(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態における回転角度検出センサは、例えば、自動車等の車両に搭載される電子制御式のスロットル装置(不図示)において、スロットルバルブを有するスロットルシャフトの回転角度いわゆるスロットル開度を検出する非接触式のスロットルポジションセンサとして用いられる。回転角度検出センサは、スロットル装置におけるスロットルシャフトを駆動する電動モータを備えるスロットル本体としてのスロットルボデーに装着された状態で使用される。また、スロットルボデー側のスロットルシャフトには、回転角度検出センサに対応する一対の永久磁石が配置されている。なお、スロットルシャフトは本明細書でいう「回転側部材」に相当する。また、電動モータは本明細書でいう「アクチュエータ」に相当する。
【0017】
図1は回転角度検出センサを示す斜視図である。回転角度検出センサの説明において、互いに直交する軸をX軸、Y軸及びZ軸としたときの各方向を各図に矢印で示すとおりに定める。また、X軸方向は左右方向、Y軸方向は前後方向、Z軸方向は上下方向にそれぞれ相当する。また、X軸正方向は右方向、X軸負方向は左方向、Y軸正方向は前方向、Y軸負方向は後方向、Z軸正方向は上方向、Z軸負方向は下方向にそれぞれ相当する。また、本明細書での各方向は回転角度検出センサの配置方向を特定するものではない。
【0018】
図1に示すように、回転角度検出センサ10は、二次成形品12とセンサIC14とにより構成されている。
図2は二次成形品とセンサICとを分解して示す斜視図である。
図2に示すように、二次成形品12は、一次成形品16と2本のモータターミナル18とを樹脂によりモールドすることにより構成されている。一次成形品16と2本のモータターミナル18とをモールドする樹脂をモールド樹脂部材20という。
図3は一次成形品とセンサICとモータターミナルとを示す斜視図である。
図3に示すように、一次成形品16は、ターミナル素形材22(後出の
図4参照)の4本のセンサターミナル23を樹脂によりモールドされた後で、各センサターミナル23が電気的に独立化されてなる。
図4はターミナル素形材を示す斜視図である。4本のセンサターミナル23をモールドする樹脂を、保持樹脂部材25及び連結樹脂部材27という。
【0019】
センサIC14は、2系統出力型、2出力型等と呼ばれる形式のものである。
図5はセンサICを示す平面図である。
図5に示すように、センサIC14は、センサ本体30と複数(例えば4本)のリード端子32とを備えている。センサ本体30は、樹脂により長四角形平板状に形成されている。センサ本体30内には、2個の検出素子(不図示)及び2個の演算素子の素子類(不図示)がモールドすなわち埋設されてなる。検出素子は、例えば強磁性磁気抵抗素子(MRE)である。また、演算素子は、例えば半導体集積回路素子である。
図2に示すように、センサIC14を二次成形品12に組付ける際、センサIC14は横臥状態とされる。すなわち、センサ本体30の短手方向は左右方向(X軸方向)に向けられる。また、センサ本体30の長手方向は前後方向(Y軸方向)に向けられる。また、センサ本体30の板厚方向は上下方向(Z軸方向)に向けられる。なお、二次成形品12に対するセンサIC14の組付けについては後で説明する。
【0020】
図5に示すように、センサ本体30の左右両側面には、フランジ縁34が左右対称状に形成されている。両フランジ縁34は、センサ本体30の板厚方向の中央部から外側方(X軸方向の外方)へ突出されている。両フランジ縁34は、前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。また、センサ本体30の前端面には、フランジ片35が形成されている。フランジ片35は、センサ本体30の板厚方向の中央部から前方(Y軸正方向)へ突出されている。フランジ片35は左右方向(X軸方向)に直線状に延びている。両フランジ縁34及びフランジ片35は、リード端子32と同一材料によって連続的に形成されている。センサ本体30の前端面からのフランジ片35の突出量は、センサ本体30の側面からの両フランジ縁34の突出量に比べて大きい。フランジ片35には、左右方向に延びる長円形状の長孔36が形成されている。なお、センサIC14は本明細書でいう「磁気検出部材」に相当する。また、センサ本体30は本明細書でいう「本体部」に相当する。また、フランジ片35は本明細書でいう「リード端子とは反対側の端部」に相当する。
