特許第6359765号(P6359765)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6359765
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】釣糸
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/00 20060101AFI20180709BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20180709BHJP
   D02G 3/12 20060101ALI20180709BHJP
   D02G 3/36 20060101ALI20180709BHJP
   D02G 3/44 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A01K91/00 F
   D02G3/04
   D02G3/12
   D02G3/36
   D02G3/44
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-513823(P2017-513823)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(86)【国際出願番号】JP2016086746
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111523
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 良文
(72)【発明者】
【氏名】江島 一嘉
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5940233(JP,B2)
【文献】 特許第5882527(JP,B2)
【文献】 特開2015−006149(JP,A)
【文献】 実開平07−000065(JP,U)
【文献】 特開平06−007061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/00
D02G 3/04
D02G 3/12
D02G 3/36
D02G 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維からなる芯線と、
その芯線の外周に巻回された1層の側線と、
その側線の外周を被覆する樹脂と、
を備え、
前記側線は、繊維と金属素線とから構成され、
前記側線の前記金属素線の外径は、前記側線の前記繊維の外径よりも小さく、
前記側線の前記繊維は、前記金属素線の両側に少なくとも2本配置され、
前記金属素線は、その金属素線の両側に配置された前記繊維のいずれにも当接していないことを特徴とする釣糸。
【請求項2】
繊維からなる芯線と、
その芯線の外周に巻回された1層の側線と、
その側線の外周を被覆する樹脂と、
を備え、
前記側線は、繊維と金属素線とから構成され、
前記側線の前記金属素線の外径は、前記側線の前記繊維の外径よりも小さく、
前記側線の前記繊維は、前記金属素線の両側に少なくとも2本配置され、
前記金属素線は、その金属素線の両側に配置された前記繊維のうち、一方の繊維に当接し、他方の繊維に当接していないことを特徴とする釣糸。
【請求項3】
前記樹脂は、断面視円形であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の釣糸。
【請求項4】
前記金属素線を1本としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の釣糸。
【請求項5】
前記側線は、前記繊維と前記金属素線とが断面全体に同一数交互に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の釣糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟性と強度とを両立させる目的で、合成繊維と、金属線とからなる釣糸が開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、合成繊維からなる芯糸3と、その芯糸3の周りに配置された6本の金属線4と、その金属線4の外側に配置された合成繊維からなる4つの鞘部5とを備えた釣糸6が記載されている(図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−283933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に記載されている釣糸は、合成繊維からなる芯線の周りに複数の金属素線を配置し、その金属素線の周りに合成繊維からなる鞘部を配置している為、釣糸の外径が太くなり、柔軟性も損なわれるという問題があった。
【0006】
釣糸の外径が太くなった場合には、川の流れ等による抵抗力が大きくなり、釣り人が魚を釣る際に釣竿から感じる感覚が鈍くなると共に、魚が釣糸に気付き易くなるという問題がある。
【0007】
また、釣糸の柔軟性が損なわれた場合には、釣り人が魚を釣る際に釣竿から感じる感覚がさらに鈍くなるという問題がある。
【0008】
さらに、釣糸については、一般に、釣糸の耐久性、合成繊維と金属素線との密着性及び釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性についても考慮する必要がある。
【0009】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させた釣糸、その上で、釣糸の耐久性を向上させた釣糸、合成繊維と金属素線との密着性を向上させた釣糸、または、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性を向上させた釣糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、態様1の発明は、繊維からなる芯線と、その芯線の外周に巻回された1層の側線とを備え、前記側線は、繊維と金属素線とから構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、態様2の発明は、態様1の発明において、前記側線の前記金属素線の外径は、前記側線の前記繊維の外径よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
また、態様3の発明は、態様1の発明において、前記側線の前記金属素線の外径は、前記側線の前記繊維の外径よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
また、態様4の発明は、態様1の発明において、前記側線の前記金属素線の外径は、前記側線の前記繊維の外径と略同一であることを特徴とする。
【0014】
また、態様5の発明は、態様1乃至態様4の発明の何れかにおいて、前記側線は、断面視において、前記金属素線が一方に偏位していることを特徴とする。
【0015】
また、態様6の発明は、態様5の発明において、前記金属素線を1本としたことを特徴とする。
【0016】
