特許第6359711号(P6359711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6359711
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】液晶表示板の実装構体
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20180709BHJP
   G01R 11/02 20060101ALI20180709BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H05K13/04 N
   G01R11/02 Z
   H05K13/02 B
   H05K13/04 C
   H05K13/04 G
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-61281(P2017-61281)
(22)【出願日】2017年3月27日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220882
【氏名又は名称】株式会社エネゲート
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 賢司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】川口 典英
(72)【発明者】
【氏名】中谷 有寛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 純一
(72)【発明者】
【氏名】堀野 浩
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤井 敏之
(72)【発明者】
【氏名】玉泉 賢一
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲也
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−003200(JP,U)
【文献】 実開昭62−201965(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
G01R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示板から導出されたピンを配線基板の取付孔に挿通させることにより、前記液晶表示板を配線基板上に起立状態で実装した液晶表示板の実装構体であって、
前記液晶表示板のピンを配線基板の取付孔に挿入するための導入路および前記液晶表示板をその背面側で受ける壁部を有する液晶挿入ガイドを配線基板に取り付け、前記液晶挿入ガイドの導入路に、液晶表示板のピンの曲がりを矯正するガイド部を設けたことを特徴とする液晶表示板の実装構体。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記液晶表示板のピンの後方への曲がりを矯正する前記導入路の奥側壁面と、導入路の左右両側壁面から前方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの左右への曲がりを矯正する両側前方テーパ面とで構成され、液晶表示板のピンをガイド部の前方から挿入可能とした請求項1に記載の液晶表示板の実装構体。
【請求項3】
前記ガイド部は、導入路の奥側壁面から上方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの後方への曲がりを矯正する奥側上方テーパ面と、導入路の左右両側壁面から上方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの左右への曲がりを矯正する両側上方テーパ面とで構成され、液晶表示板のピンをガイド部の上方から挿入可能とした請求項1又は2に記載の液晶表示板の実装構体。
【請求項4】
前記液晶挿入ガイドは、前記ガイド部で矯正された前記液晶表示板のピンが前記配線基板の取付孔の領域内に配されるように、配線基板に取り付けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示板の実装構体。
【請求項5】
前記液晶表示板または前記液晶挿入ガイドは、長尺な帯状テーピング部材により供給される部品である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶表示板の実装構体。
【請求項6】
前記液晶表示板または前記液晶挿入ガイドは、自動機により配線基板に実装されている請求項1〜5に記載の液晶表示板の実装構体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子式電力量計に組み込まれ、液晶表示板を配線基板上に起立状態で実装した液晶表示板の実装構体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一般家庭などの電力需要家が使用する電力量を計測して表示する電力量計として、電子式電力量計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の電子式電力量計は、電力量などを表示するための表示窓を具備している。電子式電力量計の内部では、表示窓に対応させて液晶表示板が配設されている。図26および図27に示すように、液晶表示板14は、電子式電力量計に内蔵された配線基板17上に実装されている。
