(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法において、PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する前記副過程(e)が、
全プロセス変数の中から、PIDループとの関連検索を実行して利用可能なSP、PVおよびOPを見つけ出すこと、
PVとSPとのセットまたはPVとSPと制御出力(OP)とのセットが、PIDループの前記時系列と関連するか否かを判断すること、および
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが同じPIDループの前記時系列と関連する場合、前記ルールベースの前記データ選択手段を用いてデータスクリーニングフィルタを適用することにより、SPからの偏差を示すデータ系列を検出し、対応するデータセグメントを不良なデータとしてマークすること、
を含む、方法。
請求項4に記載の方法において、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列変数が従属変数である場合の、PVスパイク検出手段、ならびに、前記所与の時系列変数が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段、および閉ループモードのSP検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、方法。
請求項1に記載の方法において、PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、その測定値に対して審査し、データスクリーニング方法を適用する副過程(g)が、
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の前記時系列変数と関連を有さず、その時系列変数がプロセス従属変数である場合、データスクリーニングフィルタを用いて、変動トレンドがスパイクおよび偏差を示すデータセグメントを検出し、所与のデータスクリーニングフィルタに従って、そのデータセグメントを不良なデータとしてマークすること、
を含む、方法。
請求項6に記載の方法において、前記データスクリーニングフィルタが、PVスパイク検出手段、およびトレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、方法。
請求項9に記載の方法において、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、前記記憶されたプロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修正する前記過程が、
(k) 前記所与の時系列変数について、不良なデータセグメントとして確定されたデータセグメントのうち、定常状態までの時間(TTSS)の1/2未満の長さである全ての不良なデータセグメントを、補間用に選択する副過程、
(l) 前記時系列のうち、前記データスライス生成手段によってデータ部分が取り除かれたセグメントを、補間データセグメントで継合する副過程、および
(m) 不良なデータスライスを、その補間スライスで継合する際に、補間データセグメントの端点と端点とが滑らかに接続されるようにすることにより、不良なデータセグメントを補間データセグメントで置き換えることによる悪影響を抑える副過程、
を含む、方法。
プロセスシステムに接続され、既存のモデルを有する多変数予測コントローラ(MPC)でのモデル同定およびモデル適応のためにデータを自動的にスクリーニングおよび選択する装置であって、
前記多変数予測コントローラに接続されており、作業メモリ内のルーチンを実行するコンピュータプロセッサと、
対象プロセスからのプロセスデータにアクセスし、このプロセスデータを前記モデルによりアクセス可能なデータベースに記憶するルーチンと、
プロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを自動的に検出および除外するルーチンであって、
所与のサンプリング周波数で、プロセスデータを収集してこの収集したプロセスデータを前記データベースに時系列変数として記憶するルーチンであって、前記プロセスデータが、前記対象プロセスの操作変数(MV)、前記対象プロセスの制御変数(CV)の測定値、独立変数の算出値、従属変数の算出値、前記対象プロセスの全データベクトル、および全PIDコントローラループの少なくとも1つを含む、副ルーチン、
前記データベースから、前記対象プロセスにおける変数についてのデータ状態、特殊値および限度値を、当該変数の時系列と共にロードする副ルーチン、
所与の時系列変数をプロセス従属変数またはプロセス独立変数として判定し、データスクリーニングフィルタを適用することにより、その時系列におけるデータセグメントを、所与のデータ品質パラメータに従って、良好なデータまたは不良なデータとして検出およびマークする副ルーチン、
時系列変数を、その比例−積分−微分(PID)ループに応じて分類する副ルーチン、
PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用するルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、コントローラ出力(OP)飽和および上限/下限検出手段、および凍結信号・測定値検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、副ルーチン、
独立変数についての利用可能な測定値を用いて、PIDとの関連を有さない従属変数についての予測を生成する副ルーチン、
PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、前記独立変数についての利用可能な測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用する副ルーチン、および
前記データセグメントのうち、不良なデータとしてマークされたデータセグメントを用いて、前記所与の時系列変数における不良なデータスライスを生成するルーチンであって、前記時系列から前記不良なデータセグメントを除外する副ルーチン、
を含む、ルーチンと、
不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定するルーチンと、
MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、プロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修正するルーチンと、
を備える、装置。
請求項14に記載の装置において、PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する前記ルーチンが、
前記時系列における良好なデータセグメントの中から、PIDループとの関連検索を実行するルーチン、
PVとSPとのセットまたはPVとSPと制御出力(OP)とのセットが、PIDループの前記時系列と関連するか否かを判断するルーチン、および
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが同じPIDループの前記時系列と関連する場合、ルールベースのデータ選択手段を用いてデータスクリーニングフィルタを適用することにより、SPからの偏差を示すデータ系列を検出し、対応するデータセグメントを不良なデータとしてマークするルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PVスパイク検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段、および閉ループモードのSP検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、ルーチン、
を含む、装置。
請求項14に記載の装置において、PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、前記対応する変数についての測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用する前記ルーチンが、
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の前記時系列変数と関連を有さず、その時系列変数がプロセス従属変数である場合、データスクリーニングフィルタを用いて、変動トレンドがスパイクおよび偏差を示すデータセグメントを検出し、所与のデータスクリーニングフィルタに従って、そのデータセグメントを不良なデータとしてマークするルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、CVスパイク検出手段、およびトレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、ルーチン、
を含む、装置。
【背景技術】
【0002】
多変数予測制御(MPC)は、プロセス産業で最も広く利用されている高度なプロセス制御技術であり、現在、全世界で5,000を超える数のアプリケーションが運用されている。MPCは多変数制御(MVC)と称されることもあり、目下のプロセスの動的モデル(例えば、システム同定により求められた線形動的モデルなど)に依拠するモデル予測コントローラを使用する。
【0003】
MPCに関する一般的かつ困難な課題として、MPCの制御性能が、目下の対象プロセスの避けられない変化、例えば、設備の改良、操業計画の変更、供給材料の量や品質の変化、デボトルネッキング、機器の劣化などによって経時的に低下する点が挙げられる。このような制御性能の低下は利益の損失を招く。制御性能の低下につながる想定され得るあらゆる要因のなかでも、多くの場合はモデル精度の低さが主な要因である。良好な制御性能を維持するには、モデルの予測品質を監視し、定期的にモデルを校正・更新する必要がある。
【0004】
本願の出願人は、モデル品質の校正ならびにオンラインのモデル同定・適応にまつわる技術的に困難な問題に対処するために、モデル品質推定およびモデル適応のための革新的なアプローチ(本願の親出願および関連出願の公開公報である特許文献1を参照)を開発し、さらに、本願の出願人による特許文献2および特許文献3に記載の自動閉ループステップ試験技術を拡張した非干渉的な閉ループステップ試験を行う最新方法(2012年2月8日付出願の米国仮特許出願第61/596,459号を参照)を開発した。いずれの技術も、モデル品質の監視効率や有益なプラント試験データの生成効率を向上させる。開/閉ループプラント試験または過去のプラント操業記録からプロセスデータが得られたならば、その次の重要な過程として、モデル品質推定およびモデル同定のためのデータスクリーニング・選択を実行する必要がある。
