(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、いずれも錘を振動させて、その慣性力を床に作用させて床の振動を小さくさせることにある。
TMDを用いた床振動制御装置は、床と装置の固有振動数をほぼ一致させるように構成されていて、床が固有振動数で振動すると、錘が床の振動とは90度位相が遅れて振動する。このときの錘の慣性力が床に作用して揺れを小さくする。このときの錘の振動振幅は、床と錘の重量比、床の振動の大きさによるが、一般的には最大でも10〜20mm程度である。設置場所は床下、床上であるが、装置の高さが大きいと設置の邪魔になる。
また、TMDを用いた床振動制御装置は、錘の振動振幅が大きくないこと、錘を動かす動力装置が不要ということで、高さが低い装置が可能であるが、振動低減効果が小さいという欠点がある。
また、AMDを用いた床振動制御装置は、TMDを用いた床振動制御装置に比べ高い振動低減効果を発揮するのが目的である。
したがって錘の振動が大きい。一般に錘もTMDを用いた床振動制御装置よりも小さいので、さらに錘の振動は大きくなる。錘の振動振幅は一般に50〜200mmは必要である。
また錘を動かすための動力装置が別途必要となり、装置の高さ方向の必要寸法には、動力装置部分の大きさも含まれる。動力装置としては一般には、回転運動を発生させて直線運動に変換化する回転モータおよびボールねじを用いる構成、あるいは、直線運動を発生する直動アクチュエータを用いる構成がある。いずれも機構上、錘が振動する鉛直方向(上下方向)にスペースが必要となることに加え、直動アクチュエータを配置するために鉛直方向に大きなスペースを確保する必要がある。
AMDを用いた床振動制御装置は振動低減効果が高いので、TMDを用いた床振動制御装置に比べて錘が小さくて済むが、高さ方向については大きな寸法が必要となるので、床下のような限られたスペースには設置できないという欠点がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、振動低減効果を確保しつつ、鉛直方向における設置スペースの縮小を図る上で有利な床振動制御装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、床振動制御装置であって、構造物の床に設置される筐体と、前記筐体の内部に配置されて水平面上を延在し鉛直方向に貫通する開口部を有する平板状の錘部材と、前記開口部にその中心軸を水平方向に向けて配置され前記中心軸から離れた箇所に水平方向に貫通形成された雌ねじを有する円盤と、前記雌ねじに螺合し軸方向に動くことで前記雌ねじを介して前記円盤を回転させる送りねじと、前記錘部材に対して相対的に鉛直方向に移動不能に支持され前記送りねじを往復移動させる直動アクチュエータと、前記円盤を鉛直方向に移動不能にかつ回転可能に前記筐体内で支持する円盤支持部と、前記直動アクチュエータにより前記送りねじが往復移動されることにより前記円盤が前記円盤の中心軸を中心として回転され、前記錘部材が前記筐体の内部で鉛直方向に振動するように構成されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記円盤支持部は、前記円盤を、水平面上で前記円盤の中心軸と直交する方向に移動可能に支持し、前記直動アクチュエータは、水平面上で前記円盤の中心軸と直交する方向に移動不能に前記錘部材に支持されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記筐体は、鉛直方向において互いに対向する底板と上板とを備え、前記円盤の外周部は、前記底板と前記上板とに接触可能に設けられ、前記円盤支持部は、前記底板と前記上板とを含んで構成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記円盤支持部は、前記円盤を、水平面上で前記円盤の中心軸と直交する方向に移動不能に支持し、前記直動アクチュエータは、水平面上で前記円盤の中心軸と直交する方向に移動可能に前記錘部材に支持されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記筐体は、その内部に鉛直方向および水平方向に移動不能に配置され前記円盤を回転可能に支持する軸受部を備え、前記円盤支持部は、前記軸受部を含んで構成されていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記錘部材に鉛直方向に窪み前記送りねじの軸方向に延在する凹部が設けられ、前記直動アクチュエータおよび前記送りねじは前記凹部に収容されