特許第6359768号(P6359768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359768
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】複合レーザーシステム
(51)【国際特許分類】
   F41H 13/00 20060101AFI20180709BHJP
   G02B 7/28 20060101ALI20180709BHJP
   F41G 1/34 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   F41H13/00
   G02B7/28 H
   F41G1/34
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-521270(P2017-521270)
(86)(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公表番号】特表2017-523377(P2017-523377A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】CN2014086886
(87)【国際公開番号】WO2016041182
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】515016891
【氏名又は名称】ハンズ レーザー テクノロジー インダストリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】リー ジャイン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ チャオミン
(72)【発明者】
【氏名】サン ボー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ユンフェン
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第2427792(CN,Y)
【文献】 米国特許第08023536(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0283404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 13/00
F41G 1/34
G02B 7/28
F41B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレーザーと、
1つのレーザー距離計と、
を備える複合レーザーシステムであって、
前記レーザーはキロワットレーザーであり、前記レーザー距離計は、対象物体までの距離を決定し、測距結果に従って前記複数のレーザーの焦点を制御するように構成され、
前記レーザーの各々の光学系は、1つのビーム拡大器を含み、前記ビーム拡大器は1つの主レンズ及び1つ補助レンズを有し、前記レーザーから放出されたレーザー光線は、前記補助レンズを通って伝播し、その後、前記主レンズを通って伝播し、前記レーザー距離計は、前記レーザーの前記ビーム拡大器に電気的に接続されて、前記ビーム拡大器の焦点調整を前記レーザー距離計の測距結果に関連付けすることができ、
前記レーザー距離計の光学系は、前記レーザーによって採用された前記ビーム拡大器と同じビーム拡大器を採用する、
複合レーザーシステム。
【請求項2】
前記ビーム拡大器の入射直径は5ミリメートルであり、前記ビーム拡大器の出射直径は50ミリメートルであり、B=10倍である、請求項1に記載の複合レーザーシステム。
【請求項3】
前記複数のレーザーの数は12である、請求項1に記載の複合レーザーシステム。
【請求項4】
前記複数のレーザーは、1つの平面上に配置されるか又は1つの曲面上に配置される、請求項1に記載の複合レーザーシステム。
【請求項5】
前記複数のレーザーは、1つの円に沿って配置される、請求項1に記載の複合レーザーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光学分野に、より具体的には、レーザー及び長距離ビーム拡大器を利用するレーザーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、レーザーは、様々な分野にわたって応用され、軍用兵器において、長距離高出力レーザーが採用されており、マクロエネルギー及び高出力は、遠い目的物を破壊するために使用され、長距離高出力レーザーはレーザー砲として知られている。レーザー砲に関する研究は半世紀以上続いている。現在、特定の段階的成果が得られているが、解決できない多くの問題がある。主な問題は、例えば長距離伝送に起因して、非常に高出力のレーザーが必要であり、例えば十キロワットから数百キロワットのレーザーが必要である。そのような非常に高出力のレーザーにおいて、製造上、例えばレーザーを製造するための原材料、レーザー用の様々のプラットフォーム、及びレーザーに供給する電力といった多くの問題に直面し、これら全ては解決することができない問題である。一部の高出力レーザーは、容積及び重量によっては移動が困難である。従って、適応性を欠いており用途が限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、複合レーザーシステムが長距離高出力伝送に適応し、かつ製造及び移動の観点で改善されるように、上記の問題点を解決する複合レーザーシステムを提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
複合レーザーシステムは、複数のレーザーと、1つのレーザー距離計とを備え、レーザーはキロワットレーザーであり、レーザー距離計は、対象物体までの距離を決定し、測距結果に従って複数のレーザーの焦点を制御するように構成される。
【0005】
1つの実施形態によれば、各レーザーの光学系は、1つのビーム拡大器を含み、ビーム拡大器は1つの主レンズ及び1つの補助レンズを有し、レーザーから放出されたレーザー光線は、補助レンズを通って伝播し、その後、主レンズを通って伝播し、レーザー距離計は、レーザーのビーム拡大器に電気的に接続されて、ビーム拡大器の焦点調整をレーザー距離計の測距結果に関連付けることができる。
【0006】
1つの実施形態によれば、ビーム拡大器のΦは5ミリメートルであり、ビーム拡大器のΦは50ミリメートルであり、B=10倍である。
【0007】
1つの実施形態によれば、レーザー距離計の光学系は、レーザーによって採用されたビーム拡大器と同じビーム拡大器を採用する。
【0008】
1つの実施形態によれば、複数のレーザーの数は12である。
【0009】
1つの実施形態によれば、複数のレーザーは、1つの平面上に配置されるか又は1つの曲面上に配置される。
【0010】
1つの実施形態によれば、複数のレーザーは、1つの円に沿って配置される。
【0011】