【0005】
データスクリーニング・選択を実行する理由には、主な理由が2つある。第1の理由として、開/閉ループプラント試験では、プラント試験を実施する際の技術者の手間に加えて、プラント生産自体への介入(プラント生産の中断)を伴う。そのため、このようにして得られたプロセスデータは高コストであると言える。したがって、このようにして得られたプラント試験データを、最大限に利用できるようにするのが望ましい。第2の理由として、収集されたプロセス時系列データ(プロセスの時系列データ)の中に、一定の期間にわたってのユニット/設備の停止、測定機器の誤差、上限値/下限値に達した変数、制御出力の飽和や凍結などのサンプルセグメントが含まれている可能性が高い点が挙げられる。このようなデータがモデル品質推定やモデル同定の演算時に含まれてしまうと、演算結果の品質が落ちて、信頼度が低下してしまう。
【0006】
これまでの業界の慣習としては、制御に携わる技術者が、時系列プロット上の全てのプロセス変数に数時間ないし数日にわたって目を通し、モデル同定に不適切なデータサンプルを目視で見つけ出すのが通例であった。前記技術者は、このようにして見つけ出した「不良な」データサンプルを除外するために、ユーザインターフェースを介して、そのようなデータセグメントをソフトウェアにより手動で「不良なデータスライス」としてマークする。前記技術者は、さらに、全データが同定アルゴリズムを問題なくクリアしてかつそのようにして得られるモデルが当該技術者の視点からみて正常かつ納得の行くものになるまで、何回ものモデル同定を実行することにより、手動でのスライス作業時に「不良なデータ」が見逃されていないかを検証および二重確認する。典型的なAPCプロジェクトには、50〜200個ものプロセス時系列変数(プロセスの時系列変数)が含まれ、かつ、そのデータ収集窓(データ収集期間)は数週間ないし数か月にも長引き得る。さらに、手動でのデータスクリーニング・選択タスクの実行には、熟練した技術者でも、数日ないし数週間の集中的な労働を必要とし得る。
【0007】
しかも、モデル品質推定およびモデル同定のためのデータスクリーニング・選択を実行する際の従来のアプローチには、2つの短所がある。第1の短所として、時系列中の「不良なデータスライス」をマークするたびに、必須の再初期化作業によって、その「不良なデータスライス」の後に続く良好なデータが大量に失われる点が挙げられる(FIRモデルでは定常状態までの時間(TTSS)に相当するデータ、そして、部分空間モデルでは40〜60個ものサンプルが失われる)。第2の短所として、オンライン型のアプリケーションの場合、(特許文献1のように)データスクリーニング・選択作業を自動的かつ定期的に実行することによってプラント試験を監視するが、その場合、データスクリーニング・選択作業を高頻度で実行する必要がある。ところが、従来のアプローチは、そのような高頻度の実行に適していない。また、そのようなオンライン型のアプリケーションは、プロセス変数が上限/下限や飽和に達したり、プロセス変数の測定値が失われたりするたびにオペレータに警告して直ちに状況を報告する。これを受けて技術者が適切な修正や調節を行うことにより、プラント試験の時間の無駄やデータの損失を回避できる。
【0008】
プロセスモデル同定の教科書(例えば、非特許文献1;「システム同定−ユーザのための理論」など)には、データ処理方法の概要は記載されているものの、自動的にデータスクリーニング・選択を実行する体系的な方法は記載されていない。なお、非特許文献2(「過去のデータを用いたプロセス同定のためのデータマイニング」)には、モデル同定に利用するデータを過去のデータから選択する、比較的新しい方法が記載されている。この方法は、ラゲール(Laguerre)近似モデルを用いて有用なインターバルを見つけ出すことに重点を置いた方法であるが、単入力単出力(SISO)のPID(比例−積分−微分)ループの場合のみに限定される。本願の出願人が知る限り、APC(プロセス制御)業界にとって、自動的にデータスクリーニング・選択を実行する方法は、当該業界の技術者の「憧れ」であり、体系的なソリューションや市販ツールも、まだ登場していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願の出願人は、上記のような当該技術分野の問題に対処可能な革新技術を提示する。本願の出願人は、多変数プロセス制御でのモデル品質推定およびモデル同定のためにデータを自動的に選択する新規の装置および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用できるように:(1)モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータ集合を検出および除外し;(2)ある一定のデータ集合を修正および継合する;ことにより上記の課題を解決する、新規の装置および方法を提供する。
【0013】
実施形態は、本願の出願人による、本願の親出願および関連出願の公開公報である2011年6月2日付公開の特許文献1、(2012年2月8日付出願の米国仮特許出願第61/596,459号の利益を主張する)2013年2月6日付出願の米国特許出願第13/760,949号、および2007年4月24日付特許の特許文献2に記載された、多変数プロセス制御でのモデル品質推定およびモデル適応を実行する方法を拡張したものである。これら米国特許出願および米国仮特許出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。実施形態は、モデル品質推定およびモデル同定を実施するにあたって、望ましくないデータによる悪影響を最小限に抑えて、利用可能なプロセスデータを全体的に最大限に利用できるように、データのスクリーニングおよび選択を実行し得る。
【0014】
実施形態は、モデル評価およびモデル再同定に適したデータを選択する、新規の自動的なデータスクリーニング・選択技術を提供する。
【0015】
実施形態は、見つけ出された不良なデータセグメントをテストおよび確定(確認)することによりデータ損失を抑える、新規のアプローチを提供する。
【0016】
実施形態は、内的MISO(多入力単出力)モデル予測方法を用いて、所与の不良なデータサンプルをモデルベースの予測値で置き換えることにより、ある一定の不良なデータサンプルを修正および継合する、新規の技術を提供する。この技術により、全体としてデータを最大限に利用することができる。
【0017】
一実施形態は、
図2に示す階層およびワークフローで構成・実行可能な4階層の自動データスクリーニング・選択システムを備える装置である。
【0018】
本発明の例示的な一実施形態は、多変数予測コントローラ(MPC)でのモデル同定およびモデル適応のためにデータを自動的にスクリーニングおよび選択する方法である。この方法は、既存のモデルを有するオンラインコントローラを前提として、対象プロセスからプロセスデータをロードし、このプロセスデータを前記モデルによりアクセス可能なデータベースに記憶する過程と、ルールベースのデータ選択手段を用いて、記憶されたプロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを検出および除外する過程と、不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定する過程と、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、前記記憶されたプロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修正する過程と、前記データベースに記憶された、上記の過程により得られたプロセスデータを用いて、前記既存のモデルを更新する過程と、を含む。
【0019】
一実施形態は、3種類のデータスクリーニング・選択方法・モジュール(手段)ならびに1種類のデータ修正方法・モジュール(手段)を備えた自動データ選択装置として機能可能である。以下に、これらの方法/モジュール(手段)をまとめる:
1.[データ品質ベースの基礎的なデータスクリーニング・選択方法]
オンラインのデータ品質状態、データ測定値の有無、個々の変数、コントローラのオン/オフ切替、プロセスイベントなどに基づいて、データセグメントをスクリーニングし、有効でないデータを「不良である」として除外用に検出およびマークする。
2.[PID制御ループとの関連ベースの方法]
変数は、そのPIDループに応じて分類される。PIDループごとに、プロセス変数(PV)は、それに対応する設定値(SP)と比較される。PVデータのうち、自動オフモード、測定値の凍結、未知の外乱やPID手動モードによるスパイクなどによりSPから有意な偏差を示す全てのPVデータが、「不良なデータスライス」としてマークされる。これらのデータセグメントは、モデル品質推定およびモデル同定が実行される前に、データ集合から切り出される(または選別される)。
3.[モデル予測による方法]
PIDとの関連を有さない従属変数については、独立変数の利用可能な測定値を用いる内的モデルを構築し、この内的モデルにより、その従属変数の予測を生成する。そして、(1)そのようにして得られたモデル予測が、その従属変数の実際の測定値に対して審査(evaluate)され、(2)これらの変動トレンドが、スパイクおよび有意な偏差について評価される。このような審査・評価の結果、データは「不良なデータスライス」としてマークされる場合がある。そのようにマークされたデータは、モデル品質推定およびモデル同定用のデータ集合から除外され得る。
4.[不良なデータを修正する方法]
モデル同定では、データ集合から「不良なデータ」セグメント(スライス)が除外されるたびに、同定アルゴリズムの初期化により、「不良なデータ」スライスとしてマークされたスライスの後に続く良好なデータセグメントの、40〜60個程度の長さのデータサンプルが失われる。本発明では、良好なデータ点の損失を抑えるために、全ての短いデータセグメント(スライス)について、その部分の測定値を削除する代わりに補間方法を適用し、当該測定値を補間値で置き換える。
【0020】
一実施形態では、ルールベースのデータ選択手段を用いて、プロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを検出および除外する過程が、
a. 所与のサンプリング周波数で、プロセスデータ変数を収集してこの収集したプロセスデータ変数を前記データベースに時系列変数として記憶する副過程、
b. 前記データベースから、前記対象プロセスにおける変数についてのデータ状態、特殊値および限度値を、当該変数の時系列と共にロードする副過程、
c. 所与の時系列変数をプロセス従属変数またはプロセス独立変数としてスクリーニングし、基礎的なデータスクリーニングフィルタを適用することにより、その時系列におけるデータセグメントを、所与のデータ品質測定パラメータに従って、良好なデータまたは不良なデータとして検出およびマークする副過程、
