(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示制御部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、特定の看護師が担当する患者の患者情報を強調して表示させることが可能である、請求項1または請求項2に記載のナースコールシステム。
前記操作部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、特定の患者の患者情報を選択して患者メモを入力することが可能であり、
前記患者メモは、前記特定の患者を担当する担当看護師が担当する他の全ての患者の患者情報に反映される、請求項1に記載のナースコールシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のシステムを用いた手法では、看護管理者が本来意図した看護負担の配分とならない場合、例えば各看護師にかかる看護負担の均等化が不十分となって特定の看護師に看護負荷が集中してしまう場合があった。この場合、病院全体の看護サービスの効率や品質に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、病院全体の看護サービスの効率化や品質の向上を図ることが可能なナースコールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のナースコールシステムは、
第1表示部を有するナースコール親機と、
少なくとも患者の名前と前記患者の担当看護師を示す担当情報とを含む患者情報が記憶された患者情報記憶部と、
日付及び勤務帯ごとに看護師の勤務情報が記憶された勤務情報記憶部と、
前記患者情報と前記勤務情報とに基づいて、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とをそれぞれ関連づけた表示態様で前記第1表示部に同時に表示させることが可能な表示制御部と、
を備える。
【0008】
この構成によれば、次回以降の勤務帯における複数の患者と各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で同時に第1表示部に表示される。これにより、看護管理者は、現在予定している看護体制(担当看護師の仕事の割り振り)で次回以降の勤務帯において各看護師に生じる看護負担を第1表示部を見ることにより容易に比較して把握することができる。このため、看護管理者は、次回以降の勤務帯における各看護師の看護負担が意図した配分(例えば均等な配分)となるように看護体制を再編成しやすくなる。その結果、意図しない配分となること、例えば特定の看護師に看護負荷が集中してしまうことを抑制し、病院全体としての看護サービスの効率化と品質の向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記ナースコール親機は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、前記第1表示部に表示された患者の担当看護師を変更することが可能な操作部を備えても良い。
【0010】
この構成によれば、看護管理者は、ナースコール親機の第1表示部を見ながら操作部を操作して、次回以降の勤務帯における各患者の担当看護師を変更することができる。このため、看護体制を見直して再編成する編成作業の効率が高まる。
【0011】
また、本発明のナースコールシステムは、
病院の所定のエリアにおける各病室のレイアウト情報が記憶されたレイアウト情報記憶部を備え、
前記患者情報は、患者の病室情報を含み、
前記表示制御部は、前記レイアウト情報に基づいて、病院の所定のエリアにおける各病室のレイアウトを示すレイアウト画面を前記第1表示部に表示させるとともに、前記患者情報と前記勤務情報とに基づいて、前記レイアウト画面上に、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師と前記複数の患者の各病室とをそれぞれ関連づけた表示態様で前記第1表示部に同時に表示させることが可能であっても良い。
【0012】
この構成によれば、病院の所定のエリアにおける各病室のレイアウトを示すレイアウト画面上に、次回以降の勤務帯における複数の患者と各担当看護師と各病室とがそれぞれ関連づけられた表示態様で第1表示部に同時に表示される。これにより、看護管理者は、各病室の位置関係も含めて、現在予定している看護体制で次回以降の勤務帯において各看護師に生じる看護負担を第1表示部を見ることにより容易に比較して把握することができる。このため、看護管理者は、さらに、次回以降の勤務帯における各看護師の看護負担が意図した配分となるように看護体制を再編成しやすくなる。