さらに、態様7の発明は、態様1乃至態様4の発明の何れかにおいて、前記側線は、前記繊維と前記金属素線とが断面全体に同一数交互に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
態様1の発明に係る釣糸は、繊維からなる芯線と、その芯線の外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維と金属素線とから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0018】
また、態様2の発明に係る釣糸は、態様1の発明に係る釣糸において、側線の金属素線の外径が、側線の繊維の外径よりも大きいので、態様1の発明の効果に加え、釣糸の耐久性を向上させることができる。
【0019】
また、態様3の発明に係る釣糸は、態様1の発明に係る釣糸において、側線の金属素線の外径が、側線の繊維の外径よりも小さいので、態様1の発明の効果に加え、合成繊維と金属素線との密着性を向上させることができる。
【0020】
また、態様4の発明に係る釣糸は、態様1の発明に係る釣糸において、側線の金属素線の外径が、側線の繊維の外径と略同一であるので、態様1の発明の効果に加え、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性を向上させることができる。
【0021】
また、態様5の発明に係る釣糸は、態様1乃至態様4の発明の何れかに係る釣糸において、側線は、断面視において、金属素線が一方に偏位しているので、態様1乃至態様4の発明の何れかの効果に加え、釣糸自体を適度に湾曲させて、釣糸を魚に気付き難くさせることができる。
【0022】
また、態様6の発明に係る釣糸は、態様5の発明に係る釣糸において、金属素線を1本としたので、態様5の発明の効果に加え、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径をさらに細くし、釣糸の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0023】
さらに、態様7の発明に係る釣糸は、態様1乃至態様4の発明の何れかに係る釣糸において、側線は、繊維と金属素線とが断面全体に同一数交互に配置されているので、態様1乃至態様4の発明の何れかの効果に加え、釣糸自体を極力真っ直ぐにして、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態の釣糸の断面図である。
図2】第1実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態の釣糸の断面図である。
図4】第2実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
図5】本発明の第3実施形態の釣糸の断面図である。
図6】第3実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
図7】本発明の第4実施形態の釣糸の断面図である。
図8】第4実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
図9】本発明の第5実施形態の釣糸の断面図である。
図10】第5実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
図11】本発明の第6実施形態の釣糸の断面図である。
図12】本発明の第7実施形態の釣糸の断面図である。
図13】本発明の第8実施形態の釣糸の断面図である。
【0025】
以下、本発明の釣糸について、図面を参照して説明する。
【0026】
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態の釣糸1について説明する。なお、本実施形態及びこれ以降の実施形態の釣糸においては、釣糸の外径が20μm〜100μmであって、従来に無い細さを実現している。
【0027】
また、本実施形態及びこれ以降の実施形態の釣糸は、どんな魚にも使用することが可能であるが、特に、鮎つりに好適な釣糸であって、鮎の習性を利用して開発されたものである。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態の釣糸の断面図であり、図2は、第1実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
【0029】
図1及び図2では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0030】
図1及び図2において、釣糸1は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に螺旋状に巻回された繊維5b〜5fと金属素線3とから構成された1層の側線と、芯線5aと側線とを被覆する樹脂7とを備える。
【0031】
なお、本実施形態及びその後の実施形態における「側線」とは、断面視において、芯線の全外周を覆う1層目の素線群を意味する。
【0032】
したがって、本実施形態の「側線」は、繊維5b〜5f及び金属素線3からなる(図1参照)。
【0033】
芯線5aは、外径が7〜30μmの1本のフィラメントからなる。芯線5aの材料は、繊維であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径20μmのポリアリレート(合成繊維)が使用されている。
【0034】
また、側線の繊維5b〜5fも、夫々が外径7〜30μmの1本のフィラメントからなる。繊維5b〜5fの材料は、繊維であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、外径20μmのポリアリレート(合成繊維)が使用されている。
【0035】
また、本実施形態の側線の金属素線3の外径は40μmであり、図1に示すように、側線の繊維5b〜5fの外径よりも大きい。
【0036】
側線の金属素線3の材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0037】
さらに、樹脂7の材料も、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0038】
本実施形態の釣糸1は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5b〜5fと金属素線3とから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0039】
また、本実施形態の釣糸1は、側線の金属素線3の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも大きいので、釣糸1が石や岩等の硬い物質に擦れた場合にも、金属素線3がそれらの硬い物質に優先的に当接する為、釣糸の耐久性を向上させることもできる。
【0040】
また、本実施形態の釣糸1は、断面視において、金属素線3が一方に偏位しているので、釣糸自体を適度に湾曲させて、釣糸を魚に気付き難くさせることができる。
【0041】