d. 時系列変数を、その比例−積分−微分(PID)ループに応じて分類する副過程、
e. PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する副過程、
f. 独立変数についての利用可能な測定値を用いて、PIDとの関連を有さない従属変数についての予測を生成する副過程、
g. PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、その従属変数についての利用可能な測定値に対して審査し、データスクリーニング方法を適用する副過程、および
h. 前記時系列から不良なデータセグメントを除外するように、前記データセグメントのうち、不良なデータとしてマークされたデータセグメント、およびデータスライス生成手段を用いて、前記所与の時系列変数における不良なデータスライスを特定および生成する副過程、
を含む。
【0021】
一実施形態では、不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定する過程が、
i. 前記時系列のうち、基礎的なデータフィルタでフィルタ除去していない不良なデータセグメントについて、当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めた場合のモデル品質(MQ)と当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めない場合のモデル品質(MQ)とを比較することによりテストする副過程、および
j. 前記MQの比較に基づいて、不良なデータセグメントを不良なデータとして確定する副過程であって、不良なデータとして確定しない場合には、そのデータセグメントを不良なデータセグメント候補としてはマークしない副過程、
を含む。
【0022】
一実施形態では、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するために、ある一定のデータセグメントを修理する過程が、
k. 前記所与の時系列変数について、不良なデータセグメントとして確定されたデータセグメントのうち、定常状態までの時間(TTSS)の1/2未満の長さである全ての不良なデータセグメントを、補間用に選択する副過程、
l. 前記時系列のうち、前記データスライス生成手段によってデータ部分が取り除かれたセグメントを、補間データセグメントで継合する副過程、および
m. 不良なデータスライスを、その補間スライスで継合する際に、補間データセグメントの端点と端点とが滑らかに接続されるようにすることにより、不良なデータセグメントを補間データセグメントで置き換えることによる悪影響を抑える副過程、
を含む。
【0023】
一部の実施形態では、副過程(a)のプロセスデータ変数が、前記対象プロセスの操作変数(MV)、前記対象プロセスの制御変数(CV)の測定値、独立変数の算出値、従属変数の算出値、前記対象プロセスの全データベクトル、および全PIDコントローラループを含み得る。
【0024】
一部の実施形態では、副過程(c)の前記基礎的なデータスクリーニング方法が、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PIDコントローラ出力(OP)飽和および上限/下限検出手段、および凍結信号・測定値検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段を含み得る。
【0025】
一実施形態では、PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する副過程(e)が、
全プロセス変数の中から、PIDループとの関連検索を実行して利用可能なSP、PVおよびOPを見つけ出し、
PVとSPとのセットまたはPVとSPと制御出力(OP)とのセットが、PIDループの前記時系列と関連するか否かを判断し、
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが同じPIDループの前記時系列と関連する場合、ルールベースのデータ選択手段を用いてデータスクリーニングフィルタを適用することにより、SPからの偏差を示すデータ系列を検出し、対応するデータセグメントを不良なデータとしてマークし得る。
【0026】
一実施形態では、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PVスパイク検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段、および閉ループモードのSP検出手段を含み得る。PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、その測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用する一実施形態(副過程(g))は、PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の前記時系列変数と関連を有さず、その時系列変数がプロセス従属変数である場合、データスクリーニングフィルタを用いて、変動トレンドがスパイクおよび偏差を示すデータセグメントを検出し、所与のデータスクリーニングフィルタに従って、そのデータセグメントを不良なデータとしてマークし得る。前記データスクリーニングフィルタは、PVスパイク検出手段、およびトレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段を含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、前記トレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段が、多入力単出力(MISO)モデルにより、前記時系列変数についてのモデル予測を生成し、未知の外乱による予測誤差を算出し、制御変数(CV)の時系列が、前記MISOモデルによる予測値と並行しているか否かを検出し、前記CVの平均値が正常な変動範囲外の持続的な大きいシフトを生じたか否かを検出し、それが前記モデルによる予測と対応しているか否かを判断し、前記時系列変数のうち、前記予測誤差を超えるトレンド差を示すデータセグメントを除外用に選択し、当該選択されたデータセグメントを不良なデータとしてマークし得る。
【0028】
他の実施形態では、不良なデータスライスをテストする副過程が、不良なデータセグメントを不良なデータセグメント候補として設定し、時系列変数ごとに不良なデータセグメント候補を除外することにより、良好なデータセグメントを生成すること、従属変数の場合、多入力単出力(MISO)モデル同定を構成し、当該MISOモデルにおいて前記独立変数を入力としてかつその従属変数を出力としてロードすること、前記生成された良好なデータセグメントを前記構成されたMISOモデルに適用し、当該MISOモデルについてモデル品質評価を実行することにより、ベースライン(baseline)のモデル品質指数(MQ)を算出すること、および前記データセグメントのうち、基礎的なデータフィルタ除去していない不良なデータセグメント候補に対してMISOケース同定を実行し、その不良なデータセグメント候補のMISOモデルについてモデル品質評価を実行することにより、候補のMQを算出すること、を含み得る。
【0029】
さらなる他の実施形態では、不良なデータセグメント候補を不良なデータとして確定する副過程が、調整可能なパラメータが閾値としてある場合には、ベースラインのMQと候補のMQとの差が当該調整可能な閾値内ならば、不良なデータセグメント候補を良好なデータセグメントとしてマークし、かつ、対応するデータスライスを不良なデータスライスのリストから外すこと、を含み得る。
【0030】
他の実施形態では、前記時系列のうち、前記データスライス生成手段によってデータ部分が取り除かれたセグメントを、補間データセグメントで継合する副過程が、前記時系列変数が独立変数である場合には、前記選択された不良なデータセグメントと隣り合う良好なデータセグメントを確認して、不良なデータセグメントの始点前の良好なデータサンプル値およびその不良なデータセグメントの終点後の良好なデータサンプル値が所与の閾値内であるか否かを判断し、前記所与の閾値内ならば、線形補間により補間スライスを生成し、前記選択された不良なデータセグメントをその補間スライスで置き換えることを含み得る。前記選択された時系列変数が従属変数である場合には、当該従属変数および当該従属変数に対応する独立変数を用いてMISOモデルケースを構成し、このようにして得られるMISOモデルを用いてモデル同定ケースを実行することにより前記従属変数についてのモデル予測を生成し、不良なデータセグメントについてのモデル予測値が利用可能であれば、当該不良なデータセグメントの補間スライスを生成し得る。前記時系列変数が従属変数である場合には、前記選択された不良なデータセグメントと隣り合う良好なデータセグメントを確認して、不良なデータセグメントの始点前の所与の長さの平均値およびその不良なデータセグメントの終点後の所与の長さの平均値が前記所与の閾値内であるか否かを判断し、前記所与の閾値内ならば、線形補間により補間スライスを生成し、前記選択された不良なデータセグメントをその補間スライスで置き換えて、前記補間スライスが前記良好なデータセグメントに滑らかに接続し得る。
【0031】
前述の内容は、添付の図面に示す本発明の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明から明らかになる。異なる図をとおして、同一の符号は同一の構成または構成要素を指している。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ、本発明の実施形態を示すことに重点を置いている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の例示的な実施形態について説明する。
【0034】
本明細書において引用した全特許公報、全特許出願公開および全刊行物は、その全教示内容を、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【0035】
実施形態は、本願の関連出願(本願の出願人による特許文献1)に記載された、多変数プロセス制御技術でのモデル品質推定およびモデル適応について、これを拡張したものを提供する。実施形態は、本願の親出願に記載されたシステムでのモデル品質評価および/またはモデル再同定に必要なデータをスクリーニングおよび選択すると共に、プロセス制御の技術者によって一般には手動で行われるデータ選択およびデータ作成について、そのような技術者の集中的な労働を最小限に抑え得る。このように、本発明は先行技術よりも向上している。
