(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コネクタでは、2つのフラット配線のロックが簡単な操作で実現できることが望ましい。上記特許文献1及び2のコネクタの抜け止め部材には、アクチュエータ(特許文献1における操作レバー60)を操作することで前フラット配線に係合し、前フラット配線をロックする係合部(特許文献1における係止用突起54a)が設けられている。しかし、この抜け止め部材は、後フラット配線に引っ掛かるようには構成されていない。
【0007】
また、特許文献1及び2のコネクタの端子では、フラット配線の下側に配置される可動部が梃子のように傾く。そのため、端子の可動部を基板に固定することができないので、端子自体を基板などに固定することが難しい。また、可動部の下側に、可動部の動きを許容するクリアランスを設ける必要があるため、コネクタの高さを低減することが難しい。
【0008】
本発明の第1の目的は、簡便な操作でフラット配線(フレキシブルプリント基板を含む)をロックできるコネクタを提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、端子の下側部分が梃子のように傾斜することを要しないコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコネクタは、第1のフラット配線が後側から挿入可能であり且つ第2のフラット配線が前側から挿入可能なハウジングと、第1のフラット配線に電気的に接するための接点と、第2のフラット配線に電気的に接するための接点とを有し、前記ハウジングに保持されている端子と、支点部と、前記支点部から後方に伸び前記第1のフラット配線の上側又は下側に配置される第1アーム部と前記支点部から前方に伸び前記第2のフラット配線の上側又は下側に配置される第2アーム部とを有している可動部とを有し、前記第1アーム部が上側と下側のうちの一方である第1の側に傾いたときに前記第2アーム部が前記第1の側とは反対側である第2の側に弾性的に傾くように前記可動部が構成され、前記第1アーム部が前記第1の側に傾いたときに前記第1のフラット配線に第1係合部を係合させ、前記第2アーム部が前記第2の側に傾いたときに前記第2のフラット配線に第2係合部を係合させる抜け止め部材と、前記第1アーム部を前記第1の側に押すためのアクチュエータと、を備えていることを特徴とするコネクタである。これによれば、第1のフラット配線及び第2のフラット配線を簡便な操作でロックすることができる。
【0011】
前記第1アーム部は前記アクチュエータに対して前記第1の側に配置され、前記第1のフラット配線は前記第1アーム部に対して前記第1の側に配置され、前記第2のフラット配線は前記第2アーム部に対して前記第2の側に配置されていてもよい。このようにすることで、第1アーム部が第1のフラット配線を第1の側に押し、第2アーム部が第2のフラット配線を第2の側に押すことで、各フラット配線をロックすることができる。
【0012】
前記第2係合部は前記第2アーム部に形成されていてもよい。このようにすることで、第2フラット配線を確実にロックすることができる。
【0013】
前記第1係合部は前記第1アーム部に形成されていてもよい。このようにすることで、第1フラット配線を確実にロックすることができる。
【0014】
前記抜け止部材は前記支点部から前側且つ前記第2の側に向かって斜めに伸びている支柱部を有していてもよい。このようにすることで、より簡便に第1のフラット配線及び第2のフラット配線をロックすることができる。
【0015】
また、本発明に係るコネクタは、第1のフラット配線が後側から挿入可能であり且つ第2のフラット配線が前側から挿入可能なハウジングと、前記ハウジングに収容され、前記第1のフラット配線と前記第2のフラット配線とに電気的に接続するための端子と、前記第1のフラット配線の上方に配置される押圧部を有しているアクチュエータと、を有し、前記端子は、支柱部と、前記支柱部の上部から後方に伸びており前記アクチュエータの前記押圧部の上方に位置している第1の上アームと前記支柱部の上部から前方に伸びており前記第2のフラット配線の上方に位置する第2の上アームとを有し、前記第1の上アームが前記押圧部によって上側に押されたときに前記第2の上アームが弾性的に下側に傾くことができる上延伸部と、前記第2の上アームが下側に傾くことにより前記第2のフラット配線に押しつけられる第2接点と、前記第1のフラット配線が前記押圧部によって下側に押されたときに前記第1のフラット配線に押しつけられる第1接点と、前記支柱部の下部から後方に伸びており前記第1のフラット配線の下方に位置する第1の下アームと前記支柱部の下部から前方に伸びており前記第2のフラット配線の下方に位置する第2の下アームのうち少なくとも一方を有している下延伸部と、を有していることを特徴とするコネクタである。これによれば、端子の下側部分が梃子のように傾斜することなく、第1のフラット配線及び第2のフラット配線と電気的に接続することができる。