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記錘部材を鉛直方向に移動可能にかつ水平方向に移動不能に支持する錘ガイド部が前記筐体に設けられていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記錘部材を鉛直方向に弾性支持し、前記筐体の内部の高さ方向の中間箇所である中立位置に位置するように前記錘部材を付勢する弾性手段が設けられていることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、前記送りねじの往復移動による前記円盤の中心軸を中心とした回転は、所定の角度範囲内での正逆回転であることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、磁気、空気圧、あるいは、油圧により動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、錘部材に対して相対的に鉛直方向に移動不能に支持された直動アクチュエータにより水平方向に送りねじが往復移動されることにより円盤が円盤の中心軸を中心として回転され、これにより錘部材が筐体の内部で鉛直方向に振動する。
したがって、直動アクチュエータおよび送りねじは、筐体内部において水平方向のスペースを占有するものの鉛直方向に占有するスペースは最小限で済む。
また、錘部材は平板状を呈し水平面上を延在しているため、筐体内部において水平方向のスペースを占有するものの鉛直方向に占有するスペースは最小限で済む。
そのため、筐体内部において、錘部材を鉛直方向に振動させるためのスペースを確保しつつ、錘部材を振動させるための部材を配置するために必要な鉛直方向のスペースを縮小することができ、筐体全体の高さを縮小する上で有利となる。
そのため、振動低減効果を確保しつつ、鉛直方向における床振動制御装置の設置スペースの縮小を図る上で有利となり、床下のように限られたスペースに床振動制御装置を設置する上で有利となる。
また、直動アクチュエータが錘部材に配置され、直動アクチュエータは錘部材と一体に鉛直方向に振動する。
そのため、直動アクチュエータの重量を錘部材の重量に加算することができ、大きな慣性力を発生させ、振動低減効果の向上を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、直動アクチュエータおよび円盤を用いて錘部材を鉛直方向に振動させるので、床振動制御装置の構成の簡素化を図る上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、円盤支持部のコンパクト化を図る上で有利となり、筐体のコンパクト化を図り、鉛直方向における床振動制御装置の設置スペースの縮小を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、直動アクチュエータおよび円盤を用いて錘部材を鉛直方向に振動させるので、床振動制御装置の構成の簡素化を図る上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、円盤支持部のコンパクト化を図る上で有利となり、筐体のコンパクト化を図り、鉛直方向における床振動制御装置の設置スペースの縮小を図る上で有利となる。
請求項6記載の発明によれば、筐体の内部における錘部材の鉛直方向におけるストロークを大きく確保しつつ、筐体のコンパクトを図る上で有利となり、鉛直方向における床振動制御装置の設置スペースの縮小を図る上でより有利となる。
請求項7記載の発明によれば、錘ガイド部により錘部材を鉛直方向に確実に振動させる上で有利となる。
請求項8記載の発明によれば、錘部材により発生した鉛直方向の慣性力を弾性手段および筐体を介して床に効率的に作用させることができ、床の振動の抑制を図る上で有利となる。
請求項9記載の発明によれば、直動アクチュエータのストロークを短縮し、送りねじの長さを短縮でき、床振動制御装置のコンパクト化を図る上で有利となる。
請求項10記載の発明によれば、直動アクチュエータで発生する摩擦抵抗および騒音を抑制でき、床振動制御装置を効率よくかつ低騒音で稼働させる上で有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る床振動制御装置を図面にしたがって説明する。
図1〜
図3に示すように、床振動制御装置10Aは、構造物の床に設置される筐体12と、錘部材14と、駆動部16とを含んで構成されている。
【0009】
