特許第6359939号(P6359939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359939
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/93 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   G01N21/93
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-206910(P2014-206910)
(22)【出願日】2014年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-75608(P2016-75608A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】高田 仁夫
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 昭夫
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−234245(JP,A)
【文献】 特開2001−111795(JP,A)
【文献】 特開平06−253209(JP,A)
【文献】 特開平08−307672(JP,A)
【文献】 特開2009−094928(JP,A)
【文献】 特開2011−038784(JP,A)
【文献】 特開2011−013300(JP,A)
【文献】 特開2009−294087(JP,A)
【文献】 特開2007−285889(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/044565(WO,A1)
【文献】 特開2005−321237(JP,A)
【文献】 特開2003−329599(JP,A)
【文献】 米国特許第04644172(US,A)
【文献】 特開2012−042297(JP,A)
【文献】 撮像素子の高機能化と小型化,光学,日本,2013年 7月,第42巻、第7号,第351−356頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
H04N 1/00− 1/64
G06T 1/00− 1/60
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に異なる複数の照明条件を切り替えて照明可能な照明手段と、
前記照明手段で照明された前記被検査物の画像データを得る撮像手段と、
前記複数の照明条件に対応して前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方を校正するための複数の校正データを記憶する記憶手段と、
撮像時の照明条件の切り替えに対応して、前記複数の校正データを切り替えて前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方の校正を行う校正手段と、
前記校正後の複数の画像データを組み合わせて前記被検査物の欠陥検査を行う検査手段と、
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記照明手段は、それぞれ異なる照明条件で照明する複数の照明装置を備えることを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記校正データは、前記画像データをシェーディング補正するためのシェーディング補正データであって、
前記校正手段は、前記シェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行うシェーディング補正手段である、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記校正データは、前記撮像手段における撮像素子の蓄積時間に関する校正データであって、
前記校正手段は、前記蓄積時間に関する校正データを用いて前記撮像手段における撮像素子の蓄積時間を調整する手段である、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記校正データは、前記撮像手段におけるゲインに関する校正データであって、
前記校正手段は、前記ゲインに関する校正データを用いて前記撮像手段におけるゲインを調整する手段である、請求項1又は2に記載の検査装置。
【請求項6】
