(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359416
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】密封構造及びその密封構造を備えた外圧負荷試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 3/12 20060101AFI20180709BHJP
F16J 15/08 20060101ALI20180709BHJP
F16J 15/46 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
G01N3/12
F16J15/08 T
F16J15/46
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-213060(P2014-213060)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-80544(P2016-80544A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004905
【氏名又は名称】株式会社山本水圧工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 吉則
(72)【発明者】
【氏名】高野 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】菅澤 公夫
(72)【発明者】
【氏名】武内 大
(72)【発明者】
【氏名】岩村 忠儀
【審査官】
萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−074624(JP,A)
【文献】
特公昭56−048819(JP,B2)
【文献】
特開平08−303591(JP,A)
【文献】
特開平11−351404(JP,A)
【文献】
特開2001−200938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
F16J 15/00 −15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧液体が充填される圧力容器と、両端部それぞれが前記圧力容器の両端壁それぞれの貫通穴から突出する試験対象の管材とを含み、前記圧力容器の前記貫通穴と前記管材の外周面との間を密封する構造であって、
当該密封構造は、
前記圧力容器内の前記加圧液体側から前記圧力容器の外部側に向けて順に、第1パッキンリングと、第2パッキンリングと、第1補助リングと、第2補助リングと、前記圧力容器の前記端壁に取り付けられた環状の蓋と、を備え、
前記第1補助リングの前記第2補助リング側の端面は、先端側ほど直径が縮小するテーパ面に形成され、
前記第2補助リングの前記第1補助リング側の端面は、前記第1補助リングの前記テーパ面に対向し、先端側ほど直径が拡大するテーパ面に形成されており、
前記第2パッキンリングは前記第1補助リング及び第2補助リングよりも軟質で、圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能であり、
前記第1補助リング及び第2補助リングは圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能である、密封構造。
【請求項2】
請求項1に記載の密封構造において、
前記第1パッキンリングはOリング又は断面U字状のパッキンリングである、密封構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の密封構造において、
前記第1補助リング及び第2補助リングが金属である、密封構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の密封構造において、
前記第1補助リングの前記テーパ面及び第2補助リングの前記テーパ面それぞれの傾斜角度が、中心軸に対し30°〜60°である、密封構造。
【請求項5】
加圧液体が充填される圧力容器と、
両端部それぞれが前記圧力容器の両端壁それぞれの貫通穴から突出する試験対象の管材と、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の密封構造と、