【0013】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記患者情報記憶部には、現在入院している患者の患者情報と、入院予定の患者の患者情報とが記憶されていても良い。
【0014】
この構成によれば、入院予定の患者も含めて看護体制を再編成することができるため、さらに、各看護師の看護負担が意図した配分となるよう詳細に検討し易い。
【0015】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記表示制御部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、特定の看護師が担当する患者の患者情報を強調して表示させることが可能であっても良い。
【0016】
この構成によれば、特定の看護師の担当する患者の患者情報が認識しやすくなり、次回以降の勤務帯における各看護師の看護負担が意図した配分となるよう検討し易い。
【0017】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記操作部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、特定の患者の患者情報を選択して患者メモを入力することが可能であり、
前記患者メモは、前記特定の患者を担当する担当看護師が担当する他の全ての患者の患者情報に反映されるようにしても良い。
【0018】
この構成によれば、特定の患者の患者情報に入力しておいた患者メモが、その患者を担当する看護師の他の全ての担当患者に反映される。このため、患者メモを入力する作業が簡略化されるとともに入力漏れを防ぐことができる。また、看護管理者にとっては、患者メモの内容も考慮して現在の看護体制を見直すことができ、看護負担が意図した配分となるようにさらに検討しやすくなる。
【0019】
また、本発明のナースコールシステムは、
前記ナースコール親機と通話可能なナースコール子機を備え、
前記ナースコール親機は、第2表示部を有し、
前記表示制御部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、前記ナースコール子機によって呼出中の患者の患者情報を前記第2表示部に表示させるようにしても良い。
【0020】
この構成によれば、ナースコールしている患者の患者情報を第2表示部に表示させることで、ナースコールをした患者に迅速に対応する業務と、第1表示部上に次回以降の勤務帯を表示させて看護体制の検討あるいは変更する業務とを並行して行うことができる。
【0021】
また、本発明のナースコールシステムは、
前記表示制御部と通信可能であるとともに第3表示部を有する表示装置を備え、
前記表示制御部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、現在の勤務帯における複数の患者と各担当看護師とをそれぞれ関連づけた表示態様で前記第3表示部に同時に表示させることが可能であっても良い。
【0022】
この構成によれば、通常は常時表示させておきたい情報である、現在の勤務帯における患者と各担当看護師とをそれぞれ関連づけた表示態様で第3表示部に同時に表示させつつ、第1表示部上に次回以降の勤務帯を表示させて看護体制の検討あるいは変更等を行うことができる。
【0023】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記操作部は、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態において、前記第1表示部に表示された情報に対して勤務帯メモを入力することが可能であり、前記勤務帯メモは、次回以降の勤務帯における複数の患者と前記複数の患者の各担当看護師とがそれぞれ関連づけられた表示態様で前記第1表示部に同時に表示された状態においてのみ前記第1表示部に表示されるようにしても良い。
【0024】
この構成によれば、看護管理者は、勤務帯メモの内容も考慮して現在の看護体制を見直すことができ、看護負担が意図した配分となるようさらに検討しやすくなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のナースコールシステムによれば、病院全体の看護サービスの効率化や品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るナースコールシステムの実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係るナースコールシステム1の構成図である。
