(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隣合う2つのフィーダのうち、前記テープを繰り出す方向に向かって左側のフィーダは、少なくとも右側に前記フィーダマークを有し、右側のフィーダは、少なくとも左側に前記フィーダマークを有している、
請求項3に記載の部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のスロットのそれぞれに装着されたフィーダから供給される部品をノズルが吸着する場合、各フィーダの実際の部品吸着位置を認識するためにはフィーダの数だけマークを撮像する必要があり、長時間を要することがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、部品供給手段に備えられた複数のフィーダの実際の部品吸着位置を短時間で認識することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、
部品を吸着したノズルを基板上の所定の位置へ移動させ、該所定の位置で前記ノズルから前記部品を離間させて該部品を前記基板に実装する部品実装装置であって、
前記部品を配列したテープを繰り出すフィーダを複数備えた部品供給手段と、
前記ノズルを保持し、水平移動可能なノズル保持手段と、
水平移動可能な撮像手段と、
前記フィーダの所定の外観ポイントを前記撮像手段で撮像し、該撮像した画像の前記外観ポイントから前記フィーダの部品吸着位置を認識する吸着位置認識手段と、
を備え、
前記吸着位置認識手段は、前記複数のフィーダのうち隣合う2つのフィーダの両外観ポイントが前記撮像手段の同一視野に入る場合には、前記隣合う2つのフィーダの両外観ポイントを同一視野に入るように前記撮像手段で撮像し、該撮像した画像の各外観ポイントから各フィーダの部品吸着位置を認識する、
ものである。
【0007】
この部品実装装置は、複数のフィーダのうち隣合う2つのフィーダの両外観ポイントが前記撮像手段の同一視野に入る場合には、その隣合う2つのフィーダの両外観ポイントを同一視野に入るように撮像手段で撮像し、該撮像した画像の各外観ポイントから各フィーダの部品吸着位置を認識する。つまり、2つのフィーダの外観ポイントを1回で撮像するため、フィーダの数だけ外観ポイントを撮像する場合に比べて、撮像回数が少なくなる。その結果、部品供給手段に備えられた複数のフィーダの実際の部品吸着位置を短時間で認識することができる。
【0008】
本発明の部品実装装置において、前記隣合う2つのフィーダの外観ポイントは、隣接していることが好ましい。2つのフィーダの外観ポイントが隣同士で接していれば撮像手段の同一視野に収まりやすいため、本発明の効果を得やすくなる。
【0009】
本発明の部品実装装置において、前記外観ポイントは、前記フィーダのうち前記テープ又は前記テープのガイド枠に設けられたフィーダマークとしてもよい。外観ポイントは、フィーダのテープに配列された部品そのものとしてもよいが、その場合にはテープの色と部品の色とが同じだったり似ていたりすると撮像した画像上で部品の輪郭が特定できないおそれがある。これに対して、外観ポイントをテープ又はガイド枠に設けられたフィーダマークとする場合には、そのようなおそれがなくなる。
【0010】
本発明の部品実装装置において、前記外観ポイントを前記フィーダマークとする場合には、前記隣合う2つのフィーダのうち、前記テープを繰り出す方向に向かって左側のフィーダは、少なくとも右側に前記フィーダマークを有し、右側のフィーダは、少なくとも左側に前記フィーダマークを有していてもよい。こうすれば、隣合う2つのフィーダのフィーダマークが撮像手段の同一視野に収まりやすいため、本発明の効果を得やすくなる。
【0011】
本発明の部品実装装置において、前記撮像手段は、前記基板上に設けられた基準マークを読み取るためにも用いられるとしてもよい。こうすれば、基準マーク用の撮像手段と外観ポイント用の撮像手段とを別々に設ける必要がないため、コストが安価になるし装置もコンパクトになる。
【0012】
本発明の部品実装装置は、フィーダごとに前記外観ポイントと前記フィーダの部品吸着位置との位置関係を記憶する記憶手段を備え、前記吸着位置認識手段は、各フィーダの前記外観ポイントから前記位置関係を用いて各フィーダの前記部品吸着位置を認識するようにしてもよい。こうすれば、外観ポイントから部品吸着位置を容易に認識することができる。
【0013】
本発明の部品実装システムは、上述したいずれかの部品実装装置と、前記部品供給手段に複数のフィーダを並べる並び順として、前記複数のフィーダのうち隣合う2つのフィーダの両外観ポイントが前記撮像手段の同一視野に入る組合せが可能な限り多くなるような並び順を画面に表示する並び順表示装置と、を備えたものである。
【0014】