前記圧力容器内に前記加圧液体を送り出す液体供給装置と、を備えた、外圧負荷試験機。
【請求項6】
請求項5に記載の外圧負荷試験機において、
前記加圧液体を加熱する液体加熱装置を備えた、外圧負荷試験機。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の外圧負荷試験機において、
前記管材の両端部それぞれを保持し、前記管材に軸方向に沿って引張荷重又は圧縮荷重、若しくは引張及び圧縮の繰り返し荷重を付与する荷重付与装置を備えた、外圧負荷試験機。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の外圧負荷試験機において、
前記管材が、油井管に用いられる継目無し鋼管のねじ継手である、外圧負荷試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材を試験対象とし、その管材に外圧を負荷する外圧試験機に関し、特に、圧力容器の両端壁それぞれの貫通穴から管材の両端部それぞれが突出する外圧試験機、及びその圧力容器の貫通穴と管材の外周面との間の密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼管、管継手等のような管材に対しては、外圧を負荷する試験が行われる。使用環境での管材の耐外圧性能を保証するためである。とりわけ、管材として、油井管に用いられる継目無し鋼管、及びその鋼管を連結するねじ継手(以下、単に「鋼管」ともいう)には、外圧負荷試験が不可欠である。外圧負荷試験に用いられる従来の試験機としては、下記のものがある。
【0003】
特開昭54−85085号公報(特許文献1)は、鋼管を試験対象とする圧潰試験機を開示する。この特許文献1の圧潰試験機では、円筒状の圧力容器(ベッセル)の両端部それぞれから鋼管の両端部それぞれが突出する。圧力容器の両端部それぞれと鋼管の外周面との間は、環状のパッキンホルダ及び蓋によって閉ざされるとともに、断面U字状のパッキンリング(以下、「U形パッキン」ともいう)によって密封される。この試験機は、圧力容器内に高圧水を充填することにより、鋼管に外圧を負荷することが可能である。
【0004】
特開2001−74624号公報(特許文献2)は、鋼管を試験対象とする外圧負荷試験機を開示する。この特許文献2の外圧負荷試験機では、円筒状の圧力容器(ベッセル)の両端部それぞれから鋼管の両端部それぞれが突出する。圧力容器の両端部それぞれと鋼管の外周面との間は、環状のパッキンホルダ及び蓋によって閉ざされるとともに、Oリングとバックアップリングの組合せ、及びU形パッキンとバックアップリングの組合せを、間隔をあけて幾重にも連ねることによって密封される。この試験機は、圧力容器内に高圧水を充填することにより、鋼管に外圧を負荷することが可能である。更に、この試験機は、圧力容器内の鋼管にシリンダロッドを押し付けることにより、鋼管に曲げ荷重を付与することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭54−85085号公報
【特許文献2】特開2001−74624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、鋼管は、過酷な環境(高圧の環境、更には高温の環境)で使用されるようになっている。このため、鋼管に対しての外圧負荷試験においては、高い外圧が作用する環境を想定した試験が要求される。更に、高温の環境を想定した試験が要求されることがある。加えて、鋼管に軸方向に沿った荷重(いわゆる軸力)が作用する環境を想定した試験が要求されることがある。
【0007】
しかし、従来の外圧負荷試験機では、これらの要求に十分に対応できるかどうか疑わしい。圧力容器と鋼管との間の密封性能が、単純なパッキンリング(Oリング、U形パッキン)とバックアップリングに委ねられているからである。
【0008】
また、外圧負荷試験の際、試験対象の鋼管の外周面は、製造されたままの状態であることが多い。製造されたままの鋼管の外周面には黒皮が付着している。さらに、その外周の輪郭形状は、製造過程の寸法バラツキに起因し、厳密には真円でなく、楕円等のように多少変形している。このため、従来の外圧負荷試験機では、圧力容器と鋼管との間の密封性能がパッキンリングとバックアップリングによって十分に確保できるかどうか一層疑わしい。
【0009】
このような外圧負荷試験の実情は、鋼管のみならず、他の管材でも同様である。
【0010】
