(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールのそれぞれが、対応するセンサモジュールをオンにするように選択可能な電源ボタンを含み、前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールのそれぞれは、前記対応するセンサモジュールがオンにされた後に前記電源ボタンの選択によってオフにされることができない、請求項1に記載のシステム。
前記ディスプレイモジュールの前記処理回路が、前記患者の骨の解剖学的構造に対する前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの傾斜角度及び前傾角度を決定し、前記傾斜角度及び前記前傾角度を前記ディスプレイに表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記ディスプレイモジュールの前記処理回路が、前記決定された傾斜角度及び前傾角度に基づいた位置において、前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器のグラフィック表現を前記ディスプレイに表示するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
フレーム本体と、複数の接触足と、クレードルとを有するアラインメントフレームを更に備え、前記接触足を前記フレーム本体に対して動かすことが可能であり、前記クレードルが、前記挿入器センサモジュールを受容するようにサイズ決めされる、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を、開示される特定の形態に限定することは本開示の意図するところではなく、その逆に、その意図するところは、本開示並びに添付の「特許請求の範囲」に包含されるすべての改変物、均等物、及び代替物を網羅することにある点は理解されるべきである。
【0019】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施例」などと言う場合、述べられるその実施形態が、特定の要素、構造、又は特徴を含み得るが、すべての実施形態が、その特定の要素、構造、又は特徴を必ずしも含むわけではないことを示す。更に、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。更に、特定の要素、構造、又は特徴がある実施形態に関連して述べられる場合、このような要素、構造、又は特徴を他の実施形態と関連して実施することは、明示されるか否かによらず、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0020】
図面において、一部の構造的又は方法の要素を特定の配置及び/又は順序で示す場合がある。しかしながら、このような特定の配置及び/又は順序は、必要ではない場合もある点は認識されるはずである。むしろ、実施形態によっては、こうした要素は、説明図に示されるものとは異なる形態及び/又は順序で配置されてもよい。更に、特定の図に構造的又は方法の要素が含まれている場合、このような要素がすべての実施形態において必要であることを示唆するものではなく、実施形態によっては含まれずともよく、又は他の要素と組み合わせることが可能である。
【0021】
前、後、内側、外側、上、下など、解剖学的構造の基準を表す用語は、本開示の全体を通じて、本明細書に述べられる整形外科用インプラント及び患者の天然の解剖学的構造の両方について使用され得る。こうした用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野の両方でよく理解された意味を有するものである。本明細書及び「特許請求の範囲」におけるこれらの解剖学的基準用語の使用は、特に断らないかぎり、それらの広く理解された意味に一致するものとする。
【0022】
ここで
図1を参照すると、患者の外科的準備処置が施された寛骨臼内で寛骨臼プロテーゼを整列させるためのシステム100は、基準センサモジュール102、挿入器センサモジュール104、及び小型ディスプレイモジュール106を含んでいる。使用時には、基準センサモジュール102は、取付けブラケット110を用いて患者の骨の解剖学的構造に対して固定され、基準センサモジュール102の向き、したがって、患者の骨の解剖学的構造の向きを3次元で(すなわち、各座標軸x、y、及びzを中心とした回転)示すセンサデータを生成する。同様に、挿入器センサモジュール104は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に取り付けられ、挿入器センサモジュール104の向き、したがって、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130の向きを3次元で示すセンサデータを生成する。センサモジュール102、104のそれぞれは、生成されたセンサデータをディスプレイモジュール106に送信する。ディスプレイモジュール106は、下記により詳細に述べるように、患者の骨の解剖学的構造に対する、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130の遠位端132に固定された寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きを決定する。
【0023】
図2〜4に示されるように、センサモジュール102、104のそれぞれは、ほぼ長方形の形状を有する、対応するハウジング202、204を含んでいる。説明図において、各ハウジング202、204は複数部品からなるハウジングとして実施されている。しかしながら、他の形状及び構成を有するハウジングを他の実施形態で使用することもできる。
【0024】
基準センサモジュール102のハウジング202は、上面210、下面212、前面パネル214、側面216、218、及び後面220を含む。基準センサモジュール102は、前面パネル214に画定された電源ボタン230を更に含む。電源ボタン230は、基準センサモジュール102をオンにするように選択可能である。しかしながら、実施形態によっては、基準センサモジュール102は、センサモジュール102が問題なくオンにされた後、オフにされなくともよい。すなわち、電源ボタン230を再度選択しても基準センサモジュール102はオフにされないということである。その代わり、基準センサモジュール102は、下記により詳細に述べるように、基準センサモジュール102の電源(例えば内部電池)が消耗するまでオンの状態に維持される。いくつかの実施形態では、電源ボタン230は、基準センサモジュール102がオンにされて基準センサモジュール102の電源がオンにされているという視覚的表示が与えられるときに、バックライトで照らされる。
【0025】
図3に示されるように、基準センサモジュール102のハウジング202は、上面210に画定されたキー構造240を更に含んでいる。図に示される実施形態では、キー構造240は、挿入器センサモジュール104の対応したキー構造280に調和されている。下記により詳細に述べられるように、キー構造240、280は、基準センサモジュール102と挿入器センサモジュール104との互いに対する連結を容易にする。キー構造240、280の調和する構成により、センサモジュール102、104は、キー構造240、280が互いに嵌合する、互いに対して1つの向きにおいてのみ互いに連結され得る。図の実施形態では、キー構造240は、上面210から上方に延びる隆起プラットフォーム242として実施されている。隆起プラットフォーム242はほぼ「Y」字状の平面プロファイルを有し、隆起プラットフォーム242の幅が前面パネル214に向かって大きくなり、後面220に向かって狭くなるように構成されている。他の実施形態では、キー構造240、280が嵌合する1つの向きにおいてセンサモジュール102、104の連結を可能とするようなキー構造240の他の構成を用いることもできる点は言うまでもない。例えば、いくつかの実施形態では、キー構造240は、凹部、更なる隆起プラットフォーム、及び/又は他の構造として実施するか、又はこれらを含むことができる。
