特許第6359313号(P6359313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359313
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】廃液処理システムおよび廃液処理方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/06 20060101AFI20180709BHJP
   G21F 9/12 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G21F9/06 501Z
   G21F9/12 511A
   G21F9/12 501F
   G21F9/12 512B
   G21F9/12 512C
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-67174(P2014-67174)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-190813(P2015-190813A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】上川 暢介
(72)【発明者】
【氏名】山田 周治
(72)【発明者】
【氏名】小川 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼口 涼吉
(72)【発明者】
【氏名】上島 直幸
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−098360(JP,A)
【文献】 特開2013−221898(JP,A)
【文献】 特開昭64−091096(JP,A)
【文献】 特開2008−272742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/06
G21F 9/12
G21F 9/28
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除染対象系統を除染した際に生じた除染廃液を流通させる除染廃液ラインと、
前記除染廃液ラインに設けられて前記除染廃液中に含まれる所定の金属イオンを吸着する無機イオン交換体を備えた無機イオン交換体充填槽と、
前記除染廃液ラインに設けられて前記無機イオン交換体充填槽を経た前記除染廃液中に含まれる前記所定の金属イオンの他の金属イオンを吸着するカチオン交換樹脂を備えたカチオン樹脂塔と、
前記除染廃液ラインに設けられて前記カチオン樹脂塔を経た前記除染廃液中に含まれるアニオンを吸着するアニオン交換樹脂を備えたアニオン樹脂塔と、
前記除染廃液ラインと前記無機イオン交換体充填槽の入口側とを連結する無機イオン交換体充填槽入口ラインと、
前記無機イオン交換体充填槽の出口側と前記カチオン樹脂塔の入口側とを連結する中継ラインと、
前記カチオン樹脂塔の出口側と前記除染廃液ラインとを連結するカチオン樹脂塔出口ラインと、
前記除染廃液ラインと前記アニオン樹脂塔の入口側および出口側とを連結するアニオン樹脂塔ラインと、
を有することを特徴とする廃液処理システム。
【請求項2】
前記無機イオン交換体充填槽における無機イオン交換体は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを選択的に吸着することを特徴とする請求項1に記載の廃液処理システム。
【請求項3】
前記無機イオン交換体がゼオライトであることを特徴とする請求項1または2に記載の廃液処理システム。
【請求項4】
除染対象系統を除染した際に生じた除染廃液中に溶解している所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させる無機イオン交換体透過工程と、
前記無機イオン交換体透過工程の後に前記除染廃液中に溶解している所定の金属イオンの他の金属イオンをカチオン交換樹脂に吸着させるカチオン樹脂透過工程と、
前記カチオン樹脂透過工程の後に前記除染廃液中のアニオンをアニオン交換樹脂に吸着させるアニオン樹脂透過工程と、
を含み、
前記無機イオン交換体透過工程と前記カチオン樹脂透過工程とを同時に行うことを特徴とする廃液処理方法。
【請求項5】
前記無機イオン交換体透過工程は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体に選択的に吸着させることを特徴とする請求項に記載の廃液処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理システムおよび廃液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントや使用済燃料の再処理工場などの放射線取扱い施設において、放射性物質を含む放射性廃液と接触する配管や機器などの構造部品は、放射線取扱い施設の運転に伴ってその内表面に放射性物質を含む酸化物や塩などの皮膜などが付着または生成する。施設の運転期間が長くなると、構造部品の周囲は放射線量が高まり、定期検査や保守工事あるいは廃棄物解体工事などにおいて作業員の被ばく線量が増大するおそれがある。作業員の被ばくを低減するため、構造部品に付着した放射性物質を除去(除染)する必要がある。
【0003】
こうした放射線取扱い施設において設備の除染で発生する除染廃液は、例えば、無機イオン交換体やアニオン交換樹脂を用いて除染溶液中に含まれる金属イオンなどの放射性物質を化学的に吸着処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−221898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除染廃液の廃液処理方法において、無機イオン交換体は、所定の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着されているだけであり、無機物であるため、放射性物質を吸着して高線量となっても固化して固形物とすることで、処分場で埋設処分することができる。ただし、この除染廃液の廃液処理方法では、無機イオン交換体で殆どの放射性物質を除去する必要があるが、実際には難しく、現実的には有機物の交換樹脂を使用せざるを得ず、この有機物が二次廃棄物として発生することになる。有機物の二次廃棄物は、高線量になると、放射性分解により水素が発生し、爆発をするおそれがあるため処分ができず、プラント内で保管しておかなければならない。従って、有機物の二次廃棄物の放射線量を処分可能なレベルに低減することが望まれている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、有機物の二次廃棄物の放射線量を処分可能なレベルに低減することのできる廃液処理システムおよび除染廃液の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第1の発明の廃液処理システムは、除染対象系統を除染した際に生じた除染廃液を流通させる除染廃液ラインと、前記除染廃液ラインに設けられて前記除染廃液中に含まれる所定の金属イオンを吸着する無機イオン交換体を備えた無機イオン交換体充填槽と、前記除染廃液ラインに設けられて前記無機イオン交換体充填槽を経た前記除染廃液中に含まれる前記所定の金属イオンの他の金属イオンを吸着するカチオン交換樹脂を備えたカチオン樹脂塔と、前記除染廃液ラインに設けられて前記カチオン樹脂塔を経た前記除染廃液中に含まれるアニオンを吸着するアニオン交換樹脂を備えたアニオン樹脂塔と、を有することを特徴とする。
