特許第6359300号(P6359300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359300
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ペグの人工器官への機械的組立
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20180709BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20180709BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A61F2/38
   A61F2/28
   A61L27/04
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-51379(P2014-51379)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-180569(P2014-180569A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2017年2月23日
(31)【優先権主張番号】61/799,570
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/186,394
(32)【優先日】2014年2月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エイ・リボルト
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジェイ・スミス
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−275963(JP,A)
【文献】 米国特許第05534027(US,A)
【文献】 特表平10−510735(JP,A)
【文献】 特開平02−065858(JP,A)
【文献】 特開2007−167660(JP,A)
【文献】 特開2012−187415(JP,A)
【文献】 特開2011−092739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28 − 2/46
A61L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実金属部と多孔質金属部を有する第1構成要素、
を含む整形外科用人工器官であって、
前記中実金属部が、第1中実金属表面と前記第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面とを含み、
前記中実金属部は、前記第2中実金属表面から前記第1中実金属表面に向かって延在し、かつ前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間の平面に端部を有する、内壁を有し、
前記内壁が、前記第1中実金属表面から最も離れた最小の内径と、前記内壁の前記端部に大きな内径とを有するようにテーパ状になっており、内部面取りチャンバを画定し、
前記第2中実金属表面が、前記内壁と前記第2中実金属表面との接合部に開口部を有し、
前記多孔質金属部が、ヘッドとシャフトを有するペグを含み、
前記ペグの前記ヘッドが、第1自由端と、前記ヘッドと前記シャフトとの接合部から前記第1自由端に向かって延在するテーパ状の壁と、を有し、
前記ペグが、前記第1自由端における最大外径と、前記ヘッドと前記シャフトとの前記接合部におけるより小さい外径と、を有し、
前記ヘッドの前記テーパ状の壁は、前記内部面取りチャンバの前記内壁の前記テーパ状の形状と対応する形状を有し、前記内壁の前記最少の内径が前記ヘッドと前記シャフトとの前記接合部における前記外径に対応する寸法を有し、前記ヘッドの前記テーパ状の壁が、前記内部面取りチャンバの前記内壁内に受容され、
前記ペグの一部が、前記第2中実金属表面における前記開口部を通過して外向きに延在し、
前記中実金属部が前記第1中実金属表面から前記ペグの前記ヘッドまで延在し、前記ペグの前記ヘッドを覆い、
前記ペグと、前記中実金属部の前記第2中実金属表面との間に冶金学的な接続がない、整形外科用人工器官。
【請求項2】
前記ペグと、前記中実金属部との間に冶金学的な接続がない、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項3】
前記中実金属部と前記多孔質金属部が異なる金属を含有する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項4】
前記中実金属部がコバルトを含有し、前記多孔質金属部がチタンを含有する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項5】
前記中実金属部がコバルトと、クロムと、モリブデンの合金を含有し、前記多孔質金属部がチタン金属発泡体を含有する、請求項4に記載の整形外科用人工器官。
【請求項6】
前記第1構成要素が、関節面と骨対向面を有する遠位大腿骨インプラント構成要素を含み、
前記第1中実金属表面が前記関節面のうちの1つを含み、
前記第2中実金属表面が前記骨対向面のうちの1つを含む、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項7】
前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記関節面を受容するための関節面を有する軸受を更に有する、請求項6に記載の整形外科用人工器官
【請求項8】
前記軸受が、前記軸受の前記関節面から間隔を置いて配置された搭載面を有し、前記整形外科用人工器官が、前記軸受の前記搭載面を受容するための支持面を有する脛骨トレイを更に含む、請求項7に記載の整形外科用人工器官。
【請求項9】
前記軸受の前記搭載面と前記脛骨トレイの前記支持面が前記軸受を前記脛骨トレイに固定するための相補型構造を有し、
前記相補型構造は、前記脛骨トレイの前記支持面から近位側に延在し、前記脛骨トレイの前記支持面に連続している中実金属前方バットレスを有し、
前記中実金属前方バットレスの一部が、前記ペグの前記ヘッドの少なくとも一部を、前記中実金属前方バットレスと前記ペグの前記ヘッドとの間を延在する中実金属で覆う、請求項8に記載の整形外科用人工器官。
【請求項10】
前記中実金属部が前記ペグを囲む中実金属環を含み、前記中実金属環が、前記第1構成要素の前記中実金属部の前記第2中実金属表面と連続し、そこから延在する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項11】
前記中実金属環と前記ペグとの間に冶金学的な結合がない、請求項10に記載の整形外科用人工器官。
【請求項12】
前記中実金属環が前記ペグの前記表面から約1mm外に延在している、請求項11に記載の整形外科用人工器官。
【請求項13】
前記内部面取りチャンバが前記第2中実金属表面の高さを越えて延在するように、前記中実金属環が、前記内部面取りチャンバのテーパ状の前記内壁と連続したテーパ状の内壁を有する、請求項11に記載の整形外科用人工器官。
【請求項14】
前記多孔質金属部が、前記第2中実金属表面に冶金学的に結合された多孔質金属の層を含む、請求項10に記載の整形外科用人工器官。
【請求項15】
前記ペグの前記ヘッドの前記第1自由端に隣接した前記中実金属部に環状隙間が存在する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項16】
前記内部面取りチャンバが長手方向中心軸を有し、前記内部面取りチャンバの前記内壁が前記長手方向中心軸と約40度の角度を画定する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【請求項17】
記中実金属部が、前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間で5mm未満の厚さを有する、請求項1に記載の整形外科用人工器官。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、全体が参照として本願に組み込まれている2013年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/799570号「Mechanical Assembly of Pegs to Prothesis」に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は一般的に、埋め込み可能な整形外科用人工関節、より具体的には、軸受構成要素及び軸受構成要素を支持する別の構成要素を有する埋め込み可能な整形外科用人工関節に関連する。
【背景技術】
【0003】
患者の一生の間において、例えば疾患又は外傷の結果として患者に関節置換術を行う必要が生じ得る。関節置換手術は、1つ以上に患者の骨に埋め込まれる人工関節の使用を伴う場合がある。膝置換手術の場合、脛骨トレイが患者の脛骨に埋め込まれる。軸受が次に脛骨トレイに固定される。代替大腿骨構成要素の顆表面は、脛骨軸受を支える。
【0004】
1つの種類の人工膝関節は、固定軸受人工膝関節である。その名の示す通り、固定軸受人工膝関節の軸受は脛骨トレイに対して動かない。固定軸受設計は通常、患者の軟組織(すなわち、膝靱帯)の状態が、可動軸受を有する人工膝関節の使用を許さない場合に使用される。
【0005】
対照的に、可動軸受の種類の人工膝関節では、軸受は脛骨トレイに対して動くことができる。可動軸受人工膝関節は、いわゆる「回転台」人工膝関節を含み、軸受は脛骨トレイ上の長手方向軸を中心として回転することができる。
【0006】
脛骨トレイは通常、生体適合性の金属、例えば、コバルトクロム合金又はチタニウム合金から作製される。
【0007】
固定及び可動軸受膝関節の両方において、脛骨トレイは、患者の脛骨上の所定の位置にセメント固定されるように設計されてもよく、あるいはセメントレス固定用に設計されてもよい。セメント固定は、脛骨トレイとセメントとの間、加えてセメントと骨との間の機械的結合に依存する。セメントレスインプラントは一般的に、インプラント構成要素への骨内部成長に繋がり、二次固定においてかなりの部分がこの骨内部成長に依存する表面特徴を有し、一次固定はインプラントと処理された骨との機械的フィットによって達成される。
【0008】