この部品実装システムでは、部品供給手段に複数のフィーダを並べる並び順として、複数のフィーダのうち隣合う2つのフィーダの両外観ポイントが前記撮像手段の同一視野に入る組合せが可能な限り多くなるような並び順を画面に表示する。そのため、その並び順通りにオペレータがフィーダを並べた場合には、2つのフィーダの外観ポイントを1回で撮像することができ、その結果、部品供給手段に備えられた複数のフィーダの実際の部品吸着位置を短時間で認識することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。
図1は部品実装システム1の概略説明図、
図2は部品実装装置10の斜視図、
図3は実装コントローラ38の電気的接続を示す説明図、
図4はリールユニット40の説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、各図に示した通りとする。
【0017】
部品実装システム1は、実装ラインを形成する複数の部品実装装置10と、各部品実装装置10へ部品を供給するリールユニット40と、基板の生産を管理する管理コンピュータ80とを備えている。この部品実装システム1は、上流側から送られてきた基板Sに、各リールユニット40から供給される部品を各部品実装装置10が順次実装していき、実装終了後に下流側へ送り出すものである。
【0018】
部品実装装置10は、
図2に示すように、基板搬送装置12と、ヘッド18と、ノズル28と、マークカメラ34と、パーツカメラ36と、各種制御を実行する実装コントローラ38(
図3参照)とを備えている。
【0019】
基板搬送装置12は、左右一対の支持板14,14にそれぞれ取り付けられたコンベアベルト16,16(
図2では片方のみ図示)により基板Sを左から右へと搬送する。
【0020】
ヘッド18は、XY平面を移動可能である。具体的には、ヘッド18は、X軸スライダ20がガイドレール22,22に沿って左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ24がガイドレール26,26に沿って前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。
【0021】
ノズル28は、圧力を利用して、ノズル先端に部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している部品を離したりするものである。このノズル28は、ヘッド18に内蔵されたZ軸モータ30とZ軸に沿って延びるボールネジ32によって高さが調整される。
【0022】
マークカメラ34は、X軸スライダ20の下端に、撮像方向が基板Sに対向する向きとなるように設置され、ヘッド18の水平移動に伴って、水平方向に移動可能である。このマークカメラ34は、基板Sに設けられた図示しない基板位置決め用の基準マークを撮像し、得られた画像を実装コントローラ38へ出力する。
【0023】
パーツカメラ36は、リールユニット40と基板搬送装置12との間であって左右方向の長さの略中央にて、撮像方向が上向きとなるように設置されている。このパーツカメラ36は、その上方を通過するノズル28に吸着された部品を撮像し、撮像により得られた画像を実装コントローラ38へ出力する。
【0024】
実装コントローラ38は、
図3に示すように、CPU38aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM38b、各種データを記憶するHDD38c、作業領域として用いられるRAM38dなどを備えている。この実装コントローラ38は、後述するフィーダコントローラ58や管理コンピュータ80と双方向通信可能なように接続されている。また、実装コントローラ38は、基板搬送装置12やX軸スライダ20、Y軸スライダ24、Z軸モータ30、ノズル28の圧力調整装置28aへ制御信号を出力可能なように接続されると共に、マークカメラ34やパーツカメラ36から画像を受信可能に接続されている。例えば、実装コントローラ38は、マークカメラ34で撮像された基板Sの画像を処理して基準マークの位置を認識することにより基板Sの位置を認識する。また、実装コントローラ38は、パーツカメラ36で撮像された画像に基づいてノズル28に部品が吸着されているか否かの判断やその部品の形状、大きさ、吸着位置などを判定する。更に、実装コントローラ38は、マークカメラ34で撮像されたフィーダ50の画像を処理して部品供給位置を認識するが、この点については後で詳述する。
【0025】
リールユニット40は、