【0004】
同図に示すように、液晶表示板14は矩形状をなし、その底辺部15から所定ピッチの配列状態で導出された複数のピン16を有する。一方、配線基板17は、その液晶表示板14の取り付け部位に液晶表示板14のピン16と同一ピッチで取付孔18(スルーホール)が形成されている。
【0005】
この液晶表示板14の実装構体では、液晶表示板14の底辺部15から導出されたピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させ、その配線基板17の裏面から突出する液晶表示板14のピン16を半田付けで固定することにより、その液晶表示板14を配線基板17上に起立状態で実装するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−157659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述した従来の液晶表示板14の実装構体では、例えば、自動機を利用することで、液晶表示板14から導出された複数のピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させることにより、液晶表示板14を配線基板17に自動実装するようにしている。
【0008】
ここで、液晶表示板14のピン16は、その外径が小さく、かつ、微小ピッチで導出されている。これに対応させて、配線基板17の取付孔18も、その内径が小さく、かつ、微小ピッチで設けられている。
【0009】
そのため、液晶表示板14のピン16が若干でも曲がっていると、そのピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させることが困難となる。自動機による自動実装において、ピン16の曲がりが発生した液晶表示板14を全て排除していたのでは、製品の歩留まりが低下する。
【0010】
このように、液晶表示板14のピン16が曲がっている場合には、そのピン16の曲がりを矯正する必要がある。このピン16の曲がりの矯正を作業者による人手に依存していたのでは、手間がかかり作業効率が低下することになる。
【0011】
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、液晶表示板のピンに曲がりが発生しても、そのピンの曲がりを簡便な手段により矯正し得る液晶表示板の実装構体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る液晶表示板の実装構体は、液晶表示板から導出されたピンを配線基板の取付孔に挿通させることにより、液晶表示板を配線基板上に起立状態で実装した構造を具備する。
【0013】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、液晶表示板のピンを配線基板の取付孔に挿入するための導入路および液晶表示板をその背面側で受ける壁部を有する液晶挿入ガイドを配線基板に取り付け、その液晶挿入ガイドの導入路に、液晶表示板のピンの曲がりを矯正するガイド部を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明では、液晶表示板のピンに曲がりが生じていても、液晶挿入ガイドのガイド部により液晶表示板のピンの曲がりを自動的に矯正することができる。このガイド部により矯正された液晶表示板のピンを導入路に沿って配線基板の取付孔にスムーズに挿入することができる。
【0015】
本発明におけるガイド部は、液晶表示板のピンの後方への曲がりを矯正する導入路の奥側壁面と、導入路の左右両側壁面から前方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの左右への曲がりを矯正する両側前方テーパ面とで構成され、液晶表示板のピンをガイド部の前方から挿入可能とした構造が望ましい。
【0016】
このような構造は、液晶表示板のピンを液晶挿入ガイドのガイド部の前方から挿入する場合に特に有効である。
【0017】
この場合、液晶表示板のピンが後方へ曲がっていても、ガイド部の導入路の奥側壁面で液晶表示板のピンの曲がりを矯正することができる。また、液晶表示板のピンが左右方向に曲がっていても、ガイド部の両側前方テーパ面で液晶表示板のピンの曲がりを矯正することができる。
【0018】
本発明におけるガイド部は、導入路の奥側壁面から上方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの後方への曲がりを矯正する奥側上方テーパ面と、導入路の左右両側壁面から上方へ拡開するように延びて液晶表示板のピンの左右への曲がりを矯正する両側上方テーパ面とで構成され、液晶表示板のピンをガイド部の上方から挿入可能とした構造が望ましい。
【0019】