【0026】
基準センサモジュール102は、
図4に示されるようなマウント244を更に含む。マウント244は、取付けブラケット110への取付けを容易にする。説明図において、マウント244は、取付けタブ246及び複数のアラインメントタブ248を含んでいる。マウント244は、他の実施形態において、基準センサモジュール102の取付けブラケット110への固定を容易にするための他の、又は更なる構造及び/又は要素を有し得る点は言うまでもない。特定の構成によらず、基準センサモジュール102は、マウント244を用いて、取付けブラケット110のセンサマウント台112に取り付けることができる。例えば、図の実施形態において、取付けタブ246はセンサマウント台112の対応する穴に受容され、取付けタブ248がセンサマウント台112の側面に留め付けられることで、基準センサモジュール102を取付けブラケット110に固定する。
図1に示されるように、取付けブラケット110は、センサマウント台112から骨マウント台116に延びる細長いロッド114を更に含んでいる。骨マウント台116は、取付けブラケット110の、患者の骨の解剖学的構造への取付けを容易にするように構成され、取付けブラケット110を患者の骨の解剖学的構造に取り付けるための、骨ねじなどの対応する固定装置120を受容するように構成された1つ又は2つ以上の取付け穴118を含むことができる。
【0027】
挿入器センサモジュール104は、基準センサモジュール102と似ている。挿入器センサモジュール104のハウジング204は、上面250、下面252、前面パネル254、側面256、258、及び後面260を含む。挿入器センサモジュール104は、前面パネル254に画定された電源ボタン270及びアラインメントインジケータ272を更に含む。基準センサモジュール102の電源ボタン230と同様、電源ボタン270は、挿入器センサモジュール104をオンにするために選択可能であるが、その後に挿入器センサモジュール104をオフにするために選択可能とはなっていない。すなわち、基準センサモジュール102に関して上記に述べたように、実施形態によっては、電源ボタン270を再び選択することで挿入器センサモジュール104はオフにされない。その代わり、挿入器センサモジュール104は、下記により詳細に述べるように、基準センサモジュール104の電源(例えば内部電池)が消耗するまでオンの状態に維持される。基準センサモジュール102と同様、挿入器センサモジュール104の電源ボタン270は、挿入器センサモジュール104の電源がオンにされて、挿入器センサモジュール104がオンにされているという視覚的表示が与えられるときに、バックライトで照らされる。
【0028】
下記により詳細に述べるように、アラインメントインジケータ272は、現時点における寛骨臼プロテーゼコンポーネント160のアラインメントが標的アラインメントの基準閾値の範囲内であるか否かについての視覚的フィードバックを整形外科医に与える。図の実施形態では、アラインメントインジケータ272は、第1の閾値アラインメントインジケータ274及び第2の閾値アラインメントインジケータ276を含んでいる。第1の閾値アラインメントインジケータ274は、円形の光源、円形の発光ダイオードの配列、円形の光フィルターなどの円形の視覚的インジケータとして実施されている。第1の閾値アラインメントインジケータ274は、1個の光源、1個の発光ダイオードなどの単一の視覚的インジケータとして実施された、第2の閾値アラインメントインジケータ276の境界を形成している。使用時には、第1の閾値アラインメントインジケータ274は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160のアラインメントが基準アラインメントの第1の閾値の範囲内にあることに反応して点灯され、第2の閾値アラインメントインジケータ276は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160のアラインメントが、第1の閾値よりも小さい基準アラインメントの第2の閾値の範囲内にあることに反応して点灯される。すなわち、第2の閾値アラインメントインジケータ276が点灯される場合、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160のアラインメントは、第1の閾値アラインメントインジケータ274のみが点灯される場合よりも基準アラインメントにより近くなっている。他の実施形態では、アラインメントインジケータ272は、他のインジケータ、又は更なるインジケータを含んでもよいことは言うまでもない。
【0029】
図3に示されるように、挿入器センサモジュール104のハウジング204は、上面250に画定されたキー構造280を更に含んでいる。上記に述べたように、キー構造280は、基準センサモジュール102の対応したキー構造240に調和されている。図の実施形態では、キー構造280は、ハウジング204の上面250に画定された凹部282として実施されている。図において、凹部282は基準センサモジュール102の隆起プラットフォーム242の形状に対応した形状を有しており、これにより隆起プラットフォーム242は、下記に述べられるようにセンサモジュール102、104が互いに連結されるときに、凹部282内に受容され得る。図の実施形態では、凹部282はほぼ「Y」字状の平面プロファイルを有し、凹部282の幅が前面パネル254に向かって大きくなり、後面260に向かってより狭くなるように構成されている。他の実施形態では、キー構造240、280が嵌合する1つの向きにおいてセンサモジュール102、104の連結を可能とするようなキー構造280の他の構成を用いることもできる点は言うまでもない。例えば、いくつかの実施形態では、キー構造240は、隆起プラットフォーム、更なる凹部、及び/又は他の構造として実施するか、又はこれらを含むことができる。
【0030】
基準センサモジュール102と同様、挿入器センサモジュール104も
図4に示されるようなマウント104を含んでいる。マウント290は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130への挿入器センサモジュールの取付けを容易にする。マウント290は基準センサモジュール102のマウント244と似たものであり、取付けタブ292及び複数のアラインメントタブ294を含む。マウント290は、他の実施形態において、挿入器センサモジュール104の寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130への固定を容易にするための他の、又は更なる構造及び/又は要素を有し得る点は言うまでもない。図の実施形態では、センサモジュール104は、カップラ134の使用により、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に取付け可能である。取付けブラケット110と同様、カップラ134は、挿入器センサモジュール104のマウント290を受容するセンサマウント台136を含む。カップラ134は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130のハンドル138に固定可能である。挿入器ロッド140がハンドル138から延びており、挿入時に寛骨臼プロテーゼコンポーネント160が取り付けられる遠位端132を含む。他の実施形態において、異なる構成を有する寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器を使用することもできる点は言うまでもない。更に、他の実施形態では、異なる機構及び構造を使用して、挿入器センサモジュール104を寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に取り付けることもできる。
