特許第6359406号(P6359406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359406
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】竪型射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   B29C45/17
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-201288(P2014-201288)
(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2016-68448(P2016-68448A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 義久
(72)【発明者】
【氏名】松本 大樹
【審査官】 越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−340865(JP,A)
【文献】 実開昭55−135821(JP,U)
【文献】 特開平01−115615(JP,A)
【文献】 米国特許第04019824(US,A)
【文献】 特開2011−015599(JP,A)
【文献】 実開昭57−065548(JP,U)
【文献】 特開昭59−022361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
H02K 7/00− 7/20
F16B 21/00−21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸が上下方向に平行な駆動装置と、
前記駆動装置が挿抜される挿抜穴を有するフレームと、
前記フレームからの前記駆動装置の抜け止めを行う抜止部材と
前記フレームの上方に水平に配設され、前記駆動装置により回転する回転テーブルと、を備え、
前記抜止部材は、挿抜方向から見たときに前記挿抜穴よりも小さい抜止穴を有し、該抜止穴の周りに複数の分割部材に分割され
前記回転テーブルは、前記駆動装置の整備に用いる整備穴を有し、
前記整備穴は、前記挿抜方向から見たときに前記抜止穴よりも小さい、竪型射出成形機。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記抜止穴を貫通する駆動装置本体と、該駆動装置本体の外周から突出するフランジとを有し、
前記フランジは、前記挿抜方向から見たときに前記抜止穴よりも大きく、前記抜止部材に載置される、請求項に記載の竪型射出成形機。
【請求項3】
前記抜止部材は、前記フレームに移動自在に載置され、締結具により前記フレームに対し固定される、請求項1または請求項2に記載の竪型射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竪型射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
型開閉方向が上下方向である竪型射出成形機は、回転軸が上下方向に平行な駆動装置を有する(例えば、特許文献1参照)。竪型射出成形機の組立時に、駆動装置はクレーンで吊り下げられ、フレームの穴に上方から挿入される。この状態で、駆動装置のフランジがフレームに対しボルトなどで固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−276324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、駆動装置の整備(交換を含む)時に、駆動装置はフレームの穴から上方に引き抜かれており、下方に引き抜くことができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、駆動装置をフレームの穴から下方に引き抜くことができる、竪型射出成形機の提供を主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
回転軸が上下方向に平行な駆動装置と、
前記駆動装置が挿抜される挿抜穴を有するフレームと、
前記フレームからの前記駆動装置の抜け止めを行う抜止部材と
前記フレームの上方に水平に配設され、前記駆動装置により回転する回転テーブルと、を備え、
前記抜止部材は、挿抜方向から見たときに前記挿抜穴よりも小さい抜止穴を有し、該抜止穴の周りに複数の分割部材に分割され
前記回転テーブルは、前記駆動装置の整備に用いる整備穴を有し、
前記整備穴は、前記挿抜方向から見たときに前記抜止穴よりも小さい、竪型射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、駆動装置をフレームの穴から下方に引き抜くことができる、竪型射出成形機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による竪型射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による竪型射出成形機に型締時の状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による竪型射出成形機の駆動装置の取付構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による竪型射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、本発明の一実施形態による竪型射出成形機の型締時の状態を示す図である。
【0011】
竪型射出成形機は、金型装置30の型閉、型締、および型開を行う型締装置10を有する。金型装置30は、例えば上金型32と、下金型33とで構成される。竪型射出成形機は、型開閉方向が上下方向である。
【0012】
型締装置10は、フレーム11、上プラテン12、下プラテン13、回転テーブル14、トグルサポート16、タイバー17、トグル機構20、および型締モータ21などを有する。
【0013】
上プラテン12は、下プラテン13の上方において昇降自在とされる。上プラテン12における下プラテン13との対向面(下面)には、上金型32が取り付けられる。
【0014】
下プラテン13は、上プラテン12の下方に配設され、フレーム11に対して固定される。下プラテン13における上プラテン12との対向面(上面)には、回転テーブル14を介して複数の下金型33が取り付けられる。
【0015】
回転テーブル14が180°回転することで、下金型33が上金型32と向かい合う位置と、成形品を取り出す位置との間を移動する。成形品を取り出す位置は、下金型33にインサート部材をセットする段取り位置を兼ねてよい。