このような構造は、液晶表示板のピンを液晶挿入ガイドのガイド部の上方から挿入する場合でも適用することができる。
【0020】
この場合、液晶表示板のピンが後方へ曲がっていても、ガイド部の奥側上方テーパ面で液晶表示板のピンの曲がりを矯正することができる。また、液晶表示板のピンが左右方向に曲がっていても、ガイド部の両側上方テーパ面で液晶表示板のピンの曲がりを矯正することができる。
【0021】
本発明における液晶挿入ガイドは、ガイド部で矯正された液晶表示板のピンが配線基板の取付孔の領域内に配されるように、配線基板に取り付けられている構造が望ましい。
【0022】
このような構造を採用すれば、配線基板の取付孔と液晶挿入ガイドのガイド部と液晶表示板のピンとの位置関係を適正に規定することで、自動機により液晶表示板を配線基板に容易に実装することができる。
【0023】
本発明における液晶表示板または液晶挿入ガイドは、長尺な帯状テーピング部材により供給される部品であることが望ましい。
【0024】
このように、液晶表示板または液晶挿入ガイドを長尺な帯状テーピング部材により供給される部品とすることにより、自動機により液晶表示板および液晶挿入ガイドを配線基板に実装することが容易となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液晶表示板のピンに曲がりが生じていても、液晶挿入ガイドのガイド部により液晶表示板のピンの曲がりを自動的に矯正することができる。このガイド部により矯正された液晶表示板のピンを導入路に沿って配線基板の取付孔にスムーズに挿入することができる。
【0026】
その結果、液晶表示板のピンに曲がりが発生しても、そのピンの曲がりを液晶挿入ガイドという簡便な手段により矯正することで、製品の歩留まりを向上させると共に、液晶表示板の配線基板への組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明における実施形態で、液晶表示板の実装構体を示す組立分解斜視図である。
図2図1の液晶挿入ガイドを配線基板に組み付けた状態を示す斜視図である。
図3図2の液晶表示板を配線基板に組み付けた状態を示す斜視図である。
図4図1の液晶挿入ガイドを示す正面図である。
図5図4の液晶挿入ガイドを示す平面図である。
図6】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する一例で、実装前の状態を示す断面図である。
図7】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する一例で、(A)は実装途中の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図8】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する一例で、実装後の状態を示す断面図である。
図9】配線基板の取付孔と液晶挿入ガイドの導入路と液晶表示板のピンとの位置関係の一例を示す概略図である。
図10】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する他例で、(A)は実装前の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図11】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する他例で、(A)は実装途中の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図12】液晶表示板を液晶挿入ガイドの前方から配線基板に実装する他例で、実装後の状態を示す断面図である。
図13】配線基板の取付孔と液晶挿入ガイドの導入路と液晶表示板のピンとの位置関係の他例を示す概略図である。
図14】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する一例で、実装前の状態を示す断面図である。
図15】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する一例で、(A)は実装途中の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図16】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する一例で、実装後の状態を示す断面図である。
図17】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する他例で、(A)は実装前の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図18】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する他例で、(A)は実装途中の状態を示す正面図、(B)は(A)の断面図である。
図19】液晶表示板を液晶挿入ガイドの上方から配線基板に実装する他例で、実装後の状態を示す断面図である。
図20】本発明における他の実施形態で、液晶表示板の実装構体を示す組立分解斜視図である。
