特許第6359330号(P6359330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359330
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】カバー及び顔面筋鍛錬具セット
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/03 20060101AFI20180709BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A63B23/03
   B65D85/00 P
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-94321(P2014-94321)
(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公開番号】特開2015-208656(P2015-208656A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−176063(JP,A)
【文献】 特開平09−063554(JP,A)
【文献】 西独国特許出願公開第03433356(DE,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0073542(US,A1)
【文献】 仏国特許発明第01111489(FR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 23/03
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な本体及び蓋体を有し、本体及び蓋体の閉じた状態においてそれらの間に収容空間を形成するとともに、両側に開口を対向状態で形成しており、
前記収容空間は、前記開口同士の間から、前記開口同士が対向する方向に直交する一つの方向に延びた位置において、前記本体と前記蓋体の間の距離が最大となるように形成されているカバー。
【請求項2】
本体及び蓋体を閉じた状態に保持する保持手段を設けた請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
本体及び蓋体をヒンジを介して連結した請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
前記保持手段を、本体及び蓋体の一方に設けられた掛止め爪と、他方に設けられ、前記掛止め爪が取り外し可能に掛止めされる受け部とにより構成した請求項2に記載のカバー。
【請求項5】
帯板状の弾性材の長さ方向の中央部に口唇で銜えることが可能な銜持部を設け、その銜持部を銜えて揺動させることにより、前記弾性材の弾性作用を利用して使用者の顔面筋に負荷を付与するようにした顔面筋鍛錬具と、前記銜持部を収容可能な請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のカバーとを備えた顔面筋鍛錬具セット。
【請求項6】
前記カバーは前記銜持部の口唇で銜えられる部分を覆う請求項5に記載の顔面筋鍛錬具セット。
【請求項7】
前記銜持部が前記弾性材に設けられたコアと、そのコアに着脱可能に取付けられるマウスピースとを備え、前記カバーがマウスピースを収容可能に構成されている請求項5に記載の顔面筋鍛錬具セット。
【請求項8】
帯板状の弾性材の長さ方向の中央部に口唇で銜えることが可能な銜持部を設け、その銜持部を銜えて揺動させることにより、前記弾性材の弾性作用を利用して使用者の顔面筋に負荷を付与するようにした顔面筋鍛錬具と、前記銜持部を収容可能なカバーとを備え、そのカバーは一端を閉鎖した筒形に形成され、開放された他端側が銜持部に嵌合される顔面筋鍛錬具セット。
【請求項9】
マウスピースを単独で収容可能に構成されている請求項5〜8のうちのいずれか一項に記載の顔面筋鍛錬具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銜持部を口唇で銜えて揺動させることにより顔面筋に負荷を与えるようにした顔面筋鍛錬具において、前記銜持部を覆うことに適したカバー及びそのカバーを備えた顔面筋鍛錬具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、弾性材よりなるアームの中央部に口唇で銜えるための銜持部を設けるとともに、前記アームの両端にウェイトを設けた顔面筋鍛錬具が開示されている。この顔面筋鍛錬具を使用する場合には、銜持部を口唇で銜えた状態で、首部を上下に振って、顔面筋鍛錬具を上下に揺動させる。このようにすれば、弾性材の弾力性とウェイトの荷重とにより、顔面筋に負荷が作用して、その顔面筋が鍛錬される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1223289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、顔面筋鍛錬具の銜持部は口唇によって銜えられるものであるため、清潔に維持することが好ましい。しかしながら、特許文献1には、このための対応については開示されていない。