【0008】
この廃液処理システムによれば、除染対象系統を除染することで生じる除染廃液中の所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させて除去した後、除染廃液中のその他の金属イオンをカチオン交換樹脂で吸着して除去し、さらにその後、除染廃液中のアニオンをアニオン交換樹脂で吸着して除去する。このため、二次廃棄物として発生するカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の放射線量を低減することができる。この結果、無機イオン交換体は廃棄物として埋設処分し、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は焼却処分することができる。
【0009】
第2の発明の廃液処理システムは、第1の発明において、前記無機イオン交換体充填槽における無機イオン交換体は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを選択的に吸着することを特徴とする。
【0010】
この廃液処理システムによれば、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルは除染により高線量となり、このコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体で選択的に吸着することで、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することで無機イオン交換体を処分場で埋設処分可能な範囲の放射線量に抑えることができ、かつカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【0011】
第3の発明の廃液処理システムは、第1または2の発明において、前記無機イオン交換体がゼオライトであることを特徴とする。
【0012】
この廃液処理システムによれば、ゼオライトは所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを吸着するものであり、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することでカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【0013】
第4の発明の廃液処理システムは、第1〜第3のいずれか一つの発明において、前記除染廃液ラインと前記無機イオン交換体充填槽の入口側および出口側とを連結する無機イオン交換体充填槽ラインと、前記除染廃液ラインと前記カチオン樹脂塔の入口側および出口側とを連結するカチオン樹脂塔ラインと、前記除染廃液ラインと前記アニオン樹脂塔の入口側および出口側とを連結するアニオン樹脂塔ラインと、を有することを特徴とする。
【0014】
この廃液処理システムによれば、無機イオン交換体充填槽の入口側および出口側、カチオン樹脂塔の入口側および出口側、アニオン樹脂塔の入口側および出口側が、それぞれ無機イオン交換体充填槽ライン、カチオン樹脂塔ライン、アニオン樹脂塔ラインで独立して除染廃液ラインに接続されることで、無機イオン交換体充填槽、カチオン樹脂塔、アニオン樹脂塔の保守をそれぞれ行えるので保守性を向上することができる。
【0015】
第5の発明の廃液処理システムは、第1〜第3のいずれか一つの発明において、前記除染廃液ラインと前記無機イオン交換体充填槽の入口側とを連結する無機イオン交換体充填槽入口ラインと、前記無機イオン交換体充填槽の出口側と前記カチオン樹脂塔の入口側とを連結する中継ラインと、前記カチオン樹脂塔の出口側と前記除染廃液ラインとを連結するカチオン樹脂塔出口ラインと、前記除染廃液ラインと前記アニオン樹脂塔の入口側および出口側とを連結するアニオン樹脂塔ラインと、を有することを特徴とする。
【0016】
この廃液処理システムによれば、無機イオン交換体充填槽の出口側と、カチオン樹脂塔の入口側とが中継ラインで接続されることで、無機イオン交換体充填槽からカチオン樹脂塔に連続して除染廃液を直接導入することができる。このため、無機イオン交換体充填槽やカチオン樹脂塔を独立して除染廃液ラインに接続する構成と比較して弁を省略することができ、かつ無機イオン交換体充填槽に供給された後の除染廃液を必ずカチオン樹脂塔に供給するため、処理効率を向上することができる。
【0017】
上述の目的を達成するために、第6の発明の廃液処理方法は、除染対象系統を除染した際に生じた除染廃液中に溶解している所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させる無機イオン交換体透過工程と、前記無機イオン交換体透過工程の後に前記除染廃液中に溶解している所定の金属イオンの他の金属イオンをカチオン交換樹脂に吸着させるカチオン樹脂透過工程と、前記カチオン樹脂透過工程の後に前記除染廃液中のアニオンをアニオン交換樹脂に吸着させるアニオン樹脂透過工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
この廃液処理方法によれば、除染対象系統を除染することで生じる除染廃液中の所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させて除去した後、除染廃液中のその他の金属イオンをカチオン交換樹脂で吸着して除去し、さらにその後、除染廃液中のアニオンをアニオン交換樹脂で吸着して除去する。このため、二次廃棄物として発生するカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の放射線量を低減することができる。この結果、無機イオン交換体は廃棄物として埋設処分し、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は焼却処分することができる。
【0019】
第7の発明の廃液処理方法は、第6の発明において、前記無機イオン交換体透過工程は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体に選択的に吸着させることを特徴とする。
【0020】
この廃液処理方法によれば、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルは除染により高線量となり、このコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体で選択的に吸着することで、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することでカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、有機物の二次廃棄物の放射線量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態に係る廃液処理システムが適用される原子力発電プラントの概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る廃液処理システムの構成図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る廃液処理システムの動作であって廃液処理方法の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る廃液処理システムの他の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0024】