【0021】
各リード端子32は、センサ本体30の後端面における板厚方向の中央部から後方(Y軸負方向)へストレート状に突出されている。各リード端子32は、左右方向(X軸方向)に所定間隔を隔てて平行状に配置されている。リード端子32は、導電性を有する金属製、例えば銅系合金製で帯板状に形成されている。リード端子32は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。また、リード端子32は、センサ本体30内の素子類と電気的に接続されている。また、リード端子32は、両フランジ縁34及びフランジ片35と同一面上に配置されている。
【0022】
各リード端子32は、折り曲げずにストレート状態のまま使用される。各リード端子32の端子長は原状では同じであるが、本実施形態では左右両外側の2本のリード端子32の先端部(後端部)を切除することにより、両外側のリード端子32の端子長が短縮されている。そのリード端子32の切除部(符号、33を付す)が
図5に二点鎖線で示されている。すなわち、センサIC14の4本のリード端子32のうちの左右両外側の2本のリード端子32の端子長が他の2本のリード端子32の端子長と異なる。
【0023】
図4に示すように、各センサターミナル23は、導電性を有する金属製、例えば真鍮等の銅系合金製の板状材からなる。各センサターミナル23の主板部40は、Z軸に直交する一平面上に配置されている。主板部40は、平面視でU字状をなしかつ内外4重構造をなしている。各主板部40には、一次成形及び二次成形等にかかる成形型(不図示)に対する位置決め用の適数個の基準孔41が形成されている。
【0024】
各主板部40の一端部(左側後端部)には、前後方向(Y軸方向)に直線状に延びる外部端子接続部42が形成されている。各外部端子接続部42は、左右方向(X軸方向)に所定の間隔を隔てて平行状に配置されている。各主板部40の他端部(右側後端部)にはリード端子接続部44が形成されている。各リード端子接続部44は、左右方向(X軸方向)に所定の間隔を隔てて平行状に配置されている。主板部40の他端部とリード端子接続部44の基端部(前端部)とは、上下方向に延びる縦板部43を介して連続されている。リード端子接続部44及び縦板部43は、主板部40に対するZ字状の折り曲げにより形成されている。したがって、リード端子接続部44は、主板部40に比べて高い位置に形成されている。また、外部端子接続部42及びリード端子接続部44の表面は、ニッケルメッキ層もしくはスズメッキ層等のメッキ層により被覆されている。
【0025】
隣接するセンサターミナル23の相互間には、それぞれ所定の隙間が確保されている。また、各センサターミナル23は、第1〜第3の各タイバー46〜48を介して連結されている。第1のタイバー46は、隣接する主板部40の中央部の相互間に前後方向(Y軸方向)に架設されている。第2のタイバー47は、隣接する主板部40の右側後端部の相互間に左右方向(X軸方向)に架設されている。第3のタイバー48は、隣接するリード端子接続部44の後端部の相互間に左右方向(X軸方向)に架設されている。各センサターミナル23が各タイバー46〜48で連結されることにより、1ピース化された部品を、ターミナル素形材22という。ターミナル素形材22は、板状の素材をプレス成形することにより形成されている。なお、各タイバー46〜48は、一次成形後(後述する)においてプレス等によるトリム抜きにより除去される。これにより、各センサターミナル23がそれぞれ電気的に独立したターミナルとされる(
図3参照)。
【0026】
例えば、4本のセンサターミナル23のうち、中央外側のセンサターミナル23は電源用、中央内側のセンサターミナル23は接地用、最内側のセンサターミナル23及び最外側のセンサターミナル23は信号出力用のセンサターミナルにそれぞれ設定されている。なお、センサターミナル23は本明細書でいう「磁気検出用配線部材」に相当する。
【0027】
図6はセンサターミナルのリード端子接続部を示す平面図である。
図6に示すように、各センサターミナル23のリード端子接続部44は、帯板状に形成されている。リード端子接続部44は、板厚方向を上下方向(Z軸方向)に向けた状態で前後方向(Y軸方向)に直線状に延びている。内側の2本のリード端子接続部44の基端部の内端部と縦板部43の内端部との間には、幅の狭い細板部49が形成されている。リード端子接続部44の幅(長さ方向に直交する方向の寸法)は、他の部分(主板部40、外部端子接続部42、縦板部43及び細板部49)の幅よりも大きい。また、各リード端子接続部44の幅は、センサIC14(
