特許第6359475号(P6359475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムアースEVエナジー株式会社の特許一覧

特許6359475溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置
<>
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000002
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000003
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000004
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000005
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000006
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000007
  • 特許6359475-溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359475
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20180709BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20180709BHJP
【FI】
   B23K26/00 P
   B23K26/21 A
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-48267(P2015-48267)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-168596(P2016-168596A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂樹
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0062324(US,A1)
【文献】 特表2010−508534(JP,A)
【文献】 特開2010−115680(JP,A)
【文献】 特開2006−43741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ溶接による溶接モードを判別する溶接モード判別装置であって、
レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得部と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出部と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ溶接による溶接モードを判別する判別部とを備え
前記判別部は、前記赤外線波長領域の画像の発光像の大きさと前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の大きさとの比、及び前記赤外線波長領域の画像の発光像の輝度と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度との比の少なくとも一方に応じて前記溶接モードの判別を行うものであり、前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リスト、及び、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストのうちの対応する判別リストとの照合に基づいて前記溶接モードを判別する
ことを特徴とする溶接モード判別装置。
【請求項2】
前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストは、前記短波長の可視光線波長領域の発光像が撮像されないモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさが前記赤外線波長領域の発光像の大きさと同様であるモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさが前記赤外線波長領域の発光像の大きさに比べて同様未満であり、かつ、該短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさとして大きいときのモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさとして前記大きいときのモードよりも小さいときのモードのいずれか1つを前記溶接モードとして判別させる
請求項に記載の溶接モード判別装置。
【請求項3】
前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストは、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度が観測されないモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがあり、かつ、前記赤外線波長領域の発光像の輝度の高い部分の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が小さいモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがなく、かつ、前記赤外線波長領域の発光像
の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が小さいモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が大きいモードのいずれか1つを前記溶接モードとして判別させる
請求項又はに記載の溶接モード判別装置。
【請求項4】
前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストはさらに、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度が観測されない、かつ、前記赤外線波長領域の発光像の輝度は観測されるモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがあり、かつ、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度の高い部分の輝度がいずれも高いモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがなく、かつ、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度がいずれも高いモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度がいずれも低いモードのいずれか1つを判別させる
請求項に記載の溶接モード判別装置。
【請求項5】
レーザ溶接による溶接モードを判別する溶接モード判別方法であって、
レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得工程と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出工程と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ溶接による溶接モードを判別する判別工程とを備え
前記判別工程は、前記赤外線波長領域の画像の発光像の大きさと前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の大きさとの比、及び前記赤外線波長領域の画像の発光像の輝度と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度との比の少なくとも一方に応じて前記溶接モードの判別を行うものであって、前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リスト、及び、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストのうちの対応する判別リストとの照合に基づいて前記溶接モードを判別する