固定及び可動軸受、並びにセメント固定及びセメントレス関節形成システムの双方の脛骨構成要素は通常、脛骨トレイ及び脛骨トレイによって保持されるポリマー軸受を含む、モジュラー構成要素である。脛骨トレイは通常、ペグ又は茎部などの遠位に延在する機構を含む。これらの延長部は脛骨平坦部の表面下を貫通し、脛骨トレイ構成要素を運動に対して安定化させる。セメントレス脛骨インプラントでは、これらの延長部の外表面は、骨内部成長を可能にするために、典型的には多孔質である。例えば、Zimmer Trabecular Metal Monoblock脛骨トレイでは、平坦な遠位表面及び六角形の軸面を備えるペグが、多孔質の金属で完全に形成される。このようなトレイでは、骨内部成長が、遠位表面を含むペグの全表面に沿って生じる傾向にある。
【0009】
このような人工膝関節システムの大腿骨構成要素もまた、セメント固定又はセメントレス固定のいずれかのために設計される。セメント固定では、大腿骨構成要素は、典型的には凹部又はセメントポケットを含む。セメントレス固定では、大腿骨構成要素は、圧力嵌めによる一次固定のために設計され、骨内部成長に好適な多孔質の骨嵌合表面を含む。双方の設計とも、インプラントの安定化のために、大腿骨に調製された穴内に延在するように設計されたペグを含み得る。
【0010】
時として、この一次人工膝関節は故障する。故障は、磨耗、非感染性の弛み、骨溶解、靭帯の不安定化、関節の線維化及び膝蓋大腿部における合併症を含む多くの要因により生じる。その故障が消耗による場合、修正手術が必要であり得る。修正では、一次人工膝関節(又はその一部分)は取り外され、修正人工関節システムの構成要素と置換される。
【0011】
脛骨又は大腿骨インプラントが自然骨内に延びる延長部(ペグ又は茎部など)を含む場合、修正手術は通常、骨からの延長部を除去するために、骨の切除を必要とする。この切除は、外科手術を複雑にし、延長部を骨から除去せず、延長部に手をつけずインプラントを除去すると、患者の自然骨肉を必要以上に除去することがよくある。この追加的な骨の除去は、骨を更に損傷し、骨の病的状態若しくは異常を誘発する危険性を増加させ、又は修正インプラントの固定のために利用可能な健康な骨を減少させる場合がある。その上、大幅な切除は通常、空間を埋め、関節構成要素をその予測される形状に修復するために、より大きな整形外科用インプラントが必要であることを意味する。
【0012】
一次インプラント構成要素の骨からの除去におけるこの困難さは、骨が延長部内にも成長するという事実によって助長される。これらの接続を切断することは、大量の骨を切除せずには、これらの領域の全てに容易にアクセスすることができないために、問題となり得る。
【0013】
同様の問題が、他の種類の人工関節においても提示され得る。
【0014】
本願の譲受人は、既に、多孔質金属ペグの人工関節における使用に関する特許出願を出願済みである。これらの特許出願は、以下の米国特許公開を含む。米国特許公開第20110029090 A1号「Prosthesis With Modular Extensions」;米国特許公開第20110035017 A1号「Prosthesis With Cut−Off Pegs And Surgical Method」;米国特許公開第20110035018 A1号「Prosthesis With Composite Component」;米国特許公開第20110106268 A1号「Prostheis For Cemented Fixation And Method For Making The Prosthesis」これらの特許出願の開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
米国特許公開における、例としての、開示された延長部の使用第20110035017号は、外科医が、インプラントの骨係合面に沿い、脛骨トレイプラットフォームから骨の内部まで延在する多孔質金属延長部を貫通して切断することを可能にする。これは、修正手術時に脛骨プラットフォームを容易に取り外せる骨鋸を使用することによって実施できる。骨から延長部を取り外すために、外科医は、各延長部の外周の周囲において冠状鋸などの鋸で切断できる。これで、各延長部は骨から容易に取り外し得る。
【0016】
米国特許公開第20110106268号、第20110035017号、第20110029092号及び第20110029090号は、多孔質金属ペグを中実金属ベースに焼結する方法、並びに焼結せずに多孔質金属ペグを中実金属スタッドに(例えば、モールステーパ状の接合によって)装着する方法を開示している。冶金学的な結合を形成する焼結法は、特に、中実金属基部がCo−Cr−Mo合金を、ペグがチタン発泡体を含む場合、実際問題としては、難解だが興味をそそる方法である。これらの金属は、焼結温度には適合せず、これら金属間の結合は、結果的には界面で脆い金属間材料を形成する。これらの脆い金属間材料は、受け入れられない機械的特性を有し得る。従って、いくつかの材料の場合、機械的結合が好ましい。インプラント構成要素の多孔質の中実金属部品を機械的に結合する方法が米国特許公開第20110106268号、第20110035017号、第2011029092号、及び第20110029090号で開示されているが、よりコスト効果があり、有利な特性をもたらし得る、多孔質の中実金属部品を機械的に結合する他のオプションを探究することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、セメントレス固定に好適で、修正手術において骨からより容易に取り外して自然骨肉を保存でき、機械的に結合し得る多孔質の中実金属構成要素から成る、人工関節の必要性に対処する。更に、このような人工関節を作製する方法が開示されている。本発明の例示される実施形態は、これらの必要性全てに対処するが、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲は、これらの必要性の1つ以上に対処する人工関節を含み得ることが理解されるべきである。本発明の様々な態様が、以下でより完全に記載されているように、追加の有利性を提供することが理解されるべきである。加えて、本発明の原理は、人工膝関節、並びに他の人工関節、例えば人工足関節などに応用され得ることが理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一態様において、本発明は、中実金属部と多孔質金属部を有する第1構成要素を含む人工関節を提供する。中実金属部は、第1中実金属表面と第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面とを含む。内壁は第2中実金属表面から第1中実金属表面に向かって延在し、かつ第1中実金属表面と第2中実金属表面との間の高さに端部を有する。内壁は、第1中実金属表面から最も離れた最小の内径を有し、内壁の端部により大きな内径を有するようにテーパ状になっており、内部面取りチャンバを画定する。第2中実金属表面は、内壁と第2中実金属表面との接合部に開口部を有する。多孔質金属部は、ヘッドとシャフト有するペグを含む。ペグのヘッドは、第1自由端と、ヘッドとシャフトとの接合部から第1自由端に向かって延在するテーパ状の壁を有する。ペグは、第1自由端における最大外径を有し、ヘッドとシャフトとの接合部におけるより小さい外径を有する。ペグのヘッドの少なくともかなりの部分が、第1中実金属表面と第2中実金属表面との間の中実金属部の面取りチャンバ内に受容される。ペグの一部分が、第2中実金属表面の開口部を貫通して外方向に延延する。中実金属部は、第1中実金属表面からペグのヘッドに延在し、ペグのヘッドを覆う。ペグと中実金属部の第2中実金属表面との間には冶金学的な接続がない。
【0019】
例示の実施形態において、中実金属部と多孔質金属部は異なる金属を含む。例えば、中実金属部はコバルト(及び、特に、コバルト、クロム、及びモリブデンの合金)を含み得、多孔質金属部は、チタン(及び、特に、金属発泡体)を含み得る。
【0020】
別の例示的実施形態において、第1構成要素は、関節面と骨対向面を有する遠位大腿骨インプラント構成要素を含む。この実施形態において、第1表面は関節面のうちの1つを含み、第2表面は、骨対向面のうちの1つを含む。人工関節は、更に、遠位大腿骨インプラント構成要素を受容するための関節面を有する軸受を含む。
【0021】
この実施形態における軸受は、軸受の関節面から間隔を置いて配置された装着面を有し得る。人工器官は、更に、軸受の装着面を受容するための支持面を有する脛骨トレイを含み得る。1つの特定な実施形態において、脛骨トレイと軸受は、固定された軸受であって、軸受の装着面と脛骨トレイの支持面は、軸受を脛骨トレイに固定する相補型構造を有する。相補型構造は、トレイの支持面から近位側に延在し、トレイの支持面に連続している中実金属前方バットレスを含み得る。例示された実施形態の1つにおいて、前方バットレスの一部分は、ペグのヘッドの少なくとも一部分を覆い、中実金属は、前方バットレスとペグのヘッドとの間に延在する。
【0022】
別の例示的実施形態において、中実金属部は、ペグを囲む中実金属環を含む。本実施形態における中実金属環は、第1構成要素の中実金属部の第2中実金属表面に連続し、それから延在している。この特定の実施形態において、中実金属環とペグとの間には金属結合がない。この特定の実施形態において、金属環は、ペグの表面から約1mm外方向に放射状に延延し得る。更に、この特定の実施形態において、面取りチャンバが第2中実金属表面の平面を越えて延在し、より長いヘッドを有するペグを使用してペグのヘッドと面取りチャンバとの間の接触面を最大化することを可能にするように、金属環が、面取りチャンバのテーパ状の内壁と連続するテーパ状の内壁を有し得る。
【0023】
いずれの実施形態においても、多孔質金属の層は、第2中実金属表面に金属的に結合し得る。金属環を有する実施形態において、多孔質金属の層は、中実金属環に向かって延在し得る。
【0024】
いずれの実施形態においても、ペグのヘッドの第1自由端に隣接した中実金属部に環状の隙間が存在し得る。
【0025】
いずれの実施形態においても、面取りチャンバの内壁は、面取りチャンバの中央縦軸に約40度の角度を画定し得る。
【0026】
いずれの実施形態においても、トレイの中実金属部は、第1中実金属表面と第2中実金属表面との間で5mm未満の厚さを有し得る。
【0027】
別の態様において、本発明は、中実金属基部と、多孔質金属ペグと、中実金属プラグと、から人工関節を作製する方法を提供する。
【0028】
本発明のこの態様において、中実金属基部は、第1金属表面と、第1金属表面から間隔を置いて配置された第2金属表面と、を含む。第1中実金属表面には穴があり、第2中実金属表面には別の穴がある。内壁はこれらの穴を越えて延在し、これらの穴を画定している。内壁は、テーパ状の部分と円筒部分とを有する。テーパ状の部分は、第2中実金属表面における最小内径と、第1中実金属表面と第2中実金属表面との間の位置における最大外径と、を有する。内壁の円筒部分は、テーパ状の部分から第1中実金属表面に穴を画定する縁部まで延在する。内壁のテーパ状の部分は、面取りチャンバを画定し、円筒部分は、円筒形チャンバを画定する。
