特許第6359414号(P6359414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359414
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】壁固定構造
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/06 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   F24H9/06 302B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-206228(P2014-206228)
(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公開番号】特開2016-75430(P2016-75430A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】栗林 清人
(72)【発明者】
【氏名】野上 敬夫
(72)【発明者】
【氏名】藤川 朋保
(72)【発明者】
【氏名】笠輪 裕士
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−147647(JP,A)
【文献】 実公平07−049322(JP,Y2)
【文献】 特開昭51−067664(JP,A)
【文献】 特開2002−061957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風暖房機等の筐体と、前記筐体背面に設けた背面カバーと、前記背面カバーの側面に開口した穴部と、壁面に固定されるL字状の壁固定金具と、一片を前記穴部にネジ等の調節固定具で回動可能に固定されると共に、他片を前記壁固定金具にネジ等の組み合わせ固定具で回動可能に固定されると共に、前記背面カバーの奥行きの長さよりも長いアーム部とを備え、
前記穴部は、前記背面カバーの側面の壁面側の上部の一端と、この一端から少なくとも前記背面カバーの奥行きの長さよりも遠い位置に他端とを結んだ長穴とすると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にするようにしたことを特徴とした壁固定構造
【請求項2】
温風暖房機等の筐体と、前記筐体背面に設けた背面カバーと、前記背面カバーの側面に開口した穴部と、壁面に固定されるL字状の壁固定金具と、一片を前記穴部にネジ等の調節固定具で回動可能に固定されると共に、他片を前記壁固定金具にネジ等の組み合わせ固定具で回動可能に固定されると共に、前記背面カバーの奥行きの長さよりも長いアーム部とを備え、
前記穴部は、前記背面カバーの側面の壁面側の上端近傍の一端と、前記筐体側の下端近傍の他端とを結んだ長穴とすると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にするようにしたことを特徴とする壁固定構造。
【請求項3】
前記アーム部が前記背面カバーに固定される側に向けて、前記背面カバーの端面に直角に折り返すような折り返し部を設け、前記折り返し部に前記アーム部を出し入れ可能な差し込み口を開口したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の壁固定構造。
【請求項4】
前記背面カバーには、前記アーム部を前記差し込み口から奥に差し込んだ際に、前記組み合わせ固定具が前記背面カバーに当たる位置の水平方向に開口したカバー側切り欠き部を設けると共に、前記折り返し部には前記アーム部を出し入れする際に、前記組み合わせ固定具が通過する位置の水平方向に開口した折り返し側切り欠き部を設けたことを特徴とする請求項3記載の壁固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と壁とを固定する壁固定金具の壁固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の、たとえば温風暖房機と壁を固定する壁固定金具は、L字型の形状をしていると共に、前記温風暖房機の背面の対流用送風機保護カバーには略水平方向に長穴スリットが開口されている。そして、前記L字の長い部分にはカバー固定穴が開口され、前記L字の短い部分には壁固定穴が開口されている。前記壁固定金具の短い部分の前記壁固定穴を介して短い部分と壁とをネジ等の壁固定具で固定し、前記壁固定金具の長い部分の前記カバー固定穴を介して長い部分と前記長穴スリットとをネジ等のカバー固定具で固定するようにしているため、前記温風暖房機設置時に前記温風暖房機と壁との距離を適宜変更しても、前記長穴スリットの寸法分だけ前記カバー固定具の螺着位置を変更することで固定することができる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7―49322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、L字形状の壁固定金具では前記カバーの水平方向に開口された前記長穴スリットにしか螺着することが出来ず、前記筐体と前記壁面との設置距離は前記長穴スリットの幅に制限されてしまう。