特許第6359927号(P6359927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359927
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】標識柱の設置構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/60 20160101AFI20180709BHJP
【FI】
   E01F9/60
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-195513(P2014-195513)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-65407(P2016-65407A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井戸 健一
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3128024(JP,U)
【文献】 特開2014−092022(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3119847(JP,U)
【文献】 特開2005−273214(JP,A)
【文献】 特開平10−266143(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0295375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識柱の下面から下方へ突出する雄ねじ部を設置面へ埋設固定させたアンカーナットへ螺結させて設置させる標識柱の設置構造であって、
設置面と前記標識柱との間に該標識柱と別体に形成した台座を配置させ、
前記台座の下面を設置面へ当接させると共に、前記台座の上面を前記標識柱の下面へ当接させ、且つ、前記アンカーナットの上端を前記設置面から上方へ突出させ前記標識柱の下面へ当接させて螺結させており、
前記標識柱の下面には下方へ突出する凸部が形成されると共に、該凸部の下面から前記雄ねじ部が下方へ突出して設けられ、
前記雄ねじ部が前記アンカーナットへ螺結されて該アンカーナットの上端が前記標識柱の下面へ当接したときに、前記凸部が前記アンカーナットの内側に収納されると共に、該凸部の下面が前記台座の下面より下方に位置していることを特徴とする標識柱の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路やコンクリート等の基盤に埋設固定させたアンカーナットへ雄ねじ部を螺結させて設置させる道路用標示体や車止めなどの標識柱の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路等に立設させる道路用標示体や車止め等の標識柱は、種々の方法で設置されて利用されており、よく用いられる設置方法の一つとして、ベースに取り付けたボルトを基盤へ埋設固定させたアンカーナットへ螺結させて固定させる設置方法がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、円筒形状に形成された本体部と、前記本体部の下端を支持固定する第一のベース部とを備えた道路用標示体について、前記第一のベース部の下端面から突出させたアンカーボルトを路面に埋設固定したアンカーナットに着脱自在に螺合させて固定可能とする構成や、前記第一のベース部よりも平面視の大きさが大きな形状の第二のベース部を前記第一のベース部と別体に形成させて、この第二のベース部の通孔に挿通させた前記アンカーボルトを路面に埋設固定したアンカーナットに着脱自在に螺合させて固定可能とする構成が本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−116727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるようなアンカーナットを用いる標示柱の設置構造は、標示柱を強固に設置させると共に、アンカーナットから雄ねじ部を螺脱させることで容易に取り外すことができるが、設置場所によっては、設置面下の浅い位置に配管や遮水シートなどが埋設されている等の理由によって、アンカーナットを設置面下に埋没させて固定できない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、アンカーナットを設置面下の浅い位置で埋設固定させて標識柱を設置させる標識柱の設置構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
