特許第6359626号(P6359626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359626
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】経カテーテル弁置換術
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-500150(P2016-500150)
(86)(22)【出願日】2013年12月30日
(65)【公表番号】特表2016-510629(P2016-510629A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2013078294
(87)【国際公開番号】WO2014163705
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/793,818
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】ボード,ステファニー・マリー
(72)【発明者】
【氏名】チャレキアン,アーロン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルッソ,パトリック・ピー
(72)【発明者】
【氏名】オスルンド,ジョン
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0217382(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/028387(WO,A2)
【文献】 欧州特許出願公開第02484309(EP,A1)
【文献】 国際公開第2012/178115(WO,A2)
【文献】 特表2012−512718(JP,A)
【文献】 特表2011−528256(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0029072(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入端および流出端を有する人工心臓弁であって、
折畳み式で拡張可能なステントと、
前記ステント内に配設され、複数の小葉を有している、折畳み式で拡張可能な弁組立体と、
編組線で形成された折畳み式で拡張可能なフレームと、を備え、
前記フレームは、本体部と、前記ステントおよび前記弁組立体を受け入れるために前記本体部内を通じて延びる内腔と、を有しており、
前記フレームは、患者の左心房内にフィットするように構成された半球形のインフロークラウンを備えていることを特徴とする人工心臓弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、心臓弁置換術に関し、詳細には、折畳み式人工心臓弁に関する。より詳細には、本開示は、生来の弁輪内に折畳み式人工心臓弁を固定するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小さい円周のサイズに折畳み式である人工心臓弁は、折畳み式でない弁よりも低侵襲的に患者の中に送達され得る。例えば、折畳み式弁は、カテーテル、トロカール、腹腔鏡手術器械等などの管状の送達装置を介して患者の中に送達され得る。この折畳み性により、フル開胸手術、心臓フル切開手術などのより侵襲的な手法の必要性をなくすことができる。
【0003】
折畳み式人工心臓弁は、典型的には、ステントに装着された弁構造の形態をとる。自己拡張型ステントとバルーン拡張型ステントという、弁構造が通常装着されている2つのタイプのステントが存在する。そのような弁を送達装置の中に、最終的には患者の中に配置するために、まず弁を折畳んでまたは波形にして、その円周のサイズを小さくしなければならない。
【0004】
折畳まれた人工弁が、患者内の所望の植込み部位に(例えば、人工弁によって置き換えられることになる患者の心臓弁の弁輪にまたはその近くに)到達したとき、人工弁は展開されてまたは送達装置から解除され、完全な動作サイズへ再拡張することができる。バルーン拡張型弁の場合、これは、一般に、その適切な位置を保証する弁全体を解除し、次いで弁ステント内に配置されたバルーンを拡張することを伴う。一方、自己拡張型弁の場合、ステントは、弁を覆うシースが引っ込められるときに自動的に拡張する。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、流入端および流出端を有する人工心臓弁は、折畳み式で拡張可能なステントと、ステント内に配設され複数の小葉を有する折畳み式で拡張可能な弁組立体とを備えることができる。人工心臓弁は、編組線で形成された折畳み式で拡張可能なフレームをさらに備えることができ、フレームは、本体部と、ステントおよび弁組立体を受け入れるために本体部を通じて延びる内腔とを有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、目標部位において人工心臓弁を展開する方法が説明されている。人工心臓弁は、折畳み式で拡張可能なステントと、ステント内に配設された折畳み式で拡張可能な弁組立体と、編組線で形成された折畳み式で拡張可能なフレームとを備え、フレームは、本体部と、ステントおよび弁組立体を受け入れるために本体部を通じて延びる内腔とを有する。この方法は、折畳まれた構成で目標部位において送達デバイスを介して送達デバイスに結合されている人工心臓弁を展開し、目標部位において人工心臓弁が再拡張することを可能にし、送達デバイスを用いて目標部位において人工心臓弁を再配置するステップと、人工心臓弁の機能を評価した後に、送達デバイスから人工心臓弁を切り離すステップとを含む。