図5参照)の各リード端子32の幅よりも大きい。
【0028】
各リード端子接続部44は、センサIC14(
図5参照)の各リード端子32よりも先方すなわち後方(Y軸負方向)へ延びる長さで形成されている。各リード端子接続部44の基端部の内端部すなわち各リード端子32の先端部に対応する位置には、上方へ断面山形状に隆起する凸状部50が形成されている(後出の
図11参照)。また、外側の2本のリード端子接続部44の基端部の内端部には、リード端子接続部44から内方へ張出す突片状の張出部45が形成されている。その張出部45に凸状部50が形成されている。このため、外側の2つの凸状部50は、内側の2つの凸状部50に対して前方(Y軸正方向)にずれた位置に配置されている。凸状部50の稜線は、左右方向(X軸方向)に延びている。また、左側の2本のリード端子接続部44と右側の2本のリード端子接続部44とは、左右対称状に形成されている。凸状部50と、その凸状部50上に当接する各リード端子32の先端部(後端部)とは溶接部52(後出の
図18参照)を構成する。なお、溶接部52は本明細書でいう「接合部」に相当する。
【0029】
ターミナル素形材22(
図4参照)がインサート成形(一次成形)された後、ターミナル素形材22から各タイバー46〜48が除去されることにより、一次成形品16(
図3参照)が形成されている。
図3に示すように、一次成形品16には、一次成形による樹脂により保持樹脂部材25及び連結樹脂部材27が形成されている。保持樹脂部材25は、ブロック状に形成されている。保持樹脂部材25には、各センサターミナル23の主板部40の左端部及び縦板部43(
図4参照)が埋設されている。また、連結樹脂部材27は、左右方向(X軸方向)に延びる棒状に形成されている。連結樹脂部材27には、各センサターミナル23の外部端子接続部42の基端部が埋設されている。保持樹脂部材25及び連結樹脂部材27により、各センサターミナル23が相互に絶縁状態で連結されている。したがって、一次成形後において、各タイバー46〜48が除去された際の各センサターミナル23のばらけ(散け)が防止される。
【0030】
保持樹脂部材25について詳しく説明する。
図7は一次成形品の保持樹脂部材の周辺部を示す平面図、
図8は同じく正面図、
図9は同じく側面図、
図10は同じく背面図、
図11は同じく側断面図である。
図7〜
図11に示すように、保持樹脂部材25は、台板部54と上層部の支持台部56とを有している。台板部54は、前後方向を長くする長四角形板状に形成されている。支持台部56は、台板部54上に直方体状に形成されている。支持台部56の後端面は、台板部54の後端面と同一面により形成されている。支持台部56は、台板部54の前後方向の長さよりも短い長さで形成されている。支持台部56は、台板部54の左右方向の幅よりも短い幅で形成されている。支持台部56の後端部は、台板部54の左右方向の幅と同幅で形成されている(
図7参照)。台板部54には、各センサターミナル23の主板部40の左端部が埋設されている。また、台板部54及び支持台部56の後端部には、各センサターミナル23の縦板部43が埋設されている。保持樹脂部材25の下面と主板部40の下面とは同一面をなしている。台板部54の後端部上には、各センサターミナル23の縦板部43の上端部が露出されている。
【0031】
支持台部56の上面には、水平状の設置面57が形成されている(
図9及び
図11参照)。設置面57は、Z軸に直交する平面からなる。設置面57は、センサIC14のセンサ本体30(
図3参照)を横臥状態で設置すなわち載置可能に形成されている。なお、設置面57を有する支持台部56は本明細書でいう「設置部」に相当する。
【0032】
支持台部56の設置面57の前端部上には、逆U字状の位置決め枠60が一体形成されている(
図8及び
図11参照)。位置決め枠60は、左右方向(X軸方向)に延びている。位置決め枠60内には、前後方向(Y軸方向)に貫通しかつ左右方向(X軸方向)に延びる嵌合孔61が形成されている。嵌合孔61は、センサIC14のセンサ本体30のフランジ片35(
図3参照)を前後方向(Y軸方向)に移動可能にかつ嵌合可能に形成されている。なお、位置決め枠60は本明細書でいう「第1位置決め部」に相当する。
【0033】
