特許第6359868号(P6359868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許63598683次元データ表示装置、3次元データ表示方法、及び3次元データ表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359868
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】3次元データ表示装置、3次元データ表示方法、及び3次元データ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20060101AFI20180709BHJP
   G06T 15/00 20110101ALI20180709BHJP
   G01S 17/10 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G01S17/89
   G06T15/00 501
   G01S17/10
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-91882(P2014-91882)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210186(P2015-210186A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2017年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野本 寛幸
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−146262(JP,A)
【文献】 特開2010−136563(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0164037(US,A1)
【文献】 特開2012−141758(JP,A)
【文献】 特開2010−287156(JP,A)
【文献】 特開2011−233165(JP,A)
【文献】 特開2006−064453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48−7/481、17/00−17/95
G01B 11/00−11/30
G06T 1/00−19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測点から照射されるレーザー光が反射された位置の3次元ベクトルから構成される点群データを、前記観測点ごとに格納する記憶部と、
前記点群データを構成する前記3次元ベクトルを、観測対象に設けられる基準座標を基準に一次変換してから、前記観測点ごとの前記点群データをマージすることにより、前記点群データを合成し、観測空間が分割されることにより形成された複数のメッシュにそれぞれ含まれる、合成された前記点群データの前記3次元ベクトルによって規定される点の数が閾値以下になる場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルに対応する位置に表示される図形の大きさを大きくして画像を表示する制御部と、
を備える3次元データ表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数のメッシュにそれぞれ含まれる前記点の数が前記閾値より多い場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルを間引いた後の合成された前記点群データに基づいた画像を表示する、
請求項1に記載の3次元データ表示装置。
【請求項3】
点群データを構成する3次元ベクトルを、観測対象に設けられる基準座標を基準に一次変換してから、観測点ごとの前記点群データをマージすることにより、前記点群データを合成し、
観測空間が分割されることにより形成された複数のメッシュにそれぞれ含まれる、合成された前記点群データの前記3次元ベクトルによって規定される点の数が閾値以下になる場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルに対応する位置に表示される図形の大きさを大きくして画像を表示する3次元データ表示方法。
【請求項4】
前記画像を表示するにあたって、前記複数のメッシュにそれぞれ含まれる前記点の数が前記閾値より多い場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルを間引いた後の合成された前記点群データに基づいた画像を表示する、
請求項3に記載の3次元データ表示方法。
【請求項5】
観測点から照射されるレーザー光が反射された位置の3次元ベクトルから構成される点群データを、前記観測点ごとに格納する記憶部を備えるコンピュータを、
点群データを構成する3次元ベクトルを、観測対象に設けられる基準座標を基準に一次変換してから、前記観測点ごとの前記点群データをマージすることにより、前記点群データを合成する合成手段と、
観測空間が分割されることにより形成された複数のメッシュにそれぞれ含まれる、合成された前記点群データの前記3次元ベクトルによって規定される点の数が閾値以下になる場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルに対応する位置に表示される図形の大きさを大きくして画像を表示するサイズ変更表示手段と、