【0005】
本発明は、顔面筋鍛錬具の銜える部分を清潔に保つことができるカバー及びそのカバーを備えた顔面筋鍛錬具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開閉可能な本体及び蓋体を有し、本体及び蓋体の閉じた状態においてそれらの間に収容空間を形成するとともに、両側に開口を対向状態で形成しており、前記収容空間は、前記開口同士の間から、前記開口同士が対向する方向に直交する一つの方向に延びた位置において、前記本体と前記蓋体の間の距離が最大となるように形成したことを特徴とする。
【0007】
従って、収容空間内に顔面筋鍛錬具の口唇で銜えられる部分が位置するように本体及び蓋体を閉じれば、この本体及び蓋体によって銜えられる部分を覆うことができ、同部分にゴミ等の汚れが付着することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顔面筋鍛錬具の口唇で銜えられる部分を清潔に保つことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】顔面筋鍛錬具の使用状態を示す斜視図。
図2】カバーが取り付けられた状態を示す顔面筋鍛錬具。
図3】顔面筋鍛錬具の平面図。
図4】顔面筋鍛錬具の正面図。
図5図3の5-5線断面図。
図6図5のブッシュ部分の成形型内における拡大断面図。
図7】弾性板の平面図。
図8】ブッシュを取り付けた状態の弾性板の平面図。
図9図4の9-9線断面図。
図10】マウスピースの斜視図。
図11】コアとマウスピースとの関係を示す分解断面図。
図12】マウスピースを図11とは90度異なる面において切断した断面図。
図13図11の13-13線断面図。
図14】ウェイト部を示す分解断面図。
図15】カバーの使用状態を示す断面図。
図16】カバーの中央部の断面図。
図17】カバーの開いた状態を示す斜視図。
図18】カバーの変形例を示す断面図。
図19】カバーの変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、この実施形態の顔面筋鍛錬具21は、使用者の口唇で銜えられて、使用者が顔面筋鍛錬具21を上下に揺動させることにより、使用者の口輪筋及びその口輪筋と繋がる頬筋,笑筋等の顔面筋が鍛錬されるようにしたものである。
【0011】
図3図4及び図8に示すように、顔面筋鍛錬具21は、鋼板製の板バネよりなる直線帯板状の弾性板22を備えている。図9及び図11に示すように、弾性板22の長さ方向に中央部にはポリプロピレン等の硬質樹脂よりなるコア27が弾性板22をインサートとした成形によって固定されている。コア27には弾性板22の一方の端縁から突出する突出部272が形成されている。コア27の突出部272には中空状をなすマウスピース28が着脱可能に取付けられ、この取付け状態のマウスピース28により口唇によって銜えられる銜持部24が形成されている。
【0012】
図3図6及び図8に示すように、弾性板22の全体とコア27の突出部272を除く部分とはポリウレタン等の合成樹脂よりなる被覆23によってモールドされている。この被覆23はコア27より軟質のものによって構成されている。弾性板22の両端部側にはそれぞれ一対の貫通孔222が形成されている。内側の貫通孔222は被覆23の成形時に合成樹脂の進入を許容して、弾性板22と被覆23との結合を強化するために機能する。図5及び図6に示すように、外側の貫通孔222にはブッシュ26が無理嵌めされ、弾性板22の表裏両面から突出されている。ただし、ブッシュ26は被覆23の表面に露出しない高さに形成されている。弾性板22の両端にはそれぞれ小孔224が透設されている。この小孔224も合成樹脂の進入を許容して、弾性板22と被覆23との結合を強化するために機能する。
【0013】
そして、コア27の左右両側における弾性板22及び被覆23により左右一対のアーム31が形成されている。アーム31において被覆23の先端部には、それぞれウェイト部25が設けられている。
【0014】
そして、図1に示すように、銜持部24を口唇によって銜えて顔面筋鍛錬具21全体が上下に揺動されることにより、ウェイト部25の荷重や弾性板22の弾力性等に基づき、両アーム31が揺動に共振して上下に振動される。ここで、共振とは、銜持部24に所定範囲内の振動数の振動が加えられた際に、アーム31が大きく振動することをいう。特に、アーム31が振動する場合においてアーム31の端部が銜持部24の高さより高い位置まで撓むことが好ましい。これによって、銜持部24を銜えている使用者の顔面筋に負荷が作用して、顔面筋が鍛錬される。
【0015】