【0031】
次に
図5を参照すると、センサモジュール102、104のそれぞれは、センサ回路500を含んでいる。図のセンサ回路500は、プロセッサ回路502、メモリ504、向きセンサ506、ディスプレイ508、通信回路510、及び電源回路512を含んでいる。各センサモジュール102、104は、
図5では説明を分かりやすくするために示されていない、検知要素において一般的に見られる更なる要素又は他の要素を含みうることは言うまでもない。
【0032】
プロセッサ回路502は、1つ又は2つ以上のプロセッサ及び関連する要素及び/又は回路として実施することができる。こうしたプロセッサは、本明細書に述べられる機能を実行することが可能な任意の種類のプロセッサとして実施することができる。例えば、プロセッサ回路502のプロセッサは、1つ又は2つ以上のプロセッサコアを有するシングル若しくはマルチコアプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、又は他のプロセッサ若しくは処理/制御回路として実施することができる。同様に、メモリ504は、本明細書に述べられる機能を実行することが可能な任意の種類の揮発性若しくは不揮発性メモリ又はデータストレージとして実施することができる。動作時には、メモリ504は、例えば向きセンサ506によって生成される方向データの一時的格納を含む、センサモジュール102、104の動作時に用いられる様々なデータ及び/又はソフトウェア/ファームウェアを格納することができる。メモリ504、及びセンサ回路500の他の要素は、I/Oサブシステム、制御ハブ/バス、ファームウェアデバイス、通信リンク、並びに/又は入力/出力動作を助けるための他の要素及びサブシステムなどの様々な相互接続要素を介して、プロセッサ回路502及び/又は他の要素に接続することができる。
【0033】
向きセンサ506は、センサモジュール102、104の3次元での向きを示すセンサデータを生成するように構成されている。図の実施形態では、向きセンサ506は、3軸ジャイロスコープ520及び3軸加速度計522として実施されるか又はこれらを含んでいる。3軸ジャイロスコープ520は、対応するセンサモジュール102、104の3つの座標軸を中心とした回転を測定することが可能な任意の種類のジャイロスコープセンサとして実施することができる。例えば、3軸ジャイロスコープ520は、1個の3軸ジャイロスコープ520又は複数の1軸ジャイロスコープとして実施することができる。3軸加速度計522は、センサモジュール102、104の3つの座標軸に沿った加速度を測定することが可能な任意の種類の加速度計として実施することができる。3軸ジャイロスコープ520と同様、3軸加速度計522は、1個の3軸加速度計又は複数の1軸加速度計として実施することができる。3軸加速度計522は、こうした加速度による3軸ジャイロスコープ520の出力のバイアスを補正するために用いられる加速度データを生成する。図の実施形態では、向きセンサ506により生成される向きセンサデータは、四元数測定値として表される。しかしながら、他の実施形態では、向きセンサ506は、他のフォーマットでセンサデータを生成してもよい。
【0034】
ディスプレイ508は、例えば、発光ダイオード、フィラメント光源、及び/又は照明可能な他の装置などの1つ又は2つ以上の照明装置として実施される。ディスプレイ508は、センサモジュール102、104がオンにされるときに、電源ボタン230、270を照明するためにセンサモジュール102、104の電源ボタン230、270の背後に配置されている。挿入器センサモジュール104に関し、ディスプレイ508は、上記に述べたようなアラインメントインジケータ272を更に含む。
【0035】
通信回路510は、センサモジュール102、104とディスプレイモジュール106との通信を可能とするための1つ又は2つ以上のデバイス及び/又は回路として実施することができる。通信回路510は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの短距離無線通信プロトコル又は他の無線通信プロトコルをはじめとする、ディスプレイモジュール106と通信するための任意の適当な無線通信プロトコルを用いるように構成することができる。
【0036】
電源回路512は、センサモジュール102、104の作動を制御する。詳細には、上記に述べたように、電源回路512は、電源ボタン230、270の選択に反応して、センサモジュール102、104の他の要素に電力を供給する。しかしながら、電源ボタン230、270が、センサモジュール102、104をオンにするように選択された後では、電源回路512は、電源ボタン230、270の更なる選択とは無関係に各要素にこうした電力を供給し続ける。すなわち、電源回路512によって、電源回路512の電源(図示せず)が消耗するまで、センサモジュール102、104の各要素に電力が継続的に供給されることになる。このように、電源回路512によって、センサモジュール102、104は、複数の手術において再使用することができない1回使用の装置となる。
【0037】
いくつかの実施形態では、センサ回路500は、更なるセンサ514を更に含んでもよい。更なるセンサ514は、向きセンサ506により生成される向きセンサデータの精度を高めることが可能な任意の数及び種類のセンサを含むことができる。例えば、更なるセンサ514は、いくつかの実施形態では温度センサを含むことができる。このような温度センサのセンサ出力は、温度による、向きセンサ506により生成されたセンサデータのあらゆるバイアスを更に補正するために用いられる。センサ回路500は、他の実施形態において、生成された向きセンサデータの精度を更に高めるための更なるセンサ又は他のセンサを含み得ることは言うまでもない。
【0038】
次に
図6を参照すると、ディスプレイモジュール106は、整形外科医の手に保持され、整形外科手術の施術中に使用されるようにサイズ決めされたハウジング600を含んでいる。このように、ディスプレイモジュール106は、移動可能に構成される。ディスプレイモジュール106は、患者の骨の解剖学的構造に対する、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きの視覚的表示が外科医に対して表示されるディスプレイ602を更に含む。例えば、実際の患者の骨の解剖学的構造に対する寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の現時点の配置を示す、仮想的な患者の骨の解剖学的構造に対して所定の位置にある仮想挿入器を示した視覚的グラフィック650が、ディスプレイ602に表示され得る。これに加えるか、又はこれに代えて、ディスプレイ602は、下記により詳しく述べるように、患者の骨の解剖学的構造に対する寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の傾き及び/又は前傾の測定された程度又は量を示す向きデータ652を含んでもよい。
【0039】
ディスプレイモジュール106は、説明図では、ディスプレイ602の下に配置された複数のユーザ入力ボタン604、606、608を含んでいる。ユーザ入力ボタン604、606、608は、ディスプレイ602に表示される特定のユーザインターフェースに応じてその機能を変更することが可能な「ソフト」ボタンとすることができる。更に、ディスプレイモジュール106は、電源ボタン610を含んでいる。電源ボタン610は、ディスプレイモジュール106がオンにされている場合に視覚的表示を与える電源インジケータ612を含んでもよい。図の実施形態では、電源ボタン610は、入力ボタン604、606、608の列の下に配置されているが、他の実施形態では、ボタン604、606、608は、他の形態及び/又は向きで配置されてもよい。