図21図20の液晶挿入ガイドを配線基板に組み付けた状態を示す正面図である。
図22図21の液晶表示板を配線基板に組み付けた状態を示す正面図である。
図23】テーピング部材の一例を示す平面図である。
図24】テーピング部材の一例を示す断面図である。
図25】本発明の実施形態における液晶表示板の実装構体を内蔵する電子式電力量計を示す斜視図である。
図26】従来の液晶表示板の実装構体で、液晶表示板を配線基板に実装する前の状態を示す斜視図である。
図27】従来の液晶表示板の実装構体で、液晶表示板を配線基板に実装した後の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る液晶表示板の実装構体の実施形態を以下に詳述する。
【0029】
以下の実施形態では、一般家庭などの電力需要家が使用する電力量を計測して表示する電子式電力量計を例示するが、本発明は、電子式電力量計に限らず、液晶表示板を配線基板に起立状態で実装した表示部を有する他の電子式計器に適用可能である。
【0030】
図25は、液晶表示板の実装構体を内蔵した電子式電力量計を示す。この電力量計11は、液晶表示板14が実装された配線基板17(図3参照)を収容した樹脂製の筐体12を具備し、その筐体12の前面に表示窓13が設けられている。この表示窓13に対応させて、配線基板17上に実装した液晶表示板14が配設されている。
【0031】
図1に示すように、液晶表示板14は矩形状をなし、その底辺部15から所定ピッチの配列状態で導出された複数のピン16を有する。一方、配線基板17は、その液晶表示板14の取り付け部位に液晶表示板14のピン16と同一ピッチで取付孔18(スルーホール)が形成されている。
【0032】
なお、この実施形態で例示する液晶表示板14は、図1の部分拡大で示すように、その底辺部15から導出したピン16が後方へ屈曲し、さらに下方へ向けて屈曲した形状をなす。このピン16の形状は一例であり、他の形状であってもよい。
【0033】
この液晶表示板14の実装構体では、液晶表示板14の底辺部15から導出されたピン16を配線基板17に形成された取付孔18に挿通させ、その配線基板17の裏面から突出する液晶表示板14のピン16を半田付けで固定する。これにより、液晶表示板14を配線基板17上に起立状態(配線基板17に対して垂直状態)で実装する。
【0034】
ここで、液晶表示板14のピン16は、その外径が小さく、かつ、微小ピッチで導出されている。これに対応させて、配線基板17の取付孔18も、その内径が小さく、かつ、微小ピッチで設けられている。
【0035】
そのため、液晶表示板14のピン16が若干でも曲がっていると、そのピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させることが困難となる。そのため、液晶表示板14のピン16が曲がっている場合には、そのピン16の曲がりを矯正する必要がある。
【0036】
そこで、この実施形態では、図2および図3に示すように、液晶表示板14のピン16の曲がりを矯正するための液晶挿入ガイド19を配線基板17に取り付け、その液晶挿入ガイド19を介して液晶表示板14を配線基板17に実装する。
【0037】
液晶挿入ガイド19は、図4および図5に示すように、液晶表示板14の左右方向に延びる平坦な底部20と、その底部20の中央部位に一体的に起立するガイド部21と、そのガイド部21の左右両端に位置する壁部22とで構成された樹脂成形品である。
【0038】
液晶挿入ガイド19の底部20は、液晶表示板14の底辺部15を支持する。液晶挿入ガイド19のガイド部21は、液晶表示板14のピン16の曲がりを矯正する。液晶挿入ガイド19の壁部22は、液晶表示板14をその背面側で受ける。
【0039】
この液晶挿入ガイド19は、配線基板17に半田付けで表面実装されている。つまり、液晶挿入ガイド19が樹脂成形品であることから、底部20の両端面の下部に金属製の補強板23(図2および図3参照)を取り付け、この補強板23を利用して液晶挿入ガイド19の底部20を配線基板17に半田付けで固定する。
【0040】
このような取り付け構造を採用することにより、配線基板17に対して液晶挿入ガイド19を強固かつ正確に固定することができる。その結果、配線基板17に対して液晶表示板14を起立状態で確実に保持することができる。
【0041】
なお、液晶挿入ガイド19の実装時、配線基板17に対して液晶挿入ガイド19を位置決めするため、液晶挿入ガイド19の底部20の下面に突起24(図4参照)を設けると共に、その突起24が嵌入する孔25(図1参照)を配線基板17に設けている。
【0042】
液晶挿入ガイド19のガイド部21は、図4および図5に示すように、液晶表示板14のピン16を配線基板17の取付孔18に挿入するための導入路26を具備する。この導入路26は、液晶表示板14のピン16の配列ピッチに合わせて形成されている。この導入路26の下方端部には、底部20を貫通するように導入孔27が形成されている。
【0043】
なお、導入路26の数は、液晶表示板14のピン16の数と同一に設定すればよいが、液晶表示板14のピン16の数よりも多く設定してもよい。これにより、液晶表示板14の品種変更によりピン16の数が増加した場合にも対応することが可能となる。