前記校正手段は、撮像時の前記照明条件の切り替えと同期して撮像時の前記照明条件に対応する校正データに切り替える、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記校正手段は、前記撮像手段における撮像と同期して前記校正データを切り替える、請求項1から6のいずれか一項に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正手段を有する検査装置に関し、特に、シェーディング補正手段を有する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物を撮像して得られた画像データに基づいて、被検査物の表面に存在する異物や傷等を検査する検査装置として、撮像タイミングに同期して、複数の照明を順次切り替えて撮像する検査装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年、CCDやCMOS等の撮像素子を用いた撮像装置によって得られる画像データの明るさのムラを補正する技術が検討されている。例えば、撮像素子の感度や照明のばらつき、レンズ等に起因する明るさムラを補正する技術として、シェーディング補正が知られている(例えば、特許文献2参照。)。このシェーディング補正は、ラインセンサ各画素の感度特性のばらつきを補正する技術であって、白基準データと黒基準データに基づいて、画像データを規格化することによって各画素の感度ばらつきを補正している。このため、シェーディング補正では、各ラインセンサ(R、G、B)の各画素毎にそれぞれ白基準データと黒基準データをもつ。
【0004】
さらに、カラーラインセンサ用にRGB各色について設けられた3つのシェーディング補正回路をもつデータ処理回路がある(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−42297号公報
【特許文献2】特開平8−307672号公報
【特許文献3】特開2009−94928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のシェーディング補正技術では、RGBの3つの撮像素子に対して、RGBそれぞれの撮像素子についての補正データは持つものの、これらの補正データは、特定の照明条件における補正データであって、複数の照明条件毎の補正データを有していない。
【0007】
しかし、撮像時の照明条件が異なればシェーディング補正のためのデータも変化する。そのため、複数の照明条件を切り替えて撮像する場合には、1つの照明条件における補正データだけでは正確なシェーディング補正は困難である。
【0008】
そのため、被検査物を撮像して得られた画像データに基づいて、被検査物の表面に存在する異物や傷等を検査する検査装置においてシェーディング補正を行う場合にも、1つの照明条件における補正データだけでは正確なシェーディング補正は困難であった。
【0009】
本発明は、複数の照明条件に対応した校正を行うことができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る検査装置は、被検査物に異なる複数の照明条件を切り替えて照明可能な照明手段と、
前記照明手段で照明された前記被検査物の画像データを得る撮像手段と、
前記複数の照明条件に対応して前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方を校正するための複数の校正データを記憶する記憶手段と、
撮像時の照明条件の切り替えに対応して前記複数の校正データを切り替えて前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方の校正を行う校正手段と、
前記校正後の画像データに基づいて前記被検査物の検査を行う検査手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る検査装置によれば、照明条件に対応する校正データによって撮像手段と画像データとの少なくとも一方を校正できるので、照明条件に対応した適切な校正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る検査装置の構成を示すブロック図である。
図2】mmax個の照明を順次切り替えて撮像を行うスイッチング撮像において、照明条件に対応する校正を行って校正後の画像データを得る撮像方法のフローチャートである。
図3】実施の形態2に係る検査装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態3に係る検査装置の構成を示すブロック図である。
図5図4の検査装置を構成する撮像装置におけるシェーディング補正手段の動作を示す概略図である。
図6】シェーディング補正データを構成する各画素の白基準と黒基準と、補正前の画像信号と、補正後の画像信号と、を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の態様に係る検査装置は、被検査物に異なる複数の照明条件を切り替えて照明可能な照明手段と、
前記照明手段で照明された前記被検査物の画像データを得る撮像手段と、
前記複数の照明条件に対応して前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方を校正するための複数の校正データを記憶する記憶手段と、
撮像時の照明条件の切り替えに対応して前記複数の校正データを切り替えて前記撮像手段と前記画像データとの少なくとも一方の校正を行う校正手段と、
前記校正後の画像データに基づいて前記被検査物の検査を行う検査手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
