特許第6359961号(P6359961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6359961
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】スイッチング電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20180709BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H02M7/12 Q
   H02M7/12 H
   H02M7/12 Y
   H02M3/155 C
   H02M3/155 X
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-251765(P2014-251765)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-116284(P2016-116284A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】林 正明
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−113880(JP,A)
【文献】 特開平10−150769(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0007088(US,A1)
【文献】 特開2012−175868(JP,A)
【文献】 特開2005−086992(JP,A)
【文献】 特開2007−202285(JP,A)
【文献】 特開2012−143134(JP,A)
【文献】 特開2016−093011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率改善回路を有し、必要な出力電圧を入力電圧から変換制御するスイッチング電源であって、
前記力率改善回路に設けられたインダクタと磁気結合する制御巻線と、
前記制御巻線に生じた電圧により充電されるキャパシタと、
前記キャパシタの両端電圧により動作し、前記力率改善回路に設けられたスイッチ素子をスイッチング制御する制御手段と、
前記力率改善回路の出力電圧と直流電源電圧との誤差電圧が予め定められた閾値以下になると、前記スイッチ素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止手段と、
を備え、
前記制御手段は、スタンバイモードにおいて、
前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子に流す電流を、予め定められたゼロより大きい所定値にすることと、
前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子のオン幅を、予め定められたゼロより大きい所定幅にすることと、
のいずれかを行うとともに、前記スイッチ素子のオフ幅を制御し、
前記スイッチ素子のスイッチング制御を、前記力率改善回路の出力電圧に応じて行い、
前記力率改善回路の出力電圧を前記制御手段にフィードバックする応答速度を、前記スタンバイモードにおいて、前記スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて上げることを特徴とするスイッチング電源。
【請求項2】
前記制御手段は、前記スイッチ素子に流れる電流または当該スイッチ素子のオン幅を、前記制御巻線に生じた電圧を確保するために必要な最小限の値以上にすることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記力率改善回路の出力電圧の電圧値が予め定められた閾値以上であれば、過電圧状態であると判定する過電圧判定手段と、
前記閾値を、前記スタンバイモードにおいて、前記スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて低下させる閾値設定手段と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記力率改善回路の出力側に設けられたDC/DCコンバータを備え、
前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に、動作を開始し、
前記制御手段は、前記スイッチング電源の起動を開始してから前記予め定められた時間が経過するまでの期間において、
前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子に流す電流を、予め定められたゼロより大きい所定値にすることと、
前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子のオン幅を、予め定められたゼロより大きい所定幅にすることと、
のいずれかを行うとともに、前記スイッチ素子のオフ幅を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチング電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源に関する。
【背景技術】
【0002】
力率改善回路およびDC/DCコンバータを有するスイッチング電源では、力率改善回路やDC/DCコンバータに設けられたスイッチ素子を制御する制御部に対して、制御電圧を供給する必要がある。そこで、力率改善回路に設けられたインダクタと磁気結合する制御巻線から、制御部に制御電圧を供給する手法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−289492号公報
【特許文献2】特開2003−203790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング電源の中には、スタンバイ信号の入力を外部から受付けたり、軽負荷を検知したりすると、スタンバイモードに移行するものがある。このスタンバイモードでは、DC/DCコンバータに設けられたスイッチ素子のスイッチングを停止させることがある。しかし、DC/DCコンバータに設けられたスイッチ素子のスイッチングを停止させると、力率改善回路としては無負荷に近い状態になるので、間欠発振などにより、力率改善回路に設けられたインダクタと磁気結合する制御巻線に生じる電圧が低下してしまい、制御電圧を確保することができなくなってしまう。
【0005】
特許文献1に示されている手法は、高圧放電灯を点灯する高圧放電灯点灯装置において、高圧放電灯の始動時に制御電圧を確保する手法であり、スタンバイモードにおいて制御電圧を確保する手法は示されていない。このため、特許文献1に示されている手法では、スタンバイモードにおいて制御電圧を確保することはできなかった。