筐体12は、長方形板状の底板1202と、底板1202の四辺から起立する4つの側板1206と、4つの側板1206の上縁を接続する上板1204とを備え、内部に矩形板状の空間部を有している。
以下、説明の便宜上、底板1202の長辺方向をX方向、底板1202の短辺方向をX方向と直交するY方向、底板1202と上板1204とが対向する方向をX方向およびY方向と直交するZ方向とし、筐体12は、Z方向を鉛直方向に合致させた状態で構造物の床に設置される。
【0010】
錘部材14は、筐体12の内部に配置され、底板1202および上板1204よりも一回り小さい均一厚さの矩形の平板状を呈し、水平面上を延在するように配置されている。
錘部材14には、その上面1402に、後述する直動アクチュエータ28、送りねじ26を収容する凹部1404が形成されるとともに、後述する円盤22を収容する開口部1406が鉛直方向に貫通形成されている。
凹部1404は、
図1に示すように、錘部材14のY方向の中心箇所から偏位した箇所でX方向に沿って延在している。
開口部1406は、錘部材14のX方向の中心箇所でY方向に沿って延在している。
【0011】
駆動部16は、錘部材14を鉛直方向に振動させるものである。
駆動部16は、弾性手段18と、錘ガイド部20と、円盤22と、円盤支持部24と、送りねじ26と、直動アクチュエータ28とを含んで構成されている。
【0012】
弾性手段18は、錘部材14の下面1403の四隅と底板1202の上面1202Aの四隅との間、および、錘部材14の上面1402の四隅と上板1204の下面1204Aの四隅との間に介設され、それぞれ軸線をZ方向に向けた同一のコイルばね1802を含んで構成されている。
弾性手段18は、錘部材14を鉛直方向に弾性支持し、筐体12の内部の高さ方向の中間箇所である中立位置(ニュートラル位置)に位置するように錘部材14を付勢している。
なお、弾性手段18は、コイルばね1802に限定されるものではなく、板ばねや空気ばねなど従来公知の様々な弾性部材、弾性機器が使用可能である。
【0013】
錘ガイド部20は、ガイドレール2002と、スライダ2004とを含んで構成されている。
ガイドレール2002は、本実施の形態では、4つの側板1206のうち底板1202の長辺側に位置する一対の側板1206の内面に、X方向に間隔をおいてZ方向に延在している。
スライダ2004は、各ガイドレール2002に対向する錘部材14の箇所に、各ガイドレール2002に沿ってZ方向に移動可能に、かつ、X方向およびY方向に移動不能に各ガイドレール2002に係合している。
したがって、これらガイドレール2002とスライダ2004は、錘部材14をその水平状態を保って鉛直方向に移動可能にかつ水平方向に移動不能に支持する錘ガイド部20を構成している。
【0014】
円盤22は、筐体12の内部のX方向の中心箇所にその中心軸2202をX方向に向けて配置され開口部1406に収容されている。
円盤22は、中心軸2202から離れた箇所にX方向に貫通形成された雌ねじ30を有している。
雌ねじ30は、円盤22と別体に設けられたナットなどの雌ねじ部材が円盤22に取着されることで形成されていてもよいし、円盤22自体に形成されていてもよい。
円盤22は、均一の厚さで形成され、直径は底板1202の上面1202Aから上板1204の下面1204Aまでの距離と同一寸法となっており、円盤22の外周面は、底板1202の上面1202Aと上板1204の下面1204Aとに当接している。
円盤22の外周部には、摩擦抵抗が極めて小さい部材が取り付けられ、あるいは摩擦抵抗が極めて小さい表面処理が施されており、円盤22が底板1202の上面1202Aと上板1204の下面1204Aとに接触した状態で滑らかに回転できるよう図られている。
本実施の形態では、円盤22は、
図6に示すように所定の角度範囲内で正逆回転し、Y方向に沿った所定の範囲内で往復移動し、円盤22をこのように動かすことで直動アクチュエータ28の移動ストロークおよび送りねじ26の長さを短縮し、床振動制御装置10Aのコンパクト化が図られている。
【0015】
円盤支持部24は、円盤22を鉛直方向(Z方向)に移動不能にかつ回転可能に筐体12内で支持するものである。
本実施の形態では、円盤支持部24は、円盤22が鉛直面上を延在する姿勢を保持し(円盤22の中心軸2202を水平状態に保持し)、かつ、円盤22を所定の角度範囲内で正逆回転可能でさらに水平面上(XY平面上)で円盤22の中心軸2202と直交する方向(Y方向)に移動可能に支持する。
具体的には、円盤支持部24は、底板1202の上面1202Aと上板1204の下面1204Aに加え、2本の下側凸条2402と、2本の上側凸条2404とを含んで構成されている。