さらに、本実施形態の釣糸1は、金属素線3を1本としたので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径をさらに細くし、釣糸の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0042】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の釣糸10について説明する。図3は、本発明の第2実施形態の釣糸の断面図であり、図4は、第2実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
【0043】
図3及び図4では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0044】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なる箇所のみ説明し、第1実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0045】
図3及び図4において、本実施形態の釣糸10は、第1実施形態の釣糸1と比較して、釣糸の断面形状と金属素線とが異なる。すなわち、第1実施形態の釣糸1の断面形状は、一部が突出した円形状であったのに対し、本実施形態の釣糸10の断面形状は、一部が凹んだ円形状である。また、第1実施形態の側線の金属素線3の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも大きかったのに対し、本実施形態の側線の金属素線13の外径は10μmであり、図3に示すように、側線の繊維5b〜5fの外径よりも小さい。
【0046】
したがって、本実施形態の金属素線13と繊維5bとの間及び金属素線13と繊維5fとの間には、空隙が形成され、その空隙に樹脂17が入り込んでいる。
【0047】
側線の金属素線13の材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0048】
また、本実施形態の樹脂17は、第1実施形態の樹脂7と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂17の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0049】
本実施形態の釣糸10は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5b〜5fと金属素線13とから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態の釣糸10は、側線の金属素線13の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも小さいので、樹脂17が繊維5bと金属素線13との間及び繊維5fと金属素線13との間に介在するようになり、繊維と金属素線13との密着性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態の釣糸10は、断面視において、金属素線13が一方に偏位しているので、釣自体を適度に湾曲させて、釣糸を魚に気付き難くさせることができる。
【0052】
さらに、本実施形態の釣糸10は、金属素線13を1本としたので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径をさらに細くし、釣糸の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0053】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の釣糸20について説明する。図5は、本発明の第3実施形態の釣糸の断面図であり、図6は、第3実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
【0054】
図5及び図6では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0055】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なる箇所のみ説明し、第1実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0056】
図5及び図6において、本実施形態の釣糸20は、第1実施形態の釣糸1と比較して、釣糸の断面形状と金属素線とが異なる。すなわち、第1実施形態の釣糸1の断面形状は、一部が突出した円形状であったのに対し、本実施形態の釣糸20の断面形状は円形状である。また、第1実施形態の側線の金属素線3の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも大きかったのに対し、本実施形態の側線の金属素線23の外径は10μmであり、、図5に示すように、側線の繊維5b〜5fの外径よりも小さい。
【0057】
但し、金属素線23は、第2実施形態の金属素線13と異なり、繊維5fと当接しており、金属素線23と繊維5bとの間にのみ空隙が形成され、その空隙に樹脂27が入り込んでいる。
【0058】
側線の金属素線23の材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0059】
また、本実施形態の樹脂27は、第1実施形態の樹脂7と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂27の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0060】
本実施形態の釣糸20は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5b〜5fと金属素線23とから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態の釣糸20は、側線の金属素線23の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも小さいので、樹脂27が繊維5bと金属素線23との間に介在するようになり、繊維5bと金属素線23との密着性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態の釣糸20は、断面視円形であるので、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態の釣糸20は、断面視において、金属素線23が一方に偏位しているので、釣自体を適度に湾曲させて、釣糸を魚に気付き難くさせることができる。
【0064】
さらに、本実施形態の釣糸20は、金属素線23を1本としたので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径をさらに細くし、釣糸の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0065】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の釣糸30について説明する。図7は、本発明の第4実施形態の釣糸の断面図であり、図8は、第4実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
【0066】
図7及び図8では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0067】
