(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回収配管の上流端から前記回収バルブまでの前記回収配管の長さは、前記回収バルブから前記回収配管の下流端までの前記回収配管の長さよりも短い、請求項1に記載の基板処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウエハなどの基板の処理では、BHF(Buffered Hydrogen Fluoride:HFとNH
4FとH
2Oとを含む混合液)やTMAH(Tetramethylammonium Hydroxide:水酸化テトラメチルアンモニウム)などの濃度が変化し易い薬液が用いられることがある。
薬液がBHFである場合、BHF中のNH
4Fは、HFとNH
3とに解離する。そのため、BHF中のNH
4Fの濃度は時間の経過に伴って低下し、BHF中のHFの濃度は時間の経過に伴って上昇する。BHFが密閉空間に配置されている場合、BHF中のアンモニア(NH
3)の揮発が抑制されるので、前記の解離反応が比較的進みにくい。その一方で、BHFが開放空間(気体の出入りが可能な空間)に配置されている場合、BHF中のアンモニアの揮発が促進されるので、前記の解離反応が促進され易い。つまり、BHFが開放空間に配置されている場合、BHFの濃度が比較的変化し易い。
【0006】
特許文献1の基板処理装置では、基板に供給された薬液がカップから回収配管に供給される。薬液ノズルからの薬液の吐出が停止されると、回収配管への薬液の供給も停止される。薬液ノズルからの薬液の吐出が再び実行されると、基板に供給された薬液が、回収配管内に残留している薬液と共に、薬液タンクに回収される。
特許文献1の薬液がたとえばBHFである場合、薬液の吐出が停止されている時間が長いと、回収配管内に残留しているBHF中のHFの濃度が解離反応により上昇してしまう。HFの濃度が高くなると、HFを主成分とする結晶が液中に析出することもある。このようなBHFが薬液タンクに回収されると、薬液タンク内のBHFの濃度が変化してしまう。薬液タンク内のBHFの量が回収配管内に残留しているBHFの量よりも十分に大きいので、濃度の変化は小さいものの、このような濃度の変化は基板の処理にとって好ましいものではない。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、基板から回収された薬液の濃度の変化量を抑えることができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板を保持しながら回転させる基板保持手段と、前記基板保持手段に保持されている基板に向けて薬液を吐出する薬液ノズルと、前記基板保持手段に保持されている基板から飛散した処理液を受け止める筒状の処理液捕獲手段と、前記薬液ノズルに供給される薬液を貯留する薬液タンク内の薬液を循環させる循環経路を形成する循環配管と、前記薬液タンクから前記循環配管に供給された薬液を前記薬液ノズルに導く供給配管と、前記薬液ノズルに向かって前記供給配管内を流れる薬液を通過させる開状態と、前記供給配管から前記薬液ノズルへの薬液の供給を停止する閉状態と、に切替可能な供給バルブと、前記処理液捕獲手段から前記薬液タンクに薬液に導く回収配管と、前記薬液タンクに向かって前記回収配管内を流れる薬液を通過させる開状態と、前記回収配管から前記薬液タンクへの薬液の供給を停止する閉状態と、に切替可能な回収バルブと、前記回収バルブよりも下流の位置で前記回収配管に接続された下流端を含み、前記循環配管内の薬液を前記回収配管に導く分岐配管と、前記回収配管に向かって前記分岐配管内を流れる薬液を通過させる開状態と、前記分岐配管から前記回収配管への薬液の供給を停止する閉状態と、に切替可能
であり、前記回収バルブが、前記回収配管から前記薬液タンクへの薬液の供給を停止する前記閉状態のときに、前記回収配管に向かって前記分岐配管内を流れる薬液を通過させる前記開状態に設定される分岐バルブとを含む、基板処理装置である。
【0009】
この構成によれば、供給バルブが開かれると、薬液タンクから循環配管に送られた薬液が、供給配管を通って薬液ノズルに供給され、基板保持手段に保持されている基板に向けて薬液ノズルから吐出される。基板に供給された薬液は、基板の回転によって基板から飛散した後、処理液捕獲手段に受け止められる。処理液捕獲手段に受け止められた薬液は、回収配管を通って薬液タンクに戻る。そのため、供給バルブが開いている期間は、薬液が薬液タンクに向かって回収配管内を流れる。
【0010】
供給バルブが閉じられると、薬液ノズルへの薬液の供給が停止されるので、処理液捕獲手段から回収配管への薬液の供給も停止される。分岐配管の上流端は、循環配管に接続されている。したがって、供給バルブが閉じられていても、薬液タンクから循環配管に送られた薬液が、分岐配管を通って回収配管に供給される。そのため、供給バルブが閉じられている期間も、薬液が薬液タンクに向かって回収配管内を流れる。
【0011】
このように、本発明では、供給バルブが開いているか否かに拘わらず、薬液が薬液タンクに向かって回収配管内を流れる。そのため、供給バルブが閉じられている期間が長い場合であっても、同じ薬液が回収配管に長時間滞在することを防止できる。したがって、濃度が変化し易い薬液を用いる場合であっても、回収配管内に残留している薬液の濃度が大幅に変化したり、薬液中に結晶が析出したりすることを抑制または防止できる。これにより、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液タンクに回収されることを抑制または防止でき、基板の処理品質をさらに安定させることができる。
【0012】
さらに、この構成によれば、回収バルブが閉じられると、回収配管の上流部分(回収配管の上流端から回収バルブまでの回収配管の一部)から回収配管の下流部分(回収バルブから回収配管の下流端までの回収配管の一部)への空気の流れが遮断される。これにより、回収配管の下流部分に残留している薬液が、回収配管の上流部分を漂う空気から遮断される。このように、回収バルブを閉じることによって回収配管の下流部分の密閉度を高めることができるので、回収配管の下流部分に残留している薬液の濃度の変化を抑えることができる。