【0040】
図7に示されるように、ディスプレイモジュール106は、ハウジング600内に配置された制御回路700を含んでいる。制御回路700は、プロセッサ回路702及び記憶装置704を含む。プロセッサ回路702は、本明細書に述べられる機能を実行するように構成可能な任意の種類のプロセッサ及び関連する回路として実施することができる。例えば、プロセッサ回路702のプロセッサは、1つ又は2つ以上のプロセッサコアを有するシングル若しくはマルチコアプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、又は他のプロセッサ若しくは処理/制御回路として実施することができる。同様に、メモリデバイス704は、本明細書に述べられる機能を実行することが可能な任意の種類の揮発性若しくは不揮発性メモリ又はデータストレージとして実施することができる。動作時には、メモリ704は、ディスプレイモジュール106の動作時に用いられる様々なデータ及び/又はソフトウェア/ファームウェアを格納することができる。
【0041】
制御回路700は、外部電源入力回路706、再充電式電池などの再充電式電源708、及び電源回路710を更に含む。外部電源入力回路706は、「壁充電器」のような充電器のプラグを受容するように構成され、電源回路710に通信可能に接続された再充電式電源708に通信可能に接続されている。電源回路710は、プロセッサ回路702及び電源ボタン610に通信可能に接続されている。電源回路710は、電力制御、分配、及びフィルター回路を含んでもよく、再充電式電源708の電力をプロセッサ7回路702、及び制御回路700の他のデバイス又は要素に供給又は分配するように構成されている。
【0042】
制御回路700は、ディスプレイ602を駆動及び/又は制御するためのディスプレイ回路712を更に含む。ディスプレイ回路712は、プロセッサ回路702及びディスプレイ602の機能を制御するために、これらに通信可能に接続されている。
【0043】
上記に述べたように、ディスプレイモジュール106は、センサモジュール102、104のそれぞれからセンサデータを受信するように構成されている。このため、制御回路700は、通信回路720及びアンテナ722を含む。通信回路720は、プロセッサ回路702及びアンテナ722に通信可能に接続されている。通信回路720は、これに限定されるものではないが、例えばBluetooth(登録商標)プロトコルなどの短距離無線プロトコルを含む、センサモジュール102、104と通信するための任意の種類の無線通信プロトコル、規格、又は技術を用いるように構成することができる。下記により詳細に述べられるように、ディスプレイモジュール106は、センサモジュール102、104のそれぞれからの向きセンサデータを受信する以外に、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の現時点の向きが患者の骨の解剖学的構造に対する基準閾値アラインメントの範囲内にあることが決定されることに反応して、アラインメントインジケータ272を作動させるために、通信回路720を用いて挿入器センサモジュール104と通信するように構成することもできる。
【0044】
制御回路700は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)インターフェース730を更に含む。USBインターフェース730は、プロセッサ回路702に通信可能に接続されている。USBインターフェース730は、向きデータなどのデータを、ディスプレイモジュール106からコンピュータなどの別のデバイスにダウンロードするために使用することができる。更に、USBインターフェース730は、制御回路700のソフトウェア又はファームウェアを更新するために使用することもできる。
【0045】
次に
図8A〜8Bを参照すると、使用時には、システム100を用いて、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160を患者の外科的準備処置が施された寛骨臼内において整列させるための方法800を実施することができる。本方法は、整形外科医が手術部位を露出させるブロック802で開始する。次に、ブロック804において、基準センサモジュール102及び挿入器センサモジュール104が初期化される。例えば、
図9に示されるように、方法900を用いてセンサモジュール102、104を初期化することができる。方法900は、センサモジュール102、104のそれぞれがディスプレイモジュール106と組み合わされるブロック902で開始する。例えば、センサモジュール102、104とディスプレイモジュール106との間で通信を行うために用いられる通信プロトコルの種類に応じて、任意の適当な種類の組み合わせ法を用いて、一対のセンサモジュール102、104とディスプレイモジュール106とを組み合わせることができる。
【0046】
ブロック904において、センサモジュール102、104が確認される。例えば、図の実施形態では、各センサモジュール102、104は、識別データ(例えばシリアル番号、MACアドレス、グローバル一意識別子など)をディスプレイモジュール106に送信するように構成されている。これに反応して、ディスプレイモジュール106は、整形外科医又は他の医療従事者が現在のセンサモジュールが使用されていることを確認できるように(例えば、表示された識別データを、センサモジュール102、104のハウジング202、204に、又は付属のパッケージング内などにラベル表示された識別データと比較することにより)、受信した識別データを表示する。
【0047】
ブロック904においてセンサモジュール102、104が確認された後、センサモジュール102、104は、ブロック906において、向きセンサ506のすべてのバイアスオフセットを補償するために初期化することができる。例えば、実施形態によっては、ブロック908において、各センサモジュール102、104を、互いに対する既知の固定位置に配置する(例えば平らな表面上で固定位置に置く)ことができる。図の実施形態では、基準センサモジュール102と挿入器センサモジュール104とは、ブロック910において、センサモジュール104、106を初期化するために、キー構造240、280を使用して固定位置で互いに連結される。例えば、
図12及び13に示されるように、センサモジュール102、104は、基準センサモジュール102のキー構造240を挿入器センサモジュール104のキー構造280と嵌合させることにより、互いに連結することができる。例えば、図の実施形態では、基準センサモジュール102の隆起プラットフォーム242が、挿入器センサモジュール104の対応する凹部282内に受容される。このように連結されるとき、
図13に示されるように、基準センサモジュール102の上面210が挿入器センサモジュール104の上面250と当接する。
【0048】
いくつかの実施形態では、センサモジュール102、104は、一定時間の間、又はディスプレイモジュール106が、センサモジュール102、104が適切に初期化されたことを示すまで、こうした嵌合形態に互いに連結することができる。他の実施形態では、センサモジュール102、104は、センサモジュール102、104が互いに連結されるまで、最初はオンにされない。例えば、ブロック906は、方法900のブロック902、904よりも前に実行されてもよい。
【0049】
再び
図8A〜8Bの方法800を参照すると、センサモジュール102、104がブロック804において初期化された後、基準センサモジュール102は、ブロック806において患者の骨の解剖学的構造に固定される。これを行うためには、上記に述べられ、