本開示では、10キロワットのレーザーのような高出力レーザーは、複数のキロワットレーザーを組み合わせることによって実現でき、レーザーは、レーザー距離計を使用することによって、離れた対象物体上に自動的に合焦することができ、結果的に、高出力レーザーの製造及び搭載プラットフォームのような観点での不都合な問題を解決し、小型のレーザーは輸送が容易であり、高度に自動化されたレーザー砲として使用するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態による複合レーザーシステムの部分的なデバイスの側面図である。
図2】実施形態による複合レーザーシステムの長距離射程ビーム拡大器の側面図である。
図3図2のビーム拡大器の変調伝達関数M.T.F特性を示すグラフィック図である。
図4図2のビーム拡大器の点広がり関数を示すグラフィック図である。
図5図2のビーム拡大器の幾何形状収差を示すグラフィック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示した添付図面を参照してより完全に説明される。しかしながら、本発明の様々な実施形態は、様々な異なる態様で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この本発明が完全になり完成するように提示され、当業者に本発明の範囲を十分に伝えることになる。
【0014】
要素が別の要素に「固定される」と言及される場合、要素を別の要素に直接固定することができ、又は介在する要素が存在することができることを理解されたい。要素が別の要素に「結合される」又は「連結される」と言及される場合、要素は別の要素に直接結合又は連結することができ、又は介在する要素が存在することができる。
【0015】
別段の定めがない限り、本明細書で用いる全ての用語は、本発明の技術分野に属する技術者によって理解される通常の意味と同じ意味を有する。本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するだけの目的であり、本発明を限定することは意図しない。本明細書で用いられる場合、用語「及び/又は」は、1又は2以上の関連する列挙された要素のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0016】
図1及び図2は、本開示の1つの実施形態によって提示される複合レーザーシステムの側面図を示す。複合レーザーシステムは、複数のレーザー10と、1つのレーザー距離計13とを含む。
【0017】
レーザー10はキロワットレーザーである。キロワットレーザー10は、レーザー及びプラットフォームフレームワークの製造を容易に実行できるように選択され、レーザーは小容量で輸送が容易である。レーザー10は、化学レーザー及び固体レーザーのようなレーザーとすることができる。1つの特定の実施形態において、レーザー10の数は12であり、複数のレーザーは、1つの平面上に配置することができ、1つの曲面上に配置することもでき、もしくは複数のレーザーは、異なる三次元形状に配置される。1つの特定の実施形態において、12個のレーザー10は1つの円に沿って配置される。レーザー10は、レーザーを放出して対象物体に打撃を与えるように構成される。
【0018】
レーザー距離計13は、1つの高速レーザー距離計である。レーザー距離計13は、対象物体までの距離を決定し、レーザー10の焦点距離を制御するように構成され、レーザー10は対象物体に打撃を与えることが可能である。
【0019】
レーザー距離計13は、レーザー10と同様の構造とすることができ、レーザー距離計13は同様にレーザーである。しかしながら、システムでは、レーザー距離計13は、対象物体に打撃を与えるのではなく、対象物体を測距する機能をもたらす。
【0020】
レーザー10及びレーザー距離計13の機能は、正確な光学系なしには実現できない。図2に示すように、1つの実施形態において、レーザー10の光学系は、1つのビーム拡大器を含む。ビーム拡大器は、レーザー10から放出されたレーザー光線を拡大することができる長距離ビーム拡大器である。本開示において、1つのビーム拡大器が1つのレーザー10に対応し、レーザー距離計13は、レーザー10のビーム拡大器に電気的に接続され、ビーム拡大器の焦点調整をレーザー距離計13の測距結果に関連付けるようになっており、これにより、レーザー距離計13、レーザー10、及びビーム拡大器の統合がもたらされる。
【0021】
ビーム拡大器は、1つの主レンズ21及び1つの補助レンズ22を含む。レーザー10から放出されたレーザー光線は、補助レンズ22を通って伝播し、その後、主レンズ21を通って伝播する。ビーム拡大器の発散角度は、様々な距離での合焦に適するように調整することができる。1つの実施形態において、ビーム拡大器の入射直径Φは5ミリメートルであり、ビーム拡大器の出射直径Φは50ミリメートルであり、B=10倍である。
【0022】
ビーム拡大器の変調伝達関数M.T.F特性を示すグラフィック図である図3に示すように、解像度が100線対に達する場合、M.T.Fは、依然として0.7よりも大きい。
【0023】
ビーム拡大器の点広がり関数を示すグラフィック図である図4に示すように、結果は非常に良好である。
【0024】
ビーム拡大器の幾何学的収差を示すグラフィック図である図5に示すように、分散円は比較的小さく、全領域でΔd≦1μmである。
【0025】
1つの実施形態において、前述したビーム拡大器は、レーザー距離計13の光学系にも適用することができる。
【0026】
本開示の複合レーザーシステムを使用する場合、レーザー距離計13は、対象物体までの測距を行うために使用され、レーザー10は対象物体上で合焦して対象物体にレーザーを放出するように制御され、対象物体への射撃が実現される。レーザー距離計13は、対象物体までの測距を種々の距離で行ない、レーザー10の合焦を自動的に行なうことができるので、種々の距離での対象物体への射撃を実現する。
【0027】
本開示において、10キロワットのレーザーのような高出力レーザーは、複数のキロワットレーザー10を組み合わせることによって実現でき、レーザー10は、レーザー距離計13を使用することによって、離れた対象物体上に自動的に合焦することができ、結果的に、高出力レーザーの製造及び搭載プラットフォームのような観点での不都合な問題を解決し、小型のレーザーは輸送が容易であり、高度に自動化されたレーザー砲として使用するのに適する。
【0028】
以上は、詳しく説明された本発明のいくつかの実施形態であり、本発明の範囲に対する限定とみなすべきではない。当業者には本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更及び改善が明らかであることに留意されたい。従って、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲によって定まる。
【符号の説明】
【0029】
10 レーザー
13 レーザー距離計
21 主レンズ
22 補助レンズ
図1
図2
図3
図4
図5