特許 6359721 テープカートリッジ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6359721

(24)【登録日】2018年6月29日

(45)【発行日】2018年7月18日

(54)【発明の名称】テープカートリッジ

(51)【国際特許分類】

   B41J 17/32 20060101AFI20180709BHJP

   B41J 3/36 20060101ALI20180709BHJP

   B41J 15/04 20060101ALI20180709BHJP

   B41J 11/04 20060101ALI20180709BHJP

【ＦＩ】

   B41J17/32 A

   B41J3/36 T

   B41J15/04

   B41J11/04

【請求項の数】7

【全頁数】17

(21)【出願番号】特願2017-82203(P2017-82203)

(22)【出願日】2017年4月18日

(62)【分割の表示】特願2014-60916(P2014-60916)の分割

【原出願日】2014年3月24日

(65)【公開番号】特開2017-149157(P2017-149157A)

(43)【公開日】2017年8月31日

【審査請求日】2017年5月2日

(73)【特許権者】

【識別番号】000002369

【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】000129437

【氏名又は名称】株式会社キングジム

(74)【代理人】

【識別番号】110001623

【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】坂野 秀樹

【審査官】 上田 正樹

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１２−０２０５４３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１１−２６８３６６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１０−１５７２３５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 国際公開第００／０３２４０２（ＷＯ，Ａ１）

【文献】 実開平０６−０７５７４８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 米国特許第０６１９００６５（ＵＳ，Ｂ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ４１Ｊ １７／３２

Ｂ４１Ｊ ３／３６

Ｂ４１Ｊ １１／０４

Ｂ４１Ｊ １５／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

カートリッジ装着部に片持ち固定され、テープカートリッジの着脱方向に延在するプラテン支軸と、印刷ヘッドと、を備えたテープ印刷装置の、前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着される為のテープカートリッジであって、
前記カートリッジ装着部に装着されて前記プラテン支軸が貫通した状態で印刷動作すると前記印刷ヘッドからの押圧力を受けるプラテンローラーと、
前記テープカートリッジの外郭を構成するカートリッジケースと、を備え、
前記カートリッジケースは、前記着脱方向のうち装着方向における手前側で前記プラテンローラーを支持する上軸受部と、前記着脱方向のうち装着方向における奥側で前記プラテンローラーを支持する下軸受部と、を備え、
前記プラテンローラーは、前記上軸受部と回転係合する上回転係合部と、前記下軸受部と回転係合する下回転係合部と、を備え、
前記上軸受部は、前記カートリッジケースの内側の面に形成されており、
前記カートリッジケースは、前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された際、前記上軸受部の外側に位置する箇所が前記プラテン支軸の回転方向全周に近接して囲むように形成されていることを特徴とするテープカートリッジ。

【請求項2】

前記カートリッジケースには、前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された際、前記プラテン支軸が挿通して嵌合する嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のテープカートリッジ。

【請求項3】

前記テープカートリッジは、長円形の前記上軸受部を空間構成するための覆壁部位を有し、
前記嵌合部は、前記覆壁部位に形成されていることを特徴とする請求項２に記載のテープカートリッジ。

【請求項4】

前記上軸受部および前記下軸受部は、前記カートリッジ装着部に対し非装着状態で、前記プラテンローラーを支持すると共に前記プラテンローラーの径方向の移動を許容することを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれか一項に記載のテープカートリッジ。

【請求項5】

前記カートリッジケースに繰り出し可能に搭載された印刷テープを、更に備え、
前記上軸受部および前記下軸受部は、前記プラテンローラーを、テープガイドとの間に前記印刷テープを挟み込むことにより前記印刷テープの繰出しを制止する制止位置と当該制止を解除する制止解除位置との間で、前記径方向の移動を許容し、
前記カートリッジ装着部に装着された状態で、前記プラテン支軸は、前記制止解除位置に移動した前記プラテンローラーに挿通することを特徴とする請求項４に記載のテープカートリッジ。

【請求項6】

カートリッジ装着部に片持ち固定され、テープカートリッジの着脱方向に延在するプラテン支軸と、印刷ヘッドと、を備えたテープ印刷装置の、前記カートリッジ装着部に着脱可能に装着されるテープカートリッジであって、
前記テープカートリッジは、
前記カートリッジ装着部に装着されて前記プラテン支軸が貫通した状態で印刷動作すると前記印刷ヘッドからの押圧力を受けるプラテンローラーと、
前記テープカートリッジの外郭を構成するカートリッジケースと、を備え、
前記カートリッジケースは、前記着脱方向のうち装着方向奥側の壁部に形成した長円形の軸受部と、前記装着方向手前側の壁部に形成した長円形の内周壁部と、前記内周壁部の前記装着方向手前側に形成され、前記カートリッジ装着部に装着した際に前記プラテン支軸が挿通される、前記内周壁部より小さい挿通孔と、を有することを特徴とするテープカートリッジ。