さらに、この構成によれば、分岐バルブが開かれると、薬液タンクから循環配管に送られた薬液が、分岐バルブを通って分岐配管から回収配管に供給される。その一方で、分岐バルブが閉じられると、循環配管から分岐配管に流入した薬液が、分岐バルブで堰き止められる。分岐配管から回収配管に供給される薬液にはポンプ等の供給圧が加わるので、分岐配管から回収配管に薬液が流れている状態では、処理液捕獲手段から回収配管への薬液の回収が妨げられる可能性がある。したがって、分岐配管内を流れる薬液を分岐バルブで一時的に堰き止めることにより、処理液捕獲手段から回収配管に薬液を確実に回収できる。
【0013】
請求項
2に記載の発明は、前記回収配管の上流端から前記回収バルブまでの前記回収配管の長さは、前記回収バルブから前記回収配管の下流端までの前記回収配管の長さよりも短い、請求項
1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、回収配管の上流部分が回収配管の下流部分よりも短い。回収バルブが閉じられると、回収配管の下流部分に残留している薬液が、回収配管の上流部分を漂う空気から遮断される。その一方で、回収配管の上流部分は、処理液捕獲手段から回収配管に流入した空気に晒される。したがって、空気に晒される部分(回収配管の上流部分)を短くすることにより、薬液の濃度変化が発生し易い領域を小さくすることができる。
【0014】
請求項
3に記載の発明は、前記処理液捕獲手段および回収バルブは、前記基板処理装置の外壁の中に配置されており、前記薬液タンクは、前記基板処理装置の外壁の外に配置されている、請求項
2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、処理液捕獲手段および回収バルブの両方が、基板処理装置の外壁の中に配置されているので、回収バルブが基板処理装置の外壁の外に配置されている場合と比較して、処理液捕獲手段および回収バルブの間隔を狭めることができる。したがって、回収配管の上流端から回収バルブまでの距離を短くすることができ、空気に晒される部分(回収配管の上流部分)を短くすることができる。その一方で、薬液タンクが基板処理装置の外壁の外に配置されているので、薬液タンクおよび回収バルブの両方が基板処理装置の外壁の中に配置されている場合よりも、薬液タンクおよび回収バルブの間隔を広くすることができる。したがって、回収配管の下流端から回収バルブまでの距離を長くすることができ、密閉される部分(回収配管の下流部分)を長くすることができる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、前記処理液捕獲手段に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、前記回収配管内を前記回収バルブに向かって下流に流れる液体を前記回収配管の外に導く排液配管とをさらに含む、請求項
1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。洗浄液は、水を主成分とする液体である。洗浄液は、純水(脱イオン水:Deionized water)であってもよいし、薬液濃度が低い水溶液(たとえば、10〜100ppm程度の水溶液)であってもよい。前記洗浄液供給手段は、前記基板保持手段に保持されている基板に向けて洗浄液を吐出するノズルと、前記基板保持手段に向けて洗浄液を吐出するノズルと、前記処理液捕獲手段の内面に向けて洗浄液を吐出するノズルとの少なくとも一つを含む。
【0016】
この構成によれば、洗浄液供給手段によって処理液捕獲手段に供給された洗浄液が、処理液捕獲手段から回収配管に流入する。回収バルブが閉じられているとき、回収配管内を回収バルブに向かって下流に流れる洗浄液は、回収バルブに堰き止められる。そのため、この洗浄液は、回収配管から排液配管に排出される。回収配管の上流部分に残留している薬液は、洗浄液と共に排液配管に排出される。これにより、回収配管の上流部分が洗浄される。したがって、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液タンクに回収されることを抑制または防止できる。
【0018】
請求項
5に記載の発明は、前記供給配管における前記供給バルブよりも下流の領域に洗浄液を導く洗浄液配管をさらに含む、請求項1〜
4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。洗浄液は、水を主成分とする液体である。
この構成によれば、供給バルブが閉じられているときに、洗浄液配管内の洗浄液が、供給配管の下流部分(供給バルブから供給配管の下流端までの供給配管の一部)に供給される。供給配管の下流部分に残留している薬液は、洗浄液によって薬液ノズルに押し流され、洗浄液と共に薬液ノズルから吐出される。これにより、供給配管の下流部分と薬液ノズルとが洗浄される。そのため、基板の処理を行う際に、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液ノズルから吐出されることを抑制または防止できる。
【0019】
請求項
6に記載の発明は、前記供給配管における前記供給バルブよりも下流の領域に吸引力を伝達する吸引配管をさらに含む、請求項1〜
5のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、供給配管の下流部分に残留している液体が、吸引配管に吸引され、供給配管の下流部分から除去される。また、吸引力が、供給配管を介して吸引配管から薬液ノズルに伝達されるので、薬液ノズルに残留している液体も、吸引配管に吸引され、薬液ノズルから除去される。これにより、供給配管の下流部分と薬液ノズルとに残留している液体が、薬液ノズルの吐出口から落下し、基板や基板保持手段等に付着することを抑制または防止できる。また、基板の処理を行う際に、供給配管の下流部分に残留している液体が薬液ノズルから吐出されることを抑制または防止できる。
