特許第6359404号(P6359404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359404
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】保持台紙
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20180709BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A61M25/00
   B65D73/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-196033(P2014-196033)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-64089(P2016-64089A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111523
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 良文
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大輔
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−527295(JP,A)
【文献】 特開2010−029558(JP,A)
【文献】 米国特許第06871740(US,B1)
【文献】 特開平8−33717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
B65D 73/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器を保持する保持面と、
前記保持面に設けられた複数のタブと、を備え、
前記複数のタブの少なくとも一つは、前記保持面から離間した位置に前記医療機器の長手方向に沿う二つので形成された谷部を有する特定のタブであり、
前記特定タブは、前記保持面から離間した位置において、前記谷部で前記医療機器の長手方向に沿って前記医療機器を保持る、保持台紙。
【請求項2】
請求項1に記載の保持台紙において、
前記特定タブは、前記医療機器の最先端側及び最基端側の少なくとも一方に配置されている、保持台紙。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の保持台紙において、
前記特定タブは、補助タブを備え、
前記特定タブ及び前記補助タブで、前記谷部を形成することを特徴とする、保持台紙。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の保持台紙において、
前記特定タブの端部には、前記医療機器の長手方向に沿う面が前記医療機器側に折り込まれた、折り返し部が設けられている、保持台紙。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の保持台紙において、
前記特定タブは、前記特定タブの端部を複数回折り返して形成された谷部を備え、
前記谷部で前記医療機器を挟持することを特徴とする、保持台紙。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一つに記載の保持台紙と、
前記保持台紙の外周を覆う保持袋と、を備えた保持台紙組立体において、
前記特定タブは、前記保持台紙を前記保持袋内に挿入している時には、前記保持袋によって前記保持面側に押し付けられ、前記保持台紙を前記保持袋から取り出した時には、前記医療機器を前記保持面から離間するように持ち上げる、保持台紙組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器を保持する為の保持台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送時や保管時には医療器具等を安定的に保持し、且つ、医療機器を保持台紙から取り出す場合には保持台紙から医療機器を取り出し易くしたり、また、取り出し時における医療機器への損傷を防いだり、と種々の工夫を施した保持台紙が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、カテーテル保持部材に、カテーテルを固定し、所定の可撓性を有する舌状片を構成する翼状の固定帯11と、固定帯11の先端部を遊嵌する切り込み12と、が設けられており、固定帯11がカテーテルを覆うように折り曲げられて切り込み12に遊嵌され、カテーテルを固定している保持部材が開示されており、搬送中・保管時においてはチューブ(カテーテル)の折れ曲がりや脱落を防止すると共に、使用時には容易にカテーテルを傷つけることなく取り出すことができる点が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、カード2(保持台紙)の一部を切り取って複数の保持用素子部4を形成し、各保持用素子部4は押し下げ唇片10と囲い用唇片11とから成り、押し下げ唇片10は右手方向からカテーテル5を保持し、囲い用唇片11は押し下げ唇片10の下でカテーテル5の左側に位置してカテーテルを左に動くことだけを防止するパッケージカテーテルが開示されており、カテーテルを外被3から引き出すときに、カード2を切り取って形成した保持用素子部4の唇片に縁部によるカテーテル5の損傷を防止する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−255627