【請求項7】

前記軸受部および前記内周壁部は、前記カートリッジ装着部に対し非装着状態で、前記プラテンローラーを支持すると共に前記プラテンローラーの径方向の移動を許容することを特徴とする請求項６に記載のテープカートリッジ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、テープ印刷装置のカートリッジ装着部に装着して用いられ、テープ印刷装置により印刷に供されるテープカートリッジに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、この種のテープカートリッジとして、印刷装置に装着して用いられるテープカセットが知られている（特許文献１参照）。
このテープカセットは、被印刷テープが巻かれたテープ供給リールと、インクリボンが巻かれたリボン供給リールと、インクリボンを巻き取るリボン巻取リールと、これらを収容するカセットケースと、を備えている。
一方、印刷装置には、装置本体の上面にカセット蓋が設けられ、カセット蓋の内側に、テープカセットが着脱可能に装着されるカセット収納部が設けられている。カセット収納部には、印刷ヘッド、プラテンローラー、テープ供給軸およびリボン巻取軸が、起立した状態で配設されている。カセット収納部にテープカセットを装着すると、テープ供給リールにテープ供給軸が挿入され、リボン巻取リールにリボン巻取軸が挿入される。
プラテンローラーは、軸を介してコ字状の支持部材に回転自在に取り付けられている。また、支持部材は、支持軸を介して、シャーシに回動可能に取り付けられている。支持部材は、カセット蓋の閉塞に連動して回動し、印刷ヘッドに当接する。一方、印刷ヘッドは、保護部材を介して、シャーシに固定されている。保護部材の上面には、係止突起が立設されており、この係合突起に、シャーシの上端面に起倒自在に設けられた間隔規制部材が係合するようになっている。すなわち、間隔規制部材より、印刷ヘッドとプラテンローラーとの上端部間を、一定の間隔に規制する構造になっている。これにより、印刷時に、印刷ヘッドとプラテンローラーとの上部が相対的に離れるのを防いで、両者を均一に圧接し、印刷品質の向上を図っている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特許第３６２９８２３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このような、従来の印刷装置では、印刷ヘッドとプラテンローラーとの均一な圧接を維持するために、間隔規制部材を設けるようにしている。このため、この部分の構造が複雑になる問題があった。また、テープカセットの装着時に、印刷ヘッドとプラテンローラーとの間に、被印刷テープおよびインクリボンを挿入させる必要がある。このため、テープカセットの着脱に際し、間隔規制部材を起倒させる必要があり、操作が煩雑になる問題があった。

【0005】

本発明は、簡単な構造で且つ簡単な操作で、テープ印刷装置のプラテン支軸を両持ちの支持状態とすることが可能なテープカートリッジを提供することを課題としている。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明のテープカートリッジは、カートリッジ装着部に片持ち固定され、テープカートリッジの着脱方向に延在するプラテン支軸と、印刷ヘッドと、を備えたテープ印刷装置の、カートリッジ装着部に着脱可能に装着される為のテープカートリッジであって、カートリッジ装着部に装着されてプラテン支軸が貫通した状態で印刷動作すると印刷ヘッドからの押圧力を受けるプラテンローラーと、テープカートリッジの外郭を構成するカートリッジケースと、を備え、カートリッジケースは、着脱方向のうち装着方向における手前側でプラテンローラーを支持する上軸受部と、着脱方向のうち装着方向における奥側でプラテンローラーを支持する下軸受部と、を備え、プラテンローラーは、上軸受部と回転係合する上回転係合部と、下軸受部と回転係合する下回転係合部と、を備えていることを特徴とする。
この場合、カートリッジケースは、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、上軸受部の近傍でプラテン支軸の回転方向全周に近接して囲むように形成されていることが好ましい。
この場合、カートリッジケースには、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、プラテン支軸が挿通して嵌合する嵌合部が形成されていることが好ましい。
この場合、テープカートリッジは、長円形の上軸受部を空間構成するための覆壁部位を有し、嵌合部は、覆壁部位に形成されていることが好ましい。
この場合、上軸受部および下軸受部は、カートリッジ装着部に対し非装着状態で、プラテンローラーを支持すると共にプラテンローラーの径方向の移動を許容することが好ましい。
この場合、カートリッジケースに繰り出し可能に搭載された印刷テープを、更に備え、上軸受部および下軸受部は、プラテンローラーを、テープガイドとの間に印刷テープを挟み込むことにより印刷テープの繰出しを制止する制止位置と当該制止を解除する制止解除位置との間で、径方向の移動を許容し、カートリッジ装着部に装着された状態で、プラテン支軸は、制止解除位置に移動したプラテンローラーに挿通することが好ましい。
なお、以下の構成としてもよい。
本発明のテープカートリッジは、カートリッジ装着部に片持ち固定され、テープカートリッジの着脱方向に延在するプラテン支軸と、印刷ヘッドと、を備えたテープ印刷装置の、カートリッジ装着部に着脱可能に装着される為のテープカートリッジであって、カートリッジ装着部に装着され、印刷動作する場合に、印刷ヘッドからの押圧力を受けるプラテンローラーを回転自在に軸支し、プラテンローラーは、プラテン支軸を挿通受容する為の受容部を備え、カートリッジ装着部に装着された場合に、プラテン支軸の先端側に嵌合する嵌合部を備えたことを特徴とする。

【0007】

この場合、プラテンローラーを軸支するカートリッジケースを更に備え、嵌合部は、カートリッジケースの、着脱方向のうち装着方向における手前側のケース壁に設けられていることが好ましい。

【0008】

これらの構成によれば、カートリッジ装着部に装着すると、カートリッジケースがカートリッジ装着部に位置決めされると共に、テープ印刷装置のプラテン支軸がプラテンローラーに挿通する。同時に、ケース壁の嵌合部に、プラテン支軸の先端側が嵌合する。これにより、片持ち形式のプラテン支軸は、その先端側を、嵌合部を介してカートリッジケースに保持される。すなわち、カートリッジ装着部に装着するだけで、プラテン支軸を両持ちの支持状態とすることができる。したがって、簡単な構造で且つ簡単な操作で、プラテン支軸を、印刷ヘッドの押圧力により傾き難くすると共に、片持ち形式のプラテン支持で起こりがちな印刷動作中の振動を効果的に抑制し、両持ちの支持状態とすることが可能となる。