支持台部56の設置面57の後端部上には、左右一対の位置決め突起63が突出されている。位置決め突起63は、前後方向を長くする小判型柱状に形成されている。位置決め突起63の上端部は、上方に向かって先細り状に形成されている。各位置決め突起63は、センサIC14の左右2組の2本のリード端子32(
図3参照)の間に、前後方向(Y軸方向)に移動可能にかつ嵌合可能に形成されている。なお、位置決め突起63は本明細書でいう「第2位置決め部」に相当する。
【0034】
支持台部56の前面には、横向き有底状の左右の中空部65が並設されている(
図8及び
図11参照)。各中空部65の底壁部(後壁部)には中空孔部66が形成されている(
図10参照)。中空孔部66は、内側の2本のセンサターミナル23の縦板部43の相互間を貫通している。なお、中空部65及び中空孔部66は本明細書でいう「肉抜き部」に相当する。
【0035】
図3に示すように、一次成形品16と共にインサート成形(二次成形)される2本のモータターミナル18は、導電性を有する金属製、例えばリン青銅等の銅系合金製の板状材からなる。各モータターミナル18は、4本のセンサターミナル23の右側に並んで配置されている。各モータターミナル18の主板部70は、前後方向(Y軸方向)に延びている。各モータターミナル18の主板部70は、各センサターミナル23の主板部40と同一面上に配置されている。一方(右側)のモータターミナル18は短い主板部70を有し、他方(左側)のモータターミナル18は長い主板部70を有している。各主板部70には、二次成形等にかかる成形型(不図示)に対する位置決め用の適数個の基準孔71が形成されている。
【0036】
各主板部70の一端部(後端部)には、前後方向(Y軸方向)に直線状に延びる外部端子接続部72が形成されている。各外部端子接続部72は、4本のセンサターミナル23の外部端子接続部42の右側において左右方向(X軸方向)に所定の間隔を隔てて平行状に配置されている。各主板部70の他端部(前端部)にはモータ端子接続部74が形成されている。各モータ端子接続部74は、前後方向(Y軸方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。モータ端子接続部74は、同一形状で形成されている。
【0037】
図12はモータターミナルのモータ端子接続部を示す側面図である。
図12に示すように、モータ端子接続部74は、主板部70に対する折り曲げにより立上り状に形成されている。モータ端子接続部74は、帯板状に形成されている。モータ端子接続部74の板厚方向は、左右方向(X軸方向)に向けられている。モータ端子接続部74の板幅方向は、前後方向(Y軸方向)に向けられている。モータ端子接続部74には、上端部を開口するU字状の割溝75が形成されている。割溝75を間にして前後一対の弾性挟持片76が形成されている。両弾性挟持片76は、板幅方向(Y軸方向)に弾性変形可能に形成されている(
図12中、二点鎖線76参照)。両弾性挟持片76の先端部には、対向方向へ突出する山形状の挟持部77が形成されている。両弾性挟持片76は、板幅が先端(上端)に向かって小さくなるテーパ状に形成されている。詳しくは、両弾性挟持片76の対向側縁76aが、割溝75の溝幅を底部側から開口側に向かって次第に大きくするようにテーパ状に形成されている。両弾性挟持片76は、前後対称状に形成されている。
【0038】
モータターミナル18の相互間、及び、隣接するモータターミナル18とセンサターミナル23との相互間には、それぞれ所定の隙間が確保されている。例えば、2本のモータターミナル18のうち、短い方のモータターミナル18はプラス(+)側、長い方のモータターミナル18はマイナス(−)側のモータターミナルにそれぞれ設定されている。なお、モータターミナル18は本明細書でいう「アクチュエータ用配線部材」、「電動モータ用配線部材」に相当する。また、モータ端子接続部74は本明細書でいう「アクチュエータ端子接続部」に相当する。
【0039】
一次成形品16及び2本のモータターミナル18がインサート成形(二次成形)されることにより、二次成形品12が形成されている(
図2参照)。
図2に示すように、二次成形品12には、二次成形による樹脂によりモールド樹脂部材20が形成されている。モールド樹脂部材20は、上面を開口するトレイ状に形成されている。モールド樹脂部材20は、平板状の板状部80と板状部80の外周部に形成された環状の周壁部82とを有している。板状部80には、一次成形品16及び各モータターミナル18が埋設されている。
図13は二次成形品を示す平面図、
