(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359845
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】渦巻きポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 7/04 20060101AFI20180709BHJP
F04D 29/24 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
F04D7/04 J
F04D29/24 F
F04D29/24 C
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-51815(P2014-51815)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-175278(P2015-175278A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】塚原 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中島 勉
【審査官】
所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−056799(JP,U)
【文献】
特開平04−365998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 7/04
F04D 29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、該ケーシング内に設けられるセミオープン型のインペラとを備え、前記ケーシングは、前記インペラよりも軸方向前面側に設けた吸込みカバーの中央部に形成された吸込口と、前記インペラの径方向外側に設けた吐出口とを有し、前記インペラは、主板と、該主板に吸込口側を向く面に設けられた複数の羽根とを有し、複数の羽根の前縁部が前記吸込みカバーの内壁面に対向して回転する渦巻ポンプであって、
前記複数の羽根は、羽根の回転方向に対向する圧力面側に形成された突条部を有し、該突条部は、前記吸込みカバーの内壁面と羽根の前縁部前面との対向隙間を一定に維持しながら前記回転方向に向けて張り出すとともに羽根の前縁部の圧力面側表面積が拡大されるように当該前縁部に沿って形成されていることを特徴とする渦巻ポンプ。
【請求項2】
前記突条部は、その基端部が、羽根の圧力面に滑らかな円弧によって連続していることを特徴とする請求項1に記載の渦巻ポンプ。
【請求項3】
前記突条部は、羽根とは別個の部材からなる耐摩耗金属により形成されており、自身の基端部が羽根の圧力面に嵌め込まれて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の渦巻ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦巻きポンプに係り、特に、細かい粒子あるいは粗いサンド・礫等の固体粒子を含有する流体の移送用に好適な渦巻きポンプのインペラに関する。
【背景技術】
【0002】
固体粒子を含有する流体を移送する渦巻きポンプに重要な課題は、流体に接するインペラやケーシング内面の摩耗を極力少なくして、性能低下を防止または抑制することである。また、ポンプの長期間に亘る運転によってインペラやケーシング等の部品が摩耗して性能低下を生じた際に、初期性能までとは行かないものの、ある程度の性能を復帰させるべき調整機構を設け、寿命の延命化をはかることも重要な課題である。
【0003】
この種のポンプは一般的にスラリーポンプと呼称される。スラリーポンプにおいて、直接、液接する部品であるインペラやケーシングの金属材料としては、コスト面と耐摩耗性を考慮して、一般的に、コスト面で安価な高クロム鋳鉄やニ・ハード鋳鉄等の材料を使用して耐寿命化をはかっている。
ところで、この種の渦巻きポンプに用いられるインペラには、クローズド型(例えば特許文献1参照)と、セミオープン型(例えば特許文献2参照)とがある。
【0004】
図3に示すように、クローズド型のインペラ210は、主板213と、主板213の吸込口側を向く面に設けられた複数の羽根211とを有し、さらに、羽根211の前面に円環状の前部側板(「シュラウド」ともいう)214を有する。前部側板214は、羽根211の前縁部と一体に形成され、この前部側板214が、静止(固定)したケーシングの吸込みカバー内壁面207に対向して回転する(同図(c)参照)。
