらを包含する大きさの立方体の領域を、撮像領域R1として設定する。また、例えば、領域導出部133bは、入力画像上で、門脈と腸間膜静脈との分岐の位置を特定し、特定した分岐の位置より肝臓側に、肝臓の下辺の傾きに沿うような傾きの斜め置きで、予め大きさの定まった直方体のタグパルスの印加領域TP1を設定する。
【0090】
例えば、
図15の(A)に示す第1のパターンの場合、タグパルスの印加領域TP1内の縦磁化を反転させて、所定時間後に(門脈以外の肝臓内の血液信号がヌルポイントとなる時間に)撮像領域R1内のMR信号を収集すると、門脈に流れ込む血液を選択的に描出することができる。
【0091】
また、例えば、
図15の(B)に示すように、領域導出部133bは、入力画像上に特定された肝臓及び脾臓の位置に基づいて、これらを包含する大きさの立方体の領域を、撮像領域R2として設定する。また、例えば、領域導出部133bは、入力画像上で、門脈と腸間膜静脈との分岐の位置を特定し、特定した分岐の位置を含む上側に、予め大きさの定まった直方体のタグパルスの印加領域TP2を横置きで設定する。
【0092】
例えば、
図15の(B)に示す第2のパターンの場合、タグパルスの印加領域TP2内の縦磁化を反転させて、所定時間後に(門脈以外の肝臓内の血液信号がヌルポイントとなる時間に)撮像領域R2内のMR信号を収集すると、腸間膜静脈から門脈に流れ込む血液を選択的に描出することができる。
【0093】
また、例えば、
図15の(C)に示すように、領域導出部133bは、入力画像上に特定された肝臓及び脾臓の位置に基づいて、これらを包含する大きさの立方体の領域を、撮像領域R3として設定する。また、例えば、領域導出部133bは、入力画像上で、門脈と腸間膜静脈との分岐の位置を特定し、特定した分岐の位置を包む左側に、予め大きさの定まった直方体のタグパルスの印加領域TP3を縦置きで設定する。
【0094】
例えば、
図15の(C)に示す第3のパターンの場合、タグパルスの印加領域TP3内の縦磁化を反転させて、所定時間後に(門脈以外の肝臓内の血液信号がヌルポイントとなる時間に)撮像領域R3内のMR信号を収集すると、脾静脈から門脈に流れ込む血液を選択的に描出することができる。
【0095】
なお、上述では、予め、タグパルスの印加領域の大きさを定めておく例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、入力画像上で特定した肝臓の大きさや、肝臓と脾臓との距離等の情報に基づいて、適宜、各種領域の位置、大きさ、向きを調整してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像上で、直方体の各種領域自体を設定しておいてもよい。この場合、逆変形の過程で、各種領域が直方体の形状を維持できなくなると考えられるが、逆変形後に、領域導出部133bが、直方体の形状に整えてもよい。
【0096】
図16は、第2の実施形態における確認画面を説明するための図である。領域導出部133bは、例えば、ステップS104で収集されたMRデータから、2次元の断面像であるコロナル像及びアキシャル像を生成する。そして、領域導出部133bは、生成したコロナル像及びアキシャル像それぞれの上に、ステップS206で導出された門脈の撮像領域R1〜R3、タグパルスの印加領域TP1〜TP3を表示する。なお、
図16においてはコロナル像のみを例示する。操作者は、この確認画面上で、適宜、門脈の撮像領域R1〜R3や、タグパルスの印加領域TP1〜TP3を修正することができる。
【0097】
なお、
図17は、第2の実施形態において生成された画像を例示する図である。
図17に示すように、タグパルスの印加領域は、全体的に信号の低下が認められるものの、この印加領域に流入する血液は、ブライトブラッドで描出されている。
【0098】
上述したように、第2の実施形態によれば、イメージングスキャンに先行して収集された3次元のMRデータから、門脈の撮像領域と、タグパルスの印加領域とを、自動的に導出することができるので、各種領域を、簡易且つ短時間で設定することができる。
【0099】
また、第2の実施形態によれば、操作者から入力された撮像条件によって、領域導出で用いられるモデル画像等を判定するので、領域導出までの処理を、領域導出のための付加的な操作なしに、中断なく行うことができる。また、第2の実施形態によれば、自動的に導出した各種領域の確認画面を表示し、操作者からの修正を受け付けるので、例えば、個別の検査毎の細かい要望にも対応することができる。
【0100】
(その他の実施形態)
なお、実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
【0101】
(3次元のMRデータの収集)
上述した実施形態においては、イメージングスキャンに先行して各種領域導出用に3次元のMRデータを収集する場合に、パルスシーケンスとして3D FFEを用いる例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。シーケンス制御部120は、3次元のMRデータを収集する場合に、パルスシーケンスとして、例えば、3D SSFPや、3D FASE(Fast Asymmetric Spin Echo)を用いてもよい。例えば、第2の実施形態においては、門脈、腸間膜静脈、脾静脈等の脈管系をランドマークとして用いるので、脈管系の血液の信号値が高く描出されるパルスシーケンスで3次元のMRデータを収集することで、領域導出処理の精度を高めることができる。また、例えば、シーケンス制御部120は、2種類以上のパルスシーケンスを併用してもよい。この場合、領域導出部133bは、例えば、各MRデータからそれぞれ領域を導出して、その結果を併用してもよい。
【0102】
