(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の血管閉塞コイル送達アセンブリにおいて、前記管状部材が軸方向の管腔を規定しており、さらに、前記管状部材の軸方向の管腔内に配置された支持コイルを具え、当該支持コイルが第1と第2の支持コイルの巻きつけ部を有して、当該第1および第2の支持コイルの巻きつけ部が間に支持コイルの開口部を規定しており、前記ロックピンが、さらに前記支持コイルの開口部を貫通していることを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
請求項1に記載の血管閉塞コイル送達アセンブリにおいて、前記ロックピンが、前記血管閉塞コイルの開口部の外側に横方向に延在する外部を有しており、当該外部が、前記血管閉塞コイルの開口部を通り過ぎるのを防ぐような大きさと形状であることを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
請求項1に記載の血管閉塞コイル送達アセンブリにおいて、前記第1および第2の血管閉塞コイルの巻きつけ部が第1の一対の巻きつけ部であり、前記血管閉塞コイルの開口部が第1の血管閉塞コイルの開口部であり、前記ロックピンが第1のロックピンである前記血管閉塞コイルアセンブリが、さらに:
第2の一対の血管閉塞コイルの巻きつけ部により規定された、第2の血管閉塞コイルの開口部と;
前記第2の血管閉塞コイルの開口部と、前記血管閉塞コイルの軸方向の管腔内に配置された管状部材壁の遠位端部とを貫通しており、これにより前記管状部材を前記血管閉塞コイルにさらに固定する第2のロックピンと;
を具えることを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
請求項5に記載の血管閉塞コイル送達アセンブリが、さらに、前記血管閉塞コイルの外面に近接して配置されたロックピンコネクタを具え、前記第1および第2のロックピンの各々が、前記第1および第2の血管閉塞コイルの開口部の各外側に横方向に延在する外部を有しており、前記ロックピンコネクタが、前記第1および第2のロックピンの各外部に取り付けられており、本システムがさらに、前記第1および第2のロックピンと、前記ロックピンコネクタとを前記血管閉塞コイルに固定する接着剤を具える、ことを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
請求項1に記載の前記血管閉塞コイル送達アセンブリにおいて、前記管状部材の前記切り離しゾーンが、前記管状部材の前記近位端部から熱により分断されるように構成されていることを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
請求項1に記載の前記血管閉塞コイル送達アセンブリにおいて、前記管状部材の前記切り離しゾーンは、前記管状部材の前記近位端部から電気的に分断されるように構成されていることを特徴とする血管閉塞コイル送達アセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に定義する用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の部分で異なる定義がなされない限り、これらの定義が適用される。
【0025】
本明細書のすべての数値は、明示されているか否かに関わらず、「約」が修飾されるものとみなす。用語「約」は、概して、記載値と等しいと考えられる範囲の数値(すなわち同じ機能または結果を有するもの)を指している。多くの場合、「約」という用語は、四捨五入した最も近い有効数字を含む。
【0026】
端点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数字を含む(例えば、1から5の範囲は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
【0027】
本明細書および添付した特許請求の範囲で用いられているように、単数形(「a」「an」「the」)は、文脈が明確に指示していない限り、複数形も含んでいる。本明細書および添付した特許請求の範囲で用いられているように、「または」という用語は、文脈が明確に指示していない限り、概して「および/または」という意味を含んで使用されている。
【0028】
本発明の様々な実施例を、以下に図面を参照して説明する。図面は縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の構成要素には、図面を通して同じ参照番号が付されていることに留意されたい。図面は、ただ実施例の説明を容易にすることを意図したものであることにも留意されたい。図面は、特許請求の範囲またはその均等範囲によってのみ定義される本発明の網羅的な説明を意図したものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施例による血管閉塞器具送達システム10を示す。
図1に示すシステム10では、血管閉塞器具は血管閉塞コイル300である。システム10は、多くのサブコンポーネントまたはサブシステムを有する。これには、送達カテーテル100、押出アセンブリ200、血管閉塞コイル300、および電源400が含まれる。送達カテーテル100は、近位端102と、遠位端104と、この近位端102と遠位端104の間に延在する管腔106とを有する。送達カテーテル100の管腔106は、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との軸方向の移動を収容できるような大きさである。さらに、管腔106は、送達カテーテル100を、しかるべき送達部位に適切に案内するのに選択的に用いられるガイドワイヤ(図示せず)が通過できる大きさである。