ことを特徴とする溶接モード判別方法。
【請求項6】
レーザ光の照射されるエネルギー強度を変更可能な態様でレーザ溶接を行うレーザ溶接装置であって、
レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得部と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出部と、
前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ光の照射されるエネルギー強度を制御する制御部とを備え
前記制御部は、前記赤外線波長領域の画像の発光像の大きさと前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の大きさとの比、及び前記赤外線波長領域の画像の発光像の輝度と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度との比の少なくとも一方に応じて前記レーザ溶接による溶接モードの判別を行うものであり、前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リスト、及び、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストのうちの対応する判別リストとの照合に基づいて前記溶接モードを判別し、前記判別した溶接モードを目的のモードに維持させるようにレーザ光の照射されるエネルギー強度を制御する
ことを特徴とするレーザ溶接装置。
【請求項7】
前記制御されるエネルギー強度は、前記レーザ光の出力強度、及び前記レーザ光の照射される範囲、及び前記レーザ光の移動する速度の少なくとも一つの調整で制御され
請求項に記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光による溶接の状態を溶接モードとして判別することができる溶接モード判別装置、及び溶接モード判別方法、及び前記溶接モード判別装置を備えるレーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザ光の照射によって接合対象を溶接する技術が知られている。そして、こうしたレーザ溶接により溶接されるものの1つとして、金属製のケースに金属製の蓋が溶接されてなる電池がある。このような電池では、ケース内の電解液などが外部に漏れ出すことがない高い密閉性を維持すべく、精度の高い溶接がその金属製の蓋とケースとの間で行われている。一方、溶接の精度を高めるために、溶接時の溶接状態を監視する技術なども提案されており、そうした技術の一例として、アーク溶接における溶接の状態を監視する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の溶接の監視装置は、アーク溶接を監視する装置である。この溶接の監視装置は、アーク溶接の周囲を撮像する2つの撮像手段と、赤外線波長領域のバンドパス特性を有していて一方の撮像手段に対して設けられた第1バンドパスフィルタと、紫外線波長領域のバンドパス特性を有していて他方の撮像手段に対して設けられた第2バンドパスフィルタとを備えている。また、この溶接の監視装置は、第2バンドパスフィルタの透過帯域の発光スペクトルを有し且つアーク溶接の周囲を照明する照明手段と、2つの撮像手段で撮像した画像を合成する画像合成手段と、画像合成手段で合成された画像を表示する画像表示手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−125790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の溶接の監視装置によれば、アーク溶接において、アークスポット点の周辺の状況(アークの発生状態や溶融池の状態)を精度良く撮像することができるとともに、これら周辺の状況に対応する画像をモニタにより監視することができる。
【0006】
ところで、アーク溶接のみならずレーザ溶接などの溶接では、高温に加熱されて溶融している溶接箇所についてその監視を行うことができたとしても、時間の経過とともに激しく変化する溶接状態(溶接モード)となるとこれを客観的に判別することは容易ではなかった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、溶接モードを客観的に判別することができる溶接モード判別装置、及び、溶接モード判別方法、及び、前記溶接モード判別装置を備えるレーザ溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する溶接モード判別装置は、レーザ溶接による溶接モードを判別する溶接モード判別装置であって、レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得部と、前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出部と、前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ溶接による溶接モードを判別する判別部とを備えることを要旨とする。
【0009】
上記課題を解決する溶接モード判別方法は、レーザ溶接による溶接モードを判別する溶接モード判別方法であって、レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得工程と、前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出工程と、前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ溶接による溶接モードを判別する判別工程とを備えることを要旨とする。
【0010】
このような装置又は方法によれば、レーザ照射箇所は加熱されることにより状態が変化し、その変化した状態に対応する光が放射される。そこで、この構成によるように、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像とを比較することで、赤外線波長領域によって検出される状態と、短波長の可視光線波長領域によって検出される状態とが比較されることとなり、この比較によって溶接モードを客観的に判別することができるようになる。
【0011】
また、2つの発光像の比較により溶接モードを判定することで、一方の発光像を基準として他方の発光像を相対的に比較することができる。よって、同じ溶接モードであってもレーザ光の強さ等の条件に応じて輝度や大きさが変わることがあるが、同一の条件下にある一方を基準とする相対比較により、条件の影響を抑えたより正確な判断が可能になる。
【0012】
好ましい構成として、前記判別部は、前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との大きさの比較、及び前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との輝度の比較の少なくとも一方に応じて前記溶接モードの判別を行う。
【0013】
このような構成によれば、溶接モードを特定させる状態が、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との大きさの比較、及び、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との輝度の比較の少なくとも一方により得られるようになる。
【0014】