図1に示すように、ナースコールシステム1は、複数の(本例では4つの)ナースコール子機2a,2b,2c,2d(以下、総称する場合はナースコール子機2と称する)と、ナースコール親機3と、サブモニタ35と、複数の(本例では2つの)廊下灯4a,4b(以下、総称する場合は廊下灯4と称する)と、制御機5と、複数の(本例では4つの)携帯端末6a,6b,6c,6d(以下、総称する場合は携帯端末6と称する)と、基地局61と、交換機62と、を備えている。また、ナースコールシステム1にはハブ(HUB)15を介してオーダリングシステム7が接続されている。
ナースコールシステム1は、例えば患者を収容する病院等の医療,介護施設内に設置されている。
【0029】
ナースコール子機2は、患者が看護師を呼び出して通話を行うためのものであり、病室内の病床(ベッド)毎に設置されている。ナースコール子機2は、プレート子機21と、握り子機22と、を有している。プレート子機21は、マイクとスピーカを備え、各患者のベッドの上方の壁面に設置されている。マイク及びスピーカは患者が看護師との間で相互に通話を行うためのものである。握り子機22は、呼出ボタンを備え、プレート子機21にケーブルで接続されている。呼出ボタンは病室内の患者が看護師を呼び出すためのボタンである。ナースコール子機2は、通信ケーブルを通じて廊下灯4に接続されている。
【0030】
廊下灯4は、各患者からの呼出を検出してその呼出を病室外へ報知するものであり、病室の入口付近に設置されている。本例の廊下灯4は、ハブ15を経由して制御機5と接続されている。本例の廊下灯4には、液晶表示部41が設けられていて、ナースコール子機2から呼び出しがあると、呼び出しをした患者の名前等の患者情報が液晶表示部41に表示されるように構成されている。さらに、ナースコール子機2から呼び出しがあると、廊下灯4に設けられた表示ランプ42が例えば点滅するように構成されている。
【0031】
ナースコール親機3は、患者からの呼び出しに看護師が応答して通話を行ったり、患者や看護師等の情報を表示する機能を有するものである。ナースコール親機3は、スタッフステーション等の施設内共用部に設置されている。ナースコール親機3は、大型モニタ(第1表示部の一例)31と、小型モニタ(第2表示部の一例)32と、通話部33と、を有している。
【0032】
大型モニタ31は、例えば24型の縦長のタッチパネル画面で構成されており、ナースコール親機3の操作部としても機能することが可能である。
【0033】
小型モニタ32は、例えば7型の横長のタッチパネル画面で構成されている。小型モニタ32は、例えば、ナースコール子機2によって患者から呼び出しが有った場合、その呼び出しをした患者のベッド番号や名前等を含む患者情報を表示する。
【0034】
通話部33は、患者からの呼出音および患者の音声を出力するスピーカと、患者の呼び出しに看護師が応答して通話を行うための通話機と、を有している。
【0035】
ナースコール親機3のCPU36(
図3参照)は、管理PC34を介してサブモニタ(第3表示部を有する表示装置の一例)35と通信可能に接続されている。サブモニタ35は、例えばナースコール親機3の大型モニタ31よりも大きい液晶表示部を有し、例えばスタッフステーションの壁面に設置されている。管理PC34は、例えば大型モニタ31とサブモニタ35とに表示される画面の切り替え制御を行うものである。また、ナースコール親機3と管理PC34とは、ハブ15を経由して制御機5と接続されている。
【0036】
制御機5は、中継器として設置されており、接続されている各機器の呼出制御あるいは通話制御等を行なうものである。制御機5は、ハブ15及び通信ケーブルを介して、廊下灯4、ナースコール親機3、管理PC34、後述する交換機(IP PBX)62、オーダリングシステム7と接続されている。
【0037】
携帯端末6は、ナースコール子機2からの呼び出しを通知するとともに呼び出しに応答して患者と通話するためのものであり、各看護師によって携帯されている。携帯端末6には表示画面が設けられており、ナースコール子機2からの呼び出しが有ると、呼出元である患者の病室番号、ベッド番号、名前等が表示される。携帯端末6としては、例えばPHS6a,6bやスマート端末6c,6d等が用いられ、各携帯端末6a,6b,6c,6dは個別の端末番号を有している。
【0038】
基地局61は、携帯端末6との間で無線通信を行うためのものであり、スタッフステーションの近辺、および施設内でスタッフステーションから離れた場所に所定の間隔で設置されている。交換機(例えばIP PBX等)62は、携帯端末6とナースコール子機2とを接続するためのものであり、スタッフステーション内または施設内の共用部に設置されている。交換機62は、通信ケーブルを通じて制御機5に接続されている。また、交換機62は、ハブ15を経由してナースコール子機2と接続されている。
