(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359637
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】サブクール極低温液体を少なくとも1つの機械加工ステーションに供給するための方法及び設備
(51)【国際特許分類】
F17C 7/02 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
F17C7/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-508210(P2016-508210)
(86)(22)【出願日】2014年4月10日
(65)【公表番号】特表2016-519263(P2016-519263A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】FR2014050862
(87)【国際公開番号】WO2014170583
(87)【国際公開日】20141023
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】1353518
(32)【優先日】2013年4月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】コワレウスキー、ピエール
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
カナダ国特許出願公開第02128187(CA,A1)
【文献】
特開2005−271201(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/030006(WO,A1)
【文献】
特開昭56−164299(JP,A)
【文献】
特開平03−138018(JP,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02599119(FR,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0071171(US,A1)
【文献】
特開2012−220072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B23Q 11/00−13/00
F17D 1/00− 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵タンク(10)からサブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給する方法であって、
該貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温液体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容し、
前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適している、方法において、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬される少なくとも1つの熱交換器が提供され、
− 前記少なくとも1つの浴槽のレベルが、予め定められたレベルに制御され(3、4)、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体は、それが前記機械加工ステーションに到達する前に前記少なくとも1つの熱交換器を通過するようになされ、
− 浸漬された前記少なくとも1つの熱交換器から来る前記極低温液体の圧力が、対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整される(1、6、12、13、61、62...)ことを特徴とする方法。
【請求項2】
貯蔵タンク(10)を備え、サブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するための設備において、
前記貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温液体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容するものであり、
前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適しているものであり、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬された少なくとも1つの熱交換器と、
− 予め定められた高さに前記少なくとも1つの浴槽のレベルを制御するための手段(3、4)と、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体を、それが前記機械加工ステーションに到達する前に、前記少なくとも1つの熱交換器を通過させるのに適したパイプ系と、
− 浸漬された前記少なくとも1つの熱交換器から来る前記極低温液体の圧力を、それに対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整するための手段(1、6、11、12、61、62...)と、を備えることを特徴とする設備。
【請求項3】
前記各熱交換器の中への液体の入口の上流に位置し、前記貯蔵タンク(10)と流体連通している弁(1、11、12、)を備え、
浸漬された前記少なくとも1つの熱交換器から来る前記極低温液体の圧力を、対応する前記機械加工ステーションに前記極低温液体が到達する前に調整するための前記手段は、問題になっている前記熱交換器に関連した各交換器の出口と前記機械加工ステーション(P、P1、P2..)との間に配置された専用圧力プローブ(6、61、62...)を備え、このことが、問題になっている前記熱交換器の中への液体の前記入口の上流に位置する前記弁(1、11、12、)へ前記専用圧力プローブが測定する情報を提供することを可能にするものである、ことを特徴とする、請求項2に記載の設備。
