(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の色を表示する第1副画素、第2の色を表示する第2副画素、第3の色を表示する第3副画素及び第4の色を表示する第4副画素を含む画素が2次元マトリクス状に配列する画像表示パネルと、
入力信号の入力値を、前記第1の色、前記第2の色、前記第3の色及び前記第4の色で再現される色空間の再現値に変換して生成し、生成した出力信号を前記画像表示パネルに出力する信号処理部と、を有する表示装置であり、
前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素は、それぞれ映像信号が供給されて、かつ、前記画像表示パネルの前面から入射された光を反射する画素電極を有し、
前記信号処理部は、前記第1副画素の出力信号を、少なくとも前記第1副画素の入力信号及び伸長係数に基づいて求めて前記第1副画素に出力し、
前記第2副画素の出力信号を、少なくとも前記第2副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求めて前記第2副画素に出力し、
前記第3副画素の出力信号を、少なくとも前記第3副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求めて前記第3副画素に出力し、
前記第4副画素の出力信号を、前記第1副画素の入力信号、前記第2副画素の入力信号、前記第3副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求めて前記第4副画素に出力し、
前記第1副画素の出力信号、前記第2副画素の出力信号、前記第3副画素の出力信号及び前記第4副画素の出力信号は、少なくとも入力信号の彩度に基づいて異なり、
前記第1副画素の出力信号、前記第2副画素の出力信号、前記第3副画素の出力信号及び前記第4副画素の出力信号は、前記伸長係数が少なくとも入力信号の彩度に基づいて異なることにより、入力信号の彩度に基づいて異なり、
前記入力信号の彩度に基づいて前記伸長係数が変化する第1の表示モードと、前記入力信号の彩度に関わらず前記伸長係数が一定値となる第2の表示モードとを切り替える、表示装置。
前記変換後入力信号は、前記第4の色を加えることで拡大されたHSV色空間における明度の最大値で除算した入力信号の明度の最大値以下に前記入力信号の明度を減じる関数で変換される、請求項7に記載の表示装置。
第1の色を表示する第1副画素、第2の色を表示する第2副画素、第3の色を表示する第3副画素及び第4の色を表示する第4副画素を含む画素が2次元マトリクス状に配列する画像表示パネルと、前記画像表示パネルに光を照射する光源部と、入力信号の入力値を、前記第1の色、前記第2の色、前記第3の色及び前記第4の色で再現される色空間の再現値に変換して生成し、生成した出力信号を前記画像表示パネルに出力する信号処理部と、を有し、前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素は、それぞれ映像信号が供給されて、かつ、前記光源部からの光を反射する画素電極を有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素それぞれの出力信号を求めるステップと、
前記出力信号に基づいて、前記第1副画素、前記第2副画素、前記第3副画素及び前記第4副画素の動作を制御するステップと、を含み、
前記出力信号を求めるステップにおいては、
前記第1副画素の出力信号を、少なくとも前記第1副画素の入力信号及び伸長係数に基づいて求め、
前記第2副画素の出力信号を、少なくとも前記第2副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求め、
前記第3副画素の出力信号を、少なくとも前記第3副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求め、
前記第4副画素の出力信号を、前記第1副画素の入力信号、前記第2副画素の入力信号、前記第3副画素の入力信号及び前記伸長係数に基づいて求め、
前記第1副画素の出力信号、前記第2副画素の出力信号、前記第3副画素の出力信号及び前記第4副画素の出力信号を、少なくとも入力信号の彩度に基づいて異なるように求め、
前記出力信号を求めるステップにおいては、
前記第1副画素の出力信号、前記第2副画素の出力信号、前記第3副画素の出力信号及び前記第4副画素の出力信号を、前記伸長係数が少なくとも入力信号の彩度に基づいて異なることにより、入力信号の彩度に基づいて異なるように求め、
前記入力信号の彩度に基づいて前記伸長係数が変化する第1の表示モードと、前記入力信号の彩度に関わらず前記伸長係数が一定値となる第2の表示モードとを切り替える、表示装置の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(実施形態1)
(表示装置の構成)
図1は、実施形態1に係る表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、実施形態1に係る画像表示パネル及び画像表示パネル駆動部の概念図である。
図3は、実施形態1に係る表示装置の画像表示パネル及び画像表示パネル駆動回路の概念図である。
図1に示すように、実施形態1の表示装置10は、信号処理部20と、画像表示パネル駆動部30と、画像表示パネル40と、光源部50とを有する。表示装置10は、信号処理部20が表示装置10の各部に信号を送り、画像表示パネル駆動部30が信号処理部20からの信号に基づいて画像表示パネル40の駆動を制御し、画像表示パネル40が画像表示パネル駆動部30からの信号に基づいて画像を表示させる。また、表示装置10は、外光を、画像表示パネル40で反射させることにより、画像を表示する。さらに、表示装置10は、外光が十分でない屋外での夜間使用や暗所での使用の場合等には、光源部50から発光される光を画像表示パネル40で反射させることによっても、画像を表示することができる。
【0012】
図2、
図3に示すように、画像表示パネル40は、画素48が、P
0×Q
0個(行方向にP
0個、列方向にQ
0個)、2次元のマトリクス状に配列されている。
図2、
図3に示す例は、XYの2次元座標系に複数の画素48がマトリクス状に配列されている例を示している。この例において、第1の方向としての行方向がX軸方向、第2の方向としての列方向はY軸方向である。なお、行方向をY軸方向、列方向をX軸方向としてもよい。
【0013】
画素48は、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49B又は第4副画素49Wとを有する。第1副画素49Rは、第1原色(例えば、赤色)を表示する。第2副画素49Gは、第2原色(例えば、緑色)を表示する。第3副画素49Bは、第3原色(例えば、青色)を表示する。第4副画素49Wは、第4の色(実施形態1では白色)を表示する。このように、画像表示パネル40に行列状に配列された画素48は、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49B及び第4の色を表示する第4副画素49Wを含む。第1の色、第2の色、第3の色及び第4の色は、第1原色、第2原色、第3原色及び白色に限られず、補色など色が異なっていればよい。第4の色を表示する第4副画素49Wは、同じ光源点灯量で照射された場合、第1の色を表示する第1副画素49R、第2の色を表示する第2副画素49G、第3の色を表示する第3副画素49Bよりも明るいことが好ましい。以下において、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bと、第4副画素49Wとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0014】
表示装置10は、より具体的には、反射型のカラー液晶表示装置である。画像表示パネル40は、カラー液晶表示パネルである。第1副画素49Rには第1カラーフィルタが設けられており、第1カラーフィルタを通過して画像観察者に向けて表示される透過光は第1原色となる。第2副画素49Gには第2カラーフィルタが設けられており、第2カラーフィルタを通過して画像観察者に向けて表示される透過光は第2原色となる。第3副画素49Bには第3カラーフィルタが設けられており、第3カラーフィルタを通過して画像観察者に向けて表示される透過光は第3原色となる。また、画像表示パネル40は、第4副画素49Wと画像観察者との間にカラーフィルタが配置されていない。第4副画素49Wには、カラーフィルタの代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。このように画像表示パネル40は、透明な樹脂層を設けることで、第4副画素49Wにカラーフィルタを設けないことによって第4副画素49Wに大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0015】