【0007】
本開示の様々な実施形態は、以下の図面を参照して本明細書中に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】経心尖送達アプローチを示す人間の心臓の概略断面図である。
図2】生来(native)の僧帽弁、および関連した心臓構造の概略図である。
図3】ステント、弁組立体、およびフレームを有する人工心臓弁の一実施形態の縦断面図である。
図4図3の人工心臓弁のフレームの斜視図である。
図5A】一対のフランジを有するフレームの別の実施形態の斜視図である。
図5B図5Aのフレームの上面図である。
図5C】一対のフランジおよびホタテ貝の縁のような下部を有するフレームの別の実施形態の斜視図である。
図5D】短くなった長さおよび単一のフランジを有するフレームのさらに別の実施形態の斜視図である。
図6A-6I】人工心臓弁のフレームのさらなる変形例の縦断面図である。
図7A】円形でない断面を有するフレームを含む人工心臓弁の縦断面図である。
図7B図7Aの人工心臓弁の上面図である。
図7C】三角形の横断面図を有するフレームを含む人工心臓弁の上面図である。
図7D】長方形の横断面図を有するフレームを含む人工心臓弁の上面図である。
図8A.8B】不規則な断面を備えたフレームを有する人工心臓弁の上面図である。
図9】インフロークラウン(inflow crown)を有するフレームを含む人工心臓弁の縦断面図である。
図10A-10C】人工心臓弁の段階的展開を示す概略図である。
図11A-11C】送達デバイスを用いた人工心臓弁の再配置および取戻しを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本開示の様々な実施形態を添付図面を参照して説明する。これらの図面は、本開示の一部の実施形態のみを示し、したがってその範囲の限定とみなされるべきでないことを理解されたい。
【0010】
折畳み式人工心臓弁になされた様々な改良にもかかわらず、従来のデバイス、システム、および方法は、いくつかの欠点に悩まされている。従来の折畳み式心臓弁では、ステントは、通常、拡張ステントが生来の(人間が生まれつき持っている)弁輪に及ぼす半径方向の力によって生来の弁輪内に固定される。半径方向の力が大き過ぎる場合、心臓組織に損傷が生じ得る。そうではなく、半径方向の力が小ささ過ぎる場合、心臓弁は、その植込み位置から、例えば左心室の中に移動する可能性があり、ずれた弁を取り除くために緊急手術を必要とする。この半径方向の力の固定は、生来の弁輪における石灰化またはプラークの存在に一部依存するので、プラークがない位置の弁(例えば、僧帽弁弁輪)を適切に固定するのが困難であり得る。
【0011】
加えて、いくつかの状況では、むらのある石灰化と生来の弁輪の凹凸との結果として、血液は、弁周囲逆流として知られている状態において人工心臓弁のまわりに漏れる可能性がある。この漏れは、血液が左心室から左心房の中に戻るように流れることを可能にし、心臓効率を低下させ、心筋により大きい負担をかける。また、僧帽弁置換術などのいくつかの応用では、心臓弁は、周囲の組織構造を妨げないように低い外形を必要とし得る。そのような低い外形は、弁が所定位置に留まるのを困難にさせる。
【0012】
以上のことを考慮して、人工心臓弁の植込みおよび折畳み式人工心臓弁、特に自己拡張型人工心臓弁の固定のためのデバイス、システム、および方法のさらなる改良が必要とされている。いくつかある利点の中でも、本開示は、これらの必要性の内の1つまたは複数に対処し得る。
【0013】
血液は、僧帽弁を介して左心房から左心室へ流れる。本明細書に使用されるとき、用語「流入端」は、人工心臓僧帽弁(prosthetic mitral heart valve)に関連して使用されるとき、心臓弁が患者に植込まれているときに左心房に最も近い心臓弁の端を指すのに対して、用語「流出端」は、人工心臓弁に関連して使用されるとき、心臓弁が患者に植込まれているときに左心室に最も近い心臓弁の端を指す。
【0014】
図1は、人間の心臓100の概略断面図である。人間の心臓は、2つの心房と、2つの心室、すなわち、右心房112および左心房122と、右心室114および左心室124とを備える。図1に示されるように、心臓100は、大動脈110と、大動脈弓120とをさらに備える。左心房と左心室との間には、僧帽弁130が配設されている。僧帽弁130は、二尖弁または左房室弁としても知られており、左心房122が血液で一杯になるときに左心房122の圧力増加の結果として開くデュアルフラップである。心房の圧力が左心室124の圧力よりも高く増加するとき、僧帽弁130は開き、血液が左心室124の中に入る。血液は、矢印「B」によって示された方向に心臓100を通じて流れる。
【0015】
「TA」と名付けられた破線矢印は、僧帽弁を置き換えるこの場合、人工心臓弁を植込む経心尖アプローチを示す。経心尖送達では、人工心臓弁を目標部位に送達するために、小切開が肋骨間で左心室124の頂点の中へ行われる。