好ましい構成として、前記大きさの比較が、前記赤外線波長領域の画像の発光像の大きさと前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の大きさとの比であり、前記輝度の比較が、前記赤外線波長領域の画像の発光像の輝度と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度との比であって、前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リスト、及び、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストをそれぞれ備え、それら判別リストとの照合に基づいて前記溶接モードが判別される。
【0015】
このような構成によれば、比較することが容易である2つの発光像の大きさや、2つの発光像の輝度の比較から得られる比に基づいて溶接モードが判別されるようになる。
また、大きさや輝度の比をそれぞれ対応する判別リストと照合することによって溶接モードの判別が容易に行えるようにもなる。
【0016】
好ましい構成として、前記大きさの比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストは、前記短波長の可視光線波長領域の発光像が撮像されないモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさが前記赤外線波長領域の発光像の大きさと同様であるモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさが前記赤外線波長領域の発光像の大きさに比べて同様未満であり、かつ、該短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさとして大きいときのモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の大きさとして前記大きいときのモードよりも小さいときのモードのいずれか1つを前記溶接モードとして判別させる。
【0017】
このような構成によれば、短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線波長領域の発光像との大きさの比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0018】
好ましい構成として、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストは、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度が観測されないモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがあり、かつ、前記赤外線波長領域の発光像の輝度の高い部分の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が小さいモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがなく、かつ、前記赤外線波長領域の発光像の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が小さいモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に対する前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度の比が大きいモードのいずれか1つを前記溶接モードとして判別させる。
【0019】
このような構成によれば、短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線波長領域の発光像との輝度の比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0020】
好ましい構成として、前記輝度の比に基づいて前記溶接モードを判別するための判別リストはさらに、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度が観測されない、かつ、前記赤外線波長領域の発光像の輝度は観測されるモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがあり、かつ、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度の高い部分の輝度がいずれも高いモード、及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度に高低のむらがなく、かつ、前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度がいずれも高いモード、及び前記短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度及び前記赤外線波長領域の発光像の輝度がいずれも低いモードのいずれか1つを判別させる。
【0021】
このような構成によれば、短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度と赤外線波長領域の発光像の輝度との組合せによっても溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0022】
上記課題を解決するレーザ溶接装置は、レーザ光の照射されるエネルギー強度を変更可能な態様でレーザ溶接を行うレーザ溶接装置であって、レーザ照射箇所及びその周辺における赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とを取得する取得部と、前記赤外線波長領域の画像の発光像及び前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像を抽出する抽出部と、前記赤外線波長領域の画像の発光像と前記短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との比較に基づいて前記レーザ光の照射されるエネルギー強度を制御する制御部とを備えることを要旨とする。
【0023】
このような装置によれば、動的に変化するレーザ照射箇所の溶接モードを判定しつつ、レーザ光の照射されるエネルギー強度を制御して、レーザ照射箇所の溶接モードを目的のモードに維持させることができるようになる。これにより、溶接モードを所望のモードに維持させつつ、適切なレーザ溶接を行うことができるようになる。
【0024】
好ましい構成として、前記制御されるエネルギー強度は、前記レーザ光の出力強度、及び前記レーザ光の照射される範囲、及び前記レーザ光の移動する速度の少なくとも一つである。
【0025】
このような構成によれば、溶接モードは、レーザ照射箇所へ付与するエネルギー強度の調整によって変更又は維持される。このような構成によれば、エネルギー強度の調整が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0026】
この溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置によれば、溶接モードを客観的に判別することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】レーザ溶接装置を具体化した一実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
図2】同レーザ溶接装置におけるレーザ溶接箇所の断面構造を模式的に示す断面図。
図3】同レーザ溶接装置における溶接時の溶接部分の状態を模式的に示す模式図。
図4】同レーザ溶接装置における溶接モードである第1〜第4モードのそれぞれにおける溶融現象と、750nmで撮像される画像と、及び450nmで撮像される画像とを示す模式図。
図5】レーザ溶接において溶接状態の変動を模式的に示す模式図であって、(a)は第3又は第4モードのときの態様を示す図、(b)はより溶融が進んだときの態様を示す図、(c)はさらに溶融が進んだときの態様を示す図。
図6】同レーザ溶接装置における溶接モードである第1〜第4モードのそれぞれに対応する、750nmの画像と450nmの画像との画像の特徴を比較する比較図。