【0030】
送達カテーテル100は、ポリマーコーティングで覆われたまたは囲まれたステンレス鋼フラットワイヤの、編組シャフト構造を含むことができる。非限定的な例として、HYDROLENE(登録商標)は、送達カテーテル100の外部をカバーするのに用いることができるポリマーコーティングである。当然であるが、システム10は送達カテーテル100の特定の構造や種類に限定されず、他の構造を送達カテーテル100に使用することができる。内側管腔106をPTFEなどの潤滑コーティングでコーティングして、送達カテーテル100と、管腔106内で軸方向に移動する押出アセンブリ200および血管閉塞コイル300とのそれぞれの間の摩擦力を軽減できる点で有利である。送達カテーテル100は、放射線不透性物質で形成された1以上の選択的な管状マーカー108を含むことができ、これを撮像技術(例えば透視撮影)を用いて患者の血管系内での送達カテーテル100の位置を特定するのに使用することができる。送達カテーテル100の長さは、特定の適用に応じて変えることができるが、概して150cm程度の長さである。当然であるが、その他の長さの送達カテーテル100を、本書に記載するシステム10に用いることができる。
【0031】
送達カテーテル100は、
図1に示すような直線の遠位端104を有することができる。代替的に、遠位端104を、特定の形状または方向に予め成形してもよい。例えば、遠位端104は、「C」字形、「S」字形、「J」字形、45°の屈曲、90°の屈曲に成形することができる。管腔106の大きさは、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300のそれぞれの大きさに応じて変えることができるが、概して送達カテーテル100の管腔106の外径(送達カテーテル100の内径)は、約0.02インチ未満である。送達カテーテル100はマイクロカテーテルである。
図1には示していないが、送達カテーテル100を個別のガイドカテーテル(図示せず)とともに用いて、送達カテーテル100を患者の血管内の適切な位置に案内するように補助してもよい。
【0032】
図1および3に示すように、システム10は、送達カテーテル100の管腔106内での軸方向の移動のために構成された押出アセンブリ200を有する。押出アセンブリ200は、概して近位端202と遠位端204を有する。押出アセンブリ200は押出導管214を具え、これは近位の管状部分206遠位のコイル部分208とを有しており、押出管腔212と、この押出管腔212と連通する遠位の開口とを規定している。
【0033】
図3は、本発明の一実施例による、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250の詳細な長手方向の断面図である。上述のように、この実施例における
図1と同様の要素を、同じ参照番号で特定している。押出アセンブリ200は、近位端202と遠位端204とを有しており、長さが約184cmから約186cmの間である。近位の管状部分206は、例えばフレキシブルなステンレス鋼ハイポチューブから形成することができる。近位の管状部分206をステンレス鋼ハイポチューブから形成して、0.1325インチの外径(OD)と、0.0075インチの内径(ID)にすることができる。ハイポチューブ区画の長さは、約140cmから約150cmの間にすることができるが、その他の長さを用いてもよい。
【0034】
遠位のコイル部分208は、近位の管状部分206の遠位端面に、端部と端部で接合されている。この接合は、溶接またはその他の結合を用いて達成することができる。遠位のコイル部分208は、約39cmから約41cmの長さとすることができる。遠位のコイル部分208は、0.0025インチ×0.006インチのコイルを具えることができる。この最初の寸法は、概して、コイルを形成するコイルワイヤの外径を指している。二番目の寸法は、概して、コイルワイヤを周りに巻きつけて複数のコイル巻きつけ部を形成するのに使用する内側マンドレルを指しており、コイルの公称内径である。遠位のコイル部分208の1以上の巻きつけ部を、マーカーコイルを形成する放射線不透性物質から形成することができる。例えば、遠位のコイル部分208は、(例えば3cmの長さの)ステンレス鋼コイルの区画と、これに続くプラチナコイルの区画(放射線不透性で長さが3mmである)と、これに続く(例えば37cmの長さの)ステンレス鋼コイルの区画と、などを具えることができる。
【0035】
外側スリーブ232またはジャケットが、押出導管214の近位の管状部分206の一部と、遠位のコイル部分208の一部を覆っている。
図3に示す外側スリーブ232は押出アセンブリ200の遠位末端まで延びていないが、他の実施例では、外側スリーブ232が遠位末端まで、およびこれを遠位に超えて延びることができる。外側スリーブ232は、近位の管状部分206と遠位のコイル部分208との間の接点または接合部をカバーしている。外側スリーブ232の長さは、約50cmから約54cmとすることができる。外側スリーブ232は、ポリエーテルブロックアミドプラスチック材料(例えばPEBAX7233ラミネーション)から形成することができる。外側スリーブ232は、PEBAXおよびHYDROLENE(登録商標)のラミネーションを有して、これを押出アセンブリ200に加熱積層することができる。外側スリーブ232の外径は、0.02インチ未満、有利には0.015インチ未満とすることができる。押出導管214が負性導体222を形成する実施例では、製造時に、外側スリーブ232が押出導管214の遠位端から除去されて、露出した負性電気接点224を形成する。
【0036】