図4に示すように、スロット42と、フィーダ50と、リール60と、テープ62とを備え、部品実装装置10に取り外し可能に装着されている。スロット42は、1つのフィーダ50を差し込み可能な溝であり、左右方向に複数並設されている。フィーダ50は、スロット42に差し込まれている。このフィーダ50は、フィーダコネクタ52と、スプロケット54と、フィーダモータ56と、フィーダコントローラ58とを備えている。フィーダコネクタ52は、フィーダ50の後方に設けられ、フィーダ50をスロット42に差し込むことによりスロット42に設けられたスロットコネクタ44と電気的に接続される。スプロケット54は、外歯車の一種であり、テープ62を後方へ繰り出す役割を果たす。フィーダモータ56は、スプロケット54を回転駆動させるモータである。フィーダコントローラ58は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、フィーダコネクタ52及びスロットコネクタ44を介して実装コントローラ38と双方向通信可能に接続されている。リール60は、フィーダ50の前方部分に軸回転可能に取り付けられている。テープ62は、リール60に巻き付けられている。
【0026】
テープ62は、フィーダ50の上方から見た
図5〜
図7(
図4の矢印方向からA視図)に示すように、テープ62の長手方向に沿って並ぶスプロケット孔62aを有している。スプロケット孔62aには、スプロケット54の突起(歯)がはまり込んでいる。テープ62は、比較的幅が広いため、左右両側にスプロケット孔62aを有している。また、テープ62は、フィーダ50の左右両側に設けられた前後方向に延びるガイド枠G1,G2に沿って移動する。テープ62には、複数の凹部64がテープ62の長手方向に沿って並ぶように形成されている。各凹部64には、部品70が収容されている。これらの部品70は、テープ62の表面を覆うフィルム(図示せず)によって保護されている。フィーダ50には、部品吸着位置66が定められている。部品吸着位置66は、ノズル28が部品を吸着する設計上定められた位置である。フィーダモータ56がスプロケット54を
図3にて時計方向に回転させると、テープ62のスプロケット孔62aがスプロケット54によって後方へ送られ、テープ62に収容された部品70は順次、部品吸着位置66へ繰り出される。部品吸着位置66に至った部品70はノズル28によって基板S上の所定の位置へ実装されるため、部品吸着位置66よりも後方の凹部64には部品70は収容されていない。なお、部品70は、部品吸着位置66へ到達すると、表面を覆うフィルムが剥がされるように構成されている。また、テープ62は空になった凹部64よりも後方位置で切断され、切断された部分は廃棄される。
【0027】
本実施形態では、フィーダ50は、フィーダマーク51の位置に応じて3つのタイプに分かれている。1つめのタイプ(フィーダ50Lと称する)は、
図5に示すように、フィーダマーク51が後方に向かって左側のガイド枠G1のうち幅広に形成された部分の表面に設けられものである。2つめのタイプ(フィーダ50Rと称する)は、
図6に示すように、フィーダマーク51が後方に向かって右側のガイド枠G2のうち幅広に形成された後方部分の表面に設けられたものである。3つめのタイプ(フィーダ50Bと称する)は、
図7に示すように、フィーダマーク51が左右両側のガイド枠G1,G2の後方部分の表面に設けられたものである。上述した部品吸着位置66は、フィーダ50の個体差により設計上定められた位置からずれることがある。そのため、各フィーダ50のフィーダコントローラ58のメモリには、フィーダマーク51を基準としたときの部品吸着位置66の座標がそのフィーダ50の吸着位置データとして格納されている。この座標は、フィーダ50の組立後に予め測定されたものである。なお、フィーダ50Bは、左右にそれぞれフィーダマーク51を有している。そのため、左側のフィーダマーク51を基準としたときの部品吸着位置66の座標が左側基準の吸着位置データとして、右側のフィーダマーク51を基準としたときの部品吸着位置66の座標が右側基準の吸着位置データとして、フィーダコントローラ58のメモリに格納されている。
【0028】
管理コンピュータ80は、
図1に示すように、パソコン本体82と入力デバイス84とディスプレイ86とを備えており、オペレータによって操作される入力デバイス84からの信号を入力可能であり、ディスプレイ86に種々の画像を出力可能である。パソコン本体82のメモリには、生産ジョブデータが記憶されている。生産ジョブデータには、各部品実装装置10においてどの部品をどういう順番で基板Sへ実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかなどが定められている。
【0029】