図14は二次成形品における支持台部の周辺部を示す平面図である。
【0040】
図14に示すように、モールド樹脂部材20の板状部80の左端部上には、保持壁部84が形成されている。保持壁部84の上面は、板状部80の上面よりも位置において水平状に形成されている。保持壁部84の上面には、一次成形品16における保持樹脂部材25の位置決め枠60及び両位置決め突起63を含む支持台部56の設置面57及び各センサターミナル23のリード端子接続部44(細板部49を含む)の上面が露出されている。支持台部56の設置面57及び各センサターミナル23のリード端子接続部44(細板部49を含む)の上面は、保持壁部84の上面よりも低い位置に配置されている。このため、保持壁部84の上面において、保持樹脂部材25の支持台部56の設置面57及び各センサターミナル23のリード端子接続部44(細板部49を含む)の周囲には、囲い壁部86が形成されている(
図2参照)。
【0041】
各センサターミナル23のリード端子接続部44の先端部(後端部)は、保持壁部84に埋設されている(後出の
図18参照)。保持壁部84において、保持樹脂部材25の支持台部56の右側部を埋設する部分は、板状部80の上面側の空間部に露出されている。保持樹脂部材25の支持台部56の前側部及び左側部を埋設する部分には、囲い壁部86に隣接しかつ上方(Z軸正方向)に開口する凹部87が形成されている。凹部87は、例えば、保持樹脂部材25の支持台部56の前側部から左側部に亘って4個形成されている。隣接する凹部87の相互間には、仕切壁88が形成されている(
図2参照)。
【0042】
図13に示すように、モールド樹脂部材20には、コネクタ部90が形成されている。
コネクタ部90は、モールド樹脂部材20の後側下部に配置されている。
図15は二次成形品のコネクタ部の周辺部を示す背面図である。
図15に示すように、コネクタ部90は、後方(Y軸負方向)に開口しかつ左右方向(X軸方向)を長くする長四角型有底筒状に形成されている。コネクタ部90内には、一次成形品16(
図3参照)の各センサターミナル23の外部端子接続部42と各モータターミナル18の外部端子接続部72が露出されている。外部端子接続部42,72は、左右方向(X軸方向)に列状に並んで配置されている。
【0043】
図13に示すように、モールド樹脂部材20の板状部80の右寄りの部位には、前後一対の筒状部92が形成されている。筒状部92は、上方に開口しかつ前後方向を長くする長四角型有底筒状に形成されている。各筒状部92内には、各モータターミナル18のモータ端子接続部74が露出されている。筒状部92の左右両側壁には、上端部を開口するU字状の割溝93が形成されている(
図2参照)。
【0044】
図1に示すように、二次成形品12にセンサIC14を装着することにより回転角度検出センサ10が構成されている。
図16は回転角度検出センサにおけるセンサICの周辺部を示す平面図、
図17は同じく正断面図、
図18は同じく側断面図である。
図18に示すように、
図18に示すように、二次成形品12における保持樹脂部材25の設置面57上に、その上方からセンサIC14のセンサ本体30が設置されている。これにより、センサ本体30が下方(Z軸負方向)に位置決めされている。また、設置面57上の位置決め枠60の嵌合孔61に、センサIC14のフランジ片35が嵌合されている(
図17参照)。位置決め枠60により、フランジ片35が前後方向(Y軸方向)に移動可能な状態で左右方向(X軸方向)及び上方(Z軸正方向)に位置決めされている。また、センサIC14の左右2組の2本のリード端子32(
図3参照)の間には、保持樹脂部材25の両位置決め突起63が嵌合されている(
図16参照)。これにより、センサIC14の左右2組の2本のリード端子32が前後方向(Y軸方向)に移動可能な状態で左右方向(X軸方向)に位置決めされている。すなわち、保持樹脂部材25には、センサIC14のセンサ本体30がY軸方向へ相対的な移動を可能とする状態で支持されている。なお、保持樹脂部材25とモールド樹脂部材20は本明細書でいう「複数のセンサターミナルをモールドする樹脂」に相当する。また、保持樹脂部材25とモールド樹脂部材20は本明細書でいう「支持部材」を構成している。また、設置面57はモールド樹脂部材20に設けてもよい。
【0045】