【0016】
図2は、生来の僧帽弁130、およびその関連した構造のより詳細な概略図である。前述したように、僧帽弁130は、左心房122と左心室124との間に配設された2つのフラップまたは小葉、後尖136および前尖138を備える。腱索134として知られている索状腱は、2つの小葉136、138を内側乳頭筋および外側乳頭筋132に接続する。心房の心収縮中、血液は、左心房122内のより高い圧力からより左心室124内の低い圧力へ流れる。左心室124が心室収縮において収縮するとき、室内の血圧の増加によって小葉136、138を押して閉じ、左心房122の中への血液の逆流を防ぐ。左心房122の血圧は、左心室124の血圧よりもずっと低いので、小葉136、138は、低圧領域へ裏返ろうとする。腱索134は、緊張することによって裏返りを防ぎ、したがって小葉136、138を引っ張り、小葉136、138を閉鎖位置に保持する。
【0017】
図3は、本開示の一実施形態による人工心臓弁200の縦断面図である。人工心臓弁200は、患者の生来の僧帽弁(図1図2の生来の僧帽弁130を参照)の機能を置き換えるように設計された折畳み式人工心臓弁である。概して、人工弁200は、流入端210および流出端212を有する。人工弁200は、以下のより詳細に述べられるように、ほぼ円筒形状とすることができると共に、固定用の特徴を備えることができる。(図1図2に示された)生来の僧帽弁130を置き換えるために使用されるとき、人工弁200は、心房機能を妨げないように低い外形(a low profile)を有することができる。
【0018】
人工心臓弁200は、ステント250を備えることができ、ステント250は、例えばニチノールを含む形状記憶合金などの自己拡張できる生体適合性材料から形成することができる。ステント250は、ステントのまわりに1つまたは複数の環状列で互いに接続されたセル254を形成する複数の支柱252を含むことができる。セル254はすべて、ステント250の外周まわりにおよびその長さに沿ってほぼ同じサイズであり得る。代替として、流入端210近くのセル254は、流出端212近くのセルよりも大きくてもよい。ステント250は、人工心臓弁200の位置決めおよび固定を助けるために半径方向の力を与えるように拡張可能であり得る。
【0019】
人工心臓弁200は、円筒形カフ264に取り付けられた一対の小葉262を含む弁組立体260を備えることもできる。小葉262は、図2を参照して上述された生来の僧帽弁の小葉136および138の機能を置き換える。すなわち、小葉262は、一方向弁として機能するように互いに接合させる。しかしながら、人工心臓弁200は、患者内の僧帽弁または他の心臓弁を置き換えるために使用されるとき、3つ以上の小葉を有してもよいことを理解されよう。人工心臓弁200の弁組立体260は、ほぼ円筒形とすることができ、または流出端212から流入端210へ外に向かって先細りとすることができる。カフ264と小葉262の両方は、牛または豚の心膜などの任意の適切な生物学的材料、またはPTFE、ウレタン等などのポリマーで全体または一部形成することができる。
【0020】
生来の僧帽弁を置き換えるために使用されるとき、弁組立体260は、直径が約20mmから約40mmの範囲内のサイズに作製することができる。弁組立体260は、支柱252を縫合することによって、または組織接着剤、超音波溶接、もしくは他の適切な方法を用いることによってステント250に固着することができる。代替として、ステントを有さない実施形態では、弁組立体260は、前述の方法のいずれかを用いてフレーム300に直接取り付けることができる。
【0021】
人工心臓弁200のフレーム300は、弁組立体260およびステント250を囲み、格納することができる。フレーム300は、組織に係合し弁組立体260と生来の弁輪との間の空間を満たすように様々な形状および/または幾何学的配置を作り出すために、様々な構成でニチノールなどの編組材料で形成することができる。これらの構成のいくつかは、図4図9を参照して以下に説明される。
【0022】
図4に示されるように、フレーム300は、3次元形状に配置された複数の編組ストランドまたは編組線305を含む。一例では、線305は、所望の予め設定された形状を実質的にセットするために、弾性的であると共に熱処理可能である編組金属布地を形成する。これらの条件を満たす材の類の1つは、形状記憶合金である。形状記憶合金の一例は、ニチノールである。線305は、ばね用ステンレス鋼、Elgiloy(登録商標)、Hastelloy(登録商標)、CoCrNi合金(例えば、商品名Phynox)、MP35N(登録商標)などの商標名の付いた合金、CoCrMo合金、または金属と高分子繊維の混合物などの弾性特性および/または記憶特性を有するニチノール以外の様々な材料から構成され得ることも理解される。選択した個々の材料に応じて、ストランド径、ストランド数、およびピッチは、フレーム300の所望の特性を実現するために変更され得る。
【0023】