【特許文献2】特開平8−33717
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引用文献1に記載されている保持部材は、カテーテルが保持部材の保持面に接触して保持されている為、保持部材からカテーテルを取り出すことが容易ではない。この為、術者は、保持部材の保持面を湾曲させる等して、カテーテルと保持部材の保持面との間に隙間を設けて、この保持面から離れたカテーテルの一部を把持して、カテーテルを保持面から引抜くように取り出す為、カテーテルを保持部材から取り出す際に時間を要していた。
【0007】
また、引用文献2に記載されているカード(台紙)についても、引用文献1の保持部材と同様に、カテーテルがカードの保持面に接触して保持されている為、カテーテルを保持部材から取り出す際に時間を要していた。
【0008】
また、カテーテルに限らず、ガイドワイヤ等のその他の医療機器においても、保持台紙の保持面に接触するように医療機器が配置されている場合には、医療機器を保持部材から取り出す際に時間を要していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、保持部材の保持面に保持されている医療機器を取出し易くした保持台紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
<1>本願請求項1に係る発明は、医療機器を保持する保持面と、前記保持面に設けられた複数のタブと、を備え、前記複数のタブの少なくとも一つは、前記医療機器の長手方向に沿う面を有する特定のタブであり、前記特定タブは、前記保持面から離間した位置において、前記医療機器の長手方向に沿う面で前記医療機器を保持している、保持台紙を特徴とする。
【0011】
<2>請求項2に係る発明は、請求項1に記載の保持台紙において、前記特定タブは、前記医療機器を保持している前記複数のタブの内、前記医療機器の最基端側及び最先端側の少なくとも一方に配置されている、保持台紙を特徴とする。
【0012】
<3>請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の保持台紙において、前記特定タブは、補助タブを備え、前記特定タブと、前記補助タブで、前記医療機器を挟持することを特徴とする、保持台紙を特徴とする。
【0013】
<4>請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3の何れか一つに記載の保持台紙において、前記特定タブの端部には、前記医療機器の長手方向に沿う面が前記医療機器側に折り込まれた、折り返し部が設けられている、保持台紙を特徴とする。
【0014】
<5>請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の保持台紙において、前記特定タブは、前記特定タブの端部を複数回折り返して形成された谷部を備え、前記谷部で前記医療機器を挟持することを特徴とする、保持台紙を特徴とする。
【0015】
<6>請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5の何れか一つに記載の保持台紙と、前記保持台紙の外周を覆う保持袋と、を備えた保持台紙組立体において、前記特定タブは、前記保持台紙を前記保持袋内に挿入している時には、前記保持袋によって前記保持面側に押し付けられ、前記保持台紙を前記保持袋から取り出した時には、前記医療機器を前記保持面から離間するように持ち上げる、保持台紙組立体を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
<1>請求項1に記載の保持台紙は、医療機器を保持する保持面と、前記保持面に設けられた複数のタブと、を備え、前記複数のタブの少なくとも一つは、前記医療機器の長手方向に沿う面を有する特定のタブであり、前記特定タブは、前記保持面から離間した位置において、前記医療機器の長手方向に沿う面で前記医療機器を保持していることによって、保持台紙から医療機器を容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0017】
<2>請求項2に記載の保持台紙は、前記特定タブが、前記医療機器を保持している前記複数のタブの内、前記医療機器の最基端側及び最先端側の少なくとも一方に配置されていることから、術者が保持面から離間している医療機器の端部を把持し易くなるので、保持台紙から医療機器をさらに容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0018】
<3>請求項3に記載の保持台紙は、前記特定タブは、補助タブを備え、前記特定タブと、前記補助タブで、前記医療機器を挟持することによって、医療機器を確実に保持できる、効果を奏する。
【0019】
<4>請求項4に記載の保持台紙は、前記特定タブの端部には、前記医療機器の長手方向に沿う面が前記医療機器側に折り込まれた、折り返し部が設けられていることから、医療機器が保持台紙の保持面へ落下することを防止して、延いては、医療機器を確実に保持台紙の保持面から離間させて、術者が医療機器をさらに取出し易くなる、効果を奏する。
【0020】