2本の下側凸条2402は、底板1202の上面1202AにY方向に直線状に延在し円盤22の厚さと同じ寸法で間隔をおいて並べられている。
2本の上側凸条2404は、上板1204の下面1204AにY方向に直線状に延在し円盤22の厚さと同じ寸法で間隔をおいて並べられている。
下側凸条2402と上側凸条2404とは平面視同一の位置に配置されている。
したがって、円盤22は、その外周面が底板1202の上面1202Aと上板1204の下面1204Aとによって挟持され、かつ、2本の下側凸条2402と、2本の上側凸条2404とによって外周部が円盤22の厚さ方向で挟持されることにより、回転可能に支持されると共に、X方向およびZ方向に移動不能にかつY方向に移動可能に支持される。
このように円盤支持部24を構成すると、円盤支持部24のコンパクト化を図る上で有利となり、筐体12のコンパクト化を図り、鉛直方向における床振動制御装置10Aの設置スペースの縮小を図る上で有利となる。
【0016】
送りねじ26は、雌ねじ30に螺合し軸方向に動くことで雌ねじ30を介して円盤22を回転させるものである。
本実施の形態では、送りねじ26は、雌ねじ30を介して所定の角度範囲内で円盤22を正逆回転させるものである。
ここで、送りねじ26とは、直線運動を回転運動に変換するねじであり、例えば、ボールねじなど従来公知の様々なねじ構造が採用可能である。
送りねじ26は凹部1404に収容されて配置されている。
【0017】
直動アクチュエータ28は、錘部材14に対して相対的に鉛直方向に移動不能に支持され送りねじ26を往復移動させるものである。
本実施の形態では、直動アクチュエータ28は、矩形板状のアクチュエータ本体2802と、アクチュエータ本体2802に支持されたロッド2804とを有し、ロッド2804の先部にロッド2804と同軸上に送りねじ26が設けられている。
本実施の形態では、アクチュエータ本体2802は、水平面上で円盤22の中心軸2202と直交する方向に移動不能に錘部材14の凹部1404の底面に支持され、直動アクチュエータ28は凹部1404に収容されて配置されている。
直動アクチュエータ28は、磁気、空気圧、あるいは、油圧により動作するものである。
直動アクチュエータ28は、ロッド2804をその軸方向に往復移動させることにより、
図4(A)、
図5(A)に示す送りねじ26を最も突出させた突出位置と、
図4(B)、
図5(B)に示す中間位置と、
図4(C)、
図5(C)に示す送りねじ26を最も後退させた後退位置とにわたって送りねじ26を往復移動させる。
このように直動アクチュエータ28によりロッド2804を介して送りねじ26が往復移動されることにより円盤22が円盤22の中心軸2202を中心として正逆回転され、錘部材14が筐体12の内部で鉛直方向に振動する。
【0018】
次に、本実施の形態の床振動制御装置10Aの動作について詳細に説明する。
本実施の形態の床振動制御装置10Aは、構造物の床上、あるいは、床下に配置される。
すなわち、
図7に示すように、床振動制御装置10Aの筐体12の底板1202が床202の上面202Aに取り付けられることで床上に配置される。あるいは、床202の下面202Bに設けられたフレーム4に床振動制御装置10Aの筐体12が取り付けられることで床下に配置される。
【0019】
まず、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)に示すように、送りねじ26の中間位置において、円盤22は、基準位置に位置しており、この場合、錘部材14は、中立位置P0に位置しているものとする。
次に、
図4(A)、
図5(A)、
図6(A)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により、送りねじ26が突出位置に突出されると、円盤22が正方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って中立位置P0から下限位置P1まで下降する。
次に、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26が中間位置まで後退すると、円盤22が逆方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って下限位置P1から中立位置P0まで上昇する。
次に、
図4(C)、
図5(C)、
図6(C)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26がさらに後退位置まで後退すると、円盤22がさらに逆方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って中立位置P0から上限位置P2まで上昇する。
