特許第6359905号(P6359905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359905
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ラベル付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/08 20060101AFI20180709BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20180709BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20180709BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20180709BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20180709BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   B65D23/08 Z
   G09F3/04 C
   G09F3/00 Q
   G09F3/02 B
   G09F3/10 C
   B65D23/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-147896(P2014-147896)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-22971(P2016-22971A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】福原 誠
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−286743(JP,A)
【文献】 特開2006−337932(JP,A)
【文献】 特開平07−311547(JP,A)
【文献】 特開2002−196677(JP,A)
【文献】 特開2014−048564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/08
B65D 23/00
G09F 3/00
G09F 3/02
G09F 3/04
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大周長部を有する容器と、周方向に熱収縮しうる筒状フィルムを有する熱収縮性筒状ラベルと、を有し、
前記熱収縮性筒状ラベルが、前記最大周長部を除いた容器の被装着部位に熱収縮装着されており、
前記熱収縮性筒状ラベルが、前記筒状フィルムに積層され且つ熱収縮性筒状ラベルの外面を構成するオーバーコート層を有し、
前記オーバーコート層が、バインダー樹脂及びシリコーンオイルを含み且つ実質的に粒状滑剤を含まず、前記シリコーンオイルが、前記オーバーコート層の全体に対して1質量%〜15質量%含まれ、
前記熱収縮性筒状ラベルの外面の静摩擦係数が0.25〜0.50で且つその外面の表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとされている、ラベル付き容器。
【請求項2】
前記被装着部位の水平断面外形が、略円形状であり、前記容器の容積が、750ミリリットル以上である、請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
前記容器が、上下に離反して2つの最大周長部を有し、前記被装着部位が、その上下の最大周長部の間に形成され、
被装着部位に装着された前記熱収縮性筒状ラベルの外面が、前記容器の周方向において前記最大周長部の外面よりも内側に位置する、請求項1または2に記載のラベル付き容器。
【請求項4】
前記熱収縮性筒状ラベルの内面に、感熱接着剤からなる接着部が設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
【請求項5】
前記感熱接着剤の補外融解開始温度が45℃以上である、請求項4に記載のラベル付き容器。
【請求項6】
前記筒状フィルムが、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に熱収縮性筒状ラベルが装着されたラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料容器などの種々の容器の胴部に熱収縮性筒状ラベルが装着されたラベル付き容器が広く用いられている。熱収縮性筒状ラベルは、一般に、シュリンクラベル、シュリンクチューブなどとも呼ばれている。
このような熱収縮性筒状ラベルの外面には、表面傷付き防止や滑り性向上のため、オーバーコート層が設けられている。オーバーコート層は、バインダー樹脂、シリコーンオイル、ワックス類及び有機溶剤を含むコート液をフィルムに塗布することによって形成される(特許文献1)。
しかしながら、かかる熱収縮性筒状ラベルを装着されたラベル付き容器は、持ち手から滑りやすいという問題点がある。特に、胴部が略円筒形状で且つ比較的内容量の大きい容器の場合、胴部の外周長の半分程度しか手で持つことができないところ、滑り易い熱収縮性筒状ラベルの上から前記胴部を持った際に、持ち手からラベル付き容器が不用意に滑り落ちるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−345794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、持ち手から滑り落ち難いラベル付き容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のラベル付き容器は、最大周長部を有する容器と、周方向に熱収縮しうる筒状フィルムを有する熱収縮性筒状ラベルと、を有し、前記熱収縮性筒状ラベルが、前記最大周長部を除いた容器の被装着部位に熱収縮装着されており、前記熱収縮性筒状ラベルが、前記筒状フィルムに積層され且つ熱収縮性筒状ラベルの外面を構成するオーバーコート層を有し、前記オーバーコート層が、バインダー樹脂及びシリコーンオイルを含み且つ実質的に粒状滑剤を含まず、前記シリコーンオイルが、前記オーバーコート層の全体に対して1質量%〜15質量%含まれ、前記熱収縮性筒状ラベルの外面の静摩擦係数が0.25〜0.50で且つその外面の表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとされている。
