特許第6359500号(P6359500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359500
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/04 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   G01N29/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-209574(P2015-209574)
(22)【出願日】2015年10月26日
(62)【分割の表示】特願2015-513929(P2015-513929)の分割
【原出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-48243(P2016-48243A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2013-230106(P2013-230106)
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162238
【氏名又は名称】共和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大友 雅紀
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−072030(JP,A)
【文献】 特開2002−323482(JP,A)
【文献】 特開平09−021793(JP,A)
【文献】 特開2001−086894(JP,A)
【文献】 特開平05−288731(JP,A)
【文献】 特開平07−077459(JP,A)
【文献】 特開平02−304349(JP,A)
【文献】 特開2008−309564(JP,A)
【文献】 特開平10−227767(JP,A)
【文献】 特開平03−233352(JP,A)
【文献】 特開2004−361118(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132446(JP,U)
【文献】 Comparative eggshell stability assessment using three different non-destructive sensing instruments and breakage force strengh,Journal od Food Engineering,Elsevier Ltd.,2009年 2月20日,Vol. 93,pp. 444-452,doi: 10.1016/j.jfoodeng.2009.02.011
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
G01N 3/00− 3/62
G01N 33/08
G01H 1/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を叩くハンマー部と、
前記ハンマー部を動作させる駆動部と、
前記ハンマー部が卵を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部と、
前記検出部が検出した振動に基づいて、前記ハンマー部の一回の叩き動作に対して前記ハンマー部が卵に衝突した回数を演算する演算部と、
前記演算部が演算によって算出する衝突回数に基づいて、卵の良否を判定する判定部と、を備え、
前記ハンマー部は、長尺に形成される長尺体と、前記長尺体の先端部に連結され、卵と当接する当接部とを備え、
前記検出部は、前記当接部に取り付けられる圧電素子であり、
前記駆動部は、前記ハンマー部の一回の叩き動作において、前記ハンマー部を卵に向けて付勢し続け、
前記長尺体は、前記ハンマー部が卵を叩いた際にしなることで当接部が卵に複数回衝突するように、弾性を有する、検査装置。
【請求項2】
卵を叩くハンマー部と、
前記ハンマー部が卵を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部と、
前記検出部が検出した振動に基づいて、前記ハンマー部の一回の叩き動作に対して前記ハンマー部が卵に衝突した回数を演算する演算部と、
前記演算部が演算によって算出する衝突回数に基づいて、卵の良否を判定する判定部と、を備え、
前記演算部は、1回目に衝突した時間を演算する第1衝突演算部と、2回目の衝突の有無を演算する第2衝突演算部と、3回目の衝突の有無を演算する第3衝突演算部と、を備え、
前記第1衝突演算部は、前記検出部で検出した振動のうち、一番大きい振動強度を1回目の衝突として演算し、
前記第2衝突演算部は、1回目の衝突から設定時間内において一番大きい振動強度を検出し、当該振動強度が設定値よりも大きい場合に、2回目の衝突が有ると判定する一方、当該振動強度が設定値よりも小さい場合に、2回目の衝突が無いと判定し、
前記判定部は、前記第2衝突演算部が2回目の衝突が無いと判定した場合に、卵を否と判定し、