また、各センサターミナル23のリード端子接続部44(詳しくは凸状部50)上に、センサIC14の各リード端子32の先端部(後端部)が重ねられている。この状態で、センサIC14の各リード端子32と各センサターミナル23のリード端子接続部44(詳しくは凸状部50)とが溶接、例えば抵抗溶接により接合されている。抵抗溶接に際し、センサIC14のセンサ本体30の後端面が両位置決め突起63に当接されている。これにより、センサ本体30が後方(Y軸負方向)に位置決めされている。
【0046】
センサIC14の各リード端子32と各センサターミナル23のリード端子接続部44とは、片側すなわち上方(Z軸正方向)側からのプロジェクション溶接により接合されている。プロジェクション溶接には、例えばインダイレクトプロジェクション溶接法が用いられる。すなわち、
図18に示すように、リード端子32の先端部上にプラス電極(+電極)95を押し当て、その後方(Y軸負方向)に離れた位置においてセンサターミナル23のリード端子接続部44上にマイナス電極(−電極)96を押し当てる。この状態で、両電極95,96の間で通電することにより、リード端子32とリード端子接続部44(詳しくは凸状部50)がプロジェクション溶接により接合されている。なお、プロジェクション溶接等の抵抗溶接は本明細書でいう「接合手段」に相当する。
【0047】
また、溶接時にセンサIC14のセンサ本体30の前端部に発生することが予測される浮き上がりは、位置決め枠60とセンサIC14のフランジ片35との嵌合によって防止される。なお、インダイレクト溶接法に代えて、パラレルギャップ溶接法を用いてもよい。また、溶接後において、センサIC14及びセンサターミナル23の防水、及び、センサIC14の振れ止めのために、モールド樹脂部材20の囲い壁部86内にポッティング材又はシール材の塗布を行うとよい。ポッティング材又はシール材としては、弾性率の低いいわゆる柔らかい材質を用いるとよい。
【0048】
回転角度検出センサ10は、スロットル装置のスロットルボデー(不図示)に装着される。その装着にともない、スロットルボデーの電動モータ側の各接続端子100(
図12では一方の接続端子100を示す)が、各モータターミナル18のモータ端子接続部74に接続されている。すなわち、接続端子100が、モータターミナル18のモータ端子接続部74の両弾性挟持片76の間に弾性変形を利用して差し込まれる。これにより、両弾性挟持片76の挟持部77の相互間に接続端子100が弾性的に挟持されることにより接続されている。電動モータ側の接続端子100は、帯板状に形成されており、モータ端子接続部74の板幅方向に対して板幅方向が直交している。なお、接続端子100の左右両端部は、モールド樹脂部材20の筒状部92の両割溝93(
図2参照)内にそれぞれ嵌合されている。また、センサIC14のセンサ本体30の検出中心は、スロットルボデー側のスロットルシャフトの軸線と整合される。
【0049】
スロットル装置において、回転角度検出センサ10のコネクタ部90(
図15参照)には、車両の電子制御装置及び電源につながる外部コネクタ(不図示)が接続される。また、回転角度検出センサ10のセンサIC14のセンサ本体30内の両検出素子は、スロットルボデー側のスロットルシャフトの一対の永久磁石の間に発生する磁気の変化を検出する。また、センサ本体30内の両演算素子は、両検出素子からの検出信号に基づいて磁気の変化に応じた信号を、車両の電子制御装置に出力する。電子制御装置は、両演算部から出力された信号に基づいてスロットルシャフトの回転角度を演算する。
【0050】
上記した回転角度検出センサ10によると、支持部材(詳しくは保持樹脂部材25)にセンサIC14のセンサ本体30が前後方向(Y軸方向)へ相対的に移動可能に支持された状態で、4本のセンサターミナル23のリード端子接続部44にセンサIC14の各リード端子32がZ軸方向に重ねた状態で接合されている。このため、保持樹脂部材25及びセンサIC14のY軸方向にかかる拘束部は、リード端子接続部44とリード端子32との接合部すなわち溶接部52のみとすることができる。したがって、保持樹脂部材25及びセンサIC14にY軸方向の熱伸縮が生じるときには、センサIC14のセンサ本体30に対して保持樹脂部材25がY軸方向へ相対的に移動することにより、センサIC14のリード端子32に加わる応力を逃がすことができる。よって、保持樹脂部材25及びセンサIC14のY軸方向の熱伸縮によりセンサIC14のリード端子32に加わる応力集中を低減することができる。また、センサIC14のリード端子32を折り曲げないため、リード端子32の曲げ部に対する応力集中を無くすことができる。ひいては、センサIC14のリード端子32の断線を防止し、回転角度検出センサ10の信頼性を向上することができる。また、保持樹脂部材25の前後方向(Y軸方向)の熱伸縮にともなうセンサIC14の位置ずれを防止し、その位置ずれによる回転角度の検出精度の低下を防止することができる。また、センサIC14のリード端子32を折り曲げなくてよいので、回転角度検出センサ10の大型化を回避することができる。