図7】レーザ溶接装置を具体化した他の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1〜6に従って、溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、レーザ溶接装置は、レーザ発振器110から出力された発振レーザ光L0に基づき生成された照射レーザ光L2を接合対象に照射してレーザ溶接する。レーザ溶接装置は、レーザ光を発振して出力する前記レーザ発振器110と、レーザ発振器110から出力される発振レーザ光L0を溶接対象に照射させるレーザ出力部200とを備えている。
【0029】
レーザ発振器110は、いわゆる半導体レーザであって、レーザダイオードを発振させて発振レーザ光L0を出力する。レーザ発振器110は、発振レーザ光L0を、レーザ溶接に利用可能なレーザ光、例えば波長880〜980ナノメートル(nm)のレーザ光として出力する。またレーザ発振器110は、発振レーザ光L0のエネルギーの強度分布をトップハット型(矩形分布型)として出力する。半導体レーザからは、トップハット型の強度分布を有するレーザ光を出力させることは容易であるため、レーザ発振器110としての構成が簡単になりコストも抑えられるようになることが期待できる。
【0030】
レーザ出力部200は、レーザ光を溶接対象に照射させるためのものであり、発振レーザ光L0を入力するとともに、照射用の照射レーザ光L2を生成して、出力する。レーザ出力部200は、出力した照射レーザ光L2を、接合対象としての電池300の溶接対象部分に照射させる。電池300は、金属製のケース310と、金属製の蓋320とから構成されており、ケース310と蓋320との境界部分330を含むように設定される溶接対象箇所がレーザ出力部200から照射される照射レーザ光L2によりレーザ溶接される。なお、本実施形態では、ケース310と蓋320とを構成する金属は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0031】
図2に示すように、照射レーザ光L2は、レーザ光の照射径が径L2Dであり、強度Pのエネルギー強度を照射径において略均一に分布させる強度分布、いわゆるトップハット型である。照射レーザ光L2は、ケース310と蓋320との境界部分330をその照射径に含むように、ケース310の表面310aと蓋320の表面320aとに照射される。そして、溶接対象箇所に高いエネルギーが付与されることでレーザ照射箇所に含まれる境界部分330がレーザ溶接される。
【0032】
図3に示すように、照射レーザ光L2が電池300のケース310と蓋320との境界部分330を相対移動されることで、ケース310と蓋320との境界部分330が当該相対移動に従ってレーザ溶接される。照射レーザ光L2の照射箇所には高いエネルギーが付与されてアルミニウム合金が溶融され、この溶融したアルミニウム合金からなる溶融池350が形成される。一方、溶融池350は、照射レーザ光L2の照射箇所から外れて温度が低下することに応じて固まり、溶接された部分である溶接跡340を形成する。
【0033】
図1に示すように、レーザ出力部200は、発振レーザ光L0が入射されるコリメートレンズ260と、照射レーザ光L2を出射する集光レンズ250とを備える。
コリメートレンズ260は、入射された発振レーザ光L0を平行光L1にして出力するレンズであり、平行光L1を集光レンズ250へ出力する。
【0034】
集光レンズ250は、入力したレーザ光を所定の位置に集光させるように出射するレンズであって、入力した平行光L1を集光した態様の照射レーザ光L2にして出射する。集光レンズ250は、平行光L1の外径よりもの照射径(径L2D)を絞ることによって照射レーザ光L2の照射箇所におけるエネルギーの強度を高くする。これにより、照射レーザ光L2は、溶接対象部分に高いエネルギー強度で照射されるようになり、溶接対象部分が温度上昇されることに続いて溶融される。例えば、接合対象の2つの金属部材をそれぞれ溶融させることでそれら金属部材が溶接される。
【0035】
また、レーザ出力部200は、照射レーザ光L2の照射箇所とその周辺に観測される光である光E1を、集光レンズ250から入力し、分光器400により平行光L1と分離させて出力する。すなわち、レーザ出力部200は、光E1を照射レーザ光L2の進行方向と逆の方向から集光レンズ250に入力させる。光E1には、溶融池350を含む溶接対象部分の温度様態や溶融状態に応じて溶接対象物から発光される光が含まれる。分光器400は、平行光L1をその進行方向に対して透過させるとともに、平行光L1の進行方向とは逆方向から入射される光E1を90°の方向などの所定の方向に反射させる。
【0036】
レーザ出力部200から出力された光E1は、第1の分割器401によって第1の撮像部420の方向と第2の分割器402の方向とに分割され、第2の分割器402によって第2の撮像部430の方向と第3の撮像部440の方向とに分割される。
【0037】
第1及び第2の分割器401,402は、いわゆるビームスプリッターであって、入射光を所定の割合で透過及び反射させる。そして、第1の分割器401は、反射光を第1の撮像部420に入力させ、透過光を第2の分割器402へ照射させる。また、第2の分割器402は、反射光を第2の撮像部430に入力させ、透過光を第3の撮像部440へ入力させる。例えば、第1の分割器401の透過率を3分の2、かつ、反射率を3分の1、また、第2の分割器402の透過率を2分の1、かつ、反射率を2分の1とすることができる。第1及び第2の分割器401,402の透過率及び反射率がこのように設定されれば、第1の分割器401で反射された光の強度と、第2の分割器402で反射された光の強度と、第2の分割器402で透過された光の強度とをそれぞれ光E1の3分の1の強度にすることができる。なお、第1の分割器401の透過率と反射率、及び、第2の分割器402の透過率と反射率はそれぞれ任意に設定することができる。
【0038】
第1及び第2の撮像部420,430はそれぞれ、分割された光E1を、予め設定された波長領域のみを選択的に透過させるバンドパスフィルタ421,431を介して入力する。
【0039】
本実施形態では、バンドパスフィルタ421は、中心波長を450nmとする波長400〜500nmの波長領域の光を選択的に透過させる。一方、その他の波長領域の光は透過対象として選択されないため透過しない。つまり、バンドパスフィルタ421は、波長400〜500nmの波長領域の光を第1の撮像部420に入力させる。なお、波長400〜500nmは、いわゆる、短波長の可視光線波長領域に含まれ、より詳しくは、青色及び紫色の波長が含まれる波長領域に対応する。なお、バンドパスフィルタ421は、波長400〜590nmの波長領域の光を選択的に透過させてもよい。このとき、第1の撮像部420は波長400〜590nmのうちの広い範囲の光に感度を有していることが望ましい。波長を590nm以下とするのは、波長が590nmを超えると金属ヒューム等のノイズが多くなり好ましくないためであり、こうしたノイズは波長を500nm以下とすればより抑えられるようになる。
【0040】
また本実施形態では、バンドパスフィルタ431は、中心波長を750nmとする波長700〜800nmの波長領域の光を選択的に透過させる。一方、その他の波長領域の光は透過対象として選択されないため透過しない。つまり、バンドパスフィルタ431は、波長700〜800nmの波長領域の光を第2の撮像部430に入力させる。なお、波長700〜800nmは、いわゆる、赤外線領域に含まれ、より詳しくは、近赤外線領域に分類される波長領域に含まれる。なお、バンドパスフィルタ431は、波長700〜900nmの波長領域の光を選択的に透過させてもよい。このとき、第2の撮像部430は波長700〜900nmのうちの広い範囲の光に感度を有していることが望ましい。波長を900nm以下とするのは、波長が900nmを超えるとレーザ光等のノイズが多くなり好ましくないためであり、こうしたノイズは波長を800nm以下とすればより抑えられるようになる。
【0041】