【0029】
本発明のこの態様において、ペグは、ヘッドとシャフトを含む。ヘッドは、第1自由端と、第1自由端における端面と、第1自由端からヘッドとシャフトの接合部まで延在するテーパ状の壁と、を有する。ペグの最大外径は、第1自由端にあり、ペグのより小さい外径は、ヘッドとシャフトの接合部に存在する。
【0030】
本発明のこの態様において、プラグは、第1中実金属表面と、第2中実金属表面と、第1中実金属表面から第2中実金属表面に向かって延在する側壁と、を含む。
【0031】
本発明のこの態様において、該方法は、ヘッドのテーパ状の壁が内壁のテーパ状の部分にもたれかかって、ペグのシャフトが中実金属基部の第2中実金属表面を過ぎて露出されている状態で、ペグを位置決めする工程を含む。ペグのヘッドの端面は、中実金属基部における面取りチャンバと円筒形チャンバとの接合部を越えて延在しない。プラグは、ペグのヘッドの端面にもたれかかるプラグの第2中実金属表面と、円筒形チャンバを画定する内壁の円筒部分に係合するプラグの側壁とによって、中実金属基部における円筒型チャンバに圧力嵌めされる。この後、中実金属プラグが、中実金属基部の第1中実金属表面に固定される。基部の第1中実金属表面を越えて延在する、中実金属プラグの望ましくない部分は取り除かれる。
【0032】
例示の実施形態において、中実金属基部の円筒型チャンバは内径を有する。プラグの第1中実金属表面は、外径を有する。プラグの第1中実金属表面とプラグの側壁は、第1円筒部分を画定する。プラグの第2中実金属表面は、異なる外径を有する。プラグの第2中実金属表面とプラグの側壁は、第2円筒部分を画定する。プラグの第1円筒部分の外径は、プラグの第2円筒部分の外径より大きい。円筒型チャンバの内径とプラグの円筒部分の外径は、プラグの第1円筒部分の円筒型チャンバへの圧力嵌めを可能にする大きさである。
【0033】
更に特定の実施形態において、プラグの第1円筒部分が円筒型チャンバに圧力嵌めされた後は、プラグの第2円筒部分と中実金属基部の内壁との間の接触はない。
【0034】
別の更に特定の実施形態においては、プラグの第1円筒部分は、軸長を有し、中実金属基部の円筒型チャンバは、軸長を有する。プラグの第1円筒部分の軸長は、中実金属基部の円筒型チャンバの軸長よりも大きい。
【0035】
別の更に特定の実施形態(固定軸受)において、中実金属基部は、第1中実金属表面から高さまで外方向に延在する前方バットレスを含む。この実施形態において、プラグの第1円筒部分の軸長は、プラグの第1円筒部分の一部分が中実金属基部の第1中実金属表面の上に露出されるように、前方バットレスの高さまで延在するのに十分大きい。この実施形態において、該方法は、プラグの第1円筒部分を前方バットレスに固定する工程と、プラグの第1円筒部分の一部分が前方バットレスの一部分を画定するように、前方バットレスの固定後にプラグの第1円筒部分の一部分を除去する工程と、を含む。
【0036】
別の例示的な実施形態において、中実金属基部の第2中実金属表面は、第2中実金属表面内の穴を囲む中実金属環を含む。環は、第2中実金属表面から外表面に向かって外方向に延在する。
【0037】
更に特定の実施形態において、環の外表面の平面から円筒型チャンバと面取りチャンバとの接合部を通る平面までの軸方向距離が、ペグのヘッドの軸長と実質的に同じである。
【0038】
更に特定の実施形態において、環の外径は、環の内径よりわずか2mm大きいのみである。
【0039】
更に特定の実施形態において、該方法は、更に、中実金属基部の第2中実金属表面を環の周囲において多孔質金属でコーティングする工程と、多孔質金属コーティングを中実金属基部に焼結する工程と、を含む。
【0040】
更に特定の実施状態において、環の外表面と多孔質金属コーティングの露出面は実質的に同一面である。
【0041】
別の例示的な実施形態において、プラグを円筒型チャンバに圧力嵌めする工程は、ペグのヘッドを圧縮する。
【0042】
別の例示的実施形態において、ペグはチタンを含有する発泡金属を含み、中実金属基部は、コバルトを含有する合金を含み、中実金属プラグは、コバルトを含有する合金を含む。
【0043】
別の例示的な実施形態において、中実金属基部は、複数の円筒型チャンバと複数の面取りチャンバを含む。複数の多孔質金属ペグが設けられており、1つの多孔質金属ペグがそれぞれの面取りチャンバ内に配置されている。複数の中実金属プラグが設けられており、1つの中実金属プラグがそれぞれの円筒型チャンバに圧力嵌めされている。各中実金属プラグは、中実金属基部に固定されており、基部の第1中実金属表面を越えて延在するプラグの望ましくない余剰分は除去される。
【0044】
別の例示的実施形態において、人工関節は、近位脛骨インプラント構成要素、遠位大腿骨インプラント構成要素、及び軸受を有する人工関節膝インプラントを含む。
【0045】
別の例示的な実施形態において、中実金属基部は、近位脛骨インプラント構成要素の一部分であり、第1中実金属表面は軸受の支持面を画定する。本実施形態において、該方法は、更に、基部の第1中実金属表面を越えて延在する中実金属プラグの望ましくない部分を除去する工程の後に、第1中実金属表面を磨く工程を含む。
【0046】
上記のいずれかの実施形態において、固定する工程は、溶接を含み得、より詳細には、レーザ溶接を含み得る。
【0047】
別の態様において、本発明は、中実部分と多孔質部分を有する第1構成要素を含む整形外科用人工関節を提供する。中実部分は、第1中実表面と、第1中実表面から間隔を置いて配置されている第2中実表面を含む。内壁は第2中実金属表面から第1中実金属表面に向かって延在し、第1中実表面と第2中実表面との間の高さに端部を有し、内壁はチャンバを画定する。第2中実表面は、内壁と第2中実表面との接合部に開口部を有する。多孔質部分は、ヘッドとシャフト有するペグを含む。ペグのヘッドの少なくともかなりの部分は、第1中実表面と第2中実表面との間の中実部分の面取りチャンバ内にある。ペグの一部分が、第2中実表面の開口部を通って外方向に延在する。構成要素の中実部分は、第1中実表面からペグのヘッドまで延在し、ペグのヘッドを覆う。ペグ及び中実部分の第2中実表面は、一緒に結合されない。
【0048】
更に特定の実施形態において、第1構成要素の中実部分は金属を含む。
【0049】
別の、更に特定の実施形態において、ペグは多孔質金属を含む。
【0050】
別の更に特定の実施形態において、中実部分内のチャンバは円錐台形状をしている。
【0051】
別の更に特定の実施形態において、ペグのヘッドは円錐台形状をしている。
【0052】
別の態様において、本発明は、中実基部、多孔質ペグ、及び中実プラグから人工関節を作製する方法を提供する。中実基部は、第1中実表面と、第1中実表面から間隔を置いて配置されている第2中実表面を含み、第1中実表面内の穴と、第2中実表面内の穴と、内壁とが、それらの穴の間を延在してチャンバを画定する。ペグはヘッドとシャフトを含む。ペグは、第1自由端を有し、ペグは、第1自由端における最大外径と、ヘッドとシャフトとの接合部における小さい外径を有する。プラグは、第1中実表面と、第1中実表面から間隔を置いて配置される第2中実表面と、第1中実表面から第2中実表面に向かって延在する側壁と、を含む。該方法は、チャンバ内のペグを中実基部に配置する工程を含む。プラグは、プラグの第2中実表面がペグのヘッドの端面にもたれかかる状態で、中実基部内のチャンバ内に圧力嵌めされる。中実プラグは、中実基部の第1中実表面に固定される。この後、基部の第1中実表面を越えて延在する中実プラグの望ましくない部分は除去される。
【0053】
更に特定の実施形態において、第1構成要素の中実基部とプラグは金属を含む。
【0054】
別の、更に特定の実施形態において、ペグは多孔質金属を含む。
【0055】
別の更に特定の実施形態において、チャンバとペグのヘッドは円錐台形状をしている。
【0056】
別の更に特定の実施形態において、中実プラグを中実基部の第1中実表面に固定する工程は溶接を含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
発明を実施するための形態においては特に以下の図面を参照する。
図1】固定軸受人工膝関節の分解斜視図である。
図2図1の膝関節の脛骨トレイの底面斜視図である。
図3図1の膝関節の脛骨トレイの平面図である。
図4】矢印の方向で見た、図3の切断線4−4における図3の脛骨トレイの部分断面図である。
図5図1〜4の脛骨トレイの作製に使用する脛骨基部の平面図である。
図6図5の脛骨基部の底面図である。
図7】矢印の方向で見た、図5の切断線7−7における、図5〜6の脛骨基部の部分的断面図である。
図8図1〜4の脛骨トレイの作製に使用される多孔質金属ペグの側面図である。
図9図8の多孔質金属ペグの平面図である。
図10図8〜9の多孔質金属ペグの底面図である。
図11図1〜4の脛骨トレイの作製に使用する孔質金属プラグの側面図である。
図12図11の中実金属ペグの平面図である。
図13図11〜12の中実金属プラグの底面図である。
図14図1〜4の脛骨トレイの作製における中間段階の、図8〜10に示すタイプの多孔質金属ペグとともに示す、図5〜7の脛骨基部の斜視図である。
図15図1〜4の脛骨トレイの作製における中間段階の、脛骨基部の一部分と1つのペグを示す、図4及び図7と同様な部分的断面図である。
図16】(図14及び図15で例示されている段階の後の)、図1〜4の脛骨トレイの作製における中間段階の、図11〜13に示すタイプの中実金属プラグとともに示す、図5図7の脛骨基部の斜視図である。
図17】(図16で例示されている段階における)、図1〜4の脛骨トレイの作製における中間段階における、脛骨基部の一部分と、1つの多孔質金属ペグと、1つの中実金属プラグを示す、図4図7、及び図15と同じな部分的断面図である。
図18】本発明の代替的な実施形態を例示する、図4と同様な図である。
図19】本発明の別の代替的な実施形態を例示する、図4と同様な図である。
図20】本発明の別の代替的な実施形態を例示する、図4と同様な図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点は理解されるべきである。
【0059】
解剖学的参照を表す前側、後側、内側、外側、上、下等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載する整形的インプラントと、患者の天然の解剖学的構造との両方に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的参照用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0060】