【0009】

また、嵌合部は、プラテン支軸の先端側を支持するための嵌合孔を有していることが好ましい。

【0010】

この構成によれば、装着方向の厚みが異なる複数種のテープカートリッジに対し、プラテン支軸を最大厚のテープカートリッジに対応する長さとしておけば、テープカートリッジの種別に関係なく、プラテン支軸を嵌合部に嵌合させることが可能となる。すなわち、複数種のテープカートリッジにおいて、プラテン支軸を両持ちの支持状態とすることが可能となる。

【0011】

また、カートリッジケースに設けられ、カートリッジ装着部に対し非装着状態で、プラテンローラーを支持すると共にプラテンローラーの径方向の移動を許容する軸受穴を、更に備えていることが好ましい。

【0012】

この構成によれば、プラテンローラーに挿通され、且つ嵌合部に嵌合するプラテン支軸において、プラテンローラーの中心と嵌合部の中心との間で、製造上の位置ズレが生じていても、プラテンローラーへの挿通および嵌合部への嵌合に支障を生ずることがない。

【0013】

この場合、軸受穴は、カートリッジケースにおける装着方向の手前側のケース壁に設けられた第１軸受穴と、奥側のケース壁に設けられた第２軸受穴と、を有し、嵌合部は、第１軸受穴に連通していることが好ましい。

【0014】

この構成によれば、カートリッジ装着部に対する非装着状態おいて、プラテンローラーの径方向の移動を許容することができる一方、装着状態おいて、プラテン支軸を両持ちの適切な支持状態とすることが可能となる。

【0015】

また、カートリッジケースに繰り出し可能に搭載された印刷テープを、更に備え、軸受穴は、プラテンローラーを、印刷テープの繰出しを制止する制止位置と制止を解除する制止解除位置との間で、径方向の移動を許容し、カートリッジ装着部に装着された状態で、プラテン支軸は、制止解除位置に移動したプラテンローラーに挿通することが好ましい。

【0016】

この構成によれば、カートリッジ装着部に装着された装着状態で、プラテンローラーを制止解除位置に確実に移動させることができ、且つ非装着状態で、プラテンローラーを必要に応じて制止位置に移動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0017】

【図1】実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態の外観斜視図である。

【図2】実施形態に係るテープカートリッジの平面図（ａ）および側面図（ｂ）である。

【図3】カートリッジ装着部の平面図である。

【図4】開閉蓋を裏面側から見た斜視図である。

【図5】上ケースと上ケースを取り去った状態のテープカートリッジの平面図（ａ）および上ケースの裏面図（ｂ）である。

【図6】テープカートリッジを裏面側から見た斜視図である。

【図7】テープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の断面図である。

【図8】テープカートリッジの断面図である。

【図9】プラテン支軸とテープカートリッジの嵌合部との関係を表した拡大断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0018】

以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジにつき、これが装着されるテープ印刷装置と共に説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル（テープ片）を作成するものである。

【0019】

［テープ印刷装置の概要］
図１は、テープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。図１に示すように、テープ印刷装置１は、外殻を構成する装置ケース３と、テープカートリッジ１００が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部５と、カートリッジ装着部５を開閉する開閉蓋７と、を備えている。装置ケース３の上面には、奥側にカートリッジ装着部５が設けられ、中央にディスプレイ１１が設けられ、手前側にキーボード１３が設けられている。開閉蓋７の近傍には、指掛け用の窪入部１５が設けられている。開閉蓋７は、この窪入部１５に指を掛け引き上げることにより開放される。そして、装置ケース３の側面（左側面）には、印刷テープ１０２が排出される縦長のテープ排出口１７が設けられている。

【0020】

また、テープ印刷装置１は、カートリッジ装着部５に立設された印刷ヘッド２１を有する印刷機構部２３と、カートリッジ装着部５の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部２５と、テープ排出口１７の近傍に内蔵したテープ切断機構部２７と、を備えている。ユーザーは、キーボード１３から印刷情報を入力し、ディスプレイ１１で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部２５が駆動することで、印刷テープ１０２とインクリボン１１０とが並走する。さらに、これに印刷機構部２３からインクリボン１１０へ加えられる熱によって、インクリボン１１０のインクを印刷テープ１０２に転写することで印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ１０２はテープ排出口１７から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部２７が駆動して、印刷テープ１０２の印刷済み部分が切り離される。

【0021】

［テープカートリッジの概要］
図２および図５に示すように、テープカートリッジ１００は、印刷テープ１０２をテープコア１０４に巻回したテープロール１０６と、インクリボン１１０を繰出しコア１１２に巻回したリボンロール１１４と、を備えている。また、テープカートリッジ１００は、使用後のインクリボン１１０を巻き取る巻取りコア１１６と、印刷ヘッド２１が当接すると共に印刷テープ１０２およびインクリボン１１０を送るプラテンローラー１２０（プラテン）と、を備えている。さらに、テープカートリッジ１００は、これらテープロール１０６、リボンロール１１４、巻取りコア１１６およびプラテンローラー１２０を収容したカートリッジケース１３０を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ１００は、外殻をカートリッジケース１３０で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。

【0022】

また、テープカートリッジ１００には、テープ印刷装置１に装着されるときに、印刷ヘッド２１が挿入される挿入開口１３４が、カートリッジケース１３０に形成されている。また、テープカートリッジ１００は、カートリッジケース１３０に形成され印刷テープ１０２が送り出されるテープ送出口１３８を備えている。なお、詳細は後述するが、テープロール１０６は、カートリッジケース１３０の内側に突設した円筒状のコア軸１９２に回転自在に支持されている（図５（ａ）参照）。