【0005】
一方、
図4に示すように、セミオープン型のインペラ110は、主板113と、主板113の吸込口側を向く面に設けられた複数の羽根111とを有するが、羽根111の前面には前部側板を有しておらず、複数の羽根111の前縁部112が、静止(固定)した吸込みカバーの内壁面107に対向して回転する(同図(c)参照)。
ここで、移送する流体中の固体粒子の塊が群をなしてインペラの羽根の入口から出口にかけて流入すると、上記前部側板の有無の相違が要因となって、クローズド型インペラは、隣り合う羽根同士の間の流路に、流体中の固体粒子の郡塊が楔状になって流路の閉塞が頻発する。
【0006】
これに対し、セミオープン型インペラは、クローズド型インペラと比較すると流路が極度に閉塞し難い。セミオープン型インペラの流路が閉塞し難い理由は、前部側板を有しないため、静止(固定)した吸込みカバー内壁面に対してインペラの羽根の回転力が楔作用を解除するためである。そのため、固体粒子の大きな塊が流体中に混入するか否かがインペラの型式選定の決め手になる。つまり、細かい粒子あるいは粗いサンド・礫等の固体粒子を含有する流体の移送用としては、セミオープン型インペラを有する渦巻きポンプが好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−32983号公報
【特許文献2】特開平7−243398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、セミオープン型インペラは、流体中の比較的小さな固体粒子が吸込みカバー内壁面とインペラの羽根前面が形成する隙間を流れたり、若しくは噛み込んだりして羽根の摩耗を促進させるため、羽根の摩耗によってポンプ性能(流量、圧力、効率)が次第に低下するという問題がある。
図4に二点鎖線にて羽根の摩耗箇所のイメージを示すように、羽根の摩耗箇所は、特に回転方向Rを向く圧力面側Pfに生じ、また、周速度の速い出口側(外周の側)へ向かうに連れて激しさを増す傾向にある。一方、前部側板を有するクローズド型インペラは、セミオープン型インペラと比較すると羽根の摩耗は著しく少なく性能低下も小さい。
【0009】
セミオープン型インペラの性能低下の主要因は、上述したような、(1)圧力面側の羽根外周部付近の摩耗、(2)吸込みカバー内壁面とインペラの羽根前面との摩耗によって、吸込みカバー内壁面とインペラとが形成する隙間(以下、「クリアランス」ともいう)が広がることによる。つまり、この「クリアランス」が大きくなればなるほど、
図5に羽根近傍での流体の流れのイメージを示すように、所期の流れである、羽根111の圧力面に沿った流れF1に対し、羽根111の圧力面側から隣の流路(非圧力面側)へ向かう分流の流れF2が増大して、隣の流路に漏洩する流体の流量も大きくなる。そのため、揚程や効率の性能低下も大きくなるのである。
ここで、通常のスラリーポンプにおいては、上記(2)の対策として、摩耗によって広がった「クリアランス」を狭めるための隙間調整機構を具備しているのが一般的である。
【0010】
例えば、クローズド型インペラを有する渦巻きポンプの場合は、マウスリング(またはウエアリング)の部分的箇所で隙間を狭め、吸込みカバーを駆動源側へ移動して「クリアランス」を調整している(特許文献1参照)。また、セミオープン型インペラを有する渦巻きポンプの場合は、吸込みカバー内壁面と主羽根前面、及びケーシング側壁と裏羽根面などの隙間を、パッキン等を介装することによって調整している(特許文献2参照)。しかし、このような隙間調整機構は、隙間を調整するためのメンテナンスとその管理に手間を要するという問題がある。また、インペラ自体の性能を長く維持させてインペラの寿命を延ばすものではない。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、従来のセミオープン型インペラを有する渦巻きポンプに比べて、インペラの所期性能を長く維持させて寿命を延ばすことができるセミオープン型インペラを有する渦巻きポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、セミオープン型インペラの羽根の摩耗箇所を仔細に調査したところ、