図3に示すように、システム10は、血管閉塞コイル300を押出アセンブリ200に分離可能に連結する(すなわち取り外し可能に取り付ける)管状部材238を有する。管状部材238は、両方とも密封された近位端240および遠位端242と、これらの間の管腔246とを有する。管状部材238は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリカプロラクトンなどの、低い融解点を有する生体適合性の熱分解性ポリマーから作成することができる。
【0037】
管状部材238の近位端240は、押出管腔212の遠位端に配置されている。管状部材238の開いた近位端240は、近位のシール230により押出アセンブリ200に取り付けられており、これが管状部材238の近位端240を効果的に閉じている。近位のシール230は、押出管腔212内の押出導管214の内面にも取り付けられている。正と負の導体220と222が、近位のシール230を貫通しているが、近位のシール230は、この近位シール230の近位と遠位の領域の間でほぼ流体密なシールを維持している。管状部材238の遠位端242は、血管閉塞コイルの管腔306の近位端で、遠位のシール228により血管閉塞コイル300に取り付けられている。近位と遠位のシール230と228は、接着剤から形成することができる。
【0038】
システム10は、さらに、近位と遠位のシール230と228の間の管腔246内に配置された熱生成部材210を具える。管状部材238は、管状部材238の外部環境を、熱生成部材210により生成された熱から隔離する。
図3に示す実施例では、熱生成部材210は、押出アセンブリ200の遠位端204内に配置された抵抗性加熱コイル210である。その他の実施例では、熱生成部材210は、機械式、誘導式、磁気式、または光学式の機構を有してもよい。
【0039】
抵抗性加熱コイル210は、押出管腔212内に配置された正と負の導体220と222に連結されている。抵抗性加熱コイル210は、プラチナまたはNichrome(登録商標)(ニッケルクロム合金)のワイヤを巻きつけて、電流が電源400から正と負の導体220と222によって抵抗性加熱コイル210に流れたときに、電流に対する抵抗が抵抗性加熱コイル210に熱を発生させるようにすることができる。加熱コイル210は、カーボン繊維で巻きつけることもできる。抵抗性加熱コイル210は、遠位部分が近位部分よりも少ないピッチを有する(単位長さあたりにより多くの巻きつけを有する)可変ピッチを具えてもよい。可変ピッチを有する加熱コイル210は、不均一に熱を分散して、遠位により多くの熱をもたらし、管状部材238の溶融または熱分解を加速させる。
【0040】
正と負の導体220と222は、ポリイミドでコーティングされた撚銅線などの導電性材料で形成して、外径を約0.00175インチとすることができる。正と負の導体220と222の近位端は、正と負の電気接点216と224にそれぞれ接続している。
図1に示すように、正と負の電気接点216と224は、押出アセンブリ200の近位端に配置されている。正の電気接点216を金属はんだ(例えば金)で形成して、これを電源400内の対応する電気接点(図示せず)と接するように構成することができる(下記に説明する)。負の電気接点224を、押出導管214の近位端で、電気絶縁性の外側スリーブ232の上に配置された環状のリング電極とすることができる(下記に説明する)。正と負の導体220と222は、正と負の電気接点216と224にそれぞれ接する場所以外では、ポリイミドなどの絶縁性コーティングでコーティングすることができる。
【0041】
加熱コイル210が管状部材238に近接していることと、管状部材238の融点が低いことにより、電流が正と負の導体220と222により加熱コイル210に流れたときに、加熱コイル210に発生した熱が管状部材238を融解または熱分解して、これにより血管閉塞コイル300を押出アセンブリ200から切り離す。この発生した熱による切り離しは、
図3に示すように、加熱コイル210が管状部材238と接している場合に特に効果的である。
【0042】
さらに、管状部材238と近位および遠位のシール230と228は、管腔246内にほぼ流体密な室を形成する。抵抗性加熱コイル210を上記のように作動させると、流体密室の温度と圧力が上昇し、管状部材の分裂/切断を促進する。この圧力の上昇は、切り離した血管閉塞コイル300を、正の推進力で押出アセンブリ200から押し出す。この圧力作動の切り離しは、2014年3月12日に出願された共有に係る米国特許出願番号第14/206,244号に説明されている。
【0043】
選択的に、管状部材238における近位端240と遠位端242の間の切り離しゾーン244を、管状部材238の切断を促進するように処理してもよい。いくつかの実施例では、切り離しゾーン244は張力を受けている。その他の実施例では、切り離しゾーン244を、熱または機械で処理して(例えば穿孔して)切り離しを促進することもできる。
【0044】
血管閉塞コイル300は、近位端302と、遠位端304と、これらの間に延在する管腔306とを有する。血管閉塞コイル300は、プラチナまたはプラチナ合金(例えばプラチナ−タングステン合金)などの生体適合性金属から作成される。血管閉塞コイル300は、複数のコイル巻きつけ部308を有する。コイル巻きつけ部308は、概して、血管閉塞コイル300の管腔306に沿った中央軸の周りに螺旋状である。
【0045】
図1および3に示す血管閉塞コイル300は、ほぼ閉じたピッチの構成である。しかしながら、血管閉塞コイル300の末端の近位端302は、開いたピッチの巻きつけ部318を有しており、その間に空間320がある。開いたピッチの巻きつけ部318は、閉塞コイル管腔306内に延びる管状部材238の遠位端242に重なっている。