【0006】
本発明の好ましいラベル付き容器は、前記被装着部位の水平断面外形が、略円形状であり、前記容器の容積が、750ミリリットル以上である。
本発明の好ましいラベル付き容器は、前記容器が、上下に離反して2つの最大周長部を有し、前記被装着部位が、その上下の最大周長部の間に形成され、被装着部位に装着された前記熱収縮性筒状ラベルの外面が、前記容器の周方向において前記最大周長部の外面よりも内側に位置する
本発明の好ましいラベル付き容器は、前記熱収縮性筒状ラベルの内面に、感熱接着剤からなる接着部が設けられている。
本発明の好ましいラベル付き容器は、前記感熱接着剤の補外融解開始温度が45℃以上である。
本発明の好ましいラベル付き容器は、前記筒状フィルムが、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明のラベル付き容器は、持ち手から滑り落ち難く、また、熱収縮性筒状ラベル傷付き難い。本発明によれば、ラベルの外観を損なうことなく、持ち易いラベル付き容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るラベル付き容器の正面図。
図2】同ラベル付き容器の上面図。
図3図1のIII−III線で切断した断面図。
図4】筒状に拡げた状態の熱収縮性筒状ラベルの斜視図。
図5】扁平状に畳んだ状態の熱収縮性筒状ラベルの正面図。
図6図5のVI−VI線で切断した断面図。
図7図5のVII−VII線で切断した断面図。
図8】容器の正面図。
図9】ラベル付き容器を並べた状態を示す正面図。
図10】第2実施形態に係るラベル付き容器の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、容器の軸方向は、その容器の底面部を水平面に載せて自立させた状態において上下方向を意味する。容器の各部の周長は、各部の外面における周方向の長さをいい、前記周方向は、容器の軸周り方向を意味する。熱収縮性筒状ラベルの軸方向は、それを円筒状に拡げた際にその円筒の中心を通る直線方向を意味し、熱収縮性筒状ラベルの周方向は、前記円筒の軸周り方向を意味する。外面は、熱収縮性筒状ラベル(円筒)の外側の面を意味し、内面は、その内側の面を意味する。さらに、「PPP〜QQQ]という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
なお、各断面図において、厚みや寸法などは、実際のものと異なっていることに留意されたい。
【0010】
[第1実施形態]
図1乃至図3において、本発明のラベル付き容器1は、最大周長部を有する容器2と、前記容器2に熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル3と、を有する。
前記熱収縮性筒状ラベル3は、容器2の被装着部位に熱収縮装着されている。ただし、前記被装着部位には、最大周長部が含まれず、従って、熱収縮性筒状ラベル3は、最大周長部を除く容器2の一部に装着されている。
容器2に装着された状態において、前記熱収縮性筒状ラベル3の外面は、その静摩擦係数が0.25〜0.50で且つその表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとされている。
前記静摩擦係数は、JIS K7125に準拠して測定された値をいい、前記表面粗さ(Ra)は、JIS B0601(1994)に準拠して測定された値をいう。
以下、まず、熱収縮性筒状ラベル3及び容器2の各構成をそれぞれ別個に詳述し、その後、ラベル付き容器1の構成を詳述する。
【0011】
(熱収縮性筒状ラベル)
図4乃至図7は、同じ熱収縮性筒状ラベルを示すが、図4は、容器に装着する直前に筒状に拡げられた状態の熱収縮性筒状ラベルを、図5乃至図7は、扁平状に畳まれた状態の熱収縮性筒状ラベルを示す。
図4乃至図7において、熱収縮性筒状ラベル3は、熱収縮性の筒状フィルム31を有する。好ましくは、熱収縮性筒状ラベル3は、熱収縮性の筒状フィルム31と、その筒状フィルム31の外面側に設けられ且つ熱収縮性筒状ラベル3の外面を構成するオーバーコート層32と、その筒状フィルム31の内面側に設けられた接着部34と、を有する。より好ましくは、前記筒状フィルム31には、印刷層33が設けられる。印刷層33は、筒状フィルム31の内面若しくは外面の何れか一方又は内面及び外面の双方に設けることができるが、好ましくは、図示のように、筒状フィルム31の内面に設けられる。印刷層33が筒状フィルム31の内面に設けられる場合、前記接着部34は、その印刷層33の内面に設けられる。
なお、特に図示しないが、熱収縮性筒状ラベル3には、ラベル分断用のミシン目線などの従来公知な他の事項が設けられていてよい。
【0012】
筒状フィルム31は、熱収縮性フィルムを筒状にして丸めてその両側端部を重ね合わせ、その重ね合わせ面を接着することにより形成されている。前記両側端部を接着した部分は、一般に、センターシール部と呼ばれる。
筒状フィルム31は、所要温度(例えば70〜100℃)に加熱されると、少なくとも周方向に熱収縮する性質(熱収縮性)を有するが、その熱収縮率は、容器2の被装着部位に密着する以上の熱収縮率である。
筒状フィルム31の形成に用いる熱収縮性フィルムとしては、特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からから選ばれる1種単独、又は2種以上の混合物などを含むフィルムを用いることができる。熱収縮性フィルムとして、熱収縮性を有する2種以上のフィルムが積層された積層フィルムや、金属蒸着層などの非熱収縮層が熱収縮性を有するフィルムに積層された積層フィルムを用いることもできる。フィルムは公知の製法で製膜し、延伸し、熱エージング処理することにより熱収縮性を付与できる。
【0013】