図4(c)に従来形状の羽根111での顕著な摩耗箇所を網掛け(符号112m)にて示すように、羽根111の前面における前縁部112の圧力面側外周部112mにおいて、羽根の厚み方向の面と幅方向の面とがなす角部112kを起点として摩耗が進行するという知見を得た。
【0013】
この羽根前面の圧力面側外周部112mの摩耗が生じる要因は、吸込みカバー内壁面107と羽根111の前面112とが形成する「クリアランス」を流体中の固体粒子が流れるためであり、さらに、羽根の厚み方向の面と幅方向の面とがなす角部112k付近に流体中の固体粒子が衝突するためである。特に、圧力面側Pfの羽根外周部112m付近の摩耗が進行すると、著しくインペラの所期性能の低下を来たすことが判明した。
【0014】
そして、
図5に羽根の近傍での流体の流れの状況のイメージを示したように、通常は、羽根111の圧力面の形状に沿って符号F1に示すように流体が流れるところ、セミオープン型インペラの羽根の場合は、羽根の形状に沿う流れF1の他に、羽根前面112と吸込みカバー内壁面107の対向する隙間T(
図4(c)参照)を通って隣の流路(非圧力面側)へ向かう分流F2が生じるため、これにより、羽根前面112と吸込みカバー内壁面107の隙間Tの広がりが大きくなるとそれに応じて分流の流れF2の量も益々大きくなる。そのため、羽根の圧力側前面と羽根幅部がなす角部112kからの摩耗が更に進行することがわかった。なお、
図5では、羽根の圧力面側の外周に向かうに連れて摩耗が激しさを増す様子のイメージを二点鎖線にて示している。
【0015】
これに対し、クローズド型インペラの羽根は、羽根の前面が前面側板に遮られているので、羽根の前面と吸込みカバー内壁面の隙間を通って隣の流路へ向かう分流が生じることがない。これが、クローズド型インペラにおいて、羽根の摩耗を少なくし且つ性能低下を生じさせない決定的な理由である。本発明は、このような知見に基づいて鋭意検討の結果完成したものである。
【0016】
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る渦巻きポンプは、ケーシングと、該ケーシング内に設けられるセミオープン型のインペラとを備え、前記ケーシングは、前記インペラよりも軸方向前面側に設けた吸込みカバーの中央部に形成された吸込口と、前記インペラの径方向外側に設けた吐出口とを有し、前記インペラは、主板と、該主板に吸込口側を向く面に設けられた複数の羽根とを有し、複数の羽根の前縁部が前記吸込みカバーの内壁面に対向して回転する渦巻ポンプであって、前記複数の羽根は、羽根の回転方向に対向する圧力面側に形成された突条部を有し、該突条部は、
前記吸込みカバーの内壁面と羽根の前縁部前面との対向隙間を一定に維持しながら前記回転方向に向けて張り出すとともに羽根の前縁部
の圧力面側表面積が拡大されるように当該前縁部に沿って形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る渦巻きポンプによれば、セミオープン型のインペラを備えているので、固体粒子を含有する流体を移送する場合であっても流路が閉塞し難い。そして、インペラの複数の羽根は、羽根の回転方向に対向する圧力面側に形成された突条部を有し、この突条部は、回転方向に向けて張り出すとともに羽根の前縁部に沿って形成され
、さらに、吸込みカバーの内壁面と羽根の前縁部前面との対向隙間を一定に維持しながら回転方向に向けて張り出しているため、羽根の圧力面に沿った流れにおいて、羽根の前面と吸込みカバー壁内面の隙間を通って隣の流路へ向かう分流量を少なくすることができる。
そして、羽根の前縁部の圧力面側表面積が拡大されるように当該前縁部に沿って形成されているので、羽根の圧力側前面と羽根幅部がなす角部から摩耗が進行することを抑制することができる。
【0018】
なお、突条部は、いずれは摩耗によって無くなるものであるが、突条部によって隣接する流路への分流量を抑制可能な状態が継続している間は、クリアランス調整を行うことによって、ポンプ性能の安定状態を持続させることができ、また、インペラの摩耗による寿命を延命させることができる。
すなわち、このインペラは、クローズド型のインペラの前部側板(シュラウド)の一部をセミオープン型のインペラの羽根前面の縁部に追加した形状であり、クローズド型の長所とセミオープン型の長所を併せ持つインペラであるともいえる。
【0019】
ここで、前記突条部は、その基端部が、羽根の圧力面に滑らかな円弧によって連続していれば、性能に著しく悪影響を及ぼさず且つ摩耗に因る寿命を延命する上で好適である。