次に、部品実装装置10の実装コントローラ38が、生産ジョブに基づいて基板Sへ部品を実装する動作について説明する。まず、実装コントローラ38は、ヘッド18のノズル28にリールユニット40のフィーダ50から供給される部品を吸着させる。具体的には、実装コントローラ38は、X軸スライダ20及びY軸スライダ24を制御してノズル28を所望の部品70の部品吸着位置66の真上に移動させる。なお、部品吸着位置66を認識する手順については、後述する。次に、実装コントローラ38は、Z軸モータ30及びノズル28の圧力供給装置28aを制御し、ノズル28を下降させると共にそのノズル28へ負圧が供給されるようにする。これにより、ノズル28の先端に所望の部品70が吸着される。その後、実装コントローラ38は、ノズル28を上昇させ、X軸スライダ20及びY軸スライダ24を制御して、先端に部品70を吸着したノズル28を基板Sの所定の位置の上方へ移動させる。そして、その所定の位置で、実装コントローラ38は、ノズル28を下降させ、そのノズル28へ大気圧が供給されるように圧力供給装置28aを制御する。これにより、ノズル28に吸着されていた部品70が離間して基板Sの所定の位置に実装される。基板Sに実装すべき他の部品についても、同様にして基板S上に実装していき、すべての部品の実装が完了したら基板Sを下流側へ送り出す。
【0030】
次に、実装コントローラ38が部品吸着位置66を認識する部品吸着位置認識処理ルーチンについて、
図8のフローチャートにしたがって説明する。この部品吸着位置認識処理ルーチンのプログラムは、実装コントローラ38のROM38bに記憶されている。このプログラムは、段取り替え(生産する基板Sの種類が変更になる等によりリールユニット40を交換する作業)を行うときのように各フィーダ50の部品吸着位置66を認識する必要が生じたときに、CPU38aによってROM38bから読み出されて実行される。なお、ここでは、リールユニット40には、N個のフィーダ50が装着されているものとし、後方に向かって左から順に1番めのフィーダ50,2番目のフィーダ50と数えるものとする。また、CPU38aは、予めすべてのフィーダ50からフィーダ属性を取得しているものとする。フィーダ属性とは、フィーダ50が3つのタイプ(フィーダ50L,50R,50B)のいずれであるかを示すデータである。
【0031】
まず、CPU38aは、変数nに初期値1をセットする(ステップS100)。変数nは、RAM38dに設けられたカウンタの数値を表し、ここではリールユニット40に取り付けられたフィーダ50の序数を示すものとする。
【0032】
次に、CPU38aは、n番目のフィーダ50のフィーダマーク51と(n+1)番目のフィーダ50のフィーダマーク51とをペアで撮像できるか否かを判定する(ステップS110)。つまり、隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入るか否かを判定する。具体的には、CPU38aは、n番目のフィーダ50が左側のみにフィーダマーク51を有するフィーダ50Lだった場合、(n+1)番目のフィーダ50がフィーダ50L,50R,50Bのいずれであったとしても、n番目のフィーダ50のフィーダマーク51と(n+1)番目のフィーダ50のフィーダマーク51とはマークカメラ34の同一視野に入らないため、ステップS110で否定判定する。このときの一例を
図9に示す。
図9は、n番目のフィーダ50がフィーダ50L、(n+1)番目のフィーダ50がフィーダ50Bの場合を例示しており、2つのフィーダマーク51はマークカメラ34の同一視野34aに入らない。また、CPU38aは、n番目のフィーダ50が少なくとも右側にフィーダマーク51を有するフィーダ50R,50Bだった場合、(n+1)番目のフィーダ50が少なくとも左側にフィーダマーク51を有するフィーダ50L,50Bであれば、n番目のフィーダ50のフィーダマーク51と(n+1)番目のフィーダ50のフィーダマーク51とはマークカメラ34の同一視野に入るため、ステップS110で肯定判定する。このときの一例を
図10に示す。
図10は、n番目のフィーダ50がフィーダ50R、(n+1)番目のフィーダ50がフィーダ50Lの場合を例示しており、2つのフィーダマーク51はマークカメラ34の同一視野34aに入る。一方、(n+1)番目のフィーダ50が右側のみにフィーダマーク51を有するフィーダ50Rであれば、n番目のフィーダ50のフィーダマーク51と(n+1)番目のフィーダ50のフィーダマーク51とはマークカメラ34の同一視野に入らないため、ステップS110で否定判定する。このときの一例を
図11に示す。
図11は、n番目と(n+1)番目のフィーダ50が共にフィーダ50Rの場合を例示しており、2つのフィーダマーク51はマークカメラ34の同一視野34aに入らない。
【0033】
さて、