前記第3衝突演算部は、前記第2衝突演算部が2回目の衝突が無いと判定した場合に、3回目の衝突の有無の演算を行わない、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を叩くハンマー部と、ハンマー部が対象物を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部とを備える検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査装置として、対象物(例えば鶏卵等)を叩くハンマー部と、ハンマー部が対象物を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部とを備える検査装置が知られている(例えば、特許文献1)。斯かる検査装置は、検出部で検出した音信号に基づいて、対象物を検査している。
【0003】
ところで、斯かる検査装置は、検出部で検出した音信号を周波数帯のスペクトル強度に変換することにより、対象物を検査している。しかしながら、斯かる検査装置においては、対象物の大きさのバラツキや検査環境の変化等により、検査精度が低下することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−227766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、検査精度を向上させることができる検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査装置は、卵を叩くハンマー部と、前記ハンマー部を動作させる駆動部と、前記ハンマー部が卵を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部と、前記検出部が検出した振動に基づいて、前記ハンマー部の一回の叩き動作に対して前記ハンマー部が卵に衝突した回数を演算する演算部と、前記演算部が演算する回数に基づいて、卵の良否を判定する判定部と、を備え、前記ハンマー部は、長尺に形成される長尺体と、前記長尺体の先端部に連結され、卵と当接する当接部とを備え、前記検出部は、前記当接部に取り付けられる圧電素子であり、前記駆動部は、前記ハンマー部の一回の叩き動作において、前記ハンマー部を卵に向けて付勢し続け、前記長尺体は、前記ハンマー部が卵を叩いた際にしなることで当接部が卵に複数回衝突するように、弾性を有する。
【0007】
また、本発明に係る検査装置は、卵を叩くハンマー部と、前記ハンマー部が卵を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部と、前記検出部が検出した振動に基づいて、前記ハンマー部の一回の叩き動作に対して前記ハンマー部が卵に衝突した回数を演算する演算部と、前記演算部が演算する回数に基づいて、卵の良否を判定する判定部と、を備え、前記演算部は、1回目に衝突した時間を演算する第1衝突演算部と、2回目の衝突の有無を演算する第2衝突演算部と、3回目の衝突の有無を演算する第3衝突演算部と、を備え、前記第1衝突演算部は、前記検出部で検出した振動のうち、一番大きい振動強度を1回目の衝突として演算し、前記第2衝突演算部は、1回目の衝突から設定時間内において一番大きい振動強度を検出し、当該振動強度が設定値よりも大きい場合に、2回目の衝突が有ると判定する一方、当該振動強度が設定値よりも小さい場合に、2回目の衝突が無いと判定し、前記判定部は、前記第2衝突演算部が2回目の衝突が無いと判定した場合に、卵を否と判定し、前記第3衝突演算部は、前記第2衝突演算部が2回目の衝突が無いと判定した場合に、3回目の衝突の有無の演算を行わない。
【発明の効果】
【0008】
以上の如く、本発明に係る検査装置は、検査精度を向上させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る検査装置の概略全体図を示す。
図2図2は、同実施形態に係る打診ユニットの全体平面図を示す。
図3図3は、同実施形態に係る打診部の概略全体図を示す。
図4図4は、同実施形態に係る打診部の動作を説明する概略全体図を示す。
図5図5は、同実施形態に係る打診部の動作を説明する概略全体図を示す。
図6図6は、同実施形態に係る検査のフローチャートを示す。
図7図7は、同実施形態に係る検査を説明する時間−振動強度グラフであって、正常品を検査したグラフを示す。
図8図8は、同実施形態に係る検査を説明する時間−振動強度グラフであって、異常品を検査したグラフを示す。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係る検査を説明する時間−振動強度グラフであって、正常品を検査したグラフを示す。
図10図10は、同実施形態に係る検査を説明する時間−振動強度グラフであって、異常品を検査したグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る検査装置における一実施形態について、図1図8を参酌して説明する。本実施形態に係る検査装置は、検査する対象物を卵(特に鶏卵)とし、卵のヒビ(割れ)の有無について検査する卵ヒビ検査装置である。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致していない。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る検査装置1は、卵100を搬送方向D1に沿って搬送する搬送装置2と、搬送装置2の上方に配置され、搬送装置2に搬送されている卵100を打診する複数の打診ユニット3と、装置を制御する制御部4とを備えている。また、検査装置1は、検査に関する情報を入力するための入力部5と、検査に関する情報等を出力するための出力部6とを備えている。