次に、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26が後退位置から中間位置まで突出すると、円盤22が正方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って上限位置P2から中立位置P0まで下降する。
以上のような動作が繰り返して実行されることにより、錘部材14が上限位置P2と下限位置P1との間で振動し、錘部材14により鉛直方向の慣性力が発生する。
これにより、錘部材14による鉛直方向の慣性力が各コイルばね1802および筐体12を介して床202に作用し、床202の振動が抑制される。
【0020】
本実施の形態によれば、錘部材14に鉛直方向に移動不能に支持された直動アクチュエータ28により水平方向に送りねじ26が往復移動されることにより円盤22が円盤22の中心軸2202を中心として正逆転され、これにより錘部材14が筐体12の内部で鉛直方向に振動する。
したがって、直動アクチュエータ28および送りねじ26は、筐体12内部において水平方向のスペースを占有するものの鉛直方向に占有するスペースは最小限で済む。
また、錘部材14は平板状を呈し水平面上を延在しているため、筐体12内部において水平方向のスペースを占有するものの鉛直方向に占有するスペースは最小限で済む。
そのため、筐体12内部において、錘部材14を鉛直方向に振動させるためのスペースを確保しつつ、錘部材14を振動させるための部材を配置するために必要な鉛直方向のスペースを縮小することができ、筐体12全体の高さを縮小する上で有利となる。
したがって、振動低減効果を確保しつつ、鉛直方向における床振動制御装置10Aの設置スペースの縮小を図る上で有利となり、床下のように限られたスペースに床振動制御装置10Aを設置する上で有利となる。
また、直動アクチュエータ28が錘部材14に配置され、直動アクチュエータ28は錘部材14と一体に鉛直方向に振動する。
そのため、直動アクチュエータ28の重量を錘部材14の重量に加算することができ、大きな慣性力を発生させることができるため、振動低減効果の向上を図る上で有利となる。
【0021】
また、本実施の形態によれば、円盤支持部24により、円盤22を、水平面上で円盤22の中心軸2202と直交する方向に移動可能に支持し、直動アクチュエータ28を、水平面上で円盤22の中心軸2202と直交する方向に移動不能に錘部材14に支持することにより、直動アクチュエータ28および円盤22を用いて錘部材14を鉛直方向に振動させるので、床振動制御装置10Aの構成の簡素化を図る上で有利となる。
また、本実施の形態によれば、直動アクチュエータ28および送りねじ26により円盤22を所定の角度範囲内で正逆転させるので、直動アクチュエータ28のストロークおよび送りねじ26の長さを短縮でき、床振動制御装置10Aのコンパクト化を図る上で有利となる。
【0022】
また、本実施の形態によれば、錘ガイド部20により、錘部材14を鉛直方向に移動可能にかつ水平方向に移動不能に支持するようにしたので、錘部材14を鉛直方向に確実に振動させる上で有利となる。
また、錘部材14に凹部1404を設け、この凹部1404に直動アクチュエータ28および送りねじ26を収容したので、筐体12の内部における錘部材14の鉛直方向におけるストロークを大きく確保しつつ、筐体12のコンパクトを図る上で有利となり、鉛直方向における床振動制御装置10Aの設置スペースの縮小を図る上でより有利となる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、直動アクチュエータ28は、磁気、空気圧、あるいは、油圧により動作するので、直動アクチュエータ28で発生する摩擦抵抗および騒音を抑制でき、床振動制御装置10Aを効率よくかつ低騒音で稼働させる上で有利となる。
また、本実施の形態によれば、コイルばね1802により筐体12の内部で錘部材14を鉛直方向に弾性支持するので、錘部材14により発生した鉛直方向の慣性力をコイルばね1802および筐体12を介して床202に効率的に作用させることができ、床202の振動の抑制を図る上で有利となる。
【0024】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、駆動部16の構成が第1の実施の形態と異なっている。
なお、以下の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態では、円盤34が同一の箇所で回転し、直動アクチュエータ28および送りねじ26が円盤34の回転によりY方向に移動する点が第1の実施の形態と異なっている。