そして、画像表示パネル40は、
図2に示す例では、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B及び第4副画素49Wをストライプ配列に類似した配列で配置されている。なお、1つの画素48に含まれる副画素49R、49G、49B、49Wの構造及びその配置は特に限定されない。例えば、画像表示パネル40は、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B及び第4副画素49Wをダイアゴナル配列(モザイク配列)に類似した配列で配置してもよい。また、例えば、デルタ配列(トライアングル配列)に類似した配列、レクタングル配列に類似した配列等としてもよい。また、
図4は、実施形態1に係る画像表示パネルの画素配列の他の例を示す図である。
図4に示す画像表示パネル40’のように、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bを有する画素48Aと、第1副画素49R、第2副画素49G及び第4副画素49Wを有する画素48Bとが行方向及び列方向にそれぞれ交互に配列されていてもよい。
【0016】
一般的には、ストライプ配列に類似した配列は、パーソナルコンピュータ等においてデータや文字列を表示するのに好適である。これに対して、モザイク配列に類似した配列は、ビデオカメラレコーダ又はデジタルスチルカメラ等において自然画を表示するのに好適である。
【0017】
図1に示すように、信号処理部20は、画像表示パネル駆動部30を介して画像表示パネル40の動作を制御する演算処理回路である。信号処理部20は、画像表示パネル駆動部30及び光源部50と接続されている。
【0018】
信号処理部20は、外部のアプリケーションプロセッサ(ホストCPU、図示せず)から入力される入力信号を処理して出力信号を生成する。信号処理部20は、入力信号の入力値を、第1の色、第2の色、第3の色及び第4の色で再現される再現色空間(実施形態1ではHSV色空間)の再現値(出力信号)に変換して生成する。そして、信号処理部20は、生成した出力信号を画像表示パネル駆動部30に出力する。実施形態1において、再現色空間はHSV色空間であるが、これに限られずXYZ色空間、YUV空間その他の座標系でもよい。
【0019】
図1及び
図2に示すように、画像表示パネル駆動部30は、信号出力回路31及び走査回路32を有する。画像表示パネル駆動部30は、信号出力回路31によって映像信号を保持し、順次、画像表示パネル40に出力する。より詳しくは、信号出力回路31は、信号処理部20からの出力信号に応じた所定の電位を有する画像出力信号を、画像表示パネル40に出力する。信号出力回路31は、信号線DTLによって画像表示パネル40と電気的に接続されている。走査回路32は、画像表示パネル40における副画素49の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子(例えば、TFT)のON/OFFを制御する。走査回路32は、配線SCLによって画像表示パネル40と電気的に接続されている。
【0020】
図5は、実施形態1における画像表示パネルの構造を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、画像表示パネル40は、互いに対向するアレイ基板41と対向基板42とを有し、アレイ基板41と対向基板42との間に液晶素子が封入された液晶層43が設けられている。
【0021】
アレイ基板41は、液晶層43側の面に、複数の画素電極44を有する。画素電極44は、スイッチング素子を介して信号線DTLに接続されており、映像信号としての画像出力信号が印加される。画素電極44は、例えばアルミニウム又は銀製の反射性を有する部材であり、外光又は光源部50からの光を反射する。すなわち、実施形態1においては、画素電極44が、反射部を構成する。
【0022】
対向基板42は、例えばガラス等の透明性を有する基板である。対向基板42は、液晶層43側の面に、対向電極45及びカラーフィルタ46を有する。より詳しくは、対向電極45は、カラーフィルタ46の液晶層43側の面に設けられている。
【0023】
対向電極45は、例えばITO(Indium Tin Oxide)、又はIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明性を有する導電性材料である。対向電極45は、画素電極44が接続されているスイッチング素子と接続されている。画素電極44と対向電極45とは対向して設けられているため、画素電極44と対向電極45との間に画像出力信号による電圧が印加されると、画素電極44と対向電極45とは、液晶層43内に電界を生じさせる。液晶層内に生じた電界により液晶素子がツイストして複屈折率が変化し、表示装置10は、画像表示パネル40から反射される光量を調整する。画像表示パネル40は、いわゆる縦電界方式であるが、画像表示パネル40の表示面に平行な方向に電界を発生させる横電界方式であってもよい。
【0024】
カラーフィルタ46は、上述した第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ、第3カラーフィルタであり、画素電極に対応して複数設けられる。画素電極44と、対向電極45と、カラーフィルタ46とは、それぞれ副画素49を構成する。
【0025】
対向基板42の液晶層43と反対側の面には、導光板47が設けられている。導光板47は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)等の透明性を有する板状部材である。導光板47は、対向基板42と反対側の面である上面47Aに、プリズム加工がなされている。
【0026】
光源部50は、実施形態1においては、LEDである。光源部50は、
図6に示すように、導光板47の側面47Bに沿って設けられている。光源部50は、導光板47を介して、画像表示パネル40の前面から、画像表示パネル40に光を照射する。光源部50は、画像観察者の操作、又は表示装置10に取付けられて外光を計測する外光センサ等によって、ONとOFFとが切り替えられる。光源部50は、ONの場合に光を照射し、OFFの場合に光を照射しない。例えば、画像観察者が、画像が暗いと感じた場合は、画像観察者は、光源部50をONにして、光源部50から画像表示パネル40に光を照射させ、画像を明るくする。また、外光センサが、外光強度が所定の値より小さいと判断した場合には、例えば信号処理部20は、光源部50をONにして、光源部50から画像表示パネル40に光を照射させ、画像を明るくする。実施形態1において、信号処理部20は、光源部50の光の輝度を、伸長係数αに応じて制御しない。すなわち、光源部50の光の輝度は、後述する伸長係数αには無関係で設定される。ただし、光源部50の光の輝度は、画像観察者の操作、又は外光センサの計測結果に応じて、調整されるものであってもよい。
【0027】
次に、画像表示パネル40による光の反射について説明する。
図5に示すように、画像表示パネル40には、外光LO1が入射される。外光LO1は、導光板47及び画像表示パネル40内を通って画素電極44に入射される。画素電極44に入射された外光LO1は、画素電極44に反射され、光LO2として、画像表示パネル40内及び導光板47内を通って、外部に出射される。また、光源部50をONにした場合、光源部50からの光L1は、導光板47の側面47Bから導光板47内に入射する。導光板47内に入射された光L1は、導光板47の上面47Aで散乱して反射され、一部が光L2として、画像表示パネル40の対向基板42側から画像表示パネル40内に入射し、画素電極44に照射される。画素電極44に照射された光L2は、画素電極44により反射され、光L3として画像表示パネル40及び導光板47を通って外部に出射する。また、導光板47の上面47Aで散乱した光の他の一部は、光L4として反射され、導光板47内で反射を繰り返す。
【0028】
すなわち、画素電極44は、画像表示パネル40の外部側(対向基板42側)の面である前面から画像表示パネル40に入射される外光LO1又は光L2を外部に反射する。外部に反射された光LO2,L3は、液晶層43及びカラーフィルタ46を通る。そのため、表示装置10は、外部に反射される光LO2,L3により、画像を表示することができる。このように、実施形態1に係る表示装置1は、フロントライト型で、かつ、エッジライト型の光源部50を有する反射型の表示装置である。なお、実施形態1においては、表示装置10は、光源部50及び導光板47を有するが、光源部50及び導光板47を有さなくてもよい。この場合、表示装置10は、外光LO1を反射した光LO2によって、画像を表示することができる。
【0029】
(表示装置の処理動作)
図6は、実施形態1の表示装置で再現可能な再現HSV色空間の概念図である。