【0044】
ガイド部21は、液晶表示板14のピン16の後方への曲がりを矯正する導入路26の奥側壁面28と、導入路26の左右両側壁面29から前方へ拡開するように延びて液晶表示板14のピン16の左右への曲がりを矯正する両側前方テーパ面30とで構成されている(図4のX部および図5のY部参照)。
【0045】
このように、導入路26の奥側壁面28と、導入路26の左右両側壁面29から延びる両側前方テーパ面30とでガイド部21を構成することにより、液晶表示板14のピン16をガイド部21の前方から挿入可能としている。
【0046】
また、ガイド部21は、導入路26の奥側壁面28から上方へ拡開するように延びて液晶表示板14のピン16の後方への曲がりを矯正する奥側上方テーパ面31と、導入路26の左右両側壁面29から上方へ拡開するように延びて液晶表示板14のピン16の左右への曲がりを矯正する両側上方テーパ面32とで構成されている(図4のX部および図5のY部参照)。
【0047】
このように、導入路26の奥側壁面28から延びる奥側上方テーパ面31と、導入路26の左右両側壁面29から延びる両側上方テーパ面32とでガイド部21を構成することにより、液晶表示板14のピン16をガイド部21の上方から挿入可能としている。
【0048】
以上の構成を具備する液晶挿入ガイド19を利用した液晶表示板14の配線基板17への組み付けは、自動機による自動実装でもって、以下の要領でもって行われる。
【0049】
まず、前述したように、液晶挿入ガイド19を配線基板17に予め組み付ける。すなわち、配線基板17の孔25に液晶挿入ガイド19の底部20の突起24を嵌入させる。これにより、配線基板17に対して液晶挿入ガイド19を位置決めした状態で載置する。
【0050】
この状態で、液晶挿入ガイド19の底部20の補強板23を利用して液晶挿入ガイド19の底部20を配線基板17に半田付けで固定する。これにより、液晶挿入ガイド19を配線基板17に半田付けで表面実装する。
【0051】
このようにして、配線基板17に表面実装された液晶挿入ガイド19を利用することにより、液晶表示板14を配線基板17に実装する。この実装時、(1)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の前方から挿入する場合と、(2)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の上方から挿入する場合とに分けて以下に詳述する。
【0052】
なお、液晶表示板14を配線基板17に実装するに際して、液晶挿入ガイド19は、(1)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の前方から挿入する場合に特に有効であり、(2)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の上方から挿入する場合でも適用できる。
【0053】
(1)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の前方から挿入する場合
【0054】
図6図8は、液晶表示板14のピン16が後方へ曲がっている場合において、液晶挿入ガイド19によりピン16の曲がりを矯正する要領を例示する。
【0055】
図6に示すように、液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入路26の前方に液晶表示板14のピン16の先端部が位置するように、自動機(図示せず)により液晶挿入ガイド19に対して液晶表示板14を配置する。
【0056】
液晶表示板14のピン16をガイド部21の導入路26に自動機により前方から挿入する際、図7(A)(B)に示すように、後方へ曲がったピン16が導入路26の奥側壁面28に押し付けられる。
【0057】
このように、ピン16が導入路26の奥側壁面28に押し付けられることにより、導入路26の奥側壁面28でピン16の曲がりが矯正される。曲がりが矯正されたピン16は、配線基板17の取付孔18の領域内(中心)に配置される。
【0058】
つまり、図9に示すように、導入路26の奥側壁面28で矯正されたピン16が配線基板17の取付孔18の領域内(中心)に配されるように、液晶挿入ガイド19が配線基板17に位置決めされている。
【0059】
このように、配線基板17の取付孔18と液晶挿入ガイド19の導入路26と液晶表示板14のピン16との位置関係を適正に規定することで、自動機により液晶表示板14を配線基板17に容易に実装することができる。
【0060】
このようにして、ピン16の曲がりが矯正された液晶表示板14を自動機により下方へ移動させることにより、図8に示すように、その液晶表示板14のピン16が液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入孔27を介して配線基板14の取付孔18にスムーズに挿入される。
【0061】
一方、図10図12は、液晶表示板14のピン16が左右方向(図示では右側)に曲がっている場合において、液晶挿入ガイド19によりピン16の曲がりを矯正する要領を例示する。なお、ピン16が図示の左側に曲がっている場合でも同一の要領である。
