(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359470
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】質量分析装置
(51)【国際特許分類】
H01J 49/06 20060101AFI20180709BHJP
H01J 49/26 20060101ALI20180709BHJP
G01N 27/62 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
H01J49/06
H01J49/26
G01N27/62 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-26012(P2015-26012)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-149279(P2016-149279A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143395
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 今日文
(74)【代理人】
【識別番号】100173174
【弁理士】
【氏名又は名称】間野 日出男
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 義幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 正行
(72)【発明者】
【氏名】島田 優志
(72)【発明者】
【氏名】三田 浩希
【審査官】
杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0041092(US,A1)
【文献】
特開2008−128660(JP,A)
【文献】
特開2013−225425(JP,A)
【文献】
特開2011−086403(JP,A)
【文献】
特開2009−289600(JP,A)
【文献】
特開2010−177120(JP,A)
【文献】
米国特許第06091068(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/60−27/70
27/92
H01J27/00−27/26
37/00−37/18
37/21
37/24−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガスをイオン化するイオン化部と、
前記イオン化部でイオン化された前記被測定ガスの成分のうち、予め設定した質量電荷比を有する対象ガスのイオンだけを通過させるフィルター部と、
前記フィルター部を通過した前記対象ガスのイオンに基づいたイオン検出値を検出するイオン検出部と、を有し
前記イオン検出部は、
前記フィルター部の中心線に沿って配置されたファラディ電極と、
前記中心線を挟んで前記ファラディ電極に対向して設けられた二次電子増倍器と、
前記ファラディ電極に接続され、前記二次電子増倍器よりも前記イオンの流れの下流側の位置に、前記中心線を遮るように設けられた底部電極と、
前記底部電極を介して前記ファラディ電極に接続され、前記二次電子増倍器の方向に進む光電子および反射光を遮蔽する遮蔽部と、を備え、
前記遮蔽部の高さは、前記遮蔽部と、前記底部電極における真空紫外光照射範囲のうち前記遮蔽部から最も遠い位置にある照射範囲外周部との距離の1.5倍以上であることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
前記遮蔽部の高さが、前記遮蔽部と前記照射範囲外周部との距離の10倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記イオン検出部は、前記遮蔽部に磁力線を通過させる磁石部をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記磁石部は、前記遮蔽部の遮蔽面に平行、かつ前記二次電子増倍器を左手方向に見る方向に磁力線を通過させるように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。
【請求項5】
前記遮蔽部の高さが、前記遮蔽部と前記照射範囲外周部との距離の3倍以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の質量分析装置。
【請求項6】
前記フィルター部もしくは前記遮蔽部の真空紫外光が照射される部分を導電性を維持しつつ黒色に着色することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファラディ電極と二次電子増倍器の両方を検出器として有する質量分析計が知られている。このタイプの質量分析計は、測定雰囲気の圧力、求められる感度や安定性などにより適宜使い分けができる。
【0003】
このタイプの質量分析装置を用いて1E-2 Pa以上の圧力空間を測定する際、イオン化室では被測定ガスのイオン化に伴い真空紫外光が多く発生することが知られている。真空紫外光がイオン検出器に到達すると光電子が発生すると、ファラディ電極で測定するモード(ファラディモード)と二次電子増倍器で測定するモード(二次電子増倍モード)のどちらであっても質量分析の結果得られるマススペクトルのバックグラウンドが上昇する。圧力が高くなるほど真空紫外光の発生量が多くなり、バックグラウンドが上昇しやすくなる。