図7は、再現HSV色空間の色相と彩度との関係を示す概念図である。信号処理部20は、外部から表示する画像の情報である入力信号が入力される。入力信号は、各画素に対して、その位置で表示する画像(色)の情報を入力信号として含んでいる。具体的には、P
0×Q
0個の画素48がマトリクス状に配置された画像表示パネル40において、第(p、q)番目の画素48(ただし、1≦p≦P
0、1≦q≦Q
0)に対して、信号値がx
1−(p、q)の第1副画素49Rの入力信号、信号値がx
2−(p、q)の第2副画素49Gの入力信号及び信号値がx
3−(p、q)の第3副画素49Bの入力信号(
図1参照)が含まれる信号が信号処理部20に入力される。
【0030】
図1に示す信号処理部20は、入力信号を処理することで、第1副画素49Rの表示階調を決定するための第1副画素の出力信号(信号値X
1−(p、q))、第2副画素49Gの表示階調を決定するための第2副画素の出力信号(信号値X
2−(p、q))、第3副画素49Bの表示階調を決定するための第3副画素の出力信号(信号値X
3−(p、q))及び第4副画素49Wの表示階調を決定するための第4副画素の出力信号(信号値X
4−(p、q))を生成し、画像表示パネル駆動回路30に出力する。
【0031】
表示装置10は、画素48に第4の色(白色)を出力する第4副画素49Wを備えることで、
図6に示すように、HSV色空間(再現HSV色空間)における明度のダイナミックレンジを広げることができる。つまり、
図6に示すように、第1副画素、第2副画素及び第3副画素で表示できる円柱形状の色空間の上に、彩度が高くなるほど明度の最大値が低くなる、彩度軸と明度軸とを含む断面における形状が、斜辺が曲線となる略台形形状となる立体が載っている形状となる。入力信号は、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの入力信号を有するため、入力信号のHSV色空間は、円柱形状、つまり、再現HSV色空間の円柱形状部分と同じ形状となる。
【0032】
次に、信号処理部20は、少なくとも第1副画素49Rの入力信号(信号値x
1−(p、q))及び伸長係数αに基づいて、第1副画素49Rの出力信号(信号値X
1−(p、q))を算出し、第1副画素49Rへ出力する。また、信号処理部20は、少なくとも第2副画素49Gの入力信号(信号値x
2−(p、q))及び伸長係数αに基づいて第2副画素49Gの出力信号(信号値X
2−(p、q))を算出し、第2副画素49Gへ出力する。また、信号処理部20は、少なくとも第3副画素49Bの入力信号(信号値x
3−(p、q))及び伸長係数αに基づいて第3副画素49Bの出力信号(信号値X
3−(p、q))を算出し、第3副画素49Bへ出力する。さらに、信号処理部20は、第1副画素49Rの入力信号(信号値x
1−(p、q))、第2副画素49Gの入力信号(信号値x
2−(p、q))及び第3副画素49Bの入力信号(信号値x
3−(p、q))に基づいて第4副画素49Wの出力信号(信号値X
4−(p、q))を算出し、第4副画素49Wへ出力する。伸長係数αは、入力信号を伸長するための係数であるが、伸長係数αについての詳細は後述する。
【0033】
具体的には、信号処理部20は、第1副画素の入力信号、伸長係数α及び第4副画素の出力信号に基づいて第1副画素の出力信号を算出し、第2副画素の入力信号、伸長係数α及び第4副画素の出力信号に基づいて第2副画素の出力信号を算出し、第3副画素の入力信号、伸長係数α及び第4副画素の出力信号に基づいて第3副画素の出力信号を算出する。
【0034】
つまり、信号処理部20は、χを表示装置に依存した定数としたとき、第(p、q)番目の画素(又は第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの組)への第1副画素49Rの出力信号である信号値X
1−(p、q)、第2副画素49Gの出力信号である信号値X
2−(p、q)及び第3副画素49Bの出力信号である信号値X
3−(p、q)を、次に示す式(1)〜式(3)から求める。
X
1−(p、q)=α・x
1−(p、q)−χ・X
4−(p、q)・・・(1)
X
2−(p、q)=α・x
2−(p、q)−χ・X
4−(p、q)・・・(2)
X
3−(p、q)=α・x
3−(p、q)−χ・X
4−(p、q)・・・(3)
【0035】
信号処理部20は、複数の画素48における副画素49の入力信号値に基づき、これらの複数の画素48における彩度S及び明度V(S)を求める。
【0036】
彩度S及び明度V(S)は、S=(Max−Min)/Max及びV(S)=Maxで表される。また、Maxは、画素48への第1副画素49Rの入力信号値、第2副画素49Gの入力信号値及び第3副画素49Bの入力信号値のうち、最大値である。Minは、画素48への第1副画素49Rの入力信号値、第2副画素49Gの入力信号値及び第3副画素49Bの入力信号値のうち、最小値である。また、色相Hは、
図6に示すように0°から360°で表される。0°から360°に向かって、赤(Red)、黄色(Yellow)、緑(Green)、シアン(Cyan)、青(Blue)、マゼンダ(Magenta)、赤となる。実施形態1では、角度0°を含む領域が赤となり、角度120°を含む領域が緑となり、角度240°を含む領域が青となる。
【0037】
本実施形態において、信号値X
4−(p、q)は、Min
(p、q)と伸長係数αとの積に基づき求めることができる。具体的には、下記の式(4)に基づいて信号値X
4−(p、q)を求めることができる。式(4)では、Min
(p、q)と伸長係数αとの積をχで除しているが、これに限定するものではない。χについては後述する。
X
4−(p、q)=Min
(p、q)・α/χ・・・(4)
【0038】
一般に、第(p、q)番目の画素において、第1副画素49Rの入力信号(信号値x
1−(p、q))、第2副画素49Gの入力信号(信号値x
2−(p、q))及び第3副画素49Bの入力信号(信号値x
3−(p、q))に基づき、円柱のHSV色空間における彩度(Saturation)S
(p、q)及び明度(Brightness)V(S)
(p、q)は、次の式(5)、式(6)から求めることができる。
S
(p、q)=(Max
(p、q)−Min
(p、q))/Max
(p、q)・・・(5)
V(S)
(p、q)=Max
(p、q)・・・(6)
【0039】
ここで、Max
(p、q)は、(x
1−(p、q)、x
2−(p、q)、x
3−(p、q))の3個の副画素49の入力信号値の最大値であり、Min
(p、q)は、(x
1−(p、q)、x
2−(p、q)、x
3−(p、q))3個の副画素49の入力信号値の最小値である。本実施形態ではn=8とした。すなわち、表示階調ビット数を8ビット(表示階調の値を0から255の256階調)とした。
【0040】
白色を表示する第4副画素49Wには、カラーフィルタが配置されていない。第1副画素49Rに第1副画素の出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力され、第2副画素49Gに第2副画素の出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力され、第3副画素49Bに第3副画素の出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力されたときの、画素48又は画素48の群が備える第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体の輝度をBN
1−3とする。また、画素48又は画素48の群が備える第4副画素49Wに、第4副画素49Wの出力信号の最大信号値に相当する値を有する信号が入力されたときの第4副画素49Wの輝度BN
4としたときを想定する。すなわち、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体によって最大輝度の白色が表示され、この白色の輝度がBN
1−3で表される。すると、χを表示装置に依存した定数としたとき、定数χは、χ=BN
4/BN
1−3で表される。
【0041】
具体的には、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの集合体に、次の表示階調の値を有する入力信号として、信号値x
1−(p、q)=255、信号値x
2−(p、q)=255、信号値x
3−(p、q)=255が入力されたときにおける白色の輝度BN
1−3に対して、第4副画素49Wに表示階調の値255を有する入力信号が入力されたと仮定したときの輝度BN
4は、例えば、1.5倍である。すなわち、本実施形態にあっては、χ=1.5である。
【0042】
次に、第(p、q)番目の画素48における出力信号である信号値X
1−(p、q)、X
2−(p、q)、X
3−(p、q)、X