第1〜第3の撮像部420,430,440はいずれも、CCDカメラを含み構成されており、溶融池350の画像を光E1を含む発光像として撮像する。また、第1〜第3の撮像部420,430,440はいずれも、撮像した撮像画像を制御部500へ出力する。
【0042】
第1の撮像部420は、バンドパスフィルタ421によって選択された波長400〜500nmの波長領域の光の画像を撮像する。波長400〜500nmは、例えば、溶融した金属が気化(プラズマ化)するとき発光する光を好適に観測することができる波長である。例えば、金属のうちアルミニウムを含む材料の気化温度は2300〜2500℃程度である。なお第1の撮像部420は、その撮像可能な波長領域に波長400〜500nmが含まれていれば、その他の波長領域が含まれていてもよい。
【0043】
第2の撮像部430は、バンドパスフィルタ431によって選択された波長700〜800nmの波長領域の光の画像を撮像する。波長700〜800nmは、例えば、溶融により生じる金属の発光を好適に観測することができる波長である。例えば、金属のうちアルミニウムを含む材料の溶融温度は650〜750℃程度である。なお第2の撮像部430は、その撮像可能な波長領域に波長700〜800nmが含まれていれば、その他の波長領域が含まれていてもよい。
【0044】
第3の撮像部440は、少なくとも可視光線波長領域を撮像可能な波長領域に含んでおり、撮像可能な波長領域の光の画像を撮像する。つまり、溶融池350及びその周辺を、主に可視光線からなる画像として撮像する。
【0045】
制御部500は、第1〜第3の撮像部420,430,440に接続されているとともに、それら撮像部420,430,440からそれぞれの撮像画像を入力する。制御部500は、撮像画像を取得する画像取得部510と、撮像画像から溶融状態に関連する発光像を抽出する発光像抽出部520と、溶接モードを判別する溶接モード判別部530とを備える。また、制御部500は、溶接モードの判定に必要なデータなどを記憶する記憶部540を備えている。記憶部540には、溶接モードの判別に用いられる第1判別リスト541及び第2判別リスト542が記憶されている。なお、本実施形態では、第1の撮像部420、第2の撮像部430、及び画像取得部510から取得部501(取得工程)が構成されている。
【0046】
また、制御部500は、判別された溶接モードを表示装置などに出力する。そして、判別された溶接モードが表示装置などを介して出力される。
画像取得部510は、第1の撮像部420からの撮像画像と、第2の撮像部430からの撮像画像とをそれぞれ取得する。
【0047】
発光像抽出部520は、第1及び第2の撮像部420,430からの各撮像画像からそれぞれ発光像(図4の発光像360〜363など参照)を抽出する(抽出工程)。発光像は、レーザ溶接によって溶接対象が溶融することに応じて発光した範囲を示す像である。本実施形態では、レーザ照射箇所及びその周辺においてレーザ光からのエネルギーによってアルミニウム合金が温度上昇し、溶融し、又は蒸発している状態が撮像される。なお、アルミニウム合金にレーザ照射されると、レーザ照射箇所を中心にエネルギーが拡散することから、付与されるエネルギー強度が同じになる範囲はレーザ照射箇所を中心とした円形となる傾向にある。よって、溶融池350も略円形に形成され、金属溶融に伴い生じる発光も円形状に得られる。
【0048】
溶接モード判別部530は、発光像抽出部520により抽出された発光像と第1及び第2判別リスト541,542とに基づいて、短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線領域の発光像の輝度との比較に基づいてレーザ溶接による溶接モードを判別する(判別工程)。
【0049】
記憶部540は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部であって、溶接モードの判別に必要な各種データが予め設定される。
図4に示すように、本実施形態では、溶接モードとして、第1から第4モードまでの4つのモードを判別するようにしている。第1モードは、熱伝導溶接に対応するモードであり、第2モードは、熱伝導溶接とキーホール溶接との間の遷移状態に対応するモードであり、第3モードは、良好なキーホール溶接に対応するモードであり、第4モードは、スパッタの多いキーホール溶接に対応するモードである。
【0050】
図4に示す、溶融現象の模式図を参照して、溶接モードと溶接現象の状態との関係について説明する。
第1モードは、熱伝導溶接の状態に対応する。すなわち、電池300の溶接対象部分が照射レーザ光L2の照射により加熱され、その熱が材料を伝達して広がって材料の所定範囲が溶融されてなる溶融池350が形成される。
【0051】
第2モードは、遷移状態に対応する。例えば、第1モードの状態にある溶接対象部分に照射レーザ光L2の照射が続くことで遷移状態になる。すなわち、溶融池350は、照射レーザ光L2の照射により溶融池350について溶融した材料が対流する溶融池351が形成される。材料が対流する溶融池351は、その表層部352の材料の一部が気化して、いわゆるブルーム354となり、そのブルーム354が該溶融池351の上方に放出される。また、材料が対流する溶融池351は、該溶融池351の底面にも対流により効率良く熱が伝導されることから当該底面の材料を溶融させて徐々に深くなる。
【0052】
第3モードは、良好なキーホール溶接の状態に対応する。例えば、第2モードの状態にある溶接対象部分に照射レーザ光L2の照射がさらに続くことで良好なキーホール溶接の状態になる。すなわち、材料が対流する溶融池351のエネルギーが高い状態にあることから表層部352の一部が活発に気化し、この活発な気化に伴って表層部352に凹みであるキーホール353が形成される。また、材料が対流する溶融池351の上方には活発な気化によって多くのブルーム354が放出される。さらに、活発な気化にともなって、材料を構成する金属の粒、いわゆるスパッタ355も多少放出されるようになる。また、材料が対流する溶融池351は、表層部352がさらに凹むため該溶融池351の底面も深くなり該溶融池351の深さをさらに深くする。
【0053】
第4モードは、スパッタの多いキーホール溶接の状態に対応する。例えば、第3モードの状態にある溶接対象部分に照射レーザ光L2の照射がその後もさらに続くことでスパッタの多いキーホール溶接の状態になる。すなわち、材料が対流する溶融池351のエネルギーがさらに高い状態になることで表層部352の一部が激しく気化し、この激しい気化に伴って表層部352により深い凹みからなるキーホール353が形成される。また、材料が対流する溶融池351の上方には激しい気化によってより多くのブルーム354が放出される。さらに、激しい気化にともなって、大量のスパッタ355が放出される。また、材料が対流する溶融池351は、表層部352がより深く凹むため該溶融池351の底面もより深くなり該溶融池351の深さを一層深くする。
【0054】
また、図5は、第4モードの状態にある材料が対流する溶融池351に照射レーザ光L2の照射が継続される場合を示す。図5(a)に示す、第4モードの状態にある材料が対流する溶融池351に照射レーザ光L2の照射が継続されると、図5(b)に示すように、材料が対流する溶融池351内に溶融状態が異常である異常部分356が生じ、図5(c)に示すように、その後、貫通孔357が形成されるようになる。本実施形態の電池300では、ケース310と蓋320との溶接対象部分に異常部分356や貫通孔357が生じることは好ましくない。
【0055】
つまり、レーザ溶接では、例えば第3モードや第4モードのように、キーホール353が形成されることによって、材料の深くまで溶融加工が行われるようになる。しかし、電池300のケース310や蓋320はその厚みが薄いため、キーホール353が深くなると貫通孔357を生じてしまうおそれもある。また、溶接に伴って生じるスパッタ355が多量に飛び散ることも好ましくない。発生するスパッタ355が多くなると、特に、電池300の場合、内部短絡を避けるために電池300内部へのスパッタ355の侵入を防ぐことにより多くの手間を要することになる。一方、第1モードでは溶接加工の深さが浅いため、ケース310と蓋320との溶接に好適な強度や安定性を確保できないおそれがある。そこで、本実施形態では、第2モードをケース310と蓋320との溶接に適切な溶接モードであるものとし、例えば第2モードであるか否かを通知したり、後から確認できたりすることができるようにしている。