図4に示されたフレーム300の最も簡単な構成では、フレーム300は、入口端310と、出口端312と、ステント250および弁組立体260を格納するための入口端310と出口端312との間に延びる内腔315とを有する円筒形または筒状の構成で形成することができる。フレーム300は、患者の中に送達するために、弛緩されたまたは予め設定された構成から圧縮されたまたは減少させられた構成へ半径方向に折畳むことができる形状記憶材料で形成することができる。送達後に解除されると、フレーム300は、その弛緩されたまたは予め設定された構成に再拡張することができる。意図された領域Cによって示されるように、フレーム300は、半径方向に局所的に沿っていることもでき、矢印Fの方向に及ばされた力が、フレームの一部を変形させるようになっている。このようにして、生来の弁輪の凹凸は、フレーム300によって埋めることができ、それによって弁周囲逆流を防ぐ。その上、後述のフランジなどのフレーム300の一部は、時間の経過と共に内皮化し心臓壁の中に成長することができ、永久的な安定性および低い血栓表面を与える。
【0024】
図4に示されるように、フレーム300は、略円筒形の構成を有するものとして説明されている。人工心臓弁200がそのようなフレームを利用するとき、フレーム300、ステント250、および/または弁組立体260を拡張させることによって及ぼされる半径方向の力が、生来の弁輪内で人工心臓弁200を固定する。いくつかの例では、弁組立体260は、フレーム300と共に、またはフレーム300から独立して半径方向の力を及ぼすことができる。図5A図5Dを参照して以下に述べられる、生来の弁輪内で人工心臓弁を固定および封止することができる追加の特徴をフレーム300が含むことを可能にし得る。
【0025】
図5A図5Dは、固定用の特徴を有するフレーム300の実施形態を示す。フレーム300は、入口端310と、出口端312と、ステント250および弁組立体260を格納するために入口端310と出口端312との間に延びる内腔315とを有する円筒体または筒状体308に成形された編組線305から形成することができる。以下より詳細に説明されるように、フレーム300は、上側フランジ320および下側フランジ322をさらに備えることができる。図5A図5D全体を通して示されるように、編組線305の自由端は、第1の締付けまたは圧着チューブ335を介して入口端310に、および第2の締付けまたは圧着チューブ337を介して出口端312に共に保持することができる。代替の実施形態では、自由端は、フレーム300の一方の端部のみに位置し、および/または他の手段(例えば、はんだ、ろう付け、溶接、または加熱設定)によってほどけるのを防ぐように固着される。圧着チューブ337は、人工心臓弁の送達および取戻しのためのデバイスに解除可能に接続するために、雌ねじまたは雄ねじが切られていてもよく、または当業者によって認識されているような他の適切な手段を備えてもよい。フレーム300および送達デバイスのための取り付けの他の手段は、圧入、スナップフィット、圧縮フィット、つなぎ綱、フック、および止め金、または他の機械的なはめ合わせの配置を含む。いくつかの例では、圧着チューブ337は、編組もしくは編組の一部、またはデバイスの任意の部分がチューブに挿入されるとき、それは機械的手段によって外側から下に圧着することができ、それによって2つを共に固定するように構成されたチュービングの一部であり得る。チューブの他端は、ねじが切られた雌ねじなどの取り付けの手段を有することができ、次いで本体の外側で延びる雄ねじが切られた送達線またはケーブルに取り付けることができるようになっている。
【0026】
図5Aに示されるように、フレーム300Aは、入口端310の近くに上側フランジ320を形成すると共に出口端312の近くに下側フランジ322を形成するように熱設定し、概して円筒形本体部308をそれらの間に備えることができる。上側フランジ320は、左心房の一部に係合するように構成することができ、一方、下側フランジ322は、左心室および/または乳頭筋の一部に係合するように構成することができる(図1図2参照)。ひとまとめに、上側フランジ320、下側フランジ322、および本体部308は、その意図した位置から人工心臓弁200が外れるのを防ぐために、僧帽弁の位置を跨ぐ紡錘または砂時計の形状でフレームを形成することができ、生来の弁輪内ではめ合うことができる。図5Bは、内腔315および上側フランジ320を示す図5Aからのフレーム300Aの上面図である。フランジ320、322が本体部308から延びる半径方向距離「d」は、必要に応じて変更され得ることが理解されよう。加えて、図5Aに見られるように、上側フランジ320は、本体部308から入口端310に向かって外側に先細りになることができ、下側フランジ322は、本体部308から出口端312へ外側に向かって先細り得る。
【0027】
図5Cは、フレーム300Bの別の実施形態を示す。フレーム300Bは、入口端310と、出口端312と、入口端310と出口端312との間に延びる内腔315とを有する本体308に成形された編組線305で形成することができる。フレーム300Bは、上側フランジ320と、下側フランジ322Bと、第1の圧着チューブ335および第2の圧着チューブ337とをさらに備えることができる。この変形例では、下側フランジ322Bは、編組線305の一部が、流出端312を通じての血流を改善し左心室流出路を妨げるのを防ぐように取り除かれているホタテ貝の縁のような部分340を含む。ホタテ貝の縁のような部分340は、出口端312が図5Cに示されるように凹曲面を形成するように内側に曲げられた外形を形成することができる。下側フランジ322Bから材料を取り除いてホタテ貝の縁のような部分340を形成する代わりに、下側フランジ322Bの部分は、図の構成においてホタテ貝の縁のような部分340を形成するように成形手段または他の適切な手段によって熱設定または他の方法で成形することができる。