4−(p、q)の求め方(伸長処理)を説明する。次の処理は、(第1副画素49R+第4副画素49W)によって表示される第1原色の輝度、(第2副画素49G+第4副画素49W)によって表示される第2原色の輝度、(第3副画素49B+第4副画素49W)によって表示される第3原色の輝度の比を保つように行われる。しかも、色調を保持(維持)するように行われる。さらには、階調−輝度特性(ガンマ特性、γ特性)を保持(維持)するように行われる。
【0043】
(第1工程)
まず、信号処理部20は、複数の画素48における副画素49の入力信号値に基づき、これらの複数の画素48における彩度Sを求める。具体的には、第(p、q)番目の画素48への第1副画素49Rの入力信号である信号値x
1−(p、q)、第2副画素49Gの入力信号である信号値x
2−(p、q)、第3副画素49Bの入力信号である信号値x
3−(p、q)に基づき、式(5)からS
(p、q)を求める。信号処理部20は、この処理を、すべての画素48に対して行う。
【0044】
(第2工程)
次いで、信号処理部20は、複数の画素48において求められた彩度S
(p、q)に基づき伸長係数αを求める。伸長係数αを求める方法については後述する。
【0045】
(第3工程)
次に、信号処理部20は、第(p、q)番目の画素48における信号値X
4−(p、q)を、少なくとも、入力信号の信号値x
1−(p、q)、信号値x
2−(p、q)及び信号値x
3−(p、q)に基づいて求める。本実施形態にあっては、信号処理部20は、信号値X
4−(p、q)を、Min
(p、q)、伸長係数α及び定数χに基づいて決定する。より具体的には、信号処理部20は、上述したとおり、信号値X
4−(p、q)を、上記の式(4)に基づいて求める。信号処理部20は、P
0×Q
0個の全画素48において信号値X
4−(p、q)を求める。
【0046】
(第4工程)
その後、信号処理部20は、第(p、q)番目の画素48における信号値X
1−(p、q)を、信号値x
1−(p、q)、伸長係数α及び信号値X
4−(p、q)に基づき求め、第(p、q)番目の画素48における信号値X
2−
(p、q)を、信号値x
2−
(p、q)、伸長係数α及び信号値X
4−(p、q)に基づき求め、第(p、q)番目の画素48における信号値X
3−(p、q)を、信号値x
3−(p、q)、伸長係数α及び信号値X
4−(p、q)に基づき求める。具体的には、信号処理部20は、第(p、q)番目の画素48における信号値X
1−(p、q)、信号値X
2−(p、q)及び信号値X
3−(p、q)を、上記の式(1)〜(3)に基づいて求める。
【0047】
信号処理部20は、式(4)に示したとおり、Min
(p、q)の値をαによって伸長する。このように、Min
(p、q)の値がαによって伸長されることで、白色表示副画素(第4副画素49W)の輝度が増加するだけでなく、上記式に示すとおり、赤色表示副画素、緑色表示副画素及び青色表示副画素(それぞれ第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bに対応する)の輝度も増加する。このため、色のくすみが発生するといった問題を回避することができる。実施形態1において、光源部50の輝度は、伸長係数αにかかわらず一定である。すなわち、Min
(p、q)の値が伸長されていない場合と比較して、Min
(p、q)の値がαによって伸長されることで、画像全体として輝度はα倍となる。したがって、例えば、静止画等の画像表示を高輝度で行うことができ、好適である。
【0048】
(彩度Sに対して常に一定の伸長係数αである場合)
次に、実施形態1における伸長係数αの算出について説明する。最初に、比較例として、彩度Sに対して常に一定の伸長係数αである場合について説明する。
図8は、彩度の変化に対して伸長係数が常に一定で変化しない例を示す図である。
図9は、HSV色空間を示す図である。
図10は、各画素への入力値を説明するための図である。
図11は、伸長係数によって伸長される前後における入力信号値をHSV色空間に示した図である。
【0049】
図8に示すような、彩度Sに対して常に一定の伸長係数αである場合を検討する。この検討においては、白色表示副画素としての第4副画素49Wが加わった場合において、
図8に示すようなHSV色空間を考え、V=0.8以上の信号値に対して、伸長係数が2.0となる場合を考える。なお、本来、HSV色空間は、色相Hを含むため、上述した
図6に示すような3次元の立体的な色空間となるが、本検討では色相Hに関しては考慮していないため、
図9に示すような彩度Sと明度Vとの直交座標系で表現される2次元の色空間で説明する。
【0050】
本検討において、入力信号である信号値(階調値)xを(Rin、Gin、Bin)とした場合、彩度Sは式(7)で、明度Vは式(8)で表される。上述したように、min(Rin、Gin、Bin)とは、信号値x(Rin、Gin、Bin)のうちの最小値、すなわち上述したMinである。max(Rin、Gin、Bin)とは、信号値x(Rin、Gin、Bin)のうちの最大値、すなわち上述したMaxである。
S=255・(1−min(Rin、Gin、Bin)/max(Rin、Gin、Bin))・・・(7)
V=(max(Rin、Gin、Bin)/255)
2.2・・・(8)
【0051】
このように、彩度Sは入力の信号値xのmax、minの関数となっている。また、明度Vは、入力の信号値(階調値)のmax値ではなく、リニアライズされ、規格化された輝度情報に変換された値のmax値としている。彩度S及び明度Vは、これに限定されるものではない。
【0052】
図8に示すように、彩度Sの大きさに関わらず伸長係数αは2となるので、彩度Sが0の場合、例えば、
図9に示すように、明度V=0.8の信号値x1、明度V=0.9の信号値x2、明度V=1.0の信号値x3に対して、伸長後の値であるx1’、x2’、x3’は、それぞれ明度V=1.6、明度V=1.8、明度V=2.0となる。この場合、
図9に示すように、伸長後の値であるx1’、x2’、x3’は、すべて色空間内となるため問題はなく、輝度も向上する。
【0053】
彩度Sが255の信号の場合、明度V=0.8の信号値x4、明度V=0.9の信号値x5、明度V=1.0の信号値x6は、伸長後の値であるx4’、x5’、x6’が、それぞれ明度V=1.6、明度V=1.8、明度V=2.0となるはずである。しかし、彩度S=255での色空間の最大値は1であるため、
図9に示すように、伸長後の値であるx4’、x5’、x6’は、すべて明度V=1.0にクリップされてしまう。これは、明度V=1.6、明度V=1.8、明度V=2.0の入力信号の階調情報がすべて失われ、階調つぶれが発生することを意味している。このように、彩度Sによらず、伸長係数αが一定の場合には、輝度は非常に向上するが、色空間がより小さくなる高彩度側における画質劣化が著しく発生する可能性が高い。次に、より具体的に説明する。
【0054】
図10は、画像表示パネル40が有する複数の画素48a、48c、48e、48h、48j、48lに、それぞれ信号値xa、xc、xe、xh、xj、xlが入力されることを示している。伸長係数αが彩度Sの変化に関わらず2.4としたとき、複数の画素48a、48c、48e、48h、48j、48lに対して、それぞれ信号値xa、xc、xe、xh、xj、xlの入力があった場合の例を説明する。画像表示パネル40のγは2.2であり、階調数は8bit、すなわち256である。
【0055】
彩度S=255となる入力信号である信号値xa(R、G、B)=(255、255、0)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、((255/255)
2.2、(255/255)
2.2、(0/255)
2.2)=(1、1、0)となり、HSV色空間における信号値xaは、
図11のa点となる。リニアライズ後における信号値xaに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、
図11のb点での値(2.4、2.4、0)となるはずである。しかし、彩度S=255におけるHSV色空間の最大値は1であるため、これ以上の値にはならず、伸長後の値は(1、1、0)、すなわち、
図11のa点から変化しない。
【0056】
彩度S=255となる入力信号である信号値xc(R、G、B)=(180、180、0)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、((180/255)
2.2、(180/255)
2.2、(0/255)
2.2)=(0.46、0.46、0)となり、HSV色空間における信号値xcは、
図11のc点となる。リニアライズ後における信号値xcに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、
図11のd点での値(1.1、1.1、0)となるはずである。しかし、彩度S=255におけるHSV色空間の最大値は1であるため、これ以上の値にはならず、伸長後の値は(1、1、0)、すなわち、