[原子力発電プラント]
本実施形態に係る廃液処理システムは、原子力発電プラントに適用することが可能である。本実施形態において以下に説明する原子力発電プラントでは、原子炉は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って二次冷却材と熱交換させることにより蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。なお、本実施形態は、加圧水型原子炉に限らず、これを改良した改良型加圧水型原子炉(APWR:Advanced Pressurized Water Reactor)、または沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Rector)に適用することができる。また、放射線取扱い施設にも適用可能である。
【0025】
図1は、本実施形態に係る廃液処理システムが適用される原子力発電プラントの概略構成図である。図1に示すように、原子力発電プラント10は、原子炉11を含む原子炉冷却系(以下、一次系ともいう)12と、原子炉冷却系12と熱交換するタービン系(以下、二次系ともいう)13とを有する。原子炉冷却系12には、原子炉冷却材(一次冷却水)が流通し、タービン系13には、二次冷却材(二次冷却水)が流通している。
【0026】
原子炉冷却系(一次系)12は、原子炉11と、コールドレグ15aおよびホットレグ15bを介して原子炉11に接続された蒸気発生器16とを有している。また、ホットレグ15bは、加圧器17が介在され、コールドレグ15aは、原子炉冷却材ポンプ18が介在されている。そして、原子炉11、コールドレグ15a、ホットレグ15b、蒸気発生器16、加圧器17および原子炉冷却材ポンプ18は、原子炉格納容器19に収容されている。
【0027】
原子炉11は、上記したように加圧水型原子炉であり、その内部は原子炉冷却材(一次冷却水)で満たされる。そして、原子炉11は、多数の燃料集合体21が収容される。また、原子炉11は、燃料集合体21の燃料棒内の核燃料の核分裂を制御する多数の制御棒22が、各燃料集合体21に対し挿入可能に設けられている。
【0028】
制御棒22により核分裂反応を制御しながら燃料集合体21の燃料棒内の核燃料を核分裂させると、この核分裂により熱エネルギーが発生する。発生した熱エネルギーは原子炉冷却材を加熱し、加熱された原子炉冷却材は、ホットレグ15bを介して蒸気発生器16へ送られる。一方、コールドレグ15aを介して各蒸気発生器16から送られてきた原子炉冷却材は、原子炉11内に流入して、原子炉11内を冷却する。
【0029】
ホットレグ15bに介設された加圧器17は、高温となった原子炉冷却材を加圧することにより、原子炉冷却材の沸騰を抑制する。また、蒸気発生器16は、高温高圧となった原子炉冷却材(一次冷却水)を二次冷却材(二次冷却水)と熱交換させることにより、二次冷却材を蒸発させて蒸気を発生させ、かつ、高温高圧となった原子炉冷却材を冷却する。原子炉冷却材ポンプ18は、原子炉冷却系12において原子炉冷却材を循環させており、原子炉冷却材を蒸気発生器16からコールドレグ15aを介して原子炉11へ送り込むと共に、原子炉冷却材を原子炉11からホットレグ15bを介して蒸気発生器16へ送り込む。
【0030】
原子炉冷却材は、原子炉11と蒸気発生器16との間を循環する。なお、原子炉冷却材は、冷却材および中性子減速材として用いられる軽水である。
【0031】
タービン系(二次系)13は、蒸気管24を介して各蒸気発生器16に接続されたタービン25と、タービン25に接続された復水器26と、復水器26と各蒸気発生器16とを接続する給水管27に介設された給水ポンプ28と、を有している。タービン25は、発電機29が接続されている。
【0032】
タービン系13における一連の動作について説明する。蒸気管24を介して蒸気発生器16から蒸気がタービン25に流入すると、タービン25は回転する。タービン25が回転すると、タービン25に接続された発電機29は発電を行う。この後、タービン25から排出した蒸気は復水器26に流入する。復水器26は、その内部に冷却管30が配設されており、冷却管30の一方には冷却水(例えば、海水)を供給するための取水管31が接続され、冷却管30の他方には冷却水を排水するための排水管32が接続されている。そして、復水器26は、タービン25から流入した蒸気を冷却管30により冷却することで、蒸気を液体に戻す。液体となった二次冷却材は、給水ポンプ28により給水管27を介して蒸気発生器16に送られる。蒸気発生器16に送られた二次冷却材は、蒸気発生器16において原子炉冷却材と熱交換を行うことにより再び蒸気となる。
【0033】
このような原子力発電プラント10において、原子炉機器や各種配管など原子炉設備を構成する構造部品は、一般にステンレス鋼や炭素鋼などの鉄鋼材料で製作されている。この構造部品は、原子力発電プラント10の稼働に伴い高温水(一次冷却水)との接触によって腐食作用を受け、酸化物の皮膜が形成される。皮膜は、RI、Cr、Fe、Niの少なくとも1種類の金属または酸化物などである。
【0034】
そして、高温水(一次冷却水)に晒される構造部品に形成される皮膜に、炉水中の放射能が取り込まれると、被ばく線源となる。このため、定期検査や保守工事あるいは廃棄物解体工事などにおいて作業員の被ばく線量が増大するおそれがある。作業員の被ばくを低減するため、構造部品に付着した放射性物質を除染する必要がある。このような構造部品の除染対象系統は、本実施形態に係る廃液処理システムを用いて除染される。なお、除染とは、構造部品に付着した放射性物質を除去することをいう。
【0035】
[廃液処理システムおよび廃液処理方法]
図2は、本実施形態に係る廃液処理システムの構成図である。図2に示すように、本実施形態に係る廃液処理システム40は、原子炉設備の除染対象系統41を除染するためのものであり、除染廃液ラインL11に、無機イオン交換体充填槽42と、カチオン樹脂塔43と、アニオン樹脂塔44と、薬液供給部45と、紫外線塔(UV塔)46と、を有する。なお、除染対象系統41は、上述したように、原子炉機器や各種配管など原子炉設備を構成する構造部品である。
【0036】
除染廃液ラインL11は、除染対象系統41に供給される薬液(第一薬液52、第二薬液53、第三薬液54)を、除染廃液58として除染対象系統41から抜き出すラインである。本実施形態において、除染廃液ラインL11は、薬液(第一薬液52、第二薬液53、第三薬液54)を除染対象系統41に供給する一方で、この薬液を除染廃液58として除染対象系統41から抜き出し、除染対象系統41に戻す循環ラインとして構成されている。除染廃液58は、薬液(第一薬液52、第二薬液53、第三薬液54)が除染対象系統41を通過する際に生じた廃液である。
【0037】
除染廃液ラインL11は、除染対象系統41から抜き出した除染廃液58の流通方向に沿って、弁V11、フィルタ59、弁V12、加温装置60、ポンプP1、無機イオン交換体充填槽42、カチオン樹脂塔43、アニオン樹脂塔44、薬液供給部45、紫外線塔46、弁V13が設けられている。
【0038】