【0028】
図5Dは、入口端310と、出口端312と、入口端310と出口端312との間に延びる内腔315とを有する本体308Cに成形された編組線305で形成されたフレーム300Cを示す。フレーム300Cは、上側フランジ320、ならびに第1の圧着チューブ335および第2の圧着チューブ337をさらに備えることができる。フランジ322内にホタテ貝の縁のような部分340を形成するのではなく、代わりに、フレーム300Cは、図5Dに示されるように、上側フランジ320だけを有することができ、本体308Cの短くされた全長が左心室流出路を妨げるのを防ぐことが理解されよう。
【0029】
図6A図6Gは、フレーム300のいくつかの追加の変形例を示す。図6Aに示された第1の変形例では、フレーム300Dは、入口端310の近くの上側フランジ320Dと、出口端312近くの下側フランジ322Dとを備えると共に、それらの間に本体部308を備えている。上側フランジ320Dおよび下側フランジ322Dは両方、フレーム300Dの長手方向軸L1にほぼ直交し、紡錘状のフレームになる。図6Bに示した別の変形例では、フレーム300Eの上側フランジ320Eおよび下側フランジ322Eは、角度rによって示されるように、フレーム300Eの長手方向軸L1と約45度を形成する。上側フランジ320および下側フランジ322がフレーム300の軸方向長さに対して形成する角度は、0よりも大きくから180度未満であり得ることを理解されよう。加えて、上側フランジ320および下側フランジ322は、対称的である必要はないことを理解されたい。言い換えれば、2つのフランジがフレーム300の長手方向軸に対して形成する角度は、互いに異なることができる。
【0030】
図6Cは、上側フランジ320F、下側フランジ322F、および拡張された本体部308Fを含むフレーム300Fを示す。拡張された本体部308Fは、概して球の形態である上側フランジ320Fと下側フランジ322Fとの間に半径方向に拡張した形状を有することができ、概して円形である縦断面を備える。しかしながら、三角形、正方形、長方形、または卵形である縦断面を有するものを含む他の形状も可能であり得ることが理解されよう。拡張された本体部308Fは、似ている線305を用いて、生来の弁輪内で人工弁を封止するのを助け、人工弁と生来の弁輪壁との間の任意の間隙を満たすことによって弁周囲逆流のリスクを減少させることができる。図6Dに示されたこの構成の一変形例では。図6Cに示された一体フレームに代えて、フレーム300Gは、上側フランジ320G、下側フランジ322G、およびほぼ円筒形の本体部308Gを含む第1の編組部342と、本体部308Gのまわりに配設され拡張された本体部346を形成する第2の編組部344とを備えることができる。
【0031】
図6E図6Gに見られるように、固定を改良するために、追加の特徴が、上側フランジ320および下側フランジ322に追加されてもよい。例えば、上側フランジ320および下側フランジ322の構成は、生来の弁輪との係合改良のために修正することができる。図6E中のフレーム300Hを参照すると、上側フランジ320Hおよび下側フランジ322Hは、心臓組織に係合するために二次的な曲げ350、352をそれぞれ含むことができる。心房の二次的な曲げ350は、フレーム300Hの本体部308に向けて戻るように延びることができ、心房の一部と接触するように構成することができ、一方、心室の二次的な曲げ352は、フレーム300Hの本体部308に向けて戻るように延びることができ、心室の一部と接触するように構成することができる。二次的な曲げ350、352の長さおよび角度は必要に応じて変更されてもよいことが理解される。
【0032】
同様に、生来の弁輪内でフレーム300をより良く固定するために、安定化ワイヤ354は、図6Fのフレーム300Iに示されるように、上側フランジ320Iおよび下側フランジ322Iに結合することができる。各安定化ワイヤ354は、その自由端に突起部またはフック356を備えることができる。フック356は、フレーム300の送達を助けるために従来のスネアによって操作することができる。加えて、フック356は、生来の弁輪内でフレーム300Iの再配置を助けるために、1つまたは複数のスネア(図示せず)によって操作することができる。例えば、以下の例に見られるように、フレーム300Iは、半径方向に非対称とすることができ、弁組立体を適切に設置するために生来の弁輪と共に回転させられる必要があり得る。加えて、フレーム300Iは、不適切なフィットメント、不十分な封止、および類似するサイジングおよびフィットメントの問題を含むいくつかの理由で取り戻されおよび取り除かれる必要があり得る。そのような場合には、スネアを使用してフック356を把持し、フレーム300を送達カテーテルの中に戻すように引っ張ってフレームを取り除くまたは再展開する。
【0033】