【0039】
オーダリングシステム7は、各患者の患者情報を含む病院に関する情報を一括して管理するものであり、例えば施設の管理室等の所定の場所に設置されている。
【0040】
図2は、制御機5の機能ブロック図である。
図2に示すように、制御機5は、CPU51と、CPU51に接続された記憶部52、廊下灯インターフェース回路(以下、インターフェース回路を「I/F」と称す)53、親機I/F54、交換機I/F55、及びオーダリングI/F56と、を備えている。
【0041】
廊下灯I/F53は、廊下灯4と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。親機I/F54は、ナースコール親機3と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。交換機I/F55は、交換機62と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。オーダリングI/F56は、オーダリングシステム7と信号伝送路を形成するための通信部を構成するとともに、オーダリングシステム7で管理されている情報を受信するための回路である。
【0042】
記憶部52には、患者情報記憶部52aと、勤務情報記憶部52bと、レイアウト情報記憶部52cとが設けられている。患者情報記憶部52aには、現在入院している患者の入院日、退院予定日、氏名、性別、年齢、主担当看護師と副担当看護師を含む担当情報、担当医師、病室番号、ベッド番号、感染症情報、救護区分、食事制限の有無、看護必要度、投薬情報などを含んで構成される患者情報が記憶されている。また、患者情報記憶部52aには、現在入院している患者だけでなく入院予定の患者の患者情報も含まれる。本例では、患者情報は、オーダリングシステム7から例えば定期的に送信されてきて患者情報記憶部52aに記憶されている。
【0043】
勤務情報記憶部52bには、各看護師の勤務情報が記憶されている。勤務情報は、例えば一か月単位で、各看護師の勤務日(勤務予定日を含む)、勤務帯(例えば3勤制であれば、日勤、夜勤、準夜勤のいずれか)、休暇日(休暇予定日を含む)等の勤怠に関する情報で構成されている。本例では、勤務情報は、オーダリングシステム7から例えば定期的に送信されてきて勤務情報記憶部52bに記憶されている。
【0044】
レイアウト情報記憶部52cには、病院の所定のエリア(特定の病棟やフロアなど)における各病室の配置関係を示すレイアウト情報が記憶されている。レイアウト情報には、各病室の病室番号や各患者のベッド番号を特定するための情報も含まれており、患者情報に含まれる各患者の病室情報やベッド番号と対応づけることで、所定のエリアでどの位置にあるどの病室にどの患者が入院しているかを対応づけることができるものである。
【0045】
CPU51は、例えば、記憶部52に記憶される情報の送受信等の管理、ナースコール子機2からの呼び出しに対する携帯端末6の特定等を行っている。携帯端末6を特定する際には、担当看護師とその看護師が携帯する携帯端末6との対応テーブルが用いられる。
【0046】
図3は、ナースコール親機3の機能ブロック図である。
図3に示すように、ナースコール親機3は、CPU(表示制御部の一例)36と、制御機I/F37と、記憶部38と、を備えている。CPU36は、大型モニタ31と、小型モニタ32と、通話部33と接続され、これらの動作を制御する。
【0047】
制御機I/F37は、制御機5と信号伝送路を形成するための通信部を構成している。
記憶部38には、制御機5の記憶部52に記憶された患者情報、勤務情報、レイアウト情報が記憶されている。本例では、これらの情報は、制御機5から例えば定期的に送信されてきて記憶部52に記憶される。
【0048】
CPU36は、例えば、記憶部38に記憶された患者情報と勤務情報とレイアウト情報とに基づいて、大型モニタ31に表示させる画面を形成する処理を行う。また、CPU36は、例えば、ナースコール子機2によって患者から呼び出しが有った場合、呼出元の患者の患者情報を小型モニタ32あるいはサブモニタ35に表示する制御を行なっている。
【0049】
次に、
図4を参照して、ナースコール親機3の大型モニタ31に現在の看護体制が表示された画面の一例を説明する。
【0050】
図4に示すように、大型モニタ31には、病院の所定のエリア(例えば内科病棟)における各病室のレイアウトが示されたレイアウト画面71が表示される。このレイアウト画面71は、ナースコール親機3のCPU36が記憶部38に記憶されたレイアウト情報に基づいて作成している。本例のレイアウト画面71では、画面の中心にスタッフステーションがあり、画面の左上から左下に向かって、病室601〜病室603が略矩形の表示枠で模式的に表示されている。また同様に、画面の右上には、病室604が表示され、画面の右下には病室605が表示されている。また、病室602と病室603との間にはトイレがあり、画面上でスタッフステーションの右側には多目的スペースがある。