第2の態様に係る検査装置は、上記第1の態様において、前記照明手段は、それぞれ異なる照明条件で照明する複数の照明装置を備えてもよい。
【0015】
第3の態様に係る検査装置は、上記第1又は第2の態様において、前記校正データは、前記画像データをシェーディング補正するためのシェーディング補正データであってもよい。
この場合に、前記校正手段は、前記シェーディング補正データを用いてシェーディング補正を行うシェーディング補正手段であってもよい。
【0016】
第4の態様に係る検査装置は、上記第1又は第2の態様において、前記校正データは、前記撮像手段における撮像素子の蓄積時間に関する校正データであってもよい。
この場合に、前記校正手段は、前記蓄積時間に関する校正データを用いて前記撮像手段における撮像素子の蓄積時間を調整する手段であってもよい。
【0017】
第5の態様に係る検査装置は、上記第1又は第2の態様において、前記校正データは、前記撮像手段におけるゲインに関する校正データであってもよい。
この場合に、前記校正手段は、前記ゲインに関する校正データを用いて前記撮像手段におけるゲインを調整する手段であってもよい。
【0018】
第6の態様に係る検査装置は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記校正手段は、撮像時の前記照明条件の切り替えと同期して撮像時の前記照明条件に対応する校正データに切り替えてもよい。
【0019】
上記構成によって、照明条件の切り替えと同期して校正データを切り替えることで、各照明条件ごとに対応する校正を順次実行できる。
【0020】
第7の態様に係る検査装置は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記校正手段は、前記撮像手段における撮像と同期して前記校正データを切り替えてもよい。
【0021】
第8の態様に係る撮像装置は、上記第1から第7のいずれかの態様において、校正後の画像データの画像信号を低階調化して外部に出力する出力手段を備えてもよい。
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る検査装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
<検査装置>
図1は、実施の形態1に係る検査装置30の構成を示すブロック図である。この検査装置30は、撮像装置10と、同期信号発生手段16と、照明制御手段17と、複数の照明装置である照明18a、18b、18c、18dと、制御装置20と、を備える。この検査装置30は、特開2012−42297号公報に記載のように、同期信号発生手段16による同期信号によって、撮像装置10における撮像手段1の撮像タイミングに同期して複数の照明18a、18b、18c、18dによる照明条件を切り替えながら撮像する、いわゆるスイッチング撮像方式で駆動させることができる。複数の照明18a、18b、18c、18dは、照明制御手段17によって制御できる。
【0024】
この検査装置30では、撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正するための各照明条件に対応する校正データ2a、2b、2c、2dを記憶する記憶手段2と、校正データを用いて撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正する校正手段3と、を備える。これによって、照明条件に対応する校正データによって撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正できるので、照明条件に対応した適切な校正を行うことができる。
上記記憶手段2と、校正手段3は、制御装置20に含むように構成しているが、これに限られない。例えば、実施の形態2に示すように、撮像装置10に含む構成としてもよい。また、制御装置20は、校正後の画像データに基づいて被検査物の検査を行う検査手段25を備える。
なお、この検査装置30は、撮像装置10における撮像手段1の撮像タイミングと複数の照明18a、18b、18c、18dによる照明条件の切り替えとを同期させることなく駆動してもよく、撮像タイミングと照明条件の切り替えとの同期は、必須の構成ではない。
【0025】
<撮像装置>
この撮像装置10は、被検査物の画像データを得る撮像手段1を備える。また、画像データの画像信号を低階調化して外部に出力する出力手段4を備えてもよい。
【0026】
<撮像手段>
撮像手段1は、CCD、CMOS等の撮像素子1aと、撮像素子1aを制御する撮像制御手段1bとを含んでもよい。また、撮像手段1は、ラインセンサあるいはエリアセンサのいずれであってもよい。例えば、被検査物が搬送されている場合には、搬送方向に沿って高速に走査するために、ラインセンサを用いてもよい。ラインセンサは単一のモノクロラインセンサであってもよい。
なお、図1では、レンズ15を撮像手段1とは分離して示しているが、これは、単に略真上から撮像している撮像状態を示すために便宜的にレンズ15を撮像手段1から分離して示しているにすぎない。なお、レンズ15は、撮像手段1に含まれてもよい。また、図1では撮像装置を一体のものとして示しているが、例えば、ヘッド分離型の構成(撮像手段1とレンズ15がヘッド部、それより後段の処理部がコントローラ部として分離した構造)であってもよい。
