(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6359713
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】フィンホルダー
(51)【国際特許分類】
A63B 31/00 20060101AFI20180709BHJP
B63C 11/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
A63B31/00
B63C11/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-64048(P2017-64048)
(22)【出願日】2017年3月29日
【審査請求日】2017年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】391042128
【氏名又は名称】鬼怒川パシフィック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【弁理士】
【氏名又は名称】八鍬 昇
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚隆
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03165764(US,A)
【文献】
特開2003−182685(JP,A)
【文献】
特開平10−127962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0053947(US,A1)
【文献】
特開昭64−043276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 31/00
A63B 31/11
B63C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向側縁部にリブ突片が設けられている一対のフィンを重ね合わせた状態で一纏めにして保持する保持手段を設けてなるフィンホルダーであって、フィンホルダー本体は下面側に左右一対の開口部を形成すると共に、当該左右一対の開口部に連続して前記リブ突片の嵩高部を抱持可能な一対の抱持部を形成してなり、前記開口部は、フィン本体のブレード部における先端部側縁に設けられているリブ突片の始まりの箇所で突出高さが低くなっている部分を挿通し得るだけの一対の開口部となっており、抱持部は前記開口部に連続して比較的大きなスペースを有しており、開口部を通してフィンホルダー本体内に引き込んだリブ突片をスライドさせて、フィンホルダー本体の抱持部の内壁面にリブ突片の嵩高部外周面を当接させ係合状態となして一対のフィンを一纏めに保持できるようにしたことを特徴とするフィンホルダー。
【請求項2】
ダイバーの足のヒール部をストラップによって留め付けるストラップタイプの一対のフィンを重ね合わせた状態で一纏めにして保持する保持手段を設けてなるフィンホルダーであって、フィンホルダー本体は長手方向両端部下面側にそれぞれ係合爪を突設してなり、当該一対の係合爪をフィン本体における足挿着用開口部の周囲に設けられているストラップ係止用の一対のバックル内に一定深さまでそれぞれ進入させ、係合爪の中間部付近外側に設けられている段部をバックル内の切欠部に係合させ、一対のフィンを一纏めに保持できるようにしたことを特徴とするフィンホルダー。
【請求項3】
フィンホルダー本体に、留め環を取付けるための任意形状の環状部を形成してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィンホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシュノーケリングやスキンダイビング、あるいはスキューバダイビングの際に用いられる一対のフィン(足ひれ)を保持するためのフィンホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
シュノーケリングやスキューバダイビングに代表されるマリンスポーツにはフィンが不可欠であり、例えば通常のスキューバダイビングでは、比較的重量のあるエアタンクやスキューバ用ジャケットないし背負子、マスク、レギュレータなど必要装備品と共に、一対のフィンを手に持ってダイビングポイントまで移動しなければならない。
【0003】
下記の特許文献1には、曲がり易いが比較的硬いブレードと、このブレードの基端部付近にダイバーなどの足全体を収容する足収容部を一体的に設けたフルフットタイプの足ひれが開示されている。また、特許文献2には、ダイバーなどの足のヒール部をストラップによって留め付けるストラップタイプの足ひれが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−178828
【特許文献2】特開2003−182685
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来のフィン(足ひれ)には、一対のフィンを簡単な操作で一纏めにして、適宜の装備品に設けられている環状部材などに取付けることができるような工夫がなされていなかったため、一対のフィンを手に携えてダイビングポイントまで移動するのを余儀なくされていた。
【0006】
特に、前記したスキューバダイビングの装備品一式の総重量は20Kg前後にもなり、フィン以外の装備品を身に纏い、一対のフィンを手で保持して入水位置まで移動するのに困難を伴うことが多い。特に、場所によっては急勾配の岩場や、歩き難い砂地の場合もあり、また、船に乗下船する際の桟橋など滑り易い場所が多く、20Kg前後の装備品を装着し、一対のフィンを手に持っての徒行は非常に危険なことである。
【0007】