【0020】
請求項
7に記載の発明は、複数の前記基板保持手段と、前記複数の前記基板保持手段にそれぞれ対応する複数の前記薬液ノズルと、前記複数の前記基板保持手段にそれぞれ対応する複数の前記処理液捕獲手段と、前記複数の前記薬液ノズルにそれぞれ対応しており、前記循環配管内の薬液を対応する前記薬液ノズルに導く複数の前記供給配管と、前記複数の前記供給配管にそれぞれ設けられた複数の前記供給バルブと、前記複数の前記処理液捕獲手段にそれぞれ対応しており、対応する前記処理液捕獲手段から前記薬液タンクに薬液を導く複数の前記回収配管と、前記複数の前記回収配管にそれぞれ対応しており、前記循環配管内の薬液を対応する前記回収配管に導く複数の前記分岐配管とを含む、請求項1〜
6のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0021】
この構成によれば、同じ薬液タンク内の薬液が、循環配管および複数の供給配管を介して、複数の薬液ノズルに供給される。複数の基板保持手段に保持されている複数枚の基板に供給された薬液は、複数の処理液捕獲手段および複数の回収配管を介して、同じ薬液タンクに回収される。循環配管内の薬液は、複数の分岐配管を介して、複数の回収配管に供給される。したがって、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が、複数の回収配管から薬液タンクに回収されることを抑制または防止できる。
【0022】
請求項
8に記載の発明は、前記循環配管内の圧力を計る圧力計と、前記循環配管内の圧力を変更する圧力調整バルブと、前記圧力計の検出値に基づいて前記圧力調整バルブの開度を変更する制御装置とをさらに含む、請求項
7に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、複数の供給配管が同じ循環配管に接続されており、複数の供給バルブがそれぞれ複数の供給配管に設けられている。循環配管内の液圧は、複数の供給バルブの状態、つまり、開いているバルブの数やどのバルブが開いているか等に応じて変化する。また、分岐配管に分岐バルブが設けられている場合、分岐バルブの状態も循環配管内の液圧に影響を与える。循環配管内の液圧が変化すると、薬液ノズルから吐出される薬液の吐出流量が変化してしまう。
【0023】
制御装置は、圧力計の検出値に基づいて循環配管内の圧力(実際の圧力)が設定圧よりも低いか否かを判定する。循環配管内の圧力が設定圧よりも低い場合、制御装置は、圧力調整バルブに循環配管内の圧力を増加させる。具体的には、圧力調整バルブが流量調整バルブの場合、制御装置は、圧力調整バルブの開度を減少させて、圧力調整バルブを通過しようとする薬液に加わる抵抗を増加させる。そのため、圧力調整バルブの上流で循環配管内の圧力が上昇する。これにより、循環配管内の圧力と設定圧との差が減少し、吐出流量の変化が抑制または防止される。
【0024】
請求項
9に記載の発明は、薬液が、BHF(HFとNH
4FとH
2Oとを含む混合液)である、請求項1〜
8のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1を上から見た模式図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
基板処理装置1は、基板Wを収容する複数のキャリアCを保持する複数のロードポートLPと、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを薬液等の処理液で処理する複数(たとえば12台)の処理ユニット2と、複数のロードポートLPから複数の処理ユニット2に基板Wを搬送する搬送ロボットと、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。搬送ロボットは、ロードポートLPと処理ユニット2との間の経路上で基板Wを搬送するインデクサロボットIRと、インデクサロボットIRと処理ユニット2との間の経路上で基板Wを搬送するセンターロボットCRとを含む。
【0027】
基板処理装置1は、後述する供給バルブ37等を収容する複数(4台)のバルブボックス6を含む。処理ユニット2およびバルブボックス6は、基板処理装置1の外壁4の中に配置されており、基板処理装置1の外壁4で覆われている。後述する薬液タンク31等を収容する複数(4台)の貯留ボックス5は、基板処理装置1の外壁4の外に配置されている。貯留ボックス5は、基板処理装置1の側方に配置されていてもよいし、基板処理装置1が設置されるクリーンルームの下(地下)に配置されていてもよい。
【0028】
12台の処理ユニット2は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された4つの塔を形成している。各塔は、上下に積層された3台の処理ユニット2を含む。4台の貯留ボックス5は、それぞれ、4つの塔に対応している。同様に、4台のバルブボックス6は、それぞれ、4つの塔に対応している。貯留ボックス5内の薬液タンク31に貯留されている薬液は、この貯留ボックス5に対応するバルブボックス6を介して、この貯留ボックス5に対応する3台の処理ユニット2に供給される。また、同一の塔を構成する3台の処理ユニット2で基板Wに供給された薬液は、この塔に対応するバルブボックス6を介して、この塔に対応する貯留ボックス5内の薬液タンク31に回収される。
【0029】
図2は、処理ユニット2の内部を水平に見た模式図である。
処理ユニット2は、箱型のチャンバー7と、チャンバー7内で基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック8と、スピンチャック8に保持されている基板Wに向けて処理液を吐出する複数の処理液ノズルと、基板Wから排出された処理液を受け止める筒状のカップ19と含む。