【0016】
前記支柱部から後方に伸びており、前記アクチュエータの前記押圧部と前記第1のフラット配線との間に位置する中間アームを有し、前記第1接点は前記中間アームと前記第1の下アームのうち少なくとも一方に設けられていてもよい。このようにすることで、より確実に第1のフラット配線と電気的に接続することができる。
【0017】
前記支柱部の前記上部の位置は、前記支柱部の前記下部の位置に対して、前方又は後方にずれている。このようにすることで、このようにすることで、第1のフラット配線及び第2のフラット配線にかかる端子の接圧を調整することができる。
【0018】
前記第1の下アームは、前記ハウジングの後端よりも後方に位置し前記コネクタが配置される基板に固定するための固定部を有していてもよい。このようにすることで、コネクタの端子を基板上に直接固定することができる。
【0019】
前記第2の下アームは、前記ハウジングの前端よりも前方に位置し前記コネクタが配置される基板に固定するための固定部を有していてもよい。このようにすることで、コネクタの端子を基板上に直接固定することができる。
【0020】
前記第2接点は、前記第2の上アームと前記第2の下アームのうち少なくとも一方に設けられていてもよい。このようにすることで、より確実に第2のフラット配線と電気的に接続することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と呼ぶ)について
図1〜
図12を参照しながら説明する。以下の説明では、各図のX1,X2が示す方向を、それぞれ左方向,右方向とする。また、各図のY1,Y2が示す方向をそれぞれ前方,後方とする。また、各図のZ1,Z2が示す方向をそれぞれ上方,下方とする。
【0023】
なお、本明細書の開示は本発明の一例にすぎず、本発明の主旨を保った適宜変更であって当業者が容易に想到し得るものは本発明の範囲に含まれる。また、図面で示す各部の幅、厚さ及び形状等は模式的に表されており、本発明の解釈を限定するものではない。
【0024】
[1.コネクタの外観]
図1は、本実施形態に係るコネクタ1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタ1は、ハウジング2と、アクチュエータ3を含んで構成される。
【0025】
図2は、本実施形態に係るコネクタ1の斜視図であり、
図1において後フラット配線91と、前フラット配線92を接続した場合を示している。
図2に示すように、ハウジング2には、後フラット配線91が後側から挿入可能であり、前フラット配線92が前側から挿入可能である。
【0026】
ここで、アクチュエータ3はハウジング2に接続されており、作業者は、アクチュエータ3を上方に引き起こしたり、後ろに押し倒したりすることが可能である。より具体的には、アクチュエータ3は、ハウジング2に対して略垂直に引き起こされた姿勢(
図1参照)(以降、リリース姿勢と称する)と、ハウジング2に対して略平行に押し倒された姿勢(
図2参照)(以降、ロック姿勢と称する)との間で動くことが可能である。アクチュエータ3がロック姿勢にされることで、後フラット配線91と前フラット配線92は、ハウジング2の内部でロックされる。また、アクチュエータ3がリリース姿勢にされることで、後フラット配線91と前フラット配線92は、ロック(固定)された状態から解除される。
【0027】
なお、
図2の斜視図において、アクチュエータ3がロック姿勢となることで、抜け止め部材4と、奇数端子5と、偶数端子6が、アクチュエータ3に設けられたスリット31から現れる。
【0028】
図3は、本実施形態に係るコネクタ1の上面図である。