弁V11は、除染廃液ラインL11において、除染廃液58を除染対象系統41から抜き出す側の端部に設けられた開閉弁であって、除染対象系統41から除染廃液ラインL11に抜き出される除染廃液58の流通や、除染廃液ラインL11から除染対象系統41への除染廃液58の逆流を開閉する。
【0039】
フィルタ59は、除染廃液ラインL11を流通する除染廃液58中の析出物を除去するものである。フィルタ59は、例えば、ポアメットなどが挙げられる。
【0040】
弁V12は、調整弁であって、フィルタ59から排出される除染廃液58の排出量を調整する。
【0041】
加温装置60は、除染廃液58を貯留する加温槽61と、加温槽61に設けられた加熱手段62とを備える。加熱手段62としては、例えば、ヒータなどが用いられる。加温装置60は、加温槽61に貯留された除染廃液58を加熱手段62により所定温度に加温する。
【0042】
ポンプP1は、除染廃液ラインL11に除染廃液58を所定流量で圧送する。すなわち、ポンプP1は、除染廃液ラインL11から除染対象系統41に薬液を供給すると共に、除染対象系統41から薬液である除染廃液58を除染廃液ラインL11に抜き出し循環させる。
【0043】
無機イオン交換体充填槽42は、除染廃液58中に含まれる所定の金属イオンを吸着する無機イオン交換体を備える槽である。所定の金属イオンとは、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)である。本実施形態において、無機イオン交換体は、ゼオライトが用いられる。なお、無機イオン交換体は、ゼオライトに限定されるものではなく、例えば、リン酸ジルコニウム、粘土鉱物や、アンチモン系無機イオン交換体、ビスマス系無機イオン交換体といった非ゼオライト系無機イオン交換体など、除去すべき金属イオンの種類に応じて適宜選定できる。本実施形態では、図において無機イオン交換体充填槽42を1つ示しているが、これに限定されるものではなく、複数を直列または並列して設けるようにしてもよい。
【0044】
この無機イオン交換体充填槽42は、除染廃液ラインL11に対して無機イオン交換体充填槽ラインL12を介して接続されている。無機イオン交換体充填槽ラインL12は、無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1と、無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2とを有する。無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1は、除染廃液ラインL11における流通方向の上流側と無機イオン交換体充填槽42の入口側とを接続する。無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2は、除染廃液ラインL11における流通方向の下流側と無機イオン交換体充填槽42の出口側とを接続する。すなわち、除染廃液ラインL11に流通される除染廃液58は、除染廃液ラインL11から無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1を経て無機イオン交換体充填槽42に導入される。また、無機イオン交換体充填槽42に導入される除染廃液58は、無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2を経て除染廃液ラインL11に排出される。
【0045】
無機イオン交換体充填槽ラインL12の無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1、および無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2は、弁V21および弁V22が設けられている。弁V21,V22は、開閉弁であって、それぞれが無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1と、無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2とを開閉することで、無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1と、無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2とにおける除染廃液58の流通を開閉する。
【0046】
カチオン樹脂塔43は、除染廃液58中に含まれるカチオンである金属イオンであって、無機イオン交換体充填槽42の無機イオン交換体が吸着する所定の金属イオンの他の金属イオンを吸着するカチオン交換樹脂を備えた塔である。本実施形態では、図においてカチオン樹脂塔43を1つ示しているが、これに限定されるものではなく、複数を直列または並列して設けるようにしてもよい。
【0047】
このカチオン樹脂塔43は、除染廃液ラインL11に対してカチオン樹脂塔ラインL13を介して接続されている。カチオン樹脂塔ラインL13は、カチオン樹脂塔入口ラインL13−1と、カチオン樹脂塔出口ラインL13−2とを有する。カチオン樹脂塔入口ラインL13−1は、除染廃液ラインL11における流通方向の上流側とカチオン樹脂塔43の入口側とを接続する。カチオン樹脂塔出口ラインL13−2は、除染廃液ラインL11における流通方向の下流側とカチオン樹脂塔43の出口側とを接続する。すなわち、除染廃液ラインL11に流通される除染廃液58は、除染廃液ラインL11からカチオン樹脂塔入口ラインL13−1を経てカチオン樹脂塔43に導入される。また、カチオン樹脂塔43に導入される除染廃液58は、カチオン樹脂塔出口ラインL13−2を経て除染廃液ラインL11に排出される。
【0048】
カチオン樹脂塔ラインL13のカチオン樹脂塔入口ラインL13−1、およびカチオン樹脂塔出口ラインL13−2は、弁V23および弁V24が設けられている。弁V23,V24は、開閉弁であって、それぞれがカチオン樹脂塔入口ラインL13−1と、カチオン樹脂塔出口ラインL13−2とを開閉することで、カチオン樹脂塔入口ラインL13−1と、カチオン樹脂塔出口ラインL13−2とにおける除染廃液58の流通を開閉する。
【0049】
アニオン樹脂塔44は、除染廃液58中に含まれるアニオンを吸着するアニオン交換樹脂を備えた塔である。本実施形態では、図においてアニオン樹脂塔44を1つ示しているが、これに限定されるものではなく、複数を直列または並列して設けるようにしてもよい。
【0050】
このアニオン樹脂塔44は、除染廃液ラインL11に対してアニオン樹脂塔ラインL14を介して接続されている。アニオン樹脂塔ラインL14は、アニオン樹脂塔入口ラインL14−1と、アニオン樹脂塔出口ラインL14−2とを有する。アニオン樹脂塔入口ラインL14−1は、除染廃液ラインL11における流通方向の上流側とアニオン樹脂塔44の入口側とを接続する。アニオン樹脂塔出口ラインL14−2は、除染廃液ラインL11における流通方向の下流側とアニオン樹脂塔44の出口側とを接続する。すなわち、除染廃液ラインL11に流通される除染廃液58は、除染廃液ラインL11からアニオン樹脂塔入口ラインL14−1を経てアニオン樹脂塔44に導入される。また、アニオン樹脂塔44に導入される除染廃液58は、アニオン樹脂塔出口ラインL14−2を経て除染廃液ラインL11に排出される。
【0051】
アニオン樹脂塔ラインL14のアニオン樹脂塔入口ラインL14−1、およびアニオン樹脂塔出口ラインL14−2は、弁V25および弁V26が設けられている。弁V25,V26は、開閉弁であって、それぞれがアニオン樹脂塔入口ラインL14−1と、アニオン樹脂塔出口ラインL14−2とを開閉することで、アニオン樹脂塔入口ラインL14−1と、アニオン樹脂塔出口ラインL14−2とにおける除染廃液58の流通を開閉する。