【0051】
また、各センサターミナル23のリード端子接続部44に、センサIC14の各リード端子32の先端部が抵抗溶接により接合され、センサIC14の4本のリード端子32のうちの外側の2本のリード端子32の端子長が内側の2本のリード端子32の端子長と異なる(
図3参照)。これにより、センサIC14のリード端子32をセンサターミナル23のリード端子接続部44に抵抗溶接する際の隣接する2つの溶接部52の間隔を拡大することができる。よって、センサIC14のリード端子32を折り曲げずにセンサターミナル23のリード端子接続部44に抵抗溶接する際の溶接性を向上し、ショート等による溶接不良の発生を低減することができる。
【0052】
また、4本のセンサターミナル23のリード端子接続部44の幅は、他の部分(主板部40、外部端子接続部42、縦板部43及び細板部49)の幅よりも大きい(
図4参照)。したがって、抵抗溶接時、例えばプロジェクション溶接等の抵抗溶接時の放熱性及び耐電流性を向上し、溶接不良の発生を低減することができる。また、放熱性の向上により、リード端子接続部44の蓄熱を防止し、溶接性を向上することができる。
【0053】
また、4本のセンサターミナル23を保持樹脂部材25及びモールド樹脂部材20によりモールドし、保持樹脂部材25にセンサIC14を上方(Z軸正方向から)横臥状態で設置する設置面57を設けている。したがって、4本のセンサターミナル23を保持樹脂部材25によって位置決めすることができる。また、保持樹脂部材25の設置面57上にセンサIC14を横臥状態で設置することができる。
【0054】
また、保持樹脂部材25に、センサIC14のフランジ片35を設置面57から離れる方向すなわち上方に位置決めする位置決め枠60を設けている。したがって、設置面57と位置決め枠60とにより、センサIC14のフランジ片35を設置面57に直交する方向すなわち上下方向に位置決めすることができる。また、位置決め枠60は、センサIC14のフランジ片35を左右方向(X軸方向)にも位置決めすることができる。なお、位置決め枠60はモールド樹脂部材20に設けてもよい。また、位置決め枠60は、センサIC14のフランジ片35を少なくともZ軸正方向に位置決めするものであればよい。
【0055】
また、保持樹脂部材25に、センサIC14の左右2組の2本のリード端子32を設置面57に平行する方向でかつリード端子32に直交する方向すなわち左右方向に位置決めする2つの位置決め突起63を設けている。したがって、両位置決め突起63により、センサIC14の4本のリード端子32を左右方向に位置決めすることができる。なお、位置決め突起63は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、1つの位置決め突起63は、1つのリード端子32をX軸方向の一方向に位置決めするものでもよい。また、位置決め突起63はモールド樹脂部材20に設けてもよい。
【0056】
また、両位置決め突起63は、センサIC14のセンサ本体30の後方(Y軸負方向)の位置決めを兼ねている。したがって、両位置決め突起63により、センサIC14を後方(Y軸負方向)に位置決めすることができる。これにより、センサIC14を後方(Y軸負方向)に位置決めするための専用の部材を設けなくてよい。
【0057】
また、センサIC14を位置決めする位置決め枠60及び両位置決め突起63を設けたことにより、センサIC14を容易に位置決めすることができる。また、センサIC14の位置ずれによる性能の悪化を防止することができる。
【0058】
また、モータ樹脂部材20に、センサIC14の周囲を囲む囲い壁部86を設けている。したがって、囲い壁部86により、センサIC14を外力によるダメージから防護することができる。なお、囲い壁部86は保持樹脂部材25に設けてもよい。
【0059】
また、モールド樹脂部材20の囲い壁部86の周辺部に凹部87が形成されている。したがって、凹部87により、モールド樹脂部材20のひけの発生を抑制することができる。ひいては、ひけの発生による設置面57への影響を軽減し、設置面57に対するセンサIC14の組付け精度を向上することができる。また、凹部87により、センサIC14で発生した熱の放熱性を向上することができる。なお、凹部87は保持樹脂部材25に設けてもよい。