【0056】
続いて、図4を参照して、各溶接モードにおいて撮像される、赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像とについて説明する。なお、以下の説明では、発光像の大きさ及び輝度の比較において「同様」と記載している部分があるが、ここで「同様」とは、同一であることだけではなく、誤差等を考慮してある程度の差があることも含むものとする。
【0057】
先ず、赤外線波長領域の画像について説明する。この画像は、750nmの波長を中心にした700nm〜800nmの波長領域の画像である。本実施形態では、赤外線波長領域には700nm〜800nmの波長領域が含まれるものとする。上述したように、700nm〜800nmの波長領域は、溶融により生じる金属の発光を好適に観測することができる波長である。つまり、この波長領域の画像によれば、金属が溶融している範囲、すなわち溶融池350の大きさを観測することができる。
【0058】
赤外線波長領域の画像から、第1モードから第4モードまでのそれぞれ対応する発光像360〜363が得られる。各発光像360〜363は、照射レーザ光L2の照射箇所を中心にして広がる略円形形状をしている。第1モードの発光像360は、輝度の低い像として観測され、第2モードの発光像361も、輝度の低い像として観測される。発光像360と発光像361とは、その大きさ(外径や面積)は略同様である。第3モード及び第4モードの各発光像362,363は、第1及び第2モードの発光像360,361に比べて、その大きさ(外径や面積)が大きく、その輝度が高い像として観測される。また、発光像362と発光像363とは、その大きさ(外径や面積)は略同様である。なお、第4モードの発光像363は、発光像363内において輝度の高い部分365と低い部分366が生じ、いわゆる輝度に高低のむらが生じ、その輝度の高い部分365の輝度と第3モードの発光像362の輝度とが同様の高さである。
【0059】
次に、短波長の可視光線波長領域の画像について説明する。この画像は、450nmの波長を中心にした400nm〜500nmの波長領域の画像である。本実施形態では、短波長の可視光線波長領域には400nm〜500nmの波長領域が含まれるものとする。上述したように、400nm〜500nmの波長領域は、溶融した金属が気化(プラズマ化)するとき発光する光を好適に観測することができる波長である。つまり、この波長領域の画像によれば、金属の気化の度合いが観測され、溶融池350に形成されるキーホール353の深さが推定できる。
【0060】
短波長の可視光線波長領域の画像から、第2モードから第4モードまでのそれぞれ対応する発光像370〜372が得られる。なお、第1モードのとき、撮像によって発光像を得ることはできない。各発光像370〜372は、照射レーザ光L2の照射箇所を中心にして広がる略円形状をしている。第2モードの発光像370は、輝度の低い、かつ、大きさ(外径や面積)が小さい像として観測される。第3モード及び第4モードの各発光像371,372は、第2モードの発光像370に比べて、その大きさ(外径や面積)が大きく、その輝度が高い像として観測される。また、発光像371と発光像372とは、その輝度は同様であるが、その大きさ(外径や面積)は、第3モードの発光像371に比べて第4モードの発光像372の方が大きい。
【0061】
ところで、各波長領域の発光像は、溶接モードに応じた特徴を有しているものの、同一波長域の発光像を比較しただけでは、溶接モードの精度を高く維持することが容易ではない。そこで、本実施形態では、赤外線波長領域の画像と短波長の可視光線波長領域の画像との比較に基づいて溶接モードを高い精度で判別することができるようにした。これにより、一方の発光像を基準として他方の発光像を相対的に比較することで溶接モードが判別されるようになる。よって、同じ溶接モードであってもレーザ光の強さ等の条件に応じて輝度や大きさが変わることがあるが、同一の条件下にある一方を基準とする相対比較により、条件の影響を抑えたより正確な判断が可能になる。
【0062】
すなわち、図1に示すように、第1判別リスト541と第2判別リスト542とを備える。なお、以下では、説明の便宜上、短波長の可視光線波長領域(450nmを含む波長領域)の画像の発光像を「450nmの発光像」と記し、赤外線波長領域(750nmを含む波長領域)の発光像を「750nmの発光像」と記す。
【0063】
第1判別リスト541は、短波長の可視光線波長領域の画像の発光像と赤外線波長領域の画像の発光像との大きさの比較結果に基づいて溶接モードを判別させるためのリストである。
【0064】
詳述すると、図6の「a行」に示すように、第1判別リスト541は、750nmの発光像の大きさ(例えば、外径)に対する450nmの発光像の大きさ(例えば、外径)の比に基づいて溶接モードを特定させるようになっている。すなわち、第1モードは、450nmの発光像が撮像できないために比較できないことに基づき判別される。第2モードは、450nmの発光像の大きさが750nmの発光像の大きさに比べて「小さい」ことに基づいて判別される。ここで、「小さい」とは、例えば、450nmの発光像の外径の大きさが750nmの発光像の外径の半分未満であることなどである。第3モードは、450nmの発光像の大きさが750nmの発光像の大きさに比べて小さいものの、第2モードの範囲よりは大きい、いわゆる「次に小さい」ことに基づいて判別される。ここで「次に小さい」は、例えば、450nmの発光像の外径の大きさが750nmの発光像の外径と同様未満、かつ、半分以上であることである。第4モードは、450nmの発光像の大きさが750nmの発光像の大きさに比べて同様であることに基づいて判別される。
【0065】
これにより、短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線波長領域の発光像との大きさの比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。
第2判別リスト542は、短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度と赤外線波長領域の画像の発光像の輝度との比較結果に基づいて溶接モードを判別させるためのリストである。
【0066】
詳述すると、図6の「b行」に示すように、第2判別リスト542は、750nmの発光像の輝度と450nmの発光像の輝度との比に対応する、すなわち450nmの発光像の輝度に対する750nmの発光像の輝度の比に対応する溶接モードが特定できるようになっている。すなわち、第1モードは、450nmの発光像の輝度が観測されないことから比較できないことに基づき判別される。第2モードは、450nmの発光像の輝度に対して750nmの発光像の輝度が相対的に高いことに基づいて判別される。第3モードと第4モードとの判別は、750nmの発光像内に輝度の高い部分と低い部分とが存在するか否か、つまり「むら」があるか否かにより区別され、「むら」がないとき第3モードの判別が行われ、「むら」があるとき第4モードの判別が行われる。第3モードは、「むら」がないとき、450nmの発光像の輝度と750nmの発光像の輝度とが相対的に近いことに基づいて判別される。第4モードは、「むら」があるとき、450nmの発光像の輝度と750nmの発光像のうち輝度の高い部分の輝度とが相対的に近いことに基づいて判別される。
【0067】
これにより、短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度と赤外線波長領域の画像の発光像の輝度との比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。
【0068】
さらに、第2判別リスト542は、短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度と赤外線波長領域の画像の発光像の輝度との組合せに基づいて溶接モードを判別させることもできるリストである。