【0030】
スピンチャック8は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース9と、スピンベース9の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン10と、スピンベース9の中央部から下方に延びるスピン軸11と、スピン軸11を回転させることにより基板Wおよびスピンベース9を回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ12とを含む。スピンチャック8は、複数のチャックピン10を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース9の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0031】
処理ユニット2は、スピンチャック8に保持されている基板Wの上面に向けて薬液を下方に吐出する薬液ノズル13と、処理位置(
図2で実線で示す位置)と退避位置(
図2で二点鎖線で示す位置)との間で薬液ノズル13を移動させるノズル移動ユニット14と、薬液ノズル13の退避位置の下方に配置された有底筒状の待機ポット15とを含む。薬液ノズル13および待機ポット15は、チャンバー7内に配置されている。処理位置は、薬液ノズル13から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する位置であり、退避位置は、薬液ノズル13および基板Wが平面視で重ならないように薬液ノズル13が退避した位置である。薬液は、たとえば、BHFである。
【0032】
処理ユニット2は、スピンチャック8に保持されている基板Wの上面に向けてリンス液を下方に吐出するリンス液ノズル16を含む。リンス液ノズル16は、チャンバー7内に配置されている。処理ユニット2は、処理位置と退避位置との間でリンス液ノズル16を移動させるノズル移動ユニットを備えていてもよい。リンス液ノズル16は、リンス液バルブ18が介装されたリンス液配管17に接続されている。リンス液バルブ18が開かれると、リンス液が、リンス液配管17からリンス液ノズル16に供給され、リンス液ノズル16から吐出される。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionized water)である。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0033】
カップ19は、チャンバー7内に配置されている。カップ19は、回転軸線A1に向かって斜め上に延びる筒状の傾斜部20と、傾斜部20の下端部(外端部)から下方に延びる円筒状の案内部21と、上向きに開いた環状の溝を形成する液受部22とを含む。傾斜部20は、基板Wおよびスピンベース9よりも大きい内径を有する円環状の上端を含む。傾斜部20の上端は、カップ19の上端に相当する。カップ19の上端は、平面視で基板Wおよびスピンベース9を取り囲んでいる。処理液が基板Wに供給されるとき、カップ19の上端は、基板Wよりも上方に配置される。基板Wから外方に飛散した処理液は、傾斜部20によって受け止められた後、案内部21によって液受部22内に集められる。
【0034】
制御装置3は、コンピュータである。基板Wが処理されるときには、制御装置3がスピンチャック8に基板Wを回転させる。その後、制御装置3は、薬液の一例であるBHFを回転している基板Wの上面に向けて薬液ノズル13に吐出させる。これにより、BHFが基板Wの上面全域に供給される(薬液供給工程)。基板Wの回転によって基板Wから外方に飛散したBHFは、液受部22に集められる。
【0035】
制御装置3は、薬液ノズル13からのBHFの吐出を停止させた後、リンス液の一例である純水を回転している基板Wに向けてリンス液ノズル16に吐出させる。これにより、純水が基板Wの上面全域に供給され、基板Wに付着しているBHFが洗い流される(リンス液供給工程)。基板Wの回転によって基板Wから外方に飛散した純水は、液受部22に集められる。
【0036】
制御装置3は、リンス液ノズル16からの純水の吐出を停止させた後、スピンチャック8に基板Wを高回転速度で回転させる。これにより、基板Wに付着している純水が遠心力によって基板Wの周囲に振り切られる。そのため、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する(乾燥工程)。このようにして、各処理ユニット2で基板Wが処理される。
図3は、薬液供給システムを示す模式図である。
【0037】
基板処理装置1は、薬液ノズル13に供給される薬液を貯留する薬液タンク31と、薬液タンク31内の薬液を循環させる循環経路P1を形成する循環配管35と、薬液タンク31内の薬液を循環配管35に送る送液装置33と、薬液タンク31から薬液ノズル13に供給される薬液の温度を調節する温度調節器32と、薬液タンク31から薬液ノズル13に供給される薬液中の異物を除去するフィルター34とを含む。薬液タンク31、送液装置33、温度調節器32、およびフィルター34は、貯留ボックス5内に配置されている。
【0038】
循環配管35の上流端35aおよび下流端35bは、薬液タンク31内と接続されている。循環配管35は、薬液タンク31内の薬液を3つの供給配管36に導く供給部と、3つの供給配管36が接続された接続部と、接続部を通過した薬液を薬液タンク31に導く帰還部とを含む。温度調節器32は、循環配管35の供給部に介装されている。温度調節器32は、薬液タンク31内に配置されていてもよい。温度調節器32は、室温(たとえば、20℃〜30℃)よりも高い温度から室温よりも低い温度まで範囲内の温度で薬液を加熱または冷却する。送液装置33によって薬液タンク31から循環配管35に送られた薬液は、温度調節器32によって加熱または冷却された後、薬液タンク31に戻る。送液装置33は、薬液タンク31内の薬液を吸い込んで吸い込んだ薬液を吐出するポンプである。送液装置33は、薬液タンク31内の気圧を上昇させることにより薬液タンク31内の薬液を循環配管35に送る加圧装置であってもよい。