【0036】
実施形態は、多変数予測コントローラ(MPC)アプリケーションでのオンラインまたはオフラインのモデル同定ならびにオンラインのモデル適応のために、プラント試験・操業データを自動的にスクリーニングおよび選択する新規の装置および方法を提供する。実施形態では、様々な動作モードが設けられる。具体的には、そのような動作モードは、基礎的なデータスクリーニングモード、PIDループデータ選択モード、モデル予測データ選択モード、データスライス確定(validation)モード、およびデータ修正モードである。以下では、始めにシステムのワークフローおよび構成要素の概要について説明した後、動作モード、プロセスモジュール(手段)/方法および数学的詳細について説明する。
【0037】
本明細書では、「データスクリーニング・選択」という文言を、データのフィルタリング(選別)やデータのスライシング(切出し)等と概して同じ意味で使用する。
【0038】
図1は、本発明を具現化したMPC制御系統のブロック図である。MPCコントローラ110は、対象の動的プロセス(対象プロセス)120(例えば、生産プラントの動的プロセスなど)を、最適な目標(最適目標)130に基づいて制御する。一実施形態において、コントローラ110は、プロセス120に摂動を加える自動テスタ(自動試験手段)を備える。
図1ではコントローラとそのテスタとを一体の構成要素として符号110で表しているが、当業者であれば、これらコントローラとテスタとが別体の構成要素であってもよいことを理解し得る。コントローラ110は、対象プロセス120の操作変数(MV)の数値を設定する制御/試験信号101を送信する。MVは、プロセスに摂動を加えるために、かつ、制御変数(CV)を当該制御変数の制約集合内および操業上限と操業下限との範囲内で制御する目的で適宜設定可能であるという点で、独立変数であると言える。摂動を加えた後の制御変数(CV)の測定値150は、コントローラ110にフィードバックされる。なお、制御変数という名称は、操作変数を介して制御される変数であることに由来する。したがって、CVは、MVに依存する従属変数であると言える。リアルタイムのデータベース102が、MVおよびMVに対応するCVについての履歴データを記憶する。
図1には複数の最適目標130、複数のMVおよび複数のCV
の測定値150が示されているが、1つの最適目標および/または1つのMVおよび/または1つのCVの場合もあり得る。
【0039】
自動的にデータ選択およびオンラインモデル同定を実行するモジュール140は、有効かつ有用なデータ系列のみをセグメントの形態で選択し、この選択した入力に基づいて、コントローラ110の多入力多出力(MIMO)モデルの全体または一部を同定し、プロセス120またはデータベース102からデータを出力する。モジュール140は、(本願の出願人による)本願の親出願および関連出願である米国特許出願第12/786,052号に記載されているような、コントローラのモデルの性能を診断する性能診断の一部に含められてもよい。なお、この米国出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。モジュール140は、さらに、モデルの性能が向上するようにモデルを更新する(モデルを適応させる)。
【0040】
図2は、本発明の一実施形態における主要なワークフローを示すフロー図である。自動的にデータスクリーニング・選択を実行する装置200は、コントローラ110に、関連する全てのデータ系列、すなわち時系列をロードして、動作を開始する(手段/過程210)。すなわち、装置200は、所定のサンプリング周波数で、MVに関係するデータ101およびCVの測定値150を収集して当該収集したデータを前記データベース102に記憶する。通常、そのサンプリング周波数は、MPCコントローラ110が用いる周波数と同一である。このようなデータには、プロセス120から収集されてデータベース102に記憶される、独立変数の算出値および従属変数の算出値が含まれ得る。
【0041】
装置200は、そのタスクを順次的に実行する。まず、時系列ごとに(すなわち、所与の期間にわたる所与の変数のサンプル値について)、その変数に伴うデータサンプル品質に基づいて、基礎的なデータ選択方法/モジュールが適用される。このモジュール220では、変数についての全記録データ状態、特殊値、上限値および下限値を、その時系列の数値と共に前記装置200にロードする。このデータ時系列について、独立変数であるか、それとも、従属変数であるかが確認される(手段/過程230)。そして、対応するデータスクリーニング条件が適用される。例えば、対象のデータが、プロセスにおける従属変数(プロセス従属変数)に相当する場合、方法(手段/過程)232により、凍結した測定値(凍結測定値)を有するデータセグメント、およびコントローラの出力(OP)飽和(コントローラ出力飽和)(すなわち、上限/下限に達したまま長期間変動しない数値)を有するデータセグメントが検出される。そして、方法(手段/過程)232により、その検出されたデータセグメントが「不良なデータ」スライスとしてマークされる。他方、対象のデータが、プロセスにおける独立変数(プロセス独立変数)に相当する場合、方法(手段/過程)231により、上限/下限で飽和したデータサンプル、または設定値(SP)がプロセス変数(PV)を「追跡」するモードであるデータサンプルが検出される。後者は、典型的に、PIDループが手動(MAN)モードであるときに起こる。そして、方法(手段/過程)231により、その検出されたデータセグメントが、除外用の「不良なデータ」スライスとしてマークされる。
【0042】
このような基礎的なデータスクリーニング・選択モジュール/方法220の後、時系列のうちの残った良好なデータセグメントが手段/過程240に送られて、手段/過程210でロードされた利用可能な全てのデータ時系列の中から、PIDループとの関連検索を実行する。判断分岐処理240により、PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の時系列と関連するか否かが判断される。この判断の結果が肯定である場合、PIDループに基づくデータスクリーニング・選択方法/モジュール250の実行が開始される。そのようなPVおよびSPが利用可能である場合、PIDループ制御誤差{e(t)}の時系列が生成され、後述するようにPVスパイクを検出するのに利用される。
【0043】
モジュール250では、選択された時系列がDEP(プロセス従属変数)からのものでありかつPIDループにおけるOP(出力)である場合に、さらなるデータスクリーニングが実行される。具体的には、モジュール250において、OPの変化をスクリーニングした結果、所与の時間窓にわたってOPの数値が一定で検出された場合、そのPIDループは手動モードであると判断される。手動モードが判断された場合、そのような一定の従属変数は、モデル品質推定またはモデル同定において誤った結論を招きかねない。そのため、モジュール250では、そのようなデータサンプルのセグメントが「不良なデータ」スライスとしてマークされる。
【0044】
手段/過程240においてPIDとの関連を有する変数のセットが見つからず、さらに、選択された時系列が手段/過程245においてDEP(プロセス従属変数)であることが確かめられた場合、モデル予測データスクリーニング・選択を実行するモジュール/方法260により、未知の外乱の検出が試みられる。
【0045】
具体的には、モジュール260により、内的な多入力単出力(MISO)モデル同定が実行される。ここでは、確定した独立変数がコントローラのモデルにおける入力とされて、目下選択されている変数(時系列)が単出力とされる。選択された時系列についてのモデル予測が、この内的に同定されたMISOモデルを用いて生成される。そして、ワークフローにおける未知の外乱データスクリーニングおよび検出に用いる、予測誤差{pe(t)=CV(t)−CV
Pred(t)}が算出される。
【0046】
手段/過程260では、CVの変動が当該CVの予測値と並行していないことを検出するモジュール/方法が使用される。具体的には、モジュール260により、有意なトレンドの差を示すデータセグメントが除外用に選択される。そして、モジュール260により、このようにして選択されたデータセグメントが「未知の外乱」としてマークされる。
【0047】
手段/過程210〜260で不良なデータセグメント(仮の不良なデータセグメント)が全て生成された後、不良なデータスライス確定モジュール/方法270が呼び出される。モデル同定を実行する際には、データ集合(data assembly)に「不良なデータ」が見つかるたびにまたはデータセグメント(スライス)が除外されるたびに初期化を行う必要があるため、数多くの良好なデータ点が無駄になる。つまり、「不良な」データスライスの数が増えるにつれて、初期化時の「良好な」データサンプルが極めて「高コスト」になる。本発明では、このような「高コスト」な初期化を減らすために、2つの対策を取る。第1の対策は、本願の出願人による、本願の親出願および関連出願である米国特許第12/786,052号に記載された技術を用いて、不良なデータスライスの全ての「候補」を再確認(re-validate)することである。この米国特許出願の全教示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。モジュール/方法270では、テスト対象の「不良な」データセグメント候補を前記モデル同定に含めた場合のモデル品質と当該「不良な」データセグメントを前記モデル同定に含めない場合のモデル品質とを比較することにより、不良なデータスライスの「候補」のそれぞれがテストされる。モデル品質が、MQ(モデル品質)指数という尺度で大幅に減少した場合には、そのテスト対象の「不良な」データセグメント候補が「不良」と確定される。そうでない場合には、モジュール270により、「不良な」データセグメントのマークを解除し、当該データセグメントを「不良なデータスライス」のリストから外す。
【0048】
「不良なデータスライス」による悪影響を抑える第2の対策は、短い「不良なデータスライス」(すなわち、データ部分が取り除かれたセグメント)を継合する補間値を生成することである。具体的には、モジュール/方法280により、MVの補間値およびCVの予測が生成され、選択された「不良な」データスライスが継合される。モジュール280は、2つの構成要素で構成される。具体的に述べると、第1の構成要素はMISO同定エンジンであり、第2の構成要素は、短い「不良な」データスライスを継合するアルゴリズムであって、当該データセグメントと隣り合う2つの良好なデータ点について、これら2つの端点間が「滑らかに」接続されるように継合するアルゴリズムである。これらの構成要素については、後で詳述する。
【0049】
前述した過程/手段220〜280は、
図2に示すように次の変数290について繰り返される。
【0050】
[装置200の構成要素]