図14及び15に示されるように、基準センサモジュール102を、センサモジュール102のハウジング202のマウント244を介して取付けブラケット110のセンサマウント台112に取り付けることができる。次いで取付けブラケット110を、固定装置120を用いて、骨マウント台116を介して患者の骨の解剖学的構造に固定することができる。図の実施形態では、
図15に示されるように、基準センサモジュール102は、整形外科手術の近くで患者の骨の解剖学的構造に固定されている。例えば、取付けブラケット110は、
図15に示されるように患者の寛骨臼1500の近くに固定することができる。
【0050】
再び
図8A〜8Bの方法800を参照すると、ブロック806において基準センサモジュール102が患者の骨の解剖学的構造に固定された後、挿入器センサモジュール104が患者の骨の解剖学的構造の座標系に位置合わせされる。
図16に示されるように、挿入器センサモジュール104は、センサ座標系1600を含んでいる。挿入器センサモジュール104によって生成される向きセンサデータは、センサ座標系1600を基準としたものである。しかしながら、
図17に示されるように、患者の骨の解剖学的構造は、センサ座標系1600とは整列していない別の座標系1700を有している。これにより、挿入器センサモジュール104は、挿入器センサモジュール104によって生成された向きセンサデータが患者座標系1700に変換され、患者の骨の解剖学的構造に対する寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きが決定されて、整形外科医に対して表示されるように、患者座標系1700に対して位置合わせされる。
図16、17に示される座標系1600、1700は、システム100において用いられる例示的な座標系である。しかしながら、他の実施形態では、他の座標系(例えば異なる軸を有する座標系)を用いることができる点は認識されるはずである。
【0051】
図10を参照すると、挿入器センサモジュール104を患者座標系と位置合わせするための方法1000が示されている。方法1000は、挿入器センサモジュール104が寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に固定されるブロック1002で開始する。上記に述べたように、挿入器センサモジュール104は、カップラ134を用いて寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に固定することができる。例えば、挿入器センサモジュール104のマウント290を、カップラ134のセンサマウント台136に取り付けることができる。次に、カップラ134を挿入器ハンドル138に取り付けることができる。しかしながら、上記に述べたように、他の実施形態では、他の機構及び構造を使用して、挿入器センサモジュール104を寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130に取り付けることもできる。
【0052】
ブロック1004において、挿入器センサモジュール104が取り付けられた寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130が、患者の脊柱と整列される。これを行うには、
図18に示されるように、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130を、患者の脊椎により規定される軸とほぼ同一直線上となるように挿入器130を配置することによって、患者の脊椎と整列させることができる。このように整列された後、センサモジュール104は、ブロック1006において、アラインメントセンサデータ(すなわち現時点における向きセンサデータ)をディスプレイモジュール106に送信する。次に、ブロック1008において、挿入器センサモジュール104が取り付けられた寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130が、患者の上前腸骨棘(ASIS)軸と整列される。これを行うには、
図19に示されるように、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130を、患者の上前腸骨棘標認点1802、1804により規定される患者の解剖学的軸1800と整列させることができる。このように整列された後、センサモジュール104は、ブロック1010において、アラインメントセンサデータ(すなわち現時点における向きセンサデータ)をディスプレイモジュール106に送信する。
【0053】
他の実施形態では、挿入器センサモジュール104は、1工程の位置合わせプロセス(ブロック1004及び1008の二重のアラインメントではなく)を用いて、患者座標系と位置合わせすることができる。これを行うには、
図26に示されるようなアラインメントフレーム2600を使用することができる。アラインメントフレーム2600は、患者のASIS点と接触するように構成された一対のASIS接触足2604、2606を有するフレーム本体2602を含む。特定の実施形態では、接触足2604、2606は、異なるサイズの患者にアラインメントフレーム2600を使用することができるように、フレーム本体2602に対して動かすことができるようになっている。アラインメントフレーム2600は、フレーム本体2602から遠位方向に延びるとともにフレーム本体2602に対して動かすことができる恥骨結合部アーム2608を更に含む。恥骨結合部アーム2608は、患者の恥骨結合部と接触するように構成された接触脚2610を含む。接触足2604、2606と同様、接触脚2610は、異なるサイズの患者に適合し、アラインメントフレーム2600を患者により簡単に連結できるように、恥骨結合部アーム2608に加えて、動かすことができるようになっている。アラインメントフレーム2600は、挿入器センサモジュール104を受容するように構成されたクレードル2612を更に含む。これにより、挿入器センサモジュール104を患者座標系と位置合わせするには、接触足2604、2606が患者のASIS点上に置かれ、接触足2610が患者の恥骨結合部上に置かれるか又はそこに接触するように、アラインメントフレーム2600を患者に連結するか又は患者の上に置くことができる。このように配置された後、挿入器センサモジュール104をクレードル2612内に配置して、患者座標系と位置合わせすることができる。ブロック1006、1010と同様、挿入器センサモジュール104は、挿入器センサモジュール104を患者座標系に位置合わせするためにアラインメントフレーム2600に固定された状態で、アラインメントセンサデータ(すなわち、現時点における向きセンサデータ)をディスプレイモジュール106に送信する。
【0054】
再び
図10を参照すると、ブロック1006、1010において挿入器センサモジュール104からアラインメントセンサデータを受信した後、ディスプレイモジュール106は、ブロック1012において座標系変換係数を決定する。座標系変換係数は、挿入器センサモジュール104から受信した向きセンサデータを、センサ座標系1600から患者座標系1700に変換するために使用することができる。座標系変換係数は、このような機能を実行するために使用可能な任意のデータとして実施することができる。例えば、センサモジュール102、104が四元数のフォーマットでセンサデータを生成する図の実施形態では、ディスプレイモジュール106は、座標系変換係数を決定して、向きセンサデータを、センサ座標系1600から患者座標系1700に変換するための
図11A〜11Bに示されるような方法1100を実行することができる。方法1100は、ブロック1006、1100において受信されたアラインメント方向データ(四元数フォーマットで受信される)が回転行列に変換されるブロック1102で開始する。方向データの四元数フォーマットは、一般的に以下の形である。Q=qw+i
