(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359516
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】自動車のための電気加熱装置、および、関連する加熱、換気および/または空調装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20180709BHJP
F24H 1/14 20060101ALI20180709BHJP
F16L 53/30 20180101ALI20180709BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
B60H1/22 611C
F24H1/14 A
F16L53/30
H05B3/40 A
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-502157(P2015-502157)
(86)(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公表番号】特表2015-516908(P2015-516908A)
(43)【公表日】2015年6月18日
(86)【国際出願番号】EP2013052527
(87)【国際公開番号】WO2013143739
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年11月5日
(31)【優先権主張番号】1200930
(32)【優先日】2012年3月28日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック、ピエロン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、テリエ
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼ、ルボルニュ
【審査官】
久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−501506(JP,A)
【文献】
特開2010−144970(JP,A)
【文献】
特開平04−335993(JP,A)
【文献】
特開2001−201275(JP,A)
【文献】
実開昭57−076240(JP,U)
【文献】
国際公開第2010/021939(WO,A1)
【文献】
特開2010−223517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
F16L 53/30
F24H 1/14
H05B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のための流体を電気的に加熱するための装置(5)であって、
前記流体を加熱するための、隣り合って配置された少なくとも1つの加熱モジュール(7a)と第2の加熱モジュール(7b)とを備え、
前記少なくとも1つの加熱モジュール(7a、7b)は、
中央コア(11)と、
前記中央コア(11)との間で流体を案内するための回路(15)を規定する加熱要素(13)と、
前記中央コア(11)の周りの流体を案内するための前記回路(15)に配置されるとともに当該流体の流れを邪魔することが可能な少なくとも1つの邪魔要素(17、21、37、47)と、を有し、
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、前記加熱要素(13)の内側表面と接触し、
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、前記中央コア(11)の外側表面と接触し、
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、少なくとも一部において、前記案内回路(15)の全長にわたって延び、
前記邪魔要素(47)は、複数の突起(41)を有し、前記複数の突起(41)は、前記邪魔要素(47)の表面にわたって一様にもしくは非一様に分布している
ことを特徴とする加熱装置(5)。
【請求項2】
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、チューブ状の形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項3】
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、金属材料から形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項4】
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、少なくとも一部において、前記案内回路(15)の全体の厚み(ec)にわたって延びている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気加熱装置(5)。
【請求項5】
前記邪魔要素(37)は、少なくとも1つのリブ(31)を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気加熱装置(5)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリブ(31)は、らせん状である