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下記の特性を有する密封構造及び外圧負荷試験機を提供することである:
外圧負荷試験において圧力容器と試験対象の管材との間の密封性能を十分に確保できること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による密封構造は、加圧液体が充填される圧力容器と、両端部それぞれが前記圧力容器の両端壁それぞれの貫通穴から突出する試験対象の管材とを含み、前記圧力容器の前記貫通穴と前記管材の外周面との間を密封する構造であって、
当該密封構造は、
前記圧力容器内の前記加圧液体側から前記圧力容器の外部側に向けて順に、第1パッキンリングと、第2パッキンリングと、第1補助リングと、第2補助リングと、前記圧力容器の前記端壁に取り付けられた環状の蓋と、を備える。
前記第1補助リングの前記第2補助リング側の端面は、先端側ほど直径が縮小するテーパ面に形成され、
前記第2補助リングの前記第1補助リング側の端面は、前記第1補助リングの前記テーパ面に対向し、先端側ほど直径が拡大するテーパ面に形成されており、
前記第2パッキンリングは前記第1補助リング及び第2補助リングよりも軟質で、圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能であり、
前記第1補助リング及び第2補助リングは圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能である。
【0012】
上記の密封構造において、前記第1パッキンリングはOリング又は断面U字状のパッキンリングであることが好ましい。
【0013】
上記の密封構造において、前記第1補助リング及び第2補助リングが金属であることが好ましい。
【0014】
上記の密封構造において、前記第1補助リングの前記テーパ面及び第2補助リングの前記テーパ面それぞれの傾斜角度が、中心軸に対し30°〜60°であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の一実施形態による外圧負荷試験機は、
加圧液体が充填される圧力容器と、
両端部それぞれが前記圧力容器の両端壁それぞれの貫通穴から突出する試験対象の管材と、
上記の密封構造と、
前記圧力容器内に前記加圧液体を送り出す液体供給装置と、を備える。
【0016】
上記の外圧負荷試験機は、前記加圧液体を加熱する液体加熱装置を備える構成とすることができる。
【0017】
上記の外圧負荷試験機は、前記管材の両端部それぞれを保持し、前記管材に軸方向に沿って荷重を付与する荷重付与装置を備える構成とすることができる。
【0018】
上記の外圧負荷試験機は、前記管材が、油井管に用いられる継目無し鋼管のねじ継手である外圧負荷試験に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の密封構造及び外圧負荷試験機は、下記の顕著な効果を有する:
外圧負荷試験において圧力容器と試験対象の管材との間の密封性能を十分に確保できること。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の各実施形態に共通する外圧負荷試験機の全体構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の外圧負荷試験機における第1実施形態の密封構造の一例を示す断面図であって、外圧が負荷される前の状態を示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明の外圧負荷試験機における第1実施形態の密封構造の一例を示す断面図であって、外圧が負荷されたときの状態を示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明の外圧負荷試験機における第2実施形態の密封構造の一例を示す断面図であって、外圧が負荷される前の状態を示す。
【
図3B】