【0004】
そこで、二次電子増倍器と同様にファラディ電極も質量分析部の軸線上に配置しない構成が知られている。例えば、特許文献1に開示されている技術によれば、 質量分析部の軸線上には別電極を設け、ファラディ電極には真空紫外光が直接照射しない構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6091068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、 特許文献1の技術のように質量分析部の軸線上には別電極を設ける構成では、別電極で反射した真空紫外光がファラディ電極や二次電子増倍器に入射しバックグラウンドの上昇が避けられない。
【0007】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、1E-2Pa以上の圧力空間の質量分析を高い精度で行うことができる質量分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る質量分析装置は、被測定ガスをイオン化するイオン化部と、前記イオン化部でイオン化された前記被測定ガスの成分のうち、予め設定した質量電荷比を有する対象ガスのイオンだけを通過させるフィルター部と、前記フィルター部を通過した前記対象ガスのイオンに基づいたイオン検出値を検出するイオン検出部と、を有し、前記イオン検出部は、前記フィルター部の中心線に沿って配置されたファラディ電極と、前記中心線を挟んで前記ファラディ電極に対向して設けられた二次電子増倍器と、前記ファラディ電極に接続され、前記二次電子増倍器よりも前記イオンの流れの下流側の位置に、前記中心線を遮るように設けられた底部電極と、前記底部電極を介して前記ファラディ電極に接続され、前記二次電子増倍器の方向に進む光電子および反射光を遮蔽する遮蔽部と、を備え
、前記遮蔽部の高さは、前記遮蔽部と、前記底部電極における真空紫外光照射範囲のうち前記遮蔽部から最も遠い位置にある照射範囲外周部との距離の1.5倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マススペクトルのバックグラウンドの上昇を抑制し、 高い検出限界で質量分析ができる質量分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る質量分析装置の概略図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るイオン検出部の拡大図である。
【
図6】第2実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
【
図7】第2実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
【
図8】第2実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るイオン検出部の拡大図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係るイオン検出部の拡大図である。
【
図12】第4実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
【
図13】各実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本願発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0012】
(第1実施形態)
図1は質量分析装置の構成概略図、
図2は質量分析装置の検出部の拡大図である。質量分析装置1は、円筒状部材であるニップル11の内側にイオン源(イオン化部)21、四重極(フィルター部)22、イオン検出器(イオン検出部)31を有している。ニップル(ケース)11は両端にフランジ12a、12bが設けられた円筒状部材であり、ニップル11内部は真空排気可能に構成されている。ニップル11の2つのフランジ12a、12bのうち、フランジ12aは測定する被測定容器101に取り付けるための接続部である。測定時にはニップル11の内部は被測定容器101の内部と連通され、ニップル11内と被測定容器101内(測定空間)の気体(被測定ガス)は同一圧力、同一成分になる。フランジ12bは後述するコントローラ25に取り付けられるベースフランジ13に接続されている。イオン源(イオン化部)21、四重極22、イオン検出器(イオン検出部)31は配線を介してベースフランジ13の外部に配置されているコントローラ25に接続されており、コントローラ25はさらに演算部(コンピュータ)26に接続されている。
【0013】
ベースフランジ13にはイオン検出器31が絶縁材料32を介して固定されており、イオン検出器31のベースフランジ13が取付けられた端部と逆側には不図示の絶縁材料を介して四重極22と四重極出口アパーチャ23が固定されている。さらに、四重極22のイオン検出器31が取り付けられた端部と逆側には不図示の絶縁材料を介してイオン源21が取り付けられている。