ことを特徴とする請求項5に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項7】
前記リブ(31)は、前記加熱要素(13)の内側表面に向いている
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項8】
前記突起(41)は、前記加熱要素(13)の内側表面に向いている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電気加熱装置(5)。
【請求項9】
前記邪魔要素(17、27、37、47)は、前記中央コア(11)および前記加熱要素(13)とは別体に構成された要素である
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電気加熱装置(5)。
【請求項10】
前記邪魔要素(17、27)は、金属シートを有する
ことを特徴とする請求項9に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項11】
前記邪魔要素(27)は、前記加熱要素(13)に圧入されている
ことを特徴とする請求項9または10に記載の電気加熱装置(5)。
【請求項12】
前記邪魔要素と前記中央コア(11)とは、一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電気加熱装置(5)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の少なくとも1つの電気加熱装置(5)
を備えたことを特徴とする、自動車のための換気、加熱および/または空調装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のための電気加熱装置に関連する。本発明は、特に、自動車のための換気、加熱および/または空調装置に適用される。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の客室を加熱するための空気、ならびに除霜および除氷作業のための空気は、熱交換器を通る気流の通過により、より詳しくは気流と流体との間の熱交換により、加熱される。
【0003】
一般的に、熱機関の場合、流体はクーラントである。
【0004】
しかしながら、このモードの加熱は、車両の客室の迅速かつ効率的な加熱を保証するのに、特に非常に寒い環境で車両が使用される前にあるいは温度の非常に迅速な上昇が望まれる時に客室を加熱するのに、または除霜または除氷の性能に、不適切または不十分のいずれかであると判明し得る。
【0005】
電気自動車に関して、加熱機能は、熱交換器におけるクーラントの循環によってはもはや実行されない。
【0006】
水システムが、客室を加熱するために設けられ得る。
【0007】
このモードの加熱もまた、車両の客室の迅速かつ効率的な加熱を保証するのに不適切または不十分のいずれかであると判明し得る。
【0008】
さらに、追加の水システムの空間の要求およびコストを低減するために、電気自動車にとって、ヒートポンプモードで作動する空調ループを使用することも知られている。したがって、空調ループは、伝統的に冷却剤を使用して気流を冷却するために使用されているが、この場合、気流を加熱するように使用される。この目的のために、空調ループの蒸発器が凝縮器として使用されるべきである。
【0009】
しかしながら、このモードの加熱もまた、不適切または不十分のいずれかであると判明し得る。実際、ヒートポンプモードにおける空調ループの性能は、外部の気候条件に依存する。周囲の空気の温度が低すぎる場合、この空気は熱エネルギーの源として使用され得ない。
【0010】
先行技術のこれらの欠点を克服するために、1つの公知の解決策は、熱交換器、水システム、あるいは空調ループに、追加の電気加熱装置を取り付けることである。
【0011】
そのような電気加熱装置は、流体を上流で加熱するのに適合され得て、当該流体は、おそらく、熱機関におけるクーラントであり、電気自動車の客室を加熱するための水システムにおける水であり、もしくは空調ループの冷却剤である。
【0012】
たとえば、そのような電気加熱装置は、正温度係数(PTC)素子のような、複数の加熱手段を有するものとして公知であり、それは、複数のPTC加熱手段の周りに加熱チャンバを規定するようなやり方でハウジング内に収容されるとともに、その内部を加熱されるべき流体が循環する。
【0013】
しかしながら、そのような加熱装置は、比較的大きなスペースを占有するとともに、かなり重いことがあり得る。
【0014】
また、これらの公知の電気加熱装置は、比較的大きな水頭損失につながり得て、これは複数の自動車製造業者により設定される参照値に適合しない。
【0015】
さらに、複数の公知の加熱装置は、大きな熱慣性につながり得て、これは熱性能を制限する。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、したがって、水頭損失および熱慣性を制限するとともにほとんど空間を占有しない電気加熱装置を提案することにより、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服することである。
【0017】