図4Bは、本発明の外圧負荷試験機における第2実施形態の密封構造の一例を示す断面図であって、外圧が負荷されたときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の密封構造及び外圧負荷試験機について、その実施形態を詳述する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の各実施形態に共通する外圧負荷試験機の全体構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示す試験機1は、高い外圧が作用する環境を想定し、試験対象の管材2に外圧を負荷する外圧負荷試験に用いられる。この試験機1は、高温の環境を想定し、管材2を加熱した状態で外圧負荷試験を行うことが可能である。また、この試験機1は、いわゆる軸力が作用する環境を想定し、管材2に軸方向に沿った荷重を付与しながら外圧負荷試験を行うことが可能である。
図1に例示する管材2は、油井管に用いられる継目無し鋼管のねじ継手であり、鋼管同士がカップリングによって連結されたものである。具体的な構成は以下のとおりである。
【0023】
試験機1は、円筒状で鋼製の圧力容器(ベッセル)3を備える。圧力容器3は、基礎4に固定されている。圧力容器3の両端壁3aには、それぞれ、貫通穴3bが設けられている。管材2は、圧力容器3を軸方向に沿って貫通し、管材2の両端部2aは、それぞれ、圧力容器3の両端壁3aの貫通穴3bを通じて外部に突出する。圧力容器3の貫通穴3bと管材2の外周面との間には、両者の間を密封するためのリング群20(詳細は後述する)が配置されている。圧力容器3の両端壁3aには、それぞれ、環状の蓋27がボルト等によって取り付けられている。蓋27は、管材2を貫通させつつ、圧力容器3の貫通穴3bと管材2の外周面との間を外側から閉ざす。
【0024】
圧力容器3には、圧力容器3の内部に高圧の液体(例:油、水)を供給するための液体供給管9が接続されている。液体供給管9の経路には、上流側から順に、液体を貯留するタンク10と、液体を送り出すポンプ11と、送り出す液体を加圧する増圧機12とが設けられている。ポンプ11の作動により、増圧機12を経て加圧された液体が液体供給管9を通じて圧力容器3に供給される。これにより、圧力容器3内に加圧された液体14が充填され、この加圧液体14によって管材2に外圧が負荷される。外圧の大きさは、増圧機12によって調整される。
【0025】
圧力容器3には、圧力容器3内の液体14を排出するための液体排出管13が接続されている。液体排出管13はタンク10に接続されている。圧力容器3内の液体14は、液体排出管13を通じてタンク10に回収される。
【0026】
本実施形態の試験機1は、管材2を加熱した状態にするために液体14を加熱する液体加熱装置を備える。具体的には、圧力容器3の外周面がヒータ15で包み込まれている。ヒータ15は、電熱線又は誘導加熱コイルから構成され、圧力容器3を加熱する。圧力容器3の加熱に伴い、その内部の加圧液体14が熱伝導によって加熱され、更にその内部の管材2が熱伝導によって加熱される。加圧液体14及び管材2の温度は、図示しない熱電対を用いた温度計測によって監視され、この温度計測値に基づいてヒータ15への印加電流を制御することによって調整される。
【0027】
液体加熱装置は、圧力容器3を包み込むヒータ15に限定されない。例えば、液体加熱装置は、液体を貯留するタンク10にヒータを設置したり、液体供給管9の経路にヒータを設置したりする態様であっても構わない。この場合、液体は、圧力容器3に供給される前に加熱され、加熱された状態で圧力容器3に供給される。
【0028】
また、本実施形態の試験機1は、管材2に軸方向に沿って荷重を付与する荷重付与装置を備える。具体的には、管材2の両端部2aは、それぞれ、ホルダ6、7によって強固に保持されている。管材2の両端部2aのうちの一方の端部を保持するホルダ6は、基礎4に固定されている。管材2の両端部2aのうちの他方の端部を保持するホルダ7は、基礎4に対し、管材2の軸方向に沿ってスライド可能に支持されている。
【0029】
スライド可能なホルダ7の傍には、油圧アクチュエータ8が配設されている。この油圧アクチュエータ8は、油圧シリンダ8aと、この油圧シリンダ8aから突き出すシリンダロッド8bと、を備える。油圧シリンダ8aは基礎4に固定されている。シリンダロッド8bは、スライド可能なホルダ7に連結されている。油圧アクチュエータ8の作動により、シリンダロッド8bが進退し、これにより、管材2には軸方向に沿って引張荷重又は圧縮荷重、若しくは引張及び圧縮の繰り返し荷重が付与される。その荷重の大きさは、油圧アクチュエータ8によって調整される。
【0030】
図2A及び
図2Bは、本発明の外圧負荷試験機における第1実施形態の密封構造の一例を示す断面図である。これらの図のうち、
図2Aは、外圧が負荷される前の状態を示し、
図2Bは、外圧が負荷されたときの状態を示す。