【0025】
図8〜
図10に示すように、床振動制御装置10Bは、筐体12と、錘部材14と、駆動部32とを含んで構成され、筐体12および錘部材14は第1の実施の形態と同様に構成されている。
なお、錘部材14には、その上面1402に、後述する直動アクチュエータ28および送りねじ26を収容する凹部1404が形成されるとともに、後述する円盤34を収容する開口部1406が錘部材14の厚さ方向に貫通形成されている。
第2の実施の形態では、直動アクチュエータ28により送りねじ26が往復移動され、この送りねじ26の往復移動により円盤34が同一の箇所で回転し、この円盤34の回転により送りねじ26、直動アクチュエータ28がY方向に往復移動されるため、凹部1404の幅は第1の実施の形態よりも大きな寸法で形成されている。
【0026】
駆動部32は、錘部材14を鉛直方向に振動させるものであり、円盤34と、円盤支持部36と、送りねじ26と、直動アクチュエータ28とを含んで構成されている。
第1の実施の形態と同様に、円盤34は、筐体12の内部のX方向の中心箇所にその中心軸3402をX方向に向けて配置され開口部1406に収容されている。
円盤34は、中心軸3402から離れた箇所にX方向に貫通形成された雌ねじ38を有している。
【0027】
円盤支持部36は、円盤34が鉛直面上を延在する姿勢を保持し(円盤34の中心軸3402を水平状態に保持し)、かつ、鉛直方向(Z方向)に移動不能に、かつ、回転可能に筐体12内で支持するものであり、第2の実施の形態では、円盤支持部36は、円盤34を、回転可能かつ水平面上で円盤34の中心軸3402と直交する方向に移動不能に支持する。
具体的には、円盤支持部36は、円盤34の外周部全周を回転可能に支持する軸受部36Aで構成され、軸受部36Aは、Z方向で対向する底板1202および上板1204の内面と、Y方向で対向する2つの側板1206の内面とにわたって設けられた軸受板3602と、軸受孔3604とを含んで構成されている。
このように円盤支持部36を構成すると、円盤支持部36のコンパクト化を図る上で有利となり、筐体12のコンパクト化を図り、鉛直方向における床振動制御装置10Bの設置スペースの縮小を図る上で有利となる。
円盤34の外周部あるいは軸受板3602の軸受孔3604には、摩擦抵抗が極めて小さい部材が取り付けられ、あるいは摩擦抵抗が極めて小さくなる表面処理が施されており、円盤34が軸受部36Aに支持された状態で摩擦なく滑らかに回転できるよう図られている。
【0028】
送りねじ26は、雌ねじ38に螺合し軸方向に動くことで雌ねじ38を介して円盤34を回転させるものであり、第1の実施の形態と同様に構成され、送りねじ26と直動アクチュエータ28は第1の実施の形態と同様に凹部1404に収容されて配置されている。
【0029】
直動アクチュエータ28は、錘部材14に対して相対的に鉛直方向に移動不能に支持され送りねじ26を往復移動させるものであり、第1の実施の形態と同様に、直動アクチュエータ28は、アクチュエータ本体2802と、ロッド2804とを有し、ロッド2804の先部にロッド2804と同軸上に送りねじ26が設けられている。
第2の実施の形態では、アクチュエータ本体2802は、水平面上で円盤34の中心軸3402と直交する方向に移動可能に、すなわち、Y方向に移動可能に錘部材14の凹部1404の底面に支持され、直動アクチュエータ28は凹部1404に収容されて配置されている。
具体的には、錘部材14の凹部1404の底面にX方向に間隔をおいてY方向に延在する2本のガイドレール40が設けられている。
アクチュエータ本体2802の下部には、各ガイドレール40に沿ってY方向に移動可能に、かつ、X方向およびZ方向に移動不能に各ガイドレール40に係合するスライダ42が設けられている。
【0030】
直動アクチュエータ28は、ロッド2804をその軸方向に往復移動させることにより、
図11(A)、
図12(A)に示す送りねじ26を最も突出させた突出位置と、
図11(B)、
図12(B)に示す中間位置と、
図11(C)、
図12(C)に示す送りねじ26を最も後退させた後退位置とにわたって送りねじ26を往復移動させる。
このように直動アクチュエータ28によりロッド2804を介して送りねじ26が往復移動されることにより円盤34が円盤34の中心軸3402を中心として正逆回転され、錘部材14が筐体12の内部で鉛直方向に振動する。なお、錘部材14の振動時、直動アクチュエータ28は、円盤34の回転によりロッド2804を介してガイドレール40に沿ってY方向に往復移動する。
