【実施例1】
【0029】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の構造について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0030】
図1に示すように、トンネル掘削機1は、掘削機本体としての円筒形状を成すスキンプレート10と、スキンプレート10の前方部(
図1における左方側)に回転自在に装着される円盤形状のカッタヘッド11と、スキンプレート10の後方部(
図1における右方側)に設けられるエレクタ装置12および推進ジャッキ(推進手段)13とから概略構成されている。
【0031】
カッタヘッド11は、その後方に配置されるカッタ旋回モータ14と図示しないリングギヤ等のギヤ機構を介して連結されている。カッタ旋回モータ14を駆動することにより、図示しないギヤ機構を介してカッタヘッド11を回転駆動し、前方の地山を掘削することができるようになっている。
【0032】
また、スキンプレート10には、カッタヘッド11の後方に位置してバルクヘッド15が取り付けられており、カッタヘッド11とバルクヘッド15との間にチャンバ15aが形成されている。なお、カッタヘッド11、カッタ旋回モータ14および図示しないギヤ機構は、バルクヘッド15を介してスキンプレート10に支持されている。
【0033】
スキンプレート10の内側には、スクリューコンベア16が配設され、カッタヘッド11で掘削された土砂をトンネル100の後方へ排出可能になっている。すなわち、スクリューコンベア16の前端部(取り出し口)16aがバルクヘッド15を貫通してチャンバ15aに開口すると共に、後方部に設けた図示しない排出口がトンネル100内の長手方向に配設された図示しないベルトコンベア上に位置する。このスクリューコンベア16は、後上がりに傾斜して配置された円筒管の内部に、図示しない駆動モータによって回転可能にスクリュー翼17が装着されて成る。
【0034】
エレクタ装置12は、スキンプレート10の内側に設置され、グリッパ18によって保持したセグメントSを、旋回モータ19およびリングギヤ20によって周方向に移動すると共に図示しない昇降ジャッキ等によって径方向に移動し、カッタヘッド11によって掘削されたトンネル100の内周面に構築する(組み立てる)ことができるようになっている。
【0035】
推進ジャッキ(推進手段)13は、スキンプレート10の内側に設置され、覆工部材としてトンネル100の内周面に構築された(組み立てられた)既設のセグメントSに対して伸長することにより、スキンプレート10すなわちトンネル掘削機1を掘進させるための反力を得ることができるようになっている。このように、セグメントSからの反力を得てトンネル掘削機1を掘進させることにより、前方の地山を掘削してトンネル100を形成していく。
【0036】
推進ジャッキ13には、後方へ延出する駆動ロッド21が設けられており、この駆動ロッド21の先端部(
図1における右方側端部)には、スプレッダ22が設けられている。よって、推進ジャッキ13を伸長させた際には、スプレッダ22がセグメントSに押し当てられることになるので、推進ジャッキ13の押圧力が略均一にセグメントSに作用し、セグメントSの損傷等を防ぐことができる。
【0037】
図2および
図3に示すように、スプレッダ22には、スキンプレート10とセグメントSとの間の隙間(テールクリアランスx)を計測するための矩形形状の回転部材31が設けられており、この回転部材31は、一端がスプレッダ22の内部で回転中心C回りに回転可能に支持され、他端がスプレッダ22の前面22aに設けられた開口部23を挿通してスプレッダ22の前方(
図3における右方側)へ突出している。
【0038】
よって、スキンプレート10の内周側(
図3における上方側)に構築されたセグメントSに対して推進ジャッキ13を伸長させた際には、スプレッダ22の前方へ突出した回転部材31の前面(計測面)31aがセグメントSにおける内周側(
図3における上方側)の角部Saに接触するようになっている。そして、
図3および
図4に示すように、推進ジャッキ13を更に伸長させると、回転部材31がセグメントSに押されて回転中心C回りに回転(
図3においては、左回転)するようになっている。
【0039】
また、回転部材31の他端近傍には、ロッド部材41が軸方向(
図3における左右方向)に沿って延在するよう連結されており、このロッド部材41には、固定部材42を介して推進ジャッキ13に固定された第一のストロークセンサ(例えば、磁歪式ストロークセンサ)43が軸方向に沿って延在するよう取り付けられている。
【0040】