【0051】
また、レイアウト画面71に表示される各病室601〜605の略矩形の表示枠の内側には、各病室に入院ベッドがある患者の名前が表示されている。例えば、CPU36は、患者情報に含まれる患者の病室番号やベッド番号とレイアウト情報に含まれる病室番号やベッド番号とを対応付けて、その対応テーブルを用いて、レイアウト画面71上で各病室の表示枠内に患者の名前を表示する制御を行う。
【0052】
また、レイアウト画面71の下部には、担当看護師に関する情報が表示されている。具体的には、レイアウト画面71の下部の表示枠内において、符号72は、本日の日付(2014年3月20日)の表示箇所を示しており、符号73は、勤務帯(この画面では日勤)の表示箇所を示している。
【0053】
また、符号74は、レイアウト画面71に表示されている各患者を担当する看護師名(高田まみ、寺島綾子、中島景子)の表示箇所を示し、符号75は、各看護師が担当する患者の人数の表示箇所を示し、符号76a〜76cは、各看護師の担当患者数を囲む領域に付されるハッチングをそれぞれ指している。また、これらのハッチングは、各看護師が担当する患者の名前を囲う表示枠の内側にもそれぞれ付されている。なお、表示枠にハッチングを付す代わりに、任意の色を付してもよい。
【0054】
具体的には、高田まみ看護師が担当する3人の患者(原田智子、安藤みき、工藤悟)の名前を囲う表示枠の内側には、高田まみ看護師の担当患者数3を囲う表示枠の内側に付されるハッチング76aと同じハッチング76aが付されている。寺島綾子看護師、中島景子看護師についても同様である。
【0055】
このように、本例のレイアウト画面71には、現在の勤務帯(2014年3月20日の日勤)において、各患者の名前と各患者を担当する担当看護師の氏名とが各ハッチング76a〜76cによってそれぞれ関連づけられた表示態様で大型モニタ31上に同時に表示されている。これは、ナースコール親機3のCPU36が、レイアウト情報に基づいて作成したレイアウト画面71上に、患者情報に含まれる患者の名前及び担当情報を用いてそれらの表示枠の内側に同じハッチングを付する処理を行うことで実現されている。
【0056】
次に、
図4〜
図6を参照して、次回以降の勤務帯における看護体制を見直し編集する際の動作を説明する。
【0057】
看護管理者や各担当看護師は、
図4に示されるレイアウト画面71を見ることにより、現在の勤務帯(2014年3月20日の日勤)における看護体制(担当看護師の仕事の割り振り)を確認することができる。
【0058】
ここで、例えば、看護管理者が、タッチパネル画面に表示されたレイアウト画面71において、本日の日付(2014年3月20日)の表示箇所72や勤務帯(この画面では日勤)の表示箇所73をタッチ操作し、
図5に示すように、次回以降の勤務帯(3日後である2014年3月23日の夜勤)を選択したとする。
【0059】
この場合、ナースコール親機3の大型モニタ31には、
図5に示すように、2014年3月23日の夜勤帯におけるレイアウト画面71Aが表示される。
【0060】
レイアウト画面71Aでは、2014年3月23日の夜勤帯における各患者の名前、各担当看護師の名前及び担当患者数が表示されている。具体的には、
図4及び
図5に示されるように、601号室の患者名において斉藤博之が北野正巳に変更されている。また、605号室の患者名において立花明子が中島陽子に変更されている。これは、3日後の2014年3月23日までに斉藤博之と立花明子の2人の患者が退院予定であり、北野正巳と中島陽子の2人の患者が入院予定であることを示している。また、本例では、入院予定の患者名の左側に星印(☆)を表示し、新たな入院患者を識別しやすくしている。このような患者名の切り替えは、ナースコール親機3のCPU36が、レイアウト情報と、患者情報に含まれる患者の退院予定日や入院予定患者の入院予定日と部屋番号に関する情報とを用いることで処理可能である。
【0061】
また、2014年3月23日の夜勤帯においては、2人の看護師(寺島綾子と中島景子)が服部裕子と花井マキにそれぞれ入れ替わっており、レイアウト画面71Aでは、高田まみ、服部裕子、花井マキの3人の看護師名が表示されている。
【0062】