【0039】
基板処理装置1は、循環配管35内の薬液を薬液ノズル13に導く供給配管36と、供給配管36の内部を開閉する供給バルブ37と、洗浄液を供給配管36に供給する洗浄液配管38と、洗浄液配管38の内部を開閉する洗浄液バルブ39と、吸引力を発生する吸引装置42と、吸引装置42の吸引力を供給配管36の内部に伝達する吸引配管40と、吸引配管40の内部を開閉する吸引バルブ41とを含む。供給バルブ37、洗浄液バルブ39、および吸引バルブ41は、バルブボックス6内に配置されている。
【0040】
供給配管36の上流端36aは、循環配管35に接続されている。供給配管36の下流端36bは、薬液ノズル13に接続されている。他の2つの供給配管36の上流端36aも、循環配管35に接続されている。他の2つの供給配管36にはそれぞれ供給バルブ37が設けられている。3つの供給配管36は、同一の塔を構成する3台の処理ユニット2にそれぞれ対応している。温度調節器32は、いずれの供給配管36の上流端36aよりも上流の位置で循環配管35に接続されている。
【0041】
洗浄液配管38の上流端は、洗浄液供給源に接続されている。洗浄液は、水を主成分とする液体(たとえば、純水)である。洗浄液配管38の下流端は、供給バルブ37よりも下流の位置で供給配管36に接続されている。吸引配管40の上流端は、吸引装置42に接続されている。吸引配管40の下流端は、供給配管36および洗浄液配管38の接続位置よりも下流の位置で供給配管36に接続されている。
【0042】
基板処理装置1は、カップ19内の薬液を薬液タンク31に導く回収配管43と、回収配管43の内部を開閉する回収バルブ44と、カップ19から回収配管43に流入した液体を回収配管43から排出する排液配管45と、排液配管45の内部を開閉する排液バルブ46と、循環配管35内の薬液を回収配管43に導く分岐配管47と、分岐配管47の内部を開閉する分岐バルブ48とを含む。回収バルブ44、排液バルブ46、および分岐バルブ48は、バルブボックス6内に配置されている。
【0043】
回収配管43の上流端43aは、カップ19に接続されている。回収配管43の下流端43bは、薬液タンク31内と接続されている。他の2つの回収配管43の上流端43aは、別の2つのカップ19に接続されており、他の2つの回収配管43の下流端43bは、同一の薬液タンク31内と接続されている。3つの回収配管43は、同一の塔を構成する3台の処理ユニット2にそれぞれ対応している。排液配管45の上流端45aは、回収バルブ44よりも上流の位置で回収配管43に接続されている。排液配管45の下流端は、図示しない排液装置に接続されている。
【0044】
分岐配管47の上流端47aは、いずれの供給配管36よりも下流の位置で循環配管35に接続されている。分岐配管47の下流端47bは、回収バルブ44よりも下流の位置で回収配管43に接続されている。他の2つの分岐配管47の上流端47aは、いずれの供給配管36よりも下流の位置で循環配管35に接続されている。他の2つの分岐配管47の下流端47bは、回収バルブ44よりも下流の位置で他の2つの回収配管43に接続されている。
【0045】
基板処理装置1は、循環配管35内の圧力を測定する圧力計49と、循環配管35内の圧力を調整する圧力調整バルブ50とを含む。圧力計49および圧力調整バルブ50は、バルブボックス6内に配置されている。
圧力計49は、いずれの供給配管36の上流端36aよりも上流の位置で循環配管35に接続されている。圧力計49は、この位置で循環配管35内の圧力を測定する。圧力調整バルブ50は、いずれの分岐配管47の上流端47aよりも下流の位置で循環配管35に接続されている。圧力調整バルブ50は、たとえば、その内部を通過する液体の流量を変更する流量調整バルブである。圧力計49および圧力調整バルブ50は、制御装置3に接続されている。圧力調整バルブ50の開度は、制御装置3によって変更される。
【0046】
前述のように、複数の供給配管36が同じ循環配管35に接続されており、複数の供給バルブ37がそれぞれ複数の供給配管36に設けられている。循環配管35内の液圧は、複数の供給バルブ37の状態、つまり、開いているバルブの数やどのバルブが開いているか等に応じて変化する。また、分岐配管47に分岐バルブ48が設けられているので、分岐バルブ48の状態も循環配管35内の液圧に影響を与える。循環配管35内の液圧が変化すると、薬液ノズル13から吐出される薬液の吐出流量が変化してしまう。
【0047】
制御装置3は、循環配管35内の圧力(実際の圧力)と設定圧との差が減少するように、圧力計49の検出値に基づいて圧力調整バルブ50の開度を増加または減少させる。具体的には、制御装置3は、圧力計49の検出値に基づいて循環配管35内の圧力が設定圧よりも低いか否かを判定する。循環配管35内の圧力が設定圧よりも低い場合、制御装置3は、圧力調整バルブ50の開度を減少させて、圧力調整バルブ50を通過しようとする薬液に加わる抵抗を増加させる。そのため、圧力調整バルブ50の上流で循環配管35内の圧力が上昇する。これにより、循環配管35内の圧力と設定圧との差が減少し、吐出流量の変化が抑制または防止される。
【0048】
図4は、薬液ノズル13からの薬液の吐出が停止されている吐出待機中から薬液ノズル13が薬液を吐出している吐出実行中に移行するときのタイムチャートである。
図5は、吐出待機中における薬液供給システムを示す模式図である。
図6は、吐出実行中における薬液供給システムを示す模式図である。
図5および
図6では、開いているバルブを黒色で示しており、閉じているバルブを白色で示している。
図5および
図6における太線は、配管内に薬液が存在していることを示している。また、