図3に示すように、ハウジング2には、複数の奇数端子5と複数の偶数端子6とが互い違いに、所定のピッチ毎に配列されている。また、これらの端子群の左右の外側を挟むように、2つの抜け止め部材4が配置されている。
【0029】
奇数端子5及び偶数端子6は、金属などの弾性変形可能な導電材料により形成される。ここで、前フラット配線92の上面と下面には、複数の導電線94が所定のピッチ毎に配置されており(
図2)、これと同様に、後フラット配線91にも、複数の導電線93が所定のピッチ毎に配列されている。ハウジング2の内部において、奇数端子5及び偶数端子6が、複数の導電線93,94のそれぞれに接触することで、コネクタ1と、後フラット配線91及び前フラット配線92は電気的に接続される。なお、後フラット配線91の導電線93は、後フラット配線91の上面と下面のうちの少なくとも一方に配置されればよい。このことは、前フラット配線92についても同様である。
【0030】
また、抜け止め部材4は、金属などの弾性変形可能な材料により形成される。抜け止め部材4は、後フラット配線91及び前フラット配線92を、ハウジング2の内部でロックする。
【0031】
[2.抜け止め部材]
以下では、抜け止め部材4の詳細について、
図4〜
図5の断面図に基づいて説明する。
【0032】
図4は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、その切断面は
図3のIV−IV線で示されている。
図4に示すように、コネクタ1の内部には、抜け止め部材4が設けられている。
【0033】
抜け止め部材4は、支柱部41と、支柱部41の上端と接続し、ハウジング2の上壁23に沿って前後方向に伸びている延伸部42と、支柱部41の下端と接続し、ハウジング2の下壁25に沿って前後方向に伸びている可動部43を有している。延伸部42の前方には固定部42bが形成されており、この固定部42bがハウジング2の壁部(例えば、ハウジング2の上壁23と中壁24とを含む、互いに対向する1組以上の壁部)に挟持されることにより、抜け止め部材4はハウジング2の内部で固定される。
【0034】
また、支柱部41の下端は可動部43に接続されており、可動部43は、支柱部41の下端を支点として、或いは、支柱部41自体がその上端を支点として弾性的に撓むことにより、上下方向に動くことが可能である。なお、以下の説明では、支柱部41の下端の支点となる部分を支点部41aと称する。
【0035】
また、抜け止め部材4の可動部43は、支点部41aから後方に伸びる第1アーム部43aと、支点部41aから前方に伸びる第2アーム部43bにより形成される。ここで、第1アーム部43aが下側に傾いた場合、第2アーム部43bは、支点部41aを支点として、上側に弾性的に傾くように形成されている。なお、
図4に示すように、ハウジング2の前面には、前フラット配線92を挿入するための開口部21が形成されており、ハウジング2の後面には、後フラット配線91を挿入するための開口部22が形成されている。
【0036】
図5は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、
図4において後フラット配線91と、前フラット配線92とを接続した場合を示している。
図5に示すように、第1アーム部43aは、後フラット配線91が挿入されるスペースの上側に配置され、第2アーム部43bは、前フラット配線92が挿入されるスペースの下側に配置される。より具体的には、可動部43は後方から前方に向かうにつれて下方向に傾斜する傾斜部43cを有し、この段差を利用して、後フラット配線91と前フラット配線92を挿入するためのスペースが設けられており、第1アーム部43aは後フラット配線91の上側に、第2アーム部43bは前フラット配線92の下側にそれぞれ配置される。
【0037】
抜け止め部材4は、ハウジング2の内部に挿入された後フラット配線91と前フラット配線92をロックする。以下では、抜け止め部材4が各フラット配線をロックするまでの流れを説明する。
【0038】
はじめに、アクチュエータ3が押し倒されてロック姿勢にされると、第1アーム部43aは下側に押される。より具体的には、アクチュエータ3の左側(