図11のa点となる。このように、信号値xa(255、255、0)及び信号値xc(180、180、0)は、伸長係数α=2.4倍で画像を伸長した場合、(255、255、0)の信号値となり、階調つぶれが発生する。
【0057】
彩度S=100となる入力信号である信号値xe(R、G、B)=(255、220、155)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、(1.0、0.72、0.33)となり、HSV色空間における信号値xeは、
図11のe点となる。リニアライズ後における信号値xeに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、HSV色空間の外(
図11のf点)での値とはならず、HSV色空間内のg点での値(1.624、1.624、0.83)となる。すなわち、入力の信号値xeをリニアライズした信号値(1、0.72、0.33)でのR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが異なる。このため色の変化が生じる。
【0058】
彩度S=100となる入力信号である信号値xh(R、G、B)=(102、80、62)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、(0.13、0.08、0.045)となり、HSV色空間における信号値xhは、
図11のh点となる。リニアライズ後における信号値xhに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、(0.32、0.19、0.11)となる。この値は、HSV色空間内(
図11のi点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、画質劣化は発生しない。
【0059】
彩度S=0となる入力信号である信号値xj(R、G、B)=(255、255、255)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、(1、1、1)となり、HSV色空間における信号値xjは、
図11のj点となる。リニアライズ後における信号値xjに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、(2.4、2.4、2.4)となる。この値は、HSV色空間内(
図11のk点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、画質劣化は発生しない。
【0060】
彩度S=0となる入力信号である信号値xl(R、G、B)=(180、180、180)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、(0.46、0.46、0.46)となり、HSV色空間における信号値xlは、
図11のl点となる。リニアライズ後における信号値xlに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、(1.1、1.1、1.1)となる。この値は、HSV色空間内(
図11のm点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、画質劣化は発生しない。すなわち、S=0の信号値xj、xlを伸長係数α(本例では2.4)倍した場合、伸長後の値は常に色空間内に存在するため、階調つぶれ及び色の変化といった画質劣化は生じない。
【0061】
このように、彩度Sに対して、一定の伸長係数αを信号値に乗算した場合、階調つぶれ及び色の変化といった画質劣化が発生することがわかる。そして、入力信号である信号値xa、xc、xe、xh、xj、xlに乗算される伸長係数αが大きければ大きいほど、より画質の劣化が顕著になることが上記例から理解できる。
【0062】
(実施形態1に係る伸長係数)
次に、実施形態1における伸長係数αの算出について説明する。
図12は、彩度の変化に対して伸長係数が変化する例を示す図である。
図13は、HSV色空間を示す図である。実施形態1に係る表示装置の駆動方法は、
図12に示すように、伸長係数αを入力信号の彩度Sに基づいて変化させるものである。その結果、伸長係数αは、入力信号の彩度Sに基づいて異なる。すなわち、実施形態1において、出力信号は、入力信号の彩度Sに基づいて異なる。この例では、
図12に示すように、彩度Sが大きい信号値に対しては伸長係数αを小さく、彩度Sの小さい信号値に対しては伸長係数α大きくするようにした。すなわち、彩度Sの増加にしたがって、伸長係数αは小さくなっている。
【0063】
彩度S=255となる入力信号である信号値xa(R、G、B)=(255、255、0)について、これを式(8)によってリニアライズした信号値に変換すると、(1、1、0)となり、HSV色空間における信号値xaは、
図13のa点となる。
図12に示すように、彩度S=255における伸長係数αは1.0である。したがって、リニアライズ後における信号値xaに伸長係数α=1.0を乗算すると、伸長後の値は(1、1、0)となり、伸長前と同一、すなわち、入力値に対して変化しない。その結果、階調つぶれは発生しない。
【0064】
彩度S=255となる入力信号である信号値xc(R、G、B)=(180、180、0)について、これをリニアライズされた信号値に変換すると、(0.46、0.46、0)となり、HSV色空間における信号値xcは、
図13のc点となる。リニアライズ後における信号値xcに伸長係数α=1.0を乗算すると、伸長後の値は(0.46、0.46、0)となり、伸長前と同一、すなわち、入力値に対して変化しない。その結果、階調つぶれは発生しない。
【0065】
彩度S=100となる入力信号である信号値xe(R、G、B)=(255、220、155)について、これをリニアライズされた信号値に変換すると、(1.0、0.72、0.33)となり、HSV色空間における信号値xeは、
図13のe点となる。
図12に示すように、彩度S=100における伸長係数αは1.35である。したがって、リニアライズ後における信号値xeに伸長係数α=1.35を乗算すると、伸長後の値は(1.35、0.977、0.452)となる。この値は、
図13のF点における値である。F点は、HSV色空間内に存在するため、色の変化等の画質劣化は生じない。
【0066】
彩度S=100となる入力信号である信号値xh(R、G、B)=(102、80、62)について、これをリニアライズされた信号値に変換すると、(0.13、0.08、0.045)となり、HSV色空間における信号値xhは、
図13のh点となる。リニアライズ後における信号値xhに伸長係数α=1.35を乗算すると、伸長後の値は、(0.18、0.11、0.06)となる。この値は、HSV色空間内(
図13のI点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=1.35が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、また、I点はHSV色空間内に存在するため、画質劣化は発生しない。
【0067】
彩度S=0となる入力信号である信号値xj(R、G、B)=(255、255、255)について、これをリニアライズされた信号値に変換すると、(1、1、1)となり、HSV色空間における信号値xjは、
図13のj点となる。
図12に示すように、彩度S=100における伸長係数αは2.4である。したがって、リニアライズ後における信号値xjに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、(2.4、2.4、2.4)となる。この値は、HSV色空間内(
図13のK点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、また、K点はHSV色空間内に存在するため、画質劣化は発生しない。
【0068】
彩度S=0となる入力信号である信号値xl(R、G、B)=(180、180、180)について、これをリニアライズされた信号値に変換すると、(0.46、0.46、0.46)となり、HSV色空間における信号値xlは、
図13のl点となる。リニアライズ後における信号値xlに伸長係数α=2.4を乗算すると、伸長後の値は、(1.1、1.1、1.1)となる。この値は、HSV色空間内(
図13のM点)になるので、入力のR:G:Bの輝度比と、伸長係数α=2.4が乗算された出力値のR:G:Bの輝度比とが変化せず、また、M点はHSV色空間内に存在するため、画質劣化は発生しない。すなわち、S=0の信号値xj、xlを伸長係数α(本例では2.4)倍した場合、伸長後の値は常に色空間内に存在するため、階調つぶれ及び色の変化といった画質劣化は生じない。
【0069】
このように、本実施形態において、表示装置10及びその駆動方法は、伸長係数αを入力信号のmax、minの関数、本実施形態では式(7)で定義された彩度Sを変化させることによって、画質劣化を抑えつつ、輝度の向上が可能となる。信号値の彩度は、式(7)に限定されるものではなく、例えば、下記の式(9)を用いてもよい。