図4では、同時期に実行される動作が、同時刻に実行されるように描いてある。たとえば、時刻T1において、排液バルブ46の開状態から閉状態への切替と、分岐バルブ48の開状態から閉状態への切替とが実行されるように描いてある。しかしながら、この2つの切替は、厳密に同じ時刻に実行されなくてもよい。他の動作についても同様である。
【0049】
以下では、
図3および
図4を参照する。
図5および
図6については適宜参照する。
薬液ノズル13からの薬液の吐出が停止されている吐出待機中から薬液ノズル13が薬液を吐出している吐出実行中に移行するときは、薬液ノズル13が処理位置に位置している状態で、供給バルブ37が開かれる(
図4の時刻T1)。これにより、
図6に示すように、循環配管35内の薬液が、供給配管36および供給バルブ37を通って薬液ノズル13に供給される。そのため、薬液の一例であるBHFが、回転している基板Wの上面に向けて薬液ノズル13から吐出される(前述の薬液供給工程)。また、時刻T1〜時刻T2の期間は、分岐バルブ48が閉じられているので、循環配管35から分岐配管47に流入した薬液は、分岐バルブ48で堰き止められる。したがって、吐出実行中は、分岐配管47から回収配管43への薬液の供給が停止されている。
【0050】
薬液ノズル13から吐出された薬液は、回転している基板Wの上面に着液した後、基板Wから外方に振り切られる。基板Wから排出された薬液は、カップ19によって受け止められた後、回収配管43に排出される。時刻T1〜時刻T2の期間は、排液バルブ46が閉じられているので、
図6に示すように、回収配管43から排液配管45に流入した薬液は、排液バルブ46で堰き止められる。その一方で、この期間は、回収バルブ44が開かれているので、
図6に示すように、回収配管43内の薬液は、回収配管43および回収バルブ44を通って薬液タンク31に回収される。そのため、吐出実行中は、回収配管43の上流端43aから回収配管43の下流端43bまでの領域が薬液で満たされる。
【0051】
薬液の吐出が開始されてから所定時間が経過すると、供給バルブ37が閉じられる(
図4の時刻T2)。そのため、
図5に示すように、循環配管35から供給配管36に流入した薬液が供給バルブ37で堰き止められる。また、供給バルブ37が閉じられると、回収バルブ44が閉じられ、排液バルブ46および分岐バルブ48が開かれる。したがって、循環配管35から分岐配管47に流入した薬液は、分岐バルブ48を通って回収配管43に流入する。回収配管43に流入した薬液は、分岐配管47および回収配管43の接続位置から下流に流れ、薬液タンク31に戻る。また、回収バルブ44が閉じられているので、
図5に示すように、排液配管45の方に回収配管43内を逆流する薬液は、回収バルブ44で堰き止められる。そのため、吐出待機中は、回収配管43の下流部分(回収バルブ44から回収配管43の下流端43bまでの回収配管43の一部)が薬液で満たされる。
【0052】
薬液の吐出が停止された後は、リンス液バルブ18が開かれる(
図4の時刻T6)。これにより、リンス液の一例である純水が、回転している基板Wの上面に向けてリンス液ノズル16から吐出される(前述のリンス液供給工程)。基板Wに供給された純水は、カップ19によって受け止められた後、回収配管43に排出される。このとき、回収バルブ44が閉じられているので、回収配管43に流入した純水は、回収バルブ44に堰き止められる。その一方で、排液バルブ46が開かれているので、回収配管43から排液配管45に流入した純水は、排液バルブ46を通って排液配管45から排出される。これにより、回収配管43の上流部分(回収配管43の上流端43aから回収バルブ44までの回収配管43の一部)に残留している薬液が純水で洗い流される。
【0053】
また、供給バルブ37が閉じられると、それに応じて、吸引バルブ41が開かれる(
図4の時刻T2)。これにより、吸引装置42の吸引力が吸引配管40を介して供給配管36に伝達される。そのため、供給バルブ37から薬液ノズル13までの領域に残留している薬液が、吸引配管40を介して吸引装置42に吸引される。供給配管36および薬液ノズル13に残留している薬液の排出が開始されてから所定時間が経過すると、ノズル移動ユニット14が薬液ノズル13を処理位置から退避位置に移動させる(
図4の時刻T3)。これにより、薬液ノズル13が待機ポット15の上方に配置される。
【0054】
薬液ノズル13が待機ポット15の上方に配置されると、洗浄液バルブ39が開かれる(
図4の時刻T3)。これにより、洗浄液の一例である純水が、洗浄液配管38および供給配管36を通って薬液ノズル13に供給され、待機ポット15の開口部に向けて薬液ノズル13から吐出される。そのため、供給バルブ37から薬液ノズル13までの領域に残留している薬液が、純水で洗い流される。薬液ノズル13から吐出された液体(純水および薬液の少なくとも一方を含む液体)は、待機ポット15によって受け止められる。また、時刻T3〜時刻T4の期間は、吸引バルブ41が開かれているので、供給配管36内の純水が、吸引配管40を介して吸引装置42に吸引される。これにより、吸引配管40内に残留している薬液が純水で洗い流される。
【0055】
洗浄液の供給が開始されてから所定時間が経過すると、洗浄液バルブ39が閉じられる(
図4の時刻T4)。その後、吸引バルブ41が閉じられる(
図4の時刻T5)。洗浄液バルブ39が閉じられることにより、薬液ノズル13、供給配管36、および吸引配管40への純水の供給が停止される。また、洗浄液バルブ39が閉じられた後に、吸引バルブ41が閉じられるので、供給バルブ37から薬液ノズル13までの領域に残留している純水が、吸引配管40を介して吸引装置42に吸引される。同様に、洗浄液バルブ39から洗浄液配管38の下流端までの領域に残留している洗浄液が、吸引配管40を介して吸引装置42に吸引される。これにより、これらの領域に残留している純水が排出される。
【0056】