図2Aに示すように、本実施形態の試験機は、圧力容器3の両端壁3aの貫通穴3bと管材2の外周面2bとの間に、それぞれ、内側から外側に向けて順に、すなわち圧力容器3内の加圧液体14側から圧力容器3の外部側に向けて順に、第1ガイドブッシュ25、第1パッキンリング21と、第2パッキンリング22と、第1補助リング23と、第2補助リング24と、第2ガイドブッシュ26から構成される一連のリング群20を備える。そして、最も外側に蓋27が配置されている。
【0031】
本実施形態では、第1パッキンリング21は、断面U字状のパッキンリング(U形パッキン)であり、U字の両端部が加圧液体14側に向けて突出するように配置されている。第1パッキンリング21の材質は、合成ゴム、軟質の合成樹脂(例:フッ素系樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン))等である。第1パッキンリング21は、圧力を受けることにより弾性変形が可能である。第1パッキンリング21は、塑性変形まで可能であってもよい。
【0032】
第2パッキンリング22は、第1補助リング23及び第2補助リング24よりも軟質で、圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能である。この特質を満足する限り、第2パッキンリング22の材質に限定はない。ただし、本実施形態の試験機では、圧力容器3、加圧液体14及び管材2が加熱されて高温状態で試験が行われる場合がある。この場合、第2パッキンリング22が熱によって劣化したり、溶融したりしないように、耐熱性が求められる。このため、第2パッキンリング22の材質は、耐熱性を有する軟質の合成樹脂(例:ブロンズの充填材を含むPTFE)等であることが好ましい。低温(例えば室温)状態で試験が行われる場合は、第2パッキンリング22の材質は、軟質の合成樹脂(例:ガラスの充填材を含むPTFE)等であってもよい。
【0033】
第1補助リング23と第2補助リング24は、互いに楔状に噛み合う。具体的には、第1補助リング23の外側の端面23b、すなわち第2補助リング24側になる端面23bは、先端側ほど直径が縮小するテーパ面に形成されている。一方、第2補助リング24の内側の端面24a、すなわち第1補助リング23側になる端面24aは、テーパ面に形成された第1補助リング23の外側の端面23bに対向し、先端側ほど直径が拡大するテーパ面に形成されている。第1補助リング23の内側の端面23a及び第2補助リング24の外側の端面24bは、軸方向に対してほぼ直角な面である。
【0034】
第1補助リング23及び第2補助リング24は、第2パッキンリング22よりも硬質であり、圧力を受けることにより弾性変形又は塑性変形が可能である。第1補助リング23は、第2補助リング24と同質であるか、又は第2補助リング24よりも軟質である。この特質を満足する限り、第1補助リング23及び第2補助リング24の材質に限定はない。ただし、実用性を踏まえると、第1補助リング23及び第2補助リング24の材質は、金属であることが好ましい。例えば、第1補助リング23の材質として、軟鋼(例:SS400(JIS G 3101))等を適用できる。第2補助リング24の材質として、硬質の銅合金(例:アルミニウム青銅、C6191(JIS H 3250))等を適用できる。
【0035】
第1ガイドブッシュ25は第1パッキンリング21挿入時にガイドの役割を担う。第2ガイドブッシュ26はスペーサの役割を担う。いずれのガイドブッシュ25、26も、その両端面は軸方向に対してほぼ直角な面である。第1ガイドブッシュ25は、これが接触する第1パッキンリング21よりも硬質である。第2ガイドブッシュ26は、これが接触する第2補助リング24と同質であるか、又は第2補助リング24よりも硬質である。このような特質を満足する限り、第1ガイドブッシュ25及び第2ガイドブッシュ26の材質に限定はない。例えば、第1ガイドブッシュ25及び第2ガイドブッシュ26の材質として、硬質の銅合金(例:アルミニウム青銅、C6191(JIS H 3250)、CAC702(JIS H 5120))等を適用できる。もっとも、第1ガイドブッシュ25は省略しても構わないし、第2ガイドブッシュ26は省略しても構わない。
【0036】