前記筐体と前記壁面との距離が前記壁固定金具の長さよりも遠い場合は前記壁固定金具のサイズを変更して、新しいロングサイズの壁固定金具に付け替えることで設置可能な範囲を広げていたが、工数が増加することによるコストアップの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、温風暖房機等の筐体と、前記筐体背面に設けた背面カバーと、前記背面カバーの側面に開口した穴部と、壁面に固定されるL字状の壁固定金具と、一片を前記穴部にネジ等の調節固定具で回動可能に固定されると共に、他片を前記壁固定金具にネジ等の組み合わせ固定具で回動可能に固定されると共に、前記背面カバーの奥行きの長さよりも長いアーム部とを備え、前記穴部は、前記背面カバーの側面の壁面側の上部の一端と、この一端から少なくとも前記背面カバーの奥行きの長さよりも遠い位置に他端とを結んだ長穴とすると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にするようにした。
【0007】
また、温風暖房機等の筐体と、前記筐体背面に設けた背面カバーと、前記背面カバーの側面に開口した穴部と、壁面に固定されるL字状の壁固定金具と、一片を前記穴部にネジ等の調節固定具で回動可能に固定されると共に、他片を前記壁固定金具にネジ等の組み合わせ固定具で回動可能に固定されると共に、前記背面カバーの奥行きの長さよりも長いアーム部とを備え、前記穴部は、前記背面カバーの側面の壁面側の上端近傍の一端と、前記筐体側の下端近傍の他端とを結んだ長穴とすると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にするようにした。
【0008】
また、前記アーム部が前記背面カバーに固定される側に向けて、前記背面カバーの端面に直角に折り返すような折り返し部を設け、前記折り返し部に前記アーム部を出し入れ可能な差し込み口を開口した。
【0009】
また、前記背面カバーには、前記アーム部を前記差し込み口から奥に差し込んだ際に、前記組み合わせ固定具が前記背面カバーに当たる位置の水平方向に開口したカバー側切り欠き部を設けると共に、前記折り返し部には前記アーム部を出し入れする際に、前記組み合わせ固定具が通過する位置の水平方向に開口した折り返し側切り欠き部を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記筐体と前記壁面との設置距離が近距離の場合は、前記アーム部と前記壁固定金具を回動させて角度をつけることで、前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。また、遠距離の場合は前記壁固定金具と前記アーム部とを水平にすることで、前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。このような壁固定構造により、設置距離に応じた長短の金具を付け替えることなく簡単な構成で前記筐体と前記壁との設置距離が変わっても前記壁固定金具と前記アーム部を回動させることで固定する事ができると共に、設置可能な範囲も広くすることができる。
【0011】
また、記背面カバーの側面に前記長穴を設けると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にしたことで、前記筐体と前記壁面との設置距離が近距離の場合は、前記壁固定金具と前記アーム部とを回動させて角度をつけ、前記調節金具を前記長穴の他端側にスライドさせて、前記アーム部を前記背面カバー側面と重ねることで、前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。また、遠距離の場合は前記背面カバーの側面に重ねてあった前記アーム部を引き出し、前記壁固定金具と前記アーム部とを水平にすることで、前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。このような壁固定構造により前記筐体の設置距離に関わらず、前記壁固定金具を前記壁面の上部で取り付けることができるので、取り付け作業をする際に作業がしやすいと共に、前記長穴の奥行き分だけ設置可能な範囲を広げることができる。
【0012】
また、前記背面カバーの側面の壁面側の上端近傍の一端と、前記筐体側の下端近傍の他端を結んだ長穴とすると共に、前記アーム部は前記長穴の一端と前記長穴の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さを備え、前記アーム部と前記調節固定具は前記長穴の範囲内をスライド可能にするようにしたことで、前記筐体と前記壁面との設置距離が近距離の場合は前記前記壁固定金具と前記アーム部とを回動させて角度をつけ、前記調節金具を前記長穴の他端側にスライドさせ、背面カバーの側面に前記アーム部を重ねた際に、前記背面カバーを前記アーム部が不必要にはみ出さずに前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。また、前記筐体と前記壁面との設置距離が遠距離の場合は、重ねてあった前記アーム部を引き出し、前記壁固定金具と前記アーム部とを水平にすることで、前記壁固定金具と前記アーム部とを介して前記背面カバーと前記壁面とを固定することができる。このような壁固定構造により、前記背面カバーから不必要にはみ出さずに前記アーム部の長さを最も長くすることができるので、設置可能な範囲をより広くすることができる。
【0013】