【0014】
四重極22は、被測定ガスの成分のうち、予め設定された質量電荷比を有する対象ガスのイオンを選択的に通過させるフィルターであり、イオン源21とイオン検出器31の中間に位置し、4本の金属製円柱ロッド(ロッド)で構成されている。それぞれのロッド22aは中心軸Cに沿って等間隔に平行に配置される。四重極22は、各ロッド22aに直流電圧と特定周波数の交流電圧を重畳した電圧を印加するコントローラ25内の電子回路に接続されている。各ロッド22aに印加する電圧を設定することで所定の質量電荷比を持つイオンのみを下流のイオン検出器31側に通過させることができる。さらに電圧を掃引することにより通過するイオンの質量電荷比を変えることができる。
【0015】
図2にイオン検出器を拡大する。
図2は
図1に示した質量分析装置1のイオン検出器31の部分を拡大した模式図である。イオン検出器31はフィルター部を通過した対象ガスのイオンを検出する部分であり、ファラディ電極33、二次電子増倍器34、エレクトロンコレクタ35を有している。ファラディ電極33と二次電子増倍器34とエレクトロンコレクタ35は絶縁材料32を介してベースフランジ13に設けられており、ファラディ電極33とエレクトロンコレクタ35の間に二次電子増倍器34が配置されている。
【0016】
ファラディ電極33は中心線Cに沿って配置されている。二次電子増倍器34は中心線Cを挟んでファラディ電極33の電極部分33aに対向するように設けられている。ファラディ電極33は、電極部分33a(第1電極)、拡張部分33b(第2電極)を有している。電極部分33aと拡張部分33bは一体に構成されている。拡張部分33bには、底部電極33c(第3電極)が一体に接続されている。また、底部電極33cには遮蔽板41(遮蔽部、第4電極)が一体に接続されている。遮蔽板41は、底部電極33cで生じた光電子と底部電極33cで反射された反射光のうち、二次電子増倍器34の方向に進む光電子および反射光を遮蔽する部材である。本実施形態では、電極部分33a、拡張部分33b、底部電極33c、遮蔽板41は一体の電極として構成されており、対象イオンがこれらの電極のいずれかに接触することで、イオンの電流を検出することが出来る。なお本実施形態では遮蔽板41は板状部材から構成したが、光電子および反射光を遮蔽する部材であればよい。また、遮蔽板41は平板状部材であるが、底部電極33cに投影された真空紫外光の照射範囲の形状に合わせて湾曲させてもよい。
【0017】
電極部分33aは中心線Cに平行に設けられ、中心線Cを三方向で囲む板部材であり、二次電子増倍器34に対向する部分が開放されている。拡張部分33bは中心線Cに沿って対象ガスのイオンの流れの下流側に電極部分33aが延長された板部材である。拡張部分33bの下流側の端部には底部電極33cが接続されている。拡張部分33bは電極部分33aと同様に中心線Cに平行に設けられ、中心線Cを三方で囲む板部材であり、二次電子増倍器34の下流側に対向する部分には遮蔽板41が接続されている。遮蔽板41は拡張部分33bと底部電極を介して電極部分33aに接続されており、ファラディ電極33と一体に構成されている。
【0018】
四重極22を通過したイオンをそのまま検出する場合はファラディ電極33をコントローラ25内のエレクトロメータに接続してイオンの入射に伴う電流値(イオン検出値)を計測する。一方、イオンを増倍して検出する場合は、ファラディ電極33へ適宜プラス側の電位を印加して補助電極として用いながら、二次電子増倍器34のうちファラディ電極33に面した箇所にマイナス側の高電圧を印加することでイオンを引き込み、二次電子増倍器34内部にてイオンを電子に変換し、さらに、その電子を増倍させる。そして、増倍された電子を、コントローラ25内のエレクトロメータに接続したエレクトロンコレクタ35に入射させ、イオン検出量を反映した電流値(イオン検出値)として計測する。
【0019】
ファラディ電極33の底部(底部電極)に遮蔽板(遮蔽部)41を設けた結果、真空紫外光の照射に伴いファラディ電極33の底部から発生し、その後ファラディ電極33の外部に漏れていた光電子eを遮蔽板41で吸収することにより、ファラディモード使用時にバックグラウンドの上昇を抑え、高い精度で測定を行うことができる。
【0020】
図3に
図2のA-A断面矢視図を示す。真空紫外光がファラディ電極底部に照射している範囲(照射範囲)のうち、遮蔽板41と遠い側の外周位置Pと、遮蔽板41との距離W(遮蔽板と照射範囲外周部との距離W)と、遮蔽板41の高さH(
図2参照)との比率を1:10程度にすれば真空紫外光照射範囲から発生する光電子をファラディ電極に吸収することができると考えられる。すなわち、遮蔽板41の高さ(H)が、遮蔽板41と照射範囲外周部Pとの距離(W)の10倍程度もしくは10倍以下にできる。
【0021】
(第2実施形態)
図4,5に第2実施形態を示す。以後の各実施形態は第1実施形態と比べてイオン検出器の構造に主要な相違を有する構成例である。以後の各実施形態では、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。本実施形態は、遮蔽板41の立ち上がり位置(遮蔽板41と底部電極33cの接続位置)を真空紫外光の照射範囲に近づけた構成を有している。
図5は
図4のB-B断面矢視図を示す。