図1を参照すると、人工膝関節10が示されている。人工膝関節10は、大腿骨構成要素12、脛骨トレイ14及び軸受16を含む。例示される人工膝関節10は、固定軸受人工膝関節であり、これは脛骨トレイ14と軸受16との間に運動が生じないことが意図されることを意味する。本発明の原理はまた、可動軸受設計、例えば回転台脛骨トレイ、並びに他の人工関節にも適用され得ることが理解されるべきである。
【0061】
例示される大腿骨構成要素12は、2つの顆関節表面、すなわち内側顆関節表面18及び外側顆関節表面20を含む。これらの関節表面18、20は中実金属である。大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨の外科的に準備された末端部(図示せず)内に埋め込まれるように構成され、一般に、患者の自然の大腿骨顆の構成を模倣するように構成される。したがって、外側顆表面20及び内側顆表面18は、自然の大腿骨の関節丘を概して模倣するような方法で構成されて(例えば、湾曲している)。
【0062】
球欠平面(J湾曲)及び前額面の関節丘の具体的な湾曲は、DePuy Synthes Sales,Inc.並びにその他の人工関節膝システムの供給者から入手可能な、標準的な市販のインプラントなどのようなものであってよい。大腿骨構成要素12は、J湾曲を組み込んでもよく、その開示全体が本出願に参考として組み込まれている、以下の米国特許出願に記載されているその他の機構を含んでもよい。即ち、米国特許出願第8,236,061号「Orthopaedic Knee Prothesis Having Controlled Condylar Curvature」、米国特許出願第8,192,498号「Posterior Cruciate−Retaining Orthopaedic Knee Prothesis Having Controlled Condylar Curvature」、連続番号12/165,579(整理番号DEP6151USNP)、「Orthopaedic Femoral Component Having Controlled Condylar Curvature」、連続番号12/165,582(整理番号DEP6057USNP)、及び米国特許出願第8,187,335号「Posterior Stabilized Orthopaedic Knee Prosthesis Having Controlled Condylar Curvature」。
【0063】
図1を再び参照すると、外側顆表面20及び内側顆表面18は互いに間隔を置いて配置され、それによってそれらの間の顆間関節表面22を画定している。顆間関節表面22は、膝蓋骨インプラント構成要素(不図示)を受容し、これにもたれかかるような形状の膝蓋骨溝を画定する。顆間関節表面22は中実金属を含み得る。
【0064】
大腿骨構成要素12はまた、アーティキュレーション表面18、22と対向する骨対向面13、15を含む。骨対向面13、15の一部分又は全ては、骨内部成長に繋がる多孔質金属(以下に記載)を含み得る。あるいは、大腿骨構成要素の骨対向面は、構成要素の骨へのセメント固定を容易にするセメントポケットを含み得る。
【0065】
図1の大腿骨構成要素12は、十字靭帯固定構成要素であるが、本発明の原理は、十字靭帯置換人工膝関節システムにも同様に応用可能であることが理解されるべきである。
【0066】
大腿骨構成要素12の関節表面は、生体適合性金属、例えば、ステンレス鋼、チタン、コバルトクロムモリブデン合金又はチタン合金から構成されてもよいが、他の材料もまた使用され得る。一般的に使用される合金としては、チタン合金Ti−6Al−4Vが挙げられる。意図した用途に好適な特性を有する任意の生体適合性金属を大腿骨構成要素12の中実金属部に使用し得る。
【0067】
金属の代わりに、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマー材料も大腿骨構成要素12に使用し得る。
【0068】
図1に示されるように、軸受構成要素16は、近位関節表面17及び近位関節表面17と反対側の遠位搭載表面19を有する。軸受16の近位関節表面17は、大腿骨構成要素12の内側関節顆18と関節運動するように構成された内側軸受表面21、及び大腿骨構成要素12の外側顆20と関節運動するように構成された外側軸受表面23を含む。軸受構成要素16はモジュラーであり、手術中に脛骨トレイ14と組み合わされて、以下でより詳細に記載されるように、機械的連結メカニズムによってこれに固定される。
【0069】
軸受16は、高分子材料から作製され得る。軸受16の好適な高分子材料は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む。UHMWPEは、例えば、架橋された材料を含み得る。架橋、急冷又は他の方法でUHMWPEを調製するための技術は、多くの発行済み米国特許に記載され、その例としては、米国特許第5,728,748号(及びその同等物)(Sunらに発行)、同第5,879,400号(Merrillらに発行)、同第6,017,975号(Saumらに発行)、同第6,242,507号(Saumらに発行)、同第6,316,158号(Saumらに発行)、同第6,228,900号(Shenらに発行)、同第6,245,276号(McNultyらに発行)、及び同第6,281,264号(Saloveyらに発行)が挙げられる。これらの米国特許の開示は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。支持材料のUHMWPEは、例えばビタミンEなどの酸化防止剤を添加することにより、その中に存在するあらゆるフリーラジカルを安定化させるように処理され得る。酸化防止剤でUHMWPEを安定化させる技術が、例えば、その開示全体が本願に組込まれている、米国特許公開第20070293647A1号(連続番号11/805,867)及び米国特許公開第20030212161A1号(連続番号10/258,762)で、いずれも発明の名称は、「Oxidation−Resistant And Wear−Resistant Polyethylenes For Human Joint Replacements And Methods For Making Them」である。本発明は、特許請求の範囲で明示的に指定されない限り、いずれか特定のUHMWPE材料又は軸受16のためのUHMWPE材料に限定されないことが理解されるべきである。本発明の原理の応用において有用な、軸受16のための他の材料が利用可能であるか、或は利用可能となることが予測される。
【0070】
脛骨トレイ14は、中実金属近位搭載表面26及び対向する第2表面28を有する中実金属基部24を含む。例示の脛骨トレイ14は、長手方向軸50、52、54、56に沿って、中実金属基部の第2表面28から遠位端40,42,44,46までに延在し、プラットフォーム24の遠心面28と交差する複数の多孔質金属ペグ30、32、34、36も含む。例示の実施形態の脛骨トレイ14は遠位に延在する茎部を含まないが、かかる脛骨トレイは、特許請求の範囲で明確に除外されていいない限り、本発明の範囲内にあることが理解されよう。
【0071】
例示に実施形態において、脛骨トレイ14は、骨セメントなしで使用するように意図されている。多孔質金属コーティング57は、中実金属基部24の第2表面28上にあり骨内部成長の固定を容易にする。
【0072】
大腿骨構成要素12は、骨対向面13、15上に多孔質金属ペグと多孔質金属コーティングも含み得る。例えば、多孔質金属ペグは、大腿骨構成要素12の骨対向面13、15から近位側に延在し得る。1つのこのようなペグは、図1で39に例示される。このペグは、近位端51、厚さ、及び長さを有する。
【0073】
例示の大腿骨構成要素及び脛骨トレイにおいて、各ペグ30、32、34、36、39はそれぞれのインプラント構成要素12、14の骨対向面13、15、28との接合部から対向する端部40、42、44、46、51まで外方向に延在する。ペグ30、32、34、36、39は、接合部を過ぎて露出した外表面を有する。ペグ30、32、34、36は、患者の脛骨又は大腿骨(不図示)の外科的に処理された端部に埋め込まれるように構成され、患者の骨の中に埋め込まれた際に、脛骨構成要素14及び大腿骨構成要素12を安定化させるように構成されている。骨は、脛骨及び大腿骨上のインプラント構成要素を固定するためのペグの露出された外表面内まで成長し得る。
【0074】
ペグの端面は、平坦、回転楕円状又はその他の形状であり得る。図1の実施形態において、遠位端40、42、44、46、51は、概して回転楕円状である。図3〜5、8〜10、15及び17で例示されているペグは、平坦な遠位端を有する。この例示のペグは、図3〜4、8〜10、14〜15、及び17の参照番号34A(その遠位端が44Aで長手方向軸が54A)で確認される(図3及び14の残りのペグは30A、32A及び36Aとして確認される)。これは、全ての例示のペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aに適用され、例示のペグの唯一の違いは遠位表面の形状であることを理解されたい。
【0075】
再び図1を参照すると、脛骨トレイ14の中実金属基部24の近位搭載表面26の構成は、インプラントの種類によって変化し得る。例えば、人工関節が回転台タイプの可動軸受人工膝関節である場合、脛骨トレイ14の近位搭載表面26及び軸受16の遠位搭載表面19は、脛骨トレイ14、14Aの搭載表面26上で軸受の回転を可能にするように平滑であろう。例示の実施形態は固定軸受設計であり、この実施形態における脛骨トレイ14の近位搭載表面26及び軸受16の遠位搭載表面19は、これらの構成要素が組み立てられた時に、軸受16と脛骨トレイ14との間のあらゆる相対的移動をなくすか、少なくとも最小化する補完的な固定機構を含む。例示の実施形態におけるこれらの補完的固定機構は、軸受16の遠位表面19上の台座及びくぼみ(不図示)と、脛骨トレイ14の中実金属基部24の近位搭載表面26上のバットレス59、61及びアンダーカットと、を含む。この固定軸受脛骨トレイの設計及びその他の設計の詳細な説明は、例えば、その開示全体が参照として本願に組み込まれている、以下の米国特許及び特許出願に記載されている。即ち、2007年9月28日出願の米国特許第7,628,818号「Fixed−Bearing Knee Prosthesis Having Interchangeable Components」、2007年9月25日に出願し、US 20090082873 A1号として公開された米国特許出願連続番号第11/860,833号「Fixed−Bearing Knee Prosthesis」。例示の補完的固定機構は一例として提供されているものであって、特許請求項の範囲で明確に要求されていない限り、本発明は、固定軸受人工器官又は固定軸受人工器官用の特定の固定機構に限定されないことが理解されよう。