【0027】
<出力手段>
出力手段4によって画像データの画像信号を撮像装置10の外部に出力する。
なお、出力手段4は、外部出力時に伝送レートが制限される場合があり、画像信号を低階調化処理して外部出力する場合がある。この場合には、高精度の画像信号の精度を低下させて出力する。
【0028】
<制御装置>
制御装置20は、記憶手段2と、校正手段3と、検査手段25と、を備える。なお、撮像手段1と校正手段3との間にバッファメモリを設けてもよい。
【0029】
<記憶手段>
記憶手段2は、各照明条件に対応する複数の校正データ2a、2b、2c、2dを有している。校正データ2a、2b、2c、2dは、撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正するためのものである。校正データ2a、2b、2c、2dとしては、例えば、シェーディング補正データであってもよい。あるいは、校正データは、画像全体の明るさを調整するための校正データ、例えば、撮像手段1における撮像素子1aの蓄積時間に関する校正データであってもよい。また、校正データは、撮像手段1におけるゲインに関する校正データであってもよい。なお、校正データがシェーディング補正データである場合については実施の形態2において詳述する。
【0030】
<校正手段>
校正手段3によって、校正データを用いて撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正する。校正手段3は、例えば、電気回路によって物理的な構成として実現してもよい。あるいは、コンピュータ上で動作するコンピュータソフトウエアによって実現してもよい。コンピュータは、通常の構成要素であるCPU、ROM、RAM、ハードディスク、入出力インタフェース等のうち上記校正動作を実行できる必要最小限の機能を有していればよい。
【0031】
また、校正データが撮像手段1における撮像素子の蓄積時間に関する校正データの場合には、校正手段3によって撮像手段1の撮像素子の蓄積時間を校正データに基づいて変更し、露光、撮像を行って画像データを得ることができる。実際には、校正手段3は、記憶手段2から蓄積時間に関する設定値の校正データ2a、2b、2c、2dのいずれかを読み出し、その値を撮像手段1にセットすることで撮像素子1aの蓄積時間を変更する。
校正データが撮像手段1におけるゲインに関する校正データの場合には、校正手段3によって撮像手段1のゲイン(アナログゲイン又はデジタルゲイン)を校正データに基づいて変更し、露光、撮像を行って画像データを得る。実際には、校正手段3は、記憶手段2からゲインに関する設定値の校正データ2a、2b、2c、2dのいずれかを読み出し、その値を撮像手段1にセットすることでゲインを変更する。
なお、校正手段3は、照明18a、18b、18c、18dによる照明条件の切り替え、及び、撮像手段1における撮像に同期して校正データを切り替えてもよい。
【0032】
<検査手段>
検査手段25によって校正後の画像データに基づいて被検査物5の検査を行う。例えば、画像データについてパターンマッチングの手法を用いて被検査物5の形状、模様、色彩等を検査してもよい。また、種々の画像処理フィルタを用いて被検査物5の欠陥を抽出してもよい。
また、異なる照明条件で撮像した複数の画像データを組み合わせて検査することで、単一の照明条件で得られた画像データだけでは判別できないような欠陥も検査することができる。例えば、異なる波長の照明で被検査物5を撮像した複数の画像データをそれぞれ異なる色で表して、各画像データを合成してカラー画像を作成し、合成したカラー画像を基にして被検査物5の検査を行ってもよい。
なお、上記校正後の画像データとは、例えば、校正が画像データに関するもの、例えばシェーディング補正等の画像データの校正である場合には「校正後の画像データ」であり、校正が蓄積時間又はゲインについての撮像手段の校正の場合には、「校正後の撮像手段で得た画像データ」を意味する。
このとき本発明に係る検査装置30によれば、撮像時の照明条件に対応する校正データで校正するため、異なる照明条件で撮像した複数の画像データを容易に組み合わせることができる。
【0033】
<バッファメモリ>
この制御装置20では、撮像手段1と校正手段3との間にバッファメモリを設けてもよい。バッファメモリは、撮像手段1からの画像信号を一時的に保持しておくことができる。これによって、撮像のタイミングと校正のタイミングとを同期させない場合にも、校正前の画像データを所定期間にわたって保持できる。
【0034】
<照明手段>
照明手段は、被検査物5に異なる複数の照明条件を切り替えて照明できる。この検査装置30では、照明手段として、拡散反射光となる照明装置である照明L1(18a)、照明L2(18b)、照明L3(18c)と、正反射光となる照明装置である照明L4(18d)とを有している。また、照明L1(18a)、照明L2(18b)、照明L3(18c)は、それぞれR、G、Bに対応する赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を照射し、照明L4(18d)は、白色光を照射する。