【0052】
薬液供給部45は、除染廃液58に酸化剤と還元剤との何れか一方または両方を含む薬液を除染廃液ラインL11に供給するものである。薬液供給部45は、第一薬液52を供給する第一薬液供給部55と、第二薬液53を供給する第二薬液供給部56と、第三薬液54を供給する第三薬液供給部57と、を有する。
【0053】
第一薬液供給部55は、第一薬液供給ラインL15−1が接続されている。第一薬液供給ラインL15−1は、ポンプP2が設けられ、ポンプP2により第一薬液52が第一薬液供給部55から送り出される。また、第一薬液供給ラインL15−1は、開閉弁である弁V31が設けられ、弁V31の開閉により第一薬液供給ラインL15−1における第一薬液52の流通を開閉する。また、第一薬液供給ラインL15−1は、薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に接続されている。
【0054】
第一薬液52としては、過マンガン酸(HMnO)、過マンガン酸カリウム(KMnO)、硝酸とフッ酸との硝フッ酸混合液などの何れか1つ以上含んでいるものが用いられる。過マンガン酸、過マンガン酸カリウムは酸化剤の一例として例示したものであり、同等の酸化力を有した薬品(酸化剤)であれば用いることができる。第一薬液52は、第一薬液供給部55からポンプP2により第一薬液供給ラインL15−1および薬液供給共通ラインL15−4を経て除染廃液ラインL11に送り出され、除染対象系統41に供給される。そして、第一薬液52は、除染対象系統41を構成する構造部品に付着しているクロム(Cr)系酸化物などをクロム酸として液中に溶解させ、構造部品から除去する。第一薬液52の濃度としては、0.005質量%以上0.5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。
【0055】
第二薬液供給部56は、第二薬液供給ラインL15−2が接続されている。第二薬液供給ラインL15−2は、ポンプP3が設けられ、ポンプP3により第二薬液53が第二薬液供給部56から送り出される。また、第二薬液供給ラインL15−2は、開閉弁である弁V32が設けられ、弁V32の開閉により第二薬液供給ラインL15−2における第二薬液53の流通を開閉する。また、第二薬液供給ラインL15−2は、薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に接続されている。
【0056】
第二薬液53としては、シュウ酸(H)、クエン酸(C74)、硝フッ酸混合液などの何れか1つ以上含んでいるものが用いられる。シュウ酸、クエン酸、硝フッ酸混合液は還元剤の一例として例示したものであり、同等の還元力を有した薬品(還元剤)であれば用いることができる。第二薬液53は、第二薬液供給部56からポンプP3により第二薬液供給ラインL15−2および薬液供給共通ラインL15−4を経て除染廃液ラインL11に送り出され、除染対象系統41に供給される。そして、第二薬液53は、除染対象系統41を構成する構造部品に付着している鉄(Fe)系酸化物、ニッケル(Ni)系酸化物などを液中に溶解させ、構造部品から除去する。また、第二薬液53は、Cr酸化物と未反応の過マンガン酸を還元する。第二薬液53の濃度としては、0.005質量%以上0.5質量%以下が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上0.3質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。
【0057】
第三薬液供給部57は、第三薬液供給ラインL15−3が接続されている。第三薬液供給ラインL15−3は、ポンプP4が設けられ、ポンプP4により第三薬液54が第三薬液供給部57から送り出される。また、第三薬液供給ラインL15−3は、開閉弁である弁V33が設けられ、弁V33の開閉により第三薬液供給ラインL15−3における第三薬液54の流通を開閉する。また、第三薬液供給ラインL15−3は、薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に接続されている。
【0058】
第三薬液54としては、過酸化水素(H)などが用いられる。Hは酸化剤の一例として例示したものであり、同等の酸化力を有した薬品(酸化剤)であれば用いることができる。第三薬液54は、第三薬液供給部57からポンプP4により第三薬液供給ラインL15−3および薬液供給共通ラインL15−4を経て除染廃液ラインL11に送り出される。そして、第三薬液54は、紫外線が照射されることで、除染廃液58中に含まれるシュウ酸キレートのシュウ酸を分解する。
【0059】
なお、上述した第一薬液52、第二薬液53、第三薬液54は、除染対象系統41を構成する構造部品に付着している皮膜の種類に応じて付着物を溶解する薬品を適宜組み合わせて用いることが好適である。
【0060】
紫外線塔46は、除染廃液58を貯留する貯留槽65と、貯留槽65に紫外線を照射する紫外線照射装置66とを備え、除染廃液58に紫外線を照射するものである。
【0061】
紫外線塔46は、除染廃液ラインL11から迂回して分岐した除染廃液抜き出しラインL16に設けられている。除染廃液抜き出しラインL16は、紫外線塔46を介して除染廃液ラインL11に接続された一端側および他端側に、開閉弁である弁V41,V42が設けられている。そして、弁V41,V42の開閉により除染廃液抜き出しラインL16における除染廃液58の流通を開閉する。また、除染廃液ラインL11において、除染廃液抜き出しラインL16が接続された一端および他端の間に、開閉弁である弁14が設けられ、弁V14の開閉により除染廃液抜き出しラインL16の位置での除染廃液ラインL11における除染廃液58の流通を開閉する。
【0062】
弁V13は、除染廃液ラインL11において、除染廃液58を除染対象系統41に導入する側の端部に設けられた開閉弁であって、除染廃液ラインL11から除染対象系統41に導入される除染廃液58の流通や、除染対象系統41から除染廃液ラインL11への除染廃液58の逆流を開閉する。
【0063】
なお、除染対象系統41は、除染廃液排出ラインL17が設けられている。除染廃液排出ラインL17は、除染対象系統41から除染廃液58を廃棄するラインである。すなわち、除染対象系統41内の除染廃液58は、除染廃液排出ラインL17を介して排出された後、ドラム缶などの廃棄容器に入れられて廃棄される。除染廃液排出ラインL17は、開閉弁である弁V15が設けられ、弁V15の開閉により除染廃液排出ラインL17における除染廃液58の流通を開閉する。
【0064】
また、本実施形態の廃液処理システム40は、図2に示すように、制御部47を有する。制御部47は、弁V11,V12,V13,V14,V15,V21,V22,V23,V24,V25,V26,V31,V32,V33,V41,V42、およびポンプP1,P2,P3,P4、紫外線照射装置66と電気的に接続され、これらを統括的に制御する。すなわち、制御部47は、以下に説明する廃液処理システムの動作を自動制御し、以下に説明する廃液処理方法の工程を自動的に行うものである。
【0065】
図3は、本実施形態に係る廃液処理システムの動作であって廃液処理方法の手順を示すフローチャートである。図4図9は、本実施形態に係る廃液処理方法の工程を示す説明図である。なお、図4図9において、弁V11,V12,V13,V14,V15,V21,V22,V23,V24,V25,V26,V31,V32,V33,V41,V42は、白塗りが開作動状態であり、黒塗りが閉作動状態を示す。