【0076】
図4は、多孔質金属ペグ34Aを中実金属脛骨基部24に固定するための機械的ロック機構の断面を示す。上記の多孔質金属ペグ30、30A、32、32A、34、36、36Aを含む全ての多孔質金属プラグを中実金属基部に固定するために、同一の機械的結合を使用し得ることが理解されよう。図4に示すように、中実金属基部24は、基部24の第2表面28から搭載面26に向かって延在する内壁70を含む。図示の内壁70は、搭載面26から最も離れた位置に遠位の最小径を有し、搭載面26に最も近い、より大きい内径を有するようにテーパ状になっている。内壁70は、内部面取りチャンバ72を画定する。基部24の第2中実金属表面28は、内壁70の遠位端に円形の開口部74を有する。
【0077】
ペグ34Aは、ヘッド76とシャフト78を有する。ペグ34Aのヘッド76は、平坦面82を画定する自由端80と、第1自由端80からヘッド76とシャフト78との接合部まで延在するテーパ状の表面84と、を有する。ペグ34Aの最大外径は、第1自由端80にあり、ペグのより小さい外径は、ヘッド76とシャフト78の接合部にある。
【0078】
図4に示すように、ペグ34Aのヘッド76の少なくともかなりの部分は、中実金属基部24の表面26、28との間にある中実金属基部24内の面取りチャンバ72内に受容される。ペグ34Aのシャフト78の一部分は、円形開口部74を通過してその遠位端44Aまで外方向に延在する。図示のように、多孔質金属シャフトは、表面28と多孔質金属コーティング57を超えて露出される。
【0079】
図4に示すように、中実金属86はペグ34Aのヘッド76を覆い、それにもたれかかる。この中実金属86は、例示の実施形態の円形溶接物88によって中実金属搭載表面26の残りの部分に結合される。最終製品において、中実金属搭載面26は連続的な外観を呈している。つまり、ヘッドを覆う金属86と搭載面26の残りの部分との間には識別できる違いがない。中実金属86は、ペグ34Aのヘッド76のテーパ状の表面84を面取りチャンバ72のテーパ状の内壁70に対して固定または圧縮し、多孔質金属ペグ34Aを中実金属基部24に機械的に固定する。ペグ34Aと基部24との間には冶金学的な接続がない。つまり、多孔質金属ペグ34Aは中実金属基部24に焼結または溶接されていない。
【0080】
ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aを中実金属基部24に冶金学的に接続する必要がないので、中実金属部分と多孔質金属ペグには異なる材料を使用できる。例えば、中実金属基部24は、CoCrMo(コバルトクロムモリブデン)合金を含有でき、多孔質金属ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは、多孔質チタンを含有でき、それでも、強固に固定し得る。あるいは、中実金属基部24とペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは、例えば、いずれも、同じかあるいは異なる形のチタンを含有し得る。特定の金属は例としてのみ確認され、本発明が、特許請求の範囲で明確に要求されない限り、いかなる特定の金属に限定されないものと理解されたい。更に、ポリマー材料が適切な機械的特性を有することを条件として、中実PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などのポリマー材料から基部を作製することが望ましい場合がある。より詳細には、カーボンファイバー又はグラスファイバーで補強されたPEEKなどのファイバー補強PEEKは、この用途に適切な機械的特性(強度及び剛性)を有する場合がある。
【0081】
更に図4を参照すると、遠位側では、ペグ34Aのシャフト78と表面28における円形開口部74は、狭い中実金属環90によって囲まれている。中実金属環90は、基部24の残りの部分と同一の広がりを持ち、表面28の大部分の表面から遠位に延在する。図4に示すように、環90は、面取りチャンバ72が表面28の大部分の平面を越えて環90の遠位端まで延在するように、テーパ状の内壁70と連続しているテーパ状の内壁92を有する。テーパ状の内壁70及び92は、例示の実施形態における面取りチャンバ72の中央長手方向軸94と約40度の角度を画定する。この角度は、例としてのみ提供されていることが理解されよう。この角度は、有限要素解析などの工学解析を通じて、及び(ペグの静的および動的引抜及び剪断力試験などの)試験を通じて最適化し得る。本発明は、特許請求の範囲において明示的に要求されない限り、いずれかの特定の角度に限定されない。
【0082】
典型的な脛骨トレイにおいて、表面24と26の間のトレイの厚さは5mm程度かそれ以下である。環90を設計に含めると、面取りチャンバ72の長さを効果的に延長できるとともに、(軸方向に)長いヘッドの付いたペグを使用して、限られた利用空間における構成要素24、34Aの間の機械的ロックを最適化できる。
【0083】
内側ー側面方向において、環90は狭い。つまり、環90の外径が、ペグ34Aのシャフト78の外径よりも2mm程度より大きくなるように、内径と外径との差は2mm程度である。表面28上の多孔質金属コーティング57は、環90の外縁まで延在し、ペグ近辺の骨内部成長のために露出された多孔質金属の領域を最大化する。環90の寸法及び環90の図示の形状は例としてのみ提供されたものであって、特許請求の範囲で明示的に要求されない限り、本発明が特定の形状に限定されないことを理解されよう。更に、例示の環はペグのヘッドと基部24の内壁との間の係合を増加しているが、本発明は、特許請求の範囲で明示的に要求されない限りこのような環の使用に限定されない。
【0084】
図5〜7では、ペグが基部に搭載される前の製造プロセスの早い段階で現れる、中実金属基部24が図示されている。図5に示すように、前方バットレス59は搭載面26における円形開口部104、106を囲む1対の切り欠き100、102を含む。図7に示すように、製造プロセスにおいて後に構成要素を溶接する時に使用するため、小さい環状のくぼみ108が、各円形開口部104において設けられている。前方バットレスの切欠き100、102は、製造プロセスで後に使用される前方ペグとプラグを受容するために設けられている。図2に示すように、2個のペグ30A、34Aは、図1〜3に示す最終脛骨トレイにおける前方バットレス59の一部分の下にあるため、切欠き100、102は、例示の実施形態でのみ必要である。
【0085】
図7に示すように、内壁110は、テーパ状の内壁70の近位端から搭載面26まで延在する。内壁110は、搭載面26と面取りチャンバ72との間で円筒形状をしており、円筒型チャンバ112を画定する。搭載面26の上では、外壁114が内壁110から延在しており、前方バットレス59における切欠き100の表面を画定する。内壁70、110と外壁114は、連続しており、単一の壁の異なる部分を含んでいると考え得る。円筒型チャンバ112の内径はペッグのヘッド76が嵌め合いするのに十分大きい。
【0086】
上記の通り、中実金属基部24の搭載面26に対向する表面28は、例示の実施形態において多孔質金属コーティング57を有する。基部24の多孔質部分57として使用され得る多孔質コーティングの1つのタイプは、DePuy Orthopaedics of Warsaw,Ind.から市販されているPorocoat(登録商標)多孔質コーティングである。多孔質コーティングの他の例は、本願に全体が参考として組み込まれている米国特許第8,066,770号で開示されている。この特許に記載されているコーティングは、コーティング57として使用され得る。これらの多孔質コーティングは例としてのみ提供されたものであって、本発明は、特許請求の範囲で明示的に要求されない限り、いかなる特定の多孔質コーティングにも限定されないものと理解されよう。
【0087】
図8〜10では、中実金属基部24に搭載される前の、製造プロセスの早い段階で現れる多孔質金属ペグ34Aの一例が図示されている。ペグ34Aの構造的特徴を以下で説明する。例示のペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは、チタン金属発泡体を含有する。このような発泡体は、以下の米国特許出願で教示されている。つまり、2007年2月21日出願の、米国特許公開第20080199720A1号(米国特許出願連続番号11/677140)「Porous Metal Foam Structures And Members」、及び米国特許公開第20100098574A1号(米国特許出願連続番号12/540617)「Mixtures For Forming Porous Constructs」、米国特許公開第20090326674 A1号(米国特許出願連続番号12/487698)「Open Celled Metal Implants with Roghened Surfaces and Method for Roughening Open Celled Metal Implants」、及び米国特許公開第20090292365A1号(米国特許出願連続番号12/470397)「Implants with Roughened Surfaces」、であって、上記の全ての特許出願の開示は、その全体が参考として本願に組込まれている。
【0088】
多孔質金属プラグは、例えば、体積、液体水銀の強制圧入及び断面図画像分析によって測定した際に、約60%〜約85%(好ましくは約60%〜約75%)の体積多孔率(又は開孔率若しくは空隙)を有し得る。この多孔率/空隙は、同様の大きさ及び形状の中実金属構成要素の理論密度の15〜35%(好ましくは25〜40%)の密度に相当する。結果として生じる発泡金属は、エッチング、吹き付け、又はむらがある粉末の添加などによって、粗さを増加するように処理され得る。ペグの遠位端及び多孔質コーティング57の周面は、米国特許公開第20110029092 A1号で開示されているように平らにして選択された領域における骨内部成長を制限したり、表面57の縁部に隣接した軟組織の摩耗を制限し得る。
【0089】
チタン発泡体はペグの好ましい材料であるが、本発明のいくつかの優位性は、代替材料によっても実現し得る。好適な別の材料の一実施例は、例えば、表題「Open Cell Tantalum Structures for Cancellous Bone Implants and Cell and Tissue Receptors」の、米国特許第5,282,861号に開示されるタンタル多孔質金属であり、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。これらの材料は例としてのみ確認されたものであって、本発明の多孔質金属ペグは、特許請求の範囲で明示的に要求されない限り、いかなる特定の材料、表面仕上げ、多孔性、又は製造プロセスに限定されないことが理解されよう。