以上のように本実施形態では、供給バルブ37が開かれると、薬液タンク31から循環配管35に送られた薬液が、供給配管36を通って薬液ノズル13に供給され、スピンチャック8に保持されている基板Wに向けて薬液ノズル13から吐出される。基板Wに供給された薬液は、基板Wの回転によって基板Wから飛散した後、カップ19に受け止められる。カップ19に受け止められた薬液は、回収配管43を通って薬液タンク31に戻る。そのため、供給バルブ37が開いている期間は、薬液が薬液タンク31に向かって回収配管43内を流れる。
【0057】
供給バルブ37が閉じられると、薬液ノズル13への薬液の供給が停止されるので、カップ19から回収配管43への薬液の供給も停止される。分岐配管47の上流端47aは、循環配管35に接続されている。したがって、供給バルブ37が閉じられていても、薬液タンク31から循環配管35に送られた薬液が、分岐配管47を通って回収配管43に供給される。そのため、供給バルブ37が閉じられている期間も、薬液が薬液タンク31に向かって回収配管43内を流れる。
【0058】
このように、本実施形態では、供給バルブ37が開いているか否かに拘わらず、薬液が薬液タンク31に向かって回収配管43内を流れる。そのため、供給バルブ37が閉じられている期間が長い場合であっても、同じ薬液が回収配管43に長時間滞在することを防止できる。したがって、濃度が変化し易い薬液を用いる場合であっても、回収配管43内に残留している薬液の濃度が大幅に変化したり、薬液中に結晶が析出したりすることを抑制または防止できる。これにより、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液タンク31に回収されることを抑制または防止でき、基板Wの処理品質をさらに安定させることができる。
【0059】
また本実施形態では、回収バルブ44が閉じられると、回収配管43の上流部分(回収配管43の上流端43aから回収バルブ44までの回収配管43の一部)から回収配管43の下流部分(回収バルブ44から回収配管43の下流端43bまでの回収配管43の一部)への空気の流れが遮断される。これにより、回収配管43の下流部分に残留している薬液が、回収配管43の上流部分を漂う空気から遮断される。このように、回収バルブ44を閉じることによって回収配管43の下流部分の密閉度を高めることができるので、回収配管43の下流部分に残留している薬液の濃度の変化を抑えることができる。
【0060】
また本実施形態では、回収配管43の上流部分が回収配管43の下流部分よりも短い。回収バルブ44が閉じられると、回収配管43の下流部分に残留している薬液が、回収配管43の上流部分を漂う空気から遮断される。その一方で、回収配管43の上流部分は、カップ19から回収配管43に流入した空気に晒される。したがって、空気に晒される部分(回収配管43の上流部分)を短くすることにより、薬液の濃度変化が発生し易い領域を小さくすることができる。
【0061】
また本実施形態では、カップ19および回収バルブ44の両方が、基板処理装置1の外壁4の中に配置されているので、回収バルブ44が基板処理装置1の外壁4の外に配置されている場合と比較して、カップ19および回収バルブ44の間隔を狭めることができる。したがって、回収配管43の上流端43aから回収バルブ44までの距離を短くすることができ、空気に晒される部分(回収配管43の上流部分)を短くすることができる。その一方で、薬液タンク31が基板処理装置1の外壁4の外に配置されているので、薬液タンク31および回収バルブ44の両方が基板処理装置1の外壁4の中に配置されている場合よりも、薬液タンク31および回収バルブ44の間隔を広くすることができる。したがって、回収配管43の下流端43bから回収バルブ44までの距離を長くすることができ、密閉される部分(回収配管43の下流部分)を長くすることができる。
【0062】
また本実施形態では、洗浄液の一例である純水が、基板Wを介してリンス液ノズル16からカップ19に供給される。リンス液ノズル16によってカップ19に供給された純水は、カップ19から回収配管43に流入する。回収バルブ44が閉じられており、排液バルブ46が開いているとき、回収配管43内を回収バルブ44に向かって下流に流れる純水は、回収バルブ44に堰き止められる。そのため、この純水は、回収配管43から排液配管45に排出される。回収配管43の上流部分に残留している薬液は、純水と共に排液配管45に排出される。これにより、回収配管43の上流部分が洗浄される。したがって、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液タンク31に回収されることを抑制または防止できる。
【0063】
また本実施形態では、分岐バルブ48が開かれると、薬液タンク31から循環配管35に送られた薬液が、分岐バルブ48を通って分岐配管47から回収配管43に供給される。その一方で、分岐バルブ48が閉じられると、循環配管35から分岐配管47に流入した薬液が、分岐バルブ48で堰き止められる。分岐配管47から回収配管43に供給される薬液には送液装置33の供給圧が加わるので、分岐配管47から回収配管43に薬液が流れている状態では、カップ19から回収配管43への薬液の回収が妨げられる可能性がある。したがって、分岐配管47内を流れる薬液を分岐バルブ48で一時的に堰き止めることにより、カップ19から回収配管43に薬液を確実に回収できる。
【0064】
また本実施形態では、供給バルブ37が閉じられているときに、洗浄液の一例である純水が、洗浄液配管38から供給配管36の下流部分(供給バルブ37から供給配管36の下流端36bまでの供給配管36の一部)に供給される。供給配管36の下流部分に残留している薬液は、純水によって薬液ノズル13に押し流され、純水と共に薬液ノズル13から吐出される。これにより、供給配管36の下流部分と薬液ノズル13とが洗浄される。そのため、基板Wの処理を行う際に、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が薬液ノズル13から吐出されることを抑制または防止できる。