前述した自動的にデータスクリーニング・選択を実行する方法を実現するうえで、実施形態では、複数の構成要素が設けられる。このような構成要素には、
● ルールベースのデータ選択手段、
● データスライス生成手段、
● PVスパイク検出手段、
● OP飽和および上限/下限検出手段、
● 凍結信号・測定値検出手段、
● PID手動モード検出手段、
● 閉ループモードのSP検出手段、
● トレンドミスマッチ(推移不整合)・未知の外乱検出手段、
● MQを用いたスライス確定モジュール、および
● スライス修正/継合モジュール、
が含まれる。
これらの構成要素は、それぞれ後述するような構成を有する。なお、当業者であれば、本明細書の説明を参照することにより、それ以外の構成要素および構成も実現可能であることを理解し得る。
【0051】
[共通のルールベースのデータ選択手段]
様々なケース(場合)においてかつ異なるルール/条件下で、データスクリーニング・選択を自動的に実行できるように、共通のルールベースの(共通のルールに基づく)データマーク(印付け)手段/データ選択手段が設けられる。所与の時系列について、各データサンプルの状態マークを記憶する、データサンプル状態フラグのリストが内的に(その手段内で)生成される。そのような状態フラグは、ルールベースの任意の条件に応じて設定可能である。一例として、サンプルの状態フラグのリストに「マークする(印を付ける)」ルールとして、以下のようなルールを用いることができる。
【0053】
[共通のデータスライス生成手段]
上記のようなフラグ値に基づき、同一の状態で連続する「不良なデータ」サンプルが、「不良なデータ」スライスに分類・変換される(「不良なデータ」スライスとしてマークされる)。共通のデータスライス生成手段300は、様々な条件下で、全ての不良なデータスライスを生成することができる。
図3は、データスライス生成手段300の一実施形態を示す。
【0054】
データスライス生成手段300は、まず、
図3に示すようなデータ時系列x(t)をロードする。このデータ時系列x(t)は、前記ルールベースのデータ選択手段により設定された(つまり、表1からの)フラグ値の集合を有する。過程301において、データスライス生成手段300は、時間t=1を設定し、さらに、パラメータであるcount(計数)、start(開始)およびlength(長さ)をそれぞれ初期値に設定する。状態フラグ値が負の数値である(すなわち、ゼロ未満の数値である)場合、判断分岐処理303により、目下の「不良なデータ」スライスを構成するデータ点を増数する過程305および過程306に進む。状態フラグ値が負の数値でない(すなわち、ゼロまたは正の数値である)場合、判断分岐処理303により、新しい(次の)「不良なデータ」スライスを生成する/定義する過程307および過程306に進む。
【0055】
[PVスパイク検出手段]
所与の時系列がDEP(従属変数)でありかつPIDループにおけるPV(プロセス変数)である場合、PVスパイクパターンが検出され得る。過程240(
図2)においてこのデータ時系列の対応するSP(設定値)が見つかると、新たな時系列として制御誤差の時系列{e(t)}が算出される。具体的には、SPからPVの数値を減算することにより、制御誤差の時系列{e(t)}が算出される(すなわち、e(t)=SP(t)−PV(t))。この制御誤差の時系列{e(t)}は、機器の測定誤差(例えば、短期的なオフライン/リセット/校正)またはプロセス120に対する未知の大きい外乱によるPVスパイクを検出するのに利用される。このようにして、PVスパイク検出手段は、
図9A、
図9Bおよび
図13に示すようなデータパターンを探して検出する。
【0056】
具体的に説明すると、前述した新たな時系列{e(t)}に統計学的計算を適用することにより、平均偏差
【0060】
式中、Sは「良好な」データセグメント(「良好な」データスライスとも称される)を表し、NSは1つの「良好な」データセグメントに含まれる総サンプル数であり、Nは全ての「良好な」データセグメントに含まれる総サンプル数である。
Mは「良好な」データセグメントの総数である。
PVのあらゆる有意なスパイクは、以下の条件に基づいて検出される。
【0062】
式中、k
0は、統計学における3シグマルールを表すためのデフォルト値である。
【0063】
上記のアプローチで検出されるあらゆるデータセグメントは、除外されないとモデル品質推定結果またはモデル再同定の結果を劣化させるので、全て「不良なデータスライス」としてマークされる。
図9Aには、データ領域903における、PV902と関連のある変数901に対するPVスパイクの検出例が示されている。
図9Bには、データ領域906における、PV905と関連のある変数904に対する同様のPVスパイクの検出例が示されている。
【0064】
[OP飽和および上限/下限検出手段]
所与の時系列がDEP(従属変数)である場合、データセグメントのうち、その変数の上限/下限にあるデータセグメントは、いずれも独立−従属の因果関係を正確に表すことができない。したがって、ここでの確認条件は、データ値が限度値(上限値または下限値)に達してそこに留まっているか否かである。この条件を適用することにより、表1に記載されたモデル品質推定またはモデル同定のためのフラグ値のうち、当該条件に対応するフラグ値が生成される。
図6には、上限値/下限値に関係したそのような状況が示されており、
図7および
図11には、OP飽和に関係したそのような状況が示されている。具体的には、
図6には、データ系列601が当該データ系列601の上限値に達しているデータ領域602の検出の様子が示されている。
図7には、設定値703の時系列、出力701の時系列、およびこれら設定値703および出力701と関連のあるプロセス変数702の時系列において、データ領域704で、出力701が飽和していることの検出の様子が示されている。
図11には、PIDループ出力の飽和であって、(データ領域1104と異なり)プロセス変数1102が当該変数に対応する設定値1103に追従できずかつ出力1101が飽和していること(符号1105)を検出する実施形態が示されている。
【0065】
[凍結信号・測定値検出手段]
所与の時系列がDEP(従属変数)である場合、データセグメントのうち、数値が凍結しているあらゆるデータセグメントは、CV応答を正しく表すことができないので、モデル同定にとっての「不良のデータ」としてマークする必要がある。
図8には、データ領域802において、PV信号(測定値)801がTTSS(定常状態までの時間)1つ分を超える期間にわたって凍結している一例が示されている。一実施形態において、TTSS=60分である。凍結信号・測定値検出手段は、このようなデータ・信号パターンを検出する。
【0066】
[PID手動モード検出手段]
所与の時系列がIND(独立変数)でありかつPIDループにおけるSP(設定値)である場合、PIDループがMAN(手動)モードならば、そのSPは、PV(プロセス変数)を追跡することになるが、その間、実際のプロセス独立変数(典型例として、バルブの開放位置や流量)はオペレータによりOPを介して変更される。このような場合のSPの読取値は、INDとDEPとの正しい関係を表すことができない。
図12には、PID手動モード検出手段によって自動的に検出されたデータ範囲1204であって、出力1201が一定のままPV1202と設定値1203とが重複している、PIDループが手動モードであるときのデータ範囲1204の一例が示されている。これとは対照的に、
図17のグラフには、実施形態において、PIDモードが正確に維持されておりかつ(符号1705と異なり)OP(PID出力)1701の飽和が生じていないデータ部分集合1704を求める様子が示されている。この検出領域1704で、SP1703がPV1702を追跡している点に注目されたい。
【0067】
[閉ループモードのSP検出手段]
所与の時系列が独立変数でありかつPIDループにおけるSP(設定値)である場合、PIDループがカスケードモードならば、そのSPは、PIDループ外のOP等の外部変数に追従する。ここで、明確な(clean)ステップ変動が長期間にわたって存在しない場合、そのSPのデータセグメントはモデル同定に適さなくなる。
図10には、データ領域1003において、SP1002が変数1001に追従する閉ループモードであると検出された状況が示されている。
【0068】
[トレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段]
これまでに説明した全てのケースならびに全てのデータスクリーニング・選択構成の他にも、DEP時系列またはCV時系列が、突然の有意な急上昇/急降下または急激ではないにしろ一定の上昇/降下を示す場合があり得る。そのような場合のDEPまたはCVは、プロセス120に対する未知の外乱(例えば、見逃されているFF(フィードフォワード)、プロセスに対する未知の外乱など)に応答している。すると、そのデータセグメントの因果関係は不明なので、当該データが用いられてしまうとモデル同定に悪影響が生じる。
図13には、PV1301がSP1302にほとんど追従していないデータ範囲1203の検出の様子が示されている。
図14には、CVの測定値1401であって、当該CVのモデル予測1402の変化と整合しない上昇を数回生じており、そのため、前記検出手段によって「不良なデータ」スライス1403として検出されるCVの測定値1401が例示されている。同様に、
図15には、CVの測定値1501であって、当該CVのモデル予測1502の変化と整合しない降下を数回生じており、そのため、前記検出手段によって「不良なデータ」スライス1503として検出されるCVの測定値1501が示されている。
【0069】
[MQを用いたスライス確定モジュール270]
あまりにも多くの不良なデータサンプルセグメントが選択されることで生じるデータ損失を抑えるために、不良なデータスライスを最終決定する前に不良なデータセグメント候補を全てテストおよび確定(確認)する、革新的なアプローチ/モジュール270が設けられる。このアプローチ270は、以下の手順(ステップ)で構成される。
【0070】
[手順1]
検出された全ての不良なデータスライスを「不良なデータスライス候補」として設定し、時系列変数ごとに不良なデータスライス候補を除外することにより、良好なデータスライスを生成する。
【0071】
[手順2]
DEP(従属変数)ごとに、全てのINDを入力として1つのDEPを出力とするMISOモデル同定ケースを構成する。
【0072】
[手順3]
手順1で生成した全ての良好なデータスライスを、手順2で構成したMISOケースに適用して部分空間モデル同定を実行する。
【0073】
[手順4]
手順1で生成したデータ集合を用いて、本願の親出願および関連出願に記載された技術により、手順3で得られたMISOモデルについてモデル品質評価を実行する。そのMQ指数値、つまりKPI(キー性能指標)を、ベースライン値として記録する。