図3に示すように、ロックピン322は、開いたピッチの巻きつけ部318の間の空間320を貫通しており、管状部材238の遠位端242を貫いている。ロックピン322は、開いたピッチの巻きつけ部318と管状部材238の遠位端242との締まりばめによって、所定の位置に保持されている。
図3に示す実施例では、ロックピンは、遠位のシール228を形成する接着剤によっても所定の位置に保持されている。その結果、ロックピン322は、管状部材238の遠位端242と押出アセンブリ200の遠位端204とを、血管閉塞コイル300に機械的に固定している。縫合糸(suture)のような引張抵抗部材324を、血管閉塞コイル300の遠位端304に固定して、近位端302まで管腔306を貫通させて、ここでロックピン322に固定することができる。
図3に示す実施例では、引張抵抗部材324は、ロックピン322に巻いてある。
【0046】
血管閉塞コイル300は、血管閉塞コイル300が送達カテーテル100の中に位置する時は、概して(
図1に示すように)直線状の構成である。解放すると、血管閉塞コイル300は、概して、三次元の螺旋状の構成を含む二次的な形状となる。
図2は、自然な状態の血管閉塞コイル300の一つの例示的な構成を示している。自然な状態では、血管閉塞コイル300は、例えば
図1に示す直線状の構成から二次的な形状に変形する。この二次的な形状は、様々な二次元および三次元の形状を含む。
図2は、血管閉塞コイル300の二次的形状のほんの一例である。また、血管閉塞コイル300は、当分野で周知のように、血管閉塞コイル300の全体または一部に合成繊維(図示せず)を組み込むこともできる。この繊維をコイル巻きつけ部308に直接取り付けることもでき、またはこの繊維を織るまたは編み込む構成によって血管閉塞コイル300に組み込むこともできる。当然であるが、本明細書で説明するシステム10は、閉塞コイル300、または様々な構成を有する他の閉塞構造とともに使用することができ、特定のサイズまたは構成の閉塞コイル300に限定されるわけではない。
【0047】
図1に示すように、システム10は、さらに電源400を具えて、正と負の導体220と222に直流電流を供給する。電源400を起動させると、正と負の導体220および222と、抵抗性加熱コイル210とを有する回路に電流が流れる。電源400は、電池(例えば一対の単4電池)などの基板上のエネルギー源を、駆動回路402とともに有することが好ましい。駆動回路402は、駆動電流を出力するように構成された1以上のマイクロコントローラまたはプロセッサを有することもできる。
図1に示す電源400は、送達ワイヤアセンブリ200の近位端202を受けて係合するように構成されたレセプタクル404を有する。近位端202をレセプタクル404内に挿入すると、送達ワイヤアセンブリ200に設置された正と負の電気接点216と224が、これに対応する電源400に配置された接点(図示せず)と電気接続する。
【0048】
視覚インジケータ406(例えばLED光)は、送達ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源400に適切に挿入されていることを示すのに用いる。別の視覚インジケータ410は、基板上のエネルギー源を充電したり交換する必要がある場合に作動する。電源400は、起動トリガまたはボタン408を具えており、これをユーザが押し込んで、電流を正と負の導体220と222を介して抵抗性加熱コイル210に流す。起動トリガ408を起動させると、駆動回路402が自動的に電流を供給する。駆動回路402は、典型例では、例えば50−500mAくらいのほぼ一定の電流を流すことで作動する。視覚インジケータ412は、電源400が抵抗性加熱コイル210に適切に電流を供給していることを示すことができる。
【0049】
使用時に、血管閉塞コイル300は、押出アセンブリ200に接合部250で取り付けられている。取り付けた血管閉塞コイル300と押出アセンブリ200は、送達カテーテル100を通って患者の血管内の目標部位(例えば動脈瘤)まで通される。血管閉塞コイル300の遠位端304が目標部位に達すると、血管閉塞コイル300は、送達カテーテル100の遠位端104を完全に出るまでさらに遠位に押し込まれる。
【0050】
血管閉塞コイル300を押出アセンブリ200から切り離すために、トリガ408を押し込んで電源400を起動させる。電源400内の駆動回路402は、電流を、正と負の電気接点216と224を通して正と負の導体220と222に流す。流した電流が抵抗性加熱コイル210を通ると、抵抗性加熱コイル210は熱を生成する。発生した熱が管状部材238の温度を、管状部材238が構造的一体性を失って分断し始めるその融点まで上昇させ、血管閉塞コイル300を押出アセンブリ200から解放する。電源400を起動させた後で、典型例では1秒未満で血管閉塞コイル300が切り離される。
【0051】
さらに、加熱コイル210により発生した熱は、ほぼ流体密な室の温度と空気圧を上昇させて、管状部材の切断を促進し、押出アセンブリ200から血管閉塞コイル300を解放する。そのうえ、血管閉塞コイル300は、圧力の上昇により押出アセンブリ200から排出される。血管閉塞コイル300を押出アセンブリ200から分断するプラスの推進力は、分断を確実にして、「粘着性のコイル(sticky coils)」となることを防止する。
【0052】
図4は、
図3に示す血管閉塞器具送達システム10における、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250の詳細図である。