また、本実施形態では、第1実施形態と異なる箇所のみ説明し、第1実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0068】
図7及び図8において、本実施形態の釣糸30は、第1実施形態の釣糸1と比較して、釣糸の断面形状と金属素線とが異なる。すなわち、第1実施形態の釣糸1の断面形状は、一部が突出した円形状であったのに対し、本実施形態の釣糸30の断面形状は円形状である。また、第1実施形態の側線の金属素線3の外径が、側線の繊維5b〜5fの外径よりも大きかったのに対し、本実施形態の側線の金属素線33の外径は20μmであり、図7に示すように、側線の繊維5b〜5fの外径と略同一である。
【0069】
側線の金属素線33の材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0070】
また、本実施形態の樹脂37は、第1実施形態の樹脂7と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂37の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0071】
本実施形態の釣糸30は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5b〜5fと金属素線33とから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態の釣糸30は、側線の金属素線33の外径は、側線の繊維5b〜5fの外径と略同一であるので、釣糸30を水中から引き上げたときの水切れの良好性を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態の釣糸30は、断面視円形であるので、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態の釣糸30は、断面視において、金属素線33が一方に偏位しているので、釣自体を適度に湾曲させて、釣糸を魚に気付き難くさせることができる。
【0075】
さらに、本実施形態の釣糸30は、金属素線33を1本としたので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径をさらに細くし、釣糸の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0076】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態の釣糸40について説明する。図9は、本発明の第5実施形態の釣糸の断面図であり、図10は、第5実施形態の釣糸から樹脂を除去した状態の一部を示す斜視図である。
【0077】
図9及び図10では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0078】
また、本実施形態では、第4実施形態と異なる箇所のみ説明し、第4実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0079】
図9及び図10において、本実施形態の釣糸40は、第4実施形態の釣糸30と比較して、金属素線の本数が異なる。すなわち、第4実施形態の金属素線33が1本であるのに対し、本実施形態の金属素線は、図9に示すように3本(43a、43b及び43c)である。
なお、金属素線43a、43b及び43cの外径は20μmである。
【0080】
側線の金属素線43a、43b及び43cの材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0081】
また、本実施形態の樹脂47は、第4実施形態の樹脂37と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂47の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0082】
本実施形態の釣糸40は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5c、5e及び45g(外径20μmのポリアリレート(合成繊維))と金属素線43a、43b及び43cとから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態の釣糸40は、側線の金属素線43a、43b及び43cの外径は、側線の繊維5c、5e及び45gの外径と略同一であるので、釣糸40を水中から引き上げたときの水切れの良好性を向上させることができる。
【0084】
さらに、本実施形態の釣糸40は、断面視円形であるので、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態の釣糸40は、側線の繊維5c、5e及び45gと、側線の金属素線43a、43b及び43cとが断面全体に同一数交互に配置されているので、釣糸自体を極力真っ直ぐにして、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0086】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態の釣糸50について説明する。図11は、本発明の第6実施形態の釣糸の断面図である。
【0087】
図11では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0088】
また、本実施形態では、第5実施形態と異なる箇所のみ説明し、第5実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0089】
図11において、本実施形態の釣糸50は、第5実施形態の釣糸40と比較して、金属素線の外径が異なる。すなわち、第5実施形態の側線の金属素線43a、43b及び43cの外径は、側線の繊維5c、5e及び45gの外径と略同一であったのに対し、本実施形態の金属素線53a、53b及び53cの外径は10μmであり、図11に示すように、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも小さい。
【0090】
側線の金属素線53a、53b及び53cの材料は、タングステン等の金属であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、ステンレス鋼が使用されている。
【0091】
また、本実施形態の樹脂57は、第4実施形態の樹脂47と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂57の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0092】
本実施形態の釣糸50は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5c、5e及び45gと金属素線53a、53b及び53cとから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態の釣糸50は、側線の金属素線53a、53b及び53cの外径が、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも小さいので、樹脂57が、繊維5cと金属素線53a及び金属素線53bとの間、繊維5eと金属素線53b及び金属素線53cとの間、及び繊維45gと金属素線53c及び金属素線53aとの間に介在するようになり、繊維と金属素線との密着性を向上させることができる。