【0023】

上記のテープ送り機構部２５により、プラテンローラー１２０および巻取りコア１１６が駆動されると、印刷テープ１０２はテープコア１０４から繰り出され、インクリボン１１０は繰出しコア１１２から繰り出される。繰り出された印刷テープ１０２およびインクリボン１１０は、プラテンローラー１２０の部分で並走し、印刷ヘッド２１によって印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ１０２の繰出し端部（印刷済部分）は、テープ送出口１３８からテープ排出口１７に向かって送り出される。一方、インクリボン１１０は、挿入開口１３４の周壁部分を周回し、巻取りコア１１６に巻き取られる。なお、テープカートリッジ１００には、印刷テープ１０２のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種のものが用意されている。

【0024】

［テープ印刷装置の詳細］
図１および図３に示すように、カートリッジ装着部５は、テープカートリッジ１００の平面形状と相補的な平面形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ１００のうち、最大厚のテープカートリッジ１００に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部５の底板部を構成する装着ベース３１と側板部３３とは、樹脂等で一体に形成（成形）されている。カートリッジ装着部５と上記のテープ排出口１７との間には、スリット状のテープ排出経路３５が形成されており、この部分に、上記のテープ切断機構部２７が内蔵されている。

【0025】

カートリッジ装着部５の装着ベース３１には、上記のコア軸１９２が嵌合して位置決めされる位置決め突起４１と、ヘッドカバー４３に覆われた印刷ヘッド２１と、プラテンローラー１２０を回転駆動するプラテン駆動軸４５と、巻取りコア１１６を回転駆動する巻取り駆動軸４７と、が立設されている。また、巻取り駆動軸４７の近傍に位置して装着ベース３１には、印刷テープ１０２の種別（属性情報）を検出するテープ検出部５１が設けられている。

【0026】

同様に、装着ベース３１には、巻取り駆動軸４７の近傍に位置して繰出しコア１１２および巻取りコア１１６の回転止めを解除するコア解除部５３が設けられている。また、装着ベース３１には、その対角位置に一対の小突起５５が設けられ、加えて装着したテープカートリッジ１００の中間部を掛け止めする一対の掛止め片５７が設けられている。

【0027】

そして、装着ベース３１の裏側空間には、プラテン駆動軸４５および巻取り駆動軸４７を回転させるモーターおよびギヤ列（いずれも、図示省略）等で構成される、上記のテープ送り機構部２５が内蔵されている。テープ送り機構部２５は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸４５および巻取り駆動軸４７を同期回転させる。

【0028】

印刷機構部２３は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド２１と、印刷ヘッド２１を支持すると共に回動させるヘッド支持フレーム６１と、を有している。また、印刷機構部２３は、ヘッド支持フレーム６１を介して印刷ヘッド２１を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構（図示省略）と、印刷ヘッド２１（およびヘッド支持フレーム６１）を覆うヘッドカバー４３と、を有している。

【0029】

ヘッドリリース機構は、上記の開閉蓋７の開閉に連動して作動し、開閉蓋７の閉塞動作に連動して印刷ヘッド２１を印刷位置に移動（回動）させる。また、ヘッドリリース機構は、開放動作に連動して印刷ヘッド２１を退避位置に移動（回動）させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド２１は、プラテンローラー１２０にインクリボン１１０と印刷テープ１０２とを介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド２１は、プラテンローラー１２０から離間する。これにより、テープカートリッジ１００を着脱する際に、印刷テープ１０２やインクリボン１１０の印刷ヘッド２１への干渉が防止される。

【0030】

印刷ヘッド２１には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー１２０の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ１０２およびインクリボン１１０の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動により印刷が行われる。ヘッドカバー４３は、平面視略矩形に形成されおり、上記の装着ベース３１（カートリッジ装着部５）と一体に形成（成形）されている。また、ヘッドカバー４３は、装着ベース３１から垂直に大きく突出しており、その内側において印刷ヘッド２１の回動を許容し、外側においてテープカートリッジ１００の装着ガイドとして機能する。

【0031】

テープ検出部５１は、複数のマイクロスイッチ５１ａで構成されており、後述するテープカートリッジ１００の被検出部１８０に対し選択的に係合し、印刷テープ１０２のテープ幅やテープ色、材質等のテープカートリッジ１００の種別（属性情報）を検出する。そして、この検出結果に基づいて、印刷ヘッド２１やテープ送り機構部２５の駆動が制御される。

【0032】

コア解除部５３は、繰出しコア１１２用および巻取りコア１１６用の２つの解除ピン５３ａで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース１３０には、繰出しコア１１２および巻取りコア１１６にそれぞれ掛止めされる回転止めフック２０６が設けられている（図６参照）。テープカートリッジ１００を装着すると、これら回転止めフック２０６に解除ピン５３ａが係合し、繰出しコア１１２および巻取りコア１１６の回転止めが解除される。

【0033】

プラテン駆動軸４５は、プラテンローラー１２０を挿通するように長く延びたプラテン支軸４８と、プラテン支軸４８の基部に回転自在に軸支されたスプライン形状の回転駆動軸４９を有している（図３参照）。テープ送り機構部２５の回転動力は、この回転駆動軸４９に伝達され、更に回転駆動軸４９からプラテンローラー１２０に伝達される（詳細は、後述する）。

【0034】

同様に、巻取り駆動軸４７は、固定軸４７ａと、固定軸４７ａに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸４７ｂとを有している。この場合も、テープ送り機構部２５の回転動力は、可動軸４７ｂに伝達され、更に可動軸４７ｂから巻取りコア１１６に伝達される。