【請求項4】
1つ又は複数の冷却ラインを備え、
ある冷却ラインは、浴槽と熱交換器とからなる前記設備の組立体の各々に専用であり、
各冷却ラインは、冷却ラインの上流部にてそれに関連した前記浴槽の前記熱交換器からの出口パイプに接続されると共に、冷却ラインの下流部にて前記貯蔵タンク(10)からの極低温液体を問題になっている前記浴槽に供給するためのパイプに接続されるか、又は問題になっている前記浴槽を収容する容器の上側に直接に接続され、
各冷却ラインは、温度プローブと、内部を循環する流れを調整するための弁(2)とを備える、ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の設備。
【請求項5】
弁(1、11、12、13)と問題になっている前記弁に関連した前記熱交換器の中への液体の前記入口との間のライン部分の1つに又は全部若しくはいくつかに排水管(30)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温液体、特にサブクール極低温液体をユーザステーションに供給するための方法に関し、大変詳細には、本発明は、機械加工(マシニング、カッティングなど)動作を実行するサプライステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
(切断用工具、切断ゾーンなどを冷却するために)冷却流体の助けを借りて、特に液体窒素などの液体冷却剤の助けを借りて、そのような機械加工ツールに供給することに関して大変広範囲にわたる従来技術が存在する。そのような場合における冷却剤は、そのゾーンを冷却するためにのみ使用されるのではなく、切断用工具を「潤滑する」効果のためにも使用される。
極低温流体は、大気圧にて0℃よりはるかに下の温度で液体である流体であると一般的に理解されている。
【0003】
そのような極低温液体(例えば、液体窒素)は、従来、この流体を消費する装備に接続された極低温流体タンクからそのタイプに関係なく消費装備に供給され、前記タンクは、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、タンクの底にて液相で及びタンクの上部にて気相で極低温流体を収容し、このタンクは、一方で、タンクの底から回収される液体を消費装備に供給し、他方で、流体が外側から提供されるのに適している。
【0004】
「低圧貯蔵タンク」と呼ばれるタンク、すなわちタンクの上部で実現されるその最大圧力は、一般に絶対圧4バール未満くらいであり、意図される用途によって、最大15バールまでの中圧と呼ばれる貯蔵所、又はさらに最大30バールまでの高圧と呼ばれる貯蔵所も見られるタンクの使用が当業界において最もよくなされる。
【0005】
タンクの貯蔵圧は大気圧よりも高いので、タンクを消費装備(例えば、機械加工ツール)に接続するためのダクトに配置された弁の開放によって、強制的なエントレインメント(引き込み)手段無しで、及びライン(弁、屈曲部など)にわたっての圧力低下に関わらず、液体の汲み上げ点から液体の使用点へ液体を変位させる。
タンク内の液体の高さ(レベル)に関係なく極低温液体のエントレインメントが常に有効であることを確実にするために、タンクの上部における気体の圧力は、従来、この圧力が例えば2から4バール程度の一定の予め定められた値に実質的に等しいままであるように調整される。
【0006】
しかしながら、タンクの底の液体の圧力は、タンクの内側の液体の高さの関数として変化し、その結果、液体の高さが低下するにつれて、回収された液体の圧力は低下し、上部における気体の圧力に近づく傾向がある。例えば、窒素の場合には、約10メートルの液体高さは、タンクの上部における気体圧力と(汲み上げ点の高さである)タンクの底における液体圧力との間で0.6バール程度の圧力差を伴う。
汲み上げ点における液体のこの圧力変化は、必然的に回収された液体の流れの変化になり、下流に位置する消費装備についての動作の外乱がもたらされる。同様の影響は、流体をタンクに再供給するときに生じる。
【0007】
利用可能なフリゴリの観点におけるより良い「冷却剤の品質」のよく知られた理由については、文献と冷却剤を使用するこれらの産業とは、純粋な又は実質的に純粋な液体を又はサブクール液体、すなわち減圧されそれがより高い圧力にあったときよりも低い温度にある液体をこれらのユーザステーションに供給する手段に関心がある。
【0008】
実際は、機械加工の例を考慮すると、機械加工ゾーンにおけるスプレー圧力が高くなるほど、熱交換率は良くなる。しかしながら、冷却剤、例えば液体窒素がスプレーされるとき、それは、スプレーノズルの出口でその膨張により気体を生成する。発生させられる気体の量は、液体窒素の温度とノズルの上流の液体窒素の圧力とに正比例する。したがって、サブクール液体を提供するように努力することへの関心が理解される。
【0009】
ある研究は、タンクを消費装備に接続するライン内で相分離(脱ガス処理)手段を使用することを推奨しており、例えば、EP−2347855の文献の参照がなされ得る。
【0010】
他の解決策は、2つのタンクを結合することが提案されており、充填及び減圧後に交互にそれらを使用する。この解決策の欠点は、明らかに、もたらされる大変優れた取扱いと、2つのタンクの可動化とである。
【0011】
別の解決策は、使用の点のすぐ上流に熱交換器(例えば、平板熱交換器)を挿入することであり、交換器(主回路)のチャネルのうちの1つの中で循環しているものは、(典型的には、3バールと−185℃に近い温度とで始まる)サブクールされる液体窒素であり、交換器の別のチャネルの中で循環しているものは、典型的には1バールに近い圧力と−196℃に近い低温とにおいて減圧された窒素である。主回路の窒素をサブクールすることを可能にさせるのは、同時に又は向流的に(countercurrently)、これらの2つのチャネルの間の交換である。しかし、ここで、温度の制御は、管理し安定化すること、特に、下流の消費装備が断続的に動作するときに再加熱相及び再冷却相などを経験するように交換器に強いることが困難である。