即ち、本発明に係る標識柱の設置構造は、標識柱の下面から下方へ突出する雄ねじ部を設置面へ埋設固定させたアンカーナットへ螺結させて設置させる標識柱の設置構造であって、設置面と前記標識柱との間に該標識柱と別体に形成した台座を配置させ、前記台座の下面を設置面へ当接させると共に、前記台座の上面を前記標識柱の下面へ当接させ、且つ、前記アンカーナットの上端を前記設置面から上方へ突出させ前記標識柱の下面へ当接させて螺結させており、前記標識柱の下面には下方へ突出する凸部が形成されると共に、該凸部の下面から前記雄ねじ部が下方へ突出して設けられ、前記雄ねじ部が前記アンカーナットへ螺結されて該アンカーナットの上端が前記標識柱の下面へ当接したときに、前記凸部が前記アンカーナットの内側に収納されると共に、該凸部の下面が前記台座の下面より下方に位置していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る標識柱の設置構造は、上端を設置面から上方へ突出させて埋設固定させたアンカーナットへ、標識柱の下面から下方へ突出する雄ねじ部を螺結させて設置させるので、アンカーナットの上端まで設置面へ埋没固定させる場合と比較して、アンカーナットを埋設させる深さをより浅くすることができる。
また、設置面と前記標識柱との間にこの標識柱と別体に形成した台座を配置し、前記台座の下面を設置面へ当接させると共に、前記台座の上面を前記標識柱の下面へ当接させるので、設置させた標識柱に車両が接触するなどして外力を受けても、標識柱の下面を前記台座が支え、標識柱の設置が安定的に維持される。
また、前記アンカーナットの上端を前記標識柱の下面に当接させて前記雄ねじ部に螺結させるので、アンカーナットの上端と標識柱の下面との間に前記台座が配置される場合と比較して、前記台座の変形や熱収縮などの要因によるアンカーナットと雄ねじ部との螺結の緩みが生じないので、標識柱の設置が安定的に維持される。
【0009】
また、前記標識柱の下面に下方へ突出する凸部を形成させると共に、この凸部の下面から前記雄ねじ部を下方へ突出して設けて、前記雄ねじ部を前記アンカーナットへ螺結させてこのアンカーナットの上端が前記標識柱の下面へ当接したときに、前記凸部を前記アンカーナットの内側に収納させると共に、この凸部の下面を前記台座の下面より下方に位置させるので、前記標識柱の雄ねじ部とアンカーナットとの螺結部分が前記台座の下面より下方に配置され、車両が接触する等して前記台座が衝撃を受けたときに、この衝撃が前記雄ねじ部とアンカーナットとの螺結部分に伝わり難くなされ、前記雄ねじ部とアンカーナットとの締結が緩みにくくなされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る標識柱の設置構造によれば、アンカーナットを設置面下の浅い位置に埋設固定させて標識柱を設置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る標識柱の設置構造の実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の標識柱のベース付近の縦断面を示すA−A断面図である。
図3図2の標識柱と台座を設置面から取り外した状況を示す図である。
図4図1の台座を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において、1は標識柱である。
標識柱1は、柱部11と、キャップ部12と、ベース13とを含んだ構成であり、具体的には、略円柱形状に形成させたベース13の上に、円筒形状に形成させた柱部11を上方へ突設させている。キャップ部12は柱部11の上端に取り付けて、円筒形状の柱部11の開口を閉塞させている。
柱部11は、車両が接触するなどして力が加えられたときに弾性的に曲がり、その後もとの状態に戻る可撓性を備えている。
また、柱体11には、照射された光を照射方向へ反射させる光の再帰反射性を有する反射シートLをその外周面に貼り付けており、標識柱1の視認性を向上させている。
【0013】
前記標識柱1は、設置面である基盤5の上面5aに埋設孔Hを穿設し、その内側にアンカーナット3を挿入して固定している。具体的には、前記アンカーナット3は、下部を埋設孔Hへ挿入し、後述する上部の突出部31を前記基盤上面5aから上方へ突出させて固定している。前記アンカーナット3は、埋設孔Hとの間の空隙に、モルタルや、セメント、コンクリート、接着剤などの固定材Fを充填して固化させ、埋設孔Hに固定させている。
前記基盤5は、標識柱1を設置可能な強度を備えるアスファルトやコンクリートなどを選択又は組み合わせて形成可能であり、図1ではアスファルトで形成させた道路を基盤5としている。
また、前記基盤上面5aに穿った前記埋設孔Hの開口は、前記標識柱1のベース13の下面より小さな大きさに形成させている。
【0014】
図2図1の標識柱1のベース13付近の縦断面を示すA−A断面図であり、図3図2の標識柱1と台座4を設置面から取り外した状況を示す図である。
標識柱1は、ベース13の下面から下方へ雄ねじ16aを突出するアンカーボルト部16を備えている。
具体的には、ベース13の下面中央には、下方へ突出する円柱形状の凸部14を形成させており、前記雄ねじ16aはこの凸部14の下面中央から下方へ突出させて設けている。
標識柱1は、この雄ねじ16aを前記アンカーナット3へ螺結させて基盤上面5aに立設させている。
【0015】
前記アンカーナット3は、上方へ開口する有底筒状の略円筒形状に形成させており、その外周側面には、周囲の固定材Fから脱抜しにくくなるように内側に窪む段部32を設けている。
尚、内側に雌ねじを備えた有底筒状のアンカーナット3は、標識柱1等を路面に設置させる目的で従来より用いられているものである。
【0016】
アンカーナット3の内側の中空部分には、前記標識柱1の凸部14を収納可能な凹部34を開口付近である上方に形成させ、その下方に雄ねじ16aと螺結可能な雌ねじ36を形成させている。