【0074】
[手順5]
「不良なデータスライス候補」に含まれる不良なデータスライスのそれぞれにつき、それが基礎的なデータスクリーニングで見つかるデータスライスでない場合(例えば、数値=−9999、−10001等である場合)には、そのデータセグメントを「良好な」データスライスに再設定する。
【0075】
[手順6]
手順5で定義されたデータ集合を用いて、以前に無視した(手順5で良好なデータとして扱い除外した)「不良なデータスライス候補」を考慮に入れない点を除き、手順3と同様のMISOケース同定を実行する。
【0076】
[手順7]
手順6で同定したMISOモデルについて、手順4と同じデータ集合を用いて手順4を再度実行することにより、この新しいモデルのMQ指数値を算出し、当該モデルのKPIを記録する。
【0077】
[手順8]
手順7で得られたKPI値と手順4で算出されたベースライン値とを比較する。新たに求めたKPI値がそのベースライン値に十分近い場合、例えば:
|KPI(新)−KPI(ベースライン)|<ε(調整可能な閾値)
である場合、選択された/テスト対象の不良なデータスライス「候補」の悪影響は大きくないので、この選択された不良なデータスライスは、モデル同定にとっての不良なデータスライスのリストから外されることにより、不良なデータスライスを解除される。
【0078】
[手順9]
次の「不良なデータスライス候補」に進み、全ての不良なデータスライス候補の審査・確定が終了するまで、手順5から手順8の確定プロセスを繰り返す。
【0079】
[スライス修正/継合アプローチ/モジュール280]
不良なデータサンプルセグメントによるデータ損失を抑えるために、不良なデータスライスを最終決定する前に短い不良なデータセグメント候補を修正および継合する、革新的なさらなるアプローチ/モジュール280が設けられる。以下では、このアプローチの一実施形態について説明する。
【0080】
[手順1]
時系列変数{x(t)}を選択し、スライス確定モジュール270により確定された全ての不良なデータスライス候補をスクリーニングすることにより、それらのうち、定常状態までの時間の1/2未満の長さであるデータスライスのみ(すなわち、(長さ<1/2×TTSS)を満足する全ての不良なデータスライス)を、継合/修正用に選択する。
【0081】
[手順2]
選択された時系列がIND(独立変数)である場合には、手順1で選択した全ての不良なデータスライスについて、以下のデータ継合に関するループ処理を実行する:
(1) 開始インデックス(開始索引)=Startとし、スライスに含まれるサンプル数=Lengthとし、スライスに含まれる最後のサンプルのインデックス=Endとし、さらに、End=(Start+Length−1)とする。
(2) その不良なデータスライスにおける2つの各端と隣り合う良好なサンプルについて、それらのサンプル値が:|x(t=Start−1)−x(t=End+1)|<εを満足するか否かを確認する(式中、εは調整可能な閾値である。)。
(3) 上記の(2)の条件を満足する場合には、線形補間により、以下の数値を有する「補間スライス」を生成する:
【0083】
(4) 前記選択された不良なデータスライスについて、前記{x(t)}の数値を、上記の(3)で生成した補間値で置き換える。
【0084】
[手順3]
選択された時系列がDEP(従属変数)である場合には、このDEPおよび全てのINDを用いてMISOケースを構成し、全ての不良なデータスライス候補を適用してモデル同定を実行する。同定されたMISOモデルおよびその入力データ集合を用いて、そのDEPについてのモデル予測を生成する。
【0085】
[手順4]
(モジュール280の)手順1で選択した全ての不良なデータスライス候補について、次のループ処理を実行する:所与の不良なデータスライス候補について、(モジュール280の)手順3で生成されたモデル予測値が利用可能である場合(ここで、予測値が常に利用可能であるとは限らない。例えば、不良なデータスライス後のモデル再初期化により、予測値が利用可能でない場合もある)には、以下の式に従って「補間スライス」が生成される。
【0087】
注目すべきは、このような補間スライスのそれぞれが、それに対応する不良なデータスライスよりも、優れた接続を実現するために(2×TTSS分)多いサンプルで構成される点である(この点については後で詳述する)。
【0088】
[手順5]
特別なアルゴリズム(後の説明を参照)により、データスライスの継ぎ合わせに用いる2つの接続点であって、確実に滑らかに継ぎ合わせることでデータ損失を抑える、適応型の(フレキシブルな)データスライス継合に用いる2つの接続点が算出される。
【0089】
[手順6]
次のデータスライス候補に進み、プロセス280のうちの前述した手順3から手順5を繰り返す。
【0090】
[スライス補間接続に用いるアルゴリズム]
不良な-データスライスを補間データサンプルで置き換えることによる悪影響を抑えるために、短い不良なデータスライスの2つの端点間を滑らかに接続する特別なアルゴリズムが設けられる。
図4には、プロセス変数401の時系列と、このプロセス変数401の不良なデータセグメント402とが示されている。
図5には、同じプロセス変数501のそのデータセグメントを、データ範囲502にわたって補間データセグメントで継ぎ合わせた結果が示されている。
図16には、不良なCVデータ1603が検出されたPVの時系列1601と共に、当該PVの時系列1601の予測データ1602であって、修正後のCV系列に途切れが生じないように不良なデータセグメントを置き換えた予測データ1602とが示されている。このアルゴリズムは、以下の手順(ステップ)で構成される。
【0091】
[手順1]
UI(ユーザインターフェース)から、データスライスの継ぎ合わせに用いるユーザにより指定された始点(UI_Start)および終点(UI_End)が読み出される(
図5および
図16に示すデータスライスについては、デフォルト値としてUI_Start=StartおよびUI_End=Endが算出される)。
【0092】
[手順2]
UI_StartおよびUI_Endについて、以下の点を調べる:
● UI_Start⊆(Start−TTSS,End)ならば、UI_Startは有効である;
● UI_End⊆(Start,End+TTSS)ならば、UI_Endは有効である。
UI_StartとUI_Endの両方が有効である場合、手順3に進む。
【0093】
[手順3:2つの接続点の算出]
滑らかな接続を実現するために、接続点:UI_Start付近の平均値および接続点:UI_End付近の平均値からなる2つの平均値が、それら2点単独の測定値の代わりに使用される。以下の数式は、不良なデータスライスを継ぎ合わせる際に、目下の時系列のノイズが大きい場合に、特に重要かつ有用である:
【0095】
[手順4:補間値の算出]
選択された不良なデータスライスを最良に継ぎ合わせるために、そのデータスライスの部分には、(従来からよく利用される)直線ではなくモデル予測値の集合が、継ぎ合わせ前の望ましくない数値と置き換えられる。モデル予測値と実際の測定値との間にバイアスが生じ得ることを考慮し、さらに、そのスライスに相当する期間にわたるデータ・予測ドリフトを考慮するために、位置調節を伴う以下の計算が実行される:
【0097】
[ユーザがスライスを追加、削除および変更するのを可能にするグラフィカルユーザインターフェース(GUI)およびアルゴリズム]
自動的にデータ選択を実行する装置および方法により、技術者はプロセスデータを効率良く用意することができる。それでも、自動的に生成された不良なデータスライスを、ユーザが閲覧、追加、削除または編集できるようにすることも、同じく重要かつ必要である。一部の実施形態では、そのような機能を果たすGUI(グラフィカルユーザインターフェース)、あるいは、ウェブページおよび支援アルゴリズム(ソフトウェア)が設けられる。
図18A、
図18Bおよび
図18Cには、そのようなGUIが示されている。
図18Aでは、ユーザが、GUI1802を介して不良なデータスライスをマウスでクリックすることにより、そのデータ範囲1081をマークし、それを不良なデータスライスとしてベクトルまたはデータ集合(全ベクトル)に追加することができる。
図18Bには、GUIの構成要素1804(例えば、ポップアップメニューなど)が示されている。ユーザは、この構成要素1804を介して既存の不良なデータスライス1803を削除したり、
図18Cのように新たにダイアログを開いて編集したりすることができる。
図18Cには、データスライスの編集を可能にするダイアログボックスの一例が示されている。ここでは、ユーザが、Begin(開始)インデックス1805およびEnd(終了)インデックス1806(あるいは、日付および時刻)を再入力することにより、不良なデータスライスを編集することができる。そして、ユーザは、OKボタン1807をクリックすることにより変更を確定するか、あるいは、キャンセルボタン1808をクリックすることにより変更を取りやめる。上記以外の選択・確定構成も可能である。
【0098】
図19に、本発明の実施形態を実現することのできるコンピュータネットワークおよびクライアント−サーバ環境を示す。少なくとも1つのクライアント側コンピュータ/装置710および少なくとも1つのサーバコンピュータ720により、アプリケーションプログラムを実行する処理装置、記憶装置、入出力装置などが構成される。典型的には、本発明は、サーバコンピュータ720における装置としてインストールされる。サーバコンピュータ720および少なくとも1つのクライアント側コンピュータ/装置710は、通信ネットワーク750を介して、その他のクライアント側装置/コンピュータ710−iや分散制御システム(DCS)730を含む、他のコンピュータ装置に接続することができる。通信ネットワーク750は、遠隔アクセスネットワークの一部、グローバルネットワーク(例えば、インターネットなど)の一部、世界規模のコンピュータ群の一部、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークの一部、相互通信に各プロトコル(TCP/IP、Bluetooth(登録商標)など)を現在使用しているゲートウェイ群の一部であってもよい。他の電子装置/コンピュータネットワークアーキテクチャも好適である。
【0099】
図19は本発明の一実施例であり、DCS(分散制御システム)730が、少なくとも1つのプロセスユニット740を制御する。前述した装置および方法(例えば、プロセス/モジュール110,140,102,200,300)は、サーバコンピュータ720において実行可能にインストールされる。ユーザは、セキュリティおよびファイアウォールを介してネットワーク750に遠隔接続可能な少なくとも1つのクライアント側コンピュータ710から、サーバのアプリケーションにアクセスすることができる。ユーザは、DCS730を介して、少なくとも1つのプロセスユニット740の操業を観察、管理、変更することができる。前述したアプリケーションは、ユーザが少なくとも1つのクライアント側コンピュータ710から設定することができ、かつ、サーバコンピュータ720において実行可能である。
