(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、可変出力AC/DC電源部44と携帯端末2との電源情報の通信に情報の伝達に時間遅れが生じるPLCを用いている。その為、携帯端末2が必要とする直流電圧を設定することはできるが、電圧の変化を伝達する時間がかかることで、携帯端末2が受け取る電圧の変化に直ちに追従して可変出力AC/DC電源部44が出力する電圧を安定化することが出来ないという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術では、センス端子T72およびT73とセンスT11およびT14と接続するが長くなると、その配線に外来ノイズ等が侵入して、その配線を介して疑似電圧検出回路7から直流安定化電源1に伝達される電圧がそのノイズにより変動してしまい、正確な電圧が伝達できなくなる場合があるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した問題点を解決する定電圧供給システム、電子機器、電源装置及び定電圧供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の定電圧供給システムは、
電力供給線を介して直流電力が供給される少なくとも一つの電子回路からなる回路群と、前記電力供給線を介して供給される直流電力の電圧成分の電圧値を前記電圧値に比例する周波数の交流電流を前記電力供給線に送出する供給電圧情報送信手段とを含む電子機器と、
前記供給電圧情報送信手段が前記電力供給線に送出した前記交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数に比例した電圧を出力する供給電圧情報受信手段と、前記電圧の値に基づいて、前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する直流電力供給手段とを含む電源装置とを備える。
【0009】
本発明の電子機器は、
電源装置から電力供給線を介して直流電力が供給される少なくとも一つの電子回路からなる回路群と、
前記電力供給線を介して前記回路群に供給される直流電力の電圧成分の電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記電源装置が前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整するために、前記電圧検出手段で検出された電圧値に比例する周波数の交流電流を、前記電力供給線を介して前記電源装置に送出するVF変換手段と、
該VF変換部から前記電力供給線に送出された前記交流電流が前記回路群に供給されるのを阻止する帯域阻止フィルタまたは低域通過フィルタと
を備える。
【0010】
本発明の電源装置は、
電力供給線から電子機器に供給された直流電力の電圧成分の電圧値に比例した周波数を有する交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数を有する交流電圧に変換する電流電圧変換手段と、
前記交流電圧を通過させる帯域通過フィルタまたは高域通過フィルタと、
前記帯域通過フィルタまたは前記高域通過フィルタを通過した前記交流電圧の周波数に比例した電圧をセンス電圧として出力するFV変換手段と、
前記センス電圧の値に基づいて、前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する直流電力供給手段と
を備える。
【0011】
本発明の第1の定電圧供給方法は、
電子機器に含まれる少なくとも一つの電子回路からなる回路群に電力供給線を介して電源装置から供給される直流電力の電圧成分の電圧値を前記電圧値に比例する周波数の交流電流を前記電力供給線に送出するステップと、
前記送出ステップで送出された前記交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数に比例した電圧の値に基づいて、前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する調整ステップとを含む。
【0012】
を含む。
【0013】
本発明の第2の定電圧供給方法は
電子機器に含まれる少なくとも一つの電子回路からなる回路群に電力供給線を介して電源装置から供給される直流電力の電圧成分の電圧値を検出する電圧値検出ステップと、
前記電源装置が前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整するために、前記電圧値検出ステップで検出された電圧値に比例する周波数の交流電流を、前記電力供給線を介して前記電源装置に送出する送出ステップと
を含む。
【0014】
本発明の第3の定電圧供給方法は
電力供給線から電子機器に供給された直流電力の電圧成分の電圧値に比例した周波数を有する交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数を有する交流電圧に変換する電流電圧変換ステップと、
前記交流電圧の周波数に比例した電圧の値に基づいて、前記電力供給線に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する直流電力供給手段と