として機能させる3次元データ表示プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記複数のメッシュにそれぞれ含まれる前記点の数が前記閾値より多い場合に、前記メッシュに含まれる前記点を示す前記3次元ベクトルを間引いた後の合成された前記点群データに基づいた画像を表示する間引き表示手段として更に機能させる、
請求項5に記載の3次元データ表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3次元データ表示装置、3次元データ表示方法、及び3次元データ表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元空間に配置された立体形状の物、例えば一般建築物、土木構造物、文化財、産業用プラントや原子力発電所の内部を計測して表示する方法の一つとして点群データを処理する方法がある。
【0003】
点群データは例えばレーザースキャナによって物体が計測され、生成される。レーザースキャナは、パルス状のレーザー光線を照射する照射部と、照射されたレーザー光線の物体による反射光を検知する受光部と、照射部及び受光部を一定速度にて上下方向、すなわちX軸周りに回転させるエレベーション回転部と、照射部及び受光部を左右方向、すなわちY軸周りに回転させるアジマス回転部と、照射したレーザー光と受光した反射光の位相差に基づいて奥行き方向、すなわちZ軸方向の距離を測定する奥行き測定部と、を備える。
【0004】
レーザースキャナは反射したレーザー光を受光して反射部位の3次元空間内での位置を3次元ベクトル(x,y,z)の集合として出力する。この出力された点の3次元ベクトルの集合を点群データと呼ぶ。
【0005】
レーザースキャナを使用して例えば物体が置いてある室内の点群データを生成する場合、レーザースキャナを移動させて複数個所から計測する。しかし、そのうちの1か所における計測結果にはレーザー光が物体によって遮られることによる「影」の部分ができ、この「影」の部分は点群データが得られない。これを補うために、複数の場所から計測を行い、点群データを生成する。
【0006】
しかし、点群データはデータ量が膨大であるため、パソコンなどによって計測した物体を表示する場合には素データに何らかの処理を施して扱いうるデータ量に減少させる必要がある。
【0007】
また、複数の場所から計測した場合、生成された複数の点群データのセットを単純に合成すると、「影」の部分だけデータ量が少なくなり、表示むらが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−141758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、複数の観測点から得られた点群データを合成する場合に、データ量を扱いやすい量にすることができるとともに、表示むらが発生しない3次元データ表示装置、3次元データ表示方法、及び3次元データ表示プログラムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、観測点から照射されるレーザー光が反射された位置の3次元ベクトルから構成される点群データを、観測点ごとに格納する記憶部と、点群データを構成する3次元ベクトルを、観測対象に設けられる基準座標を基準に一次変換してから、観測点ごとの点群データをマージすることにより、点群データを合成し、観測空間が分割されることにより形成された複数のメッシュにそれぞれ含まれる、合成された点群データの3次元ベクトルによって規定される点の数が閾値以下になる場合に、メッシュに含まれる点を示す3次元ベクトルに対応する位置に表示される図形の大きさを大きくして画像を表示する制御部と、を備える3次元データ表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3次元データ表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】点群データファイルのデータ構造を示す図である。
図3】設定ファイルのデータ構成を示す図である。
図4】合成後の点群データファイルの内容を示す図である。
図5】間引き後の点群データファイルの内容を示す図である。
図6】表示装置の制御部による動作を示すフローチャートである。
図7】第1の観測点における室内の観測の様子を示す図である。
図8】第2の観測点における室内の観測の様子を示す図である。
図9】点群データの合成だけを行った場合の点群データを表示した図である。
図10】点群テータの選択間引きを行った場合、又はサイズ変更を行った場合の表示結果を示す図である。
図11】選択間引きを行う前の合成後の点群の様子を示す図である。
図12】選択間引きを行った後の点群の様子を示す図である。
図13】サイズ変更の第1の例を示す図である。