これを達成するために、本発明は、自動車のための流体を電気的に加熱するための装置であって、前記流体を加熱するための少なくとも1つのモジュールを備え、前記少なくとも1つの加熱モジュールは、中央コアと、前記中央コアとの間で流体を案内するための回路を規定する加熱要素と、前記中央コアの周りの流体を案内するための前記回路に配置されるとともに当該流体の流れを邪魔することが可能な少なくとも1つの邪魔要素と、を有する加熱装置に関連する。
【0018】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、少なくとも一部において、前記案内回路の全長にわたって延びている。
【0019】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、概してチューブ状の形状を有する。
【0020】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、金属材料から形成されている。
【0021】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、前記加熱要素の内側表面と接触している。
【0022】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、前記中央コアの外側表面と接触している。
【0023】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、少なくとも一部において、前記案内回路の全体の厚みにわたって延びている。
【0024】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、少なくとも1つのリブを有する。
【0025】
加熱装置の別の態様によれば、前記少なくとも1つのリブは、実質的にらせん状である。
【0026】
加熱装置の別の態様によれば、前記リブは、前記加熱要素の前記内側表面に向いている。
【0027】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、突起を有する。
【0028】
加熱装置の別の態様によれば、前記突起は、前記加熱要素の前記内側表面に向いている。
【0029】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、前記中央コアおよび前記加熱要素から分離した要素である。
【0030】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、金属シートを有する。
【0031】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素は、前記加熱要素に圧入されている。
【0032】
加熱装置の別の態様によれば、前記邪魔要素と前記中央コアとは、一体に形成されている。
【0033】
本発明は、また、少なくとも1つの本発明の電気加熱装置を備えた、自動車のための換気、加熱および/または空調装置を有する。
【0034】
案内回路における流体の流れを邪魔することにより、邪魔要素は、流体と加熱要素との間の熱の交換を促進し、これにより、加熱装置の効率性を改善する。
【0035】
邪魔要素は、金属であり得て、熱伝導率のその良好な性質のおかげで、加熱要素から生じる熱の、当該加熱要素から離れている案内回路の一部への良好な伝導を可能にする。
【0036】
また、邪魔要素が加熱要素の内側表面と接触している時、加熱要素から離れている流体領域への熱の伝導が、さらに一層良好となる。これは、また、加熱装置の効率性を改善することを可能にする。
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明を読むと、および、付随する図面から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明による流体を電気的に加熱するための装置を備えた、自動車のための換気、加熱および/または空調装置を、概略的かつ単純化されたやり方で示している。
【
図2】
図2は、加熱モジュールの放射軸に沿った断面において加熱装置を示している。
【
図3a】
図3aは、第1の実施の形態による加熱装置の邪魔要素の斜視図かつ本質的に断面図である。
【
図3b】
図3bは、加熱要素を有する
図3aにおける加熱装置の斜視図かつ本質的に断面図である。
【
図4a】
図4aは、第1の実施の形態の変形例による加熱装置の、その一部が加熱要素の外側に示されている邪魔要素の斜視図である。
【
図4b】
図4bは、
図4aにおける加熱装置の邪魔要素の平らにされた金属シートを示している。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態による加熱装置の中央コアの周りの邪魔要素の斜視図である。
【
図6a】
図6aは、第2実施の形態の変形例による加熱装置の邪魔要素の斜視図である。
【
図6b】
図6bは、加熱要素を有する
図6aにおける加熱装置の斜視図かつ本質的に部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの図面では、実質的に同一の要素は、同じ参照数字を有している。
【0040】
図1は、電気自動車の客室を加熱するための水加熱システム3を有する、自動車の換気、加熱および/または空調装置1の一部を示している。
【0041】