<6>請求項6に記載の保持台紙は、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の保持台紙と、前記保持台紙の外周を覆う保持袋と、を備えた保持台紙組立体において、前記特定タブは、前記保持台紙を前記保持袋内に挿入している時には、前記保持袋によって前記保持面側に押し付けられ、前記保持台紙を前記保持袋から取り出した時には、前記医療機器を前記保持面から離間するように持ち上げることから、保持台紙が保持袋に挿入されている時には特定タブによる嵩高さが減少するので、保管時や輸送時におけるスペースを低減させることができ、保持台紙が保持袋から取り出された時には医療機器が特定タブによって保持台紙の保持面から離間して持ち上がるので、術者が保持台紙から医療機器を容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は第1実施形態の保持台紙の全体図であり、(b)は(a)の特定タブのA−A断面における断面拡大図であり、(c)〜(e)は第1実施形態の特定タブの変形例を示した図である。
図2】本発明の第2実施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は第1実施形態の保持台紙の全体図であり、(b)は(a)の特定タブのB−B断面における断面拡大図である。
図3】本発明の第3実施形態を示す保持台紙の特定タブの側面図である。
図4】本発明の第4実施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は医療機器を保持した保持台紙が保持袋に挿入されている状態を示す保持台紙組立体の全体図であり、(b)は(a)のC−C断面における保持台紙の特定タブの断面拡大図であり、(c)は医療機器を保持した保持台紙が保持袋から取り出された状態を示す全体図であり、(d)は(c)のD−D断面における保持台紙の特定タブにおける断面拡大図である。
図5】本発明の第5施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は第5実施形態を示す保持台紙の全体図であり、(b)は(a)の特定タブ近傍を保持台紙に対して側面から見た図である。
【0022】
以下、本発明の保持台紙を図面に示す好適実施形態に基づいて説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は第1実施形態の保持台紙の全体図であり、(b)は(a)の特定タブのA−A断面における断面拡大図であり、(c)〜(e)は第1実施形態の特定タブの変形例を示した図である。尚、図1では、保持台紙を模式的に図示している為、寸法比は実際とは異なる。
【0024】
図1(a)において、保持台紙1の保持面10には複数のタブが設けられており、医療機器2(図1(a)では医療機器の例として、先端部22に湾曲形状を有したガイドワイヤ2を記載した)が保持台紙1の複数のタブによって保持されている。複数の保持タブは、ガイドワイヤ2の先端部22側を保持するタブ9と、先端側22からガイドワイヤ2の基端部24に向かって(ガイドワイヤの先端部22から反時計方向に向かって)、ガイドワイヤ2の中間部23を保持するタブ32、33、34、35と、から構成されている。尚、ガイドワイヤ2の基端部24は、本実施形態においては、ガイドワイヤ2の中間部23を保持しているタブ33によって保持されている。長軸方向の長さが長いガイドワイヤ2を保持する場合には、タブ32のように、ガイドワイヤ2の中間部23の1周目部分と2週目部分とを一つのタブによって保持するタブを複数個設けることで保持台紙1に保持することができる。
【0025】
複数のタブの内、タブ9はこの他のタブ32、33、34、35とは、性質が異なるタブである。以下にその詳細を記載する。タブ32、33、34、35は、ガイドワイヤ2を保持台紙1の保持面10に保持するように機能しているタブである。
【0026】
一方、タブ9は、図1(b)に示している通り、補助タブ6を備え、タブ9と補助タブ6との間でガイドワイヤ2の先端部22を挟み込むように保持(挟持)している。さらに、タブ9は、この他の複数のタブ32、33、34、35が、ガイドワイヤ2を保持台紙1の保持面10に保持しているのに対して、保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持している(以下、保持面10から離間した位置に保持するタブを特定タブと記載する)。
【0027】
このように、特定タブ9が、ガイドワイヤ2を保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持していることから、術者がガイドワイヤ2を保持台紙1から取り出す際に、特定タブ9によって保持面10から離間している(保持面10から浮いている)ガイドワイヤ2を把持することによって、保持台紙1からガイドワイヤ2を容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0028】
このような保持台紙1を構成する材料は、特に限定されないが、医療機器を保持する一般的な保持台紙と同じ材質から構成されており、一例としては、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、表面コート紙、ポリプロピレン等を用いた合成紙や樹脂シート等が挙げられる。また、特定タブが、保持台紙から切り込みを入れて形成されることを考慮して、特定タブの強度を確保するために、保持台紙1を構成する材料として、繊維性の材質を織り交ぜたポリプロピレンや樹脂シート等を用いることもできる。また、保持台紙1は、これらの材料から成る紙材を1枚又は複数枚積層して形成される。
【0029】
タブ32、33、34、35は、上述の紙材をそれぞれタブ状にカットして、保持台紙1の保持面10に張り付けて設けることも可能であるが、保持台紙1にタブ形状に成るように切り込みを設けて、タブ32、33、34、35を形成しても良く、この他、公知の形成方法を採用することができる。
【0030】