【0062】
図10(A)(B)に示すように、液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入路26の前方に液晶表示板14のピン16の先端部が位置するように、自動機(図示せず)により液晶挿入ガイド19に対して液晶表示板14を配置する。
【0063】
液晶表示板14のピン16をガイド部21の導入路26に自動機により前方から挿入する際、図11(A)(B)に示すように、左右方向に曲がったピン16がガイド部21の両側前方テーパ面30(図示では右側前方テーパ面)に押し付けられる。
【0064】
そして、ピン16がガイド部21の両側前方テーパ面30にガイドされながら、導入路26の両側壁面29(右側壁面)に当接する。これにより、ガイド部21の両側前方テーパ面30でピン16の曲がりが矯正される。曲がりが矯正されたピン16は、配線基板17の取付孔18の領域内(中心右寄り)に配置される。
【0065】
つまり、図13に示すように、導入路26の両側前方テーパ面30で矯正されて両側壁面29(右側壁面)に当接するピン16が配線基板17の取付孔18の領域内(中心右寄り)に配されるように、液晶挿入ガイド19が配線基板14に位置決めされている。
【0066】
このように、配線基板17の取付孔18と液晶挿入ガイド19の導入路26と液晶表示板14のピン16との位置関係を適正に規定することで、自動機により液晶表示板14を配線基板17に容易に実装することができる。
【0067】
このようにして、ピン16の曲がりが矯正された液晶表示板14を自動機により下方へ移動させることにより、図12に示すように、その液晶表示板14のピン16が液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入孔27を介して配線基板17の取付孔18にスムーズに挿入される。
【0068】
なお、液晶表示板14のピン16が前方に曲がっていたり、あるいは、許容範囲を逸脱するように左右方向に曲がっていたりする場合には、自動機による自動実装を実行する設備での画像処理機能でもって、そのようなピン16の曲がりが発生した液晶表示板14については不良品として排除するようにしている。
【0069】
(2)液晶表示板14のピン16を液晶挿入ガイド19の上方から挿入する場合
【0070】
図14図16は、液晶表示板14のピン16が後方へ曲がっている場合において、液晶挿入ガイド19によりピン16の曲がりを矯正する要領を例示する。
【0071】
図14に示すように、液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入路26の上方に液晶表示板14のピン16の先端部が位置するように、自動機(図示せず)により液晶挿入ガイド19に対して液晶表示板14を配置する。
【0072】
液晶表示板14のピン16をガイド部21の導入路26に自動機により上方から挿入する際、図15(A)(B)に示すように、後方へ曲がったピン16がガイド部21の奥側上方テーパ面31に押し付けられる。
【0073】
そして、ピン16がガイド部21の奥側上方テーパ面31にガイドされながら、導入路26の奥側壁面28に当接する。これにより、ガイド部21の奥側上方テーパ面31でピン16の曲がりが矯正される。曲がりが矯正されたピン16は、配線基板17の取付孔18の領域内(中心)に配置される(図9参照)。
【0074】
このようにして、ピン16の曲がりが矯正された液晶表示板14を自動機により下方へ移動させることにより、図16に示すように、その液晶表示板14のピン16が液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入孔27を介して配線基板17の取付孔18にスムーズに挿入される。
【0075】
一方、図17図19は、液晶表示板14のピン16が左右方向(図示では右側)に曲がっている場合において、液晶挿入ガイド19によりピン16の曲がりを矯正する要領を例示する。なお、ピン16が図示の左側に曲がっている場合でも同一の要領である。
【0076】
図17(A)(B)に示すように、液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入路26の上方に液晶表示板14のピン16の先端部が位置するように、自動機(図示せず)により液晶挿入ガイド19に対して液晶表示板14を配置する。
【0077】
液晶表示板14のピン16をガイド部21の導入路26に自動機により上方から挿入する際、図18(A)(B)に示すように、左右方向に曲がったピン16がガイド部21の両側上方テーパ面32(図示では右側上方テーパ面)に押し付けられる。
【0078】
そして、ピン16がガイド部21の両側上方テーパ面32にガイドされながら、導入路26の両側壁面29(右側壁面)に当接する。これにより、ガイド部21の両側上方テーパ面32でピン16の曲がりが矯正される。曲がりが矯正されたピン16は、配線基板17の取付孔18の領域内(中心右寄り)に配置される(図13参照)。
【0079】