また、前記背面カバーに前記折り返し部を設けたことで、前記背面カバー自体の強度を向上させると共に、前記背面カバーに差し込み口を設けたことで、前記アーム部を両側から挟み込んで横方向の揺れを抑制することができる。
【0014】
また、前記カバー側切り欠き部を設けたことで、前記筐体と前記壁面との設置距離が非常に近い場合、前記壁固定金具と前記アーム部が前記背面カバー側面と重なる位置に差し込まれた時でも、前記カバー側切り欠き部に前記組み合わせ固定具が入り込ませると共に、前記折り返し側切り欠き部を開口することで、前記組み合わせ固定具が容易に前記差し込み口を通過させることができるので、前記背面カバーに前記組み合わせ固定具を入り込ませる分だけ設置可能な範囲を広げることができる。また、前記背面カバーの側面に重なるように前記アーム部をはみ出さずにしまい込むことができるので、梱包時や輸送時にコンパクトに収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の使用状態を説明する図
図2】本発明の実施形態の分解斜視図
図3】本発明の第1実施形態の別使用状態を説明する図
図4】本発明の第2実施形態の使用状態を説明する図
図5】本発明の第2実施形態の別使用状態を説明する図
図6】本発明の第3実施形態の背面カバー2の斜視図
図7】本発明の第4実施形態の背面カバー2の斜視図
図8】本発明の第4実施形態の使用状態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態の筐体と壁面とを固定する壁固定構造の構成について図面に基づいて説明する。
図1は筐体を壁面に設置した状態を側面から見た図である。1は略直方体形状の筐体であり、例えば温風暖房機の筐体、2は温風暖房機の筐体1の背面に設けられた図示しない送風ファンの少なくとも側方をカバーする背面カバー、3は温風暖房機の筐体1を設置したときに隣り合う家屋等の壁面、4は壁面3に固定するL字型の壁固定金具、5は一片を背面カバー2に他片を壁固定金具4にそれぞれ取り付けるアーム部、6は背面カバー2とアーム部5の一片を固定するネジ等の調節固定具、7は壁固定金具4とアーム部5の他片を固定するネジ等の組み合わせ固定具である。
【0017】
次に、本発明の各部分の配置や構造を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の実施形態を分解した要部斜視図である。8は背面カバー2の側面に開口された穴部、9はアーム部5を介して背面カバー2を調節固定具6で螺着するための調節穴、10は壁面3と壁固定金具4を固定するネジ等の壁用固定具、11は壁固定金具4を介して背面カバー2を壁用固定具10で螺着するための壁用固定穴、12は壁固定金具4とアーム部5とをそれぞれ組み合わせるために開口された組み合わせ穴である。
【0018】
アーム部5は、アーム部5の一片を背面カバー2の側面に開口した穴部8に調節固定具6で螺着し、アーム部5の他片を壁固定金具4に開口した組み合わせ穴12に組み合わせ固定具7で螺着して、背面カバー2と壁固定金具4とをつなげている。そして、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具7を回転中心として、自由に回動が可能に構成さると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として、自由に回動が可能な構成としている。また、アーム部5の長さは少なくとも背面カバー2の奥行きの長さよりも長い構成としている。
【0019】
また、アーム部5の回動の角度は、角の頂点を組み合わせ固定具7とした地上面の平行線とアーム部5の中心線とで表した角度とする。
【0020】
次に、図1の作業現場での場合の取り付け方法について説明する。
筐体1と壁面3との設置距離が近距離の場合は、設置距離に応じて、壁固定金具4と壁面3とを壁用固定具10で固定する。その時、アーム部5は設置距離が短くなるにつれて、壁固定金具4とアーム部5の角度が大きくなると共に、壁固定金具4と壁面3との固定位置を下げていくが、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具7を回転中心として回動すると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として回動させることで、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定することができる。
【0021】
次に、図3の作業現場での場合の取り付け方法について説明する。
筐体1と壁面3との設置距離が遠距離の場合は、設置距離に応じて、壁固定金具4と壁面3とを壁用固定具10で固定する。その時、アーム部5設置距離が長くなるにつれて、壁固定金具4とアーム部5の角度が小さくなり水平状態に近い状態になると共に、壁固定金具4と壁面3との固定位置を上げていくが、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具7を回転中心として回動すると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として回動させることで、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定する。ただし、壁固定金具4とアーム部5が水平になり、角度が0になったところが実施形態1の最大設置距離とする。