よって、ロッド部材41は、回転部材31の回転、すなわち、回転部材31の他端部における回転動作に伴って軸方向に移動し、その移動量(ストローク量)は、第一のストロークセンサ43によって計測されるようになっている。つまり、回転部材31の回転動作がロッド部材41の軸方向移動動作に変換され、ロッド部材41の軸方向移動動作の移動量が第一のストロークセンサ43によって検出されるようになっている。
【0041】
第一のストロークセンサ43のセンサマグネット44と固定部材42との間には、スプリング45が設けられており、センサマグネット44とロッド部材41と回転部材31とには、スプリング45による前方への付勢力が作用するようになっている。よって、回転部材31は、スプリング45によって他端がスプレッダ22の前方へ突出するように付勢され、推進ジャッキ13を伸長させた際には最初にセグメントSと接触し、推進ジャッキ13の更なる伸長によってスプリング45の付勢力に抗して一端側の回転中心C回りに回転(
図3においては、左回転)するようになっている。
【0042】
また、スプレッダ22には、固定部材51を介して第二のストロークセンサ(例えば、磁歪式ストロークセンサ)52が径方向(
図3における上下方向)に沿って延在するよう設けられており、この第二のストロークセンサ52には、ローラ装置53が取り付けられている。ローラ装置53は、第二のストロークセンサ52のセンサマグネット54に連結されて径方向に沿って延在するアーム部55と、アーム部55の先端側(
図3における下方側)に回転自在に設けられるローラ部56とから成る。よって、推進ジャッキ13を伸縮動作させた際には、ローラ部56がスキンプレート10の内周面10aに接触した状態で転がり、第二のストロークセンサ52およびローラ装置53がスプレッダ22と共に軸方向に沿って滑らかに移動することができるようになっている。
【0043】
第二のストロークセンサ52のセンサマグネット54と固定部材51との間には、スプリング57が設けられており、センサマグネット54とローラ装置53とには、スプリング57による外周側(
図3における下方側)への付勢力が作用するようになっている。よって、ローラ装置53のローラ部56は、スキンプレート10の内周面10aに押し付けられた状態で接触しており、スプレッダ22がスキンプレート10に対して径方向に移動した場合においても、スプリング57の付勢力によってローラ装置53がスキンプレート10の内周面10aに追従するので、スプレッダ22とスキンプレート10との間の隙間aを計測することができる。
【0044】
本実施例においては、回転部材31、ロッド部材41、第一のストロークセンサ43等によって回転角検出手段が構成され、固定部材(固定部)51、第二のストロークセンサ(測定部)52、ローラ装置53、スプリング(付勢部)57等によって距離検出手段が構成されている。そして、トンネル掘削機1においては、推進ジャッキ13は、スキンプレート10の円周方向に所定間隔離間して多数配置されており、そのうち天地左右の四方向に配設された推進ジャッキ13に上記構成の回転角検出手段および距離検出手段が設けられている。なお、ローラ部56は、断面略ひし形の円盤形状を成しており、当該ひし形の鋭角部(円盤形状の周縁部)56aにおいてスキンプレート10の内周面10aと当接しながら回転するようになっている。
【0045】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機1の動作について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0046】
トンネル掘削機1は、カッタ旋回モータ14を駆動することにより、図示しないギヤ機構を介してカッタヘッド11を回転駆動して前方の地山を掘削する(
図1参照)。スクリューコンベア16によって、掘削された土砂をトンネル100の後方へ排出しつつ、エレクタ装置12によって掘削されたトンネル100の内周面にセグメントSを構築していく。そして、推進ジャッキ13を伸長させ、既設のセグメントSに対してスプレッダ22を押し付けることにより、掘進するための反力を得る。
【0047】
そして、スキンプレート10の内周側において周方向に多数設けられた推進ジャッキ13のうち、前述したテールクリアランス計測手段を備えた推進ジャッキ13(本実施例においては、トンネル掘削機1の天地左右に配置されたもの)を伸長し、当該推進ジャッキ13のスプレッダ22を既設のセグメントSに当接させた際に、スキンプレート10とセグメントSとの間の隙間(テールクリアランス)の計測が行われる。
【0048】
図4において実線で示すように、推進ジャッキ13を伸長する前においては、回転部材31は、セグメントSと接触しておらず、その上端側がスプレッダ22の開口部23から前方へ突出しており、回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点Eは点E