前記熱可塑性樹脂製フィルムの中でも、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む筒状フィルム31は、加熱した際に、軸方向の熱収縮が比較的少ないため、殆ど径差がない被装着部位に装着するのに適している。
また、本発明においては、後述するように、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む熱収縮性フィルムを用いて筒状フィルム31を形成した場合でも、熱収縮性筒状ラベル3の製造工程にてブロッキングを防止でき、また、熱収縮性筒状ラベル3が傷付き難いラベル付き容器1を構成できる。
前記ポリスチレン系樹脂フィルムを含む熱収縮性フィルムは、例えば、ポリスチレン系樹脂の単層フィルム、ポリスチレン系樹脂の多層フィルム、又は、前記いずれかのポリスチレン系樹脂フィルムと1層若しくは多層の他の樹脂フィルムとの積層体などが挙げられる。
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体である汎用的なポリスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又は共重合体;合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた高衝撃性ポリスチレン(HIPS);スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBSなど)に代表される、スチレン系単量体とブタジエンやイソプレン等のジエン系単量体(共役ジエン)からなる共重合体であるスチレン−共役ジエン共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体などの共重合体であるスチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合体にゴムをグラフト重合させた透明・高衝撃性ポリスチレン(グラフトHIPS)、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、スチレン−共役ジエン共重合体が好ましく、さらに、スチレン−ブタジエンブロック共重合体がより好ましい。
前記他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;環状オレフィン系樹脂;塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などが挙げられる。
前記ポリスチレン系樹脂フィルムと他の樹脂フィルムの積層体を用いる場合、少なくとも表面層又は裏面層がポリスチレン系樹脂フィルムであることが好ましく、表面層及び裏面層がポリスチレン系フィルムで且つ中間層が他の樹脂フィルムであることがより好ましい。
【0014】
熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、20μm〜100μmであり、好ましくは、25μm〜80μmであり、より好ましくは、30μm〜60μmである。
熱収縮性フィルム(筒状フィルム31)は、透明又は不透明のいずれでもよいが、図示のように内面側に印刷層33が設けられる場合には、透明なものが用いられる。本明細書において、透明は、有色透明又は無色透明を含むが、好ましくは無色透明である。
【0015】
前記オーバーコート層32は、筒状フィルム31の外面に直接的に積層されている。オーバーコート層32の外面は、熱収縮性筒状ラベル3の外面を構成している。オーバーコート層32は、筒状フィルム31の外面にコート液を塗布し、その液を固化させることによって形成できる。なお、後述するように、実際の製造工程では、筒状フィルム31にコート液を塗布するわけではなく、熱収縮性フィルムの外面にコート液を塗布してオーバーコート層32を形成した後、この熱収縮性フィルムを筒状に形成して筒状フィルム31を得ることに留意されたい。
【0016】
前記オーバーコート層32は、バインダー樹脂及びシリコーンオイルを含み且つ実質的に粒状滑剤を含まない。オーバーコート層32は、透明であることが好ましい。なお、「実質的に粒状滑剤を含まない」とは、不可避的に含まれる程度の微量の粒状滑剤の混入は許容され、有意な量の混入は除外されるという意味である。
前記粒状滑剤としては、オレフィンワックス、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、カルナウバワックスなどのワックス類;シリカ、黒鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの無機微粒子などが挙げられる。中でも、オーバーコート層32は、実質的にワックス類を含んでいないことが好ましい。前記粒状滑剤の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、1μm以上、さらには、1μm〜20μmのものが挙げられる。
前記平均粒子径は、体積平均のD50%値をいう。
シリコーンオイルを含むオーバーコート層32を形成することにより、製造工程において、オーバーコート層32の外面(すなわち、熱収縮性筒状ラベル3の外面)に、感熱接着剤が転移することを効果的に防止できる。また、従来のようにワックスを含むオーバーコート層は、そのワックス粒子が外面に露出するので、熱収縮性筒状ラベルの外面の表面粗さが大きくなり、その結果、オーバーコート層の外面に対する手の接触面積が小さくなり、持ち手が滑り易くなる。この点、実質的に粒状滑剤を含まないオーバーコート層32を筒状フィルム31に形成することにより、外面の静摩擦係数が0.25〜0.50且つ表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとされた熱収縮性筒状ラベル3に簡単に得ることができる。
【0017】
前記バインダー樹脂としては、溶剤に溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂が上げられる。これらは、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。中でも、傷付き防止効果に優れ、乾燥後の有機溶剤の残留が少ないことから、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