なお、照明手段は、照明18a、18b、18c、18dの4つに限られるものではない。例えば、照明装置の数は1つ、2つ、3つ、あるいは5つ以上であってもよい。また上記の例では、照明手段を、3つの拡散反射光と、1つの正反射光との組合せで構成しているが、これに限られず、例えば、さらに透過光(図示せず)を組み合わせてもよい。また、同じ拡散反射光についても異なる入射角度の拡散反射光を設けてもよい。これによって、入射角度が浅い場合に見えやすい異物と、入射角度が深い場合に見えやすい異物の双方を検査できる。
【0035】
<同期信号発生手段>
同期信号発生手段16は、撮像手段1と、校正手段3と、照明制御手段17と、に同期信号を送り、照明18a、18b、18c、18dによる照明条件の切り替えと、撮像のタイミングと、を同期させる。また、撮像の終了後、次の照明条件への切り替えと、1つ前の照明条件によって撮像された画像信号についての校正とを、同期させる。したがって、照明18a、18b、18c、18dの切り替えと、1つ前の照明条件に対応する校正データ2a、2b、2c、2dの読み込みとを同期させることとなる。
なお、同期信号発生手段16は、撮像装置10、照明制御手段17、制御装置20のいずれに設けられていてもよい。あるいは、別体として設けられていてもよい。
【0036】
<照明制御手段>
照明制御手段17によって照明18a、18b、18c、18dを制御する。照明制御手段17は、上記同期信号に基づいて照明18a、18b、18c、18dを順次切り替える。なお、スイッチング撮像における照明条件の制御は、複数の照明を順次切り替えることだけに限られず、例えば、2つ以上の照明を組み合わせて同時に照射してもよく、また、1つの照明を、波長や明るさを切り替えながら複数回照射してもよい。
なお、照明制御手段17は、撮像装置10、制御装置20のいずれに設けられていてもよい。あるいは、別体として設けられていてもよい。
【0037】
<搬送手段>
搬送手段19は、例えば、被検査物を一方向に搬送するものであってもよい。搬送手段19としては、例えば、ベルトコンベアであってもよい。
なお、この検査装置30において、搬送手段19は必須の構成ではない。例えば、撮像手段1としてラインセンサを用いた場合には、搬送手段19によって被検査物を一方向に搬送して被検査物の全体を撮像することができる。一方、撮像手段1としてエリアセンサを用いた場合にはそのままで被検査物の全体を撮像できるので、搬送手段19は必要とされない。
【0038】
<撮像方法>
図2は、mmax個の照明を順次切り替えて撮像を行うスイッチング撮像において、校正を行って校正後の画像データを得る撮像方法のフローチャートである。
(1)予め、各照明条件毎のシェーディング補正データ・蓄積時間・ゲインを記憶手段に記憶する(S01)。なお、各照明条件に対応するシェーディング補正データの取得は、上述のように各照明条件ごとの白基準及び黒基準を得ることに対応する。蓄積時間・ゲインについても各照明条件ごとの輝度と蓄積時間・ゲインとの関係を得ることによって、校正データが得られる。
(2)初期設定として、n=1、m=1に設定する(S02)。
(3)nライン目の撮像を開始する(S03)。
(4)m番目の校正データで蓄積時間・ゲインを設定する(S04)。例えば、照明が正反射光等のために明るすぎる場合には撮像手段1の撮像素子1aの蓄積時間を減らすか又はゲインを低下させ、逆に透過光等のために暗すぎる場合には撮像素子11aの蓄積時間を増やすか又はゲインを増大させてもよい。
(5)m番目の照明を点灯する(S05)。
(6)露光して撮像し、画像信号を得る(S06)。
(7)m番目の照明を消灯する(S07)。
(8)m番目の校正データ(シェーディング補正データ)で画像信号をシェーディング補正して出力する(S08)。
(9)照明の番号mがmmaxか否か判断(S09)し、mmaxである場合には照明の番号mを1にリセット(S10)し、mmaxでない場合にはmをインクリメント(m=m+1)(S11)し、ステップS04に戻る。なお、照明の番号mのリセット(S10)は、この段階で行う場合に限られない。例えば、nライン目の撮像を開始する(S03)際に同時に照明の番号mをリセットしてもよい。
(10)照明の番号mを1にリセットした後、ラインの番号nがnmaxであるか判断(S12)し、nmaxである場合には撮像を終了する。ラインの番号nがnmaxでない場合、nをインクリメント(n=n+1)(S13)し、ステップS03に戻る。
以上によって、mmax個の照明を順次切り替えて撮像を行うスイッチング撮像において、各照明条件に対応する校正データ(シェーディング補正データ、蓄積時間、ゲイン)を用いて撮像手段と画像データとの少なくとも一方を校正して、校正後の画像データを得ることができる。
【0039】
上記撮像方法によれば、ラインセンサ等の撮像手段1の画素ごとの感度ムラと、照明条件の差異に起因する照明ムラとを、同時に補正することができる。
【0040】