0に位置し、回転部材31とロッド部材41とが連結される支持点Bは点B0に位置している。
【0049】
そして、推進ジャッキ13を伸長すると、回転部材31の前面31aがセグメントSの角部Saに接触し、推進ジャッキ13を更に伸長すると、回転部材31が回転角度θだけ回転(
図4においては、左回転)し、スプレッダ22がセグメントSと当接する。このとき、
図4において二点鎖線で示すように、回転部材31は、その上端側の一部がスプレッダ22の開口部23から内部に入り込み、回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点Eは点E
1に位置し、回転部材31とロッド部材41とが連結される支持点Bは点B1に位置している。
【0050】
ここで、セグメントSの径方向(
図4における上下方向)の長さ(セグメント厚)をt、スプレッダ22の径方向の長さ(スプレッダ高さ)をb、スキンプレート10とスプレッダ22との間の隙間(スプレッダ隙間距離)をa、回転部材31の回転中心Cとスプレッダ22の上面22bとの距離(回転支持距離)をg、回転部材31の回転中心Cと交点E
1との径方向における距離(交点距離)をe
1とすると、テールクリアランスxは、
x=e
1+a+b−(g+t) ・・・(1)
と表される。
【0051】
この式(1)において、スプレッダ高さb、セグメント厚t、回転支持距離gは、予め設定されている既知の数値(設定値)であり、スプレッダ隙間距離aおよび交点距離e
1は、トンネル掘削機1の掘進中において変動し得るものである。そして、スプレッダ隙間距離aは、第二のストロークセンサ52によって計測される数値(計測値)であり、交点距離e
1は、第一のストロークセンサ43によって計測される数値(計測値)から算出されるものである。交点距離e
1の算出については、以下に説明する。
【0052】
交点距離e
1は、回転部材31とセグメントSとの相対位置によって決められるものである。本実施例においては、回転部材31は、回転部材31とセグメントSとの相対位置、すなわち、回転部材31に対するセグメントSにおける内周側の角部Saの位置に応じて、回転動作するようになっており、交点距離e
1は、スプレッダ22がセグメントSと当接した際に回転部材31が回転する回転角度θから求められる。
【0053】
図4に示すように、回転部材31の回転中心Cとスプレッダ22の前面22aとの距離をfとし、回転部材31の回転中心Cと交点E
0との径方向における距離(交点距離)をe
0とすると、交点距離e
1と回転角度θとの関係は、
【数1】
と表され、この式(2)をe
1について解くと、
【数2】
となる。
【0054】
また、本実施例においては、回転部材31の回転動作がロッド部材41の軸方向移動動作に変換されようになっており、回転角度θは、第一のストロークセンサ43によって計測される数値(計測値)から算出される。
【0055】
ロッド部材41および第一のストロークセンサ43の軸方向長さを十分に長く設定することにより、
r+s
0−c×sinθ≒r+s
1 ・・・(4)
と表される近似の関係が成り立つ。ここで、rはロッド部材41の長さであり、s
0は未接触時における第一のストロークセンサ43の長さであり、s
1は当接時における第一のストロークセンサ43の長さである。
この式(4)をθについて解くと、
【数3】
となる。
【0056】
この式(5)で求まる回転角度θを式(3)に代入すると、
【数4】
と表され、交点距離e
1は、第一のストロークセンサ43によって計測される数値(計測値)s
1から算出することができる。
【0057】
よって、この式(6)で求まる交点距離e
1を式(1)に代入することにより、テールクリアランスxは、
【数5】
と表される。
【0058】
つまり、式(7)において、f、s
0、c、e
0、b、g、tには、既知の数値を代入し、aには、第二のストロークセンサ52によって計測される数値を代入し、s
1には、第一のストロークセンサ43によって計測される数値を代入することにより、テールクリアランスxを求めることができる。
【0059】
以上のようにして、本実施例に係るトンネル掘削機1によれば、テールクリアランスxを計測するためのテールクリアランス計測手段、すなわち、回転部材31と第一のストロークセンサ43と第二のストロークセンサ52等が推進ジャッキ13の内周側に突出していないので、作業者が足を引っ掛けることはなく、推進ジャッキ13の内周側における他作業の邪魔になることはない。
【0060】
本実施例においては、交点E
1は、側面視(