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明には、電子機器に供給される直流電圧を安定化することが出来るという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の第1実施の形態を示すブロック図である。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態は、定電圧供給システム1から構成される。
【0020】
定電圧供給システム1は、商用交流電源(図示せず)からの交流電力を入力(AC入力)し、該交流電力を所定の電圧値の電圧成分を有する直流電力に変換して出力する電源装置10と、情報処理装置等の電子機器8と、電源装置10から出力される直流電力を電子機器8に供給するための電力供給線5とを含む。
【0021】
電源装置10は、AC/DCコンバータ9と、供給電圧情報受信部101と、第2の出力端子19とを含む。
【0022】
AC/DCコンバータ9は、センス端子14と、第1の出力端子15とを含む。AC/DCコンバータ9は、商用交流電源からの交流電力を入力し、第1の出力端子15から該交流電力を所定の電圧値の電圧成分を有する直流電力に変換して出力する。なお、AC/DCコンバータ9は、直流電力供給部とも言う。
【0023】
供給電圧情報受信部101は、電流電圧変換部6と、帯域通過フィルタ18と、FV変換部7とを含む。電流電圧変換部6はシャント抵抗13と電圧増幅器11とを含む。
【0024】
電子機器8は、少なくとも一つの電子回路を含む回路群12と、供給電圧情報送信部102と、入力端子16とを含む。
【0025】
供給電圧情報送信部102は、帯域阻止フィルタ17と、電圧検出部2と、VF変換部3とを含む。入力端子16には、電力供給線5が接続されAC/DCコンバータ9から電流電圧変換部6を経由して直流電力が供給される。
【0026】
回路群12内の各電子回路には、入力端子16に供給され、帯域阻止フィルタ17を経由した直流電力が供給される。
【0027】
電圧検出部2は、回路群12に供給される直流電力の電圧成分の電圧値を測定する。
【0028】
VF変換部3は、電圧検出部2が測定した電圧値に比例した周波数を有する交流電流に変換して出力する。
【0029】
帯域阻止フィルタ17は、VF変換部3から出力される交流電流が回路群12に伝搬することを阻止する。すなわち、帯域阻止フィルタ17は、所定の周波数範囲内の周波数の交流電流の通過を阻止し、VF変換部3は、該所定の周波数範囲内の周波数の交流電流のみを出力するよう構成されている。なお、帯域阻止フィルタ17に代えて、所定の周波数以下の周波数の電流を通過させる低域通過フィルタを使用してもよい。
【0030】
電源装置10は、商用交流電源からの交流電力を入力(AC入力)し、該交流電力を所定の電圧値の電圧成分を有する直流電力に変換して、該直流電力を第2の出力端子19から電力供給線5に出力する。
【0031】
電流電圧変換部6は、VF変換部3から出力された交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数を有する交流電圧に変換して出力する。
【0032】
電流電圧変換部6は、例えば、シャント抵抗13と、電圧増幅器とから構成される。
【0033】
シャント抵抗13は、その一端がAC/DCコンバータ9の第1の出力端子15に接続され、他端が電源装置10の出力端子である第2の出力端子13に接続されていて、抵抗13の両端間の電圧の値は、電力供給線5に流れる電流の値に比例した値である。
【0034】
電圧増幅器11の二つの入力端子うちの一方の入力端子はシャント抵抗13の一端に接続され、他方の入力端子はシャント抵抗13の一端に接続され、これにより、電圧増幅器11はシャント抵抗13の両端間の電圧を増幅して帯域通過フィルタ18に出力する。
【0035】
帯域通過フィルタ18は上記所定の周波数範囲内の周波数の交流電圧のみを通過させ、FV変換部7に出力する。なお、帯域通過フィルタに代えて、所定の周波数以上の周波数の交流電圧のみを通過させる高域通過フィルタを使用してもよい。
【0036】
FV変換部7は、帯域通過フィルタ18から受け取った交流電圧の周波数に比例した電圧に変換し、この電圧をセンス電圧としてセンス電圧線4を介してAC/DCコンバータ9のセンス端子14に出力する。
【0037】
次に、
図2に示すフローチャートも参照して、本実施形態の動作について説明する。
【0038】
電源装置10のAC/DCコンバータ9が出力する直流電力は電流電圧変換部6、第2の出力端子19、電力供給線5、入力端子16、および帯域フィルタ17を介して供給電圧情報送信部102内の電圧検出部2に供給される(
図2のステップS001)。電圧検出部2は、上述したように、こうして供給される直流電力の電圧成分の電圧値を測定する(ステップS002)。
【0039】
次に、VF変換部3が電圧検出部2で測定された電圧値を受け取り、この電圧値に比例した周波数の交流電流を出力する(ステップS003)。
【0040】
VF変換部3から出力された交流電流は電力供給線5を経由して供給電圧情報受信部101の電流電圧変換部6に伝達される(ステップS004)。
【0041】
次に、電流電圧変換部6は、上述したように、VF変換部3から伝達されたてきた交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数を有する交流電圧に変換し、帯域通過フィルタ18に出力する(ステップS005)。