【0035】

テープカートリッジ１００をカートリッジ装着部５に装着すると、位置決め突起４１にコア軸１９２（テープコア１０４）が係合する。また、プラテン駆動軸４５にプラテンローラー１２０か係合し、更に巻取り駆動軸４７に巻取りコア１１６が係合する。そして、開閉蓋７を閉塞すると、印刷ヘッド２１が回動し、印刷テープ１０２およびインクリボン１１０を挟んでプラテンローラー１２０に当接して、テープ印刷装置１は印刷待機状態となる。

【0036】

図１および図４に示すように、開閉蓋７は、奥側に設けたヒンジ部７１を介して、装置ケース３に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋７は、開閉蓋本体７３と、開閉蓋本体７３の中央に設けた覗き窓７５と、開閉蓋本体７３の裏面に突設されヒンジ部７１に回動自在に軸支された一対の軸支片７７と、を有している。また、開閉蓋７は、開閉蓋本体７３の裏面に突設され印刷ヘッド２１を回動させる作動レバー７９と、開閉蓋本体７３の裏面に突設されテープカートリッジ１００を押し込む２つの押込み突起８１と、を有している。さらに、開閉蓋７は、開閉蓋本体７３の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ（図示省略）を作動（ＯＮ）さらる押下突起８３と、を有している。

【0037】

覗き窓７５は、横長に形成され、開閉蓋本体７３とは別体となる透明（可視光に対し透明）な樹脂で構成されている。この覗き窓７５越しに、カートリッジ装着部５に装着されたテープカートリッジ１００が、視認（印刷テープ１０２の種別やテープ残量）できるようになっている。また、一対の軸支片７７、作動レバー７９、２つの押込み突起８１および押下突起８３と、開閉蓋本体７３とは、樹脂で一体に形成（成形）されている。

【0038】

作動レバー７９は、開閉蓋本体７３の裏面から大きく突出しており、開閉蓋７の閉塞に伴って、カートリッジ装着部５の側方に設けたスリット開口８７に挿入される。スリット開口８７に挿入された作動レバー７９は、上記のヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド２１を回動させる。同様に、押下突起８３は、開閉蓋７の閉塞に伴って、スリット開口８７に隣接する矩形開口９１に挿入され、蓋閉塞検出スイッチを作動（ＯＮ）させる。

【0039】

一方の押込み突起８１は、テープカートリッジ１００のプラテンローラー１２０の近傍位置に対応している。他方の押込み突起８１は、上記のテープ検出部５１の直上位置に対応している。開閉蓋７を閉塞すると、２つの押込み突起８１は、テープカートリッジ１００がカートリッジ装着部５の装着ベース３１に着座するようにこれを押し込むと共に、テープカートリッジ１００の浮き上がりを防止する。

【0040】

［テープカートリッジの詳細］
次に、図２、図５および図６を参照して、テープカートリッジ１００について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ１００の説明では、図２を例に、テープカートリッジ１００の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側の円弧状の側面を「先端面」と、下側の側面を「基端面」と、称呼するものとする。

【0041】

テープカートリッジ１００は、上述のように、カートリッジケース１３０と、これに収容したテープロール１０６、リボンロール１１４、巻取りコア１１６およびプラテンローラー１２０と、を備えている。また、テープカートリッジ１００は、カートリッジケース１３０に形成され挿入開口１３４と、プラテンローラー１２０の近傍において左側面に形成したテープ送出口１３８と、テープロール１０６が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された識別シール１４１（図１参照）と、を備えている。識別シール１４１には、カートリッジケース１３０に収容されている印刷テープ１０２のテープ幅やテープ色、材質等（属性情報の一部）が、表面および左側面の２箇所に表示されている。

【0042】

カートリッジケース１３０は、テープカートリッジ１００の外郭を構成するものであり（シェル構造）、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「Ｌ」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース１３０は、カートリッジ装着部５に装着したときに奥側となる下ケース１５０と、手前側となる上ケース１５２と、を有している。実施形態のカートリッジケース１３０は、上ケース１５２が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース１５０が不透明な樹脂の成型品で構成されている。

【0043】

上ケース１５２は、カートリッジケース１３０の表面を構成する天壁部１５６と、天壁部１５６の周縁部に垂設された上周壁部１５８と、で一体に形成（成形）されている。また、下ケース１５０は、カートリッジケース１３０の裏面を構成する底壁部１６０と、底壁部１６０の周縁部に立設された下周壁１６２と、上記の挿入開口１３４を画成すべく底壁部１６０に立設された開口周壁部１６４と、で一体に形成（成形）されている。

【0044】

上ケース１５２における上周壁部１５８の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン１７０が設けられる一方、下ケース１５０の下周壁１６２には、この複数の接合ピン１７０に対応して複数の接合孔１７２が設けられている（図５参照）。下ケース１５０に、テープロール１０６やリボンロール１１４等の構成部品をセットした後、複数の接合孔１７２に複数の接合ピン１７０を圧入するように上ケース１５２を接合することにより、テープカートリッジ１００が組み立てられる。なお、各接合孔１７２は、成形の容易性を考慮し貫通孔となっている。

【0045】

一方、下ケース１５０の左側面および右側面には、上記の一対の掛止め片５７に掛け止めされる一対の掛止受け部１７４が設けられている（図２および図６参照）。装着したテープカートリッジ１００の一対の掛止受け部１７４に、カートリッジ装着部５側の一対の掛止め片５７が掛け止めされることにより、テープカートリッジ１００の浮き上がりが防止される。また、下ケース１５０の裏面には、上記の一対の小突起５５が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴１７６が設けられている（図６参照）。装着したテープカートリッジ１００の一対の嵌合小穴１７６に、カートリッジ装着部５側の一対の小突起５５が嵌合することにより、装着ベース３１上におけるテープカートリッジ１００の簡単な位置決めが為される。