図5においては手前側)には、第1アーム部43aを下側に押すためのカム部32が配置されており、アクチュエータ3がロック姿勢になることで、カム部32の向きが変化して、延伸部42において後方に伸びる接圧部42aと、第1アーム部43aとの双方を押し広げる。また、アクチュエータ3は、第1アーム部43aの後端を押し下げる。これにより、第1アーム部43aは、アクチュエータ3によって下方向に押し込まれる。なお、第1アーム部43aの後端は上方に出っ張っており、この部分が返しとなって、カム部32並びにアクチュエータ3の抜けを防止している。
【0039】
ここで、第1アーム部43aの下側には、後フラット配線91と係合するための突起である第1係合部44aが形成されている。第1アーム部43aが下側に傾いたときに、第1係合部44aの壁面C1は、後フラット配線91の右端(又は左端)の付近に設けられた縁部95に引っ掛かり、第1係合部44aは後フラット配線91に係合する。これにより、後フラット配線91は、ハウジング2の内部でロックされる。
【0040】
一方、第1アーム部43aが下方向に押し下げられると、支点部41aを支点として可動部43が弾性的に傾いたり、支柱部41が弾性的に傾いたりすることによって、第2アーム部43bが弾性的に上方向に持ち上がる。
【0041】
ここで、第2アーム部43bには、前フラット配線92と係合するための突起である第2係合部44bが形成されている。第2アーム部43bが上側に傾いたときに、第2係合部44bの壁面C2は、前フラット配線92に設けられた縁部96に引っ掛かり、第2係合部44bは前フラット配線92に係合する。これにより、前フラット配線92も、ハウジング2の内部でロックされる。
【0042】
また、アクチュエータ3が押し上げられリリース状態にされると、第1アーム部43aに対する下方向への力がなくなり、可動部43は、傾いた状態から元の状態に戻る。そうすると、第1係合部44aと第2係合部44bは、後フラット配線91と前フラット配線92からそれぞれ離れるため、各フラット配線は、ロックされた状態から解除される。
【0043】
このように、抜け止め部材4は、アクチュエータ3の姿勢に応じて、後フラット配線91と前フラット配線92をロックするため、作業者は、簡便な操作で各フラット配線をロックすることが可能である。
【0044】
なお、抜け止め部材4の支柱部41は、支点部41aから前方且つ上方に向かって斜めに伸びるように形成されている。このように支柱部41を形成することで、前フラット配線92を配置するための奥行を確保できるとともに、支柱部41の長さを確保できる。また、支柱部41の長さを確保することで、支柱部41自体が弾性的に撓みやすくなるため、可動部43を上下方向に動かしやすくなり、第1アーム部43aを押す力が弱くても各フラット配線をロックすることができるようになる。即ち、作業者はより簡便に各フラット配線をロックすることができるようになる。
【0045】
[3.奇数端子]
次に、コネクタ1に設けられる奇数端子5の詳細について、
図6〜
図7の断面図に基づいて説明する。
【0046】
図6は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、その切断面は
図3のVI−VI線で示されている。
図6に示すようにコネクタ1の内部には、奇数端子5が設けられている。
【0047】
奇数端子5は、クランク状の支柱部51と、支柱部51の上端に接続し、ハウジング2の上壁26に沿って配置される上延伸部52と、支柱部51の下端に接続し、ハウジング2の下壁27に沿って前後方向に伸びている下延伸部53とを有している。支柱部51の上部(以降、上支柱部51aと称する)の位置は、支柱部51の下部(以降、下支柱部51bと称する)の位置よりも前方にずれて形成されており、奇数端子5は、上支柱部51aと下支柱部51bとの間から後方に伸びる中間アーム部54を有している。なお、上支柱部51aの位置は、下支柱部51bの位置の後方側にずれていてもよい。
【0048】
また、奇数端子5の上延伸部52には、上支柱部51aから後方に伸びている第1の上アーム部52aと、上支柱部51aから前方に伸びている第2の上アーム部52bが形成されており、下延伸部53には、下支柱部51bから後方に伸びる第1の下アーム部53aと、この下支柱部51bから前方に伸びる第2の下アーム部53bが形成されている。
【0049】