図3における紙面方向に見た場合)における回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点であり、セグメントSにおけるピン角に形成された内周側の角部Saの位置(回転部材31におけるセグメントSの角部Saとの当接位置)と一致するようになっている。よって、セグメントSにおける内周側の角部Saに面取り加工等を施した場合には、回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点E
1からセグメントSにおける内周側の端面Scまでの距離を考慮して算出する。
【0061】
また、
図5に示すように、回転中心Cが計測面上にない、すなわち、回転部材131において回転中心Cと前面(計測面)131aとが離れて設定している場合には、当該回転中心Cと前面131aとの距離d(既知の設定値)等を考慮することにより、本実施例と同様に、テールクリアランスxを算出することができる。
【0062】
もちろん、本発明に係るトンネル掘削機における回転部材は、本実施例のようにセグメントSにおける内周側の角部Saと接触して回転し得るものに限定されず、セグメントにおける外周側の角部と接触して回転し得るものであっても良い。このように、セグメントにおける外周側の角部と接触して回転し得る回転部材を備えたトンネル掘削機においては、本実施例のようにセグメント厚tを考慮することなく、テールクリアランスxを求めることができる。
【実施例2】
【0063】
本発明の実施例2に係るトンネル掘削機について、
図6および
図7を参照して説明する。
【0064】
本実施例に係るトンネル掘削機は、掘削機本体としての円筒形状を成すスキンプレート10と、スキンプレート10の前方部(
図1における左方側)に回転自在に装着される円盤形状のカッタヘッド11と、スキンプレート10の後方部(
図1における右方側)に設けられるエレクタ装置12および推進ジャッキ(推進手段)13とから概略構成されており、実施例1におけるロッド部材41および第一のストロークセンサ43の代わりに、回転部材31の回転角度を検出する回転角検出手段としての回転角センサ140を設けたことを除いて、本発明の実施例1に係るトンネル掘削機と同様な構造を有するものである。よって、本実施例に係るトンネル掘削機における実施例1と同様な構造に対する重複説明は適宜省略する。
【0065】
図6に示すように、スプレッダ22には、スキンプレート10とセグメントSとの間の隙間(テールクリアランス)を計測するための矩形形状の回転部材31が設けられており、この回転部材31は、一端がスプレッダ22の内部で回転可能に支持され、他端がスプレッダ22の前面22aに設けられた開口部23を挿通してスプレッダ22の前方(
図6における右方側)へ突出している。
【0066】
よって、スキンプレート10の内周側(
図6における上方側)に構築されたセグメントSに対して推進ジャッキ13を伸長させた際には、スプレッダ22の前方へ突出した回転部材31の前面(計測面)31aがセグメントSにおける内周側の角部Saに接触するようになっている。そして、推進ジャッキ13を更に伸長させると、回転部材31がセグメントSに押されて回転中心C回りに回転(
図6においては、左回転)するようになっている。
【0067】
また、回転部材31においては、回転可能に支持された一端側に回転角センサ(例えば、ロータリエンコーダ)140が設けられており、この回転角センサ140は、セグメントSと接触する前の初期位置(角度)からの回転角度θを検出するようになっている。
【0068】
図7において実線で示すように、推進ジャッキ13を伸長する前においては、回転部材31は、セグメントSと接触しておらず、その上端側がスプレッダ22の開口部23から前方(
図7における右方側)へ突出しており、回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点Eは点E
0に位置している。
【0069】
そして、
図7において二点鎖線で示すように、推進ジャッキ13を伸長すると、回転部材31は、セグメントSとの接触によって回転し、回転部材31は、その上端側の一部がスプレッダ22の開口部23から内部に入り込み、回転部材31の前面31aとスプレッダ22の前面22aとの交点Eは点E
1に位置する。このときの回転角、すなわち、回転部材31が回転中心C回りに回転する回転角度θは、回転角センサ140によって検出される。
【0070】
よって、前述の式(3)で求まる交点距離e
1を式(1)に代入することにより、テールクリアランスxは、
【数6】
と表される。
【0071】
本実施例に係るトンネル掘削機1によれば、実施例1における作用効果に加え、ロッド部材41等を備えずにテールクリアランス計測手段の構成およびテールクリアランスの演算を簡易なものとすることができる。