また、二次的な曲げおよび安定化ワイヤに加えて、フレア型の端部361a、361bを有するダンベル形アンカー360は、フレーム300Jに関連して図6Gに見られるように、上側フランジ320および/または下側フランジ322を心臓組織450にロックするのを助けることができる。任意の個数のダンベル形アンカー360が、各フランジ320、322を心臓組織に結合するために使用されてもよく、人工心臓弁の部位へ別々に送達されてもよい。各ダンベル形アンカー360は、生来の弁輪450の近くで上側フランジ320または下側フランジ322を通じて組織を貫通することができ、それよってフランジ320、322を生来の組織に取り付ける。いくつかの例では、アンカー360は、心臓弁と同じやり方で送達することができる。例えば、アンカー360は、カテーテルを介して送達することができ、上側フランジ320または下側フランジ322に穴を開けるようになされ、アンカー360の端部361aは、アンカーの一端をフランジに固着することができる。次いで、アンカー360の第2の端部361bは、組織部位で展開し、心臓組織450を突きさし、アンカー360を組織に固着することができる。
【0034】
弁周囲逆流を防ぐために、様々な手段を使用してフランジ320、322を封止することができる。一例では、図6Hに示されたフレーム300Kは、上側フランジ320Kおよび下側フランジ322Kに縫い込まれた補強材355を備える。補強材335は、ポリエステルストランド、編組ポリストランド、パッチ材料、または布地、あるいは任意の許容可能な生体適合性布地または他の材料(ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ePTFEとして知られているPTFEを伸ばすことによって形成された細孔性材料を含むが、これらの限定されない)で構成され得る。補強材355は、組織成長を促進し、それによって弁周囲逆流の量を減少させることができる。図6Iのフレーム300Lとして示された別の変形例では、補強材355Lは、上側フランジ320Lおよび下側フランジ322Lにだけでなく、本体部308L全体にわたっても配設することができ、フレーム300Lを拡張および折畳みすることができる。
【0035】
前述の例は、図5Bに示されるように円形の横断面図を有するものとしてフレーム300を説明したが、フレーム300は必要に応じて修正されてもよいことを理解されよう。例えば、図7Aは人工心臓弁200Mのさらなる実施形態の縦断面図であり、図7Bはその対応する上面図である。図7Bに見られるように、人工心臓弁200Mはフレーム300Mを含み、弁組立体260がフレーム300M内に配設されステント250によって支持された小葉262を有する。弁組立体260は、円形の横断面図を有し、一方、フレーム300Mは、楕円形の横断面図を有する。多くの状況では、生来の弁輪は円形でなく、むしろ「D形」である。フレーム300Mが円形でない断面であると共に、生来の弁輪が非円形の幾何学的形状であるので、人工心臓弁200Mの適切な配置は、特定の向きを必要とし得る。図7Bに示されるように、人工心臓弁200Mは、そのような向きで助ける1つまたは複数のマーカ410を備えることができる。マーカ410は、X線不透過性構造(例えば、プラチナドットまたはステッチ)を備え、それによって送達および/または使用中に患者内でフレーム300Mの視覚化を可能にすることができる。マーカ410は、フレーム300Mの正反対側に配設することができる。しかしながら、マーカ410は、フレーム300M、ステント250、および/または弁組立体260の任意の部分に配設することができることを理解されよう。
【0036】
図7Cおよび図7Dは、フレーム300のいくつかの他の変形例を有する人工心臓弁200を示す。図7Cでは、人工心臓弁200Nは、円形ステント250およびその中に配設された弁組立体260を備えた三角形の横断面を有するフレーム300Nを備える。図7Dは、円形ステント250および弁組立体260を支持する長方形の横断面図を備えたフレーム300Oを有する人工心臓弁200Oを示す。1つまたは複数のマーカ410は、上記のように、デバイスの向きを決定するために使用することができる。
【0037】
フレーム300は、基本的な幾何学的形状に限定される必要はないことを理解されよう。例えば、図8Aおよび図8Bは、不規則な横断面図を有する人工心臓弁200の上面図である。図8Aのフレーム300Pは、ほぼ円形の横断面図と、マーカ410をそれぞれ有する一対の拡大領域390とを有する。拡大領域390は、本体308の長さに沿って延びることができ、それと連続し得る。拡大領域390は、人工心臓弁200Pの固定に対しての安定性の提供を助ける、または弁周囲逆流の減少を助けることができる。図8Bは、人工心臓弁200Qのフレーム300Qが、4つの拡大領域390Qがフレームの隅にある不規則な断面を有する別の変形例を示す。マーカ410は、人工心臓弁200Qを向けるのを助けるために拡大領域390Qの内1つまたは複数に配設することができる。フレーム390Qのそのような不規則な形状は、必要に応じて成型することができ、むらがあるように石灰化された生来の弁輪内または切除されていない生来の小葉を有する弁輪内の弁周囲逆流を防ぐのに役立ち得る。
【0038】