【0069】
詳述すると、図6の「c行」に示す750nmの発光像の輝度と、同「d行」に示す450nmの発光像の輝度との組合せによって、溶接モードが特定できる。すなわち、第1モードは、750nmの発光像の輝度が「低い」、かつ、450nmの発光像の輝度が検出されないこと、すなわち450nmの発光像の輝度が観測(検出)されないことに基づいて判別される。第2モードは、750nmの発光像の輝度が「低い」、かつ、450nmの発光像の輝度が「低い」ことに基づいて判別される。第3モードと第4モードとの判別は、750nmの発光像の輝度に「むら」があるか否かにより区別され、「むら」がないとき第3モードの判別が行われ、「むら」があるとき第4モードの判別が行われる。第3モードは、「むら」がないとき、750nmの発光像の輝度が「高い」、かつ、450nmの発光像の輝度が「高い」ことに基づいて判別される。第4モードは、「むら」があるとき、750nmの発光像内の輝度が高い部分の輝度が「高い」、かつ、450nmの発光像の輝度が「高い」ことに基づいて判別される。なお、高い輝度は、当該材料がレーザ溶接において最も放射が多くなるときの輝度に基づいて定められる輝度であり、低い輝度は、高い輝度の半分未満の輝度のうちから任意に定められる輝度である。
【0070】
これにより、短波長の可視光線波長領域の画像の発光像の輝度と赤外線波長領域の画像の発光像の輝度との組合せに基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。
【0071】
溶接モード判別部530は、溶接モードを第1判別リスト541及び第2判別リスト542の少なくとも一方に基づいて判別する。すなわち、溶接モード判別部530は、溶接モードを第1判別リスト541のみに基づいて判別してもよいし、第2判別リスト542のみに基づいて判別してもよい。このとき、溶接モードを一方の判別リストで判別できないとき、他方の判別リストを用いて判別するようにすることもできる。
【0072】
また、溶接モード判別部530は、溶接モードの判別に第2判別リスト542を用いるとき、輝度の比、及び、輝度の組合せの少なくとも一方の条件に基づいて判別する。すなわち、溶接モード判別部530は、溶接モードを輝度の比のみに基づいて判別してもよいし、輝度の組合せのみに基づいて判別してもよい。このとき、溶接モードを一方の条件で判別できないとき、他方の条件を用いて判別するようにすることもできる。
【0073】
本実施形態によれば、溶接モードを客観的に判別することができる溶接モード判別装置、及び、溶接モード判別方法、及び、前記溶接モード判別装置を備えるレーザ溶接装置を提供することができる。
【0074】
また、電池300のケース310や蓋320に用いるアルミニウム板は板厚が1mm以下などの薄さであっても、適切な溶接モードでの溶接が行われるようになるため電池300としての強度や密閉性が確保され信頼性が維持される。特に、車載電池であれば、振動や接触、摩擦などのおそれ、繰り返しの熱負荷もあるが、適切な溶接モードによる溶接により、強度や信頼性が高く維持される。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の溶接モード判別装置、溶接モード判別方法及びレーザ溶接装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)レーザ照射箇所は加熱されることにより状態が変化し、その変化した状態に対応する光が放射される。そこで、本実施形態では、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像とを比較することで、赤外線波長領域によって検出される状態と、短波長の可視光線波長領域によって検出される状態とが比較されることとなり、この比較によって溶接モードを客観的に判別することができるようになる。
【0076】
特に、図6の「a行」及び「b行」のように、2つの発光像の比較により溶接モードを判定することで、一方の発光像を基準として他方の発光像を相対的に比較することができる。溶接モードを1つの発光像に基づいて判断する場合(図6の「c行」及び「d行」)、同じ溶接モードであってもレーザ光の強さ等の条件に応じて輝度や大きさが変わることがあるが、同一条件下にある一方を基準とする相対比較により、条件の影響を抑えたより正確な判断が可能になる。
【0077】
(2)溶接モードを特定させる状態が、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との大きさの比較、及び、赤外線波長領域の画像の発光像と短波長の可視光線波長領域の画像の発光像との輝度の比較の少なくとも一方により得られるようになる。
【0078】
(3)比較することが容易である2つの発光像の大きさ(外径や面積)や、2つの発光像の輝度の比較から得られる比に基づいて溶接モードが判別されるようになる。
(4)大きさ(外径や面積)や輝度の比をそれぞれ対応する第1及び第2判別リスト541,542と照合することによって溶接モードの判別が容易に行えるようになる。
【0079】
(5)短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線波長領域の発光像との大きさ(外径や面積)の比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0080】
(6)短波長の可視光線波長領域の発光像と赤外線波長領域の発光像との輝度の比に基づいて溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0081】
(7)短波長の可視光線波長領域の発光像の輝度と赤外線波長領域の発光像の輝度との組合せによっても溶接モードを4つのモードに判別することができるようになる。これにより、溶接に好ましいモードが判別できるようになる。
【0082】
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、制御部500は溶接モードを表示装置に出力する場合について例示した。しかしこれに限らず、レーザ溶接装置において、制御部500は所定の溶接モードによる溶接ができるようにレーザ光の出力などを溶接状態に基づいてフィードバック制御するようにしてもよい。
【0083】
例えば、図7に示すように、レーザ発振器110は出力調整が可能に構成されている。制御部500は、レーザ発振器110の出力を調整可能に構成されているとともに、溶接モードを第2モードに維持させるようにフィードバック制御するものとする。例えば、制御部500は、溶接モードが第2モードから第3モードに変化した場合、溶接対象部分に付与するエネルギーを減少させるため、レーザ発振器110の出力を低下させるように調整することで、溶接モードを第2モードへ戻すように制御する。また例えば、制御部500は、溶接モードが第2モードから第1モードに変化した場合、溶接対象部分に付与するエネルギーを増加させるため、レーザ発振器110の出力を高めるように調整することで、溶接モードを第2モードへ戻すように制御する。つまり、動的に変化するレーザ照射箇所の溶接モードを判定しつつ、レーザ光の照射されるエネルギー強度を制御して、レーザ照射箇所の溶接モードを目的のモードに維持させることができるようになる。
【0084】
これにより、溶接モードを所望のモードに維持させつつ、適切なレーザ溶接を行うことができるようになる。
・上記その他の実施形態では、制御部500はレーザ発振器110の出力を調整する場合について例示した。しかしこれに限らず、溶接対象部分に付与するエネルギーを調整することができるのであれば、制御部はその他の態様で、付与するエネルギーを調整するようにしてもよい。例えば、レーザ出力部200の光学系を制御したり、電池300までの距離を変更するように制御することでレーザ光の照射される範囲を変化させることによりエネルギー量を調整してもよい。また、レーザ出力部200と電池300との間の相対速度の制御によりレーザ光の相対速度を変化させることによりエネルギー量を調整するようにしてもよい。つまり、レーザ照射箇所へ付与するエネルギー量の調整によって溶接モードが維持又は変更される。