また、装備品は使用後、付着した海水を真水で洗浄した後、物干し竿等を利用して干すのが一般的であるが、フィンについては通常地面に置いて干すのが普通であった。その際に、フィンに砂や土などが付着するという問題点があった。
【0008】
本発明はバラバラな状態の一対のフィンを簡単な操作で一纏めにすることができると共に、適宜のフックやカラビナなどの留め環を使用して、ダイバーなどが身に纏う装備品類に通常設けられている金属製または樹脂製の環状部材に引掛けて、一対のフィンを手で保持することなく、ダイビングポイントまで安全に移動することができるようになしたフィンホルダーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係るフィンホルダーの構成を詳述すれば、請求項1に係る発明は、長手方向側縁部にリブ突片が設けられている一対のフィンを
重ね合わせた状態で一纏めにして保持する保持手段を設けてなるフィンホルダーであって、
フィンホルダー本体は下面側に左右一対の開口部を形成すると共に、当該左右一対の開口部に連続して前記リブ突片の嵩高部を抱持可能な一対の抱持部を形成してなり、前記開口部は、フィン本体のブレード部における先端部側縁に設けられているリブ突片の始まりの箇所で突出高さが低くなっている部分を挿通し得るだけの一対の開口部となっており、抱持部は前記開口部に連続して比較的大きなスペースを有しており、開口部を通してフィンホルダー本体内に引き込んだリブ突片をスライドさせて、フィンホルダー本体の抱持部の内壁面にリブ突片の嵩高部外周面を当接させ係合状態となして一対のフィンを一纏めに保持できるようにしたことを特徴とするフィンホルダーである。
【0010】
請求項2に係る発明は、ダイバーの足のヒール部をストラップによって留め付けるストラップタイプの一対のフィンを
重ね合わせた状態で一纏めにして保持する保持手段を設けてなるフィンホルダーであって、
フィンホルダー本体は長手方向両端部下面側にそれぞれ係合爪を突設してなり、当該一対の係合爪をフィン本体における足挿着用開口部の周囲に設けられているストラップ係止用の一対のバックル内に一定深さまでそれぞれ進入させ、係合爪の中間部付近外側に設けられている段部をバックル内の切欠部に係合させ、一対のフィンを一纏めに保持できるようにしたことを特徴とするフィンホルダーである。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、フィンホルダー本体に、留め環を取付けるための任意形状の環状部を形成してなることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のフィンホルダーである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るフィンホルダーによれば、通常バラバラな状態である一対のフィンを簡単な操作で一纏めにすることができると共に、市販されている適宜のフックやカラビナなどの留め環を用いて装備品、例えばエアタンクを背負うための背負子などに設けられている概ね金属製または樹脂製の環状部材に引掛けることにより、一対のフィンを手に持つことなく、ダイビングポイントまで安全に移動することができるようになる。
また、使用後において真水による洗浄の後、天日により干す場合も、フックやカラビナなどで適宜箇所に吊るすことが可能となり、直接地面に置かずに干すことができるのでフィン本体に砂や土が付着するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るフィンホルダーの一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係るフィンホルダーの他の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係るフィンホルダーのさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示すフィンホルダーを用いて一対のフィンのリブ突片に挿着した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7のリブ突片に挿着した部分の拡大図である。
【
図9】
図3に示すフィンホルダーの使用状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るフィンホルダーの具体的構成を図示の実施形態に基づき詳細に説明する。
【0015】
なお、以下に示す実施形態は、本発明に係るフィンホルダーの一例を示すものであって、本発明は以下の構成に限定されるものではない。特に実施の形態に記載されている構成部品の材質、形状、相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎないものである。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は説明を明確にするために誇張していることがある。
【0016】
図1及び
図2に示す実施形態のフィンホルダーは、
図7に示すようなフィン本体10の長手方向側縁部にリブ突片11が設けられているタイプの一対のフィンを対象としたものである。フィンホルダー本体1は耐衝撃性や耐光性などに優れた特性を示現するABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂などの高分子材料を用いて射出成形などにより製されるもので、フィン本体10の長手方向側縁部に設けられているリブ突片11の非嵩高部11a、すなわち、フィン本体10のブレード部12における先端部両側縁のリブ突片11の始まりの箇所で突出高さが低くなっている部分を挿通し得る一対の開口部2,2を形成すると共に、前記リブ突片11の嵩高部11bを抱持可能な一対の抱持部3を形成してなるものである。
【0017】