図4に示す一対のロックピン322の各々は、伸長部326と拡大端部328とを有する。ロックピン322が、開いた巻きつけ部318の間の空間320と、管状部材238の遠位端242とを通して挿入されると、拡大端部328は、ロックピン322が血管閉塞コイル300を完全に通り抜けてしまうのを防止する。さらに、引張抵抗部材324の近位端が、最も遠位のロックピン322の伸長部326に巻かれている。
図4に示すように、ロックピン322は、管状部材238を血管閉塞コイル300に、引張抵抗部材324を血管閉塞コイル300と管状部材238に、機械的に固定している。
【0053】
この設計は、特に、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250の引張強度を増加させる。いくつかの実施例では、この引張強度は約0.3ポンド(lbs)である。この設計は、また、血管閉塞器具送達システム10の製造を容易にする。
【0054】
図5から11に示す血管閉塞器具送達システム10は、
図3と4に示すシステム10と類似している。この実施例の類似する構成要素は、
図3と4について上記で説明したものと同じ参照番号で識別される。
【0055】
図5は、
図4に示す接合部250と類似した、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250を示す。
図4に示す接合部250のように、一対のロックピン322が、開いた巻きつけ部318の間の空間320と管状部材238の遠位端242とを貫通しており、これにより管状部材238と押出アセンブリ200とを、血管閉塞コイル300に機械的に固定している。その一方で、
図5に示す血管閉塞器具送達システム10は、管状部材238の管腔246内に配置された支持コイル218を具えている。支持コイル218は、ロックピン322を中に挿入することができる大きさの開いた巻きつけ部を有する。管状部材238は、(例えば熱により)支持コイル218の周りで収縮しており、これにより、支持コイル218を管状部材238内に機械的に固定している。ロックピン322を管状部材238を通して挿入すると、ロックピンは、管状部材238の遠位端242に配置されている支持コイル218の開いた巻きつけ部を通って挿入されることにもなる。この手法で、支持コイル218は、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250をさらに強化する。そのうえ、管状部材238の末端の遠位端は、(例えば熱により)引張抵抗部材324の近位端の周りで収縮しており、これにより引張抵抗部材324を管状部材238に固定している。
【0056】
図6は、
図4に示す接合部250と類似した、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の別の接合部250を示す。各々が拡大端部328を有する一対のロックピン322を用いるのではなく、
図6に示す血管閉塞器具送達システム10は、連結部330で連結している2つの伸長部326を有する「U」字形のロックピン322を具える。連結部330は、血管閉塞コイル300の外側にあり、
図4に示す拡大端部328と同じ機能、すなわちロックピン322が血管閉塞コイル300を完全に通り抜けるのを防ぐ機能を果たす。「U」字形ロックピン322の物理的構造が、ロックピン322が血管閉塞コイル300を完全に通り抜ける可能性を排除している。
【0057】
図7は、
図3に示す一例と類似する血管閉塞器具送達システム10を示しており、差異として
図3に示す一対のロックピン322が、
図6に示して上記で説明したように、「U」字形のロックピン322に置き換えられている。さらに、押出アセンブリ200の遠位のコイル部分208は、X線透視可視化用の一組のマーカーコイル226を有している。そのうえ、遠位のコイル部分208の遠位端は、外側に先細になっているとともに、開いたピッチの巻きつけ部を有しており、これにより、接着剤332を入れて近位のシール230を形成することができる。さらに、接合部250は、切り離しゾーン244の周りに配置されたPTFEスリーブ234を有している。
【0058】
図8は、
図6と7に示す接合部250とほぼ同一の、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250を示す。
図6と7に示す接合部250のように、
図8に示す接合部250も「U」字形のロックピン322を有する。差異としては、
図8に示す接合部250が具える管状部材238は、開口の遠位端242を有することである。接合部250は遠位のシール228を有していないが、少量の接着剤332が、血管閉塞コイル300の開いた巻きつけ部318の間の空間320に配置されており、「U」字形ロックピン322を血管閉塞コイル300に固定している。
図8に示す設計は、遠位のシール228が除去されて接着剤332の量が減らされているため、
図6と7に示す設計に比べて柔軟性が向上している。
【0059】
図9は、
図8に示す接合部250と類似した、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250を示す。
図8に示す接合部250と同じように、
図9に示す接合部250が具える管状部材238は、開口の遠位端242を有している。差異としては、
図9に示すロックピン322は紙クリップのような形状であり、連結部330と、2つの伸長部326の一方に連結されたフック部334とを有している。連結部330とフック部334とが血管閉塞コイル300の反対側にあるように、伸長部326が血管閉塞コイル300を貫通している。一方の空間320を通って血管閉塞コイル300を出たフック部334は、他方の空間320を通って血管閉塞コイル300に再び入っており、これによりロックピン322を血管閉塞コイル300にさらに固定している。