【0085】
・上記実施形態では、第1及び第2の分割器401,402がビームスプリッターである場合について例示した。しかしこれに限らず、第1及び第2の分割器は、選択された波長領域の光のみを反射させるものでもよい。このとき、第1の分割器は、波長400〜500nmの波長領域の光を反射させればよい。また、第2の分割器は、波長700〜800nmの波長領域の光を反射させればよい。これにより、反射されない波長領域の光の強度が高く維持されるようになる。なお、第1の分割器は、反射させる光が上記波長領域にあることが好ましいが、これを波長400〜590nmの波長領域まで広げることもできる。また、第2の分割器は、反射させる光が上記波長領域にあることが好ましいが、これを波長700〜900nmの波長領域まで広げることもできる。
【0086】
・上記構成において、発振レーザ光L0は、半導体レーザ以外のレーザ光、例えば高輝度なYAGレーザなどのレーザ光であってもよい。
・上記実施形態では、ケース310と蓋320との溶接に適切な溶接モードを第2モードとする場合について例示した。しかしこれに限らず、材料の種類や、材料の厚みや、要求される溶接加工の深さなどの各種の条件に応じて、溶接に適切な溶接モードを第1モード、又は第3モード、又は第4モードとしてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、450nmの発光像の輝度と、750nmの発光像の輝度との組合せに基づいて溶接モードが第1〜第4モードに判別される場合について例示した。しかしこれに限らず、450nmの発光像の輝度と、750nmの発光像の輝度との組合せに基づいて、溶接モードを第1〜第4モードのうちのいずれか1つ、又は2つ、もしくは3つを判別するようにしてもよい。
【0088】
・上記実施形態では、450nmの発光像の輝度に対する750nmの発光像の輝度の比率に基づいて溶接モードが第1〜第4モードに判別される場合について例示した。しかしこれに限らず、450nmの発光像の輝度に対する750nmの発光像の輝度の比率に基づいて、溶接モードを第1〜第4モードのうちのいずれか1つ、又は2つ、もしくは3つを判別するようにしてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、第1判別リストで「小さい」は450nmの発光像の大きさ(例えば、外径)が750nmの発光像の大きさ(例えば、外径)の半分未満であり、「次に小さい」は450nmの発光像の大きさ(例えば、外径)が大きさ750nmの発光像のの大きさ(例えば、外径)と同様未満、かつ、半分以上である場合について例示した。しかしこれに限らず、なお、「小さい」と「次に小さい」との区分けは、溶接モードを適切に区分することができる値であればよく、750nmの発光像の大きさの半分よりも大きくてもよいし、逆に、小さくてもよい。例えば、「小さい」の範囲を、例えば、450nmの発光像の外径が大きさ750nmの発光像の外径の3分の1未満であることとし、「次に小さい」の範囲を、例えば、450nmの発光像の外径が大きさ750nmの発光像の外径の3分の2未満、かつ、3分の1以上であることとしてもよい。そして「同じ」を、例えば、450nmの発光像の外径の大きさが750nmの発光像の外径の3分の2以上の範囲としてもよい。
【0090】
・上記実施形態では、750nmの発光像の大きさに対する450nmの発光像の大きさの比に基づいて溶接モードが第1〜第4モードに判別される場合について例示した。しかしこれに限らず、上述した2つの発光像の大きさの比に基づいて、溶接モードを第1〜第4モードのうち、いずれか1つ、又は2つ、もしくは3つを判別するようにしてもよい。
【0091】
・上記実施形態では、750nmの発光像の大きさに対する450nmの発光像の大きさの比、750nmの発光像の輝度と450nmの発光像の輝度との比、750nmの発光像の輝度と450nmの発光像の輝度との組合せのいずれによっても溶接モードが第1〜第4モードに判別される場合について例示した。このとき、上述の2つの発光像の大きさの比によって判別される溶接モードの範囲と、上述の2つの発光像の輝度の比によって判別される溶接モードの範囲と、上述の2つの発光像の輝度の組合せによって判別される溶接モードの範囲とは、範囲の一部、例えば半分以上が重なっていれば、境界部分が一致していなくてもよい。指標により判別される溶接モードに多少のずれが生じることは想定できる。
【0092】
・上記実施形態では、溶接モードが第1モードから第4モードまでの4つである場合について例示した。しかしこれに限らず、必要な溶接モードを特定できるのであれば、溶接モードは2又は3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0093】
・上記実施形態では、第1及び第2判別リスト541,542は、750nmの発光像と450nmの発光像との比較が発光像の大きさ(外径)の比や発光像の輝度の比である場合について例示した。しかしこれに限らず、750nmの発光像と450nmの発光像との比較は、面積や外周長など大きさの指標となるものの比較であったり、光量(輝度×面積)であったりしてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、照射レーザ光L2のエネルギーの強度分布がトップハット型である場合について例示した。しかしこれに限らず、レーザ光のエネルギーの強度分布は、ガウシアン型などトップハット型以外の型でもよい。ガウシアン型のレーザを用いる場合、照射範囲が狭くなりエネルギーを集中させやすいことからキーホールの形成に要する時間を短縮させることができるなどレーザ溶接にかかる時間の短縮が可能となる。
【0095】
・上記実施形態では、取得部501は、第1の撮像部420、第2の撮像部430、及び画像取得部510から構成される場合について例示した。しかしこれに限らず、取得部は、撮像画像から短波長の可視光線波長領域の画像と赤外線領域の画像とを生成可能であれば、撮像部を含んでいなくてもよいし、撮像部が一つだけでもよい。また、取得部に3つ以上の撮像部が含まれていてもよい。
【0096】
・上記実施形態では、ケース310、蓋320はアルミニウム(アルミニウム合金を含む)である場合について例示した。しかしこれに限らず、ケース、蓋は鉄、銅やステンレスなどの合金などアルミニウム以外の金属材料より構成されていてもよい。アルミニウム以外の金属材料としては、容器として用いることができ、レーザ光により溶接できるものであればよい。そして、このとき、溶接モードを判別するために、撮像する2つの画像の波長領域を、金属の溶融による発光(放射)に対応する領域と、金属の蒸発による発光(放射)に対応する領域とにすればよい。これにより、電池のケース及び蓋についての設計自由度の向上が図られるようになる。
【0097】
・上記実施形態では、電池300のケース310と蓋320とを溶接する場合について例示したが、これに限らず、レーザ溶接を要するものであれば、電池の容器以外のものがレーザ溶接の対象であってもよい。また、レーザ溶接の対象は容器以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0098】
110…レーザ発振器、200…レーザ出力部、250…集光レンズ、260…コリメートレンズ、300…電池、310…ケース、310a…表面、320…蓋、320a…表面、330…境界部分、340…溶接跡、350…溶融池、351…溶融池、352…表層部、353…キーホール、354…ブルーム、355…スパッタ、356…部分、357…貫通孔、360,361,362,363…発光像、365…高い部分、366…低い部分、370,371,372…発光像、400…分光器、401…第1の分割器、402…第2の分割器、420…第1の撮像部、421…バンドパスフィルタ、430…第2の撮像部、431…バンドパスフィルタ、440…第3の撮像部、500…制御部、501…取得部、510…画像取得部、520…発光像抽出部、530…溶接モード判別部、540…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7