S=max(Rin、Gin、Bin)−min(Rin、Gin、Bin)・・・(9)
【0070】
式(9)は、max(Rin、Gin、Bin)とmin(Rin、Gin、Bin)との減算である。すなわち、演算処理が難しくなる除算を有していない。このため、式(9)による彩度Sを用いることにより、演算処理を簡単にすることができるので、ハードウェアに対する負荷を低減することができる。また、式(9)を用いることにより、演算回路の規模も小さくすることができる。
【0071】
上述した例において、伸長係数αは、彩度S=255のときに1.0となっているが、これに限定されるものではない。彩度が大きい場合(例えば、S=127以上)、伸長後の信号値が多少HSV色空間の外であっても、画質はほとんど劣化しないからである。このため、例えば、
図12に示すように、彩度S=255のときの伸長係数α255を1.0よりも大きい値にしてもよい。また、彩度S=0のとき、伸長係数α=2.4になっているが、これに限定されるものではなく、
図1に示す表示装置10、より具体的には画像表示パネル40の種類又は仕様によって適切な値を用いることができる。また、彩度Sに対する伸長係数αの変化のさせ方も、画像表示パネル40によって適切なものを用いることができる。例えば、
図13に示すHSV色空間の形状に沿った形で伸長係数αを変化させるようにしてもよい。
【0072】
図14は、彩度の変化に対する伸長係数の変化を示す図である。
図14には、伸長係数αと彩度Sとの関係を示す関係が複数示されている。α1で示す伸長係数αと彩度Sとの関係は、上述したように伸長係数αが彩度Sの増加にしたがって小さくなるものである。α2で示す伸長係数αと彩度Sとの関係は、彩度Sが0から僅かに大きくなると伸長係数αは一旦小さくなって、さらに彩度Sがわずかに大きくなって変曲点PVに達するまで伸長係数αは増加するが、その後、彩度Sの増加にしたがって伸長係数αは小さくなるものである。このように、α2は、変曲点PVを有している。α3で示す伸長係数αと彩度Sとの関係は、彩度Sの変化に関わらず伸長係数αは一定(この例では2.0)となるものである。
【0073】
本実施形態において、
図1に示す表示装置10及びその駆動方法は、伸長係数αと、入力信号の彩度Sとの関係を複数有し、これらを切り替えて用いてもよい。すなわち、表示装置10は、記憶部に上述したα1、α2、α3等を記憶しておき、条件に応じてこれらを適宜切り替えて使用することができる。このようにすることで、例えば、画像表示パネル40の経時変化等に応じて適切な伸長係数αと彩度Sとの関係を選択して使用することができるので、画質劣化をより効果的に抑制することができる。
【0074】
表示装置10は、例えば外光強度を計測するセンサ部21により、外光強度に応じて、伸長係数αと入力信号の彩度Sとの関係を切り替えてもよい。
図15は、センサ部21の配置を示すブロック図である。この場合、
図15に示されるように、表示装置10は、信号処理部20に接続されるセンサ部21を有する。センサ部21は、外光の強度を計測し、信号処理部20に伝達する。信号処理部20は、センサ部21による外光強度に応じて、伸長係数αと入力信号の彩度Sとの関係を切り替える。例えば、信号処理部20は、外光強度が高い場合は、伸長係数αを全体的に小さくするように、伸長係数αと入力信号の彩度Sとの関係を切り替える。
【0075】
また、表示装置10は、外光強度に応じて、伸長係数αが入力信号の彩度Sに基づいて変化する第1の表示モードと、伸長係数αが一定値となる第2の表示モードとを切り替えてもよい。第1の表示モードで用いる伸長係数αと入力信号の彩度Sとの関係は、例えば、
図14のα1であり、第2の表示モードで用いる伸長係数αと、入力信号の彩度Sとの関係は、例えば、
図14のα3である。表示装置10は、外光強度が低い場合は、第2の表示モードを用いる。これにより、表示装置10は、外光強度が低い暗い環境下においても、高輝度の画像を表示することができる。
【0076】
なお、伸長係数αと入力信号の彩度Sとの関係を切り替えは、これに限られず、例えば観察者の入力によって切り替えてもよい。
【0077】
実施形態1に係る表示装置10は、反射型の表示装置である。反射型の表示装置は、例えば透過型の表示装置と比較して、画像が暗くなる場合がある一方、消費電力量が少ない。そして、このような反射型の表示装置に、第4副画素49Wを加えて画像を表示することにより、画像が暗い傾向にある反射型の表示装置の画像を効果的に明るくすることができる。さらに、上述のように、実施形態1に係る表示装置10は、伸長係数αが彩度Sに応じて異なることにより、出力信号が彩度Sに応じて異なる。従って、実施形態1に係る表示装置10は、階調つぶれ及び色の変化といった画質劣化を抑制することができる。すなわち、実施形態1に係る表示装置10は、画像が暗い傾向にある反射型の表示装置において、画質の劣化を抑制しつつ、画像を好適に明るくすることができる。
【0078】
より詳しくは、実施形態1に係る表示装置10は、彩度Sが増加するに従って、伸長係数αが小さくなる。実施形態1に係る表示装置10は、階調潰れが起こりにくい低彩度において画像を大きく伸長し、階調潰れが起こりやすい高彩度において画像の伸長を小さくするため、より好適に画像の劣化を抑制しながら、画像を明るくすることができる。
【0079】
さらに、実施形態1に係る表示装置10は、彩度Sと伸長係数αとの関係を複数有し、これらを切り替えて用いることができる。従って、実施形態1に係る表示装置10は、例えば外光強度に応じて、好適に画像の劣化を抑制しながら、画像を明るくすることができる。
【0080】
(変形例1)
次に、実施形態1の変形例1について説明する。一般に、人間の感性として、黄色系の絵の画質劣化が特に気になる。そこで、色相Hを考慮してもよい。変形例1は、入力信号の彩度S及び色相Hに基づいて、伸長係数αを異ならせるものである。変形例1において、色相は、式(10)〜式(12)を用いて定義される。すなわち、(R、G、B)においてRの値が最大のとき色相Hは式(10)となり、Gの値が最大のとき色相Hは式(11)となり、Bの値が最大のとき色相Hは式(12)となる。Minは、上述したmin(Rin、Gin、Bin)であり、Maxは、上述したMax(Rin、Gin、Bin)である。なお、色相Hの定義はこれに限定されるものではない。
H=60・(G−B)/(Max−Min)・・・(10)
H=60・(B−R)/(Max−Min)+120・・・(11)
H=60・(R−G)/(Max−Min)+240・・・(12)
【0081】
変形例1において、黄色の範囲として色相H=40〜80を定義する。なお、黄色を示す色相Hは、この範囲に限定されるものではない。そして、変形例1に係る表示装置10aは、例えば、黄色に対応する色相Hとなる入力信号に関しては、伸長係数αを小さくする。そして、例えば、黄色以外、すなわち、色相H=40〜80以外となる入力信号に関しては、伸長係数αを大きくする。
【0082】
より詳しくは、変形例1に係る表示装置10aは、黄色に対応する色相Hとなる入力信号に関しては、伸長係数αが、入力信号の彩度Sに基づいて変化するようにしてもよい(例えば、
図14のα1)。そして、黄色以外、すなわち、色相H=40〜80以外となる入力信号に関しては、伸長係数αが、彩度Sに関わらず一定となるようにする(例えば、
図14のα3)。すなわち、表示装置10aは、入力信号の色相Hが黄色であるときに上述した第1の表示モードとし、入力信号の色相Hが黄色以外であるときに上述した第2の表示モードとする。
【0083】
この場合、色相Hに基づき、黄色である場合には伸長係数αが変化する第1の表示モードが用いられ、黄色以外は伸長係数αが一定の第2の表示モードが用いられるので、色相Hに基づいて伸長係数αが異なることになる。また、第1の表示モードにおいては、伸長係数αが彩度Sに基づいて異なっている。このように、伸長係数αは、入力信号の彩度S及び色相Hの少なくとも一方に基づいて異なっている。
【0084】
変形例1のようにすることで、変形例1に係る表示装置10aは、人間の感覚として、より画質劣化が視認できる黄色に関しては画質劣化を効果的に抑制して入力信号を伸長させることができる。また、変形例1は、画質劣化が目立たない色相、すなわち黄色以外に関しては、彩度Sに関わらず一定の伸長係数αとなるため、より輝度を向上させることができる。その結果、変形例1に係る表示装置10aは、画質劣化が目立たなく、かつ、高輝度な映像を出力することが可能となる。
【0085】
また、変形例1に係る表示装置10aは、入力信号の色相Hによって伸長係数αを異ならせることによって、より画質劣化が視認されやすい色、例えば黄色に対して、画質劣化を抑えつつ、輝度を向上させることが可能となる。また、実施形態1及び変形例1は、入力信号の彩度S及び色相Hに基づいて伸長係数αを異ならせるので、画質劣化が視認されやすい色(例えば、黄色)及びより高彩度側での画質劣化を抑えることができる。また、輝度を向上させて視認性の低下を抑制することが可能となる。なお、実施形態1及び変形例1は、彩度Sに応じて伸長係数αを異ならせるため、表示装置10及び表示装置10aの画像表示パネル40に表示される画像は、位置によって伸長係数αが異なることがある。