図14】サイズ変更の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、3次元データ表示装置、3次元データ表示方法、及び3次元データ表示プログラムの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の3次元データ表示装置は、観測点から照射されるレーザー光が反射された位置の3次元ベクトルから構成される点群データを、観測点ごとに格納する記憶部と、点群データを構成する3次元ベクトルを、観測対象に設けられる基準座標を基準に一次変換してから、観測点ごとの点群データをマージすることにより、点群データを合成し、観測空間が分割されることにより形成された複数のメッシュにそれぞれ含まれる、合成された点群データの3次元ベクトルによって規定される点の数が閾値以上になる場合に、メッシュに含まれる点を示す前記3次元ベクトルを間いた後の合成された点群データに基づいた画像を表示する制御部と、を備える。
【0014】
図1は、3次元データ表示装置(以下、表示装置1という。)の構成を示すブロック図である。図1に示すように、表示装置1は、演算装置であるCPU(central processing unit)を含む制御部101と、メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を含む記憶部102と、ディスプレイ、タッチパネルなどの情報を表示する機器を含む表示部103と、キーボード、マウスなどの情報を入出力する入出力部104と、通信を行う通信部105と、を備える。
【0015】
記憶部102は、レーザースキャナが設置される位置、すなわち観測の原点ごとに、レーザースキャナによって計測されたレーザー光の反射点の3次元ベクトルデータの集まりである点群データを格納する点群データファイル102Aと、点群データの表示部103における表示モードを格納する設定ファイル102Bと、を格納する。
【0016】
記憶部102は3次元データ表示プログラムを格納し、制御部101は記憶部102から3次元データ表示プログラムを順次読み出して実行する。
【0017】
表示装置1は、いわゆるパソコンを使用することができる。
【0018】
表示装置1は通信部105を介してレーザースキャナ2と接続する。レーザースキャナ2は、パルス状のレーザー光線を照射する照射部と、照射されたレーザー光線の物体による反射光を検知する受光部と、照射部及び受光部を一定速度にて上下方向、すなわちX軸周りに回転させるエレベーション回転部と、照射部及び受光部を左右方向、すなわちY軸周りに回転させるアジマス回転部と、照射したレーザー光と受光した反射光の位相差に基づいて奥行き方向、すなわちZ軸方向の距離を測定する奥行き測定部と、を備える。
【0019】
レーザースキャナ2は反射したレーザー光を受光して反射点の3次元空間内での位置を示す3次元ベクトル(x,y,z)から構成される点群データを出力する。
【0020】
表示装置1はレーザースキャナ2が出力した点群データを点群データファイル102Aに格納する。
【0021】
図2は、点群データファイル102Aのデータ構造を示す図である。図2に示すように、点群データファイル102Aは、観測点ごとに固有に割り当てられる「ファイル名」と、観測点の位置を表す「原点座標」と、原点座標ごとに観測されたレーザー光の反射点の3次元ベクトルデータの集まりである点群データと、から構成される。
【0022】
点群データファイル102Aに格納される各データの例は、ファイル名が「DATA01」、原点座標が「(100,100,100)」、点群データが「503,1251,902」である。
【0023】
ここで、観測する対象に対して一意に設けられる座標を基準座標とする。原点座標は、基準座標における3次元ベクトルによって表される。
【0024】
図3は、設定ファイル102Bのデータ構成を示す図である。図3に示すように、設定ファイル102Bは、点群データの表示部103における表示モードを示す「モード」を格納する。
【0025】
「モード」の例は、「サイズ変更」の他、「選択間引き」、「選択間引き、かつ、サイズ変更」などから選択できる。
【0026】
モードが「サイズ変更」の場合、表示装置1は存在密度が低密度、すなわち高密度でない範囲にある点群データの一つ当たりの表示部103が表示する図形の大きさを大きくすることによりサイズ変更する。
【0027】
モードが「選択間引き」の場合、表示装置1は、点群の存在密度が高密度である範囲について点群を間引く。
【0028】
図4は、合成後の点群データファイルの内容を示す図である。図4においては、原点座標が(100,100,100)の点群データと、原点座標が(300,100,100)の点群データと、を合成する例を示す。
【0029】
図4に示すように、表示装置1はまず点群データを構成する3次元ベクトルを、原点座標を用いて一次変換する。例えば、3次元ベクトル(503,1251,902)は原点座標が(100,100,100)であるため、3次元ベクトル(603,1351,1002)に一次変換される。
【0030】
次に、各点の3次元ベクトルにその3次元ベクトルが観測された原点座標を示す情報が付加される。例えば、原点座標が(100,100,100)であり、一次変換後の3次元ベクトルが(603,1351,1002)とすると、原点座標を示す情報を付加した後の点群データは((100,100,100),(603,1351,1002))となる。従って、原点座標を示す情報を付加した後の点群データは各3次元ベクトルがどの観測点において観測されたものかを判別するための情報を保持していることとなる。
【0031】