ここで、第1の下アーム部53aの後端(即ち、下延伸部53の後端)には固定部53cが形成されている。固定部53cは、ハウジング2の後端よりも後方(具体的には、下壁27の縁の後方)に配置されている。また、固定部53cは、コネクタ1が配置される基板(図示せず)に直接固定されるため、奇数端子5は基板上に確実に固定される。また、固定部53cを、基板上に設けられた配線(例えば、プリント配線など)に接して固定することにより、コネクタ1と基板上の配線とを電気的に接続することが可能である。なお、固定部53cは、半田などの導電接着剤を用いて固定されてよい。
【0050】
図7は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、
図6において後フラット配線91と、前フラット配線92とを接続した場合を示している。
図7に示すように、奇数端子5の中間アーム部54は、後フラット配線91の上方(即ち、後フラット配線91の挿入スペースの上方)に配置されており、その上方には、アクチュエータ3のカム部33が、さらにその上方には、第1の上アーム部52aが、それぞれ配置されている。また、第1の下アーム部53aは、後フラット配線91の下方に配置されている。
【0051】
また、前フラット配線92の上方(即ち、前フラット配線92の挿入スペースの上方)には、第2の上アーム部52bが配置され、その下方には、第2の下アーム部53bが配置される。
【0052】
奇数端子5は、後フラット配線91と前フラット配線92とを電気的に接続するとともに、これらのフラット配線をロックする。
【0053】
はじめに、
図7に示したように、アクチュエータ3が押し倒されロック姿勢にされると、アクチュエータ3のカム部33は、ハウジング2の内部で向きを変え、第1の上アーム部52aと中間アーム部54とを押し広げる。このように、第1の上アーム部52aが上側に押されて、第1の上アーム部52aは上側に傾く。
【0054】
上延伸部52は、支柱部51の上端を支点として梃子のように動くため、第1の上アーム部52aが上側に傾くと、第2の上アーム部52bは下側に傾く。第2の上アーム部52bには、前フラット配線92と接触するための接点55bが形成されており、第2の上アーム部52bが下側に傾くことで、接点55bは、前フラット配線92に押し付けられて、前フラット配線92の上面に配置された複数の導電線94のうちの1つと接触する。
【0055】
なお、第2の上アーム部52bは、その途中で折り返すように形成されているが、この折り返しの位置を変えることによって、第2の上アーム部52bの長さを調整し、接点55bにおける接触力を調整することが可能である。
【0056】
一方、ロック状態にされたアクチュエータ3と、アクチュエータ3のカム部33は、中間アーム部54を下側に押す。中間アーム部54には、後フラット配線91接触するための接点55aが形成されており、中間アーム部54が下側に押されることで、接点55aは、後フラット配線91に押し付けられ、後フラット配線91の上面に配置された複数の導電線93のうちの1つと接触する。
【0057】
中間アーム部54が下側に押されることで、後フラット配線91も接点55aを介して下側に押される。ここで、第1下アーム部53a側にも、後フラット配線91と接触するための接点56aが設けられており、後フラット配線91が下側に押されることで、接点56aは、後フラット配線91に押し付けられて、後フラット配線91の下面に配置された複数の導電線93のうちの1つと接触する。
【0058】
第1の下アーム部53aは、後フラット配線91により下方に押される。この際、下延伸部53はハウジング2の下壁27に接して配置されるため、第1の下アーム部53aが下方に押されても、下延伸部53は梃子のように傾かない。しかし、第1の上アーム部52aが上側に傾くことにより支柱部51が上方に持上げられるため、下延伸部53は弓なりに変形し、第1の下アーム部53aが下側に押さえつけられた状態で、第2下アーム部53bは上方に持ち上がる。なお、下延伸部53の後端の固定部53cを基板上に固定することにより、第2下アーム部53bを持ち上げるための応力は安定する。
【0059】
また、第2下アーム部53bには、前フラット配線92に接触するための接点56bが設けられており、第2下アーム部53bが上方に持ち上がることにより、接点56bは前フラット配線92に押し付けられ、前フラット配線92の下面に配置された複数の導電線94のうちの1つと接触する。
【0060】