前記シリコーンオイルは、特に限定されず、一般的なシリコーンオイルの他、各種官能基が導入された変性シリコーンオイルを用いることもできる。前記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、フッ素原子、高級脂肪酸などが挙げられる。特に、変性シリコーンオイルを用いた場合には、分子内の官能基の作用により、バインダー樹脂と良好な配向性及び相溶性が発揮され、バインダー樹脂が膨潤しないため塗膜強度の低下などを引き起こすことがなく、傷付き難いオーバーコート層32を形成できる。
なお、オーバーコート層32は、バインダー樹脂及びシリコーンオイル以外の成分を含んでいてもよく、その成分としては、例えば、沈降防止剤、分散安定剤(界面活性剤など)、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などの各種添加剤が挙げられる。
前記シリコーンオイルの含有量は、特に限定されず、例えば、オーバーコート層32の全体に対して、1質量%〜15質量%であり、好ましくは、1.5質量%〜10質量%である。シリコーンオイルの量が少なすぎると、感熱接着剤が転移することを十分に防止できないおそれがあり、シリコーンオイルの量が多すぎると、オーバーコート層32の外面の静摩擦係数が大きくなりすぎるおそれがある。
また、オーバーコート層32の厚みは、例えば0.5μm〜5μm、好ましくは、1μm〜3μmである。
【0018】
印刷層33は、印刷によって1色又は2色以上の色彩が表された層である。印刷層33は、1層でもよいし、2層以上でもよい。通常、印刷層33は、所望のデザインが表されたデザイン層と、そのデザイン層に重ねて設けられたデザイン背景層と、を有する。ただし、各断面図において、便宜上、印刷層33は、1層で示している。前記デザイン層は、通常、カラーインキを用いて、商品名や絵柄などが表された層であり、デザイン背景層は、黒インキ、銀インキ、白インキなどのインキを用いて、無模様一色に表された層である。前記印刷層33を形成するインキは、溶剤を含む溶剤乾燥型インキでもよいし、溶剤を含まないインキ(例えば、無溶剤UV硬化型インキなど)でもよい。本発明によれば、後述するように、溶剤を含むインキを用いた場合でも、熱収縮性筒状ラベル3の製造工程にてブロッキングを防止できる。
印刷層33の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1μm〜5μm程度であるが、印刷層33が2層以上構造である場合には、5μmを超える場合もある。
【0019】
接着部34は、筒状フィルム31の内面側に設けられている。図示例では、接着部34は、印刷層33の内面に直接的に設けられている。接着部34は、印刷層33の内面全体に設けられていてもよいが、通常、印刷層33の内面(筒状フィルム31の内面側)に部分的に設けられる。例えば、接着部34は、筒状フィルム31の上端から僅かに下方に離れた位置にスポット的に1箇所又は周方向に間隔を開けて2箇所以上設けられる。接着部34は、筒状フィルム31の下端から僅かに上方に離れた位置にスポット的に1箇所又は周方向に間隔を開けて2箇所以上さらに設けてもよい。図示例では、筒状フィルム31の上端から僅かに下方に離れた位置に3箇所の接着部34が周方向に略等間隔に設けられ、且つ、筒状フィルム31の下端から僅かに上方に離れた位置に3箇所の接着部34が周方向に略等間隔に設けられている。
接着部34を設けることにより、熱収縮性筒状ラベル3を容器2に装着すべく加熱した際に、接着部34が軟化して被装着部位に接着する。このため、ラベル付き容器1を熱収縮性筒状ラベル3の上から手で持った際に、熱収縮性筒状ラベル3が容器2に対して位置ずれせず、持ち手からラベル付き容器1が滑り落ち難くなる。
図示例では、接着部34の形状は長方形状に形成されているが、接着部34の形状は、これに限定されず、円形状、三角形状などの任意である。
【0020】
前記接着部34は、感熱接着剤から形成されている。感熱接着剤は、室温では接着性を示さず且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現しうる接着剤である。感熱接着剤としては、ディレードタック型感熱接着剤、エマルジョン型感熱接着剤、溶剤型感熱接着剤、ホットメルト型接着剤などが挙げられる。接着部34を印刷層33に直接的に設ける場合、印刷層33を浸食し難いことから、水系のエマルジョン型感熱接着剤を用いることが好ましい。
また、前記感熱接着剤は、補外融解開始温度が45℃以上のものを用いることが好ましく、さらに、47℃以上のものを用いることが好ましい。夏場のような比較的高温になる時期に熱収縮性筒状ラベルを保管していると、(感熱接着剤を活性化させるために加熱していないにも拘わらず)感熱接着剤が自然に活性化して接着部が軟化してブロッキングを生じるおそれがあるが、前記補外融解開始温度が45℃以上の感熱接着剤を用いて接着部34を形成することにより、接着部34の予期せぬ軟化を抑制できる。前記感熱接着剤の補外融解開始温度の上限は特に限定されないが、例えば、150℃以下である。熱収縮性筒状ラベルを装着する際の加熱による熱を利用して感熱接着剤を容易に活性化できることから、補外融解開始温度70℃以下の感熱接着剤を用いることが好ましい。
前記補外融解開始温度は、JIS K7121(1987)に記載の示差走査熱量測定(DSC)における融解ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点から求められる温度である。
接着部34の厚みは、特に限定されず、通常、1μm〜30μm程度である。
【0021】
(容器)
図8において、容器2は、例えば、底面部21、最大周長部221,222を有する胴部22及び肩部23を下方から順に有する容器本体と、その容器本体に設けられた蓋部24と、を有する。このうち、最大周長部221,222を除いた任意の箇所に熱収縮性筒状ラベル3が装着される。すなわち、容器2のうち、最大周長部221,222を除く部分が、被装着部位に相当し、好ましくは、胴部22のうち、最大周長部221,222を除く部分が、被装着部位に相当する。