【0060】
図10は、
図8に示す接合部250と類似した、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の別の接合部250を示す。
図8に示す接合部250と同じように、
図10に示す接合部250は、「U」字形のロックピン322と、血管閉塞コイル300の開いた巻きつけ部318の間の空間320に配置された少量の接着剤332とを有する。差異としては、ポリマー層336(例えばポリエチレンテレフタレート)が、血管閉塞コイル300の外面上に付着しており、ロックピン322を覆っている。ポリマー層336は、管状体に形成することができる。ポリマー層336は、ロックピン322の半径方向の移動を防止しており、これによりロックピン322を血管閉塞コイル300にさらに固定している。
【0061】
図11は、
図8に示す接合部250と類似した、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250を示す。
図8に示す接合部250と同じように、
図11に示す接合部250が具える管状部材238は、開口の遠位端242を有している。しかしながら、
図11に示す接合部250は、単一のロックピン322のみを有している。ロックピン322が有する伸長部は、両端をそれぞれの拡大端部328によりキャップされている。この拡大端部328は、ロックピン322の両端に圧力をかけるような機械的工程により形成することができる。他の差異としては、金属チューブ338が血管閉塞コイル300の近位端に(例えば溶接により)加えられていることである。金属チューブ338は、ロックピン322が貫通する一対の対向する開口340を有しており、これにより、ロックピン322と管状部材238とを、金属チューブ338と血管閉塞コイル300とに固定している。
【0062】
図12−14は、リンク310と、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間のリンク310を含む接合部250とを示す。リンク310(
図12に単独で示す)は平板状であり、近位と遠位の部分342と344を有する。リンク310は、近位部分342および遠位部分344のそれぞれにおける近位開口346および遠位開口348と、遠位端344における複数の指状部350とを規定する。リンク310は、非導電性材料から形成することができる。
【0063】
リンク310の遠位部分344は、血管閉塞コイル300に近位端302で固定されている。血管閉塞コイル300の近位端302は、間に空間320がある開いたピッチの巻きつけ部318を有する。リンク310の遠位端344における指状部350は、開いたピッチの巻きつけ部318の間の空間320内に組み合わせてある。指状部350と開いたピッチの巻きつけ部318との間の機械的干渉により、リンク310を血管閉塞コイル300に固定している。
【0064】
縫合糸のような引張抵抗部材324は、血管閉塞コイル300の遠位端304に固定されており、近位端302まで管腔306を貫通してリンク310に固定されている。引張抵抗部材324は、リンク310の遠位開口348を通るループで固定されている。
【0065】
リンク310の近位部分342は、管状部材238にロックピン322で固定されている。
図13と14に示すように、リンク310の近位部分342は、管状部材238の遠位端242で管腔246に挿入されている。ロックピン322は、管状部材とリンクの近位の開口346を貫通しており、これによりリンク310を管状部材238に固定している。接着剤332が、接合部250の内側と外側に配置されており、さらに管状部材238と、ロックピン322と、リンク310と、血管閉塞コイル300と、引張抵抗部材324とをともに固定している。
【0066】
図15と16は、各々の押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の2つの接合部250を示しており、各接合部250が管状マーカー312を有している。引張抵抗部材324の近位端は、管状部材238の管腔246内にその遠位端242において配置されている。次いで、管状部材238の遠位端242は、血管閉塞コイル300の管腔306内にその近位端302において配置されている。管状マーカー312は、血管閉塞コイル300の近位端302と、管状部材238の遠位端242と、引張抵抗部材324の近位端との周りに圧着されており、血管閉塞コイル300と、管状部材238と、引張抵抗部材324とを互いに機械的に固定している。管状マーカー312は、プラチナまたはイリジウムなどの放射線不透性材料で作成することができる。
図16に示す接合部においては、接着剤332が血管閉塞管腔306に配置されており、さらに血管閉塞コイル300と管状部材238と引張抵抗部材324とをともに固定している。
【0067】
図17は、本発明の他の実施例による、押出アセンブリ200と血管閉塞コイル300との間の接合部250の側面図である。接合部250は、開いた巻きつけ部318を有しており、この間に空間320を規定している。接合部は、空間320内に配置されたロックピン322も有する。
【0068】
図18は、本発明の他の実施例による、血管閉塞コイル送達システム10を示す。
図18に示す血管閉塞コイル送達システム10は、
図1に示すものといくつかの点で類似している。一つの大きな違いは、
図18に示すシステム10は電気分解の切り離しシステムを有しており、一方で
図1に示すものは熱による切り離しシステムを有することである。そのため、