なお、上記撮像方法では、シェーディング補正、蓄積時間、ゲインの全てを校正する場合について説明したが、これら全てを校正する必要はない。シェーディング補正、蓄積時間、ゲインのいずれか1つ又はこれらの組合せについて校正を行ってもよい。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る検査装置30aの構成を示すブロック図である。この検査装置30aは、実施の形態1に係る検査装置30と対比すると、記憶手段2及び校正手段3を制御装置20ではなく、撮像装置10aにおいて備える点で相違する。具体的には、撮像装置10aは、撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正するための各照明条件に対応する校正データ2a、2b、2c、2dを記憶する記憶手段2と、校正データを用いて撮像手段1と画像データとの少なくとも一方を校正する校正手段3と、を備える。
【0042】
このように撮像装置10aの内部において、各照明条件に対応する校正データ2a、2b、2c、2dを有する記憶手段2と、校正手段3とを備えるので、外部に出力して処理する場合と比べて、外部出力の際の低階調化処理の影響を受けることなく、撮像装置10aの内部で高精度の画像データ(高階調画像信号)のままで校正することができ、高精度の校正済みの画像データを得ることができる。
なお、その後の外部出力で校正済み画像データは低階調化処理を受けるが、低階調化処理後に校正を行った場合に比べて低階調化の影響、例えば大幅な桁落ちなど、を受けないため、精度低下の影響を抑制できる。
【0043】
(実施の形態3)
<検査装置>
図4は、実施の形態3に係る検査装置30bの構成を示すブロック図である。この検査装置30bは、実施の形態2に係る検査装置30aと対比すると、検査装置30bを構成する撮像装置10bが、画像データをシェーディング補正するためのシェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eを記憶する記憶手段12と、シェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eを用いて画像データをシェーディング補正するシェーディング補正手段13と、を備える点で相違する。また、照明において、透過光となる照明L5(18e)をさらに設けている点で相違する。なお、それ以外の構成については実施の形態2に係る検査装置と実質的に同一である。
この検査装置30bでは、撮像時の照明条件に対応するシェーディング補正データによって画像データをシェーディング補正できるので、照明条件に対応した適切な補正を行うことができる。また、この検査装置30bを構成する撮像装置10bは、その内部において、シェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eを有する記憶手段12と、シェーディング補正手段13とを備える。そこで、外部に出力して処理する場合と比べて、外部出力の際の低階調化処理の影響を受けることなく、撮像装置10bの内部で高精度の画像データ(高階調画像信号)のままでシェーディング補正を行うことができ、高精度の補正済みの画像データを得ることができる。
【0044】
以下に、この検査装置30bを構成する各構成要素について説明する。
【0045】
<撮像装置>
検査装置30bの撮像装置10bを構成する各構成要素について説明する。
<撮像手段>
撮像手段11は、実施の形態1及び2における撮像手段1と実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0046】
<記憶手段>
記憶手段12は、複数のシェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eを有している。各シェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eは、各照明条件について、撮像手段11の撮像素子11aの各画素の白基準と黒基準とからなる。例えば、図6は、シェーディング補正データを構成する各画素の白基準Wと黒基準Bとを示すグラフである。図6の横軸は、画素位置を表し、縦軸は、輝度を表している。
また、第1シェーディング補正データ12a、第2シェーディング補正データ12b、第3シェーディング補正データ12c、第4シェーディング補正データ12d、第5シェーディング補正データ12eは、それぞれ照明L1(18a)、照明L2(18b)、照明L3(18c)、照明L4(18d)、照明L5(18e)による照明条件に対応している。なお、照明の数とシェーディング補正データの数とは一致している必要はなく、様々な照明条件の組み合わせに対応した複数のシェーディング補正データを必要な数だけ記憶しておき、照明条件の切り替えに対応して適切なシェーディング補正データを用いればよい。
シェーディング補正データを構成する各画素の白基準Wは、各照明毎に白の校正板を用いて撮像して得ることができる。あるいは、各照明から撮像手段11の撮像素子11aに直接照射して撮像して白基準Wを得る場合もある。黒基準Bは、撮像手段11の撮像素子11aに全く光が入らない状態、例えば、レンズ15にフタをした状態で撮像して得ることができる。あるいは、白基準Wと同様に、各照明毎に黒の校正板を用いて撮像して黒基準Bを得るようにしてもよい。なお、黒基準Bは、すべての照明18a、18b、18c、18d、18eについて共通のデータとしてもよい。