図8に戻り、ステップS110で否定判定だった場合には、CPU38aはマークカメラ34を用いてn番目のフィーダ50のフィーダマーク51を単独で撮像し(ステップS120)、変数nの値を1インクリメントする(ステップS130)。一方、ステップS110で肯定判定だった場合には、CPU38aはマークカメラ34を用いてn番目のフィーダ50のフィーダマーク51と(n+1)番目のフィーダ50のフィーダマーク51とをペアで撮像し(ステップS140)、(n+1)の値が上限値Nと一致するか否かを判定する(ステップS150)。ステップS150で(n+1)の値が上限値Nと一致しなかった場合、CPU38aは変数nの値を2インクリメントする(ステップS160)。そして、ステップS130の処理の後又はステップS160の処理の後、CPU38aは、変数nの値が上限値Nと一致するか否かを判定し(ステップS170)、一致しなかった場合には、(n+1)番目のフィーダ50が存在するため、再びステップS110へ戻る。一方、ステップS170で変数nの値が上限値Nと一致した場合には、CPU38aは、マークカメラ34を用いてn番目つまり最後のN番目のフィーダ50のフィーダマーク51を単独で撮像し(ステップS180)、その後各フィーダ50の部品吸着位置66を認識し(ステップS190)、本ルーチンを終了する。また、ステップS150で(n+1)の値が上限値Nと一致した場合には、1〜N番目のフィーダ50のフィーダマーク51の撮像が終了しているため、CPU38aは、各フィーダ50の部品吸着位置66を認識し(ステップS190)、本ルーチンを終了する。
【0034】
ここで、CPU38aがステップS190で各フィーダ50の実際の部品吸着位置66を認識する手順を説明する。CPU38aは、まず、n番目のフィーダ50のフィーダマーク51の撮像データから、そのフィーダマーク51の部品実装装置10におけるXY座標を認識する。そのXY座標は、例えば、X軸スライダ20を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数やY軸スライダ24を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数から求めることができる。次に、CPU38aは、n番目のフィーダ50のフィーダコントローラ58から吸着位置データを取得する。なお、CPU38aは、すべてのフィーダ50の吸着位置データを事前に取得してRAM38dに記憶していてもよい。吸着位置データは、上述したとおり、フィーダマーク51を基準としたときの部品吸着位置66の座標を表すデータである。そのため、CPU38aは、フィーダマーク51の部品実装装置10におけるXY座標と吸着位置データとを用いることで、n番目のフィーダ50の実際の部品吸着位置66のXY座標(部品実装装置10におけるXY座標)を認識することができる。なお、左右両側にフィーダマーク51を有するフィーダ50Bについては、左側基準の吸着位置データと右側基準の吸着位置データの両方が存在しているが、例えば撮像したときのマークカメラ34のXY座標からフィーダマーク51が今回のフィーダ50の左側か右側かを決定し、その決定した結果に基づいてどちらの吸着位置データを使用するかを決定すればよい。
【0035】
吸着位置認識処理の具体例について、
図12を用いて以下に説明する。
図12では、リールユニット40(
図2参照)に1〜4番目のフィーダ50が並べられているものとする。まず、CPU38aは、1番目と2番目のフィーダ50のフィーダマーク51をペアで撮像可能か否か判定する。
図12では1番目のフィーダ50がフィーダ50Rで2番目のフィーダ50がフィーダ50Lであるため、CPU38aはペアで撮像可能と判定し、マークカメラ34を用いて2つのフィーダマーク51をペアで撮像する。続いて、CPU38aは、3番目と4番目のフィーダ50のフィーダマーク51をペアで撮像可能か否か判定する。
図12では3番目のフィーダ50がフィーダ50Bで2番目のフィーダ50がフィーダ50Lであるため、CPU38aはペアで撮像可能と判定し、マークカメラ34を用いて2つのフィーダマーク51をペアで撮像する。つまり、4つのフィーダ50に対するフィーダマーク51の撮像回数は2回となる。
【0036】
次に、リールユニット40に複数のフィーダ50を並べる並び順のオプティマイズについて説明する。オプティマイズは、管理コンピュータ80によって実行される。管理コンピュータ80は、上述したように、生産ジョブデータを記憶している。生産ジョブデータには、各部品実装装置10においてどの部品をどういう順番で基板Sへ実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかなどが定められている。また、部品ごとにどのフィーダ50を用いるかも定められている。管理コンピュータ80は、各フィーダ50をリールユニット40にどのような順番で並べるのが最適かを演算し(オプティマイズ)、オペレータに通知する機能を有している。オプティマイズするにあたり、管理コンピュータ80は、複数のフィーダ50のうち隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入る組合せが可能な限り多くなる並び順を決定し、それをディスプレイ86に表示する。例えば、