*qx+j
*qy+k
*qz(式中、Qは、ベクトル[Qx,Qy,Qz]を中心とした角度2
*cos
−1(Qw)の回転を示す)。
【0055】
この四元数フォーマットを回転行列に変換するため、ディスプレイモジュール106は、
図20に示されるような回転行列方程式2000を利用する。次に、ブロック1104において、ブロック1102で生成された回転行列に、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130のアラインメント軸(すなわち、患者の脊椎軸及びASIS軸)が乗じられる。これを行うため、ディスプレイモジュール106は、
図21に示されるような脊椎軸ベクトル方程式2100及びASISベクトル方程式2102を利用することができる。第3の軸は、ブロック1106において、脊椎軸及びASIS軸と互いに直交するものとして求められる。ディスプレイモジュール106は、
図21に示されるベクトル方程式2104を利用して互いに直交する第3の軸を求めることができる。次に、ブロック1108において、ディスプレイモジュール106は、
図22に示されるベクトル方程式2200を用いて、脊椎軸、及びブロック1106において計算された第3の軸に互いに直交するものとしてASISベクトルを更新する。いくつかの実施形態では、更新されたASIS軸ベクトルがその前のASIS軸ベクトルと基準閾値量だけ異なっている場合、ディスプレイモジュール106は、整形外科医に、挿入器センサモジュール104を患者座標系1700に対して再び位置合わせする選択肢を与えることができる。
【0056】
ブロック1110において、基準センサモジュール102のセンサ座標系から患者座標系1700に変換するための回転行列が求められる。これを行うため、ディスプレイモジュール106は、
図23に示されるような回転方程式2300を利用する。ブロック1112において、次にディスプレイモジュールは、
図24に示されるような四元数方程式2400を用いて、ブロック1110において求められた回転行列を四元数座標系変換係数に変換する。次に、整形外科手術の施術中、及び下記により詳細に述べるように、挿入器センサモジュール104から受信された向きデータ(Q2)が、ブロック1114において、
図25に示される四元数変換方程式を用いてセンサ座標系1600から患者座標系1700に変換され得る。言うまでもなく、他の実施形態では、向きセンサ506、及び/又はこうしたセンサ506によって生成される向きデータの種類に基づいて、他の座標系変換係数を計算するか又は決定することが可能である点は認識されるはずである。
【0057】
再び
図8A〜8Bの方法800を参照すると、ブロック808において、挿入器センサモジュール104が患者座標系と位置合わせされた後、整形外科医は、ブロック810において、行うべき整形外科手術の種類を選択することができる。これを行うため、ディスプレイモジュール106のディスプレイ602に、異なる手術の選択肢が整形外科医に対して表示され得る。整形外科医は、表示された選択肢から適当な手術の種類を選択するか、又はディスプレイモジュール106に入力を与えることによって、望ましい手術の種類又は特徴を選択又は定義することができる。例えば、ブロック812において、外科医は、患者の骨の解剖学的構造に対する寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の目標とする向きを整形外科医が選択するか又は与える、目標とする外科的アプローチを選択することができる。これを行うため、整形外科医は、ブロック812において、例えば、所望の傾斜角度及び/又は所望の前傾角度を入力することができる。また、ブロック814において、整形外科医は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器130を用いて所望の最終的な向きで、患者の寛骨臼内に寛骨臼プロテーゼコンポーネント160を手動で配置することもできる。そのように配置された後、ディスプレイモジュール106は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160が所望の位置に置かれた状態で、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きデータ(例えば傾斜角度及び前傾角度)を捕捉することができる。このような方向データは、整形外科手術中に寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の目標とする向きとして後で用いることができる。他の実施形態では、整形外科医は、整形外科手術の前に、目標とする向きが予め設定されてもいなければ与えられてもいないブロック816において、カスタム手術方法を選択することができる。むしろ、外科医は、整形外科手術中にディスプレイモジュール106によって表示される向きデータを、適正な向き(すなわち、適正な傾斜角度及び前傾角度)を選択する際にフィードバックとして利用することができる。
【0058】
ブロック810において手術方法が選択又は決定された後、方法800は、整形外科医がシステム100を用いて整形外科手術を行うブロック818に進む。整形外科手術の施術中、ディスプレイモジュール106は、ブロック820において、基準センサモジュール102及び挿入器センサモジュール104のそれぞれから向きセンサデータを受信する。ブロック822において、ディスプレイモジュール106は、挿入器センサモジュール104から受信した向きセンサデータを、方法1100に関して上記に述べた座標系変換係数を用いてセンサ座標系1600から患者座標系1700に変換する。これにより、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きを、挿入器センサモジュール104から受信した向きセンサデータの変換に基づいて、患者座標系1700に対して決定することができる。
【0059】
ブロック824において、ディスプレイモジュール106は、患者の骨の解剖学的構造に対する寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の向きの印をディスプレイ602に表示する。上記に述べたように、印は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の決定された向き、並びに/又は相対傾斜角度及び/若しくは前傾角度などの向きの数値を与える文字向きデータ652に基づいて、患者の仮想的な骨の解剖学的構造に対して位置決めされた仮想挿入器のグラフィック650として実施することができる。
【0060】
ブロック826において、ディスプレイモジュール106は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の決定された向きが、目標とする向き(ブロック810で定義された目標とする向き)の基準閾値の範囲内にあるか否かを決定する。基準値の閾値内にある場合、方法800は、ディスプレイモジュール106が挿入器センサモジュールと通信してアラインメントインジケータ272を作動させるブロック828に進む。上記に述べたように、実施形態によっては、アラインメントインジケータは、第1の閾値アラインメントインジケータ274及び第2の閾値アラインメントインジケータ276を含んでもよい。このような実施形態では、ディスプレイモジュール106は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の決定された向き及び目標とする向きに基づいてどちらのインジケータ272を点灯させるか(すなわち、どちらの定義された閾値量が満たされたか)を決定して、挿入器センサモジュールと通信して、対応するアラインメントインジケータ272を作動させる。第1の閾値アラインメントインジケータ274及び第2の閾値アラインメントインジケータ276に対応するアラインメント閾値は、任意の種類の閾値(例えば、比率(%)又は未処理量)として定義することができ、整形外科医、患者の解剖学的構造、整形外科手術によって、又は他の基準に基づいて決定することができる。これとは関係なく、ブロック828においてアラインメントインジケータが作動された後、方法800はブロック830に進む。