【0090】
多孔性グラディエントを有する多孔性ペグを使用することが望ましい。例えば、ヘッド76は、シャフト78より密度が高いことが望ましい。ペグ34Aと基部24との間で金属結合を形成するように選択する場合、より密度の高いヘッド76を使用することによりより効果的に達成し得る。あるいは、米国特許公開第20110029092 A1号で開示されているように、ヘッドの76の表面を機械加工、ミリング、研磨、又は平滑化を通じて、塗りつけることが望ましい。
【0091】
多孔質金属インプラントの処理については様々な技法が知られており、これらの技法を本発明のペグ及びコーティングに適用し得る。例えば、(ヒドロキシアパタイトなどの)リン酸カルシウムコーティングは、米国特許公開第20060257358号「Suspension Of Calcium Phosphate Particulates For Local Delivery Of Therapeutic Agents」で開示されているように、追加の治療剤の有無に関係なく、本発明の実施形態の多孔質部分に適用し得る。あるいは、リン酸カルシウムなどの材料の電気泳動堆積を使用し得る。
【0092】
多孔性生体適合性ポリマーも利用でき、多孔質金属の代わりに、例示の脛骨トレイ14のペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aを含む本発明での使用に適切な機械的特性を有し得る。従って、本発明は、特許請求の範囲において明示的に要求されない限り、多孔質金属ペグに限定されないことが理解されよう。
【0093】
図11〜13では、中実金属基部24に搭載される前の、製造プロセスの早い段階で現れるプラグ120の一例が図示されている。例示のプラグ120は、第1中実金属表面122と、第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面124と、第1中実金属表面122から第2中実金属表面124に向かって延在している側壁126と、を含む。プラグ120の第1中実金属表面122は外径を有し、プラグの第1中実金属表面122とプラグの側壁126は、プラグの第1円筒部分128を画定する。プラグ120の第2中実金属表面124は外径を有し、プラグの第2中実金属表面124とプラグの縮径の側壁127は、プラグの第2円筒部分130を画定する。プラグの第1円筒部分128の外径は、プラグの第2円筒部分130の外径より大きい。円筒型チャンバ112の内径とプラグの円筒部分128の外径は、プラグの第1円筒部分128の中実金属基部24の円筒型チャンバ112への圧力嵌めを可能にする大きさである。
【0094】
表面122、124間のプラグ120の軸長は、ペグ34Aと中実金属基部24と組み立てた時に、プラグの底面124がペグ34Aの頂面82にもたれかかり、プラグ120の頂面122は少なくとも前方バットレス59の頂面と同じ高さにあるように十分な大きい。この組立は図17に図示されている。プラグの第1円筒部分128は基部24の円筒型チャンバ112に圧力嵌めされているが、プラグ120の第2円筒部分130と中実金属基部24の内壁70、110との間の接触はない。環状の隙間140が、第1実施形態におけるペグ34Aの頂面82に隣接した位置に及びペグ34Aの頂面82の上に残存する。この管状隙間140は、図4に図示されているように、最終構成要素中に残存する。
【0095】
プラグの第2円筒部分130が内壁70,110と接触しないので、ペグ34Aのテーパ状の表面84がテーパ状の内壁70に対して完全に固定されることを確実にするために第2円筒部分130をペグ34Aのヘッド76に完全に係合することを妨害するものはない。近位側には、図16に示すように、前方プラグ120の第1円筒部分128は、前方バットレス59における切欠き100、102に嵌め合い、切欠き100、102を埋める。
【0096】
環状隙間140は、プラグの第2円筒部分130の縮径に相当し、第1の例示プラグ120の第2円筒部分130をほんの少し使用し、プラグが、円筒型チャンバ112と面取りチャンバ72との間での移行時に底につくことを回避できる。プラグ130とチャンバ72、112の寸法を最適化して、隙間140のサイズを制限する一方で、プラグが底につかないことを確実にし得る。
【0097】
例示のプラグ120は中実金属であり、好ましくは、中実金属基部24を作製する時に使用したものと同じ金属である。例えば、中実金属基部24がCoCrMo(コバルトクロムモリブデン)合金を含有している場合、プラグは、同じCoCrMo合金で作製されることが好ましい。あるいは、基部についての上記の説明のように、プラグ120はPEEK又はファイバー補強PEEKを含有し得る。
【0098】
図1〜4の脛骨トレイの作製プロセスは、図7〜17を参照して説明し得る。中実金属基部24の第2表面28は、多孔質金属でコーティングして、プロセスの残りの工程の前に多孔質金属コーティング57を形成し得る。図14に示すように、先ず、(ペグ34Aに関する図14に示す)シャフト78を挿入し、ヘッド76のテーパ状の表面84が中実金属基部24のテーパ状の内壁70、92に対向した位置にあり、シャフト78の遠位端が多孔質コーティング57の高さを越えて露出されるまで、ペグ30A、32A、34A、36Aが、基部24の支持面26における開口部104、106、104A、106Aに挿入される。
【0099】
次に、図16に示すように、プラグ120、120A、120B、120Cがそれぞれの穴104、104A、106、106Aに挿入される。プラグ120、120A、120B、120Cは、第2円筒部分130がペグのヘッド76の上部平面82に押し付けられるまで、円筒型チャンバ112に押し込まれる。円筒型チャンバ112とプラグ120の第1円筒部分128の寸法のため、プラグは圧力嵌め結合によって位置に固定される。プラグを挿入する時、ペグを圧縮するのに十分な力で、プラグをペグのヘッド76に押し付けることが望ましい。組立時に、ペグのヘッド76に、ある程度の恒久的な変形又は塑性変形が生じる場合がある。圧力嵌めを確実にすることに加えて、ペグのヘッドを十分に圧縮して、隙間嵌めを生じる可能性があるヘッド76の寸法のバラツキ効果をに打ち勝つことが望ましい場合がある。
【0100】
図17に示すように、プラグ120の第2円筒部分130と円筒型チャンバ112は、内壁70からの干渉なしにプラグを完全に挿入することを可能にする。
【0101】
アーバープレスなどの標準的な製造装置を使って、ペグとプラグを望ましい位置まで押し込むことができる。
【0102】
この後、プラグ120、120A、120B、120Cを中実金属基部24に固定できる。例示的は、プラグ120、120A、120B、120Cは、プラグと基部を、プラグと基部の接合部に沿って溶接することによって中実金属基部に固定し得る。例えば、円形溶接部88は、プラグ120、120A、120B、120Cの第1円筒部分128の壁126に沿って形成し得る加えて、溶接部は、前方バットレス59とプラグ120、120Aの接合部に沿って形成し得る。例示的には、レーザ溶接を使って全ての溶接部を形成し得る。
【0103】
次に、基部24の第1中実金属表面26を越えて延在する中実金属プラグ120、120A、120B、120Cの全ての望ましくない部分は除去し得る。図16に示すプラグ120Bと120Cの場合、表面26の高さより上にあるプラグの全ての部分は望ましくないと考えられ、除去し得る。前方プラグ120、120Aの場合、プラグの露出部分は前方バットレス59の一部分の形成に使用し得る。従って、前方プラグ120、120Aのいくつかの部分を除去して搭載面26と同じ高さの部分を作製でき、いくつかの部分を除去して前方バットレス59の近位表面と同じ高さの部分を作製でき、いくつかの部分を除去して、前方バットレス59の後方対向面の輪郭を画定し得る。プラグ120、120A、120B、120Cの望ましくない部分の除去は、機械加工などの標準的な製造プロセスを通じて実施し得る。除去プロセスの一部分として、溶接線のいかなる余剰材料も除去し得る。トレイ14の選択された表面は、必要に応じて、研磨し得る。
【0104】
このプロセスの最終結果は、図1〜4に示す脛骨トレイ14であり、脛骨トレイ14では、金属ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは、冶金的ではなく機械的に、中実金属基部24に固定される。最終製品において、全てのペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aのヘッド76は、中実金属によって完全に覆われ(つまり、どのペッグのヘッドの一部分も搭載面26から露出されていない)、全てのペグは、プラグ120と内壁70、92によって位置にしっかりと固定される。また、上記のプロセスを使って、図1の大腿骨構成要素10におけるペグ39などのペグを遠位大腿骨構成要素に固定し得ることが理解されよう。更に、上述のプロセスを使って、その他の構造体を(可動軸受脛骨トレイの茎部などの)これらの構成要素に固定したり、ペグやその他の構造体を人口股システム、人工肩システム、整形外科用脊柱などのその他の整形外科インプラント構成要素に固定したりし得ることが理解されよう。
【0105】
構成要素は、ペグ34Aのヘッド76の壁70に対する締りばめを可能にする大きさであり得る。有限要素回析などの工学解析を使って組立時のペグの圧縮を最適化できる。
【0106】
脛骨トレイが可動軸受、より詳細には、回転台であった場合、前方バットレス59がない場合を除き、上述のプロセスを使用し得る。回転台トレイにおいては、ペグとプラグアセンブリは、例示の後方ペグ32A、36A及びプラグ120B、120C(図14及び16を参照)のものと類似している。
【0107】
本発明のシステムを使用するために、外科医は従来技術を使用して、骨インプラント12、14を受容するための遠位大腿骨及び近位脛骨を処理し、セメントレス構成要素のための従来技術を使用して脛骨トレイ及び大腿骨構成要素を埋め込む。脛骨軸受16は典型的に、トレイ14が埋め込まれた後に、脛骨トレイ14と組み合わされる。
【0108】
インプラント後、ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは脛骨トレイ14を安定化させ、骨が遠心面28上の多孔質金属コーティング57の中まで、及びペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aのシャフト78の中まで成長する。同様な骨肉部成長が大腿骨構成要素10についても期待される。ペグがより平滑な遠位端40、42、44、46で作製されている場合、骨は平滑な自由端へと成長しないか、又はそれほど活発に成長しない。