上記したリング群20の内径は、管材2の外径と同程度か、又は管材2の外径よりも僅かに大きい。また、リング群20の外径は、圧力容器3の貫通穴3bの内径と同程度か、又はその貫通穴3bの内径よりも僅かに小さい。ここで、管材2の外周面2bが機械加工を施されてなく、製造されたままの状態である場合、厳密には、管材2の外周輪郭形状は真円でなく、楕円等のように多少変形している。この場合、リング群20の内径は、製造されたままの状態の管材2の最大外径に基づいて設定される。
【0037】
上記した構成のリング群20は、加圧液体14によって外圧が負荷されると、以下のような挙動をとる。
【0038】
図2Bに示すように、加圧液体14からの外圧は、直接的には加圧液体14に接する第1ガイドブッシュ25を通じて第1パッキンリング21に作用する(
図2B中の白抜き矢印参照)。この外圧の作用により、第1パッキンリング21は弾性変形し、圧力容器3の貫通穴3bと管材2の外周面2bとの間の隙間を塞ぐ。そのまま外圧の作用により、第1パッキンリング21、第2パッキンリング22、第1補助リング23、第2補助リング24及び第2ガイドブッシュ26が、順次接触しつつ、軸方向の外側に向けて移動し、第2ガイドブッシュ26が蓋27に接触する。これにより、第2補助リング24及び第2ガイドブッシュ26の軸方向の移動が制限される。
【0039】
第1パッキンリング21に接する第2パッキンリング22には、全域にわたり、第1パッキンリング21を介して外圧が作用する。これにより、第2パッキンリング22は、弾性変形し、場合によっては塑性変形し、圧力容器3の貫通穴3bと管材2の外周面2bとの間の隙間を塞ぐ。
【0040】
第2パッキンリング22に接する第1補助リング23の内側の端面23aには、第1パッキンリング21及び第2パッキンリング22を介して外圧が作用する。このとき、第1補助リング23の外側の端面23bがテーパ面であり、この端面23bに接触する第2補助リング24の内側の端面24aがテーパ面となっている。このため、第1補助リング23は、第2補助リング24に対する楔の原理により、そのテーパ面に沿いながら軸方向の外側に向けて移動し、径方向に収縮する(
図2B中の実線矢印参照)。これと同時に、第2補助リング24には、第1補助リング23に対する楔の原理による反発力が作用する。これにより、第2補助リング24は、径方向に拡大する(
図2B中の破線矢印参照)。
【0041】
その結果、第1補助リング23の内周面が管材2の外周面2bに強く接触した状態になる。更に、第2補助リング24の外周面が圧力容器3の貫通穴3bに強く接触した状態になる。更に、互いにテーパ面である、第1補助リング23の外側の端面23bと第2補助リング24の内側の端面24aとが、強く接触した状態になる。したがって、圧力容器3の両端壁3aの貫通穴3bと管材2の外周面2bとの間は、第1補助リング23及び第2補助リング24同士の楔の原理によって強力に塞がれる。
【0042】
このとき、管材2の外周面2bが製造されたままの状態であって、管材2の外周輪郭形状が多少変形していたとしても、第1補助リング23は、管材2の外周輪郭形状に沿って変形し、第1補助リング23の内周面が管材2の外周面2bに強く接触した状態になることに変わりはない。仮に、第1補助リング23の内周面と管材2の外周面2bとの間に部分的に隙間が生じても、その隙間は極めて狭い。このため、その狭い隙間に、変形した第2パッキンリング22が進入し、最終的には第2パッキンリング22がその隙間を塞ぐ。
【0043】
このように本実施形態の試験機1によれば、加圧液体14によって外圧が負荷されると、圧力容器3の両端壁3aの貫通穴3bと管材2の外周面2bとの間は、それぞれ、第1パッキンリング21及び第2パッキンリング22によって塞がれ、更に第1補助リング23及び第2補助リング24によって強力に塞がれる。これにより、外圧負荷試験において、圧力容器3と試験対象の管材2との間の密封性能を十分に確保することが可能になる。
【0044】
また、本実施形態の試験機1は、液体加熱装置を備えるため、高温の環境を想定した外圧負荷試験に対応することができる。この場合、リング群20の材質、特に、第2パッキンリング22、第1補助リング23及び第2補助リング24の材質に関し、耐熱性を有する材料が適用されれば、密封性能に支障は生じない。
【0045】
更に、本実施形態の試験機1は、荷重付与装置を備えるため、管材2(例:鋼管)に軸力が作用する環境を想定した外圧負荷試験にも対応することができる。この場合、管材2は軸方向への荷重の負荷に伴って伸縮するが、リング群20はその管材2の伸縮を許容できるため、密封性能に支障は生じない。
【0046】