【0047】
<シェーディング補正手段>
シェーディング補正手段13は、実施の形態1及び2における校正手段3に対応する。このシェーディング補正手段13は、シェーディング補正データを用いて画像データをシェーディング補正する。シェーディング補正手段13は、例えば、電気回路によって物理的な構成として実現してもよい。あるいは、コンピュータ上で動作するコンピュータソフトウエアによって実現してもよい。コンピュータは、通常の構成要素であるCPU、ROM、RAM、ハードディスク、入出力インタフェース等のうち上記補正動作を実行できる必要最小限の機能を有していればよい。
なお、シェーディング補正手段13を電気回路として構成した場合には、照明条件毎に設けた複数のシェーディング補正回路を、撮像および照明の点灯と同期して切り替えることで、照明切り替えの度に記憶手段12からシェーディング補正データ12a、12b、12c、12d、12eを読み出す時間が不要になり、より高速な補正処理ができる。
【0048】
図5は、図4の検査装置30bを構成する撮像装置10bのシェーディング補正手段13の動作を示す概略図である。図6は、1つのシェーディング補正データを構成する各画素iの白基準Wiと黒基準Biを全画素にわたってそれぞれ要素として含む白基準Wと黒基準Bと、各画素iの補正前の画像信号Siを全画素にわたって要素として含む補正前の画像信号Sと、各画素iの補正後の画像信号S’iを全画素にわたって要素として含む補正後の画像信号S’、の一例を示すグラフである。
シェーディング補正手段13によるシェーディング補正について以下に説明する。
(a)シェーディング補正手段13は、画像信号Sと、撮像条件である照明条件に対応するシェーディング補正データを構成する白基準W及び黒基準Bと、をそれぞれラインメモリ22a、22b、22cに記憶する。
(b)次いで、各画素iごとに白基準Wiと黒基準Biとの差(Wi−Bi)と、画像信号Siと黒基準Biとの差(Si−Bi)をそれぞれ算出する。
(c)その後、各画素iごとに画像信号Siと黒基準Biとの差(Si−Bi)を白基準Wiと黒基準Biとの差(Wi−Bi)で除して規格化した値(Si−Bi)/(Wi−Bi)を得る。
(d)この規格化値にnビットの画像信号Siの最大値2−1を乗じた値(Si−Bi)/(Wi−Bi)*(2−1)を補正後の画像信号S’iとして出力する。
以上によって、照明条件に対応したシェーディング補正を行うことができる。
【0049】
<出力手段>
出力手段14は、実施の形態1及び2における出力手段4と実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0050】
<バッファメモリ>
バッファメモリは、実施の形態1におけるバッファメモリと実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0051】
<照明>
この検査装置30bでは、透過光となる照明L5(18e)をさらに設けている。この透過光となる照明L5(18e)を用いることによって、例えば、透明な被検査物上の異物を検出しやすいという効果が得られる。
【0052】
<同期信号発生手段>
同期信号発生手段16は、実施の形態1及び2における同期信号発生手段16と実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0053】
<照明制御手段>
照明制御手段17は、実施の形態1及び2における照明制御手段17と実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0054】
<搬送手段>
搬送手段19は、実施の形態1及び2における搬送手段19と実質的に同様のものを使用できる。そこで、詳細の説明を省略する。
【0055】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る検査装置によれば、照明条件に対応する校正データによって撮像手段と画像データとの少なくとも一方を校正できるので、照明条件に対応した適切な校正を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1、11 撮像手段
1a、11a 撮像素子
1b、11b 撮像制御手段
2、12 記憶手段
2a 第1校正データ
2b 第2校正データ
2c 第3校正データ
2d 第4校正データ
3 校正手段
4、14 出力手段
10、10a、10b 撮像装置
12a 第1シェーディング補正データ
12b 第2シェーディング補正データ
12c 第3シェーディング補正データ
12d 第4シェーディング補正データ
12e 第5シェーディング補正データ
13 シェーディング補正手段
15 レンズ
16 同期信号発生手段
17 照明制御手段
18a、18b、18c、18d、18e 照明
19 搬送手段
20、20a、20b 制御装置
22a、22b、22c ラインメモリ
25 検査手段
30、30a、30b 検査装置
5 被検査物
図1
図2
図3
図4
図5
図6