この換気、加熱および/または空調装置1は、水加熱システム3の上流で、水が加熱システム3に入る前に当該水を加熱するための電気加熱装置5を備えている。
【0042】
ここでは、電気自動車の客室を加熱するための水システムが示されている。
【0043】
当然、電気加熱装置5が、冷却剤を加熱するようにヒートポンプモードで作動することが可能な空調ループの蒸発器の上流に配置されることも規定され得る。
【0044】
そのような電気加熱装置5は、熱伝達流体として熱機関のクーラントを使用する熱交換器の上流にも設けられ得る。そのような電気加熱装置5は、電気駆動またはハイブリッド自動車のための、バッテリユニットして記載されることもある、電気エネルギーを保存するための装置の温度を制御するための熱交換器の上流にも設けられ得る。
【0045】
図2は、サンプルの電気加熱装置5を概略的に示している。
【0046】
加熱装置5は、たとえば、実質的に平行に隣り合って配置された、少なくとも1つの第1加熱モジュール7aおよび第2加熱モジュール7bを有している。このやり方で配置された加熱モジュール7a、7bを有する加熱装置5は、より低い熱慣性を有している。この配置は、また、加熱装置5により占有される空間の大きさを低減することを可能にするとともに、加熱モジュール7a、7bにおける流体の体積を減少させることにより流体を加熱する際のより高い効率性を可能にする。
【0047】
さらに、そのような加熱装置5は、1000L/hにおいて100mbarより低い水頭損失を生成する。これらの結果は、複数の自動車製造業者により設定される水頭損失の要求を満たすことを可能にする。
【0048】
加熱モジュール7a、7bは、中央コア11と、中央コア11を基本的に取り囲む筐体の形状で形成された加熱要素13と、を有している。加熱要素13は、たとえば、制御システム(不図示)により作動され得る。
【0049】
中央コア11および加熱要素13は、たとえば、実質的に円筒状である。
【0050】
中央コア11および加熱要素13は、同心であり得る。
【0051】
中央コア11および加熱要素13は、中央コア11と加熱要素13との間で加熱されるべき流体を案内するための回路15を規定する。言い換えれば、中央コア11の外側表面および加熱要素13の内側表面は、中央コア11の周りを循環する加熱されるべき流体の体積を規定する。
【0052】
加熱装置5は、少なくとも1つの流体入口配管19と、少なくとも1つの流体出口配管21と、を更に有している。入口配管19および出口配管21の両方は、たとえば、加熱装置5から突出している。
【0053】
図示された例では、入口配管19は、2つの加熱モジュール7a、7bに共通である。同様に、出口配管21は、2つの加熱モジュール7a、7bに共通である。
【0054】
流体と加熱要素との間の熱交換を増加させるために、加熱モジュールの邪魔要素37は、流体の流れを邪魔するように、中央コア11の周りの案内回路15に配置されている。
【0055】
たとえば、流体は、入口配管19を通って加熱装置5に入る。流体は、次に、加熱モジュール7a、7bの各々を貫通する。流体は、案内回路15に沿って邪魔されるやり方で流れる。熱伝達は、したがって、加熱要素13の内側表面と流体との間で生じる。実際、加熱要素13は、流体にいくらかの熱を与える。次に、加熱された流体は、出口配管21を通って加熱装置5を出る。
【0056】
案内回路15において流体の流れを邪魔することにより、邪魔要素37は、流体と加熱要素13との間の熱交換を促進し、これにより、加熱装置5の効率性を改善する。
【0057】
図3a、3b、3c、4aおよび4bにより示される第1の実施の形態によれば、中央コア11と加熱要素13との間に配置された邪魔要素17、27は、加熱要素13の内側表面と接触している。邪魔要素17、27は、中央コア11の方向に延伸し得る。
【0058】
金属材料から形成された邪魔要素17、27は、流体と接触する表面を有している。金属材料の熱伝導率の良好な性質のおかげで、邪魔要素17、27は、加熱要素13から中央コア11に向かって加熱要素13から離れている案内回路15の一部まで熱を伝達する。したがって、案内回路における流体の温度は一様であり、加熱要素13の内側表面の近くを循環する流体の割合と、加熱要素13から離れて循環する流体の割合とは、実質的に同じ温度を有する。
【0059】
邪魔要素17、27は、たとえば、アルミニウム、銅、または真鍮のシートを有する。金属シートは、好ましくは、アルミニウムシートである。実際、この材料は、良好な腐食抵抗と、電気加熱装置に使用されるグリコール流体との良好な適合性と、を有する。また、この材料は、低コストである。
【0060】
図3a、3bおよび3cに示された本発明の第1の実施の形態によれば、邪魔要素17は、金属シートを有する。金属シートは、波型、すなわちアコーディオンのやり方でそれ自身の上に逆に曲げられ得て、この場合、金属の邪魔要素は「フィン状」であると呼ばれる。金属シートの2つの長手エッジは、たとえば実質的に円状の断面を有するチューブを形成するように結合され得る。
【0061】
金属の邪魔要素17のフィンの内側エッジは、また、中央コア11の外側表面と接触している。「フィン状の」金属の邪魔要素17は、案内回路15の全厚e
cにわたって少なくとも部分的に延伸している。前記要素が案内回路15の全厚e
cにわたって延伸する時、熱伝達が改善される。
【0062】