最後に、表示装置1は、原点座標が(100,100,100)の点群データと、原点座標が(300,100,100)の点群データと、を一つのファイルに結合、すなわちマージし、3次元ベクトルの座標によってソートする。
【0032】
このように、表示装置1は、点群データを基準座標へ一次変換し、点群データを構成する3次元ベクトルそれぞれに原点座標を付加し、点群データを相互にマージすることにより点群データを合成する。
【0033】
表示装置1は絶対空間座標に仮想のメッシュを設定し、このメッシュごとに点群データの存在密度を計算する。
【0034】
メッシュは、例えば、X軸、Y軸、Z軸に平行な線を10mm間隔により仮想の線を、観測する対象の観測範囲内において規定することによって設定される。例えば、室内を観測する場合、その室内に仮想の線を規定する。
【0035】
図4に示すように、原点座標が(100,100,100)の点群データと、原点座標が(300,100,100)の点群データとの両方が存在する場合、第1のメッシュのように、この二つの観測点における点群データが一つのメッシュの中に混在する。
【0036】
これに対し、いずれか一つの観測点からは影ができて観測できない部分は点群データが存在しないため、第2のメッシュのように影になった方の点群データが無く、観測できた方の原点座標を示す点群データのみが存在する。
【0037】
図5は、間引き後の点群データファイルの内容を示す図である。図5において、ハッチングを施してあるのは間引かれた点群データを示す。
【0038】
図5に示すように、表示装置1は、点群データに示される点の存在密度が高密度である範囲について点群データを間引く。
【0039】
高密度であるか否かの判定は、全メッシュの密度の平均を算出し、この密度の平均より高い場合、高密度と判定するようにしてもよいし、あらかじめ設定した閾値より存在密度が高い場合、高密度と判定するようにしてもよい。
【0040】
点群データの間引き方は、間引く割合が原点座標ごとに略同じ割合になるように間引くことが望ましい。例えば、4つの観測点の点群データを合成した後に間引く場合、各観測点のデータをそれぞれ1/4になるように間引く。
【0041】
図5においては、原点座標が(100,100,100)の点群データと、原点座標が(300,100,100)の点群データとを交互に間引いた結果を示している。
【0042】
このように、表示装置1が点群データの存在密度が高密度である範囲について点群データを間引くと、複数の観測点から観測できたメッシュと、一部の観測点から観測できなかったメッシュとの間における点群データの存在密度が近づく。従って、むらに表示されることを回避することができる。
【0043】
図6は、表示装置1の制御部101による動作を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップ401において、表示装置1は設定ファイル102Bを読込む。
【0044】
ステップ402において、表示装置1はモードが「選択間引き」であるかを判定する。表示装置1は、モードが「選択間引き」であると判定した場合、ステップ403に進み、「選択間引き」でないと判定した場合、ステップ410に進む。
【0045】
ステップ403において、表示装置1は点群データファイル102Aを読込む。
【0046】
ステップ404において、表示装置1は読込んだ点群データの3次元座標を基準座標に一次変換し、マージすることにより合成処理を行う。
【0047】
表示装置1は、点群データを原点座標に基づいて絶対空間座標に一次変換し、各点の3次元ベクトルにその3次元ベクトルが観測された原点座標を付加し、各観測点の点群データをマージする。
【0048】
ステップ405において、表示装置1は基準座標に仮想のメッシュを設定し、このメッシュごとに点群データの存在密度を計算する。
【0049】
例えば、あるメッシュの中に点群データが40個あった場合、存在密度は40個/メッシュである。
【0050】
ステップ406において、表示装置1は、点群の存在密度が高密度である範囲について点群を間引く。
【0051】
ステップ407において、表示装置1はモードが「サイズ変更」であるかを判定する。表示装置1は、モードが「サイズ変更」であると判定した場合(すなわち、「選択間引き、かつ、サイズ変更」の場合。)、ステップ408に進み、「サイズ変更」でないと判定した場合、ステップ409に進む。
【0052】
ステップ408において、表示装置1は存在密度が低密度、すなわち高密度でない範囲にある点群データの一つ当たりの表示する図形の大きさを大きくすることによりサイズ変更する。
【0053】
具体的には、低密度の範囲をメモリに格納しておき、表示の際にサイズ変更してもよいし、低密度の範囲の点に予め表示する図形の大きさを付加することによってサイズ変更してもよい。
【0054】
ステップ410において、表示装置1はモードが「サイズ変更」であるかを判定する。表示装置1は、モードが「サイズ変更」であると判定した場合、ステップ411に進み、「サイズ変更」でないと判定した場合、処理を終了する。
【0055】
ステップ411において、表示装置1は点群データファイル102Aを読込む。
【0056】