【0022】
このように、組み合わせ固定具7を回転中心として、壁固定金具4とアーム部5とを回動できようにしたと共に、調節固定具6を回転中心として、背面カバー2とアーム部5とを回動できるようにしたことで、筐体1と壁面3の設置距離に合わせて、壁面3と壁固定金具4との固定位置を適宜上下させて取り付けても、壁固定金具4とアーム部5に角度をつけることでアーム部を固定することができる。
【0023】
例えば、設置距離が近距離の場合は、壁固定金具4とアーム部5に角度をつけることで固定することができる。また、設置距離が遠距離の場合は、壁固定金具4とアーム部5を水平にすることで壁固定金具4とアーム部5を介して、背面カバー2と壁面3を固定することができるので、設置距離に応じた長短の金具を付け替えることなく簡単な構成で筐体1と壁面3との設置可能な範囲を広くすることができる。
【0024】
次に背面カバー2の穴部5の形状を変更した第2の実施形態について図4に基づいて説明する。ここでは、第1の実施形態と同一のものは同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
13は、背面カバー2の側面の壁面3側の上端近傍の一端から水平に開口された水平長穴部と、水平長穴部の筐体1側末端から垂直下向きに背面カバー2の下端近傍の他端まで開口された垂直長穴部とからなる直角長穴である。
【0026】
そして、穴部8を直角長穴13にしたことで、直角長穴13の範囲分だけ壁面3との距離を適宜移動させることができるため、設置場所によって壁面3との距離が異なっていても確実に固定する事ができる。
【0027】
また、アーム部5の長さは、直角長穴13の一端と長穴13の他端を直線で結んだ長さと略同寸とするので、背面カバー2の奥行きの長さよりも長いアーム部5とし、且つ、アーム部5が背面カバー2からはみ出すことなく背面カバー2の側面に重ねられるものとする。
【0028】
次に、穴部8を直角長穴13に変えたとき、図4の作業現場での場合の取り付け方法について説明する。
筐体1と壁面3との設置距離が近距離の場合は、直角長穴13上部と同じ高さの壁面3に壁用固定具10で固定する。そして、設置距離に応じてアーム部5の調節固定具6を直角長穴13の範囲分をスライドさせて、アーム部5を背面カバー2の側面と重なるように差し込み調節固定具6で固定する事で、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定する。また、調節固定具6を直角長穴13の垂直長穴部の範囲にスライドさせた時、壁固定金具4とアーム部5は角度がつく状態になるが、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具7を回転中心として回動すると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として回動させることで、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定することができる。
【0029】
次に、図5の作業現場での場合の取り付け方法について説明する。
筐体1と壁面3との設置距離が遠距離の場合は、直角長穴13上部と同じ高さの壁面3に壁用固定具10で固定する。そして、設置距離に応じてアーム部5の調節固定具6を直角長穴13の範囲分をスライドさせて、設置距離が近距離の際に背面カバー2の側面に重なるように差し込んでいたアーム部5を引き抜き、調節固定具6で固定する事で、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定する。また、調節固定具6を直角長穴13の水平長穴部の範囲にスライドさせた時、壁固定金具4とアーム部5は水平状態になるが、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具7を回転中心として回動すると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として回動させることで、壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定することができる。
【0030】
このように、直角長穴13を設けると共に、調節固定具4とアーム部5とを長穴13の範囲内をスライド可能にしたことで、長穴13の奥行き分だけ前記第1の実施形態よりも設置可能な範囲を広げることができると共に、筐体1の設置距離に関わらず壁面3上部で固定することができるので、壁固定金具4の取り付け作業がしやすい。また、アーム部5の長さは直角長穴13の一端と直角長穴13の他端を直線で結んだ長さと略同寸の長さであると共に組み合わせ固定具7を回転中心として、壁固定金具4とアーム部5とを回動できようにしたと共に、調節固定具6を回転中心として、背面カバー2とアーム部5とを回動できるので、設置距離が近距離の場合でも遠距離の場合でも設置可能な範囲を広げると共に、設置距離に応じた長短の金具を付け替えることなく簡単な構成で固定することができる。
【0031】
次に背面カバー2の形状を変更した第3の実施形態について図6に基づいて説明する。ここでは、第1の実施形態と同一のものは同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