また、前記突条部は、羽根とは別個の部材からなる耐摩耗金属により形成されており、自身の基端部が羽根の圧力面に嵌め込まれて固定されていれば、突条部の耐摩耗性を向上させる上で好適であり、また、突条部の摩耗に応じ、突条部の部品のみを交換することもできる。
【発明の効果】
【0020】
上述のように、本発明によれば、従来のセミオープン型インペラに比べて、性能を長く維持させてインペラの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一態様に係るセミオープン型インペラを備える渦巻きポンプの一実施形態の説明図であり、同図は軸線に沿った断面を示している。
【
図2】本発明の一態様に係るセミオープン型インペラの説明図であり、同図(a)はその正面図、(b)は(a)での側面視において一部を軸線に沿った断面で示し、(c)は(a)でのZ−Z断面図を示す。
【
図3】クローズド型インペラの一例を説明する図であり、同図(a)はその正面図、(b)は(a)での側面視において一部を軸線に沿った断面で示し、(c)は(a)でのZ−Z断面図を示す。
【
図4】従来のセミオープン型インペラの一例を説明する図であって、本発明に至る知見を説明する図であり、同図(a)はその正面図、(b)は(a)での側面視において一部を軸線に沿った断面で示し、(c)は(a)でのZ−Z断面図を示す。また、同図(a)、(b)では、摩耗箇所を二点鎖線にて示す。
【
図5】従来のセミオープン型インペラの一例に基づき、本発明に至る知見を説明する図であり、同図は、セミオープン型インペラの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一態様に係るセミオープン型インペラを備える渦巻きポンプの一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この渦巻きポンプ1は、軸方向の前面側(同図の左側)から順に、吸込みカバー6、ケーシング本体8およびケーシング側壁部9を有するケーシング2を備えている。ケーシング2の背面側(同図の右側)には、フレーム50の上部に載置固定されたハウジング(軸受箱)30が設けられ、ハウジング30内に、不図示のモータの駆動により回転自在に回転軸3が支持されている。なお、ハウジング30は、フレーム50上の所定位置に、前後二箇所のハウジング押え52によって固定され、また、ケーシング2のケーシング側壁部9は、その背面が、フレーム50の前側面に固定されている。
【0023】
回転軸3の先端3sは、ケーシング側壁部9の中央からケーシング2の内部に張り出しており、この回転軸3の先端3sにセミオープン型のインペラ(羽根車)10が片持ち支持されている。インペラ10の軸方向の背面側には、ケーシング側壁部9とハウジング30との間に、軸封装置40が回転軸3を囲繞するように配されている。インペラ10の軸方向の前面側には吸込口4が上記吸込みカバー6の中央部に形成され、また、インペラ10の径方向の上方には吐出口5がケーシング本体8の上部に設けられ、インペラ10の回転により吸込口4から流体Fを吸い込んでその流体Fを吐出口5から吐出するようになっている。
【0024】
インペラ10は、耐摩耗性材料または耐食性材料を使用しており、
図2に示すように、円盤状の主板13と、この主板13の吸込口4側を向く面(主板13の表側の面であって、吸込口4に近い側の面)に設けられた複数の羽根11を有している。複数の羽根11は、前縁部12が吸込みカバー内壁面7に対向して回転する(
図1参照)。主板13の裏面には、軸封装置40を減圧するための裏羽根15が設けられている。なお、裏羽根15とケーシング側壁9の隙間は、フレーム50上のハウジング30を、調整ボルト60を使用して駆動源側へ移動して狭めることにより調整可能になっている。
【0025】
この例では、
図2(a)に示すように、複数の羽根11は、それぞれ主板13の表側の面に対して4箇所に等配されている。各羽根11は、主板13の中心から周方向に向かって渦巻き状に湾曲形成されるとともに、隣接する羽根11との対向方向の距離が拡幅するように設けられている。隣接する羽根11同士の間が、移送する流体Fの流路になっている。本実施形態では、各羽根11の湾曲形状、幅寸法および厚さ寸法は、基本的に同一としており性能が同じになっている。
【0026】