【0060】
また、モータターミナル18を備え、モータターミナル18が有するモータ端子接続部74は、電動モータ側の接続端子100を弾性的に挟持する一対の弾性挟持片76を有し、一対の弾性挟持片76は、帯板状で板幅方向に弾性変形しかつ板幅が先端に向かって小さくなるテーパ状に形成されている。したがって、一対の弾性挟持片76により、電動モータ側の接続端子100を弾性的に挟持することができる。また、一対の弾性挟持片76が帯板状で板幅方向に弾性変形しかつ板幅が先端に向かって小さくなるテーパ状に形成されていることにより、一対の弾性挟持片76のばね荷重を確保しながら、一対の弾性挟持片76に加わる応力を低減することができる。ひいては、一対の弾性挟持片76のへたりを抑制し、所定のばね荷重を維持することができる。
【0061】
また、ターミナル素形材22は1ピースのため、同一型でセンサターミナル23、基準孔41及びタイバー46〜48のプレス加工が可能である。また、一次成形後にターミナル素形材22のタイバー46〜48を除去する。このため、センサターミナル23の寸法精度を容易に確保することができる。
【0062】
また、一次成形品16の保持樹脂部材25により各センサターミナル23を束ねた状態に保持することができる。これにより、一次成形品16を、二次成形にかかる成形型(不図示)に容易にセットすることができる。ひいては、二次成形時の作業性を向上し、二次成形品12の生産性を向上することができる。
【0063】
また、保持樹脂部材25に中空部65及び中空孔部66が形成されている。したがって、保持樹脂部材25のひけの発生を抑制することができる。ひいては、ひけの発生による設置面57への影響を軽減し、設置面57に対するセンサIC14の組付け精度を向上することができる。
【0064】
また、センサIC14の下方(Z軸負方向側)すなわち保持樹脂部材25の下面側を横切るように、各センサターミナル23の主板部40(詳しくは左端部)が配線されている(
図18参照)。したがって、各センサターミナル23をコンパクトに配線することができる。また、各センサターミナル23の主板部40の左端部によって、センサIC14をZ軸負方向のノイズからシールドすることも可能である。
【0065】
また、モールド樹脂部材20には、センサIC14とモータターミナル18とが所定の間隔を隔てて配置され、かつ、各センサターミナル23の主板部40の中央部がセンサIC14とモータターミナル18との間の板状部80を経由するように配線されている(
図1及び
図13参照)。したがって、モールド樹脂部材20におけるセンサIC14とモータターミナル18との間の板状部80の熱伸縮による反り等の変形を抑制することができる。
【0066】
[他の技術的事項]
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の回転角度検出センサは、電子制御式のスロットル装置に限らず、電動モータを備えていない機械式のスロットル装置にも適用することができる。また、本発明の回転角度検出センサは、スロットル装置に限らず、自動変速機用シフトレバー、アクセルペダル等の種々の回転側部材の回転角度検出用に適用することができる。また、磁気検出部材には、センシング部と演算部とを導線で連結してなる本体部を備える1系統出力型、1出力型等と呼ばれる形式のセンサICを用いてもよい。また、磁気検出部材には、センサIC他、ホール素子、ホールIC等を用いてもよい。また、支持台部56は、保持樹脂部材25に代えて、モールド樹脂部材20に形成してもよい。また、位置決め枠60は、センサIC14のフランジ片35に限らず、センサ本体30を位置決めするものでもよい。また、位置決め突起63は、センサIC14のリード端子32に限らず、センサ本体30を位置決めするものでもよい。また、センサIC14のセンサ本体30を前後方向(Y軸方向)に移動可能に位置決めする位置決め部を設けてもよい。また、センサIC14のリード端子32とセンサターミナル23のリード端子接続部44とは、抵抗溶接に限らず、レーザー溶接、半田付け、導電性接着剤等の接合手段によっても電気的に接合することができる。レーザー溶接、半田付け、導電性接着剤等の接合手段の場合、センサIC14の各リード端子32は、切除することなく、等長の端子長のままでもよい。