【0086】
(変形例2)
次に、実施形態1の変形例2について説明する。変形例2に係る表示装置10bは、フロントライト型で、かつ直下型の光源部50bを有する、反射型の表示装置である。変形例2に係る表示装置10bは、その他の点において実施形態1に係る表示装置10と構成が共通するため、説明を省略する。
【0087】
図16は、変形例2に係る画像表示パネルの構成を模式的に表す断面図である。
図16に示すように、画像表示パネル40bの対向基板42は、液晶層43と反対側の面に、支持台51bを介して、光源用基板52bが取り付けられている。対向基板42と光源用基板52bとの間には、支持台51bにより、空間54bが設けられている。
【0088】
光源用基板52bは、例えばガラス等の透明性を有する基板である。光源用基板52bは、空間54b側の面に、複数の遮光部53bを介して、複数の光源部50bを有する。遮光部53bは、例えば金属等の遮光性を有する部材である。遮光部53bは、光源部50bからの光が直接光源用基板52bを通って外部へ出射されることを抑制する。また、遮光部53bは、反射性を有する反射部材であってもよい。光源部50bは、金属配線又は透光性の導電材料等を有する配線を介して、信号処理部20に接続されている。変形例2において、光源部50bは、LEDであるが、例えば有機エレクトロルミネッセンスであってもよい。
【0089】
次に、変形例2に係る画像表示パネル40bによる光の反射について説明する。
図16に示すように、光源部50bからの光L1bは、画像表示パネル40bの対向基板42側から画像表示パネル40b内に入射し、画素電極44に照射される。画素電極44に照射された光L1bは、画素電極44により反射され、光L2bとして画像表示パネル40b及び光源用基板52bを通って外部に出射する。また、画像表示パネル40bには、外光LO1bが入射される。外光LO1bは、光源用基板52b及び画像表示パネル40b内を通って画素電極44に入射される。画素電極44に入射された外光LO1bは、画素電極44に反射され、光LO2bとして、画像表示パネル40b内及び光源用基板52b内を通って、外部に出射される。
【0090】
すなわち、画素電極44は、画像表示パネル40bの外部側(対向基板42側)の面である前面から画像表示パネル40bに入射される光L1b又は外光LO1bを外部に反射する。外部に反射された光L2b及びLO2bは、液晶層43及びカラーフィルタ46を通る。そのため、表示装置10bは、外部に反射される光L2b,LO2bにより、画像を表示することができる。このように、変形例2に係る表示装置10bは、フロントライト型で、かつ、直下型の光源部50を有する、反射型の表示装置である。このような構成においても、変形例2に係る表示装置10bは、伸長係数αが彩度Sに応じて異なることにより、画像が暗い傾向にある反射型の表示装置において、画質の劣化を抑制しつつ、画像を好適に明るくすることができる。
【0091】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2に係る表示装置10cは、信号処理部20cにより、入力信号を変換後入力信号に変換して伸長処理を行う点で、実施形態1に係る表示装置10と異なる。実施形態2に係る表示装置10cの実施形態1に係る表示装置10と共通する構成の説明は省略する。
【0092】
図17は、実施形態2における各画素への入力値を説明するための図である。
図18は、実施形態2における彩度に対して入力信号が変化する例を示す図である。
図19は、実施形態2に係る色変換処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。以下に、実施形態2に係る信号処理部20cによる色変換処理について、
図19のフローチャートを基に説明する。
【0093】
色変換処理を行う場合、信号処理部20cは、入力信号を変調して、変換後入力信号を生成する(ステップS11)。
図17は、画像表示パネル40が有する複数の画素48a、48c、48e、48h、48j、48lに、それぞれ信号値ya、yc、ye、yh、yj、ylが入力されることを示している。信号値ya、yc、ye、yh、yj、ylには、例えば、
図18に示す信号値y1、y2、y3、y4、y5、y6、y7、y8、y9のいずれか1つが変換された変換後の入力値を、伸長係数αが彩度Sの変化に関わらず、伸長係数αを2.0として伸長された値が出力される。
【0094】
具体的には、先ず、信号処理部20cは、
図18に示す入力信号の信号値y1、y2、y3、y4、y5、y6、y7、y8、y9のいずれかの明度Vを彩度Sに応じて一定の割合で減じる関数f(S)で変換して、変換後入力値を演算する。関数f(S)は、下記式(13)で例示される。
【0095】
f(S)=V×((−1/510)×S+1)・・・(13)
【0096】
図18に示すように、彩度S=0、かつ明度V=0.8の信号値y1、彩度S=0、かつ明度V=0.9の信号値y2、彩度S=0、かつ明度V=1.0の信号値y3に対して、式(13)に基づいた変換後の値(変換後入力信号値)であるy1a、y2a、y3aは、それぞれ明度V=0.8、明度V=0.9、明度V=1.0となる。
【0097】
図18に示すように、彩度S=255、かつ明度V=0.8の信号値y4、彩度S=255、かつ明度V=0.9の信号値y5、彩度S=255、かつ明度V=1.0の信号値y6に対して、式(13)に基づいた変換後の値(変換後入力信号値)であるy4a、y5a、y6aは、それぞれ明度V=0.4、明度V=0.45、明度V=0.5となる。
【0098】
図18に示すように、彩度S=170、かつ明度V=0.8の信号値y7、彩度S=170、かつ明度V=0.9の信号値y8、彩度S=170、かつ明度V=1.0の信号値y9に対して、式(13)に基づいた変換後の値(変換後入力信号値)であるy7a、y8a、y9aは、それぞれ明度V=0.53、明度V=0.6、明度V=0.67となる。
【0099】
次に信号処理部20cは、4画素による信号伸長処理を実行する(ステップS12)。すなわち、信号処理部20cは、変換後入力信号値を、伸長係数αにより伸長する。ここで、伸長係数αは、彩度Sの変化に関わらず一定であり、フレーム毎にも一定である。信号処理部20cは、伸長係数αを2.0として伸長処理を行うが、伸長係数αが彩度Sの変化に関わらず一定であり、フレーム毎にも一定であれば、伸長係数αの値は任意である。
【0100】
具体的には、
図18に示すように、例えば彩度Sが0の入力信号の場合、信号値y1a、信号値y2a、信号値y3aに対して、伸長後の値であるy1b、y2b、y3bは、それぞれ明度V=1.6、明度V=1.8、明度V=2.0となる。この場合、
図18に示すように、伸長後の値であるy1b、y2b、y3bは、すべて色空間内となるため問題はなく、輝度も向上する。
【0101】
彩度Sが255の入力信号の場合、信号値y4a、信号値y5a、信号値y6aに対して、伸長後の値であるy4b、y5b、y6bは、それぞれ明度V=0.8、明度V=0.9、明度V=1.0となる。この場合、
図18に示すように、伸長後の値であるy4b、y5b、y6bは、すべて色空間内となるため問題はなく、輝度も向上する。
【0102】
彩度Sが170の入力信号の場合、信号値y7a、信号値y8a、信号値y9aに対して、伸長後の値であるy7b、y8b、y9bは、それぞれ明度V=1.06、明度V=1.2、明度V=1.34となる。この場合、
図18に示すように、伸長後の値であるy7b、y8b、y9bのうち、y7bが色空間内となる。信号処理部20cは、4画素による信号伸長処理を実行することにより、色変換処理を終了する。
【0103】
以上説明したように、信号処理部20cは、第4副画素49Wにも出力信号を出力する場合、少なくとも一定以上の彩度Sがある入力信号の明度Vの大きさを減じるように、入力信号から変換後入力信号を生成する。そして、変換後入力信号と、光源部50及び第4副画素49Wによる明度の増加量を定義する伸長係数αとに基づいて、第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bの出力信号を演算する。ここで一定以上の彩度Sは、少なくとも50以上、より好ましくは30以上であることが望ましい。
【0104】
図20は、伸長係数によって伸長される前後における入力信号値をHSV色空間に示した図である。
図21は、変換後入力信号が伸長された例を示す図である。
図22は、実施形態2の変換後入力信号が伸長された伸長値とHSV色空間との関係を示す図である。
図20は、実施形態2に係る変調処理を行なわず(変換後入力信号を生成せず)、一定の伸長係数で入力信号is1を伸長した場合を示している。拡大されたHSV色空間は、第4色成分(白色)を加えることで、彩度Sを変数とした明度の最大値Vmax(S)を結ぶ明度の上限値CS