【0109】
多孔質コーティング57の露出した周面が平滑である場合、構成要素をインプラントした後で軟組織の炎症は発生しないはずである。
【0110】
脛骨トレイ14又は大腿骨構成要素12を除去する必要がある場合、外科医は、多孔質コーティング57と骨との界面にある遠位平面に沿って切断し、患者の骨と界面の脛骨トレイプラットフォームとの間の結合を切断し得る。ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aがこの遠位平面に沿った全体の厚さにわたって多孔質発泡金属から成る場合、外科医は、骨鋸を使って、この遠位表面に沿って全てのペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aも切断し得る。従って、全体の脛骨プラットフォームが骨鋸で容易に除去し得る。骨鋸が一般的に中実金属を切断できないため、このような結果は中実チタン又はコバルトクロム合金で作製されるベグ及び茎部においては一般的に不可能である。ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aを除去するために、外科医は、次に、各ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aの外周の周囲において切断して、骨とペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aとの間の結合を切断し得る。外辺部周囲におけるこのような切断は、例えば、トレフィン鋸の使用によってなされてもよい。次に、各ペグ30、30A、32、32A、34、34A、36、36Aは容易に除去し得る。特に、ペグの自由端が平滑である場合、ペグの端部で骨内部成長が殆ど、又は全く生じず、ペグの除去が容易になるはずである。
【0111】
したがって、本発明は、最適化されたセメントレス固定のために好適な、脛骨インプラント構成要素及び大腿骨構成要素を備える人工膝関節を提供する。更に、インプラント構成要素は、自然骨肉を保存するために、修正手術において骨から容易に取り除くことができる。
【0112】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変はすべて保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0113】
例えば、ペグの数および構成は変化し得る。脛骨トレイの場合、例えば、トレイは中央茎部も含み得る。例示される脛骨トレイは4つのペグを含むが、より少ないペグが許容可能であり得る。更に、ペグのヘッド及び/又はプラグは非円形であってよく、例えば、正方形の断面を有してもよく、基部の穴は対応した大きさと形状であってよい。更に、既に述べたように、プラグ/ペグアセンブリを基部の穴に配置してプラグを基部に溶接する前に、焼結プロセスなどによって、プラグをペグに取り付けることも可能である。
【0114】
いくつかの追加の代替的実施形態が図18〜20に例示されている。図18の実施形態において、第1実施形態について上記で説明された部品と類似の部品は、同じ参照番号の後に文字「B」を付して表示されている。図19の実施形態において、第1実施形態について上記で説明された部品と類似の部品は、同じ参照番号の後に文字「C」を付して表示されている。図20の実施形態において、第1実施形態について上記で説明された部品と類似の部品は、同じ参照番号の後に文字「D」を付して表示されている。各構成要素についての上記の説明は、以下の説明で区別されない限り、図18〜20で例示されている実施形態にも適用されることが理解されよう。
【0115】
図18の実施形態において、プラグ120Bは、定直径の単一の円筒部分128Bを有する。ペグ34Bのヘッド76Bは、表面84Bによって画定された円錐台部37に隣接した近位円筒部分35を有する。ヘッド76Bの円筒部分35の直径は、基部24Bにおける円筒型チャンバ112Bの直径より小さい。環状隙間140Bは、図18の実施形態におけるペグ34Bの頂面82Bと隣接し、ペグ34Bの頂面82Bと同じ高さである。この実施形態において、ペグ34Bのヘッド76Bの自由端80Bは、円筒型チャンバ112Bと面取りチャンバ72Bとの接合部を越えて近位側に延在する。
【0116】
図19の実施形態において、プラグ120Cとペグ34Cのヘッド76Cは、廻り止め平面141、143を有する。
【0117】
図20の実施形態において、ペグ34Dのヘッド76Dは、円筒形であり、プラグ120Dは、定直径の単一の円筒部分128Dを有する。基部24Dは、側壁147と底部壁147によって画定された単一の円筒型チャンバ112Dを有する。この実施形態において、底部壁147は、搭載面26Dとペグ34Dの頂面82Dと実質的に平行である。
【0118】
その他の形状のペグ34のヘッド76とプラグ120が、ヘッド76とプラグ120を受容する基部24の他の形状のチャンバとともに、使用し得ることが認識されるであろう。例えば、ペグのヘッドは、基部24の端ぐりと一致して受容されるように進め得る。また、プラグは、必要に応じて、右円筒形状の代わりに、テーパ状の円錐台形状を有してもよい。
【0119】
本開示には、ここに述べた装置、システム、及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム、及び方法の代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれる装置、システム、及び方法を独自に実施することが容易に可能である。
【0120】
〔実施の態様〕
(1) 中実金属部と多孔質金属部を有する第1構成要素、
を含む整形外科用人工器官であって、
前記中実金属部が、第1中実金属表面と前記第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面とを含み、
前記中実金属部は、前記第2中実金属表面から前記第1中実金属表面に向かって延在し、かつ前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間の平面に端部を有する、内壁を有し、
前記内壁が、前記第1中実金属表面から最も離れた最小の内径と、前記内壁の前記端部により大きな内径とを有するようにテーパ状になっており、内部面取りチャンバを画定し、
前記第2中実金属表面が、前記内壁と前記第2中実金属表面との接合部に開口部を有し、
前記多孔質金属部が、ヘッドとシャフトを有するペグを含み、
前記ペグの前記ヘッドが、第1自由端と、前記ヘッドと前記シャフトとの接合部から前記第1自由端に向かって延在するテーパ状の壁と、を有し、
前記ペグが、前記第1自由端における最大外径と、前記ヘッドと前記シャフトとの前記接合部におけるより小さい外径と、を有し、
前記ペグの前記ヘッドの少なくともかなりの部分が、前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間の前記中実金属部中の前記面取りチャンバ内に受容され、
前記ペグの一部が、前記第2中実金属表面における前記開口部を通過して外向きに延在し、
前記中実金属部が前記第1中実金属表面から前記ペグの前記ヘッドまで延在し、前記ペグの前記ヘッドを覆い、
前記ペグと、前記中実金属部の前記第2中実金属表面との間に冶金学的な接続がない、整形外科用人工器官。
(2) 前記ペグと、前記中実金属部との間に冶金学的な接続がない、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(3) 前記中実金属部と前記多孔質金属部が異なる金属を含有する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(4) 前記中実金属部がコバルトを含有し、前記多孔質金属部がチタンを含有する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(5) 前記中実金属部がコバルトと、クロムと、モリブデンの合金を含有し、前記多孔質金属部がチタン金属発泡体を含有する、実施態様4に記載の整形外科用人工器官。
【0121】
(6) 前記第1構成要素が、関節面と骨対向面を有する遠位大腿骨インプラント構成要素を含み、
前記第1表面が前記関節面のうちの1つを含み、
前記第2表面が前記骨対向面のうちの1つを含む、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(7) 前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記関節面を受容するための関節面を有する軸受を更に有する、実施態様6に記載の整形外科用人工関節。
(8) 前記軸受が、前記軸受の前記関節面から間隔を置いて配置された搭載面を有し、前記人工器官が、前記軸受の前記搭載面を受容するための支持面を有する脛骨トレイを更に含む、実施態様7に記載の整形外科用人工器官。
(9) 前記軸受の前記搭載面と前記脛骨トレイの前記支持面が前記軸受を前記脛骨トレイに固定するための相補型構造を有し、
前記相補型構造は、前記トレイの前記支持面から近位側に延在し、前記トレイの前記支持面に連続している中実金属前方バットレスを有し、
前記前方バットレスの一部が、前記ペグの前記ヘッドの少なくとも一部を、前記前方バットレスと前記ペグの前記ヘッドとの間を延在する中実金属で覆う、実施態様8に記載の整形外科用人工器官。
(10) 前記中実金属部が前記ペグを囲む中実金属環を含み、前記中実金属環が、前記第1構成要素の前記中実金属部の前記第2中実金属表面と連続し、そこから延在する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
【0122】
(11) 前記中実金属環と前記ペグとの間に冶金学的な結合がない、実施態様10に記載の整形外科用人工器官。
(12) 前記金属環が前記ペグの前記表面から約1mm外に延在している、実施態様11に記載の整形外科用人工器官。
(13) 前記面取りチャンバが前記第2中実金属表面の高さを越えて延在するように、前記金属環が、前記面取りチャンバの前記テーパ状の内壁と連続したテーパ状の内壁を有する、実施態様11に記載の整形外科用人工器官。
(14) 前記多孔質金属部が、前記第2中実金属表面に冶金学的に結合された多孔質金属の層を含む、実施態様10に記載の整形外科用人工器官。
(15) 前記ペグの前記ヘッドの前記第1自由端に隣接した前記中実金属部に環状隙間が存在する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
【0123】