【0016】
尚、本実施形態の下金型33は、回転テーブル14を介して下プラテン13に取り付けられるが、下プラテン13に直接に取り付けられてもよい。また、下金型33の個数は、2つには限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0017】
トグルサポート16は、下プラテン13の下方において昇降自在とされる。トグルサポート16と上プラテン12とはタイバー17により連結される。下プラテン13とトグルサポート16との間に、トグル機構20が配設される。
【0018】
トグル機構20は、クロスヘッド20a、複数のリンク20b、20cなどで構成される。一方のリンク20bは下プラテン13に対して揺動自在に取り付けられ、他方のリンク20cはトグルサポート16に対して揺動自在に取り付けられる。これらのリンク20b、20cは、ピンなどで屈伸自在に連結される。クロスヘッド20aを昇降させることにより、複数のリンク20b、20cが屈伸され、下プラテン13に対してトグルサポート16が昇降される。
【0019】
型締モータ21は、トグル機構20を作動させ、トグルサポート16を昇降させることにより、上プラテン12を昇降させる。型締モータ21は、例えばトグルサポート16に対し固定される。型締モータ21とトグル機構20との間には、型締モータ21の回転運動をクロスヘッド20aの直線運動に変換する運動変換機構25が配設される。運動変換機構25は、ボールねじ機構などで構成される。
【0020】
型締装置10は、型閉工程において、型締モータ21を駆動して上プラテン12を下降させる。上金型32と下金型33とが接触することにより、型閉工程が完了する。その後、型締工程では、型締モータ21をさらに駆動して型締モータ21による推進力にトグル倍率を乗じた型締力を生じさせる。型締時に上金型32と下金型33との間にキャビティ空間が形成される。射出装置がキャビティ空間に液状の成形材料を充填させる。キャビティ空間内の成形材料が固化した後、型開工程が行われる。型開工程では、型締装置10が型締モータ21を駆動して上プラテン12を上昇させる。型開完了後、下金型33から成形品が取り出される。
【0021】
図3は、本発明の一実施形態による竪型射出成形機の駆動装置の取付構造を示す図である。駆動装置40は、抜止プレート60を介してフレーム11に対して固定される。
【0022】
フレーム11は、駆動装置40が挿抜される挿抜穴11aを有する。挿抜方向(つまり上下方向)から見たとき、挿抜穴11aは駆動装置40よりも大きい。竪型射出成形機の組立時に、駆動装置40はクレーンで吊り下げられ、挿抜穴11aに上方から挿入される。
【0023】
抜止プレート60は、駆動装置40が貫通する抜止穴60aを有する。挿抜方向から見たとき、抜止穴60aは、挿抜穴11aよりも小さく、挿抜穴11aからの駆動装置40の下方向への抜け止めを行う。
【0024】
抜止プレート60は、抜止穴60aの周りに複数の分割プレート61、62に分割されている。複数の分割プレート61、62を左右に分離させることにより、駆動装置40をフレーム11の挿抜穴11aから下方向に引き抜くことができる。
【0025】
抜止プレート60は、フレーム11に移動自在に載置され、フレーム11に対しボルトなどの締結具で固定される。締結具による固定を解除したときに、重力による抜止プレート60の落下が防止できるため、抜止プレート60の水平方向の位置調整が容易である。
【0026】
駆動装置40は、例えば回転テーブル14を回転させるものである。回転テーブル14は、フレーム11の上方に水平に配設され、駆動装置40の整備に用いる整備穴14aを有する。挿抜方向から見たとき、整備穴14aは、抜止穴60aよりも小さい。駆動装置40の整備穴14aからの上への引き抜きが制限されるため、挿抜穴11aからの下への引き抜きを可能とした分割プレート61、62が役立つ。また、整備穴14aが小さいため、下金型33の取り付けスペースが広く、回転テーブル14の剛性が高い。
【0027】
駆動装置40は、駆動装置本体41、フランジ42、回転軸43、回転部材45などを含む。
【0028】
駆動装置本体41は、例えばモータおよび減速機で構成される。駆動装置本体41は、抜止プレート60の抜止穴60aを貫通し、フレーム11の挿抜穴11aに上方から挿入される。尚、駆動装置本体41は、モータのみで構成されてもよい。
【0029】
フランジ42は、駆動装置本体41の外周から突出する。フランジ42は、例えば駆動装置本体41の上端部に形成される。挿抜方向から見たとき、フランジ42は、抜止穴60aよりも大きく、抜止プレート60に載置される。これにより、フレーム11に対する駆動装置40の上下方向の位置が決まる。また、フランジ42を抜止プレート60に対しボルト締結することができる。
【0030】
回転軸43は、駆動装置本体41により回転駆動される。回転軸43は、上下方向に平行とされる。
【0031】
回転部材45は、回転軸43と共に回転する。回転部材45は、例えばプーリで構成され、メカロックなどにより回転軸43と締結される。回転部材45と回転軸43との締結および分離は、例えば整備穴14aを用いて行う。
【0032】
回転部材45の回転運動は、ベルト46を介して回転テーブル14に伝達される。この場合、フレーム11に対する抜止プレート60の水平方向の位置調整により、ベルト46のテンションが調整できる。
【0033】
尚、ベルト46の代わりに、チェーンまたはギヤが用いられてもよい。ギヤの場合、回転部材45もギヤで構成される。
【0034】
以上、竪型射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態の駆動装置40は、フランジ42を有するが、フランジ42を有しなくてもよい。この場合、複数の分割プレート61、62は、駆動装置40を挟み込み、摩擦により抜け止めを行う。また、駆動装置40は、フランジ42の代わりに、溝を外周に有してもよい。この場合、各分割プレート61、62は、駆動装置40の溝に挿入されることで抜け止めを行う。いずれの場合も、複数の分割プレート61、62を分離することにより、駆動装置40をフレーム11の挿抜穴11aから下方向に引き抜くことができる。
【符号の説明】
【0036】
10 型締装置
11 フレーム
11a 挿抜孔
12 上プラテン
13 下プラテン
14 回転テーブル
14a 整備穴
16 トグルサポート
17 タイバー
20 トグル機構
21 型締モータ
40 駆動装置
41 駆動装置本体
42 フランジ
43 回転軸
45 回転部材
60 抜止プレート
60a 抜止孔
61 分割プレート
62 分割プレート
図1
図2
図3