前記容器2の胴部22は、好ましくは、上下に離反した2つの独立した最大周長部221,222(上方最大周長部221及び下方最大周長部222)を有し、被装着部位は、胴部22のうち、前記上方最大周長部221と下方最大周長部222の間の部位である。
【0022】
詳しくは、容器2は、底面部21の底面を自立面として自立可能な容器である。
胴部22は、底面部21と肩部23の間に形成された筒状の部分である。胴部22の周長は、軸方向において一様ではなく、胴部22は、上下2つの独立した最大周長部221,222(上方最大周長部221及び下方最大周長部222)と、その2つの最大周長部221,222の間に形成された小周長部223と、を有する。前記最大周長部221,222は、容器2の中でその周長が最も大きい部分をいい、前記小周長部223は、最大周長部221,222との比較において、周長が小さい部分をいう。図8において、上方最大周長部221及び下方最大周長部222の範囲を判りやすく図示するため、便宜上、それらの部分に網掛け模様を付している。
上方最大周長部221と下方最大周長部222は、同じ周長である。下方最大周長部222は、底面部21に連続して形成されている。前記連続は、底面部21から下方最大周長部222が一連の外形線を成していることをいう。また、上方最大周長部221は、肩部23に連続して形成されている。この連続も同様に、上方最大周長部221と肩部23が一連の外形線を成している。
小周長部223は、境界部分A1,A2を介して下方最大周長部222及び上方最大周長部221に連続して形成されている。小周長部223と下方最大周長部222及び上方最大周長部221との境界部分A1,A2は、急激な径差を生じる段差を為しているが、全体的に見ると、小周長部223と下方最大周長部222との境界部分A2は、下方に向かうに従って次第に周長が大きくなり、且つ、小周長部223と上方最大周長部221との境界部分A1は上方に向かいに従って次第に周長が大きくなっている。小周長部223は、胴部22において最も周長が小さい最小周長部223となっている。
【0023】
図示例の上方最大周長部221、小周長部223及び下方最大周長部222は、何れも軸方向に延びる直胴状である。つまり、軸方向に同形同大の周長部分をそれぞれ連続して延設することにより、上方最大周長部221、小周長部223及び下方最大周長部222が形成されている。前記直胴状の小周長部223などは、容器の軸方向において殆ど径差を有さない。
上方最大周長部221(又は下方最大周長部222)の周長と小周長部223の周長との比率は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、小周長部223の周長/上方最大周長部221(又は下方最大周長部222)の周長は、0.65〜0.99であり、好ましくは、0.8〜0.98である。このような比率の最大周長部221,222と小周長部223を有する容器2は、それらの境界部分A1,A2に比較的大きな段差を生じるので、かかる容器2を用いたラベル付き容器1は、前記段差に指が掛かりやすなって滑り落とし難くなる。
【0024】
前記肩部23は、胴部22に連続して形成されており、上方に向かうに従って周長が小さくなっている。肩部23は、周長が変わらない部分(直胴状部分)を有していてもよいし、或いは、部分的に周長が大きくなっている部分を有していてもよい。
肩部23の上端には、容器2内に充填される内容物を出し入れするための開口部(図示せず)が形成されている。蓋部24は、この開口部を塞ぐように肩部23の上方部に取り付けられている。蓋部24の肩部23に対する取付け方法は、特に限定されず、ネジ螺合、凹凸嵌合、接着などが挙げられる。蓋部24としては、代表的には、ネジ螺合によって肩部23に着脱可能な栓式のものが挙げられるが、ヒンジを介して開閉できるワンタッチ開閉式のものなどでもよい。
図示例では、肩部23及び蓋部24の各周長は、上方最大周長部221及び下方最大周長部222のそれぞれの周長よりも小さく、従って、上方最大周長部221及び下方最大周長部222の各外面が、容器2の径外方向において最も外側に位置している。
【0025】
前記胴部22、肩部23及び蓋部24の各水平断面外形は、特に限定されず、それぞれ独立して、略円形状、四角形状や六角形状などの多角形状などが挙げられる。図示例の容器2は、胴部22、肩部23及び蓋部24の各水平断面外形が何れも略円形状である。特に、被装着部位である小周長部223、並びに、上方最大周長部221及び下方最大周長部222が、何れも略円形状である。被装着部位が略円形状の容器を有するラベル付き容器は、それを熱収縮性筒状ラベルの上から持ったときに指先から被装着部位に十分な力が加わらず、一般的には持ち難いものであるが、本発明においては、外面が所定の静摩擦係数及び表面粗さの熱収縮性筒状ラベル3を装着しているので、滑り落ち難いラベル付き容器1を構成できる。また、上方最大周長部221及び下方最大周長部222が略円形状であるので、ラベル付き容器1を搬送中に、その周方向全体に亘って、隣接するラベル付き容器1の上方最大周長部221同士及び下方最大周長部222同士が接触するので、熱収縮性筒状ラベル3の外面が傷付くことを防止できる。
なお、略円形状とは、真円形状のみならず、楕円形状などを含む意味である。その楕円形状は、好ましくは、長軸長さ/短軸長さが1を超え1.5以下のものを少なくとも含む。
【0026】
容器2の容積は、特に限定されないが、例えば、750ミリリットル以上であり、好ましくは、1000ミリリットル以上であり、より好ましくは、1000ミリリットル〜2000ミリリットルである。このような比較的大容量の容器2は、内容物を充填した際に比較的重くなるため、一般的には持ち手から滑り落ち易い容器であるが、本発明においては、外面が所定の静摩擦係数及び表面粗さの熱収縮性筒状ラベル3を装着しているので、滑り落ち難いラベル付き容器1を構成できる。
また、最大周長部221,222の周長は、例えば、20cm〜45cmであり、好ましくは、23cm〜40cmである。小周長部223の周長は、前記最大周長部221,222の周長よりも小さく、例えば、18cm〜40cmであり、好ましくは、21cm〜35cmである。