【0012】
実施形態の1つによれば、このタンクの動作状態(下流のユーザ設備の消費フェーズ、待機フェーズ、又は極低温液体をタンクに供給するフェーズ)に応じてタンクの上部における気体の圧力の変化を推奨すると共に、待機期間中にタンクの通気を適切に推奨する、出願人名義の文献WO2004/005791も参考にされ得る。言い換えると、タンクが回収動作を受けず、かなりの期間、例えば数時間(例えば、一晩中)の間、推測的でないとき、制御ユニットは、タンクの上側部分の通気弁を開くのを制御する。次いで、タンクの上部における気体圧力は、貯蔵値から大気圧に実質的に等しい値(数100グラムの残留圧力)へ移る。したがって、このやり方で窒素の貯蔵圧を下げることによって、後者のエンタルピーの変化は、増加する傾向となり、これによってそれが圧力下にあったときよりも低い温度の流体を有することになる。このようにして、タンクを使用しないこれらの期間中に貯蔵された流体は、したがって、標準的な温度よりも低い温度を有し、利用可能なフリゴリの観点でより良い冷却剤の品質を保証する。そして、実際には、例えばそれ自体の大気再熱器又は他の再熱器を用いることによる急速な再加圧は、不安定な(サブクール)液体を使用することを可能にする。
【0013】
それでも、この解決策は、欠点がないわけではなく、この通気は、必然的に、損失をもたらし、さらに、この方法のパラドックスが、窒素を使用可能にするために、熱の中に入れるために再加圧することが必要であることにある。この解決策の実験は、4から9%の貯蔵容量の蒸発を特に示した。この蒸発は利用されないので、コストがユーザサイト(user site)に直接影響を及ぼす。要するに、この通気の解決策の2つの主要な欠点が、そこから以下のように推定される。
1)再加圧に利用できない窒素の使用
2)減圧のために貯蔵所の中に熱い気体を入れることと、熱の逃げ道を生成すること
媒体又は高圧冷却剤の貯蔵所からユーザステーション、例えば、機械加工ステーションに直接供給することも考えられるが、そこではスプレーノズルの出口に大量の気体の生成が観察され、この気体は熱交換を減少させる。
低圧貯蔵所からポンプを介して機械に供給することも最終的に考えられ得るが、そのようなポンプの取扱いに関連した困難が知られており、異なる圧力及び低い流量で同じサイトのいくつかの機械加工ステーションに供給することの不可能性がこれに加わる。
【0014】
出願人によって成功裏に完了された研究が、そのような機械加工用途の場合、例えば食品産業などの他の産業では満足のゆくものであり得るこれらの従来の解決策は、ここでは完全に満足がゆくものとは限らず、特に、媒体又は高圧の貯蔵所から(例えば15バールから30バールの間の)異なる圧力でサブクール液体をいくつかの機械加工ステーションに供給すること、例えば、15バールの上流貯蔵所から−196℃にて異なる圧力でサブクール液体窒素をいくつかの機械加工ステーションに供給することを、可能にしないことを示した。
【発明の概要】
【0015】
この文脈の中で、本発明の目的の1つは、従来技術の欠点を避け、特に、同時にいくつかの機械加工ステーションに供給するために圧力を制御することを可能にする純粋な極低温液体又はサブクール極低温液体を機械加工タイプのユーザサイトに供給するための新規な方法を提供することである。
【0016】
このために、そこで本発明は、貯蔵タンク(10)からサブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給する方法であって、該貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温液体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容し、前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適している、方法において、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬される少なくとも1つの熱交換器が提供され、
− 前記少なくとも1つの浴槽のレベルが、予め定められたレベルに制御され(3、4)、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体は、それが前記機械加工ステーションに到達する前に前記少なくとも1つの熱交換器を通過するようになされ、
− 前記少なくとも1つの浸漬された熱交換器から来る前記極低温液体の圧力は、対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整される(1、6、12、13、61、62...)ことを特徴とする方法、に関する。
【0017】
本発明は、貯蔵タンク(10)を備え、サブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するための設備において、前記貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温流体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容するものであり、前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適しているものであり、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬される少なくとも1つの熱交換器と、
− 予め定められた高さに前記少なくとも1つの浴槽のレベルを制御するための手段(3、4)と、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体を、それが前記機械加工ステーションに到達する前に、前記少なくとも1つの熱交換器を通過させるのに適したパイプ系と、