図9は、人工心臓弁200Rの別の変形例の縦断面図である。前述の実施形態と同様に、人工心臓弁200Rは、流入端210Rおよび流出端212を有すると共に、ステント250、小葉262を有する弁組立体260、および編組フレーム300Rを備える。フレーム300Rの一部は、上側フランジの代わりにインフロークラウン910の中に形成することができる(図5Aの上側フランジ230と比較せよ)。インフロークラウン910は、人工心臓弁200Rが生来の僧帽弁を置き換えるために使用されるとき、左心房内に嵌まるように成形された編組線305で作製された概して半球形の構造として構成することができる。インフロークラウン910は、患者の解剖学的構造内に人工心臓弁200Rを固定するのを助けるために、左心房の一部、全部、または実質的に全部を満たすような大きさで作製され得る。いくつかの変形例では、インフロークラウン910のサイズは、患者の解剖学的構造の解析に基づいて選択することができる。インフロークラウン910は、肺静脈から左心房の中へのスムーズな血流を可能にするような大きさで作製された複数の大きい孔915を備える。
【0039】
上記の人工心臓弁は、僧帽弁などの生来の心臓弁、手術の結果生じた心臓弁、または外科手術を受けた心臓弁を置き換えるために使用することができる。人工心臓弁200は、任意の適切な送達デバイスを用いて(例えば、生来の僧帽弁輪の近くの)所望の部位に送達することができる。送達中、人工心臓弁は、圧縮された構成で送達デバイスの内側に配設され得る。送達デバイスは、経心尖アプローチまたは他の経皮的アプローチを用いて患者に導入され得る。例えば、人工心臓弁200は、組立てられた単一のユニットとして僧帽弁の弁輪の中に送達されて、病気にかかったまたは不調の生来の僧帽弁または事前に植込まれていた人工装具の機能を置き換えることができる。具体的には、フレーム300、ステント250、および弁組立体260は、半径方向に折畳められ、経カテーテルの送達を通じて生来の弁輪へ導入され、一斉に再拡張させることができる。
【0040】
送達デバイスが目標部位に到達すると、使用者は人工心臓弁200を展開することができる。展開すると、人工心臓弁200は拡張して、(図1図2に示された)僧帽弁の弁輪などの生来の解剖学的構造内のしっかりした係合となり、半径方向の力が人工心臓弁200を所定位置に維持する。人工心臓弁200が患者の内部に適切に配置されるとき、人工心臓弁200は、一方向弁として働き、(例えば、左心房から左心室へ)一方向に血液が流れることを可能にし、一方、血液が反対方向に流れるのを防ぐ。
【0041】
代替として、人工心臓弁200は、心臓弁200の様々な要素が別個に展開され、次いで生来の弁輪内で再組立てされる段階的展開を利用することができる。図10A図10Cに示されるような要素の別個の送達は、送達外形の小型化を可能にし得る。
【0042】
図10Aは、第1のカテーテル1000が生来の僧帽弁の弁輪450に向けて導入される第1の段階を示す。示した実施形態では、第1のカテーテル1000は、左心室から矢印Dの方向に経心尖アプローチを通じて送達されるが、他の経皮的な手法が可能である。カテーテル1000はフレーム300を格納し、フレーム300は半径方向に折畳められて、デバイスの送達外径を小型化する。カテーテル1000が生来の弁輪450内に適切に配置されると、フレーム300は、任意の適切な方法を用いて第1のカテーテル1000から押し出されまたは他の方法で解除されて、半径方向に再拡張してその弛緩構成になり、生来の弁輪450を満たし、内腔315を形成することができる(図10B)。この段階で、生来の弁輪450内のフレーム300を調整する必要があり得、例えば、内腔315を開き、または生来の弁輪450内でフレーム300を適切に向ける。
【0043】
フレーム300が適切に配置されると、第2の段階が、第2のカテーテル1002を生来の弁輪450に向けて導入することによって始まり得る。第2のカテーテル1002は、第1のカテーテル1000と同じ手法を用いて送達できるが、2つのカテーテルは、異なる手法を利用してもよいことが理解されよう。図示例では、第2のカテーテル1002は、ステント250および弁組立体260を格納し、その両方が半径方向に折畳められている。第2のカテーテル1002は、矢印Dの方向に導入することができ、ステントおよび弁組立体の組合せは、フレーム300の内腔315内部で解除される。ステント250および弁組立体260が第2のカテーテル1002から解除される場合、2つの構成要素が、フレーム300内で半径方向に自己拡張することができ、フレームを生来の弁輪450の壁に押し付け、一方、半径方向の力によってフレーム内で設置されおよび適切に固着される。
【0044】
図10Cは、生来の弁輪450内で完全に再組立てされた後の人工心臓弁200を示す。人工心臓弁200が患者の内部に適切に配置されるとき、これは一方向弁として働き、(例えば、左心房から左心室へ)血液が一方向に流れることを可能にし、血液が反対方向に流れるのを防ぐ。時間の経過と共に、組織はフレーム300の上で成長し、フレーム300の中に入り、人工心臓弁200は、生来の弁輪内でのより良い封止および固定を経験する。
【0045】