このように、アクチュエータ3が押し倒されてロック姿勢にされると、奇数端子5の接点55a及び接点56aが後フラット配線91を上下方向から挟み、接点55b及び接点56bが前フラット配線92を上下方向から挟む。このように、本実施形態に係るコネクタ1は、抜け止め部材4だけでなく、奇数端子5も用いて、後フラット配線91及び前フラット配線92をロックする。
【0061】
[4.偶数端子]
次に、コネクタ1に設けられる偶数端子6の詳細について、
図8〜
図9の断面図に基づいて説明する。
【0062】
図8は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、その切断面は
図3のVIII−VIII線で示されている。
図8に示すようにコネクタ1の内部には、偶数端子6が設けられている。
【0063】
偶数端子6は、奇数端子5と同様に、クランク状の支柱部61と、支柱部61の上端と繋がり、ハウジング2の上壁28に沿って配置される上延伸部62と、支柱部61の下端と繋がり、ハウジング2の下壁29に沿って前後方向に伸びている下延伸部63とを有している。支柱部61では、上部の上支柱部61aと、下部の下支柱部61bが、前後方向の位置をずらして形成されている。上支柱部61aと下支柱部61bとの間からは、中間アーム部64が後方に伸びている。
【0064】
また、偶数端子6の上延伸部62には、上支柱部61aから後方に伸びている第1の上アーム部62aと、上支柱部61aから前方に伸びている第2の上アーム部62bが形成されており、下延伸部63には、下支柱部61bから後方に伸びる第1の下アーム部63aと、この下支柱部61bから前方に伸びる第2の下アーム部63bが形成されている。
【0065】
偶数端子6では、奇数端子5と異なり、コネクタ1が配置される基板に固定するための固定部63cが、第2の下アーム部63bの先端、且つ、ハウジング2の前端よりも前方に配置されている。なお、固定部63cを、基板上の配線に接して固定することでも、コネクタ1と基板上の配線とを電気的に接続することが可能である。
【0066】
図9は、本実施形態に係るコネクタ1の断面図であり、
図8において後フラット配線91と、前フラット配線92とを接続した場合を示している。
図9に示すように、偶数端子6には、奇数端子5と同様に、後フラット配線91の導電線93と接触するための接点65a及び接点66aと、前フラット配線92の導電線94と接触するための接点65b及び接点66bが設けられている。
【0067】
偶数端子6の接点65a及び接点66aは、奇数端子5の接点55a及び接点56aよりも後方に配置されている。ここで、
図2及び
図3に示したように、奇数端子5と偶数端子6は互い違いに配列されるため、コネクタ1の後フラット配線91との接点は、上面図において前と後ろの2列に並び、前の接点と後の接点との左右の位置がずれたジグザグの状態になるように配置される。
【0068】
また、これに対応するように、後フラット配線91の上面及び下面における複数の導電線93の末端にも、ジグザグに配置された接点が設けられている。このようにすることで、各導電線93の接点を幅広に設けることができ、各端子との接触(即ち、電気的な接続)をより確実なものとすることが可能となる。
【0069】
一方、偶数端子6の接点65b,66bは、奇数端子5の接点55b,56bよりも前方に配置されているため、コネクタ1の前フラット配線92との接点も、上面図において、ジグザグの状態になるように配置される。また、前フラット配線92における導電線94の接点も、千鳥状となるように広げられており、各端子との電気的な接続を、より確実なものとしている。
【0070】
なお、これに限らず、偶数端子6の各接点は、これに対応する奇数端子5側の接点と同じ位置に配置されてもよく、導電線93,94の各端子との接点は、前後方向において同じ位置に形成されてもよい。
【0071】
偶数端子6は、奇数端子5と同様に、後フラット配線91と前フラット配線92をロックする。より具体的には、
図9に示したように、アクチュエータ3が押し倒されロック状態にされると、アクチュエータ3のカム部34が回転し、第1の上アーム部62aと中間アーム部64を押し広げる。このように、第1の上アーム部62aは上方に押されて、上側に傾く。
【0072】
ここで、上延伸部62は、支柱部61の上端を支点として梃子のように動くため、第2の上アーム部62bは下側に傾き、第2の上アーム部62bに設けられた接点65bが、前フラット配線92に押しつけられる。そうすると、第2の下アーム部63bに配置される接点66bも、前フラット配線92に押し付けられる。