ここで、高田まみ看護師の担当患者6人の名前を見ると、2014年3月20日に担当していた患者3人(原田智子、安藤みき、工藤悟)に、601号室の北野正巳と佐藤信、605号室の中島陽子の3人の患者が加わっている。この内、601号室の佐藤信は、高田まみ看護師が副担当看護師になっている患者であり、佐藤信の主担当看護師である寺島綾子看護師が3月23日は夜勤では不在のため、高田まみ看護師の担当患者として表示されている。また、入院予定の患者である601号室の北野正巳と605号室の中島陽子については、高田まみ看護師が主担当予定となっており、高田まみ看護師の担当患者として、ハッチング76aが付されている。
【0063】
また、602号室の上田里美と604号室の近藤忠彦については、寺島綾子看護師が主担当であり、服部裕子看護師が副担当であったため、レイアウト画面71A上では、服部裕子看護師の担当患者として、ハッチング76bが付されて表示されている。また、601号室の加藤太郎と603号室の北島隆については、中島景子看護師が主担当であり、花井マキ看護師が副担当であったため、レイアウト画面71A上では、花井マキ看護師の担当患者として、ハッチング76cが付されて表示されている。なお、患者の主担当看護師も副担当看護師も不在の場合は、その患者の氏名を囲う表示枠の内側には何もハッチングを付さないか、担当不在を示すハッチングを付す構成としてもよい。
【0064】
このように、次回以降の(本例では3日後の)勤務帯(本例では夜勤)における担当看護師や担当患者数や担当看護師を示すハッチング表示の切り替えは、ナースコール親機3のCPU36が、各担当看護師の勤務情報や、各患者の患者情報に含まれる担当情報や、レイアウト情報を用いることで処理可能である。
【0065】
このように、本例のレイアウト画面71Aには、次回の勤務帯(2014年3月23日の夜勤)における各患者の名前と各患者を担当する担当看護師の氏名とが各ハッチング76a〜76cによってそれぞれ関連づけられた表示態様で大型モニタ31上に同時に表示されている。
【0066】
看護管理者は、レイアウト画面71Aを見ることにより、本日から3日後の2014年3月23日における夜勤の看護体制(担当患者の割り振り)では
図4に示された2014年3月20日における日勤の看護体制と比較して看護負荷に偏りが生じていることを視覚的に容易に把握することができる。
【0067】
レイアウト画面71Aを見て、高田まみ看護師に看護負荷が集中していることを把握した看護管理者は、タッチパネルで構成されて操作部としても機能する大型モニタ31に対してタッチ操作を行って、担当患者を変更して看護体制を再編成することができる。具体的には、例えば、看護師の名前をタッチした後に患者の名前をタッチする等の簡易な操作で、大型モニタ31を見ながら担当の変更を行う。
【0068】
図6は、編成後の2014年3月23日における夜勤のレイアウト画面71Bを示している。編成前のレイアウト画面71A(
図5参照)と編成後のレイアウト画面71Bとを比較すると、601号室の患者である北野正巳の担当看護師が高田まみから花井マキに変更されている。また、605号室の患者である中島陽子の担当看護師が高田まみから服部裕子に変更されている。具体的には、北野正巳の看護師名が花井マキに変更され、北野正巳に付されたハッチングの種類が、花井マキ看護師を表すハッチング76cに変更されている。また、中島陽子の看護師名が服部裕子に変更され、中島陽子に付されたハッチングの種類が、服部裕子看護師を表すハッチング76bに変更されている。なお、本例では601号室の北野正巳の担当看護師が花井マキ看護師に変更されたのは、601号室の北野正巳と同じ病室である601号室に入院している加藤太郎の担当看護師が花井マキ看護師であるという情報に基づいている。
【0069】
この変更の結果、高田まみ看護師の担当患者数は4人、服部裕子看護師の担当患者数は3人、花井マキ看護師の担当患者数は3人となり、各看護師の看護負担が略均等になっている。
【0070】
看護管理者は、レイアウト画面71B上に表示される保存ボタン77をタッチすることにより、新しい担当情報を(各患者の担当の割り振り)保存することができる。例えば、保存ボタン77をタッチすることにより、編成後の担当情報が、ナースコール親機3から制御機I/F37を介して制御機5に送信される。制御機5に送信された編成後の担当情報は、親機I/F54から入力されて、患者情報記憶部52aに記憶される患者情報のうち担当情報が更新される。また、制御機5からオーダリングI/F56を介してオーダリングシステム7に送信されて、オーダリングシステム7の記憶部に記憶された患者情報が更新される。
【0071】