【0046】

さらに、下ケース１５０の裏面には、基端面側の左隅部（表面側から見て右隅部）に位置して、上記のテープ検出部５１に対応する被検出部１８０が設けられている（図６参照）。被検出部１８０は、テープ検出部５１の複数のマイクロスイッチ５１ａに対応する部分に構成され、この部分に設けた受け孔１８０ａの有無により、複数のビットパターンを得るようにしている。すなわち、このビットパターンが、上記した印刷テープ１０２の種別に対応している。

【0047】

図５に示すように、カートリッジケース１３０内の上側空間（先端面側）には、広くテープロール１０６が収容されるテープ収容エリア１９０が構成されている。テープ収容エリア１９０の中央には、下ケース１５０に一体に形成（成形）されたコア軸１９２が立設されている。コア軸１９２は、円筒状に形成されており、その外周面にはテープロール１０６（テープコア１０４）が回転自在に軸支されている。

【0048】

また、テープ収容エリア１９０には、プラテンローラー１２０の近傍に位置して繰り出された印刷テープ１０２をプラテンローラー１２０に導くテープガイド１９４が、下ケース１５０に一体に立設されている。すなわち、カートリッジケース１３０の内部には、テープロール１０６を起点とし、テープガイド１９４およびプラテンローラー１２０を経てテープ送出口１３８に至るテープ送り経路１９６が構成されている。テープロール１０６から繰り出された印刷テープ１０２は、テープガイド１９４を介してプラテンローラー１２０に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー１２０からテープ送出口１３８に導かれる。

【0049】

テープロール１０６は、印刷テープ１０２およびテープコア１０４を有すると共に、ロール状の印刷テープ１０２の両端面に貼着された２枚の円形フィルム１９８を有している。この２枚の円形フィルム１９８は、テープコア１０４に巻回した印刷テープ１０２のバラケを防止している。また、テープコア１０４には、図示では省略したが、逆転止め機構が組み込まれている。テープカートリッジ１００を持ち運びするときには、この逆転止め機構により、印刷テープ１０２の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ１００をテープ印刷装置１のカートリッジ装着部５に装着すると、上記の位置決め突起４１により逆転止め機構の逆転止めが解除される。これにより、印刷テープ１０２の送りが可能になる。

【0050】

カートリッジケース１３０内の基部右側には、挿入開口１３４に隣接してリボン収容エリア２００が構成されている。リボン収容エリア２００の右寄りには、リボンロール１１４（繰出しコア１１２）を回転自在に支持する繰出し側軸受部２０２が、また左寄りには、巻取りコア１１６を回転自在に支持する巻取り側軸受部２０４が、それぞれカートリッジケース１３０に一体に形成されている。すなわち、上ケース１５２および下ケース１５０に、それぞれ繰出し側軸受部２０２および巻取り側軸受部２０４が形成されている。

【0051】

下ケース１５０に形成された繰出し側軸受部２０２および巻取り側軸受部２０４の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部２０２および巻取り側軸受部２０４に臨ませた回転止めフック２０６が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック２０６は繰出しコア１１２に、他方の回転止めフック２０６は巻取りコア１１６に、それぞれ回転止め状態に係合されている。

【0052】

繰出し側軸受部２０２の近傍に位置してリボン収容エリア２００には、繰り出されたインクリボン１１０をプラテンローラー１２０に導く第１リボンガイド２１０が、下ケース１５０に一体に立設されている。また、上記の開口周壁部１６４の外周側には、インクリボン１１０の周回をガイドする複数の第２リボンガイド２１２が一体に形成されている。

【0053】

すなわち、カートリッジケース１３０の内部には、リボンロール１１４を起点とし、第１リボンガイド２１０、プラテンローラー１２０および複数の第２リボンガイド２１２を経て巻取りコア１１６に至るリボン送り経路２１４が構成されている。リボンロール１１４から繰り出されたインクリボン１１０は、第１リボンガイド２１０を介してプラテンローラー１２０に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー１２０から開口周壁部１６４（複数の第２リボンガイド２１２）を周回して巻取りコア１１６に巻き取られる。

【0054】

リボンロール１１４は、インクリボン１１０および繰出しコア１１２を有すると共に、繰出しコア１１２に制動負荷を付与する円環状の板ばね２２０を有している（図５（ｂ）参照）。板ばね２２０は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース１５２の天壁部１５６と繰出しコア１１２との間に介設されている。すなわち、繰出しコア１１２には、この板ばね２２０の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア１１６により繰り出されてゆくインクリボン１１０には、バックテンションが付与されその弛みが防止される。

【0055】

繰出しコア１１２は円筒状に形成され、その下ケース１５０側の端部には、周方向に複数の切欠き２２２が形成されている（図６参照）。そして、複数の切欠き２２２には、上記の回転止めフック２０６が係脱するようになっている。なお、繰出しコア１１２を支持する下ケース１５０側の繰出し側軸受部２０２は円形の開口で構成されているが、上ケース１５２側の繰出し側軸受部２０２は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記の板ばね２２０が装着されている（いずれも、図５（ｂ）参照）。

【0056】

同様に、巻取りコア１１６は円筒状に形成され、その下ケース１５０側の端部には、周方向に複数の切欠き２２４が形成されている。そして、複数の切欠き２２４には、上記の回転止めフック２０６が係脱する。また、巻取りコア１１６の内周面にはスプライン溝２２６が形成され、上記の巻取り駆動軸４７にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸４７の回転力が巻取りコア１１６に伝達され、インクリボン１１０が巻き取られる。