【0073】
支柱部61は、第1の上アーム部62aが上側に傾くことにより上方に持上げられるため、下延伸部63は弓なりに変形し、第2の下アーム部63bが下側に押さえつけられた状態で、第1下アーム部63aは上方に持ち上がる。なお、下延伸部63の固定部63cを基板上に固定することにより、第1下アーム部63aを持ち上げるための応力は安定する。これにより、第1下アーム部63aに設けられた接点66aが、その上側に配置される後フラット配線91に押し付けられる。
【0074】
一方、ロック状態にされたアクチュエータ3や、アクチュエータ3のカム部34が、中間アーム部64押し込むことにより、中間アーム部64は下側に押さる。これにより、中間アーム部64に設けられた接点65aが、その下側に配置される後フラット配線91に押し付けられる。
【0075】
このように、アクチュエータ3が押し倒されてロック姿勢にされると、偶数端子6の接点65aと接点66aが後フラット配線91を挟み、後フラット配線91をロックする。また、接点65bと接点66bが前フラット配線92を挟み、前フラット配線92をロックする。
【0076】
なお、偶数端子6の接点65aと接点66aが後フラット配線91を挟む力(以降、後接触力と称する)と、偶数端子6の接点65bと接点66bが前フラット配線92を挟む力(以降、前接触力と称する)を計測したところ、以下の結果が得られた。この結果から、上支柱部61a及び下支柱部61bの太さを変えたり、これらの前後方向の間隔を変えたりすることで、各フラット配線にかかる接触力は調整可能であると考えられる。このことは、奇数端子5についても同様であると考えられる。
・上支柱部61aを太くすると、後接触力は増大し前接触力は低下する。
・下支柱部61bを太くすると、後接触力は低下し前接触力は増大する。
・上支柱部61aと下支柱部61bとの間隔を広げると、後接触力と前接触力の双方は低下する。
【0077】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ1は、2つの抜け止め部材4のみならず、複数の奇数端子5と、複数の偶数端子6で後フラット配線91及び前フラット配線92を上下方向から挟む。このため、コネクタ1は、各フラット配線をより確実にロックすることが可能である。
【0078】
さらに、奇数端子5の下延伸部53と、偶数端子6の下延伸部63は、いずれも梃子のように傾斜しないため、ハウジング2に、下延伸部53,63が梃子のように動く場合のクリアランスを設ける必要がない。このため、コネクタ1の高さを従来のものよりも低減することが可能である。
【0079】
[5.変形例]
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更がなされてよい。以下、本発明を実施するための他の形態の例(変形例)について説明する。
【0080】
[5−1.抜け止め部材について]
図10〜
図12は、変形例に係るコネクタ1の概略断面図であり、特に、抜け止め部材4の変形例について示した図である。
【0081】
例えば、
図10の(A)に示すように、抜け止め部材4の支柱部41は、その途中で屈曲していてもよい。このように支柱部41が屈曲することで、支柱部41自体が撓みやすくなり、可動部43を上下に傾きやすくすることができる。即ち、より弱い力で第1アーム部43aを押し下げることができるため、作業者はより簡便に後フラット配線91と前フラット配線92をロックすることができる。
【0082】
また例えば、
図10の(B)に示すように、支柱部41の一部分を細く凹ませてもよい。このように支柱部41を凹ませることで、支柱部41自体が撓みやすくなるため、
図10の(A)の場合と同様に、作業者はより簡便に各フラット配線をロックすることができる。
【0083】
また例えば、
図10の(C)に示すように、抜け止め部材4の固定部42bは、ハウジング2の上壁23のみに固定されてもよい。この場合、第1アーム部43aが下側に押されることで、固定部42bを支点として抜け止め部材4の全体が傾く。この場合においても、第1アーム部43aは下側に傾き、第2アーム部43bは上側に傾くことにより、第1係合部44aを後フラット配線91に係合し、第2係合部44bを前フラット配線92に係合することができる。即ち、この場合の抜け止め部材4も、後フラット配線91と前フラット配線92との双方をロックすることが可能である。