特定タブ9は、図1(b)に示している通り、特定タブ9の形状にカットした部材を保持台紙1の保持面10とは反対側の面に接着して、保持台紙1の縁部20で折り返して、折り返した部分を保持面10側に設けることによって作製されている。特定タブ9の材料は、保持台紙10に適用される材料から形成することができる。また、保持台紙1の保持面10から離間した位置で医療機器を保持(挟持)する点を考慮して、特定タブ9を構成する材料は、剛性を高める為に複数枚積層した紙材から構成することが好ましい。
【0031】
また、特定タブ9は、上述した様に、保持台紙1と異なる部材で構成することもできるが、図1(c)に記載した通り、タブ32、33、34、35と同様に、保持台紙1に切り込み100を設けて、これを切り込み100を設けていない側(図1(c)の左側)に折り曲げて、特定タブ19を形成することもできる。縁部20に限りなく接近した状態で特定タブ19を設けると、切り込み100が縁部20に到達してしまい、特定タブ19が破損する場合がある為、特定タブ19は医療機器を保持面10から離間させる機能を持っている都合状、保持台紙1の縁部20からある程度離れた場所に設けることが好ましい。
【0032】
このように、特定タブ19が、保持台紙1に切り込み100を入れて形成されていることから、ガイドワイヤ2を保持台紙から離間させる為の特定タブ19を簡便に作製することができる、効果を奏する。
【0033】
特定タブ9の補助タブ6は、図1(b)に示している通り、特定タブ9とは異なる部材を特定タブ9に張り付けて形成しても良く、また、図1(d)に示している通り、特定タブ29に切り込み101を設けて、それを折り返すことによって、補助タブ26を形成しても良い。尚、図1(c)に記載している補助タブ16は、特定タブ19に切り込みを入れて形成した補助タブである。
【0034】
また、図1(e)に示している通り、特定タブ39の一方の端部を複数回折り返して、谷部300を形成し、この谷部300によってガイドワイヤ2が保持(挟持)されている形態とすることもできる。また、谷部300は、この形態に限定されることなく、ガイドワイヤ2を保持(挟持)する形態であれば、その他の形態であっても良い。
【0035】
また、本実施例では、特定タブ9が、ガイドワイヤ2の先端部22を保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持しているが、ガイドワイヤ2の基端部24側に特定タブ9を設けて、ガイドワイヤ2の基端部24を保持面10から離間させた構成としても良い。
【0036】
また、ガイドワイヤ2の先端部22やガイドワイヤの基端部24ではなく、ガイドワイヤの中間部23の1か所を特定タブ9によって、ガイドワイヤ2の先端部22を保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持させることもできるが、ガイドワイヤ2を保持台紙1から取り出す際の取り出し易さを考慮すれば、ガイドワイヤ2の先端部22又はガイドワイヤ2の基端部24の位置に特定タブ9を設けることが好ましい。
【0037】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の保持台紙11について、図2を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
尚、図2は、保持台紙11を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0038】
図2(a)において、保持台紙11は、ガイドワイヤ2の基端部24を保持(挟持)する特定タブ49を備えている点で第1実施形態とは異なる。
【0039】
図2(a)及び(b)に示している通り、特定タブ49は、保持台紙1に切り込み102を入れた後に、切り込み102を入れた部分を切り込み102を入れていない側(図2(a)に対して左側)へ折り曲げて形成されており、また、特定タブ49の補助タブ36は、特定タブ49に切り込み103を入れた後に、切り込みを入れた部分を折り曲げて形成されている。ガイドワイヤ2の基端部24は、特定タブ49と補助タブ36とによって挟まれて、保持台紙11の保持面から離間した位置でガイドワイヤ2を保持(挟持)している。
【0040】
このように、特定タブ9が、ガイドワイヤ2の先端部22を保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持し、さらに、特定タブ49が、ガイドワイヤ2の基端部24を保持面10から離間した位置において、ガイドワイヤ2を挟持していることから、術者は、ガイドワイヤ2を保持台紙1から取り出す際に、特定タブ9によって保持面10から離間している(保持面10から浮いている)ガイドワイヤ2の先端部22、又は、特定タブ49によって保持面10から離間している(保持面10から浮いている)ガイドワイヤ2の基端部24を把持することができ、ガイドワイヤ2を把持するポイントが増加する為、保持台紙11からガイドワイヤ2をさらに容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0041】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の保持台紙21について、図3を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及び第2実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
なお、図3は、保持台紙21を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0042】