【0061】
ブロック826において、ディスプレイモジュール106がその代わりに、寛骨臼プロテーゼコンポーネント160の決定された向きが、目標とする向き(例えばブロック810において定義された目標とする向き)の基準閾値の外側にあると決定した場合、又は、ディスプレイモジュール106が、目標とする向きの基準閾値が設定されていないと決定した場合には、方法800はブロック830に進む。ブロック830において、整形外科手術が完了したか否かが決定される。完了していない場合、方法800はブロック818に戻り、整形外科医は整形外科手術を継続して行う。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 患者の外科的準備処置が施された寛骨臼内で寛骨臼プロテーゼコンポーネントを整列させるためのシステムであって、
前記患者の骨の解剖学的構造に固定可能な基準センサモジュールであって、(i)3次元での前記患者の骨の解剖学的構造の向きを示す第1のセンサデータを生成するように構成された第1の向きセンサと、(ii)前記第1のセンサデータを送信するための第1の通信回路と、を含む、基準センサモジュールと、
寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器に固定可能な挿入器センサモジュールであって、(i)3次元での前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器の向きを示す第2のセンサデータを生成するように構成された第2の向きセンサと、(ii)前記第1のセンサデータを送信するための第2の通信回路と、(iii)アラインメントインジケータと、を含む、挿入器センサモジュールと、
前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールとは別のディスプレイモジュールであって、(i)ディスプレイと、(ii)前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータを受信するように構成された第3の通信回路と、(iii)前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータに基づいて、前記患者の骨の解剖学的構造に対する、前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器に連結された寛骨臼プロテーゼコンポーネントの向きを決定し、前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの前記決定された向きの印を前記ディスプレイに表示し、前記決定された向きが、基準となる向きの閾値量の範囲内にあることに反応して、前記挿入器センサモジュールと通信して前記アラインメントインジケータを作動させるための処理回路と、を含む、ディスプレイモジュールと、を備える、システム。
(2) 前記第1の向きセンサが、第1の3軸ジャイロスコープ及び第1の3軸加速度計を有し、
前記第2の向きセンサが、第2の3軸ジャイロスコープ及び第2の3軸加速度計を有する、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールのそれぞれが、対応するセンサモジュールをオンにするように選択可能な電源ボタンを含み、前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールのそれぞれは、前記対応するセンサモジュールがオンにされた後に前記電源ボタンの選択によってオフにされることができない、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記アラインメントインジケータが、第1のアラインメントインジケータ及び第2のアラインメントインジケータを含み、
前記ディスプレイモジュールの前記処理回路は、(i)前記決定された向きが、前記基準となる向きの第1の閾値量の範囲内にあることに反応して、前記挿入器センサモジュールと通信して前記第1のアラインメントインジケータを作動させ、かつ、(ii)前記決定された向きが、前記第1の閾値量よりも小さい、前記基準となる向きの第2の閾値量の範囲内にあることに反応して、前記挿入器センサモジュールと通信して前記第2のアラインメントインジケータを作動させるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記第2のアラインメントインジケータは、前記第1のアラインメントインジケータによって境界が形成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0063】
(6) 前記ディスプレイモジュールの前記処理回路が、前記患者の骨の解剖学的構造に対する前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの傾斜角度及び前傾角度を決定し、前記傾斜角度及び前記前傾角度を前記ディスプレイに表示するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記ディスプレイモジュールの前記処理回路が、前記決定された傾斜角度及び前傾角度に基づいた位置において、前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器のグラフィック表現を前記ディスプレイに表示するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記ディスプレイモジュールの前記処理回路が、前記第1のセンサデータを前記挿入器センサモジュールの座標系から前記患者の骨の解剖学的構造の患者座標系に変換するための座標系変換係数を決定するとともに、前記座標系変換係数を用いて、前記患者の骨の解剖学的構造に対する前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器の向きを決定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記基準センサモジュールが第1のキー構造を有するハウジングを含み、前記挿入器センサモジュールが第2のキー構造を有するハウジングを含み、
前記第1のキー構造と前記第2のキー構造とが嵌合する1つの向きで前記基準センサモジュールと前記挿入器センサモジュールとを互いに連結することができるように、前記第1のキー構造と前記第2のキー構造とが互いに調和している(keyed to each other)、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記第1のキー構造が前記基準センサモジュールの前記ハウジングの上面から上方に延びる隆起プラットフォームを有し、前記第2のキー構造が前記挿入器センサモジュールの前記ハウジングの上面に画定された凹部を有し、前記基準センサモジュールと前記挿入器センサモジュールとが前記1つの向きで互いに連結されるときに、前記隆起プラットフォームが前記凹部内に受容される、実施態様9に記載のシステム。
【0064】
(11) フレーム本体と、複数の接触足と、クレードルとを有するアラインメントフレームを更に備え、前記接触足を前記フレーム本体に対して動かすことが可能であり、前記クレードルが、前記挿入器センサモジュールを受容するようにサイズ決めされる、実施態様1に記載のシステム。
(12) 患者の外科的準備処置が施された寛骨臼内で寛骨臼プロテーゼコンポーネントを整列させるための方法であって、