また、例えば、シーケンス制御部120は、2D FFE、2D SSFP、2D FASEを用いたマルチスライス撮像によって、3次元のMRデータを収集してもよい。また、例えば、シーケンス制御部120は、これらのパルスシーケンスの実行に先行して、T2プリパレーション(preparation)パルスを印加するパルスシーケンスを付加してもよい。T2プリパレーションパルスを印加することで、画像のコントラストを強調することができる。
【0103】
(3次元、2次元)
また、上述した実施形態においては、領域導出用に3次元のMRデータを収集し、その後3次元のイメージングスキャンを実行する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、シーケンス制御部120は、領域導出用に3次元のMRデータを収集し、その後2次元のイメージングスキャンを実行してもよい。また、例えば、シーケンス制御部120は、領域導出用に2次元のMRデータを収集し、その後3次元や2次元のイメージングスキャンを実行してもよい。
【0104】
例えば、第1の実施形態においては、心臓全体を画像化する3次元のイメージングスキャンを想定して説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、シーケンス制御部120は、心臓の基本断面をシネ撮像する2次元のイメージングスキャンを実行してもよい。基本断面とは、心臓の解剖学的な特徴に基づく断面のことであり、例えば、垂直長軸像、水平長軸像、二腔長軸像、三腔長軸像、四腔長軸像、左室短軸像等である。例えば、シーケンス制御部120は、領域導出用に収集された3次元のMRデータから、基本断面を収集するための位置情報である基本位置を算出し、算出した基本位置に基づいて基本断面を収集してもよい。
【0105】
(その他領域の導出)
また、上述した実施形態においては、領域導出用に収集したMRデータから、撮像領域の他に、動き検出パルスの印加領域、若しくはタグパルスの印加領域を導出する例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。領域導出部133bは、領域導出用に収集したMRデータから、空間的な位置の設定を伴う各種パルスの印加領域を導出することができる。例えば、領域導出部133bは、サチュレーションパルスや他のASLパルスの(1つ、又は複数の)印加領域を導出することができる。
【0106】
また、領域導出部133bは、領域導出用に収集したMRデータから各種パルスの印加領域を導出するだけでなく、その他の領域を導出してもよい。例えば、領域導出部133bは、MRデータから心臓の上端位置や下端位置を検出し、マルチスライス像を収集する撮像範囲を導出してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、MRデータから被検体Pに外接する直方体領域を検出し、この直方体領域をよりも広い範囲を感度マップ撮像の撮像範囲として導出してもよい。また、例えば、領域導出部133bは、MRデータから心臓に外接する直方体領域を検出し、この直方体領域を含む所定範囲をシミング撮像の撮像範囲として導出してもよい。
【0107】
また、領域導出部133bは、撮像領域を導出する際、併せて、その3次元の撮像領域内で収集されるスライス数、スライス厚、スライス間隔についても導出することもできる。例えば、プロトコルにスライス厚とスライス間隔とが固定値として設定されている場合、領域導出部133bは、撮像領域の導出に伴いスライス数を算出する。また、例えば、プロトコルにスライス数とスライス間隔とが固定値として設定されている場合、領域導出部133bは、撮像領域の導出に伴いスライス厚を算出する。また、例えば、プロトコルにスライス厚とスライス数とが固定値として設定されている場合、領域導出部133bは、撮像領域の導出に伴いスライス間隔を算出する。なお、例えば、スライス数を固定すれば、撮像時間を一定にすることができ、スライス厚を調整すれば、空間分解能を調整することができる。
【0108】
(画像処理)
また、領域導出のための画像処理は、上述した実施形態に限られるものではない。上述した実施形態では、入力画像がモデル画像に一致するようにレジストレーションする手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、モデル画像を変形させて入力画像とレジストレーションさせることにより各領域を導出する手法でもよい。また、例えば、領域導出部133bは、モデル画像を用いない手法によって、撮像領域や関連領域を導出してもよい。例えば、領域導出部133bは、3次元画像に対して閾値処理を施すことによって、空気領域と空気以外の領域とにセグメンテーションする。続いて、領域導出部133bは、空気領域の境界に、横隔膜面モデルや、心臓を模した球体のモデルをあてはめることで、心臓や、横隔膜の凸面のトップの位置を検出する。そして、領域導出部133bは、これをランドマークとして、撮像領域や、動き検出パルスの印加領域を導出する。
【0109】
また、上述した実施形態において、モデル画像を用いた画像処理を説明したが、このモデル画像は、例えば、年齢や、既往症等に応じて、複数種類準備されていてもよい。上述した実施形態において、入力された撮像条件に基づいてモデル画像が選択される手法を説明したが、例えば、領域導出部133bは、検査のための項目として入力された、被検体Pの年齢や既往症等の情報に基づいて、適切なモデル画像を選択してもよい。
【0110】