【0065】
また本実施形態では、供給配管36の下流部分に残留している液体が、吸引配管40に吸引され、供給配管36の下流部分から除去される。また、吸引力が、供給配管36を介して吸引配管40から薬液ノズル13に伝達されるので、薬液ノズル13に残留している液体も、吸引配管40に吸引され、薬液ノズル13から除去される。これにより、供給配管36の下流部分と薬液ノズル13とに残留している液体が、薬液ノズル13の吐出口から落下し、基板Wやスピンチャック8等に付着することを抑制または防止できる。
【0066】
また本実施形態では、同じ薬液タンク31内の薬液が、循環配管35および複数の供給配管36を介して、複数の薬液ノズル13に供給される。複数のスピンチャック8に保持されている複数枚の基板Wに供給された薬液は、複数のカップ19および複数の回収配管43を介して、同じ薬液タンク31に回収される。循環配管35内の薬液は、複数の分岐配管47を介して、複数の回収配管43に供給される。したがって、濃度が大幅に変化した薬液や析出物を含む薬液が、複数の回収配管43から薬液タンク31に回収されることを抑制または防止できる。
【0067】
また本実施形態では、温度調節された薬液が常に回収配管43内を流れるので、回収配管43の温度が、基板Wから回収された薬液とほぼ同じ温度に維持される。そのため、回収配管43内での薬液の温度の変化量を低減できる。これにより、薬液タンク31内の薬液と薬液タンク31に回収される薬液との温度差を低減できる。したがって、薬液タンク31内の薬液の温度の変化量を低減できる。また薬液によっては、温度が低下することにより析出物が発生する場合がある。しかし、本実施形態では回収配管43の温度低下が抑制されるため、薬液からの析出物の発生を防止できる。
【0068】
本発明の実施形態の説明は以上であるが、本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の実施形態では、回収配管43の上流部分が、回収配管43の下流部分よりも短い場合について説明したが、回収配管43の上流部分の長さは、回収配管43の下流部分の長さと等しくてもよいし長くてもよい。
【0069】
前述の実施形態では、回収バルブ44等を収容するバルブボックス6が、基板処理装置1の外壁4の中に配置されており、薬液タンク31等を収容する貯留ボックス5が、基板処理装置1の外壁4の外に配置されている場合について説明した。しかし、バルブボックス6は、基板処理装置1の外壁4の外に配置されていてもよい。貯留ボックス5は、基板処理装置1の外壁4の中に配置されていてもよい。
【0070】
前述の実施形態では、スピンチャック8に保持されている基板Wに向けてリンス液ノズル16から吐出されたリンス液で回収配管43の上流部分を洗浄する場合について説明したが、チャンバー7の内部を洗浄するときに用いられた純水で回収配管43の上流部分を洗浄してもよい。この場合、回転しているスピンベース9の上面に向けて洗浄液ノズルから吐出された純水が、カップ19を介して回収配管43の上流部分に供給されてもよいし、カップ19の内面に向けて洗浄液ノズルから吐出された純水が、回収配管43の上流部分に供給されてもよい。
【0071】
前述の実施形態では、排液配管45が回収配管43に接続されている場合について説明したが、複数の液受部22がカップ19に設けられており、基板Wから飛散した処理液を処理液の種類に応じて別々の液受部22に集める場合には、排液配管45が回収配管43に接続されていなくてもよい。
前述の実施形態では、洗浄液配管38が供給配管36に接続されている場合について説明したが、洗浄液配管38が省略されてもよい。また、分岐バルブ48が分岐配管47に介装されている場合について説明したが、分岐バルブ48が省略されてもよい。つまり、循環配管35内の薬液が、常時、分岐配管47を介して回収配管43に供給されてもよい。
【0072】
前述の実施形態では、一つの薬液タンク31内の薬液が、複数の処理ユニット2に供給される場合について説明したが、一つの薬液タンク31内の薬液は、一台の処理ユニット2だけに供給されてもよい。この場合、圧力計49および圧力調整バルブ50は無くてもよい。
前述の実施形態では、供給バルブ37が供給配管36に介装され、洗浄液バルブ39が洗浄液配管38に介装されている場合について説明したが、供給バルブ37および洗浄液バルブ39の代わりに、三方弁を供給配管36および洗浄液配管38の接続位置に配置してもよい。同様に、互いに接続された2つの配管に介装された2つのバルブの代わりに、三方弁を当該2つの配管の接続位置に配置してもよい。たとえば、回収バルブ44および排液バルブ46の代わりに、三方弁を回収配管43および排液配管45の接続位置に配置してもよい。
【0073】
前述の実施形態では、3つの回収配管43の下流端43bが、同一の薬液タンク31に接続されている場合について説明したが、1つの回収配管43の下流端43bが薬液タンク31に接続され、残り2つの回収配管43の下流端43bが、前記1つの回収配管43に接続されてもよい。つまり、3つの回収配管43は、それぞれ独立して同一の薬液タンク31に接続されていてもよいし、薬液タンク31よりも上流の位置で集合していてもよい。
【0074】
前述の実施形態では、
図4に示すように、時刻T2〜時刻T5まで吸引バルブ41が開いている場合について説明したが、薬液ノズル13が退避位置に到達する前に吸引バルブ41を一時的に閉じて、時刻T4において洗浄液バルブ39を閉じる前に、吸引バルブ41を再び開いてもよい。
前述の実施形態では、BHFが薬液ノズル13に供給される場合について説明したが、TMAHなどの他の薬液が薬液ノズル13に供給されてもよい。
【0075】
基板処理装置1が、円板状の基板を処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1は、多角形の基板を処理する装置であってもよい。
前述の全ての実施形態のうちの二つ以上が組み合わされてもよい。