図11A図11Cは、送達デバイスを用いて生来の弁輪450内に人工心臓弁200Sを適切に配置する一方法を示す。具体的には、フレーム300Sは、送達デバイス1100からの部分的な展開、さや納め、および再展開をするように構成することができる。送達デバイス1100は、フレーム300Sとはめ合わせて人工心臓弁200Sを送達デバイスに結合するように構成されてもよい。送達デバイス1100は、任意の適切な形状をとることができるが、望ましくは、中空のカテーテル1000Sと、カテーテル1000S内に配設された雄ねじ付きの遠位端1104を有する長細い可撓性のシャフト1102とを備える。フレーム300Sは、シャフト1102のねじ付きの遠位端1104とはめ合わせるように構成された内側のねじ山339を有する圧着チューブ337Sをさらに備えることができる。送達デバイス1100は、患者の身体において展開するためにカテーテル1000Sの内腔を通じて人工心臓弁200Sを促すように使用することができる。図11Aおよび図11Bに見られるように、人工心臓弁200Sがカテーテル1000Sの遠位端で外に展開されるとき、人工心臓弁200Sは、内側のねじ山339のねじ付きの遠位端1104への結合によって、送達デバイス1100によってなお保持される。人工心臓弁200Sが患者内に適切に配置されると、シャフト1102は、その軸を中心に回転して人工心臓弁200Sの圧着チューブ337Sを、シャフト1102のねじ付きの遠位端1104からねじを抜くことができる。カテーテル1000Sおよびシャフト1102を含む送達デバイス1100は、次いで引っ込めることができる(図11C)。
【0046】
送達デバイス1100に取り付けられた人工心臓弁200Sを維持することによって、操作者は、小葉262の機能を評価して適合した接合および開口を確実にすることができる。操作者は、人工心臓弁200Sが適切に配置されていないと判断される場合、カテーテル1000Sからの完全な展開の後でも再配置のためにカテーテル1000S内で人工心臓弁200Sを後退させることができる。したがって、フィットメントまたは配置が正しくないと思われる場合、人工心臓弁200Sは、可能なら適切な配置が実現されるまで、カテーテル1000S内に取り戻され、再展開され得る。
【0047】
様々な従属項およびその中に記載された特徴は、当初の請求項に示したよりも様々なやり方で組み合わせることができることが理解されよう。例えば、フランジ、フック、またはホタテ貝の縁のような部分の任意の組合せは、人工心臓弁内で混ぜ合わせてもよい。加えて、人工心臓弁は、任意の所望の位置に任意の個数のマーカを備えることができる。加えて、経心尖送達アプローチが説明されているが、本開示は、経中隔送達の使用、ならびに左心室付属器または肺静脈を介しての左心房への直接アクセスまたは左心房の中へのアクセスなどの従来少なかったアプローチも考えていることが理解されよう。デバイスは大腿動脈、大動脈弁、および左心室を通過することによって送達されてもよいことも考えられる。個々の実施形態に関連して説明した特徴のいずれかが記載した実施形態のうち他のものと共有されてもよいことが理解されよう。
【0048】
例えば、フレームは、生来の弁輪内にフレームを固定するための本体部の横断面よりも大きい横断面を有する少なくとも1つのフランジを備えることができる。少なくとも1つのフランジは、人工心臓弁の流入端に隣接していてもよい。少なくとも1つのフランジは、人工心臓弁の流出端に隣接していることもできる。少なくとも1つのフランジは、フレームの本体部に戻るように延びる二次的な曲げを備えることができる。
【0049】
安定化ワイヤは、少なくとも1つのフランジに配設され、心臓組織に係合するように構成することができる。デバイスは、少なくとも1つのフランジを心臓組織に結合するためにダンベル形アンカーをさらに備えることができる。フレームは、人工心臓弁の流出端に隣接してホタテ貝の縁のような部分を備えることができる。フレームは、人工心臓弁の流入端と流出端との間で長手方向に延びることができ、フレームの本体部が、ほぼ円形である縦断面を有する拡張部分を備える。弁は、組織成長を促進するためにフレームに結合された補強材をさらに備えることができる。補強材が、ポリエステルストランドを備えることができる。フレームは、楕円形の横断面図などの非円形の横断面図を有してもよい。
【0050】
心臓弁は、フレーム、ステント、および弁組立体のうち少なくとも1つに配設された少なくとも1つのX線不透過性マーカをさらに備えることができる。人工心臓弁は、生来の僧帽弁を置き換えるように構成することができる。弁組立体は、2つの小葉を含むことができる。フレームは、患者の左心房内にフィットするように構成された半球形のインフロークラウンを備えることができる。
【0051】
上記の方法を利用するとき、フレーム、ステント、および弁組立体は、同時に展開することができる。代替として、フレーム、ステント、および弁組立体は、順次展開されてもよい。フレームは、第1のカテーテルおよびステントを用いて展開することができ、弁組立体は、フレームが展開された後に第2のカテーテルを用いて展開することができる。目標部位は、患者の僧帽弁の弁輪であり得る。
【0052】
本明細書中の本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は本発明の原理および応用を例示するものに過ぎないことを理解されたい。したがって、多数の修正が例示の実施形態になされてもよく、他の構成が、添付の特許請求の範囲によって定められた本発明の要旨および範囲から逸脱することなく案出されてもよいことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C