図18のシステム10は、コアワイヤ252と、近位端254と遠位端256とを有する押出アセンブリ200を具えている。コアワイヤ252は、送達ワイヤアセンブリ200の近位端202から、送達ワイヤアセンブリ200の遠位端204に対して遠位の位置まで延在している。コアワイヤ252は、送達ワイヤアセンブリ200の内部に延在する管腔212の中に配置されている。
【0069】
コアワイヤ252は、ステンレス鋼ワイヤなどの導電性材料から形成されている。(破線で示す)コアワイヤ252の近位端214は、送達ワイヤアセンブリ200の近位端202に配置された電気接点216に電気接続されている。電気接点216を金属はんだ(例えば金)で形成して、これを電源400内の対応する電気接点(図示せず)と接続するように構成することができる。コアワイヤ252の一部を、絶縁コーティング258でコーティングすることが有利である。絶縁コーティング258は、ポリイミドを含んでもよい。一実施例では、コアワイヤ252は、全体の長さにおいて、コアワイヤ252の一部に位置する小領域260を除いて絶縁コーティング258でコーティングしてあり、送達ワイヤアセンブリ200の遠位端204に対して遠位に延びている。コアワイヤ252のこの「裸の」部分が、電源400から電流が流れることで分解する電解切り離しゾーン260を形成する。
【0070】
図18に示す血管閉塞コイル送達システム10と
図1に示すものの間の他の相違点は、
図18に示すシステム10がリンク500を有する点である。
図18に示す閉塞コイル300は、送達ワイヤアダプタ500を介して押出アセンブリ200に固定されている。リンク500は、近位端502と遠位端504とを有しており、近位端502にリンク体506とキャップ508とを具えている(
図19−23に最もよく示されている)。リンク500は、半径方向の中心のリンク管腔510と、このリンク管腔510にリンク500の近位端502で連通しているリンク開口部512とを規定する。
図19と21に示すように、リンク開口部512はキャップ内にあり、キャップと同中心である。リンク500は、リンク体506から半径方向に延在する一対のリンクディテント514も規定している。ディテント514は、血管閉塞コイル300と連結するように構成されている。リンク500は、その遠位端504に穴518を形成している。
【0071】
リンク500は、ポリマー、ステンレス鋼、イリジウム、プラチナ、金、レニウム、タングステン、パラジウム、ロジウム、およびタンタルなどの適切な材料から作成することができる。リンク500は射出成形、または適切な材料のブロックからカット(つまり微細加工)することができる。様々な材料をリンク500の形成に使用することができるが、使用中にX線透視で可視であることにより、臨床医が処置部位(例えば動脈瘤/AVM)に対して塞栓コイルを正確に配置して切り離すことができるため、放射線不透性材料を使用することが好ましい。
【0072】
リンク500は圧縮できるため、これをコイル管腔306の近位端内に容易に挿入または配置して、血管閉塞コイル300に固定することができ、その一方でコイル300の曲げと損傷を最小限にすることができる。さらに、リンク体506の外径は、コイル管腔306の直径とほぼ同じであり、これによりリンク500を血管閉塞コイル300に対して中心に据える。
【0073】
図19は、本発明の一実施例による、血管閉塞コイル300に固定されたリンク500を示す。上述のように、閉塞コイル300は、複数のコイル巻きつけ部308を有する。コイル巻きつけ部308は、概して、閉塞コイル300の管腔306に沿った中央軸の周りに螺旋状である。閉塞コイル300の近位端302は、開いたピッチ構成を有するコイル巻きつけ部308を具える。例えば、近位のコイル巻きつけ部308のいくつかは、開いたピッチ構成で広がっていてもよい(
図18に矢印Aで示す)。閉塞コイル300の残りの遠位部分は、
図18と19に示すように、閉じたピッチ構成とすることができる。当然であるが、閉塞コイル300の遠位部分が、1以上の開いたピッチの区画または領域を有することもできる(または閉塞コイル300全体を開いたピッチとしてもよい)。コイル巻きつけ部308の近位の開いたピッチは、リンク500のディテント514との締まりばめ用のコイル開口314を規定している。
【0074】
リンク500のディテント514が、リンク500を血管閉塞コイル300に固定しているが、リンク500と閉塞コイル300の近位のコイル巻きつけ部308との間の境界面に、接着剤332を塗布することもできる。接着剤332は、熱またはUV照射をかけることで硬化または固まるエポキシ材料を含んでもよい。例えば、接着剤332は、(住所14 Fortune Drive,Billerica,MAの)Epoxy Technology Inc.社が市販するEPO−TEK(登録商標)353ND−4のような、熱硬化の二液型エポキシを含むことができる。接着剤332は、リンク500を閉塞コイル300に対してほぼ同中心に包んで配置しており、閉塞コイル300の軸方向の引張荷重が誘発する接線方向の移動を防止する。
【0075】
接着剤332の使用の代替として、ディテント514の各側の上の隣接するコイル巻きつけ部308を、レーザ留め(laser tack)、スポット、または連続溶接で接合してもよい。代替的に、コイル巻きつけ部308上でディテント514をレーザ溶融することで、リンク500を閉塞コイル300に機械的に接合することもできる。
【0076】
さらに
図19を参照すると、リンク体506は、リンク管腔510と連通している半径方向のリンクポート516を規定している。
図20に示すように、コアワイヤ252の遠位端256がリンク開口512を介してリンク管腔510内に挿入されたときに、接着剤332を、リンクポート516を介してリンク管腔510内に導入することができる。接着剤332は、コアワイヤ252の遠位端256をリンク500に接着する。この手法により、コアワイヤ252の遠位端256を曲げずにリンク500に固定することができ、そのためコアワイヤ252を弱めることもない。