【0012】
搬送装置2は、無端回転するように走行する一対の走行体(例えばチェーン又はベルト等)21,21と、搬送方向D1と直交する水平方向に沿って配置され、一対の走行体21,21に等間隔で回転自在に取り付けられる複数の回転体22,…とを備えている。これにより、搬送装置2は、回転体22,22に跨って載置される卵100を、回転させつつ搬送方向D1に沿って搬送している。
【0013】
回転体22は、卵100を保持するための凹状の保持部22aを備えている。保持部22aは、回転体22の長手方向に沿って複数並列されている。これにより、搬送装置2は、搬送方向D1に沿って卵100を整列して搬送すると共に、該搬送列を、回転体22の長手方向に複数(本実施形態においては6列)並列している。
【0014】
打診ユニット3は、卵100の搬送列ごとに配置されており、本実施形態においては、6つ設けられている。具体的には、複数の打診ユニット3は、搬送方向D1と直交する方向に並列されている。また、打診ユニット3は、図2及び図3に示すように、卵100を叩く複数の打診部30,…を備えている。
【0015】
打診部30は、卵100を叩くハンマー部31と、ハンマー部31を動作させる駆動部32と、ハンマー部31が卵100を叩くことにより生ずる振動を検出する検出部33とを備えている。そして、打診部30は、搬送方向D1に沿って複数並列されている。本実施形態においては、打診部30は、一つの打診ユニット3に対して、10個設けられている。
【0016】
ハンマー部31は、長尺に形成される長尺体31aと、長尺体31aの先端部に連結され、卵100と当接する当接部31bとを備えている。そして、ハンマー部31は、正常な卵100を叩いた場合に、長尺体31aがしなることにより、当接部31bが卵100の表面でバウンドして複数回衝突するように、構成されている。
【0017】
具体的には、長尺体31aは、丸棒状に形成されており、ハンマー部31が卵100を叩いた際にしなるように、弾性を有している。例えば、長尺体31aは、カーボンファイバ棒、グラスソリッド棒、又はNi−Ti合金等の金属棒等で構成されている。また例えば、当接部32bは、ポリアセタール等の樹脂等で構成されている。
【0018】
駆動部32は、回転するカム32aと、先端部がカム32aに接触する棒状の接触子32bと、長尺体31aの基端部と接触子32bの基端部とにそれぞれ連結され、ハンマー部31及び接触子32bを軸周りで回動させる回動部32cとを備えている。また、駆動部32は、ハンマー部31の当接部31bを卵100に向けて付勢させる例えばバネといった付勢体32dと、接触子32bが当接することにより、ハンマー部31及び接触子32bが所定角度以上回動することを規制する規制部32eとを備えている。
【0019】
カム32aは、ハンマー部31を卵100から離間させて待機させる待機位置(図3参照)で保持すべく、接触子32bと摺接する摺接部32fを、外周部に備えている。また、カム32aは、ハンマー部31が卵100を叩くように(図4参照)、接触子32bとの接触を解除する凹部32gと、ハンマー部31を待機位置に戻すべく(図5参照)、接触子32bを係止する係止片32hとを備えている。
【0020】
検出部33は、外部から与えられた振動を圧電効果により電圧に変換することで、振動を電気的に検出する圧電素子である。そして、検出部33は、ハンマー部31の先端部に取り付けられている。具体的には、検出部33は、当接部31bの内部に配置されている。
【0021】
制御部4は、検出部33が検出した振動に基づいて、ハンマー部31の一回の叩き動作に対してハンマー部31が卵100に衝突した回数を演算する演算部41を備えている。また、制御部4は、演算部41が演算する回数に基づいて、卵100の良否を判定する判定部42を備えている。
【0022】
演算部41は、ハンマー部31が卵100に1回目に衝突した時間を演算する第1衝突演算部41aを備えている。また、演算部41は、ハンマー部31が卵100の表面でバウンドすることにより、2回目の衝突の有無を演算する第2衝突演算部41bと、3回目の衝突の有無を演算する第3衝突演算部41cとを備えている。
【0023】
出力部6は、検出部33が検出した振動の情報及び判定部42が判定した判定結果等を画面に表示する表示部61と、判定部42の判定結果に基づいて、卵100を選別する選別部62とを備えている。選別部62は、正常品と判定された卵100と異常品と判定された卵100とを選別し、それぞれ異なる下流の装置に搬送する。
【0024】
本実施形態に係る検査装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る打診部30の動作について、図3図5を参酌して説明する。
【0025】
図3に示すように、カム32aの摺接部32fが接触子32bと摺接している際には、ハンマー部31は、卵100から離間する待機位置で保持される。このとき、付勢体32dであるバネが伸びた状態であるため、接触子32bは、カム32aに向けて付勢されている。