(16) 前記面取りチャンバが長手方向中心軸を有し、前記面取りチャンバの前記内壁が前記長手方向中心軸と約40度の角度を画定する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(17) 前記トレイの前記中実金属部が、前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間で5mm未満の厚さを有する、実施態様1に記載の整形外科用人工器官。
(18) 中実金属基部と、多孔質金属ペグと、中実金属プラグから人工関節を作製する方法であって、
前記中実金属基部が、第1中実金属表面と、前記第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面と、前記第1中実金属表面における穴と、前記第2中実金属表面における穴と、前記穴の間に延在し前記穴を画定する内壁を含み、前記内壁が、テーパ状部分と円筒部分を有し、前記テーパ状部分が前記第2中実金属表面で最小内径を、前記第1中実金属表面と前記第2中実金属表面との間の位置に最大外径を有し、前記内壁の前記円筒部分が、前記テーパ状部分から前記第1中実金属表面まで延在し、前記内壁の前記テーパ状部分が、面取りチャンバを画定し、前記円筒部分が円筒型チャンバを画定しており、
前記ペグが、ヘッドとシャフトを含み、前記ヘッドが、第1自由端と、前記第1自由端の端面と、前記第1自由端から前記ヘッドと前記シャフトとの接合部まで延在するテーパ状の壁を有し、前記ペグが、前記第1自由端で最大外径を、前記ヘッドと前記シャフトとの前記接合部でより小さい外径を有し、
前記プラグが、第1中実金属表面と、前記第1中実金属表面から間隔を置いて配置された第2中実金属表面と、前記第1中実金属表面から前記第2中実金属表面に向かって延在する側壁と、を含み、
前記方法が、
前記ヘッドの前記テーパ状の壁が前記内壁の前記テーパ状部分にもたれかかり、前記ペグの前記シャフトが前記中実金属基部の前記第2中実金属表面を過ぎて外向きに延在した状態で、前記ペグを配置する工程であって、前記ペグの前記ヘッドの前記端面が、前記中実金属基部の前記面取りチャンバと円筒型チャンバとの接合部を越えて延在しない、工程と、
前記プラグの前記第2中実金属表面が、前記ペグの前記ヘッドの前記端面にもたれかかり、前記プラグの前記側壁が、前記円筒型チャンバを画定する前記内壁の前記円筒部分と係合した状態で、前記プラグを前記中実金属基部の前記円筒型チャンバに圧力嵌めする工程と、
前記中実金属プラグを前記中実金属基部の前記第1中実金属表面に固定する工程と、
前記基部の前記第1中実金属表面を越えて延在する前記中実金属プラグの望ましくない部分全てを除去する工程と、
を含む方法。
(19) 前記中実金属基部の前記円筒型チャンバが内径を有し、
前記プラグの前記第1中実金属表面が外径を有し、前記プラグの前記第1中実金属表面と、前記プラグの前記側壁が、第1円筒部分を画定し、
前記プラグの前記第2中実金属表面が、外径を有し、前記プラグの前記第2中実金属表面と、前記プラグの前記側壁が、第2円筒部分を画定し、
前記プラグの前記第1円筒部分の前記外径が、前記プラグの前記第2円筒部分の前記外径より大きく
前記円筒型チャンバの前記内径と前記プラグの前記第1円筒部分の前記外径は、前記プラグの前記第1円筒部分の前記円筒型チャンバへの圧力嵌めを可能にする大きさである、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記プラグの前記第1円筒部分が前記円筒型チャンバに圧力嵌めされた後は、前記プラグの前記第2円筒部分と前記中実金属基部の前記内壁との間の接触がない、実施態様19に記載の方法。
【0124】
(21) 前記プラグの前記第1円筒部分が軸長を有し、
前記中実金属基部の前記円筒型チャンバが軸長を有し、
前記プラグの前記第1円筒部分の前記軸長が、前記中実金属基部の前記円筒型チャンバの前記軸長よりも大きい、実施態様19に記載の方法。
(22) 前記中実金属基部が、前記第1中実金属表面から高さまで外方向に延在する前方バットレスを含み、
前記プラグの前記第1円筒部分の前記軸長が、前記プラグの前記第1円筒部分の一部が前記中実金属基部の前記第1中実金属表面の上に露出されるように、前記前方バットレスの前記高さまで延在するのに十分大きく、
前記方法が、
前記プラグの前記第1円筒部分を前記前方バットレスに固定する工程と、
前記プラグの前記第1円筒部分の一部が前記前方バットレスの一部を画定するように、溶接後、前記プラグの前記第1円筒部分の一部を除去する工程と、
を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記中実金属基部の前記第2中実金属表面が、前記第2中実金属表面内の前記穴を囲み、前記第2中実金属表面から外表面まで外方向に延在する中実金属環を含む、実施態様18に記載の方法。
(24) 前記環の前記外表面の平面から前記円筒型チャンバと面取りチャンバとの接合部を通る平面までの軸方向距離が、前記ペグの前記ヘッドの前記軸長と実質的に同じである、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記環の前記外径は、前記環の前記内径よりわずか2mm大きい、実施態様23に記載の方法。
【0125】
(26) 更に、前記中実金属基部の前記第2中実金属表面を前記環の周囲において多孔質金属でコーティングして、前記多孔質金属コーティングを前記中実金属基部に焼結する工程を含む、実施態様25に記載の方法。
(27) 前記環の前記外表面と前記多孔質金属コーティングの前記露出面が、実質的に同一面である、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記プラグを前記円筒型チャンバに圧力嵌めする工程により、前記ペグの前記ヘッドを圧縮する、実施態様18に記載の方法。
(29) 前記ペグが、チタンを含有する金属発泡体を含み、前記中実金属基部が、コバルトを含有する合金を含み、前記中実金属プラグが、コバルトを含有する合金を含む、実施態様18に記載の方法。
(30) 更に、前記中実金属基部の前記第2中実金属表面を多孔質金属でコーティングし、前記多孔質金属コーティングを前記中実金属基部に焼結する工程を含む、実施態様18に記載の方法。
【0126】
(31) 前記中実金属基部が、複数の円筒型チャンバと複数の面取りチャンバを含み、
複数の多孔質金属ペグが設けられており、1つの多孔質金属ペグがそれぞれの面取りチャンバ内に配置されており、
複数の中実金属プラグが設けられており、1つの中実金属プラグがそれぞれの円筒型チャンバに圧力嵌めされており、
それぞれの中実金属プラグが前記中実金属基部に固定されており、
前記基部の前記第1中実金属表面を越えて延在するプラグの望ましくない余剰分は全て除去される、実施態様18に記載の方法。
(32) 前記人工関節が、近位脛骨インプラント構成要素、遠位大腿骨インプラント構成要素、及び軸受を有する人工関節膝インプラントを含む、実施態様18に記載の方法。
(33) 前記中実金属基部が、前記近位脛骨インプラント構成要素の一部であり、前記第1中実金属表面が、前記軸受の支持面を画定する、実施態様18に記載の方法。
(34) 前記基部の前記第1中実金属表面を越えて延在する前記中実金属プラグの望ましくない部分全てを除去する工程の後に、前記第1中実金属表面を磨く工程を更に含む、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記固定する工程が溶接を含む、実施態様18に記載の方法。
【0127】
(36) 前記固定する工程が溶接を含む、実施態様22に記載の方法。
(37) 前記固定する工程が溶接を含む、実施態様31に記載の方法。
(38) 中実部分と多孔質部分を有する第1構成要素、
を含む整形外科用人工器官であって、
前記中実部分が、第1中実表面と、前記第1中実表面から間隔を置いて配置されている第2中実表面を含み、
前記中実部分が、前記第2中実表面から前記第1中実表面に向かって延在し、かつ前記第1中実表面と前記第2中実表面との間の平面に端部を有する、内壁を有し、前記内壁が、チャンバを画定し、
前記第2中実表面が、前記内壁と前記第2中実表面との接合部に開口部を有し、
前記多孔質部分が、ヘッドとシャフトを有するペグを含み、
前記ペグの前記ヘッドの少なくともかなりの部分が、前記第1中実表面と前記第2中実表面との間の前記中実部分の前記チャンバ内で受容され、
前記ペグの一部が、前記第2中実表面における前記開口部を通過して外向きに延在し、
前記中実部分が前記第1中実表面から前記ペグの前記ヘッドまで延在し、前記ペグの前記ヘッドを覆い、
前記ペグ及び前記中実部分の前記第2中実表面が、一緒に結合されない、整形外科用人工器官。
(39) 前記第1構成要素の前記中実部分が金属を含有する、実施態様38に記載の整形外科用人工器官。
(40) 前記ペグが多孔質金属を含有する、実施態様38に記載の整形外科用人工器官。
【0128】
(41) 前記中実部分における前記チャンバが、円錐台形状である、実施態様38に記載の整形外科用人工器官。
(42) 前記ペグの前記ヘッドが、円錐台形状である、実施態様38に記載の整形外科用人工器官。
(43) 中実基部と、多孔質ペグと、中実プラグとから人工関節を作製する方法であって、
前記中実基部が、第1中実表面と、前記第1中実表面から間隔を置いて配置されている第2中実表面と、前記第1中実表面内の穴と、前記第2中実表面内の穴と、それらの前記穴の間を延在してチャンバを画定する内壁と、を含み、
前記ペグが、ヘッドとシャフトを含み、前記ヘッドが第1の自由端を有し、前記ペグが、前記第1自由端で最大外径を、前記ヘッドと前記シャフトとの接合部でより小さい外径を、有し、
前記プラグが、第1中実表面と、前記第1中実表面から間隔を置いて配置される第2中実表面と、前記第1中実表面から前記第2中実表面に向かって延在する側壁と、を含み、
前記方法が、
前記中実基部の前記チャンバ内に前記ペグを配置する工程と、
前記プラグの前記第2中実表面が前記ペグの前記ヘッドの前記端面にもたれかかっている状態で、前記プラグを前記中実基部の前記チャンバに圧力嵌めする工程と、
前記中実プラグを前記中実基部の前記第1中実表面に固定する工程と、
前記基部の前記第1中実表面を越えて延在する前記中実プラグの望ましくない部分全てを除去する工程と、
を含む方法。
(44) 前記中実基部が金属を含有し、前記プラグが金属を含有する、実施態様43に記載の方法。
(45) 前記ペグが多孔質金属を含有する、実施態様43に記載の方法。
【0129】
(46) 前記チャンバと前記ペグの前記ヘッドが円錐台形状をしている、実施態様43に記載の方法。
(47) 前記中実プラグを前記中実基部の前記第1中実表面に固定する工程が溶接を含む、実施態様43に記載の方法。
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