【0042】
次に、電流電圧変換部6の電圧増幅器11から出力された交流電圧は、帯域通過フィルタ18を通過して、FV変換部7に供給される(ステップS006)。
【0043】
次に、FV変換部7は、供給された交流電圧の周波数に比例した電圧を出力する(ステップS007)。
【0044】
次に、FV変換部7から出力された電圧はセンス電圧としてセンス電圧線4を介してAC/DCコンバータ9のセンス端子14に伝達する(ステップS008)。
【0045】
その結果、AC/DCコンバータ9は、センス端子14に入力されたセンス電圧の値に応じて、第1の出力端子15から出力する電圧を制御する(ステップS009)。
その後、ステップS001における処理に戻り、ステップS001からS009までの一連の処理が繰り返えされる。
【0046】
すなわち、回路群12に供給される電圧の値が所望の電圧値と異なっていた場合には、センス電圧の電圧値が、回路群12の電圧がその所望の電圧値の電圧であった時に得られるセンス電圧の電圧値と異なった電圧値になるため、AC/DCコンバータ9は、回路群12に供給される電圧の値が所望の電圧値となるように、第1の出力端子15に出力する出力電圧の値を調整する。
【0047】
以上、本実施形態には、情報処理装置等の電子機器8に供給される電圧を安定化することが出来るという効果がある。
【0048】
その理由は、電圧に比較して外来ノイズの影響を受けにくい電流を利用して、電子機器8に供給される電圧の変化を電源装置10に伝達し、電源装置10の出力電圧を制御するようにしたからである。
【0049】
なお、本発明は、無停電電源装置やピークアシストを行う電源装置と電子機器との伝達手段にも適用できる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0051】
図3は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【0052】
図3を参照すると、本実施形態は、電子機器108と、電源装置100から構成される。
【0053】
電源装置100は、電流電圧変換部106と、FV変換部107と、帯域通過フィルタまたは高域通過フィルタ118と、直流電力供給部109とを備える。
【0054】
電流電圧変換部106は、電力供給線105から電子機器108に供給された直流電力の電圧成分の電圧値に比例した周波数を有する交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数を有する交流電圧に変換する。
【0055】
帯域通過フィルタまたは高域通過フィルタ118は上記交流電圧を通過させる。
【0056】
FV変換部107は、帯域通過フィルタまたは高域通過フィルタ118を通過した上記交流電圧の周波数に比例した電圧をセンス電圧として出力する。
【0057】
直流電力供給部109は、上記センス電圧の値に基づいて、電力供給線105に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する。
【0058】
以上、本実施形態には、情報処理装置等の電子機器108に供給される電圧を安定化することが出来るという効果がある。
【0059】
その理由は、電圧に比較して外来ノイズの影響を受けにくい電流を利用して、電子機器108に供給される電圧の変化を電源装置100に伝達し、電源装置100の出力電圧を制御するようにしたからである。
【0060】
なお、本発明は、無停電電源装置やピークアシストを行う電源装置と電子機器との伝達手段にも適用できる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0062】
図4は本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【0063】
図4を参照すると、本実施形態は、電子機器8と、電源装置100から構成される。
【0064】
電源装置100は、供給電圧情報受信部101と、直流電力供給部109とを備える。
【0065】
電子機器8は、回路群12と、供給電圧情報送信部102とを備える。電源装置100と電子機器8は電力供給線105で接続されている。
【0066】
供給電圧情報送信部102は、電力供給線105を介して回路群12に供給される直流電力の電圧成分の電圧値を前述の電圧値に比例する周波数の交流電流を電力供給線105に送出する。
【0067】
供給電圧情報受信部101は、供給電圧情報送信手段102が電力供給線105に送出した交流電流を、該交流電流の周波数と同じまたは比例する周波数に比例した電圧をセンス電圧として出力する。
【0068】
直流電力供給部100は、上記センス電圧の値に基づいて、電力供給線105に供給する直流電力の電圧成分の電圧値を調整する。
【0069】
以上、本実施形態には、情報処理装置等の電子機器8に供給される電圧を安定化することが出来るという効果がある。
【0070】
その理由は、電圧に比較して外来ノイズの影響を受けにくい電流を利用して、電子機器8に供給される電圧の変化を電源装置100に伝達し、電源装置100の出力電圧を制御するようにしたからである。
【0071】
なお、本発明は、無停電電源装置やピークアシストを行う電源装置と電子機器との伝達手段にも適用できる。