ところで、看護師長や看護主任等の看護管理者は、各看護師の専門性や看護負担の実質的な均等化等を考慮して、各患者を担当する担当看護師や担当看護チームを編成し、病院全体の看護体制を整えている。しかし、新たな患者が入院したり完治によって患者が退院したりすることにより入院患者数は変化するものであり、また、各患者の容態も日々変化するものである。そこで、看護管理者は、逐次、状況の変化に応じて看護体制を見直す必要がある。例えば、看護管理者は、特開2007−257351号公報に記載のようなシステムを利用することで、新たな入院患者の入院予定日や既往歴等の患者情報を患者毎に確認しながら看護体制を見直すことができる。しかしながら、このような従来のシステムを用いた手法では、患者情報のみの比較に基づいて看護体制を見直すことに留まっていた。患者の人数が増えてくると各患者の患者情報を比較して検討することも困難となり、各看護師にかかる看護負担が意図しない配分となる場合、例えば均等化が不十分となって特定の看護師に看護負荷が集中してしまう場合があった。この場合、看護サービスの効率や品質に影響を及ぼす可能性がある。
【0072】
そこで、本実施形態のナースコールシステム1では、勤務情報とレイアウト情報に基づいて作成された次回以降の勤務帯におけるレイアウト画面71A上に、患者情報と勤務情報とに基づいて、次回の勤務帯における各患者の名前と各患者を担当する担当看護師の氏名とを各ハッチング76a〜76cによってそれぞれ関連づけた表示態様で大型モニタ31上に同時に表示させるようにした。
【0073】
これにより、看護管理者は、次回以降の勤務帯における病室のレイアウト画面71Aを見ることにより、どの位置にある病室に新しい患者が入院するか、新しい患者の担当予定の看護師は誰か、新しい患者の近くに入院している患者の担当看護師は誰か、各看護師が担当する患者の数に偏りがないか等を視覚的に容易に把握することができる。このように、ナースコールシステム1によれば、看護管理者は、現在の看護体制で看護を行った場合において将来発生する看護負担の偏りを視覚的に容易に把握することができる。看護負担の偏りを把握しやすくなることで、看護管理者は、各看護師にかかる看護負担が例えば略均等となるような新しい看護体制を編成しやすくなる。その結果、病院全体としての看護サービスの効率化と品質の向上を図ることができる。
【0074】
また、担当看護師も、ナースコール親機3において、次回以降の勤務帯における病室のレイアウト画面71Aを見ることにより、将来の日の勤務における自分自身の担当患者数や仕事量を把握しやすい。
【0075】
また、ナースコール親機3は、現在の勤務帯における病室のレイアウト画面71と次回以降の勤務帯における病室のレイアウト画面71とを切り替えて表示することが可能である。同じレイアウト画面71上に現在と次回以降とを切り替えて表示することにより、現在の勤務帯における看護負担の分担状況と次回以降の勤務帯における看護負担の分担状況とを視覚的に比較しやすくなる。このため、看護管理者は、状況の変化に応じた適切な看護体制の編成を容易に検討することができる。
【0076】
また、大型モニタ31のタッチパネル画面をタッチ操作することで、看護管理者は大型モニタ31に表示されるレイアウト画面を見ながら各患者の担当看護師を変更することができる。このため、看護体制を見直して編成する編成作業が容易となる。
【0077】
本実施形態では、各病室のレイアウトを示すレイアウト画面71Aを見ることにより、看護管理者は、各病室の位置関係も含めて、次回以降の勤務帯における各看護師の看護負担が均等となるような看護体制を検討することができる。
【0078】
次に、ナースコール親機3の大型モニタ31に次回以降の勤務帯のレイアウト画面71Aが表示されている場合の他の動作を説明する。
【0079】
例えば、ナースコール親機3の大型モニタ31上に次回以降の勤務帯におけるレイアウト画面71A等が表示されている場合、CPU36は管理PC34と協働して、現在のレイアウト画面71(
図4参照)をサブモニタ35に表示させる。
【0080】
現在の勤務帯におけるレイアウト画面71をサブモニタ35に表示させることで、現在の看護体制をサブモニタ35に表示されるレイアウト画面71で確認しつつ、ナースコール親機3の大型モニタ31上で次回以降の勤務帯における看護体制の編成作業を行うことができる。
【0081】
また、例えば、ナースコール子機2の呼出ボタンが患者によって押下されると、ナースコール子機2から出力された呼出信号が廊下灯4を介して制御機5に送信される。制御機5は、呼出信号と患者情報に基づいてナースコールを行った患者を特定し、その患者を特定する情報をナースコール親機3に送信する。このとき、ナースコール親機3の大型モニタ31上に次回以降の勤務帯におけるレイアウト画面71A等が表示されている場合、呼出元の患者の患者情報を小型モニタ32上に表示させる。この場合、小型モニタ32上に例えば患者のベッド番号、名前等を表示させるようにしても良い。
【0082】