【0031】
次に、第2の実施の形態の床振動制御装置10Bの動作について詳細に説明する。
第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様に床振動制御装置10Bは、
図7に示すように、構造物2の床上、あるいは、床下に配置される。
まず、
図11(B)、
図12(B)、
図13(B)に示すように、円盤34は、基準回転位置に位置しており、この場合、錘部材14は、中立位置P0に位置しているものとする。
次に、
図11(A)、
図12(A)、
図13(A)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により、送りねじ26が突出位置に突出されると、円盤34が正方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って中立位置P0から下限位置P1まで下降する。
次に、
図11(B)、
図12(B)、
図13(B)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26が中間位置まで後退すると、円盤34が逆方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って下限位置P1から中立位置P0まで上昇する。
次に、
図11(C)、
図12(C)、
図13(C)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26がさらに後退位置まで後退すると、円盤34がさらに逆方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って中立位置P0から上限位置P2まで上昇する。
次に、
図11(B)、
図12(B)、
図13(B)に示すように、直動アクチュエータ28の作動により送りねじ26が後退位置から中間位置まで突出すると、円盤34が正方向に回転することで送りねじ26、直動アクチュエータ28を介して錘部材14が水平状態を保って上限位置P2から中立位置P0まで下降する。
以上のような動作が繰り返して実行されることにより、錘部材14が上限位置P2と下限位置P1との間で振動し、錘部材14により鉛直方向の慣性力が発生する。
これにより、錘部材14による鉛直方向の慣性力が各コイルばね1802および筐体12を介して床202に作用し、床202の振動が抑制される。
【0032】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、直動アクチュエータ28および送りねじ26が鉛直方向に占有するスペースは最小限で済むため、筐体12全体の高さを縮小する上で有利となる。
また、錘部材14は平板状を呈し水平面上を延在しているため、筐体12内部において水平方向のスペースを占有するものの鉛直方向に占有するスペースは最小限で済む。
したがって、振動低減効果を確保しつつ、鉛直方向における床振動制御装置10Bの設置スペースの縮小を図る上で有利となり、床下のように限られたスペースに設置する上で有利となる。
また、第2の実施の形態においても、直動アクチュエータ28が錘部材14に配置され、直動アクチュエータ28は錘部材14と一体に鉛直方向に振動する。
そのため、直動アクチュエータ28の重量を錘部材14の重量に加算することができ、大きな慣性力を発生させることができるため、振動低減効果の向上を図る上で有利となる。
【0033】
また、第2の実施の形態によれば、円盤支持部36により、円盤34を、水平面上で円盤34の中心軸3402と直交する方向に移動不能に支持し、直動アクチュエータ28を、水平面上で円盤34の中心軸3402と直交する方向に移動可能に錘部材14に支持することにより、直動アクチュエータ28および円盤34を用いて錘部材14を鉛直方向に振動させるので、床振動制御装置10Bの構成の簡素化を図る上で有利となる。
【0034】
また、第2の実施の形態においても、直動アクチュエータ28および送りねじ26により円盤22を所定の角度範囲内で正逆転させるので、直動アクチュエータ28のストロークおよび送りねじ26の長さを短縮でき、床振動制御装置10Bのコンパクト化を図る上で有利となる。
また、第2の実施の形態においても、錘部材14に凹部1404を設け、この凹部1404に直動アクチュエータ28および送りねじ26を収容したので、筐体12の内部における錘部材14の鉛直方向におけるストロークを大きく確保しつつ、筐体12のコンパクトを図る上で有利となり、鉛直方向における床振動制御装置10Bの設置スペースの縮小を図る上でより有利となる。