ステップ412において、表示装置1は読込んだ点群データの3次元座標を絶対空間座標に変換してマージすることにより合成処理を行う。この際、各点の3次元座標にその3次元座標が観測された原点座標が付加される。従って、合成後の点群データは各点がどの観測点において観測された点なのかを保持していることとなる。
【0057】
ステップ413において、表示装置1は、点群の存在密度が高密度であるか低密度であるかにかかわらず均一に点群を間引く。
【0058】
ステップ414において、表示装置1は絶対空間座標に仮想のメッシュを設定し、このメッシュごとに点群データの存在密度を計算する。
【0059】
ステップ415において、表示装置1は存在密度が低密度、すなわち高密度でない範囲にある点群データの一つ当たりの表示の大きさを大きくすることによりサイズ変更する。
【0060】
ステップ409において、表示装置1は、別途入力される視点の座標に基づいて点群データを2次元座標に配置し、表示部103に表示する。
【0061】
図7は、第1の観測点における室内501の観測の様子を示す図である。図8は、第2の観測点における室内501の観測の様子を示す図である。
【0062】
図7に示すように、第1の観測点においては、レーザースキャナ502の真下である影502Aになる部分と、物体503の影503Aになる部分及び影503Bになる部分についてはレーザー光が届かないため、点群データが得られない。
【0063】
図8に示すように、第1の観測点においては、レーザースキャナ502の真下である影502Cになる部分と、物体503の影503Cになる部分及び影503Dになる部分についてはレーザー光が届かないため、点群データが得られない。
【0064】
図9は、点群データの合成だけを行った場合の点群データを表示した図である。図9に示すように、単に第1の観測点における点群データと第2の観測点における点群データとを合成した場合、点群データの存在密度の高密度範囲701と、低密度範囲702が生じ、各点の座標にそれぞれ同じ大きさの図形を表示するとむらになる。
【0065】
図10は、点群テータの選択間引きを行った場合、又はサイズ変更を行った場合の表示結果を示す図である。
【0066】
図10に示すように、点群データの選択間引きを行った場合、又はサイズ変更を行った場合は、点群データの密度のむらが低減される。
【0067】
図11は、選択間引きを行う前の合成後の点群の様子を示す図である。図11に示す例は、レーザースキャナを同じ高さで床上の位置をX軸上に移動させて2回観測した場合を示す。各点の3次元ベクトルは、Y座標とZ座標が等しくなり、各点はX軸上に交互に現れる。
【0068】
図11に示すように、選択間引きを行う前は、第1の観測点による点群データ901と、第2の観測点による点群データ902と、が高密度に存在する。
【0069】
図12は、選択間引きを行った後の点群の様子を示す図である。図12に示すように、選択間引きは、観測点ごとに間引く割合が略等しくなるように間引く。
【0070】
従って、間引いた後でも観測された立体形状を適切に表示することができる。
【0071】
図13は、サイズ変更の第1の例を示す図である。図13に示すように、素データは1画素1101であり、第1段階のサイズ変更は4画素1102、第2段階のサイズ変更は9画素1103、のように矩形に各点に対応して表示される図形のサイズを大きくすることができる。
【0072】
図14は、サイズ変更の第2の例を示す図である。図14に示すように、素データは1画素1101であり、第1段階のサイズ変更は4画素1102、第2段階のサイズ変更は5画素1104、第3段階のサイズ変更は12画素1105のように、円形に近くなるように各点に対応して表示される図形のサイズを大きくすることができる。
【0073】
また、サイズ変更は、各点に対応して表示される図形のサイズを大きくするのみならず、間隔をあけて点を補完することによって点群の密度を増すようにすることもできる。
【0074】
この場合、図12のような低密度の点の状態が図11のような高密度の点の状態になる。
【0075】
なお、3次元データ表示プログラムは、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができる。また、3次元データ表示プログラムはサーバが備える記憶装置に格納され、ネットワークを通じてダウンロードすることにより頒布することができる。
【0076】
頒布された3次元データ表示プログラムは通常のコンピュータにインストールして表示装置1を構成することもできる。
【0077】
以上述べたように、本実施形態の表示装置1は、点群データを観測点ごとに格納する点群データファイル102A、及び表示モードを格納する設定ファイル102Bを格納する記憶部102と、複数の観測点における点群データを合成した場合、点群の存在密度が高い範囲の点群データを間引いて画像を表示させる表示部103に表示させる制御部101と、を備える。
【0078】
従って、複数の観測点から得られた点群データを合成する場合に、データ量を扱いやすい量にすることができるとともに、表示むらが発生しないという効果がある。
【0079】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
101:制御部
102:記憶部
102A:点群データファイル
102B:設定ファイル
103:表示部
104:入出力部
図1
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