このように、ナースコール親機3の大型モニタ31に次回以降の勤務帯のレイアウト画面71Aを表示している際に、ナースコール子機2によって呼び出しをしている患者の患者情報を小型モニタ32に表示させることで、患者からの呼び出しの対応業務と看護体制の編成作業とを並行して行うことができる。
【0083】
以上のように、サブモニタ35や小型モニタ32の表示内容を制御することにより、例えば、スタッフステーションで各看護師がサブモニタ35を見ながらミーティングを行いつつ、小型モニタ32で患者からの呼び出しにも対応したり、ナースコール親機3の大型モニタ31上で看護体制の編成作業を行うことができる。
【0084】
次に、
図7を参照して、ナースコール親機3の大型モニタ31に表示される画面の変形例を説明する。
【0085】
図7は、
図5で示したレイアウト画面71A上に追加で他の操作がされた画面の一例を示している。
図7に示すように、ナースコール親機3のCPU36は、タッチ操作等によって選択された特定の看護師が担当する全ての患者の名前の表示枠を太線表示にして、他の患者よりも強調して表示している。
図7の例では、高田まみ看護師が選択され、高田まみ看護師が担当する6人の患者である北野正巳、佐藤信、原田智子、安藤みき、工藤悟、および中島陽子の名前を囲う表示枠が太線77で表示されている。
【0086】
このように、看護管理者は、例えば看護体制の編成を検討する際に特定の看護師が担当する患者の表示枠を強調表示させることで、比較がさらにし易くなる。このため、次回以降の勤務帯における各看護師の看護負担が意図した配分となるよう、例えば均等化の検討がし易い。なお、強調表示は太線表示に限らず、点滅表示や他の区別し易い他の表示態様でも良い。
【0087】
また、
図7に示すように、大型モニタ31にレイアウト画面71Aが表示された状態において、例えばタッチペンを用いて特定の患者名をタッチすることにより患者が選択され、選択された患者に対して患者メモを入力可能としても良い。入力された患者メモは、選択された特定の患者に対する情報としてだけでなく、選択された患者を担当している看護師の全ての担当患者に対する情報として記録されても良い。例えば
図7において花井マキ看護師が担当する患者の一人である601号室の加藤太郎を選択して患者メモ(バイタルチェック要)を入力した場合、その患者メモは花井マキ看護師の他の担当患者である603号室の北島隆に対しても反映される。
【0088】
これにより、患者メモを入力する作業が簡略化されるとともに入力漏れを防ぐことができる。また、看護管理者にとっては、患者メモの内容も考慮して現在の看護体制を見直すことができ、看護負担の均等化等をさらに検討しやすくなる。なお、このメモ入力機能は、現在のレイアウト画面71に対しても応用可能である。
【0089】
また、
図7に示すように、大型モニタ31にその勤務帯における勤務帯メモ79を入力可能としても良い。例えば、次回以降(2014年3月23日,夜勤)のレイアウト画面71Aが表示された状態において、レイアウト画面71Aに対してタッチ操作等をして勤務帯メモを入力する。勤務帯メモとしては、例えば退職により担当看護師が変更する旨を連絡する「看護師の担当変更あり」というメモが挙げられる。
【0090】
入力された勤務帯メモは、入力を行った2014年3月23日の夜勤におけるレイアウト画面71Aが表示される場合にのみ表示される。
【0091】
これにより、看護管理者は、勤務帯メモの内容も考慮して現在の看護体制を見直すことができる。
【0092】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0093】
例えば、上記の形態では、各患者に対して主担当看護師と副担当看護師とが設定されているが、これに限定されない。例えば一人の患者につき複数人(3人など)の担当看護師を設定するようにしても良い。
【0094】
また、上記の形態では、各々の看護師に対して勤務情報が設定されているが、これに限定されず、例えば看護師を複数の看護チームに分けて、各々の看護チームを単位として患者と関連づけてレイアウト画面上に同時に表示する構成としても良い。
【0095】
また、上記の形態では、患者情報や勤務情報は、オーダリングシステム7から定期的に送信されてきて患者情報記憶部52aや勤務情報記憶部52bに記憶される例を説明したがこの例に限られない。例えば、オーダリングシステム7を設置しない構成では、ナースコール親機3や制御機5に対して各情報を直接入力しても良い。また、各情報の一部が更新された場合は、ナースコールシステム1で同様の情報が記憶されている記憶部で更新内容が反映されるように構成すれば良い。ナースコールシステム1を構成する構成要素のどこに記憶部があり各情報が記憶され、どの記憶部に記憶された情報を用いて本発明を実現するかは発明の要旨を限定するものではない。