【0066】
図3に示すように、本実施形態に係る廃液処理システムの動作であって廃液処理方法は、以下の工程を有する。
【0067】
過マンガン酸を含む第一薬液52を除染対象系統41に供給し、除染対象系統41内の構造部品に付着した付着物に含まれるCrを少なくとも第一薬液52中に溶解させ、除染対象系統41内の構造部品を除染する(第一薬液供給工程:ステップS11)。
【0068】
シュウ酸を含む第二薬液53を除染対象系統41(第一薬液52が供給された除染廃液58)に供給し、除染対象系統41内の構造部品に付着した付着物に含まれるFe、Niを少なくとも第二薬液53中に溶解させ、除染対象系統41内の構造部品を除染する(第二薬液供給工程:ステップS12)。
【0069】
第一薬液52および第二薬液53が供給されて除染対象系統41を除染した除染廃液58を、無機イオン交換体充填槽42に供給し、除染廃液58中に溶解している所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させる(無機イオン交換体透過工程:ステップS13)。
【0070】
無機イオン交換体充填槽42を経て所定の金属イオンが除去された除染廃液58を、カチオン樹脂塔43に供給し、除染廃液58中に溶解している所定の金属イオンの他の金属イオンをカチオン交換樹脂に吸着させる(カチオン樹脂透過工程:ステップS14)。
【0071】
無機イオン交換体充填槽42およびカチオン樹脂塔43を経て金属イオンが除去された除染廃液58にHを含む第三薬液54を供給した後、この第三薬液54を供給した除染廃液58を紫外線塔46に供給し、紫外線を照射して除染廃液58中に含まれるシュウ酸を分解する(第三薬液供給・UV照射工程:ステップS15)。
【0072】
紫外線塔46を経てシュウ酸が除去された除染廃液58をアニオン樹脂塔44に供給し、除染廃液58に残留するアニオンである金属イオンやシュウ酸をアニオン交換樹脂に吸着させる(アニオン樹脂透過工程:ステップS16)。
【0073】
図4に示すように、ステップS11の第一薬液供給工程は、過マンガン酸を含む第一薬液52を第一薬液供給部55から第一薬液供給ラインL15−1および薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に送り出し、この第一薬液52を除染廃液ラインL11に流通させて除染対象系統41に供給する。
【0074】
これにより、除染対象系統41内の構造部品に付着していた付着物に含まれるCr酸化物などを少なくともクロム酸として第一薬液52中に溶解させ、除染対象系統41内の構造部品から除去することで、構造部品を除染する。
【0075】
除染対象系統41中の第一薬液52は、ポンプP1により除染対象系統41から除染廃液ラインL11に抜き出した後、除染廃液ラインL11を循環して除染対象系統41に戻すようにしている。具体的には、除染対象系統41内の第一薬液52は、除染廃液58として除染廃液ラインL11に抜き出され、フィルタ59で除染廃液58中の不純物を除去した後、加温槽61で所定温度に加温される。そして、除染廃液58は加温されつつ除染対象系統41に再度供給される。
【0076】
なお、フィルタ59で除染廃液58中の不純物を除去する際や、加温槽61で加温することで除染廃液58の液量が減少する場合は、除染対象系統41内に第一薬液52が十分供給できるように、除染廃液58には第一薬液供給部55から第一薬液52を追加供給してもよい。
【0077】
第一薬液52(除染廃液58)を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させる循環回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。
【0078】
このように、第一薬液52が加温されながら除染廃液ラインL11を循環することで、除染対象系統41内の構造部品に付着した付着物に含まれるCr酸化物などは、除染対象系統41内の構造部品から除去され、除染対象系統41内の構造部品は除染される。
【0079】
図5に示すように、ステップS12の第二薬液供給工程は、第一薬液供給工程の後、第一薬液52が供給された除染廃液58にシュウ酸を含む第二薬液53を第二薬液供給部56から第二薬液供給ラインL15−2および薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に送り出し、この第二薬液53を除染廃液ラインL11に流通させて除染対象系統41に供給する。
【0080】
これにより、除染対象系統41内の構造部品に付着した付着物に含まれるFe酸化物、Ni酸化物などを第二薬液53中に溶解させ、除染対象系統41内の構造部品から除去することで、構造部品を除染する。また、Cr酸化物と未反応の過マンガン酸を還元される。
【0081】
除染対象系統41中の第二薬液53は、ポンプP1により除染対象系統41から除染廃液ラインL11に抜き出した後、除染廃液ラインL11を循環して除染対象系統41に戻すようにしている。具体的には、除染対象系統41内の第二薬液53は、除染廃液58として除染廃液ラインL11に抜き出され、フィルタ59で除染廃液58中の不純物を除去した後、加温槽61で所定温度に加温される。そして、除染廃液58は加温されつつ除染対象系統41に再度供給される。
【0082】
なお、フィルタ59で除染廃液58中の不純物を除去する際や、加温槽61で加温することで除染廃液58の液量が減少する場合は、除染対象系統41内に第二薬液53が十分供給できるように、除染廃液58には第二薬液供給部56から第二薬液53を追加供給してもよい。
【0083】
第二薬液53(除染廃液58)を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させる循環回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。
【0084】
このように、第二薬液53が加温されながら除染廃液ラインL11を循環することで、除染対象系統41内の構造部品に付着した付着物に含まれるFe酸化物、Ni酸化物などは、除染対象系統41内の構造部品から除去され、除染対象系統41内の構造部品は除染される。
【0085】
図6に示すように、ステップS13の無機イオン交換体透過工程は、第一薬液供給工程および第二薬液供給工程で除染対象系統41内の構造部品を除染した際に生じた除染廃液58を、無機イオン交換体充填槽42に供給し、除染廃液58中に溶解している所定の金属イオン(Co,Ni)を無機イオン交換体に吸着させる。
【0086】
また、図6に示すように、ステップS14のカチオン樹脂透過工程は、無機イオン交換体透過工程で除染廃液58中に溶解している所定の金属イオン(Co,Ni)を無機イオン交換体に吸着させて除去した後の除染廃液58を、カチオン樹脂塔43に供給し、除染廃液58中に溶解している所定の金属イオンの他の金属イオンをカチオン交換樹脂に吸着させる。
【0087】
このステップS13の無機イオン交換体透過工程と、ステップS14のカチオン樹脂透過工程とは、図6に示すように同時に行い、無機イオン交換体透過工程およびカチオン樹脂透過工程において除染廃液58を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させる。この循環回数は、1回以上行い、無機イオン交換体充填槽42およびカチオン樹脂塔43で除染廃液58から金属イオンを除去する。