upを有している。画素48毎に第1色成分、第2色成分及び第3色成分で表示可能な入力信号(RGBデータの入力値)をis1とした場合、伸長後の値os1は、彩度Sに対して常に一定の伸長係数α=2.0だけ明度Vが増加するが、明度の上限値CS
upを超えた分だけ、階調情報がすべて失われ、階調つぶれが発生することになる。
【0105】
一方、実施形態2に係る信号処理部20cは、
図21に示すように、変換後入力値を一定の伸長係数α=2.0で伸長して、伸長後の値os2を生成する。変換後入力値を伸長した伸長後の値os2と、変調処理を行わず入力信号を伸長した伸長後の値os1とを比較すると、伸長後の値os2は、
図22に示すように、伸長後の値os1よりも明度の上限値CS
upを超えた差分が小さく、階調情報の消失が低減され、階調つぶれの発生が抑制される。
【0106】
実施形態2では、入力信号から変換後入力信号を演算する関数f(S)を一次関数としている。式(13)に示す一次関数は例示であり、これに限られない。例えば、関数f(S)は、明度の上限値CS
upの接線の1つとすることで、明度の上限値CS
upの曲線に沿って、彩度Sに対して明度が変化する直線とすることができる。
【0107】
関数f(S)は、上述した一次関数に限られない。明度の上限値CS
upが多次関数であってもよい。
図23は、彩度に対して入力信号が変化する他の例を示す図である。
図24は、本実施形態の他の例において変換後入力信号が伸長された伸長値とHSV色空間との関係を示す図である。
【0108】
図23に示すように、第4色成分(白色)を加えることで、拡大されたHSV色空間は、彩度Sを変数とした明度の最大値Vmax(S)を結ぶ明度の上限値CS
upを有している。信号処理部20cは、入力信号の明度を、拡大されたHSV色空間における明度の最大値で除算した明度、すなわち彩度毎の明度の上限値CS
upで除算すると、入力信号の最大値はCS
re以下にする入力処理の変調処理をする(
図19に示す、ステップS11参照)ことができる。その後、信号処理部20cは、4画素による信号伸長処理(ステップS12)を施しても、伸長後の明度が明度の上限値CS
upを超えない。このため、伸長後の値は、全域ですべて色空間内となるため問題はなく、輝度も向上する。
【0109】
より具体的に
図24を用いて、本実施形態の他の例の色変換処理を説明する。
図24に示すように、彩度毎の明度の上限値CS
upは、屈曲点を有しているので、上限値CS
upの近似値CS
apを示す式(14)を求める。
【0110】
CS
ap(S)=−4.929×10
−8×S
3+4.901×10
−5×S
2−1.473×10
−2×S+k・・・(14)
【0111】
ここで、kは、彩度0のときの明度の最大値であり、例えば、2.4である。
【0112】
入力信号は、式(14)に基づいて下記式(15)で変換される。
【0113】
f(S)=CS
ap(S)/k・・・(15)
【0114】
その結果、変換後入力信号の最大値CS
inmaxは、CS
re以下になる。
【0115】
以上説明したように、変換後入力信号は、第4色成分を加えることで拡大されたHSV色空間における明度の最大値で除算した入力信号の明度の最大値以下に入力信号の明度を減じる関数f(S)で変換される。
【0116】
これにより、信号処理部20cは、変換後の入力値を一定の伸長係数α=2.0で伸長する。伸長後の値は、明度の上限値CS
upを超えることがなく、階調情報の消失が低減され、階調つぶれの発生が抑制される。
【0117】
実施形態2に係る表示装置の駆動方法は、彩度Sの大きさに関わらず伸長係数αを一定(例えばα=2.0)としたが、伸長係数αを入力信号の彩度Sに基づいて変化させるようにしてもよい。その結果、伸長係数αは、入力信号の彩度Sに基づいて異なるようになる。この例では、彩度Sが大きい信号値に対しては伸長係数αを小さく、彩度Sの小さい信号値に対しては伸長係数αを大きくするようにした。すなわち、彩度Sの増加にしたがって、伸長係数αは小さくなっている。表示装置10c及びその駆動方法は、伸長係数αを入力信号のmax、minの関数、本実施形態では式(7)で定義された彩度Sを変化させることによって、画質劣化を抑えつつ、輝度の向上が可能となる。信号値の彩度は、実施形態1と同様に式(7)に限定されるものではなく、例えば、上述の式(9)を用いてもよい。
【0118】
また、信号処理部20cは、例えば外光強度等に応じて、伸長係数αの値を変化させてもよい。この場合、信号処理部20cは、例えば実施形態1に示したセンサ部21を有することにより、外光強度を測定して、伸長係数αの値を変化させてもよいし、観察者の入力により伸長係数αの値を変化させてもよい。
【0119】
このように、実施形態2に係る信号処理部20cは、少なくとも一定以上の彩度がある前記入力信号の明度の大きさを減じるように、前記入力信号から変換後入力信号を生成し、変換後入力信号に基づいて出力信号を生成する。すなわち、実施形態2に係る信号処理部20cは、彩度に応じて出力信号を異なるように求める。従って、信号処理部20cは、画像が暗い傾向にある反射型の表示装置において、階調潰れ及び色の変化といった画質劣化を抑制しつつ、画像を好適に明るくすることができる。より詳しくは、表示装置10cは、変換後入力信号を、前記入力信号の明度を彩度に応じて一定の割合で減じる関数で変換する。従って、実施形態2に係る表示装置10cは、階調潰れが起こりにくい低彩度において画像を大きく伸長し、階調潰れが起こりやすい高彩度において画像の伸長を小さくするため、より好適に画像の劣化を抑制しながら、画像を明るくすることができる。
【0120】
また、実施形態2に係る信号処理部20cは、伸長係数αを一定としている。従って、実施形態2に係る表示装置10cは、例えばフレーム毎に伸長係数αを算出する必要がなく、処理負荷を低減することができる。
【0121】
図25及び
図26は、実施形態1に係る表示装置の構成の他の例を示すブロック図である。
図25に示す他の例に係る表示装置10dは、信号出力部20に入力信号を出力する制御装置11を備える。制御装置11は、画像出力部12を有し、画像力部12により、信号処理部20に入力信号を出力する。
図26に示す他の例に係る表示装置10eは、信号処理部20が制御装置11の一部である。信号処理部20が制御装置11の一部である場合、信号処理部20は、制御装置11内の処理だけで、入力信号への処理を行うことができる。
【0122】
(適用例)
次に、
図27及び
図28を参照して、実施形態1で説明した表示装置10の適用例について説明する。
図27及び
図28は、実施形態1に係る表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。実施形態1に係る表示装置10は、
図27に示すカーナビゲーションシステム、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、
図28に示す携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、実施形態1に係る表示装置10は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。電子機器は、表示装置に映像信号を供給し、表示装置の動作を制御する制御装置11(
図25参照)を備える。なお、本適用例は、実施形態1に係る表示装置10以外でも、以上説明した他の実施形態、変形例及び他の例に係る表示装置にも適用できる。
【0123】
図27に示す電子機器は、実施形態1に係る表示装置10が適用されるカーナビゲーション装置である。表示装置10は、自動車の車内のダッシュボード300に設置される。具体的にはダッシュボード300の運転席311と助手席312の間に設置される。カーナビゲーション装置の表示装置10は、ナビゲーション表示、音楽操作画面の表示、又は、映画再生表示等に利用される。
【0124】
図28に示す電子機器は、実施形態1に係る表示装置10が適用される携帯型コンピュータ、多機能な携帯電話、音声通話可能な携帯コンピュータまたは通信可能な携帯コンピュータとして動作し、いわゆるスマートフォン、タブレット端末と呼ばれることもある、情報携帯端末である。この情報携帯端末は、例えば筐体562の表面に表示部561を有している。この表示部561は、実施形態1に係る表示装置10と外部近接物体を検出可能なタッチ検出(いわゆるタッチパネル)機能とを備えている。
【0125】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態等の内容によりこれらの実施形態等が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。例えば、表示装置10は、有機発光ダイオード(OLED)のような自発光体を点灯する自発光型の画像表示パネルを有していてもよい。