このようにして、ピン16の曲がりが矯正された液晶表示板14を自動機により下方へ移動させることにより、図19に示すように、その液晶表示板14のピン16が液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入孔26を介して配線基板17の取付孔18にスムーズに挿入される。
【0080】
なお、液晶表示板14のピン16が前方に曲がっていたり、あるいは、許容範囲を逸脱するように左右方向に曲がっていたりする場合には、自動機による自動実装を実行する設備での画像処理機能でもって、そのようなピン16の曲がりが発生した液晶表示板14については不良品として排除するようにしている。
【0081】
以上のようにして、ピン16の曲がりが矯正された液晶表示板14は、図2および図3に示すように、その背面をガイド部21の左右両端に位置する壁部22で受けるようにしている。
【0082】
これにより、液晶表示板14の前方に近接する電力量計11(図25参照)の筐体12の表示窓13から液晶表示板14に押圧力が負荷される場合があっても、その押圧力に対して液晶表示板14の背面を壁部22で受けることができる。その結果、配線基板17に実装された液晶表示板14が後方へ傾倒することを回避できる。
【0083】
以上の実施形態では、補強板23を利用することにより、液晶挿入ガイド19を配線基板17に半田付けで表面実装した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、液晶挿入ガイド19の配線基板17への取り付け構造は、図20図22に示すような構造であってもよい。
【0084】
つまり、図20図22に示すように、液晶挿入ガイド19の底部20の両端部に、下方へ突出する鉤状の係止爪33を設けると共に、その係止爪33が嵌まり込む係止孔34を配線基板17に設けた構造としている。
【0085】
この構造では、配線基板17の係止孔34に液晶挿入ガイド19の係止爪33を挿入し、その係止爪33を配線基板17の裏面で係合させる。これにより、配線基板17に対して液晶挿入ガイド19を固定する。
【0086】
以上の実施形態では、液晶挿入ガイド19を利用することにより、液晶表示板14のピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させ、その配線基板17の裏面から突出する液晶表示板14のピン16を半田付けで配線基板17に電気的に接続している。
【0087】
この半田付け構造以外に、液晶挿入ガイド19のガイド部21の導入路26に刃受接触子を配設し、液晶表示板14のピン16を刃形接触子として導入路26の刃受接触子に挿入する構造であってもよい。この場合、導入路26の刃受接触子と配線基板17とは適宜の手段により電気的に接続すればよい。
【0088】
このような構造を採用することにより、液晶表示板14のピン16を刃受接触子を介して配線基板17に電気的に接続することが可能となる。この場合、液晶表示板14のピン16と配線基板17との半田付けが不要となる。
【0089】
以上で説明した液晶表示板14および液晶挿入ガイド19は、図23および図24に示すように、長尺な帯状テーピング部材35により供給される部品とすることが好ましい。
【0090】
テーピング部材35は、同図に示すように、液晶表示板14あるいは液晶挿入ガイド19を収容する多数の凹部36が長手方向に形成されたベース部材37と、そのベース部材37の凹部36の開口部を閉塞するカバー部材38とで構成されている。カバー部材38は、例えば接着剤などでベース部材37に貼着されている。
【0091】
このようなテーピング部材35をリール状に巻回した状態から引き出しながら、カバー部材38をベース部材37から剥離していくことにより(図24の破線参照)、ベース部材37の凹部36から液晶表示板14あるいは液晶挿入ガイド19を自動機により取り出すようにする。
【0092】
このように、液晶表示板14および液晶挿入ガイド19を長尺な帯状テーピング部材35により供給される部品とすることにより、自動機により液晶表示板14および液晶挿入ガイド19を配線基板17に実装することが容易となる。
【0093】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0094】
14 液晶表示板
16 ピン
17 配線基板
18 取付孔
19 液晶挿入ガイド
21 ガイド部
22 壁部
26 導入路
28 奥側壁面
30 両側前方テーパ面
31 奥側上方テーパ面
32 両側上方テーパ面
【要約】
【課題】 液晶表示板のピンに曲がりが発生しても、そのピンの曲がりを簡便な手段により矯正する。
【解決手段】 液晶表示板14から導出されたピン16を配線基板17の取付孔18に挿通させることにより、液晶表示板14を配線基板17上に起立状態で実装した液晶表示板14の実装構体であって、液晶表示板14のピン16を配線基板17の取付孔18に挿入するための導入路26を有する液晶挿入ガイド19を配線基板17に取り付け、その液晶挿入ガイド19の導入路26に、液晶表示板14のピン16の曲がりを矯正するガイド部21を設ける。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27