前記容器2の材質は、特に限定されず、代表的にはポリエチレンテレフタレート製容器などの比較的薄肉の可撓性を有する合成樹脂製容器を例示できるが、ガラス製、金属製などであってもよい。
また、容器2に充填される内容物は、特に限定されず、飲料、調味料、化粧品、洗浄剤、シャンプーなどの液状物などが挙げられる。図示例では、炭酸飲料を充填するための容器2を例示しており、そのため、底面部21がペタロイド形状に形成されている。
【0027】
(ラベル付き容器及びその製造方法)
上記ラベル付き容器1は、従来と同様な方法にて製造できる。
簡単に説明すると、長尺状の熱収縮性フィルム原反の一方面に、インキを用いて印刷層33を形成する。2層以上からなる印刷層33を形成する場合には、インキを重ね塗りしていく。インキを固化させて印刷層33を形成した後、その印刷層33の所要部分に、感熱接着剤を塗布して接着部34を形成する。
他方、熱収縮性フィルム原反の反対面に、コート液を塗布してオーバーコート層32を形成する。
コート液は、バインダー樹脂、シリコーンオイル及び必要に応じて各種添加剤を、溶剤に溶解させて粘度調整した液が用いられる。ただし、上述のように、オーバーコート層32を形成するコート液は、実質的に粒状滑剤を含まない。コート液を熱収縮性フィルム原反の一方面にベタ状に塗布し(ただし、センターシール部を良好に形成するため、一方の側端部(重ね合わせ面)には、コート液を塗布しないことが好ましい)、乾燥して固化させることにより、原反の一方面にオーバーコート層32を形成する。
なお、オーバーコート層32の形成と印刷層33及び接着部34の形成とは、いずれを先に行ってもよく、或いは、同時並行的に行ってもよい。
このようにしてオーバーコート層32、印刷層33及び接着部34を形成した熱収縮性フィルム原反は、一旦、ロール芯に巻き取られる。
【0028】
次に、このロール状の熱収縮性フィルム原反を繰り出し、原反の一方の側端部の重ね合わせ面に溶剤又は接着剤を塗布し、これを他方の側端部に重ね合わせて接着することにより、長尺状の筒状体を形成する。この長尺状の筒状体を扁平状に折り畳んだ後、その扁平状の筒状体は、一旦、ロール芯に巻き取られる。そして、これから長尺状の筒状体を繰り出し、所要長さに切断することにより、図5に示すような扁平状の1つの熱収縮性筒状ラベル3が得られ、これを拡げて容器2の被装着部位である小周長部223に外嵌する。最後に、この熱収縮性筒状ラベル3を所要温度に加熱することにより、熱収縮性筒状ラベル3が周方向に収縮して被装着部位に密着することにより、図1に示すようなラベル付き容器1が得られる。
なお、被装着部位に装着した際の熱収縮性筒状ラベル3の熱収縮率(容器2装着後の熱収縮性筒状ラベル3の周方向/容器2装着前の熱収縮性筒状ラベル3の周方向長さ)が、概ね0.8〜0.98となるように、熱収縮性筒状ラベル3の周方向長さが設定される。かかる熱収縮率にあっては、容器装着前後において大きな径差を生じないので、容器装着前後における熱収縮性筒状ラベル3の外面の静摩擦係数及び表面粗さ(Ra)も殆ど変わらない。そのため、通常、静摩擦係数が0.25〜0.50で且つその表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmの外面を有する熱収縮性筒状ラベル3を作製し、それを容器2の被装着部位に装着しても、本発明のラベル付き容器1を得ることができる。
【0029】
上記製造工程において、オーバーコート層32、印刷層33及び接着部34が形成された熱収縮性フィルム原反をロール芯に巻き取った際には、接着部34がオーバーコート層32に密着するようになる。巻き取られた原反には、巻き圧が加わるので、接着部34がオーバーコート層32に押圧される。接着部を構成する感熱接着剤が軟化していると、前記巻き圧により、巻かれた状態で内側に位置する原反と外側に位置する原反がブロッキングを生じる場合があり、熱収縮性フィルム原反を繰り出し難くなる。かかるブロッキングが生じた状態の原反をロール芯から繰り出した際には、感熱接着剤の一部がオーバーコート層の外面に転移することがある。前記感熱接着剤が転移した熱収縮性フィルム原反から熱収縮性筒状ラベルを作製した場合、この熱収縮性筒状ラベルをラベル装着装置にて容器に装着する際、前記外面に転移した感熱接着剤がラベル装着装置のローラーなどに次第に堆積して装着不良を生じるおそれがある。この点、上記補外融解開始温度が45℃以上の感熱接着剤を用いることにより、製造時の室温下での感熱接着剤の軟化を抑制できる。
また、本発明においては、外面にシリコーンオイルを含むオーバーコート層32が設けられているので、感熱接着剤が軟化した場合であっても、原反を繰り出した際に、感熱接着剤の一部がオーバーコート層32の外面に転移することを防止できる。特に、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む筒状フィルム31を用いた場合であっても、感熱接着剤の一部がオーバーコート層32の外面に転移することを効果的に防止できる。具体的には、ポリスチレン系樹脂フィルムを用いた熱収縮性筒状ラベルは、溶剤が残留し易いという性質を有する。従って、ポリスチレン系樹脂フィルムを含む筒状フィルムに、溶剤を含む液(例えば、印刷層33を形成するための溶剤乾燥型インキ)を接触させると、熱収縮性筒状ラベルに比較的多くの溶剤が残留する。そして、接着部を形成した後に、その比較的多量に残量した溶剤により感熱接着剤が軟化し、原反を繰り出した際に、その軟化した感熱接着剤の一部がオーバーコート層に転移するおそれがある。この点、上記熱収縮性筒状ラベル3は、接着部34を補外融解開始温度が45℃以上の感熱接着剤にて形成し、且つオーバーコート層32にシリコーンが含まれているので、筒状フィルム31がポリスチレン系樹脂フィルムを含むものであっても、オーバーコート層32の外面に感熱接着剤が転移することを効果的に防止できる。
【0030】
上記のようにして得られたラベル付き容器1は、容器2の胴部22の上方最大周長部221と下方最大周長部222との間の小周長部223に熱収縮性筒状ラベル3が装着されている。熱収縮性筒状ラベル3は容器2の最大周長部221,222には装着されていないので、熱収縮性筒状ラベル3の外面は、図1及び図2に示すように、前記容器2の周方向において最大周長部221,222の外面よりも内側に位置する。