【0088】
また、ステップS13の無機イオン交換体透過工程と、ステップS14のカチオン樹脂透過工程とは、別に行ってもよい。この場合、無機イオン交換体透過工程において除染廃液58を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させ、この循環回数を1回以上行って無機イオン交換体充填槽42で除染廃液58から所定の金属イオンを除去する。その後、カチオン樹脂透過工程において除染廃液58を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させ、この循環回数を1回以上行ってカチオン樹脂塔43で除染廃液58から所定の金属イオンの他の金属イオンを除去する。
【0089】
図7に示すように、ステップS15の第三薬液供給・UV照射工程は、カチオン樹脂透過工程の後、Hを含む第三薬液54を第三薬液供給部57から第三薬液供給ラインL15−3および薬液供給共通ラインL15−4を介して除染廃液ラインL11に送り出し、除染廃液58に混合する。その後、除染廃液58を除染廃液抜き出しラインL16を介して紫外線塔46の貯留槽65に供給する。貯留槽65で紫外線照射装置66から除染廃液58にUVを照射し、除染廃液58中に含まれるシュウ酸を還元して分解する。
【0090】
その後、シュウ酸が分解された除染廃液58は、貯留槽65から排出されて除染廃液抜き出しラインL16から除染廃液ラインL11を通って除染対象系統41に供給される。
【0091】
第三薬液54(除染廃液58)を除染廃液ラインL11で循環させ、除染廃液抜き出しラインL16を通して貯留槽65に供給させる循環回数は、1回でもよいし、複数回でもよい。
【0092】
この第三薬液供給・UV照射工程は、本実施形態において、図7に示すように、無機イオン交換体透過工程およびカチオン樹脂透過工程を同時に行ってもよいが、第三薬液供給・UV照射工程は、無機イオン交換体透過工程およびカチオン樹脂透過工程の後に、別途行ってもよい。
【0093】
図8に示すように、ステップS16のアニオン樹脂透過工程は、第三薬液供給・UV照射工程の後、除染廃液58をアニオン樹脂塔44に供給し、シュウ酸が除去された除染廃液58をアニオン樹脂塔44に通し、除染廃液58に残留するアニオンである金属イオン、紫外線塔46で分解しきれなかったシュウ酸などをアニオン交換樹脂に吸着させて処理する。
【0094】
ステップS16のアニオン樹脂透過工程は、ステップS13の無機イオン交換体透過工程と、ステップS14のカチオン樹脂透過工程とを、図8に示すように同時に行い、無機イオン交換体透過工程、カチオン樹脂透過工程およびアニオン樹脂透過工程において除染廃液58を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させる。この循環回数は、1回以上行い、無機イオン交換体充填槽42およびカチオン樹脂塔43で除染廃液58から金属イオンを除去しつつ、アニオン樹脂塔44で除染廃液58に残留するアニオンである金属イオンやシュウ酸などを除去する。
【0095】
また、ステップS16のアニオン樹脂透過工程は、ステップS13の無機イオン交換体透過工程およびステップS14のカチオン樹脂透過工程とは別に行ってもよい。この場合、除染廃液58を除染廃液ラインL11で循環させて除染対象系統41に供給させ、この循環回数を1回以上行ってアニオン樹脂塔44で除染廃液58に残留するアニオンである金属イオンやシュウ酸などを除去する。
【0096】
アニオン樹脂透過工程の後、除染対象系統41の構造部品の除染が完了する。この場合、図9に示すように、除染廃液58は除染廃液排出ラインL17から排出され、廃液処理される。廃液処理された除染廃液58はドラム缶などに入れて廃棄処分される。
【0097】
なお、上述した実施形態において、無機イオン交換体充填槽42とカチオン樹脂塔43とは、無機イオン交換体充填槽ラインL12とカチオン樹脂塔ラインL13とで独立してそれぞれ除染廃液ラインL11に接続されているが、この限りではない。具体的に、図10に示すように、無機イオン交換体充填槽ラインL12の無機イオン交換体充填槽出口ラインL12−2と、カチオン樹脂塔ラインL13のカチオン樹脂塔入口ラインL13−1とを、除染廃液ラインL11に接続せず、中継ラインL18で接続してもよい。
【0098】
また、上述した実施形態において、ステップS15の第三薬液供給・UV照射工程は、必須ではない。従って、この場合、第三薬液供給部57に係る構成、および紫外線塔46に係る構成は設けなくてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態において、除染廃液58を除染廃液ラインL11の循環中で各工程を行うようにしているが、これに限定されるものではなく、除染対象系統41内の構造部府品や除染廃液58の除染具合に応じてそれぞれのラインを通じて各工程を行ってもよい。
【0100】
また、上述した実施形態において、原子力発電プラントに設置された構造部品を除染する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、放射性物質を含む有害物質を処理した設備に用いられた構造部品を除染する場合においても同様に用いることができる。
【0101】
以上、説明したように、本実施形態の廃液処理システム40は、除染対象系統41を除染した際に生じた除染廃液58を流通させる除染廃液ラインL11と、除染廃液ラインL11に設けられて除染廃液58中に含まれる所定の金属イオンを吸着する無機イオン交換体を備えた無機イオン交換体充填槽42と、除染廃液ラインL11に設けられて無機イオン交換体充填槽42を経た除染廃液58中に含まれる所定の金属イオンの他の金属イオンを吸着するカチオン交換樹脂を備えたカチオン樹脂塔43と、除染廃液ラインL11に設けられてカチオン樹脂塔43を経た除染廃液58中に含まれるアニオンを吸着するアニオン交換樹脂を備えたアニオン樹脂塔44と、を有する。
【0102】
また、本実施形態の廃液処理方法は、除染対象系統41を除染した際に生じた除染廃液58中に溶解している所定の金属イオンを無機イオン交換体に吸着させる無機イオン交換体透過工程と、無機イオン交換体透過工程の後に除染廃液中に溶解している所定の金属イオンの他の金属イオンをカチオン交換樹脂に吸着させるカチオン樹脂透過工程と、カチオン樹脂透過工程の後に除染廃液58中のアニオンをアニオン交換樹脂に吸着させるアニオン樹脂透過工程と、を含む。
【0103】
この廃液処理システム40および廃液処理方法は、除染対象系統41を構成する構造部品を除染することで生じる除染廃液58中の所定の金属イオンを無機イオン交換体充填槽42で除去した後、除染廃液58中のその他の金属イオンをカチオン樹脂塔43で除去し、さらにその後、除染廃液58中の残留した金属イオンやシュウ酸などをアニオン樹脂塔44で除去する。
【0104】