ここで、複数の羽根11は、羽根の回転方向Rに対向する圧力面側Pfに形成された突条部20を有する。この突条部20は、回転方向Rに向けて張り出すとともに羽根11の前縁部12に沿って形成されている。突条部12の基端部は、同図(c)に示すように、羽根11の圧力面11fに滑らかな円弧21によって連続している。この例では、突条部20の断面形状は、基端部の幅が最も広く、張り出し方向の先端に向かうにつれて幅が狭くなる台形形状となっている。突条部20の長さと厚み(張り出した高さ)は、性能に著しく悪影響を及ぼさず且つ摩耗に因る寿命を延命することができる範囲で設定する。なお、突条部20は、羽根11と一体に形成してもよいし、羽根11とは別個の部材から形成してもよい。本実施形態では、突条部20と羽根11とを一体形成している。
【0027】
次に、この渦巻ポンプ1の作用・効果について説明する。
この渦巻きポンプ1は、不図示のモータの駆動により回転軸3が回転すると、複数の羽根11の遠心力の作用によって流体Fを吸込口4から吸い込み、羽根11の周方向に沿って径方向の外側に向けて揚液して吐出口5から吐出する。
この渦巻きポンプ1によれば、インペラ10がケーシング2内の回転軸3の先端側に片持ち支持される構成なので、構造が簡単で分解、組み立てが容易であり、製造費用を安くすることができる。また、耐摩耗性材料または耐食性材料をインペラ10に用いているので、細かい粒子あるいは粗いサンド・礫等の固体粒子を含有する流体や化学液の流体などの流体全般に亘って使用することができる。そして、インペラ10がセミオープン型なので、固体粒子を含有する流体を移送する場合であっても流路が閉塞し難い。
【0028】
そして、この渦巻きポンプ1によれば、インペラ10の複数の羽根11は、羽根11の回転方向Rに対向する圧力面11fの側(Pf)に形成された突条部20を有し、この突条部20は、回転方向Rに向けて張り出すとともに羽根11の前縁部12に沿って形成されているので、羽根11の圧力面11fに沿った流れにおいて、羽根11の前面と吸込みカバー壁内面7の隙間を通って隣の流路へ向かう分流量を少なくすることができる。すなわち、このインペラ10は、クローズド型のインペラの前部側板(シュラウド)の一部をセミオープン型のインペラの羽根前面の縁部に追加した形状であり、クローズド型の長所とセミオープン型の長所を併せ持つインペラであるともいえる。
【0029】
したがって、羽根11の圧力側前面と羽根幅部がなす角部(
図4(c)における符号112kで示す角部を参照)から摩耗が進行することを抑制することができる。よって、上述した「クリアランス」を調整するためのメンテナンスとその管理に手間を大きく軽減することができる。また、この突条部20は、いずれは摩耗によって無くなるものであるが、突条部20によって隣接する流路への分流量を抑制可能な状態が継続している間は、クリアランス調整を行うことによって、ポンプ性能の安定状態を持続させることができ、また、インペラ10の摩耗による寿命を延命させることができる。
【0030】
以上説明したように、この渦巻きポンプ1によれば、インペラの所期性能を長く維持させて寿命を延ばすことができる。なお、本発明に係る渦巻きポンプは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、突条部20を羽根11と一体形成した例で説明したが、これに限定されず、突条部20を羽根11とは別個の部材から形成してもよい。
【0031】
例えば、突条部20を、羽根11とは別個の部材からなる耐摩耗金属により形成して、その基端部が羽根11の圧力面11fに嵌め込まれて固定された構成とすることは好ましい。このような構成であれば、突条部20の耐摩耗性を向上させる上で好適であり、また、突条部20の摩耗に応じ、突条部20の部品のみを交換することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 渦巻きポンプ
2 ケーシング
3 回転軸
4 吸込口
5 吐出口
6 吸込みカバー
7 吸込みカバー内壁面
8 ケーシング本体
9 ケーシング側壁部
10 インペラ(羽根車)
11 羽根
12 羽根の前縁部
13 主板
15 裏羽根
20 突条部
21 円弧
30 ハウジング(軸受箱)
40 軸封装置
50 フレーム
52 ハウジング押え
60 調整ボルト
F 流体
F1 羽根の圧力面に沿った流れ
F2 隣の流路へ向かう分流の流れ
R 羽根の回転方向
Pf 羽根の圧力面側
Pr 羽根の圧力面側とは反対の側
T 羽根前面と吸込みカバー内壁面の隙間(クリアランス)