【0026】
そして、カム32aが回転すると、図4に示すように、凹部32gにより、カム32aと接触子32bとの接触が解除される。これにより、付勢体32dに付勢されているハンマー部31と接触子32bと回動部32cとが、一体になって回動するため、ハンマー部31は、卵100を叩く。なお、ハンマー部31が卵100と接触している際にも、付勢体32dは、伸びた状態であるため、ハンマー部31を卵100に向けて付勢し続けている。
【0027】
ここで、ハンマー部31は、正常な卵100を叩いた際には、卵100の表面でバウンドすることにより、卵100と複数回衝突を繰り返す。その一方、ハンマー部31がヒビを有する異常な卵100を叩いた際には、卵100がハンマー部31による衝撃を吸収する。それにより、ハンマー部31が卵100の表面でバウンドすることが抑制されるため、ハンマー部31が卵100に衝突する回数は、正常な卵100の場合と比較して、少なくなる。
【0028】
そして、カム32aがさらに回転すると、図5に示すように、係止片32hが接触子32bを係止する。これにより、カム32aが回転することに伴って、ハンマー部31は、卵100から離反するように回動する。その後、図3に示すように、ハンマー部31は、待機位置に戻される。このように、ハンマー部31の一回の叩き動作とは、カム32aが一回転することにより、ハンマー部31が待機位置から卵100を叩いて再び待機位置に戻る動作をいう。
【0029】
次に、本実施形態に係る検査装置1の検査方法について、図6図8を参酌して説明する。
【0030】
ハンマー部31が、搬送装置2で搬送されている卵100を叩く(ステップ11)。そして、検出部33は、ハンマー部31が卵100を叩くことにより生ずる振動を検出する(ステップ12)。その後、第1衝突演算部41aは、検出部33が検出した振動の情報のうち、一番大きい振動強度S1を1回目の衝突として演算する(ステップ13)。
【0031】
そして、第2衝突演算部41bは、1回目の衝突から設定時間T1内において、一番大きい振動強度S2を検出し、当該振動強度S2が2回目の衝突に該当するか否かを演算する(ステップ14)。具体的には、第2衝突演算部41bは、当該振動強度S2が設定された値V1よりも大きい場合に、2回目の衝突が有ったと判定する。
【0032】
図7に示すように、2回目の衝突が有った場合(ステップ15の「Y」)には、第3衝突演算部41cは、2回目の衝突から設定時間T2内において、一番大きい振動強度S3を検出し、当該振動強度S3が3回目の衝突に該当するか否かを演算する(ステップ16)。具体的には、第3衝突演算部41cは、当該振動強度S3が設定された値V2よりも大きい場合に、3回目の衝突が有ったと判定する。なお、図8に示すように、2回目の衝突が無い場合(ステップ15の「N」)には、第3衝突演算部41cは、演算しない。
【0033】
そして、判定部42は、図7に示すようにハンマー部31が卵100に3回衝突した場合に、検査された卵100を正常品と判定し、図8に示すようにハンマー部31が卵100に3回衝突していない場合に、検査された卵100を異常品と判定する(ステップ17)。その後、判定部42の判定結果により、選別部62が卵100を正常品と異常品とに選別する(ステップ18)。
【0034】
なお、卵100が全て(10個)の打診部30,…に打診されており、そして、各打診部30は、卵100を叩く位置を少しずつ変えている。さらに、卵100が搬送装置2により回転されているため、検査装置1は、複数の打診部30,…により、卵100の全域に亘って打診して検査している。
【0035】
以上より、本実施形態に係る検査装置1によれば、検出部33は、ハンマー部31が卵100を叩くことにより生ずる振動を、検出する。ここで、ハンマー部31が正常な卵100を叩いた場合には、ハンマー部31が卵100の表面でバウンドするのに対して、ハンマー部31が異常な鶏100を叩いた場合には、卵100がハンマー部31による衝撃を吸収するため、ハンマー部31が卵100の表面でバウンドすることが抑制される。
【0036】
そして、演算部41は、検出部33が検出した振動に基づいて、ハンマー部31の一回の叩き動作に対してハンマー部31がバウンドして卵100に衝突した回数を演算する。その後、判定部42は、演算部41が演算する衝突回数に基づいて、卵100の良否を判定する。これにより、検査精度を向上させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る検査装置1によれば、検出部33が、ハンマー部31の先端部に取り付けられる圧電素子である。これにより、従来の検査装置のように、打音を検出する構成と比較して、検出部33で検出される振動に、ノイズ(例えば、環境の雑音、他のハンマー部31が卵100を叩くことにより生ずる振動等)が含まれることを抑制できる。したがって、検査精度を効果的に向上させることができる。
【0038】
なお、本発明に係る検査装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、本発明に係る検査装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0039】