【0094】
さらに、本実施形態の釣糸50は、断面視円形であるので、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態の釣糸50は、側線の繊維5c、5e及び45gと、側線の金属素線53a、53b及び53cとが断面全体に同一数交互に配置されているので、釣糸自体を極力真っ直ぐにして、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0096】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態の釣糸60について説明する。図12は、本発明の第7実施形態の釣糸の断面図である。
【0097】
図12では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0098】
また、本実施形態では、第6実施形態と異なる箇所のみ説明し、第6実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0099】
図12において、本実施形態の釣糸60は、第5実施形態の釣糸50と比較して、釣糸の断面形状が異なる。すなわち、第6実施形態の釣糸50の断面形状が円形状であったのに対し、本実施形態の釣糸60の断面形状は辺の一部が突出し、頂点が湾曲した三角形状である。
【0100】
本実施形態の樹脂67は、第5実施形態の樹脂57と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂67の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0101】
本実施形態の釣糸60は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5c、5e及び45gと金属素線53a、53b及び53cとから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態の釣糸50は、側線の金属素線53a、53b及び53cの外径が、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも小さいので、樹脂67が、繊維5cと金属素線53a及び金属素線53bとの間、繊維5eと金属素線53b及び金属素線53cとの間、及び繊維45gと金属素線53c及び金属素線53aとの間に介在するようになり、繊維と金属素線との密着性を向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態の釣糸60は、側線の繊維5c、5e及び45gと、側線の金属素線53a、53b及び53cとが断面全体に同一数交互に配置されているので、釣糸自体を極力真っ直ぐにして、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0104】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態の釣糸70について説明する。図13は、本発明の第8実施形態の釣糸の断面図である。
【0105】
図13では、理解を容易にするため、釣糸を模式的に図示しているため、寸法比は実際とは異なる。
【0106】
また、本実施形態では、第7実施形態と異なる箇所のみ説明し、第7実施形態と同一の箇所については説明を省略する。
【0107】
図13において、本実施形態の釣糸70は、第7実施形態の釣糸60と比較して、金属素線の外径と釣糸の断面形状が異なる。すなわち、第7実施形態の側線の金属素線53a、53b及び53cの外径は、図12に示すように、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも小さかったのに対し、本実施形態の側線の金属素線73a、73b及び73cの外径は40μmであり、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも大きい。また、第7実施形態の釣糸60の断面形状は辺の一部が突出し、頂点が湾曲した三角形状であったのに対し、本実施形態の釣糸70の断面形状は頂点が突出した三角形状である。
【0108】
本実施形態の樹脂77は、第7実施形態の樹脂67と同一の材料である。すなわち、本実施形態の樹脂77の材料は、ウレタン等の柔らかい樹脂であれば特に限定されるものではないが、本実施形態では、アクリルウレタンが使用されている。
【0109】
本実施形態の釣糸70は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維5c、5e及び45gと金属素線73a、73b及び73cとから構成されているので、釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の外径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させることができる。
【0110】
また、本実施形態の釣糸70は、側線の金属素線73a、73b及び73cの外径が、側線の繊維5c、5e及び45gの外径よりも大きいので、釣糸の耐久性を向上させることもできる。
【0111】
また、本実施形態の釣糸70は、側線の繊維5c、5e及び45gと、側線の金属素線73a、73b及び73cとが断面全体に同一数交互に配置されているので、釣糸自体を極力真っ直ぐにして、釣糸を水中から引き上げたときの水切れの良好性をさらに向上させることができる。
【0112】
以上の通り、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、当業者による種々の変更が可能である。
【0113】
例えば、上記実施形態の釣糸では、繊維からなる一本の芯線の周りに6本の素線を1層として撚った撚線を例にして説明してきたが、それに限られるものではなく、1本の繊維からなる芯線の周りにN本(Nは、2以上の自然数)の素線を1層として撚ったものであっても良い。
【0114】
すなわち、1本の繊維からなる芯線に周りに、繊維からなる側線及び金属素線からなる側線を1層分巻回することが重要である。
【符号の説明】
【0115】
1、10、20、30、40、50、60、70 釣糸
3、13、23、33、43a、43b、43c、53a、53b、53c、73a、73b、73c 側線(金属素線)
5a 芯線(繊維)
5b、5c、5d、5e、5f、45g 側線(繊維)
7、17、27、37、47、57,67,77 樹脂
【要約】
【課題】 釣糸の強度を極力維持したまま、釣糸の径を細くし、釣糸の柔軟性を向上させた釣糸を提供する。
【解決手段】 釣糸1は、繊維からなる芯線5aと、その芯線5aの外周に巻回された1層の側線とを備え、側線は、繊維(5b、5c、5d、5e、5f)と金属素線3とから構成されている。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13