図9図13に示すように、前記コア27の外周面には、前記マウスピース28を掛止して保持するための凹凸部271が形成されている。マウスピース28は、コア27よりも軟質で滑りにくいポリウレタン等の軟質合成樹脂により形成されている。前記マウスピース28の内周面には、コア27の凹凸部271に係合可能な凹凸部281が形成されている。マウスピース28の外周面の中央部の上下には、口唇によって銜えられる窪み部282が形成されている。図13に示すように、この窪み部282の部分においてマウスピース28の外周面は長径が左右方向に延びる楕円形に形成されている。従って、窪み部282の上下2箇所の位置の曲率は左右2箇所の位置の曲率より小さく、平坦であるため、銜えやすい。マウスピース28の先端部の外周面には、凹部283が形成されている。マウスピース28の先端面には、球面状の凸部284が形成されている。
【0016】
マウスピース28の基端にはアーム31の表裏両側に位置する一対のフランジ285が形成されている。このフランジ285はマウスピース28の他の部分より突出していて、図9に示すように、顔面筋鍛錬具21をテーブル等の上面等の設置面100に置いたときに、このフランジ285が前記設置面100に接して、マウスピース28が斜め上向きになる。従って、マウスピース28の口唇によって銜えられる部分が設置面100に接することを防止して、清潔さを保つことができる。
【0017】
マウスピース28は外形寸法等の異なった複数種が用意することができ、使用者はその口の大きさや形等に応じて適当なマウスピース28を選択して、コア27の外側に対して嵌着することができる。このマウスピース28は、コア27より軟質であって、その硬度は、例えば、JISK6253に準拠したタイプAによるデュロメータにおいて、60度である。
【0018】
図5及び図14に示すように、前記被覆23の両端位置には保持孔29が形成されている。前記両ウェイト部25は、この保持孔29に着脱可能に取り付けられたウェイト30により構成されている。そして、重量の異なる複数種のウェイト30が用意することができ、使用者が要求する鍛錬度合い等に応じて任意の重さのウェイト30が選択されて保持孔29に着脱可能に取り付けられる。
【0019】
この実施形態の顔面筋鍛錬具21には顔面筋鍛錬具21とともに顔面筋鍛錬具セットを構成するカバー51が付属されている。
図2図15図17に示すように、カバー51は透明または半透明のポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアミド樹脂等の合成樹脂によって構成され、中央の一体ヒンジ52を介して一対の半割状のカバー片53,54が設けられている。カバー片53,54は一方が本体,他方が蓋体を構成するが、本実施形態では、図15の下側のカバー片53が本体、上側のカバー片54が蓋体とする。両カバー片53,54はそれぞれ凹状に形成され、それらの間に収容空間511が形成されている。そして、顔面筋鍛錬具21の銜持部24及び被覆23の中央部が収容空間511内に収容され、この部分がカバー51によってカバーされる。一方のカバー片53に掛止め爪55が、他方のカバー片54にはその掛止め爪55が係合される受け部56がそれぞれ形成され、カバー片53,54が閉じられたときに、掛止め爪55と受け部56との係合によりカバー51が閉鎖状態に保持される。両カバー片53,54の側壁には凹部58が形成されている。そして、両カバー片53,54の閉鎖時に、両凹部58は前記アーム31との干渉を避けてそのアーム31を通すための開口59を構成し、この開口59の縁部とアーム31の外周面との間には間隙60が形成される。なお、この開口59のエッジが形成されないように縁部は断面円弧状に形成したり、アーム31との接触面積が広くなるように厚く形成したり、あるいは厚くかつ断面円弧状に形成することにより、アーム31に傷や痕がつくことを防止できる。
【0020】
次に、前記のように構成された顔面筋鍛錬具21の使用方法を説明する。
この顔面筋鍛錬具21は、図2に示すように、不使用時には顔面筋鍛錬具21の中央部にカバー51が取付けられて、銜持部24が覆われている。従って、口唇で銜える部分である銜持部24を清潔に維持することができる。また、カバー51はマウスピース28の外面にほぼ沿う形状になっているため、カバー51の装着状態の顔面筋鍛錬具21を専用のケースに収めて、携行や保管が可能となる。
【0021】
顔面筋鍛錬具21で顔面筋を鍛錬する場合には、カバー51が取外される。なお、顔面筋鍛錬具21の使用者の要求する鍛錬度合い等に応じて、あらかじめコア27に所要の外形寸法のマウスピース28が取り付けられるとともに、両ウェイト部25の保持孔29に必要な重さのウェイト30が取り付けられる。この状態で、銜持部24の窪み部282を口唇に銜えて顔を上下に揺動させる。このようにすると、口唇に対して顔面筋鍛錬具21の重量が作用した状態で板バネよりなる弾性板22を介して両ウェイト部25が上下に共振され、その振動が銜持部24に伝達される。これによって、口唇を介して顔面筋に負荷が与えられ、その顔面筋が鍛えられる。