図12に示す4つのフィーダ50を使用して基板Sに部品の実装を行う場合、もし
図13に示す並び順に並べたとすると、4つのフィーダマーク51をそれぞれ個別に撮像する必要があるため、撮像回数は4回となる。これに対して、
図12に示す並び順に並べたとすると、上述したとおり、撮像回数は2回になり、
図13の並び順と比べて半減する。こうした場合、管理コンピュータ80は、
図12に示す並び順をオプティマイズの結果としてディスプレイ86に表示する。
【0037】
なお、「複数のフィーダ50のうち隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入る組合せが可能な限り多くなる並び順」とは、両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入る組合せが最大になるような並び順に限定されない。ほかに優先すべき条件がある場合に、その条件を満たした上で、並び順が決定される場合も含まれる。例えば、従来から、周知の方法により、管理コンピュータ80は、基板Sの実装時間が短くなるように、各フィーダ50のリールユニット40への並び順を演算している。並び順を決定する際に、実装時間が短くなるように演算された並び順に従った場合の実装時間を超えない、という優先条件がある場合、管理コンピュータ80は、実装時間が短くなるように演算された並び順のうち、フィーダ50の位置を変更しても実装時間が長くならない部分においてのみ、隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入る組合せが可能な限り多くなる並び順を決定する。
【0038】
オペレータは、通常、このオプティマイズの結果にしたがって、リールユニット40にフィーダ50を並べていく。但し、オペレータは、必ずしもこのオプティマイズの結果にしたがってフィーダ50を並べる必要はない。実装コントローラ38は、基板Sへの部品実装開始前に、各フィーダ50のフィーダコントローラ58からそのフィーダ50がどのスロット42に差し込まれたかを示すデータを受信する。そのため、実装コントローラ38は、オプティマイズの結果のとおりにフィーダ50が並んでいなくても、部品を実装するにあたり、どの部品がどのスロット42に差し込まれたフィーダ50から供給されるかを認識することができる。
【0039】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のリールユニット40が本発明の部品供給手段に相当し、ヘッドがノズル保持手段に相当し、マークカメラ34が撮像手段に相当し、実装コントローラ38が吸着位置認識手段に相当する。また、フィーダマーク51が外観ポイントに相当し、吸着位置データが外観ポイントと部品吸着位置との位置関係に相当し、管理コンピュータ80が並び順表示装置に相当する。
【0040】
以上説明した実施形態によれば、複数のフィーダ50のうち隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野に入る場合には、その隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51を同一視野に入るようにマークカメラ34で撮像し、該撮像した画像の各フィーダマーク51から各フィーダ50の部品吸着位置66を認識する。つまり、2つのフィーダ50の両フィーダマーク51を1回で撮像するため、フィーダ50の数だけフィーダマーク51を撮像する場合に比べて、撮像回数が少なくなる。その結果、リールユニット40に備えられた複数のフィーダ50の実際の部品吸着位置66を短時間で認識することができる。
【0041】
また、
図12では、隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51が隣接するようにフィーダ50を並べている。そのため、両フィーダマーク51をマークカメラ34の同一視野34aに収めることができ、撮像回数を少なくすることができる。
【0042】
更に、フィーダマーク51は、フィーダ50のガイド枠G1,G2に設けられているため、フィーダマーク51の色をガイド枠G1,G2の色と明確に区別できるようにすることができ、撮像画像上でフィーダマーク51の位置を容易に特定することができる。
【0043】
更にまた、
図12では、隣合う2つのフィーダ50のうちの左側のフィーダ50は、少なくとも右側にフィーダマーク51を有するフィーダ50R,50Bとし、右側のフィーダ50は、少なくとも左側にフィーダマーク51を有するフィーダ50L,50Bとしている。そのため、隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51が隣接し、それらをマークカメラ34の同一視野34aに収めることができ、撮像回数を少なくすることができる。