【0057】

カートリッジケース１３０内の基部左側には、挿入開口１３４に隣接してプラテン収容エリア２３０が構成されている。プラテン収容エリア２３０の中央には、下ケース１５０に形成した楕円状開口（長円状開口）の下軸受部２３４と（図６参照）、上ケース１５２に形成した楕円状開口の上軸受部２３２と（図５（ｂ）参照）が設けられている。そして、上軸受部２３２および下軸受部２３４には、プラテンローラー１２０が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部２３２および下軸受部２３４に支持されたプラテンローラー１２０は、プラテン駆動軸４５に係合するホーム位置（制止解除位置）と、印刷テープ１０２を挟み込んでテープガイド１９４に接する挟持位置（制止位置）との間で、横移動（微小移動）可能に構成されている。

【0058】

ところで、このテープカートリッジ１００は、印刷テープ１０２の繰出し端部を、テープ送出口１３８から外部に僅かに突出された状態で持ち運びされる（図１参照）。その際、誤って印刷テープ１０２の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー１２０が上記の挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ１０２の繰出し端部が、テープ送出口１３８からカートリッジケース１３０内に引き込まれることが防止される。

【0059】

また、上ケース１５２（天壁部１５６）には、上軸受部２３２の外側に位置して、上記のプラテン支軸４８の先端側が嵌合する嵌合部２３６が形成されている。嵌合部２３６は、天壁部１５６を貫通する嵌合孔で構成されている。また、嵌合部２３６は、上軸受部２３２に連通しており、上記のホーム位置における上軸受部２３２と同軸上に配設されている（詳細は後述する）。

【0060】

プラテンローラー１２０は、円筒状のローラー基体２４０と、ローラー基体２４０の外周面に装着したゴムローラー２４２と、を有している。ゴムローラー２４２は、軸方向において印刷ヘッド２１に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド２１は、印刷テープ１０２およびインクリボン１１０を挟み込んでこのゴムローラー２４２に接触する。また、ローラー基体２４０の内周面にはスプライン溝２４４が形成され、このスプライン溝２４４には、上記のプラテン駆動軸４５の回転駆動軸４９が係合する。これにより、プラテン駆動軸４５の回転力がプラテンローラー１２０に伝達され、印刷テープ１０２（およびインクリボン１１０）が印刷送りされる。

【0061】

［嵌合部およびプラテン支軸の詳細］
次に、図７および図８を参照して、テープカートリッジ１００の嵌合部２３６廻りの構造について、プラテン駆動軸４５のプラテン支軸４８の構造と共に詳細に説明する。図７は、テープカートリッジ１００をカートリッジ装着部５に装着した状態の断面図であり、図８は、テープカートリッジ１００の断面図である。

【0062】

図７に示すように、プラテン駆動軸４５は、装着ベース３１の下方に位置する装置フレーム２６０に立設されたプラテン支軸４８と、プラテン支軸４８の下部に回転自在に支持された回転駆動軸４９と、を有している。回転駆動軸４９は、平歯車で構成されたギヤ部２７０と、ギヤ部２７０に一体に設けたスプライン部２７２とを有している。そして、ギヤ部２７０が上記のテープ送り機構部２５に連結されている。

【0063】

また、プラテン支軸４８は、ストレート形状の軸本体２８０と、軸本体２８０の基端側に連なる軸固定部２８２と、で一体に形成されている。軸固定部２８２を、装置フレーム２６０に形成した下穴に圧入されており、これにより、プラテン支軸４８は、装置フレーム２６０に固定されている。すなわち、テープカートリッジ１００の着脱方向に延在するプラテン支軸４８は、装置フレーム２６０に片持ち状態で固定されている。実施形態のプラテン支軸４８は、装置フレーム２６０から公差するように延び、その軸本体２８０が、装着ベース３１を貫通してカートリッジ装着部５内に露出している。そして、プラテン支軸４８の先端部は、面取り形状に形成され、ヘッドカバー４３と略同一の高さに達している。

【0064】

カートリッジ装着部５にテープカートリッジ１００を装着すると（装着方向は、プラテン支軸４８の先端から基端に向かう方向であり、離脱方向はその逆方向）、着脱方向に延在したプラテン支軸４８（軸本体２８０）が、プラテンローラー１２０のローラー基体２４０に挿通し、回転駆動軸４９がローラー基体２４０の下端部に係合する。すなわち、プラテンローラー１２０は、プラテン支軸４８により回転自在に支持され、且つこの状態で回転駆動軸４９により回転駆動される。

【0065】

図７および図８に示すように、プラテンローラー１２０は、ローラー基体２４０と、ローラー基体２４０に装着したゴムローラー２４２と、を有している。ローラー基体２４０は、段付きの円筒状に形成されている。ローラー基体２４０は、ゴムローラー２４２を保持するローラー保持部３００と、ローラー保持部３００の上側に連なる環状ボス部３０２と、ローラー保持部３００の下側に連なると共に、内周面にスプライン溝２４４を形成した環状係合部３０４と、で一体に形成（成形）されている。

【0066】

環状ボス部３０２は、ゴムローラー２４２の抜け止めとして機能すると共に、その先端側に上記の上軸受部２３２に回転係合する上回転係合部３１０を有している。また、環状係合部３０４は、回転動力の入力部位として機能すると共に、その基端側に上記の下軸受部２３４に回転係合する下回転係合部３１２を有している。すなわち、プラテンローラー１２０は、その上回転係合部３１０および下回転係合部３１２の近傍で、上ケース１５２の天壁部１５６（上軸受部２３２）および下ケース１５０の底壁部１６０（下軸受部２３４）に、両持ちの状態（両端部で、プラテン支軸４８が延伸する方向と交差する方向との変位が規制され、自由無制限には変位できない状態）で回転自在に支持されている。