【0022】
この場合、銜持部24がアーム31の側縁から突出して、その側縁から外側へ変位した位置に配置されている。このため、顔面筋鍛錬具21が片持ち状態で口唇に銜えられることになって、口唇に対する荷重負担が大きくなる。従って、共振による負荷が顔面筋に対する負荷として効率よく作用して、顔面筋が効果的に鍛えられる。このとき、前記窪み部282が横長の断面楕円形に形成されているため、口が丸く開いた状態でマウスピース28を保持することができる。口を丸く開いた状態でマウスピース28を保持することにより、口輪筋全体に共振によって生じる負荷を伝えることができる。また、口輪筋には笑筋等の表情筋がつながっているため、口輪筋を介して笑筋等も鍛錬することができて、効率的な鍛錬が可能になる。
【0023】
この実施形態の顔面筋鍛錬具21は弾性板22が合成樹脂の被覆23によってモールドされているため、アーム31が撓んで共振する際、鍛錬のために得ようとしているアーム31の上下振動以外の動き、例えば弾性板22のねじれや微振動を抑えることができる。従って、使用者の口唇に対して邪魔な動きが伝えられることを少なくできて、顔面筋鍛錬具21を快適に使用できる。なお、弾性板22の全体をモールドすることに代えて、表裏両面あるいは表裏の一方の面に合成樹脂の板やシートを接着等によって固着してもよい。
【0024】
前記マウスピース28は、マウスピース28は滑りにくく、適度な硬度のゴム性を有している。このため、銜えやすく、しかもアーム31の振動による負荷を口唇に伝えることができる。マウスピース28が硬すぎると、マウスピース28が口唇に馴染まず、銜えにくい。逆に柔らかすぎると、銜えたとしても顔面筋鍛錬具21を安定状態に維持し難く、しかもアーム31の振動が吸収されて、鍛錬のための負荷が減少される。
【0025】
この顔面筋鍛錬具21を異なった使用者が使用する場合には、コア27に対して外形寸法等の異なったマウスピース28を脱着によって交換することにより、口の大きさや形が異なる使用者であっても、1つの顔面筋鍛錬具21を共用することができる。
【0026】
さらに、顔面筋の強さや鍛錬度合いに応じて、ウェイト部25の保持孔29内のウェイト30を重さの異なった別のウェイト30に交換することができる。
鍛錬終了後、マウスピース28は必要に応じてコア27から取り外されて、洗浄することができ、洗浄後のマウスピース28は再びコア27に取り付けられる。従って、マウスピース28を清潔に保つことができて、衛生的である。その後、マウスピース28を覆うように、カバー51が鍛錬具21に取り付けられる。
【0027】
以上のように、マウスピース28にカバー51を被せることにより、鍛錬具21を携行したり、保管したりする際においてマウスピース28を清潔な状態に維持することができる。なお、コア27から取外された単独のマウスピース28を収容すれば、マウスピース28を携行したり、保管したりする場合にマウスピース28を清潔状態に保つことができる。
【0028】
以下に、本実施形態の顔面筋鍛錬具21の製造方法を説明する。
まず、図7に示す弾性板22の中央部に弾性板22をインサートとしてコア27が射出成形される。
【0029】
次いで、弾性板22の両端側の一対の貫通孔222にブッシュ26が無理嵌めされる。これによって、弾性板22の表裏両面にブッシュ26が突設される。
その後、図6に示すように、弾性板22が成形型101内にセットされて、その型101内に被覆23となる合成樹脂が射出される。このとき、合成樹脂の射出初期はその射出圧力が弾性板22に対して均等に作用せず、同圧力が一時的に弾性板22に対して不均一に作用する。このため、弾性板22が湾曲して、その端縁のエッジ等によって成形型101のキャビティ102の成形面に擦過傷等がつくおそれがある。しかし、本実施形態においては、弾性板22が湾曲した場合、ブッシュ26がキャビティの成形面に当接して、弾性板22が当接することは回避される。
【0030】
従って、キャビティ102の成形面に傷がつくおそれを防止できる。キャビティ102内に合成樹脂が充填し終わった状態においては、射出圧力が弾性板22全体に対して均等に作用するため、弾性板22の湾曲がもとに戻って同弾性板22はキャビティ102の中央部において直線状に延びる。従って、成形終了後、弾性板22は成形された被覆23内の定位置にモールドされる。
【0031】
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)カバー51は、一対のカバー片53,54の閉じた状態においてそれらの間に収容空間511が形成されるとともに、両カバー片53,54間の両側に開口59が形成され、保持手段としての掛止め爪55と受け部56とにより両カバー片53,54を閉じた状態に保持することができる。従って、鍛錬具21上のマウスピース28をこのカバー51によって覆う状態を維持できるため、銜持部24にゴミ等が付着することを抑えることができて、マウスピースを清潔状態に保つことができる。また、マウスピース28に擦過等による傷がつくことを防止できる。