図4のように遮蔽板41の立ち上がり位置はファラディ電極33の底部の真空紫外光の照射範囲に近い方が遮蔽板41の高さを低くすることができ、イオン検出器の小型化に寄与できる。遮蔽板41の立ち上がり位置をファラディ電極33の底部の真空紫外光の照射範囲の境界(
図4、5を参照)にすると、 遮蔽板41の高さHはファラディ電極33の底部の真空紫外光の照射範囲の幅W2(
図5に図示)の10倍以下にできる。この場合、真空紫外光照射範囲から発生する光電子をファラディ電極に吸収でき、バックグラウンドの上昇を抑制する十分な効果がある。
【0022】
図6は第2実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
図6のように遮蔽板41の上部に 返し部51を取り付けても、
図4,5の構成と同様の効果を得ることができる。
【0023】
図7は第2実施形態の変形例であるイオン検出部の拡大図である。
図7のように遮蔽板41に加えて、第2の遮蔽板52をファラディカップの閉鎖側に設置すれば、反射光に基づく光電子も遮蔽板41で吸収することができ、 ファラディモード使用時のバックグラウンドの上昇回避効果を高めることができる。また、
図8のように第2の遮蔽板52の上部に第2返し部53を取り付けても、
図7構成と同様な効果を得ることができる。
【0024】
(第3実施形態)
図9は第3実施形態に係るイオン検出部の拡大図、
図10は
図9のD-D断面矢視図である。
図9、10のように遮蔽板41の前面領域に、紙面の手前から奥側に向かう方向の磁場Bを印加することで光電子の軌道を曲げ、遮蔽板41に対向する位置にあるファラディ電極33の側面33a、33bに入射させることができる。その結果、遮蔽板41の高さHを低くすることが可能となり、質量分析装置の小型化が可能となる。磁場Bとして40ガウス程度を印加すれば、遮光版41の高さHは光電子照射幅Wの1.5〜3倍にできる。また、
図10では磁石の構成例として、一対の永久磁石42を示したが、磁場Bを印加する磁石42(磁石部)は1つでもよく、また永久磁石と電磁石のどちらでも構わない。磁石部としての磁石42は、遮蔽板41の光電子や反射光が照射される面(遮蔽面)に平行に、かつ二次電子増倍器34を左手方向に見る方向に磁力線Bを通過させるように設けられている。
【0025】
(第4実施形態)
図11は第4実施形態に係るイオン検出部の拡大図である。
図11のように四重極22の内側を黒色めっきや酸化処理、カーボン蒸着処理など、導電性を維持しつつ黒色に着色することもバックグラウンドの上昇の抑制に効果がある。黒化する箇所の例を
図11に黒化箇所BKとして示した。黒化することで、四重極22の表面で反射してファラディ電極33へ照射される真空紫外光を減らすことができる。また、真空紫外光の照射範囲を狭く限定することができるため遮蔽板41の高さHを低くすることが可能となり、質量分析装置の小型化が可能となる。
【0026】
上記の遮蔽板41は光電子のみならず、その表面で真空紫外光が反射して二次電子増倍器34に到達するのを低減する効果も併せ持つ。そのため、二次電子増倍器モード使用時のバックグラウンドノイズの上昇も低減することができる。
【0027】
図12は第4実施形態の変形例である。
図12のように遮蔽板41の表面を黒色めっきや酸化処理、カーボン蒸着処理など、導電性を維持しつつ黒化することにより、遮蔽板41の表面で反射し二次電子増倍器34へ到達する真空紫外光の反射光をさらに低減することができる。黒化する箇所の例を
図12中に黒化箇所BK2として示した。
【0028】
図13は上述した実施形態の変形例である。
図13のように、遮蔽板41の設置、第2遮蔽板52の接地、磁場Bの印加、四重極内面の黒化(黒化箇所BK)、遮蔽板の黒化BK2は、組み合わせて実施すると相乗的にそれぞれの効果が発揮される。
【0029】
本発明の質量分析装置によれば、 比較的単純な構造の質量分析装置でありながら、1E-2Pa以上の圧力空間を測定してもマススペクトルのバックグラウンドが上昇せず、 高い検出限界で質量分析を行うことができる。 また、本発明の検出部31は簡便な構成であるためメンテナンスや製造に必要なコストの上昇を防ぎつつ、 高精度な分圧測定ができる質量分析装置を提供できる。
【0030】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。例えば、本実施形態ではファラディ電極33に付加した遮蔽板41は平板であるが、これに限定されず、曲面をしていてもよい。また、遮蔽板41の側面に取り付けた磁石にヨークを付加してもよい。また、本実施形態では四重極質量分析装置を取り付ける測定対象をスパッタリング装置の場合について説明したが、本発明の質量分析装置は真空蒸着装置やCVD装置のような成膜装置の他、ドライエッチング装置や表面改質装置等の種々の真空装置に用いてもよい。
【符号の説明】
【0031】
11 ニップル
13 ベースフランジ
21 イオン源
22 四重極
23 四重極出口アパーチャ
25 コントローラ
26 演算部(コンピュータ)
31 イオン検出器
32 絶縁材料
33 ファラディ電極
33a 電極部分
33b 拡張部分
33c 底部電極
34 二次電子増倍器
35 エレクトロンコレクタ
41 遮蔽板
42 磁石
51 返し部
52 第2の遮蔽板
53 第2返し部
B 磁場
BK 黒化箇所