上記実施形態に係る検査装置1においては、演算部41は、第2及び第3衝突演算部41b,41cを備え、第2衝突演算部41bは、2回目の衝突の有無を演算し、第3衝突演算部41cは、3回目の衝突の有無を演算する、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。
【0040】
例えば、本発明に係る検査装置においては、図9及び図10に示すように、演算部41は、ハンマー部31が卵100に衝突した回数を検出する、という構成でもよい。斯かる構成においては、演算部41は、図9及び図10に示すように、振動強度が設定された振動強度値V3を超えた回数を衝突回数C1,C2,…,Cnとして演算する。そして、判定部42は、設定回数(例えば3回)以上衝突した場合に、検査された卵100を正常品と判定する。
【0041】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、判定部42は、ハンマー部31が卵100に3回衝突した場合に、検査された卵100を正常品と判定する、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、判定部42は、ハンマー部31が卵100に2回又は4回以上衝突した場合に、検査された卵100を正常品と判定する、という構成でもよい。
【0042】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、検出部33は、ハンマー部31の先端部に取り付けられて自身の振動を検出する圧電素子である、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、検出部33は、ハンマー部31と離間して配置されて打音を検出するマイクロフォンである、という構成でもよい。
【0043】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、ハンマー部31は、バネ等の付勢体32dに付勢されることにより、卵100を叩く、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、駆動部32は、付勢体32dを備えておらず、ハンマー部31は、自由落下により、卵100を叩く、という構成でもよい。
【0044】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、搬送装置2は、回転体22,22に跨って載置される卵100を、回転させつつ搬送方向D1に沿って搬送する、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、搬送装置2は、パレットに複数の卵100を保持させ、卵100をパレットごと搬送方向D1に沿って搬送する、という構成でもよい。
【0045】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、搬送装置2は、搬送方向D1に沿って卵100を整列して搬送する搬送列を、複数並列する、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、搬送装置2は、搬送方向D1に沿って卵100を整列して搬送する搬送列を、単列備える、という構成でもよい。
【0046】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、打診部30は、複数備える、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、打診部30は、一つ備える、という構成でもよい。
【0047】
また、上記実施形態に係る検査装置1においては、打診部30は、カムによる駆動部32を備える、という構成である。しかしながら、本発明に係る検査装置は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る検査装置においては、打診部30は、ソレノイドによる駆動部を備え、該駆動部は、ソレノイドが往復動作することにより、ハンマー部31を回動させる、という構成でもよい。
【0048】
また、本発明に係る検査装置おいては、第2衝突演算部41b及び第3衝突演算部41cの演算に用いる設定時間T1,T2及び設定される振動強度値V1,V2は、入力部5により入力された情報に変更される、という構成でもよい。
【0049】
また、本発明は、検査装置1を用いて、卵100の良否判定を表示部61に出力し、作業員の手で卵100の選別(異常品の排斥)をする、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…検査装置、2…搬送装置、3…打診ユニット、4…制御部、5…入力部、6…出力部、21…走行体、22…回転体、22a…保持部、30…打診部、31…ハンマー部、31a…長尺体、31b…当接部、32…駆動部、32a…カム、32b…接触子、32c…回動部、32d…付勢体、32e…規制部、32f…摺接部、32g…凹部、32h…係止片、33…検出部、41…演算部、41a…第1衝突演算部、41b…第2衝突演算部、41c…第3衝突演算部、42…判定部、61…表示部、62…選別部、100…卵(対象物)
図1
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図10