基準センサモジュールを前記患者の骨の解剖学的構造に固定することと、
挿入器センサモジュールを寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器に固定することと、
前記基準センサモジュールにより、3次元での前記患者の骨の解剖学的構造の向きを示す第1のセンサデータを生成することと、
前記挿入器センサモジュールにより、3次元での前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器の向きを示す第2のセンサデータを生成することと、
ディスプレイモジュールにより、前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータを受信することと、
前記ディスプレイモジュールにより、前記第1のセンサデータ及び前記第2のセンサデータに基づいて、前記患者の骨の解剖学的構造に対する、前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器に連結された寛骨臼プロテーゼコンポーネントの向きを決定することと、
前記ディスプレイモジュールに、前記ディスプレイモジュールのディスプレイに前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの前記決定された向きの印を表示することと、
前記決定された向きが、基準とする向きの閾値量の範囲内にあることに反応して、前記ディスプレイモジュールからの制御信号を前記挿入器センサモジュールに送信することによって前記挿入器センサモジュールのアラインメントインジケータを作動させることと、を含む、方法。
(13) 前記基準センサモジュールを前記患者の骨の解剖学的構造に固定することが、
前記基準センサモジュールを取付フレームに取り付けることと、
前記取付フレームを前記患者の骨の解剖学的構造に固定することと、を含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記対応する生成されたセンサデータのバイアスオフセットを補償するために、前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールを初期化することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールを初期化することが、前記基準センサモジュールのハウジングのキー機構を、前記挿入器センサモジュールのハウジングの対応するキー機構と嵌合することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0065】
(16) 前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールを初期化することが、前記基準センサモジュール及び前記挿入器センサモジュールのそれぞれからの識別データを前記ディスプレイモジュールに送信し、前記識別データを前記ディスプレイモジュールの前記ディスプレイに表示することを含む、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記挿入器センサモジュールを前記患者の骨の解剖学的構造の患者座標系と位置合わせすることを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記挿入器センサモジュールを前記患者座標系と位置合わせすることが、
前記挿入器センサモジュールを前記患者の脊椎と整列させることと、
前記挿入器センサモジュールを、前記患者の骨の解剖学的構造の上前腸骨棘点によって規定される前記患者の解剖学的軸と整列させることと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記挿入器センサモジュールにより、前記患者の前記脊椎と整列された状態における前記挿入器センサモジュールの現時点の向きを示す第1のアラインメントデータを生成することと、
前記挿入器センサモジュールにより、前記患者の前記解剖学的軸と整列された状態における前記挿入器センサモジュールの現時点の向きを示す第2のアラインメントデータを生成することと、
前記挿入器センサモジュールにより生成されたセンサデータを前記挿入器センサモジュールの座標系から前記患者の骨の解剖学的構造の患者座標系に変換するための座標系変換係数を、前記第1及び第2のアラインメントデータに基づいて生成することと、を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの向きを決定することが、前記第1のセンサデータ及び前記座標系変換係数に基づいて、前記患者の骨の解剖学的構造に対する前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの向きを決定することを含む、実施態様19に記載の方法。
【0066】
(21) 前記挿入器センサモジュールを前記患者座標系と位置合わせすることが、
アラインメントフレームの第1の接触足が前記患者の第1の上前腸骨棘点と向かい合い、前記アラインメントフレームの第2の接触足が前記患者の第2の上前腸骨棘点と向かい合い、前記アラインメントフレームの第3の接触足が前記患者の恥骨結合部と向かい合うような位置において、前記患者に前記アラインメントフレームを配置することと、
前記挿入器モジュールを前記アラインメントフレームに連結することと、を含む、実施態様17に記載の方法。
(22) 前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの向きを決定することが、前記患者の骨の解剖学的構造に対する前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの傾斜角度及び前傾角度を決定することを含み、
前記寛骨臼プロテーゼコンポーネントの前記決定された向きの印を表示することが、前記傾斜角度及び前記前傾角度を前記ディスプレイモジュールの前記ディスプレイに表示することを含む、実施態様12に記載の方法。
(23) 患者の外科的準備処置が施された寛骨臼内で寛骨臼プロテーゼコンポーネントを整列させるためのシステムであって、
前記患者の骨の解剖学的構造に固定可能な基準センサモジュールであって、(i)第1のキー構造を有するハウジングと、(ii)前記ハウジング内に配置され、3次元での前記患者の骨の解剖学的構造の向きを示す第1のセンサデータを生成するように構成された第1の向きセンサと、(iii)前記第1のセンサデータを送信するための第1の通信回路と、を含む、基準センサモジュールと、
寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器に固定可能な挿入器センサモジュールであって、(i)第2のキー構造を有するハウジングと、(ii)3次元での前記寛骨臼プロテーゼコンポーネント挿入器の向きを示す第2のセンサデータを生成するように構成された第2の向きセンサと、(ii)前記第1のセンサデータを送信するための第2の通信回路と、(iii)アラインメントインジケータを有するハウジングと、を含む、挿入器センサモジュールと、を備え、
前記第1のキー構造と前記第2のキー構造とが嵌合する1つの向きで前記基準センサモジュールと前記挿入器センサモジュールとを互いに連結することができるように、前記第1のキー構造と前記第2のキー構造とが互いに調和している、システム。
(24) 前記第1のキー構造が前記基準センサモジュールの前記ハウジングの上面から上方に延びる隆起プラットフォームを有し、前記第2のキー構造が前記挿入器センサモジュールの前記ハウジングの上面に画定された凹部を有し、前記基準センサモジュールと前記挿入器センサモジュールとが前記1つの向きで互いに連結されるときに、前記隆起プラットフォームが前記凹部内に受容される、実施態様23に記載のシステム。