図3において、保持台紙21の特定タブ59は、その上端部に第1の折り返し部5を有している点、及び特定タブ59の補助タブ46が、その上端部に第2の折り返し部15を有している点で第1実施形態とは異なる。
【0043】
特定タブ59は、保持台紙21に切り込み104を入れた後に、切り込み104を入れた部分を折り返して形成されており、また、補助タブ46も、特定タブ59に切り込み(図示せず)を入れた後に、切り込みを入れた部分を折り返して形成されている。
【0044】
特定タブ59の第1の折り返し部5は、特定タブ59とは異なる部材を特定タブ59に張り付けて形成しても良く、特定タブ59の上端部の一部を挟持しているガイドワイヤ2側に折り曲げて形成しても良い。補助タブ46の第2の折り返し部15も同様の方法で形成することができる。
【0045】
このように本実施形態の保持台紙21は、特定タブ59の上端部にはガイドワイヤ2側に折り込まれた第1の折り返し部5と、特定タブ59の補助タブ46の上端部にはガイドワイヤ2側に折り込まれた第2の折り返し部15と、が設けられていることから、ガイドワイヤ2が保持台紙21の保持面10へ落下することを防止して、延いては、ガイドワイヤ2を確実に保持台紙21の保持面10から離間させて、術者がガイドワイヤ2をさらに取出し易くなる、効果を奏する。
【0046】
尚、折り返し部は、特定タブ59及び補助タブ46のそれぞれの上端部に設けることが最も好ましいが、どちらか一方の上端部に折り返し部を設けても良い。
【0047】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の保持台紙31について、図4を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及びその他の実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
【0048】
図4(a)は医療機器(ガイドワイヤ)を保持した保持台紙が保持袋に挿入されている状態を示す保持台紙組立体の全体図であり、(b)は(a)のC−C断面における保持台紙の特定タブの断面拡大図であり、(c)は医療機器を保持した保持台紙が保持袋から取り出された状態を示す全体図であり、(d)は(c)のD−D断面における保持台紙の特定タブにおける断面拡大図である。なお、図4(a)〜(d)は、保持台紙組立体8及び保持台紙31を模式的に図示しているため、全体の寸法は実際とは異なる。
【0049】
図4(a)及び(b)において、保持台紙31は保持袋7によって覆われており、全体として保持台紙組立体8を構成している点で第1実施形態とは異なる。
【0050】
本実施形態の保持台紙31の特定タブ69は、第1実施形態の特定タブ9と同様に、保持台紙31とは異なる部材から形成されている。特定タブ69の上端部には、第1の折り返し部25が形成されている。
【0051】
特定タブ69の補助タブ56は、特定タブ69に補助タブ56用の別部材を張り付けて形成されており、補助タブ56の上端部には、第2の折り返し部45が形成されている。特定タブ69と補助タブ56との間には、ガイドワイヤ2の先端部22が保持(挟持)されている。
【0052】
図4(b)に示している通り、この時の保持台紙31の特定タブ69は、保持台紙31が保持袋7内に挿入されている為、保持台紙31を覆っている保持袋7によって保持面10側に押し付けられている。また、図4(c)及び(d)に示している通り、ガイドワイヤ2を保持している保持台紙31が、保持袋7から取り出された時には、保持台紙31の特定タブ69は、ガイドワイヤ2の先端部22を保持面10から離間するように持ち上げている。
【0053】
このように、特定タブ69は、保持台紙31を保持袋7内に挿入されている時には、保持袋7によって保持面10側に押し付けられ、保持台紙31を保持袋7から取り出した時には、ガイドワイヤ2を保持面10から離間するように持ち上げることから、保持台紙31が保持袋7に挿入されている時には特定タブ9による嵩高さが減少するので、保管時や輸送時におけるスペースを低減させることができ、保持台紙31が保持袋7から取り出された時にはガイドワイヤ2が特定タブ69によって保持台紙31の保持面10から離間して持ち上がるので、術者が保持台紙31からガイドワイヤ2を容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0054】
また、特定タブ69及び特定タブ69の補助タブ56の上端部には、それぞれ第1の折り返し部25と第2の折り返し部45とが形成されているので、包装袋7によって特定タブ69が保持面10側に押し付けられた場合であっても、ガイドワイヤ2の先端部22が特定タブ69から離脱することなく、安定的に特定タブ69と特定タブ69の補助タブ56とによって保持(挟持)されている。
【0055】
尚、保持袋7は、一般的に滅菌袋と呼ばれており、図4(b)に示している通り、紙材17及び透明の樹脂フィルム27から成る袋である。紙材17には、ラテックス含浸紙やポリエチレンから成る樹脂シートが用いられており、透明フィルム27には、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとを積層して形成したフィルムが一般的に用いられている。尚、紙材17や透明フィルム27は、ここに記載した材料に限らず、他の材料から形成しても良い。
【0056】
また、本実施形態の保持台紙31は、特定タブ69が保持台紙31とは別部材から形成されているが、第1実施形態の変形例として説明した、特定タブ19や特定タブ39を第3の実施形態の特定タブとして用いても良い。また、特定タブ69の補助タブ56は、特定タブ69とは異なる部材から形成しているが、特定タブ69に切り込みを入れて、切り込みを入れた部分を折り曲げて形成しても良い。