フィン本体10のリブ突片11は大きな推進力を得られるようにするため、ブレード部12の先端部から、基端部、すなわちダイバーの足を入れるフットポケット部13方向に向けて徐々に嵩高状に形成されており、ブレード部12の先端部側縁における比較的高さの低いリブ突片(非嵩高部11a)を、フィンホルダー本体1の前記開口部2を通して内側の比較的大きなスペースよりなる抱持部3内に引き込んでから、フィン本体10の前記基端部方向に向けフィンホルダー本体1をスライドさせる。すると、フィンホルダー本体1はリブ突片11の嵩高部11bに至り、フィンホルダー本体1の抱持部3の内壁面にリブ突片11の外周部が当接して係合状態となり、同様の操作で、もう一方のフィン本体10のリブ突片11にもフィンホルダー本体1の抱持部3を係合させる。この操作によって、バラバラな状態の一対のフィン本体10を簡単に一纏めにすることができる。
【0018】
フィンホルダー本体1の外周部には、市販されている適宜のフックやカラビナなどの留め環(図示せず)を取付けるための任意形状の環状部4を形成してあり、当該環状部4内に例えばカラビナを取付け、当該カラビナを介してエアタンクを背負うための背負子などに設けられている図示しない環状部材に引掛けることにより、一対のフィン本体10を手に持たずにダイビングポイントまで安全に移動することができるようになる。
【0019】
次に、
図3及び
図4に示す実施形態のフィンホルダーは、
図9に示すようなダイバーの足のヒール部をストラップによって留め付けるストラップタイプの一対のフィンを対象としたものである。
この実施形態におけるフィンホルダー本体1は、フィン本体10における足挿着用開口部14の周囲に設けられているストラップ係止用のバックル15内に係合させる一対の係合爪5を具備している。
【0020】
すなわち、ストラップを用いてダイバーの足のヒール部を留め付けるタイプのフィン本体10には、足挿着用開口部14の周囲にストラップ係止用のバックル15が取付けられており、フィン本体10を足に装着するには、図示しないストラップの必要長さを調節してからストラップの先端部に取付けられている係止爪を具備した係止部材をバックル15内に一定深さ挿着して係止爪をバックル15内に設けられている段部16に係止させる。
【0021】
この実施形態において、バラバラな状態の一対のフィン本体10を一纏めにするには、ストラップの何れか一方の端部の係止部材の係合状態を解除してから、本発明に係るフィンホルダー本体1の保持手段である係合爪5をバックル15内に挿着する。すると、係合爪5はガイド部材6によって案内されてバックル15内をスムーズに一定深さまで進入することができ、係合爪5の中間部付近外側に設けられている段部7がバックル15内の切欠部16に引っ掛かって係合状態となり、保持された状態を得ることができる。
【0022】
同様の操作を繰り返すことにより、一対のフィン本体10をフィンホルダー本体1を介して一纏めにすることができる。前記した実施形態の場合と同様に、フィンホルダー本体1の外周部には、任意形状の環状部4を形成してあり、当該環状部4内に、留め環としての例えばカラビナを取付け、当該カラビナを介してエアタンクを背負うための背負子などに設けられている環状部材に引掛けることによって、一対のフィン本体10を手に持たずにダイビングポイントまで安全に移動することができるようになる。
【0023】
なお、フィンホルダー本体1を解除するには、バックル15に設けられている前記切欠部16内に位置している両方の係合爪5,5を親指と人差し指で互いに内側に押し込むことによって簡単に行なうことができる。すなわち、バックル15の両側に設けられている切欠部16,16内にあらわれているフィンホルダー本体1の係合爪5,5は前記したように高分子材料により製されており、当該高分子材料が有する弾性特性に基づき係合爪5,5の両側を内方へ押し込むことによりバックル15とフィンホルダー本体1の係合状態が解除されるものである。
【0024】
次に、
図5及び
図6に示す実施形態は、前記した2つの実施形態に係る保持手段を合体させて構成したものであり、フィンホルダー本体1の任意の一方の側に、前記した一対の開口部2と抱持部3とからなる保持手段を設けると共に、他方の側に前記ストラップ係止用のバックル15内に係合させる一対の係合爪5からなる保持手段を設けたものであり、その使用方法は前記した実施形態の場合と同様であるから詳細な説明は省略する。
この実施形態のフィンホルダーの場合には、一つのホルダーで二通りの使い方ができ、一層便利なフィンホルダーを提供することができる。
【0025】
以上のように、本発明によれば、バラバラな状態の一対のフィンを簡単な操作で一纏めにすることができ、且つ適宜のフックやカラビナなどの留め環を介して、ダイバーなどが身に纏う装備品類に通常設けられている環状部材に引掛けることにより、一対のフィンを手で保持する不便を解消することができ、ダイビングポイントまで安全に移動することができるようになる。
【符号の説明】
【0026】
1:フィンホルダー本体
2:開口部
3:抱持部
4:環状部
5:係合爪
6:ガイド部材
7:段部
10:フィン本体
11:リブ突片
11a:非嵩高部
11b:嵩高部
12:ブレード部
13:フットポケット部
14:足装着用開口部
15:バックル
16:切欠部
【要約】
【課題】バラバラな状態の一対のフィンを簡単な操作で一纏めにすることができ、且つ適宜の留め環を介して、ダイバーなどが身に纏う装備品類の環状部材に引掛けて、一対のフィンを手で保持することなく、ダイビングポイントまで安全に移動することができるようになしたフィンホルダーを提供する。
【解決手段】フィン本体10の長手方向側縁部にリブ突片11が設けられているタイプの一対のフィンを保持する保持手段を設けてなるフィンホルダーであって、前記保持手段はフィン本体の長手方向側縁部に設けられているリブ突片11の非嵩高部11aを挿通し得る一対の開口部14を形成すると共に、前記リブ突片11の嵩高部11bを抱持可能な一対の抱持部3を形成した。
【選択図】
図1