【0032】
(2)両カバー片53,54は一体ヒンジ52を介して連結されているため、両カバー片53,54を紛失しにくくできるとともに、部品点数を減らすことができる。
(3)カバー51の両側の開口59の縁部と顔面筋鍛錬具21のアーム31との間に間隙60が形成されるため、前記と同様にマウスピース28をコア27に装着させた状態のまま、前記と同様にマウスピース28上の水を抜いたり、蒸発させたりすることができる。
【0033】
(4)マウスピース28単体を単独でカバー51内に納めることができるため、マウスピース28を清潔状態で単独で保管したり、携行したりすることできる。
(5)カバー51を透明または半透明に形成したことにより、同カバー51内のマウスピース28の有無を一目で認識できる。
【0034】
(他の実施形態)
次に、本発明の他の実施形態を前記の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図18に示すように、カバー51のカバー片53,54は、弾性ヒンジ61を介して一体に連結されている。そして、カバー片53,54が弾性ヒンジ61のバネ力によって閉じた状態に保持されるようになっており、そのバネ力に抗して開放させることができるようになっている。カバー51は、閉じた状態において銜持部24を収容して同部24をカバーする。
【0035】
カバー片53,54はその前後寸法が短くなっていて、カバー片53,54には収容空間511を形成する部分は有しているが、アーム31を覆う部分は形成されていない。従って、マウスピース28を覆う状態でアーム31は露出される。
【0036】
この実施形態では以下の効果がある。
(6)カバー片53,54が短くなっているため、カバー51全体が小形,軽量化される。
【0037】
(7)カバー片53,54が弾性ヒンジ61によって閉じる方向に付勢されているため、カバー片53,54が不本意に開くことを防止できる。
(変更例)
なお、前記両実施形態は以下のように変更して具体化することも可能である。
【0038】
・本体を構成するカバー片が銜持部24の全体を収容する深い凹状に形成され、蓋体を構成するカバー片は本体の上部開口を開閉する板状に形成されるように構成すること。
図13に2点鎖線で示すとともに、図19に示すように、カバー51として、一端を閉鎖するとともに、他端を開放した筒状の形状に形成すること。このように構成したカバー51は、その他端の開放部側から銜持部24に嵌合されて同部24に被せられる。このように構成した場合は、全体が一部品ですむため、部品点数が少なくなるとともに、掛止め爪55や受け部56が不要になって、構成が簡素化される。
【0039】
・マウスピース28をコア27に一体成形や接着,あるいは溶着によって固定したり、コア27を設けることなく、弾性板22に直接固定したりすること。
・コア27を設けることなく、マウスピース28を弾性板22に着脱可能に取り付けること。
【0040】
・ウェイト30をアーム31に対して一体成形や接着,あるいは溶着によって固定すること。
・ウェイト30を設けることなく、弾性板22や被覆23がウェイト30に代えて負荷のための荷重として作用するように構成すること。このためには、弾性板22や被覆23の両端部を大きくしたり、厚くしたりするのがよい。
【0041】
・カバー51よって顔面筋鍛錬具21全体が覆われるように、カバー51の全体形状を顔面筋鍛錬具21の外形と相似形に形成すること。
・両カバー片53,54を分離可能に構成すること。
【0042】
・カバー51に銀コーティング等を施したり、カバー51を構成する合成樹脂中に粉状抗菌材を練り込んだりして、カバー51に滅菌機能を付与すること。
・少なくとも一方のカバー片53の壁部に単一または複数の透孔を形成すること。このように構成すれば、マウスピース28の洗浄後の残留水分が前記透孔から外部に流れ出たり、蒸発されたりする。
【0043】
図1に2点鎖線で示すように、保持孔29の近傍における弾性板22の両端位置に緩和部材32を設けること。この緩和部材32は被覆23より硬質の合成樹脂よりなり、被覆23の表面と連続する表面を有するように被覆23に埋設されている。また、この緩和部材32の内側面に突出された図示しないピンが弾性板22の両端の小孔224に嵌合されて緩和部材32が固定される。緩和部材32は、弾性板22の両端に作用する集中応力を緩和して、被覆23の亀裂等を防止する。
【符号の説明】
【0044】
21…顔面筋鍛錬具、22…弾性板、222…コーナ部、23…被覆、24…銜持部、25…ウェイト部、27…コア、28…マウスピース、282…窪み部、29…保持孔、30…ウェイト、51…カバー、53…カバー片、59…開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19