【0057】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の保持台紙41について、図5(a)及び(b)を用いて、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。第1実施形態及びその他の実施形態と共通する部分については、図中では同じ符号を付すこととする。
【0058】
本発明の第5施形態を示す保持台紙の説明図であり、(a)は第5実施形態を示す保持台紙の全体図であり、(b)は(a)の特定タブ近傍を保持台紙に対して側面から見た図である。なお、図5(a)及び(b)は、保持台紙41を模式的に図示している為、全体の寸法は実際とは異なる。
【0059】
図4(a)及び(b)において、保持台紙41は、保持台紙41に保持されている医療機器がガイディングカテーテル12となっている点で第1実施形態とは異なる。
【0060】
図5(a)に示している通り、保持台紙41は、ガイディングカテーテル12の先端部210側からコネクタ4を有する基端部220側に向かって、第1のタブ群301、第2のタブ群302、第3のタブ群303、第1の特定タブ79、第2の特定タブ89、第3の特定タブ99及びコネクタ用タブ40を有している。カテーテル12の内、先端部210側から中間部230までの部分は、第1のタブ群301、第2のタブ群302及び第3のタブ群303によって、保持台紙41の保持面10に保持されている。
【0061】
また、図5(b)に示している通り、ガイディングカテーテル12の基端部220は、第1〜第3の特定タブ79、89、99及び第1〜第3の特定タブ79、89、99に設けられた補助タブ66、76、86によって、保持台紙41の保持面10から離間した位置で保持(挟持)されている。また、コネクタ4は、特定タブと同じ機能を有するコネクタ用タブ40によって、保持台紙41の保持面10から離間した位置で保持(挟持)されていることから、保持面10から離間した位置に配置されている。
【0062】
このように、第1〜第3特定タブ79、89、99によって、ガイディングカテーテル12の基端部220を保持台紙41の保持面10から離間した位置において、ガイディングカテーテル12を挟持していることから、術者がガイディングカテーテル12を保持台紙41から取り出す際に、第1〜第3特定タブ79、89、99によって保持面10から離間している(保持面10から浮いている)ガイディングカテーテル12を把持することによって、保持台紙41からガイディングカテーテル12を容易に取り出すことができる、効果を奏する。
【0063】
また、本実施形態では、3個の第1〜第3の特定タブ79、89、99を設けているが、これに限定されることなく1個の特定タブであって良い。ただし、ガイディングカテーテル12は、一般的にガイドワイヤよりも重量が重い医療機器である為、特定タブは、本実施形態のように複数個設けることがより好ましい。また、ガイディングカテーテル12の離脱を防止する為、第1〜第3の特定タブ79、89、99の上端部及び補助タブ56、66、76の上端部に折り返し部を設けても良い。
【0064】
また、特定タブは、ガイディングカテーテル12の先端部210や中間部220や設けることもできるが、一般的に、術者は、ガイディングカテーテル12の基端部230を把持して保持台紙41からガイディングカテーテル12を抜き取ることが多い為、本実施形態の様に、ガイディングカテーテルの基端部220側に設けることが好ましい。
【0065】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想内において、当業者による種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、本発明では保持台紙に保持されている医療機器の例として、ガイドワイヤとガイディングカテーテルとを挙げたが、これに限定されることなくその他の医療機器であっても良い。
【0067】
また、第5実施形態の保持台紙41を包装袋に入れて、保持台紙組立体を構成することもできる。
【0068】
また、第1実施形態の特定タブの変形例として、補助タブの無い特定タブ39を記載したが、これを第2〜第5実施形態の特定タブに用いることもできる。
【0069】
また、一般に保持台紙は、包装袋内に挿入されて、保持台紙組立体を構成することが多い為、特定タブの上端や折り返し部の上端は、包装袋の透明フィルムに損傷を与えない様に、角の部分を丸め加工しておくことが好ましい。
【0070】
また、図示をしていないが、保持台紙を包装袋から取り出す際に特定タブが保持面から離間させる動きを補助する目的として、特定タブが押し付けられている保持面上に、医療機器を保持していない別の特定タブを設けて、離間補助タブを設けても良い。離間補助タブを設けることによって、保持台紙を包装袋から取り出した際に、離間補助タブが特定タブを保持面から離間させるように特定タブを支える為、特定タブが保持面から医療機器を容易に離間させることが出来る。
【符号の説明】
【0071】
1、11、21、31、41 保持台紙
10 保持面
2 ガイドワイヤ
12 ガイディングカテーテル
32、33、34、35 タブ(その他)
301、302、303 タブ群(その他)
40 コネクタ用タブ
5、15、25、45 折り返し部
9、19、29、39、49、59、
69、79、89、99 特定タブ
6、16、26、36、46、56、
66、76、86 補助タブ(特定タブ)
7 包装袋
図1
図2
図3
図4
図5