【0044】
そしてまた、マークカメラ34は、フィーダマーク51を撮像するためにのみ用いるのではなく、基板S上に設けられた基準マークを撮像するためにも用いられるため、基準マーク用のカメラとフィーダマーク用のカメラとを別々に設ける必要がない。そのため、コストが安価になるし装置もコンパクトになる。
【0045】
そして更に、各フィーダ50は、フィーダマーク51を基準としたときの部品吸着位置66の座標を示す吸着位置データを記憶しており、この吸着位置データを実装コントローラ38に送信する。そのため、実装コントローラ38は、各フィーダ50のフィーダマーク51のXY座標から吸着位置データを用いて各フィーダ50の部品吸着位置66のXY座標を容易に認識することができる。
【0046】
そして更にまた、管理コンピュータ80は、リールユニット40に複数のフィーダ50を並べる並び順として、複数のフィーダ50のうち隣合う2つのフィーダ50の両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野34aに入る組合せが可能な限り多くなるような並び順をディスプレイ86に表示する。そのため、その並び順通りにオペレータがフィーダ50を並べた場合には、隣合う2つのフィーダ50のフィーダマーク51を1回で撮像することが多くなり、その結果、リールユニット40に備えられた複数のフィーダ50の実際の部品吸着位置66を短時間で認識することができる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、フィーダ50のガイド枠G1,G2にフィーダマーク51を設けたが、特定のスプロケット孔62a(例えば部品吸着位置66の真横(左側、右側又は両側)のスプロケット孔62a)をフィーダマーク51として利用してもよい。この場合、上述した実施形態と同様にして部品吸着位置66を認識することができる。あるいは、フィーダマーク51の代わりに、部品吸着位置66そのものを直接認識してもよい。例えば、
図5において、部品吸着位置66の凹部64に収容されている部品70の中心点を部品吸着位置66とみなし、その中心点の部品実装装置10におけるXY座標を認識してもよい。但し、部品70の色とテープ62の色が同じ場合には、撮像画像上で部品70の輪郭が特定できないおそれがあるため、フィーダマーク51を利用することが好ましい。
【0049】
上述した実施形態では、隣合うフィーダ50の両フィーダマーク51を隣接させることで両フィーダマーク51がマークカメラ34の同一視野34aに入るようにしたが、必ずしも両フィーダマーク51を隣接させる必要はない。例えば、
図13では、隣合うフィーダ50の両フィーダマーク51は隣接していないが、マークカメラ34の視野を広くするかテープ幅を狭くして、隣合うフィーダ50の両フィーダマーク51を同一視野に収まるようにしてもよい。なお、テープ幅が狭い場合には、スプロケット孔62aは左右のいずれか一方のみに設けてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、フィーダ50として3つのタイプを用意したが、すべてのフィーダ50を左右両側にフィーダマーク51を有するフィーダ50Bとしてもよい。その場合、リールユニット40にどのような並び順で並べたとしても隣合うフィーダ50Bのフィーダマーク51はペアで撮像することができる。また、フィーダ50として左側にフィーダマーク51を有するフィーダ50Lと右側にフィーダマーク51を有するフィーダ50Rの2つのタイプを用意してもよい。その場合、リールユニット40の左から数えて奇数番目をフィーダ50R、偶数番目をフィーダ50Lとなるように並べれば、隣合うフィーダ50R,50Lの両フィーダマーク51をペアで撮像することができる。
【0051】
上述した実施形態において、複数のフィーダ50の並び順をオプティマイズする際、使用頻度の高いフィーダ50ほどリールユニット40の中央に近くなるよう配置するようにしてもよい。部品を吸着したノズル28は、部品実装装置10の左右幅の中央に設けられたパーツカメラ36の上方を通過してから基板Sに向かう。そのため、使用頻度の高いフィーダ50をリールユニット40の端に配置した場合に比べて中央に配置した方が、ノズル28の総移動距離を短くなり、ひいては部品実装に要する時間が短くなる。
【0052】
上述した実施形態では、テープ62に設けた凹部64に部品70を収容する場合について説明したが、部品70の厚さが薄い場合には凹部64を設けずにテープ62上に部品70を配置し、その上に保護フィルムを貼り付けてもよい。