【実施例3】
【0072】
本発明の実施例3に係るトンネル掘削機について、
図8を参照して説明する。
【0073】
本実施例に係るトンネル掘削機は、掘削機本体としての円筒形状を成すスキンプレート10と、スキンプレート10の前方部(
図1における左方側)に回転自在に装着される円盤形状のカッタヘッド11と、スキンプレート10の後方部(
図1における右方側)に設けられるエレクタ装置12および推進ジャッキ(推進手段)13とから概略構成されており、実施例1における第二のストロークセンサ52を備えておらず、テールクリアランスを計測するための回転部材31および第一のストロークセンサ243等がスキンプレート10の内周面10aから一定の距離を保持して推進ジャッキ13に支持されるようにしたことを除いて、本発明の実施例1に係るトンネル掘削機と同様な構造を有するものである。よって、本実施例に係るトンネル掘削機における実施例1と同様な構造に対する重複説明は適宜省略する。
【0074】
図8に示すように、スプレッダ22には、固定部材251が固定されており、この固定部材251には、径方向(
図8における上下方向)に延在するロッド部材252がスプリング253を介して径方向に移動可能に設けられており、このロッド部材252の先端(
図8における下方側)には、ローラ254が設けられている。
【0075】
つまり、ロッド部材252およびローラ254には、スプリング253による外周側(
図8における下方側)への付勢力が作用するようになっており、ローラ254は、スキンプレート10の内周面10aに押し付けられた状態で接触している。よって、スプレッダ22がスキンプレート10に対して径方向に移動するなどしてスプレッダ22とスキンプレート10との間に隙間が生じたとしても、ローラ254は、スプリング253の付勢力によってスキンプレート10の内周面10aに追従することができる。なお、ローラ254は、断面略ひし形の円盤形状を成しており、当該ひし形の鋭角部(円盤形状の周縁部)254aにおいてスキンプレート10の内周面10aと当接しながら回転するようになっている。
【0076】
また、スプレッダ22には、スキンプレート10とセグメントSとの間の隙間(テールクリアランス)を計測するための矩形形状の回転部材31が設けられている。回転部材31の一端は、ロッド部材252に回転可能に支持されており、回転部材31の他端は、開口部23を挿通してスプレッダ22の前方へ突出するようになっている。
【0077】
また、回転部材31の他端近傍には、ロッド部材241が軸方向(
図8における左右方向)に沿って延在するよう連結されており、このロッド部材241には、固定部材242および図示しないフレーム部材を介してロッド部材252に固定された第一のストロークセンサ(例えば、磁歪式ストロークセンサ)243が軸方向に沿って延在するよう取り付けられている。
【0078】
つまり、回転部材31および第一のストロークセンサ243等は、ロッド部材252と共にスプレッダ22に対して径方向に移動するようになっており、スキンプレート10の内周面10aに対して一定の距離に位置するようになっている。本実施例においては、固定部材(固定部)251、ロッド部材(遠隔部)252、スプリング(付勢部)253、ローラ(ローラ部材)254等によって、回転部材31をスキンプレート10から所定の距離に保持する保持手段が構成されている。
【0079】
よって、スプレッダ22がスキンプレート10に対して径方向に移動するなどしてスプレッダ22とスキンプレート10との間に隙間が生じたとしても、回転部材31の回転中心Cとスキンプレート10の内周面10aとの距離jは一定であるので、第一のストロークセンサ243の検出結果のみでテールクリアランスを計測することができる。
【0080】
つまり、セグメントSの径方向の長さ(セグメント厚)をt、回転部材31の回転中心Cとスキンプレート10の内周面10aとの距離(回転中心距離)をj、回転部材31の回転中心Cと交点E
1との交点距離をe
1とすると(
図4参照)、テールクリアランスxは、
x=e
1+j−t ・・・(9)
と表される。
【0081】
この式(7)において、セグメント厚t、回転中心距離jは、予め設定されている既知の数値(設定値)であり、交点距離e
1は、実施例1と同様に前述の式(6)により求まるものである。
【0082】
よって、前述の式(6)で求まる交点距離e
1を式(9)に代入することにより、テールクリアランスxは、
【数7】
と表される。
【0083】
以上のようにして、本実施例に係るトンネル掘削機1によれば、実施例1に係るトンネル掘削機における作用効果に加え、センサの数量すなわち部品点数を減らすことができるので、製造コストの増加を抑えることができる。