14はアーム部5が背面カバー2に固定される方向に向けて、背面カバー2の端面を直角に折り返すような折り返し部、15は折り返し部14にアーム部5を出し入れ可能にする差し込み口である。
【0033】
筐体1と壁面3を壁固定金具4とアーム部5を介して固定する場合、背面カバー2の端面に設けた折り返し部14に開口された差し込み口15にアーム部5を差し込み、アーム部5の一片を背面カバー2に開口された直角長穴13に調節固定金具で螺着することで固定する。
【0034】
このように、背面カバー2の端面に折り返し部14を設けた事で、背面カバー2の強度を高めることができる。また、折り返し部14に差し込み口15を開口してアーム部5を両側で挟み込むようにしたことで、地震等で発生した横方向の揺れを抑制することができる。
【0035】
次に背面カバー2の形状を変更した第4の実施形態について図7に基づいて説明する。ここでは、第1の実施形態と同一のものは同一の符号を付してその説明を省略する。
16は、アーム部5を差し込み口15に差し込んだとき、アーム部5と壁固定金具4を固定している組み合わせ固定具7が背面カバー2に当たる場所に、水平方向に設けられたカバー側切り欠き部、17はアーム部5を差し込み口15内で出し入れしたとき、組み合わせ固定具12が折り返し部14を通過する位置に、水平方向に設けられた折り返し側切り欠き部である。
【0036】
そして、カバー側切り欠き部16は、アーム部5を差し込み口15に差し込み、アーム部5の調節固定具6が直角長穴13の他端までスライドさせようとすると、壁固定金具4とアーム部5を固定する組み合わせ固定具7が背面カバー2の端部に当たってしまい、調節固定具6が直角長穴13の他端までスライドできないことを防ぐように設けられている。
また、カバー側切り欠き部16の大きさは少なくとも組み合わせ固定具7が収納できる大きさを有する。
【0037】
また、折り返し側切り欠き部17は、アーム部5を差し込み口15に差し込み、アーム部5の調節固定具6が直角長穴13の他端までスライドさせようとすると、壁固定金具4とアーム部5を連結させる組み合わせ固定具7が背面カバー2の折り返し部14に当たってしまい、調節固定具6が直角長穴13の他端までスライドできないことを防ぐと共に、差し込み口15を組み合わせ固定具7が通過できるように設けている。
【0038】
次に、図8の作業現場での場合の取り付け方法について説明する。
筐体1と壁面3との設置距離がほとんど無い近距離だった場合は、直角長穴13上部と同じ高さの壁面3に壁用固定具10で固定する。そして、調節固定具6を長穴13の他端までスライドさせる。その時、壁固定金具4とアーム部5は角度がつく状態になるが、壁固定金具4とアーム部5は組み合わせ固定具を回転中心として回動すると共に、背面カバー2とアーム部5は調節固定具6を回転中心として回動させると共に、組み合わせ固定具7は折り返し側切り欠き部17を通過し、カバー側切り欠き部16内に収納することで、設置距離がほとんど無い場合でも壁固定金具4とアーム部5とを介して筐体1と壁面3を固定することができる。
【0039】
このように、カバー側切り欠き部16を設けたことで、調節固定金具6を直角長穴13の他端までスライドさせた場合、組み合わせ固定具7が背面カバー2の端部に当たり、直角長穴13の他端までスライドできないことを防ぐと共に、組み合わせ固定具7をカバー側切り欠き部16内に収納することができる。また、カバー側切り欠き部16を設けた事で、調節固定金具6を直角長穴13の他端までスライドさせた場合、組み合わせ固定具7が折り返し部14に当たり、直角長穴13の他端までスライドできないことを防ぎ、組み合わせ固定具7を容易に通過させることができる。そして、カバー側切り欠き部16と折り返し切り欠き部17を設けた事で、設置距離がほとんど無いときでも、調節固定具6を長穴13の他端にスライドさせ、組み合わせ固定具7をカバー側切り欠き部16内に収納することで、第2の実施形態よりも設置可能な範囲を広げることができる。
【0040】
また、背面カバー2の側面に重なるようにアーム部5をはみ出さずにしまい込むことができるので、梱包時や輸送時にコンパクトに収納することができる。
【0041】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変することを妨げるものではなく、例えば、本発明では長穴を直角に開口された直角長穴13としているが背面カバー2の側面の壁面3側の上部に長穴の一端と、長穴の一端から少なくとも背面カバー2の奥行きの長さよりも距離が長い場所に他端を設ければ、長穴の一端と長穴の他端とが結ばれた長穴がどんな形状をしていても良いものである。
【0042】
また、本発明では背面カバー2に直角長穴13を開口していたが直接筐体1に直角長穴13を設けてもよいものである。
【0043】
また、本実施形態では筐体として温風暖房機を例にあげたが、これに限らず電気温水器や給湯機等の筐体であっても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体
2 背面カバー
3 壁面
4 壁固定金具
5 アーム部
6 調節固定具
8 穴部
13 直角長穴
14 折り返し部
15 差し込み口
16 カバー側切り欠き部
17 折り返し側切り欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8