熱交換の効率性は、熱交換面の大きさとともに、すなわち、本件の場合、「フィン状の」金属の邪魔要素17の表面の大きさとともに、増加する。
【0063】
図4aに示される第1の実施の形態の変形例では、邪魔要素27は、レリーフのパターン、たとえば一様かつ一様に分配された突起、を有する金属シートを有する。これらの突起は、
図4bに示されたような金属シート28を変形させることにより形成され得る。シートの2つの長手エッジは、たとえば実質的に円状の断面を有する管を形成するように結合される。
【0064】
金属の邪魔要素27の厚みは、案内回路15の厚みより小さいことがあり得る。これは、「薄い」金属の邪魔要素27として知られている。
【0065】
薄い金属の邪魔要素27の作成は、その外側表面が加熱要素13の内側表面より実質的に大きくなるように想定される。このようにして、薄い金属の邪魔要素27は、加熱要素13に圧入され、これにより、加熱要素13と薄い金属の邪魔要素27との間の良好な接触、および、その結果として、良好な熱の伝達が保証される。
【0066】
別の実施の形態によれば、薄い金属の邪魔要素27の外側表面は、たとえば良好な機械的かつ熱的接触を保証するために当該表面をロウ付けまたは溶接することにより、加熱要素13の内側表面に接続される。
【0067】
図3a、3bおよび3cにおける「フィン状の」金属の邪魔要素17と比較して、
図4aおよび4bの薄い金属の邪魔要素27は、低い水頭損失をもたらすという利点がある。
【0068】
第2の実施の形態は、ここで、
図5、6aおよび6bを参照して説明されるであろう。第2の実施の形態では、邪魔要素37、47の内側表面は、中央コア11の外側表面と接触している。
【0069】
邪魔要素37、47は、たとえば、アルミニウムのような金属材料、あるいはポリアミドのような樹脂材料から形成され得る。
【0070】
管状の邪魔要素37、47の外側表面は、案内回路15に沿った流体の流れを邪魔するように変形部を有している。
【0071】
図5に示される第2の実施の形態によれば、邪魔要素37の外側表面は、加熱要素13の内側表面に向かう少なくとも1つのリブ31を有している。リブ31は、実質的にらせん形状を有し得る。案内回路に沿った流体の流れは、したがって、実質的にらせん状の経路に従う。邪魔要素37のリブ31は、したがって、流体の流れを邪魔し、これにより、加熱要素13と流体との間の熱の交換を改善する。
【0072】
リブ31の厚みe
rは、加熱要素13の内側表面まで延伸し得る。
【0073】
リブ31のエッジ33が加熱要素13の内側表面と接触する時、最適な熱交換がある。この場合、たとえばロウ付けまたは溶接により、リブ31のエッジ33の領域において、加熱要素13の内側表面に邪魔要素37を固定することが可能である。この場合、邪魔要素37は、金属材料から形成される。
【0074】
他の実施の形態によれば、リブ31は、中間の厚みe
rを有し得る。この場合、邪魔要素37は、案内回路15の厚みより低い厚みを有する。
【0075】
図6aおよび6bに示される第2の実施の形態の変形例によれば、邪魔要素47の外側表面は、加熱要素13の内側表面の方向に突出する突起41を有する。邪魔要素47の突起41は、流体の流れを邪魔し、これにより、加熱要素13と流体との間の熱交換を改善する。これらの突起41は、中央コアの表面にわたって、または、邪魔要素の表面または邪魔されるべき流体と接触するその他の表面にわたって、一様にもしくは非一様に分布され得る。
【0076】
図6bに示されるように、突起41の厚みe
bは、加熱要素13の内側表面と接触するように、加熱要素13の内側表面まで延伸し得る。
【0077】
他の実施の形態によれば、突起41は、また、中間の厚みe
bを有し得る。この場合、邪魔要素47は、案内回路の厚みe
cより低い厚みを有する。
【0078】
一実施の形態(不図示)によれば、加熱要素13の内側表面は、少なくとも1つの邪魔要素17、27を有している。
【0079】
第3の実施の形態(不図示)は、ここに説明されよう。この第3の実施の形態は、邪魔要素と中央コアとが1部品で形成されている点で、第2の実施の形態と異なっている。
【0080】
この構成では、邪魔要素は、案内回路に沿った流体の循環を邪魔するように、中央コアの外側表面上に配置された変形部を有している。
【0081】
第3の実施の形態によれば、邪魔要素は、少なくとも1つのリブを有し、当該リブは、加熱要素の内側表面に向いている。
【0082】
リブは、実質的にらせん形状を有し得る。邪魔要素のリブは、したがって、流体の流れを邪魔し、これにより、加熱要素と流体との間の熱交換を改善する。
【0083】
リブの厚みは、加熱要素の内側表面まで延伸し得る。リブは、また、中間の厚み、すなわち、案内回路の厚みより小さい厚みを有し得る。
【0084】
第3の実施の形態の変形例によれば、邪魔要素は、突起を有し得て、当該突起は、加熱要素の内側表面に向いている。
【0085】
邪魔要素の突起は、流体の流れを邪魔し、これにより、加熱要素と流体との間の熱交換を改善する。
【0086】
突起の厚みは、加熱要素の内側表面まで延伸し得る。突起は、また、中間の厚み、すなわち案内回路の厚みより薄い厚みを有し得る。
【0087】
したがって、加熱要素13と流体との間の熱の伝達を可能にする少なくとも1つの邪魔要素17、27、37、47を備えた加熱装置5が、先行技術の解決策より効率的であることがわかる。