ここで、テーパ面である第1補助リング23の外側の端面23b、及びテーパ面である第2補助リング24の内側の端面24aに関し、それぞれの傾斜角度θ1、θ2(
図2A参照)は、中心軸に対し30°〜60°であることが好ましい。傾斜角度θ1、θ2があまりに大きいと、第1補助リング23及び第2補助リング24に楔の原理が有効に働かないからである。一方、傾斜角度θ1、θ2があまりに小さいと、第1補助リング23及び第2補助リング24の厚み(軸方向の長さ)が必要以上に大きくなるからである。傾斜角度θ1、θ2のより好ましい範囲は、30°〜45°である。
【0047】
[第2実施形態]
図3A及び
図3Bは、本発明の外圧負荷試験機における第2実施形態の密封構造の一例を示す断面図である。これらの図のうち、
図3Aは、外圧が負荷される前の状態を示し、
図3Bは、外圧が負荷されたときの状態を示す。
図3A及び
図3Bに示す密封構造は、前記
図2A及び
図2Bに示す第1実施形態の構成を変形したものであり、第1実施形態と重複する説明は適宜省略する。
【0048】
本実施形態では、第1パッキンリング21はOリングである。これ以外の構成は、第1パッキンリング21の材質を含め、前記第1実施形態と同様である。第1パッキンリング21としてOリングを採用した場合であっても、加圧液体14によって外圧が負荷されたときのリング群20の挙動は、前記第1実施形態と同様になる(
図3B参照)。したがって、第2実施形態の試験機によっても、前記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0049】
もっとも、第1パッキンリング21としては、前記第1実施形態のようにU形パッキンの方が好ましい。U形パッキンの方が変形し易いので、密封性能に優れ、管材2への装着も容易だからである。
【0050】
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、管材として、油井管に用いられる継目無し鋼管のねじ継手、特に、鋼管同士がカップリングによって連結されたカップリング型のねじ継手を試験対象としているが、鋼管同士が直接連結されたインテグラル型を試験対象にすることができる。また、継目無し鋼管のみならず、他の管材を試験対象とすることもできる。
【実施例】
【0051】
本発明による効果を確認するため、前記
図1に示す試験機を用い、カップリング型の継目無し鋼管のねじ継手を試験対象材として、高温環境を想定した外圧負荷試験を実施した。試験では、下記の表1に示すとおり、各種の条件を変更し、各条件で圧力容器と供試鋼管との間からの加圧流体の漏出状況を調査した。ここで変更した条件は、供試鋼管の外径、加圧液体による外圧の圧力、及び加圧液体の温度であった。
【0052】
【表1】
【0053】
共通の条件は下記のとおりである。
・試験時間:60分
・加圧液体:油
・第1パッキンリングの形式:U形パッキン
・第1パッキンリングの材質:フッ素樹脂
・第2パッキンリングの材質:ブロンズの充填材を含むPTFE
・第1補助リングの材質:SS400
・第2補助リングの材質:C6191
・第1補助リング及び第2補助リングのテーパ面の傾斜角度:45°
【0054】
上記の表1に試験結果を示す。いずれの条件でも、圧力容器と供試鋼管との間からの加圧流体の漏出は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の密封構造及び外圧負荷試験機は、油井管に用いられる継目無し鋼管を始めとし、あらゆる管材を試験対象とする外圧負荷試験に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1:外圧負荷試験機、 2:管材、 2a:端部、 2b:外周面、
3:圧力容器、 3a:端壁、 3b:貫通穴、
4:基礎、 6:ホルダ、 7:ホルダ、
8:油圧アクチュエータ、 8a:油圧シリンダ、 8b:シリンダロッド、
9:液体供給管、 10:タンク、 11:ポンプ、 12:増圧機、
13:液体排出管、 14:液体、 15:ヒータ、
20:リング群、
21:第1パッキンリング、 22:第2パッキンリング、
23:第1補助リング、 23a:第1補助リングの内側の端面、
23b:第1補助リングの外側の端面(テーパ面)、
24:第2補助リング、 24a:第2補助リングの内側の端面(テーパ面)、
24b:第2補助リングの外側の端面、
25:第1ガイドブッシュ、 26:第2ガイドブッシュ、 27:蓋、
θ1、θ2:傾斜角度