【0077】
図19と20は、血管閉塞コイル管腔306内に配置された引張抵抗部材324を示しており、これは近位端と遠位端を有する。引張抵抗部材324の近位端はリンク500に固定されており、引張抵抗部材324の遠位端は、血管閉塞コイル300の遠位端304に取り付けられている。引張抵抗部材324は遠位のキャップ316を具える。引張抵抗部材324は、フィラメントなどの形状にすることができる。例えば、引張抵抗部材324は、縫合フィラメント材料などのポリマー材料から形成することができる。閉塞コイル300の組立時において、引張抵抗部材324は、最初は、遠位のキャップ316から延びる単一のフィラメントとしてのみ存在している。フィラメントの自由端は、リンク500の遠位端504に位置する穴518に通されている。次いで、引張抵抗部材324の自由端を、血管閉塞コイル300の遠位端304の方に引き戻してこれを遠位のキャップ316に接合し、
図19と20に示すような完全な構造を形成する。引張抵抗部材324の自由端を遠位のキャップ316に融着または固定するのに、熱接合を用いることができる。当然、引張抵抗部材324に使用する材料の性質に応じて、他の接合技術を使用することもできる。例えばこれには、溶接や接着接合などが含まれる。しかしながら、引張抵抗部材324の使用は、まったく任意的なものである。別の実施例では、引張抵抗部材324を含まない血管閉塞コイル300を用いることもできる。
【0078】
図18を参照すると、近位の管状部分206と遠位のコイル部分208とが、送達システム10用のリターン電極を形成している。これについては、コアワイヤ252が、電気接点216と電解切り離しゾーン220との間の第1の導電経路262を形成している。送達ワイヤアセンブリ200が電源400と機能するように連結している場合、第1の導電経路262が電気回路の陽極(+)を具えてもよい。第2の導電経路264は、送達ワイヤアセンブリ200の近位の管状部分206と遠位のコイル部分208とによって形成されている。第2の導電経路264は、第1の導電経路242から電気的に隔離されている。第2の導電経路244は、電気回路用の陰極(−)または接地電極を具えることができる。
【0079】
第2の導電経路264用の電気接点266は、管状部材206の近位端に配置することができる。一実施例では、管状部材206が第2の導電経路264の一部であるため、電気接点266は管状部材206の単なる露出した部分である。例えば、電気接点216に近接する管状部材206の近位部分は、ポリイミドなどの絶縁コーティング258で覆うことができる。絶縁コーティングを有していない管状部分206の露出した領域が、電気接点266を形成することができる。代替的に電気接点266を、管状部材206の外側に形成したリング型電極、またはその他の接点とすることができる。電気接点266は、送達ワイヤアセンブリ200の近位端202が電源400内に挿入されたときに、電源400内の対応する電気接点(図示せず)と接続するように構成されている。当然であるが、第2の導電経路264の電気接点266は、第1の導電経路262の電気接点216に対して電気的に隔離されている。
【0080】
図18に示す電源400は
図1に示すものと類似するが、これは電解による(対して
図1は熱による)切り離し用に構成されている。したがって、
図1に示す電源400の特徴に加えて、
図18に示す電源400は、いくつかの代替的および追加的特徴を具えている。駆動回路402は、通常、ほぼ一定の電流(例えば約1.5mA)を流すことで作動する。電源400は、閉塞コイル300がコアワイヤ252から切り離されたときを検出するように構成された選択的な検出回路420を含んでもよい。検出回路420は、測定したインピーダンス値に基づいて、切り離しを識別することができる。視覚インジケータ412は、電源400が犠牲電解切り離しゾーン220に電流を供給していることを示すことができる。別の視覚インジケータ414は、閉塞コイル300が送達ワイヤ210から切り離されたことを示すことができる。視覚インジケータ414の代替として、聴覚信号(例えばビープ音)、または触覚信号(例えば振動またはブザー)が、切り離し時に起動してもよい。検出回路420は、閉塞コイル300の切り離しを検知すると、駆動回路402を無効にするように構成することもできる。
【0081】
電源400は、従来からの非双極送達ワイヤアセンブリが電源400内に挿入されていることを、操作者に示す別の視覚インジケータ416を含むこともできる。上記の背景技術で説明したように、従来の装置は個別のリターン電極を使用しており、これは一般的に患者のそけい部に挿入する針の形状をしている。電源400は、旧式の非双極性の送達ワイヤアセンブリの1つが挿入されていることを検出するように構成されている。この状況では、視覚インジケータ416(例えばLED)が点いて、個別のリターン電極(
図1に図示せず)を電源400に設置されたポート418内に挿入すべきことをユーザに知らせる。
【0082】
図21−23は、本発明のその他の実施例による、血管閉塞コイル300に固定されたリンク500を示す。
図21−23に示すリンク500は、1対ではなく2対のディテント514をリンク500が規定している点を除いて、
図19−20に示すものと類似している。
図21と23に示すように、2対のディテント514は、近位のコイル巻きつけ部308の開いたピッチにより形成された対応するコイル開口314と接合しており、リンク500を血管閉塞コイル300に固定している。上記のように設計されたリンク500は、組立工程の学習曲線、タックタイム、産出高、製品のコストを向上させる。