このため、2つ以上のラベル付き容器1を並べても、隣接するラベル付き容器1の熱収縮性筒状ラベル3同士が接触しなくなる(図9参照)。一般に、内容物が充填されたラベル付き容器1は、その複数個を、段ボール箱のような梱包箱に並べて収納し、保管・搬送されるが、本発明のラベル付き容器1は、そのように並べて搬送する際にも熱収縮性筒状ラベル3が傷付くことはない。
ラベル付き容器1は、通常、胴部22の軸方向中央部(小周長部223)を、熱収縮性筒状ラベル3の上から手で持って使用される。本発明のラベル付き容器1は、熱収縮性筒状ラベル3の外面の静摩擦係数が0.25〜0.50で且つ表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmとされているので、前記のように熱収縮性筒状ラベル3の上からラベル付き容器1を持った際に、持ち手が熱収縮性筒状ラベル3に対して滑り難くなる。このように、本発明によれば、使用時に持ち手から滑り落ち難いラベル付き容器1を提供できる。
【0031】
本発明のラベル付き容器は、上記第1実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、その説明に於いて、主として上記第1実施形態と異なる構成及び効果について説明し、上記第1実施形態と同様の構成などについては、(その説明をしたものとして)用語又は符号をそのまま援用し、その構成の説明を省略する場合がある。
【0032】
[第2実施形態]
上記実施形態のラベル付き容器1は、胴部22の上下にそれぞれ最大周長部221,222を有する容器2が用いられているが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、1つの最大周長部224を有する容器2を用いてもよく、また、特に図示しないが、3つ以上の最大周長部を有する容器2を用いてもよい。これらの容器2が用いられる場合でも、熱収縮性筒状ラベル3は、その最大周長部224を除いて装着される。なお、図10に示す例では、最大周長部224は胴部22の下方に形成されているが、胴部22の上方又は軸方向中央部に形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、最大周長部221,222が軸方向に延びる直胴状である容器2を用いているが、例えば、最大周長部が(軸方向に殆ど長さを有さない)円形状である容器を用いてもよい(図示せず)。つまり、最大周長部221,222が、径外方向に突出する膨出部の頂点から構成されている容器2を用いてもよい。この場合、最大周長部221,222の軸方向長さは、限りなく零に近くなるが、理論上、零ではない(零を超える)。
【0033】
[第3実施形態]
上記実施形態では、筒状フィルム31の外面にオーバーコート層32が設けられた熱収縮性筒状ラベル3を用いているが、外面の静摩擦係数が0.25〜0.50で且つその表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmである筒状フィルムを用いる場合には、その外面にオーバーコート層を設けなくてもよい。この場合、筒状フィルムの外面が熱収縮性筒状ラベル3の面を構成する。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を示して、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
厚み50μm、長さ約4000mの長尺状の熱収縮性フィルム原反(スチレン−共役ジエン共重合体を主成分とする一軸延伸ポリスチレン系樹脂フィルム)を、グラビア印刷機を備える製造ラインに送り、その原反の一方面の略全体(ただし、センターシール部となる重ね合わせ面を除く)に、溶剤乾燥型のアクリル系カラーインキをグラビア印刷することにより、厚み約1μmのデザイン層を形成し、さらに、そのデザイン層に重ねて、溶剤乾燥型のアクリル系白インキをグラビア印刷することにより、厚み約3μmのデザイン背景層を積層した。続けて、そのデザイン背景層に、水系アクリルエマルジョン型感熱接着剤(東洋インキ(株)製、商品名「DW−4070」。JIS K7121に準拠した測定による補外融解開始温度:約50℃)を塗布し、これを乾燥して、1つの熱収縮性筒状ラベル当たり計6箇所の接着部を形成した。前記接着部は、図4乃至図7に示すように1つの熱収縮性筒状ラベル当たり、上下に3箇所ずつ周方向に略均等に配置されるように設定し、各接着部は、その厚みが7μm、軸方向長さ×周方向長さ=5mm×15mmの長方形状に形成した。
【0036】
さらに、前記接着部を形成した熱収縮性フィルム原反を前記製造ラインに送り、その原反の反対面の略全体(ただし、センターシール部となる重ね合わせ面を除く)に、コート液を塗布し、乾燥することにより、厚み約1μmのオーバーコート層を形成した。
実施例1で使用した前記コート液は、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤にアクリル系樹脂が溶解された樹脂溶液(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナールGR5491。固形分濃度35.7質量%)を54質量部と、アミノ基変性シリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、商品名「KF−859」)を0.5質量部と、を混合し、さらに、これに酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤を加えることにより、最終的に固形分:溶剤(質量比)=20:80に調製したコート液である。
前記印刷層、接着部及びオーバーコート層が形成された熱収縮性フィルム原反を、ロール芯に巻き取り、常温常圧下で、180分間静置した。
【0037】
静置後、ロール状の熱収縮性フィルム原反を繰り出し、一方の側端部の重ね合わせ面に溶剤を塗布して他方の側端部に重ね合わせて接着することにより、周方向長さ300mmの長尺状の筒状体を形成し、この筒状体をロール芯に巻き取った。