− 前記少なくとも1つの浸漬された熱交換器から来る前記極低温液体の圧力を、それに対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整するための手段(1、6、11、12、61、62...)とを備えることを特徴とする設備、にも関する。
【0018】
本発明の実施形態の1つによれば、設備は、各前記交換器の中への液体の入口の上流に位置する弁を備え、各弁は、前記タンクと流体連通している、前記又は各浸漬された交換器から来る極低温液体の圧力を、それに対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整するための前記手段は、問題になっている交換器の中への液体の入口の上流に位置する前記弁へそれが測定する情報を提供することを可能にするために、問題になっている交換器に関連した各交換器の出口と前記機械加工ステーションとの間に配置された専用圧力プローブを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態の1つによれば、設備は、1つ又は複数の冷却ラインを備え、ある冷却ラインは、浴槽と交換器とからなる設備の前記組立体の各々に専用である、各冷却ラインは、冷却ラインの上流部にてそれに関連した浴槽の交換器からの出口パイプに接続されると共に、冷却ラインの下流部にて前記タンクからの極低温液体を問題になっている浴槽に供給するためのパイプに接続される、あるいは問題になっている浴槽を収容する容器の上側に直接に接続される、各冷却ラインは、温度プローブと、内部を循環する流れを調整するための弁とを備える、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の有利な一実施形態によれば、交換器の中への冷却剤の入口用の弁と交換器との間のラインの部分に、又は問題になっている交換器の中への冷却剤の入口用の弁とこの交換器との間のライン部分の全部若しくはいくつかに排水管の使用がなされる。
この使用は、実際に、以下の理由のために、すなわち、一方で交換器のサイズを減少させることができるということと、他方で熱交換器を最適化することとに特に関連して、極めて有利であることを実証している。
【0021】
− 極低温流体の膨張中、それは、その平衡温度(液体/蒸気曲線)に関連して気体を自然に生成する。一例示として、加圧された液体窒素が膨張されるとき、例えば15バールから7バールの膨張によって、それは、大量の容量の気体を生成し、30質量%の気体が存在し、容量で10倍より多い気体、すなわち、液体0.7m
3ごとに気体7.5m
3を生成する。再凝縮されるこの気体の容量をなくす又は減少させることによって、配管の直径及び長さは最適化される。
− また、2相の内容を減少させる利点は、熱効率の観点でさらにすでに上述されている。
【0022】
したがって、そのような排水管は、再凝縮される気体容量をなくすことを可能にする。
さらに、液体冷却剤、例えば液体窒素の消費は、排水管があってもなくても同じであることに留意されたい。これは、液体の浴槽が空気中に開放されているからであり、非凝縮部分は、全消費の余剰でない。
他の特徴及び利点は、特に添付図面を参照する場合に本発明の例示的実施形態についての以下の説明から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】単一の機械加工ステーションに供給する本発明の実施形態の1つを示す図。
【
図2】同時にいくつかの機械加工ステーションに供給する本発明の一実施形態を示す図。
【
図3】(浴槽20に浸漬された弁と交換器との間の)調整弁1の下流の排水管を使用する本発明の一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次いで、以下の要素が、
図1において認識される。
− 本明細書に表わされた実施形態は、液体窒素貯蔵タンク10から液体窒素を単一の機械加工ステーションPに供給するために使用される。
− タンク10は、15バールの貯蔵圧の下で、タンクの底にて液相で及びタンクの上部にて気相で極低温流体を収容し、このタンクは、必要なパイプが装着及び装備され、タンク10の底から回収された液体を前記ステーション(P)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適していることが当業者によく知られている。
【0025】
− 熱交換器が浸漬される前記極低温液体(ここでは液体窒素)の浴槽20。
− ここでは弁3と高さ検出器4とからなる予め定められた高さに浴槽の高さを制御するための手段。検出器4を介しての高さの測定は、場合に応じて、この提供を止める、又はこの提供を続ける、さもなければこの提供を開始するために、浴槽の中への冷却剤の入口のための弁3の関係付けに戻ることを可能にすることが図を研究することで理解され、したがって、この態様は、ずっと休止され続けることはない。
【0026】
− 圧力プローブ6が、それが浸漬された交換器の中への液体の入口の上流に位置する弁1を測定する情報をここで提供することができる特定の場合に、前記機械加工ステーションPに極低温液体が到達する前に、浸漬された交換器から来る極低温液体の圧力を調整するための手段の存在が、下流でステーションPに到達する圧力を所望の圧力に調整することを可能にし、したがって、この圧力は知られており、安定であり、他の手段を必要とせず、特にポンプを必要としない。
【0027】
− 設備の冷却又は通常動作のためにラインの存在は、この
図1にやはり示されており、弁5は閉じられており、浴槽20が必要とされる液体のレベルにもたらされると(弁3、プローブ4)、液体は、弁1を介して交換器の中に入れられ、次いで、ライン6/2へ、そして後でサブクーラータンクへ戻る。
【0028】