【0084】
また例えば、
図11の(D)に示すように、抜け止め部材4の支柱部41は、可動部43の下側に形成されてもよい。この場合、第1アーム部43aが下側に押されると、可動部43は、支柱部41の上端を支点として梃子のように動くため、第1アーム部43aは下側に傾き、第2アーム部43bは上側に傾く。このため、支柱部41を可動部43の下側に形成した場合であっても、後フラット配線91と前フラット配線92との双方をロックすることが可能である。
【0085】
また例えば、
図11の(E)に示すように、抜け止め部材4の第1アーム部43aは、後フラット配線91の下側に形成されてもよい。この場合、アクチュエータ3(図示せず)が直接的に後フラット配線91を下側に押すことにより、後フラット配線91を第1係合部44aに係合させるとともに、第1アーム部43aを下側に押す。すると、第2アーム部44bは弾性的に上側に傾くため、第2係合部44bは、その上側に配置される前フラット配線92に係合される。このように、第1アーム部43aの位置をフラット配線91の下側とした場合であっても、各フラット配線をロックすることが可能である。
【0086】
また例えば、
図12の(F)に示すように、抜け止め部材4において、第1アーム部43aが後フラット配線91の下側に、第2アーム部43bが後フラット配線91の上側に形成されもよい。この場合、第1アーム部43aの下側に配置されるアクチュエータ3(図示せず)が第1アーム部43aを上方に押すことで、第1アーム部43aが上側に傾き、第1係合部44aは、その上側に配置された後フラット配線91と係合する。そして、第2アーム部43bが弾性的に下側に傾くことで、第2係合部44bは、その下側に配置された前フラット配線92と係合する。このように、第1アーム部43aを後フラット配線91の下側に、第2アーム部43bを前フラット配線92の上側にそれぞれ配置した場合であっても、抜け止め部材4は、各フラット配線をロックすることが可能である。
【0087】
また例えば、
図12の(G)に示すように、抜け止め部材4において、第1アーム部43aが後フラット配線91の下側に、第2アーム部43bが後フラット配線91の下側に形成されてもよい。この場合、アクチュエータ3(図示せず)が直接的に後フラット配線91を上方に押すことで、第1係合部44aは、後フラット配線91と係合する。そして、第2アーム部43bが弾性的に下側に傾くことで、第2係合部44bは、その下側に配置された前フラット配線92と係合する。このように、第1アーム部43aを後フラット配線91の下側に、第2アーム部43bを前フラット配線92の下側にそれぞれ配置した場合であっても、抜け止め部材4は、各フラット配線をロックすることが可能である。
【0088】
[5−2.各端子について]
以下では、奇数端子5の変形例について説明する。なお、偶数端子6については、具体的な説明を省略するが、以下の変形例は、偶数端子6に対しても同様に適用可能である。
【0089】
実施形態(
図7参照)において、奇数端子5の中間アーム部54に設けられた接点55aと、第1の下アーム部53aに設けられた接点56aとの双方が、後フラット配線91に接触する場合について説明したが、奇数端子5は、接点55aと接点56aとのうちの一方を有していれば、後フラット配線91に電気的に接続可能であるため、奇数端子5は、接点55aと接点56aの一方を有さなくてもよい。また、奇数端子5が接点56aを有する場合、奇数端子5は、中間アーム部54を有さなくてもよい。この場合、アクチュエータ3のカム部33が直接的に後フラット配線91を押し下げて、奇数端子5とフラット配線91とを接触させてもよい。また、奇数端子5は、接点55aを有する場合、第1の下アーム部53aを有さなくてもよい。なお、奇数端子5は、必ずしも固定部53cを有さなくてよい。
【0090】
また、奇数端子5は、接点55bと接点56bとのうちの一方を有していれば、前フラット配線92に電気的に接続可能であるため、奇数端子5は、接点55aと接点56aの一方を有さなくてもよい。また、奇数端子5は、接点56bを有する場合には、第2の上アーム部52bを有さなくてもよく、接点55bを有する場合には、第2の下アーム部53bを有さなくてもよい。