すなわち、除染対象系統41を構成する構造部品を除染することで生じる除染廃液58には放射性物質が含まれているため、無機イオン交換体充填槽42の無機イオン交換体に所定の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着され、カチオン樹脂塔43のカチオン交換樹脂にその他の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着され、アニオン樹脂塔44のアニオン交換樹脂に、除染廃液58に残留したアニオンに同伴する放射性物質が吸着され、無機イオン交換体、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は、放射性物質で汚染された二次廃棄物となる。しかし、無機イオン交換体は、所定の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着されているだけであり、無機物であるため、有機物のように放射性分解による水素ガスが生成することはないため、放射性物質を吸着して高線量となっても固化して固形物とすることで、処分場で埋設処分することができる。また、カチオン交換樹脂は、金属イオン同伴する放射性物質が吸着され、かつ有機物であるが、無機イオン交換体に所定の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着されているため、放射線量は低く焼却処分することができる。また、アニオン交換樹脂は、金属イオンやシュウ酸などに同伴する放射性物質が吸着され、かつ有機物であるが、無機イオン交換体に所定の金属イオンに同伴する放射性物質が吸着され、さらにカチオン交換樹脂に所定の金属イオンの他の金属イオン同伴する放射性物質が吸着されているため、放射線量は低く焼却処分することができる。
【0105】
よって、本実施形態に係る廃液処理システム40および廃液処理方法を用いれば、二次廃棄物として発生するカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の放射線量を低減することができる。この結果、無機イオン交換体は廃棄物として埋設処分し、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は焼却処分することができる。従って、本実施形態の廃液処理システム40は、従来から用いられている除染溶液の処理方法を用いた場合では処分できなかった廃棄物を処分することができる。
【0106】
また、本実施形態の廃液処理システム40にあっては、以下の構成とすることが好ましい。
【0107】
すなわち、本実施形態の廃液処理システム40では、無機イオン交換体充填槽42における無機イオン交換体は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを選択的に吸着する。
【0108】
この廃液処理システム40によれば、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルは除染により高線量となり、このコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体で選択的に吸着することで、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することでカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【0109】
また、本実施形態の廃液処理システム40では、無機イオン交換体がゼオライトである。
【0110】
この廃液処理システム40によれば、ゼオライトは所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを吸着するものであり、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することで無機イオン交換体を処分場で埋設処分可能な範囲の放射線量に抑えることができ、かつカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【0111】
また、本実施形態の廃液処理システム40では、除染廃液ラインL11と無機イオン交換体充填槽42の入口側および出口側とを連結する無機イオン交換体充填槽ラインL12と、除染廃液ラインL11とカチオン樹脂塔43の入口側および出口側とを連結するカチオン樹脂塔ラインL13と、除染廃液ラインL11とアニオン樹脂塔44の入口側および出口側とを連結するアニオン樹脂塔ラインL14と、を有する。
【0112】
この廃液処理システム40によれば、無機イオン交換体充填槽42の入口側および出口側、カチオン樹脂塔43の入口側および出口側、アニオン樹脂塔44の入口側および出口側が、それぞれ無機イオン交換体充填槽ラインL12、カチオン樹脂塔ラインL13、アニオン樹脂塔ラインL14で独立して除染廃液ラインL11に接続されることで、無機イオン交換体充填槽42、カチオン樹脂塔43、アニオン樹脂塔44の保守をそれぞれ行えるので保守性を向上することができる。
【0113】
また、本実施形態の廃液処理システム40では、除染廃液ラインL11と無機イオン交換体充填槽42の入口側とを連結する無機イオン交換体充填槽入口ラインL12−1と、無機イオン交換体充填槽42の出口側とカチオン樹脂塔43の入口側とを連結する中継ラインL18と、カチオン樹脂塔43の出口側と除染廃液ラインL11とを連結するカチオン樹脂塔出口ラインL13−2と、除染廃液ラインL11とアニオン樹脂塔44の入口側および出口側とを連結するアニオン樹脂塔ラインL14と、を有する。
【0114】
この廃液処理システム40によれば、無機イオン交換体充填槽42の出口側と、カチオン樹脂塔43の入口側とが中継ラインL18で接続されることで、無機イオン交換体充填槽42からカチオン樹脂塔43に連続して除染廃液58を直接導入することができる。このため、無機イオン交換体充填槽42やカチオン樹脂塔43を独立して除染廃液ラインL11に接続する構成と比較して弁を省略することができ、かつ無機イオン交換体充填槽42に供給された後の除染廃液58を必ずカチオン樹脂塔43に供給するため、処理効率を向上することができる。
【0115】
また、本実施形態の廃液処理方法にあっては、以下のようにすることが好ましい。
【0116】
すなわち、本実施形態の廃液処理方法では、無機イオン交換体透過工程は、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体に選択的に吸着させる。
【0117】
この廃液処理方法によれば、所定の金属イオンであるコバルトおよびニッケルは除染により高線量となり、このコバルトおよびニッケルを無機イオン交換体で選択的に吸着することで、高い除去率(およそ90%〜95%)で放射性物質を除去することができ、その後のカチオン交換樹脂で他の金属イオンを吸着することによるカチオン交換樹脂の放射線量を低く抑えることができる。この結果、所定の金属イオンを吸着することでカチオン交換樹脂を焼却処分可能な範囲の放射線量に抑えることができる。
【符号の説明】
【0118】
40 廃液処理システム
41 除染対象系統
42 無機イオン交換体充填槽
43 カチオン樹脂塔
44 アニオン樹脂塔
58 除染廃液
L11 除染廃液ライン
L12 無機イオン交換体充填槽ライン
L12−2 無機イオン交換体充填槽出口ライン
L12−1 無機イオン交換体充填槽入口ライン
L13 カチオン樹脂塔ライン
L13−2 カチオン樹脂塔出口ライン
L13−1 カチオン樹脂塔入口ライン
L14 アニオン樹脂塔ライン
L14−2 アニオン樹脂塔出口ライン
L14−1 アニオン樹脂塔入口ライン
L18 中継ライン
図1
図2
図3
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図5
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図9
図10