【0100】
本発明は、様々なコンピュータアーキテクチャで実施可能である。
図19のコンピュータネットワークシステム700は例示的なものであり、必ずしも本発明を限定するものではない。
【0101】
サーバコンピュータ720は、メモリ、CPU(中央演算処理装置)などを備える。メモリは、本発明の一実施形態(例えば、コントローラ110、データスクリーニングおよびモデル同定140、モデル適応、支援プロセス200,300、
図18のGUIなど)を実現するために用いるコンピュータソフトウェアの命令およびデータを記憶する、揮発性の記憶装置を構成する。ディスクストレージは、本発明の一実施形態を実現するために用いるコンピュータソフトウェアの命令およびデータを記憶する、不揮発性の記憶装置を構成する。中央演算処理装置は、コンピュータの命令を実行する。一実施形態において、プロセッサのルーチンおよびデータは、コンピュータプログラムプロダクトである。このコンピュータプログラムプロダクトには、本発明にかかるシステムのソフトウェアの命令の少なくとも一部を提供するコンピュータ読取可能な媒体(例えば、1枚以上のDVD−ROM、CD−ROM、ディスケット、テープなどの取外し可能な記憶媒体)が含まれ得る。このようなコンピュータプログラムプロダクトは、当該技術分野において周知である任意の適切なソフトウェアインストール方法によってインストール可能である。他の実施形態において、本発明にかかるソフトウェアの命令の少なくとも一部は、有線および/または通信および/または無線接続によってダウンロードされるものでも、ネットワークポータルを介して実行可能なものであってもよい。
【0102】
本発明を例示的な実施形態を参照しながら具体的に図示・説明したが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部の様々な変更が可能であることを理解するであろう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
多変数予測コントローラ(MPC)でのモデル同定およびモデル適応のためにデータを自動的にスクリーニングおよび選択する方法であって、
プロセッサに構成された既存のモデルを有するオンラインコントローラを前提として、
対象プロセスからプロセスデータをロードし、このプロセスデータを前記モデルによりアクセス可能なデータベースに記憶する過程と、
ルールベースのデータ選択手段を用いて、前記記憶されたプロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを自動的に検出および除外する過程と、
不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定する過程と、
MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、前記記憶されたプロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修正する過程と、
前記データベースに記憶されている、結果として得られたプロセスデータを用いて、前記既存のモデルを更新する過程と、
を含む、方法。
〔態様2〕
態様1に記載の方法において、ルールベースのデータ選択手段を用いて、記憶されたプロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを検出および除外する前記過程が、
a. 所与のサンプリング周波数で、プロセスデータ変数を収集してこの収集したプロセスデータ変数を前記データベースに時系列変数として記憶する副過程、
b. 前記データベースから、前記対象プロセスにおける変数についてのデータ状態、特殊値および限度値を、当該変数の時系列と共にロードする副過程、
c. 所与の時系列変数をプロセス従属変数またはプロセス独立変数としてスクリーニングし、基礎的なデータスクリーニングフィルタを適用することにより、その時系列におけるデータセグメントを、所与のデータ品質測定パラメータに従って、良好なデータまたは不良なデータとして検出およびマークする副過程、
d. 時系列変数を、その比例−積分−微分(PID)ループに応じて分類する副過程、
e. PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する副過程、
f. 独立変数についての利用可能な測定値を用いて、PIDとの関連を有さない従属変数についての予測を生成する副過程、
g. PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、その従属変数についての利用可能な測定値に対して審査し、データスクリーニング方法を適用する副過程、および
h. 前記時系列から不良なデータセグメントを除外するように、前記データセグメントのうち、不良なデータとしてマークされたデータセグメント、およびデータスライス生成手段を用いて、前記所与の時系列変数における不良なデータスライスを特定および生成する副過程、
を含む、方法。
〔態様3〕
態様2に記載の方法において、前記副過程(a)のプロセスデータ変数が、前記対象プロセスの操作変数(MV)、前記対象プロセスの制御変数(CV)の測定値、独立変数の算出値、従属変数の算出値、前記対象プロセスの全データベクトル、および全PIDコントローラループの少なくとも1つを含む、方法。
〔態様4〕
態様2に記載の方法において、前記副過程(c)の前記基礎的なデータスクリーニング方法が、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PIDコントローラ出力(OP)飽和および上限/下限検出手段、および凍結信号・測定値検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、方法。
〔態様5〕
態様2に記載の方法において、PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する前記副過程(e)が、
全プロセス変数の中から、PIDループとの関連検索を実行して利用可能なSP、PVおよびOPを見つけ出すこと、
PVとSPとのセットまたはPVとSPと制御出力(OP)とのセットが、PIDループの前記時系列と関連するか否かを判断すること、および
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが同じPIDループの前記時系列と関連する場合、ルールベースの前記データ選択手段を用いてデータスクリーニングフィルタを適用することにより、SPからの偏差を示すデータ系列を検出し、対応するデータセグメントを不良なデータとしてマークすること、
を含む、方法。
〔態様6〕
態様5に記載の方法において、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PVスパイク検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段、および閉ループモードのSP検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、方法。
〔態様7〕
態様2に記載の方法において、PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、その測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用する副過程(g)が、
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の前記時系列変数と関連を有さず、その時系列変数がプロセス従属変数である場合、データスクリーニングフィルタを用いて、変動トレンドがスパイクおよび偏差を示すデータセグメントを検出し、所与のデータスクリーニングフィルタに従って、そのデータセグメントを不良なデータとしてマークすること、
を含む、方法。
〔態様8〕
態様7に記載の方法において、前記データスクリーニングフィルタが、PVスパイク検出手段、およびトレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、方法。
〔態様9〕
態様8に記載の方法において、前記トレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段が、
多入力単出力(MISO)モデルにより、前記時系列変数についてのモデル予測を生成し、
未知の外乱による予測誤差を算出し、
制御変数(CV)の時系列が、前記MISOモデルによる予測値と並行しているか否かを検出し、
前記CVの平均値が正常な変動範囲外の持続的な大きいシフトを生じたか否かを検出し、それが前記モデルによる予測と対応しているか否かを判断し、
前記時系列変数のうち、前記予測誤差を超えるトレンド差を示すデータセグメントを除外用に選択し、当該選択されたデータセグメントを不良なデータとしてマークする、
方法。
〔態様10〕
態様2に記載の方法において、不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定する前記過程が、
i. 前記時系列のうち、基礎的なデータフィルタでは除外していない不良なデータセグメントについて、当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めた場合のモデル品質(MQ)と当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めない場合のモデル品質(MQ)とを比較することによりテストする副過程、および
j. 前記MQの比較に基づいて、不良なデータセグメントを不良なデータとして確定する副過程であって、不良なデータとして確定しない場合には、そのデータセグメントを不良なデータセグメント候補から外す副過程、
を含む、方法。
〔態様11〕
態様10に記載の方法において、不良なデータセグメントをテストする前記副過程が、
不良なデータセグメントを不良なデータセグメント候補として設定し、時系列変数ごとに不良なデータセグメント候補を除外することにより、良好なデータセグメントを生成すること、
従属変数に対しては、多入力単出力(MISO)モデル同定を構成し、当該MISOモデルにおいて前記独立変数を入力としてかつ前記従属変数を出力としてロードすること、
前記生成された良好なデータセグメントを前記構成されたMISOモデルに適用し、当該MISOモデルについてモデル品質評価を実行することにより、ベースラインのモデル品質指数(MQ)を算出すること、および