また、上述した実施形態においては、入力された撮像条件に基づいてモデル画像等が選択される手法を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出用にMRデータが収集され、このMRデータから生成された3次元画像が、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則ったデータ構造で記憶部132に格納されたとする。この場合、領域導出部133bは、例えば、この3次元画像に付帯された付帯情報(例えば、『心臓』、『3D FFE』等)に基づいて、モデル画像等を選択してもよい。なお、付帯情報は、例えば、DICOM規格の付帯情報に限られず、MRI装置100固有の付帯される付帯情報であってもよい。
【0111】
また、上述した実施形態においては、領域導出部133bが、自動的に、モデル画像を選択して読み出す例を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、領域導出部133bは、複数準備されたモデル画像の一覧をGUI上に表示して、操作者から、モデル画像の選択を受け付けてもよい。この場合、領域導出部133bは、操作者から選択されたモデル画像を、各種領域の導出に用いる。なお、例えば、領域導出部133bは、例えば、撮像条件や、被検体Pの年齢、既往症等の情報に基づいて、複数のモデル画像の中から、一覧表示の対象とするモデル画像を絞り込み、絞り込んだモデル画像のみを一覧表示してもよい。
【0112】
また、上述した実施形態に係るMRI装置100は、準備スキャンの段階や、あるいはイメージングスキャン後の段階において、モデル画像の選択し直しと、選択し直したモデル画像による各種領域の導出し直しとを実現することができる。例えば、上述した実施形態においては、領域導出部133bが、確認画面を表示し、確認画面上で修正の入力を受け付ける例を説明した(
図4のステップS107〜S109)が、領域導出部133bは、この段階で、モデル画像の選択し直しと、選択し直したモデル画像による各種領域の導出し直しとを実行してもよい。例えば、領域導出部133bは、確認画面とともに、「モデル画像の再選択」ボタンを表示する。そして、領域導出部133bは、このボタンの押下を受け付けると、自動的に新たなモデル画像を選択するか、あるいは、モデル画像の一覧を表示して、操作者から新たなモデル画像の選択を受け付ける。その後、領域導出部133bは、新たに選択された新たなモデル画像を用いて、各種領域を再度導出する。
【0113】
また、例えば、上述した実施形態においては、画像生成部136が、イメージングスキャンによって収集され、生成した画像を表示部135に表示する例を説明した(
図4のステップS112〜S113)が、領域導出部133bは、この段階で、モデル画像の選択し直しと、選択し直したモデル画像による各種領域の導出し直しとを実行してもよい。例えば、領域導出部133bは、イメージングスキャンによって収集された画像とともに、「モデル画像の再選択」ボタンを表示する。そして、領域導出部133bは、このボタンの押下を受け付けると、自動的に新たなモデル画像を選択するか、あるいは、モデル画像の一覧を表示して、操作者から新たなモデル画像の選択を受け付ける。その後、領域導出部133bは、新たに選択された新たなモデル画像を用いて、各種領域を再度導出する。なお、この場合、イメージングスキャンについても、再度の実行となる。
【0114】
(具体的な数値、処理の順序)
また、上述した実施形態において例示した具体的な数値や処理の順序は、原則として、一例に過ぎない。例えば、各種領域の導出に用いたランドマークは、任意に変更することができる。また、処理の順序についても、例えば、確認画面を表示しない処理手順等、任意に変更することができる。また、具体的なパルスシーケンスについても、任意に変更することができる。
【0115】
(画像処理システム)
また、上述した実施形態においては、医用画像診断装置であるMRI装置100が各種処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置100と画像処理装置とを含む画像処理システムが、上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像処理装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置等である。この場合、例えば、MRI装置100は、シーケンス制御部120による収集を行う。一方、画像処理装置は、MRI装置100によって収集されたMRデータやk空間データを、MRI装置100から、若しくは、画像サーバからネットワーク経由で受信することで、あるいは、記録媒体を介して操作者から入力されること等で受け付けて、記憶部に記憶する。そして、画像処理装置は、記憶部に記憶したこのMRデータやk空間データを対象として、上述した各種処理(例えば、画像生成部136による処理や、領域導出部133bによる処理)を実行すればよい。
【0116】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピュータが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態のMRI装置100による効果と同様の効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のMRI装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0117】
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0118】
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0119】
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法によれば、各種領域を簡易に設定することができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。