埋設固定させたアンカーナット3は、凹部34に前記凸部14を収納させ、雌ねじ36に雄ねじ部16aを螺結させて、標識柱1を立設させるように形成している。
また、図3に示すように、前記アンカーナット3は、その上端31aを含む上部の突出部31を基盤5の上面5aから上方に突出させて前記埋設孔Hへ埋設固定させており、図2に示すように、標識柱1は、ベース13の下面をアンカーナット3の上端31aへ当接させて、前記雄ねじ部16aをアンカーナット3の雌ねじ36へ螺結させている。
【0017】
前記ベース13とこれを設置させる基盤上面5aとの間には、台座4を配置させて設置させている。
図4図1の台座4を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
本実施形態の台座4は円形板状に形成させており、台座4の外径は、前記標識柱1のベース13の下面の外径と同じ大きさに形成させている。
【0018】
また、前記台座4の中央には円形の貫通孔41を形成させており、この貫通孔41は前記アンカーナット3の上端31aを挿通可能な大きさに形成させている。
図4の台座4は、合成樹脂や、合成ゴム、木材、金属や、その他の材料を、選択、又は組み合わせて形成することができ、前記台座4は、合成ゴムで形成させている。
【0019】
図2に示すように、前記台座4は、アンカーナット3の突出部31を貫通孔41へ挿通させ、下面を基盤5の上面5aへ当接させて、設置させている。前記標識柱1は、雄ねじ部16aを前記アンカーナット3へ螺結させ、ベース13の下面を、前記アンカーナット3の上端31a及び台座4の上面へ当接させて、設置させている。
【0020】
前記台座4の上面をベース13の下面へ当接させると共に、下面を設置面である基盤上面5aへ当接させるので、設置させた標識柱1へ車両が接触するなどして外力を受けた場合でも、標識柱1の下面を台座4が支えて、アンカーボルト部16とアンカーナット3との螺結部分へ力が集中しにくくなされ、雄ねじ部16aとアンカーナット3との螺結が緩み螺脱して外れる、などの問題が生じにくくなされる。
【0021】
また、上端31aを含む突出部31を基盤上面5aから上方へ突出させて、前記アンカーナット3を基盤5へ埋設固定させるので、アンカーナット3を埋設固定するための埋設孔Hの深さをより浅く設けることができる。このため、基盤上面5aの下に配管や遮水部材などが埋設され、埋設孔Hを深く形成できないような場合でも、埋設孔Hをより浅く設けてアンカーナット3を埋設固定させることができる。
【0022】
また、基盤上面5aから上方へ突出させたアンカーナット3の上端31aを、標識柱1のベース13の下面へ当接させて、前記雄ねじ部16aとアンカーナット3の雌ねじ36とを螺結させるので、アンカーナット3の上端とベース13の下面とをそれぞれ前記台座4に当接させて螺結させた場合と比較して、前記台座4の変形や熱収縮などを要因とするアンカーナット3と雄ねじ部16aとの螺結の緩みが生じないので、標識柱1の設置が安定的に維持される。
【0023】
また、図2に示す標識柱1の設置構造において、基盤上面5aの上方へ突出するアンカーナット3の突出部31の内側には、標識柱1の雄ねじ部16aとアンカーナット3との螺結部分ではなく、凹部34に収納された標識柱1の凸部14が配置されるように設けている。
このように設けることで、設置させた標識柱1の下方の台座4へ車両などが接触し、台座4からアンカーナット3の突出部31へ衝撃が伝わった場合でも、この衝撃が標識柱1の凸部14へ伝達されて、前記雄ねじ部16aとアンカーナット3の雌ねじ36との螺結部分へ直接的には伝わらないようになされるので、前記雄ねじ部16aとアンカーナット3との螺結が緩みにくくなされる。
【0024】
尚、本発明に係る標識柱の設置構造1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0025】
例えば、図1〜4に示す台座4は、標識柱1のベース13の下面と同じ大きさに形成しているが、これに限るものではなく、異なる大きさに形成してもよい。この場合には、台座4は、ベース13の下面より小さく形成するのではなく、ベース13の下面より大きく形成するのが好ましい。
また、図1〜4に示す台座4は円形板状に形成しているが、これに限るものではなく、円錐台形状に形成してもよく、その他の形状に形成してもよい。
【0026】
また、図1〜2に示す標識柱1の設置構造は、標識柱1のベース13の下面に下方へ突出する凸部14を形成し、この凸部14をアンカーナット3の凹部34へ収納させて、雄ねじ部16aをアンカーナット3へ螺結させるように設けているが、これに限るものではなく、前記凸部14と凹部34とをそれぞれ形成せずに、雄ねじ部16aをベース13の下面から突出させて形成させると共に、アンカーナット3の上端31aまで雌ねじ36を形成させてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 標識柱
11 柱部
12 キャップ部
13 ベース
14 凸部
16 アンカーボルト部
16a 雄ねじ
3 アンカーナット
31 突出部
32 段部
34 凹部
36 雌ねじ
4 台座
41 貫通孔
5 基盤
F 固定材
H 埋設孔
L 反射シート

図1
図2
図3
図4