この筒状体をラベル装着装置に装填し、ロール状の筒状体を繰り出し、所定位置で切断することにより軸方向長さ118mmの熱収縮性筒状ラベルを得、このラベルを、炭酸水を略満杯に充填した耐圧PETボトル((株)吉野工業所製。容積1500ミリリットル)の小周長部に外嵌し、加熱することにより、ラベル付き容器を連続的に製造した。
前記耐圧PETボトルは、ポリエチレンテレフタレート製で、図8に示すように上方最大周長部及び下方最大周長部の間に小周長部を有する円筒状の容器であり、上方最大周長部及び下方最大周長部の周長は、それぞれ約289mm、小周長部の周長は、約279mmで、小周長部の軸方向長さは、約120mmであった。
【0038】
[実施例2]
実施例1のコート液に代えて、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤にアクリル系樹脂が溶解された樹脂溶液(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナールGR5491。固形分濃度35.7質量%)に酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤を加えることにより、最終的に固形分:溶剤(質量比)=20:80に調製したコート液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベルを作製し、それを容器に装着してラベル付き容器を連続的に製造した。
【0039】
[実施例3]
熱収縮性フィルム原反の他方面にオーバーコート層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベルを作製し、それを容器に装着してラベル付き容器を連続的に製造した。
【0040】
[比較例1]
アミノ基変性シリコーンオイルの添加量を4質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベルを作製し、それを容器に装着してラベル付き容器を連続的に製造した。
【0041】
[比較例2]
実施例1のコート液に代えて、酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤にアクリル系樹脂が溶解された樹脂溶液(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナールGR5491。固形分濃度35.7質量%)を54質量部と、アミノ基変性シリコーンオイル(信越シリコーン(株)製、商品名「KF−859」)を0.5質量部と、ワックス(LUBRIZOL社製、商品名「LANCO PP 1394LF」)を2.5質量部と、混合し、さらに、これに酢酸エチル及びイソプロピルアルコールの混合溶剤を加えることにより、最終的に固形分:溶剤(質量比)=20:80に調製したコート液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、熱収縮性筒状ラベルを作製し、それを容器に装着してラベル付き容器を連続的に製造した。
【0042】
[感熱接着剤の転移]
実施例1において、180分静置後のロール状に巻かれた熱収縮性フィルム原反を全て繰り出し、その原反の100mの範囲(ロール芯に巻き始め箇所を零とし、そこから100mまでの範囲)におけるオーバーコート層の外面を目視によって観察し、感熱接着剤の転移の有無を確認した。実施例2、3及び比較例1、2も同様にして、オーバーコート層に感熱接着剤が転移しているかどうかを確認した。ただし、実施例3は、オーバーコート層を設けなかったので、熱収縮性フィルム原反の外面(他方面)を観察した。その結果を表1に示す。
なお、表1において、「無」は、感熱接着剤がオーバーコート層(又は熱収縮性フィルム原反)の外面に転移していなかったこと、「有」は、感熱接着剤がオーバーコート層(又は熱収縮性フィルム原反)の外面に転移していたことを示す。
【0043】
[静摩擦係数及び表面粗さの測定]
実施例1で製造したラベル付き容器の中から任意に1つのラベル付き容器を取り出し、そのラベル付き容器に装着されている熱収縮性筒状ラベルの任意の箇所を縦×横=80mm×100mmに切り出してサンプル片を複数得た。JIS K7125に準拠して、2つのサンプル片のオーバーコート層の外面同士を重ね合わせた際の静摩擦係数を測定した。また、1つのサンプル片の外面の表面粗さ(Ra)を、JIS B0601(1994)に準拠して測定した。前記表面粗さは、10箇所測定し、その算術平均を求めた。実施例2、3及び比較例1、2も同様にして、静摩擦係数及び表面粗さ(Ra)を測定した。ただし、実施例3は、オーバーコート層を設けなかったので、熱収縮性フィルム原反の外面(他方面)の静摩擦係数及び表面粗さ(Ra)を測定した。その結果を表1に示す。
【0044】
[持ち易さ試験]
20歳〜40歳台の男女5人ずつ計10人に、実施例1で製造したラベル付き容器の中の任意の1つのラベル付き容器を、熱収縮性筒状ラベルの上から片手で持ち上げ、充填された炭酸水をコップに注ぐ動作をしてもらい、そのときの持ち易さの感触を評価してもらった。実施例2、3及び比較例1、2も同様である。その結果を表1に示す。
なお、表1において、「○」は、ラベル付き容器が持ち手から滑り難く、持ち易いと評価した人が6人以上であったこと、「×」は、ラベル付き容器が持ち手から滑り難く、持ち易いと評価した人が5人以下であったことを示す。
【0045】
【表1】
【0046】
熱収縮性筒状ラベルの外面の静摩擦係数が0.25以上で且つ表面粗さ(Ra)が0.01μm〜0.2μmの条件を満たしている実施例1乃至3のラベル付き容器は、持ち手から滑り落ち難く、持ち易いことが判る。
また、シリコーンオイルを含むオーバーコート層が形成された実施例1のラベル付き容器は、その製造工程でブロッキングを生じ難いことが判る。
【符号の説明】
【0047】
1 ラベル付き容器
2 容器
221,222 最大周長部
223 小周長部(被装着部位)
3 熱収縮性筒状ラベル
31 筒状フィルム
32 オーバーコート層
33 印刷層
34 接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10