【0067】

上述のように、装着方向手前側（プラテン支軸４８の先端側）にある上軸受部２３２および装着方向奥側（回転駆動軸４９側）にある下軸受部２３４は、平面視長円形（楕円形）に形成されており、プラテンローラー１２０は、カートリッジケース１３０に回転自在、且つ微小移動（横移動）可能に支持されている。なお、この微小移動は、引き込まれる印刷テープ１０２に伴って（摩擦力で）、プラテンローラー１２０を移動させることを意図しており、上記のテープガイド１９４に対し、斜めに交差する方向への移動となっている。これにより、印刷テープ１０２をプラテンローラー１２０とテープガイド１９４との間に挟み込ませて（挟持して）、意図せぬ印刷テープ１０２の巻き込みを防いでいる。

【0068】

一方、図９に示すように、上ケース１５２の天壁部１５６には、上軸受部２３２の外側に位置して、プラテン支軸４８（の軸本体２８０）の先端側が嵌合する嵌合部２３６が形成されている。この場合、天壁部１５６には、プラテンローラー１２０のプラテン支軸４８方向から見た場合（例えば、プラテン支軸４８の先端側から基端側に向かって視た場合）、長円形を為す上軸受部２３２を空間構成すべく、僅かに盛り上がった覆壁部位３１６が形成されており、この覆壁部位３１６に、嵌合部２３６が形成されている。また、嵌合部２３６を形成した覆壁部位３１６の環状縁部には、誘いの斜面が形成され、テープカートリッジ１００をカートリッジ装着部５へ装着するに際して、引っ掛かりが生じ難くしている。

【0069】

上述のように、嵌合部２３６は嵌合孔（貫通孔）で構成されており、プラテン支軸４８の先端側が嵌合し且つ挿通するようになっている。また、嵌合部２３６は、上記のように、ホーム位置（制止解除状態において、上回転係合部３１０が存在すべき長円形を為す上軸受部２３２の中の位置）における上軸受部２３２と同軸上に配設されている。したがって、テープカートリッジ１００をカートリッジ装着部５に装着すると、プラテンローラー１２０は、プラテン支軸４８により規制され、自動的にホーム位置に移動する。そして、プラテン支軸４８と嵌合部２３６とは、ほぼガタツキの生じない寸法公差となっており、嵌合部２３６は、基端側（下部側）で片持ち支持されたプラテン支軸４８の先端側を保持する（プラテン支軸４８が延伸する方向と交差する方向との変位を規制する）。

【0070】

以上のように、本実施形態によれば、カートリッジ装着部５に装着されたテープカートリッジ１００の嵌合部２３６が、プラテン駆動軸４５のプラテン支軸４８の先端側に嵌合する。このため、基端側を片持ちで支持されたプラテン支軸４８の先端側が、嵌合部２３６により保持される。すなわち、テープカートリッジ１００をカートリッジ装着部５に装着するだけで、プラテン支軸４８を両持ちの支持状態とすることができる。したがって、簡単な構造で且つ簡単な操作で、プラテン支軸４８を両持ちの支持状態とすることが可能となる。

【0071】

これにより、プラテン支軸４８に支持されたプラテンローラー１２０が、印刷ヘッド２１から押圧力を受ける印刷動作状態でも、プラテンローラー１２０の傾きを低減し、印刷ヘッド２１とプラテンローラー１２０とをほぼ均一に接触させることができる。したがって、高い印刷品質を維持することができる。また、印刷動作に伴う振動でプラテンローラー１２０が共振したとしても、基端側を片持ち支持されたプラテン支軸４８の先端側（片持ち支持であれば、最大振幅を持つ変位で軸方向と交差する方向に振動する部位）のプラテン支軸４８と交差する方向への変位を抑制することで、効果的に制振することができる。

【0072】

また、嵌合部２３６を貫通した嵌合孔とすることで、厚みが異なる複数種のテープカートリッジ１００に対し、プラテン支軸４８を最大厚のテープカートリッジ１００に対応する長さとしておけば、テープカートリッジ１００の厚み種別に関係なく、プラテン支軸４８を嵌合部２３６に嵌合させることができる。したがって、カートリッジ装着部５に装着されるテープカートリッジ１００の厚みに関わらず、プラテン支軸４８を両持ちの支持状態とすることができる。

【0073】

なお、最大幅のテープカートリッジ１００においては、嵌合部２３６の形状を袋状とすることができ、上ケース１５２の表面において嵌合部２３６による引っ掛かりを軽減することができる。また、テープカートリッジ１００が上面を基準に装着されるテープ印刷装置１にあっても、その嵌合部２３６が、必ずしも貫通孔である必要はない。

【符号の説明】

【0074】

５…カートリッジ装着部、２５…テープ送り機構部、３１…装着ベース、４５…プラテン駆動軸、４８…プラテン支軸、４９…回転駆動軸、１００…テープカートリッジ、１２０…プラテンローラー、１３０…カートリッジケース、１５０…下ケース、１５２…ケース、１５６…天壁部、１６０…底壁部、２３２…上軸受部、２３４…下軸受部、２３６…嵌合部、２４０…ローラー基体、２４２…ゴムローラー、２６０…装置フレーム、２７…ギヤ部、２７２…スプライン部、２８０…軸本体、２８２…軸固定部、３００…ローラー保持部、３０２…環状ボス部、３０４…環状係合部、３１０…上回転係合部、３１２…下回転係合部、３１６…覆壁部位。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】