有利には、弁2の開放は、時間遅延され得、交換器の出口と弁5との間の温度読みと、冷却の供給と、弁5まで交換器を備えたパイプの一部の冷たさの維持と、ユーザステーションで冷却剤がほとんど即時に利用できることとに関連している。
【0029】
この後、
図2より、設備の構成がはっきりと理解され、この図は、いくつかの機械加工ステーションP1、P2、P3....を必要であれば同時に供給する本発明の一実施形態を示しており、各ステーションは、差圧で供給されなければならない。
図1のもののタイプの3つの組立体は、3つの平行ラインにより貯蔵所10から供給され、供給弁1
1、1
2、1
3を通過させることによって熱交換器が浸漬されている3つの浴槽(20/21/22)に供給し、各浴槽は、浴槽の高さを制御するためのそのシステムが装備されており、各組立体は、弁5
1、5
2、5
3に到達する圧力を調整するためのそのシステムと、弁5
1、5
2、5
3までの浸漬される部分の急速冷却のためのラインとが装備されることを
図2で認識されよう。
【0030】
図3は、したがって、(弁と浴槽20との間の)調整弁1の下流に排水管を使用する本発明の一実施形態を示す。
図3は、
図1を繰り返しており、排水管30は、弁1と浴槽20との間に配置されている。
【0031】
もちろん、そのような排水管は、
図2のものなどのマルチライン設備の複数のラインのうちの全部又はいくつかに、したがって、ライン部分11−20、12−21、13−22などの全部又はいくつかに、すなわち、問題になっているラインの問題になっている交換器の中への冷却剤の入口用の弁とこの交換器との間のライン部分に存在し得る。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 貯蔵タンク(10)からサブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給する方法であって、
該貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温液体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容し、
前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適している、方法において、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬される少なくとも1つの熱交換器が提供され、
− 前記少なくとも1つの浴槽のレベルが、予め定められたレベルに制御され(3、4)、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体は、それが前記機械加工ステーションに到達する前に前記少なくとも1つの熱交換器を通過するようになされ、
− 前記少なくとも1つの浸漬された熱交換器から来る前記極低温液体の圧力は、対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整される(1、6、12、13、61、62...)ことを特徴とする方法。
[2] 貯蔵タンク(10)を備え、サブクール極低温液体を、マシニング動作を実行する少なくとも1つの機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するための設備において、
前記貯蔵タンク(10)は、大気圧よりも高い貯蔵圧の下で、前記貯蔵タンク(10)の底に液相で前記極低温流体を収容し、前記貯蔵タンク(10)の上部に気相で前記極低温流体を収容するものであり、
前記貯蔵タンク(10)は、その底から回収された液体を前記機械加工ステーション(P、P1、P2...)に供給するのに適していると共に、流体が外側から提供されるのにも適しているものであり、
− 前記極低温液体の少なくとも1つの浴槽(20)に浸漬される少なくとも1つの熱交換器と、
− 予め定められた高さに前記少なくとも1つの浴槽のレベルを制御するための手段(3、4)と、
− 前記貯蔵タンク(10)に由来する前記極低温液体を、それが前記機械加工ステーションに到達する前に、前記少なくとも1つの熱交換器を通過させるのに適したパイプ系と、
− 前記少なくとも1つの浸漬された熱交換器から来る前記極低温液体の圧力を、それに対応する前記機械加工ステーションにそれが到達する前に調整するための手段(1、6、11、12、61、62...)と
を備えることを特徴とする設備。
[3] 前記各熱交換器の中への液体の入口の上流に位置し、前記貯蔵タンク(10)と流体連通している弁(1、11、12、)を備え、
前記少なくとも1つの浸漬された熱交換器から来る前記極低温液体の圧力を、対応する前記機械加工ステーションに前記極低温液体が到達する前に調整するための前記手段は、問題になっている前記熱交換器に関連した各交換器の出口と前記機械加工ステーション(P、P1、P2..)との間に配置された専用圧力プローブ(6、61、62...)を備え、このことが、問題になっている前記熱交換器の中への液体の前記入口の上流に位置する前記弁(1、11、12、)へ前記専用圧力プローブが測定する情報を提供することを可能にするものである、ことを特徴とする、[2]に記載の設備。
[4] 1つ又は複数の冷却ラインを備え、
ある冷却ラインは、浴槽と熱交換器とからなる前記設備の組立体の各々に専用であり、
各冷却ラインは、冷却ラインの上流部にてそれに関連した前記浴槽の前記熱交換器からの出口パイプに接続されると共に、冷却ラインの下流部にて前記貯蔵タンク(10)からの極低温液体を問題になっている前記浴槽に供給するためのパイプに接続されるか、又は問題になっている前記浴槽を収容する容器の上側に直接に接続され、
各冷却ラインは、温度プローブと、内部を循環する流れを調整するための弁(2)とを備える、ことを特徴とする、[2]又は[3]に記載の設備。
[5] 弁(1、11、12、13)と問題になっている前記弁に関連した前記熱交換器の中への液体の前記入口との間のライン部分の1つに又は全部若しくはいくつかに排水管(30)を備えることを特徴とする、[3]に記載の設備。