前記データセグメントのうち、基礎的なデータフィルタでは除外していない不良なデータセグメント候補に対してMISOケース同定を実行し、その不良なデータセグメント候補のMISOモデルについてモデル品質評価を実行することにより、候補のMQを算出すること、
を含む、方法。
〔態様12〕
態様11に記載の方法において、不良なデータセグメントを不良なデータセグメント候補として設定する前記副過程が、
調整可能なパラメータが閾値としてある場合には、ベースラインのMQと候補のMQとの差が当該調整可能な閾値内ならば、不良なデータセグメント候補を良好なデータセグメントとしてマークし、かつ、対応するデータスライスを不良なデータスライスのリストから外すこと、
を含む、方法。
〔態様13〕
態様10に記載の方法において、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、前記記憶されたプロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修理する前記過程が、
k. 前記所与の時系列変数について、不良なデータセグメントとして確定されたデータセグメントのうち、定常状態までの時間(TTSS)の1/2未満の長さである全ての不良なデータセグメントを、補間用に選択する副過程、
l. 前記時系列のうち、前記データスライス生成手段によってデータ部分が取り除かれたセグメントを、補間データセグメントで継合する副過程、および
m. 不良なデータスライスを、その補間スライスで継合する際に、補間データセグメントの端点と端点とが滑らかに接続されるようにすることにより、不良なデータセグメントを補間データセグメントで置き換えることによる悪影響を抑える副過程、
を含む、方法。
〔態様14〕
態様13に記載の方法において、前記副過程(l)が、
前記時系列変数が独立変数である場合には、前記選択された不良なデータセグメントと隣り合う良好なデータセグメントを確認して、不良なデータセグメントの始点前の良好なデータサンプル値およびその不良なデータセグメントの終点後の良好なデータサンプル値が所与の閾値内であるか否かを判断し、前記所与の閾値内ならば、線形補間により補間スライスを生成し、前記選択された不良なデータセグメントをその補間スライスで置き換えること、
前記選択された時系列変数が従属変数である場合には、当該従属変数および当該従属変数に対応する独立変数を用いてMISOモデルケースを構成し、このようにして得られるMISOモデルを用いてモデル同定ケースを実行することにより前記従属変数についてのモデル予測を生成し、不良なデータセグメントについてのモデル予測値が利用可能であれば、当該不良なデータセグメントの補間スライスを生成すること、および
前記時系列変数が従属変数である場合には、前記選択された不良なデータセグメントと隣り合う良好なデータセグメントを確認して、不良なデータセグメントの始点前の所与の長さの平均値およびその不良なデータセグメントの終点後の所与の長さの平均値が前記所与の閾値内であるか否かを判断し、前記所与の閾値内ならば、線形補間により補間スライスを生成し、前記選択された不良なデータセグメントをその補間スライスで置き換えること、
を含み、前記補間スライスが前記良好なデータセグメントに滑らかに接続する、方法。
〔態様15〕
多変数予測コントローラ(MPC)でのモデル同定およびモデル適応のためにデータを自動的にスクリーニングおよび選択する装置であって、
プロセスシステムに接続されており、既存のモデルを有するMPCと、
前記多変数予測コントローラに接続されており、作業メモリ内のルーチンを実行するコンピュータプロセッサと、
対象プロセスからのプロセスデータにアクセスし、このプロセスデータを前記モデルによりアクセス可能なデータベースに記憶するルーチンと、
プロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを自動的に検出および除外するルーチンと、
不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定するルーチンと、
MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、プロセスデータのうち、ある一定のデータセグメントを修正するルーチンと、
を備える、装置。
〔態様16〕
態様15に記載の装置において、プロセスデータのうち、モデル品質推定およびモデル同定に不適切なデータセグメントを検出および除外する前記ルーチンが、
所与のサンプリング周波数で、プロセスデータ変数を収集してこの収集したプロセスデータ変数を前記データベースに時系列変数として記憶するルーチンであって、前記プロセスデータ変数が、前記対象プロセスの操作変数(MV)、前記対象プロセスの制御変数(CV)の測定値、独立変数の算出値、従属変数の算出値、前記対象プロセスの全データベクトル、および全PIDコントローラループの少なくとも1つを含む、ルーチン、
前記データベースから、前記対象プロセスにおける変数についてのデータ状態、特殊値および限度値を、当該変数の時系列と共にロードするルーチン、
所与の時系列変数について、当該時系列変数をプロセス従属変数またはプロセス独立変数として判定し、基礎的なデータスクリーニングフィルタを適用することにより、その時系列におけるデータセグメントを、所与のデータ品質パラメータに従って、良好なデータまたは不良なデータとして検出およびマークするルーチン、
時系列変数を、その比例−積分−微分(PID)ループに応じて分類するルーチン、
PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用するルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、コントローラ出力(OP)飽和および上限/下限検出手段、および凍結信号・測定値検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、ルーチン、
独立変数についての利用可能な測定値を用いて、PIDとの関連を有さない従属変数についての予測を生成するルーチン、
PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、前記独立変数についての利用可能な測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用するルーチン、および
前記データセグメントのうち、不良なデータとしてマークされたデータセグメントを用いて、前記所与の時系列変数における不良なデータスライスを生成するルーチンであって、前記時系列から前記不良なデータセグメントを除外するルーチン、
を含む、装置。
〔態様17〕
態様16に記載の装置において、PIDループごとに、プロセス変数(PV)をそれに対応する設定値(SP)と比較し、データスクリーニングフィルタを適用する前記ルーチンが、
前記時系列における良好なデータセグメントの中から、PIDループとの関連検索を実行するルーチン、
PVとSPとのセットまたはPVとSPと制御出力(OP)とのセットが、PIDループの前記時系列と関連するか否かを判断するルーチン、および
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが同じPIDループの前記時系列と関連する場合、ルールベースのデータ選択手段を用いてデータスクリーニングフィルタを適用することにより、SPからの偏差を示すデータ系列を検出し、対応するデータセグメントを不良なデータとしてマークするルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、前記所与の時系列が従属変数である場合の、PVスパイク検出手段、ならびに、前記所与の時系列が独立変数である場合の、PID手動モード検出手段、および閉ループモードのSP検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、ルーチン、
を含む、装置。
〔態様18〕
態様16に記載の装置において、PIDとの関連を有さない従属変数についての前記生成された予測を、前記対応する変数についての測定値に対して審査し、データスクリーニングフィルタを適用する前記ルーチンが、
PVとSPとのセットまたはPVとSPとOPとのセットが、同じPIDループの目下の前記時系列変数と関連を有さず、その時系列変数がプロセス従属変数である場合、データスクリーニングフィルタを用いて、変動トレンドがスパイクおよび偏差を示すデータセグメントを検出し、所与のデータスクリーニングフィルタに従って、そのデータセグメントを不良なデータとしてマークするルーチンであって、前記データスクリーニングフィルタが、CVスパイク検出手段、およびトレンドミスマッチ・未知の外乱検出手段のうちの、少なくとも1つを含む、ルーチン、
を含む、装置。
〔態様19〕
態様16に記載の装置において、不良なデータセグメントが除外されることによるデータ損失を抑えるように、除外されるデータセグメントを確定する前記ルーチンが、
前記時系列のうち、基礎的なデータフィルタでは除外していない不良なデータセグメントについて、当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めた場合のモデル品質(MQ)と当該不良なデータセグメントを前記モデル同定に含めない場合のモデル品質(MQ)とを比較することによりテストするルーチン、および
前記MQの比較に基づいて、不良なデータセグメントを不良なデータとして確定するルーチンであって、不良なデータとして確定しない場合には、そのデータセグメントを不良なデータセグメント候補から外すルーチン、
を含む、装置。
〔態様20〕
態様10に記載の装置において、MPCアプリケーションにおけるデータを最大限に利用するように、ある一定の時系列を修正する前記ルーチンが、
前記所与の時系列変数について、不良なデータセグメントとして確定されたデータセグメントのうち、定常状態までの時間の1/2未満の長さである全ての不良なデータセグメントを、補間用に選択するルーチン、
前記時系列のうち、前記データスライス生成手段によってデータ部分が取り除かれたセグメントを、補間データセグメントで継合するルーチン、および
不良なデータスライスを、その補間スライスで継合する際に、補間データセグメントの端点と端点とが滑らかに接続されるようにすることにより、不良なデータセグメントを補間データセグメントで置き換えることによる悪影響を抑えるルーチン、
を含む、装置。
〔態様21〕
態様16に記載の装置において、さらに、
前記コンピュータプロセッサに接続されており、プロセスデータおよびプロセスデータをユーザに提示する映像インターフェースを表示するディスプレイと、
前記コンピュータプロセッサに接続されており、前記プロセスデータの時系列、データスライスおよびデータセグメントをユーザが変更および削除することを可能にするユーザ入力装置と、
を備える、装置。