【0006】
また、特許文献2に示されている手法は、放電灯が点灯していない状態において、DC/DCコンバータの出力に抵抗負荷を接続する手法である。これによれば、放電灯が点灯していない状態において、DC/DCコンバータの出力から抵抗負荷に電流を流すことができるので、力率改善回路に設けられたインダクタに電流を流し続けることができ、制御電圧を確保することができる。しかし、特許文献2に示されている手法では、抵抗負荷での電力消費により、消費電力を削減することができなかった。
【0007】
また、力率改善回路の負荷を軽くしていくと、力率改善回路に設けられたスイッチ素子のオン幅をそれ以上絞ることができない絞り込み限界点に達することがある。力率改善回路に設けられたスイッチ素子のオン幅が上述の絞り込み限界点に達している状態において、さらに力率改善回路の負荷を軽くしていくと、力率改善回路の出力電圧が上昇していく。一般的な力率改善回路には、通常のレギュレーション電圧の10%程度上まで力率改善回路の出力電圧が上昇すると過電圧と判定する過電圧保護機能が設けられており、過電圧と判定すると、力率改善回路に設けられたスイッチ素子がスイッチングを停止し、力率改善回路に設けられたスイッチ素子が間欠動作することになる。また、DC/DCコンバータに設けられたスイッチ素子のスイッチングを停止させた状態でも、力率改善回路の負荷は無負荷に近くなるので、力率改善回路に設けられたスイッチ素子が間欠動作することになる。力率改善回路に設けられたスイッチ素子が間欠動作することになると、間欠停止期間の長さや、制御巻線に並列接続されたキャパシタの容量によっては、制御電圧を確保することができなくなってしまうおそれがある。
【0008】
上述の課題に鑑み、本発明は、力率改善回路を有するスイッチング電源について、スタンバイモードにおいて、消費電力を削減しつつ、安定的に制御電圧を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、力率改善回路(例えば、図1の力率改善回路20に相当)を有し、必要な出力電圧を入力電圧から変換制御するスイッチング電源(例えば、図1のスイッチング電源1に相当)であって、前記力率改善回路に設けられたインダクタ(例えば、図1のインダクタL1に相当)と磁気結合する制御巻線(例えば、図1の制御巻線L2に相当)と、前記制御巻線に生じた電圧により充電されるキャパシタ(例えば、図1のキャパシタC5に相当)と、前記キャパシタの両端電圧により動作し、前記力率改善回路に設けられたスイッチ素子(例えば、図1のスイッチ素子Q1に相当)をスイッチング制御する制御手段(例えば、図1の制御部40に相当)と、を備え、前記制御手段は、スタンバイモードにおいて、前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子に流す電流を、予め定められたゼロより大きい所定値にすることと、前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子のオン幅を、予め定められたゼロより大きい所定幅にすることと、のいずれかを行うとともに、前記スイッチ素子のオフ幅を制御することを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0010】
この発明によれば、制御手段により、スタンバイモードにおいて、力率改善回路に設けられたスイッチ素子に流れる電流の電流値をゼロより大きい所定値にするか、または、このスイッチ素子のオン幅をゼロより大きい所定幅にするか、を行うとともにこのスイッチ素子のオフ幅を制御することとした。このため、スタンバイモードにおいて、制御電圧を確保するために必要な最小限の幅以上のオン幅をこのスイッチ素子において維持することで、力率改善回路に設けられたインダクタに流れる電流を確保することができるので、制御巻線に生じる電圧を確保して、キャパシタの充電を十分に行うことができ、その結果、制御電圧を安定的に確保することができる。また、スタンバイモードにおいて、力率改善回路に設けられたインダクタに流れる電流を確保するために、特許文献2に示されているように負荷抵抗に電流を流すことはしないので、消費電力を削減することができる。
【0011】
(2) 本発明は、(1)のスイッチング電源について、前記制御手段は、前記スイッチ素子に流れる電流または当該スイッチ素子のオン幅を、前記制御巻線に生じた電圧を確保するために必要な最小限の値以上にすることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0012】
この発明によれば、(1)のスイッチング電源において、制御手段により、スイッチ素子に流れる電流またはスイッチ素子のオン幅を、制御巻線に生じた電圧を確保するために必要な最小限の値以上にすることとした。このため、制御巻線に生じる電圧をより安定的に確保して、キャパシタの充電を十分かつより安定的に行うことができ、その結果、制御電圧をより安定的に確保することができる。
【0013】
(3) 本発明は、(1)または(2)のスイッチング電源について、前記力率改善回路の出力電圧の電圧値が予め定められた閾値以上であれば、過電圧状態であると判定する過電圧判定手段(例えば、図6の比較器CMP1に相当)と、前記閾値を、前記スタンバイモードにおいて、前記スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて低下させる閾値設定手段(例えば、図6のスイッチSW1および直流電源Vref4、Vref5に相当)と、を備えることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0014】
この発明によれば、(1)または(2)のスイッチング電源に、過電圧判定手段および閾値設定手段を設け、過電圧判定手段により、力率改善回路の出力電圧の電圧値が予め定められた閾値以上であれば過電圧状態であると判定し、閾値設定手段により、上述の閾値を、スタンバイモードではスタンバイモード以外の定常動作状態と比べて低下させることとした。このため、スタンバイモードにおいて、負荷が軽くなることによって力率改善回路の出力電圧が上昇してしまっても、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて早い段階で過電圧状態であると判定することができる。したがって、スタンバイモードにおいて、スイッチング電源の出力電圧が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0015】
(4)本発明は、(1)から(3)のいずれかのスイッチング電源について、前記制御手段は、前記力率改善回路の出力電圧を前記制御手段にフィードバックする信号のレベルが予め定められた閾値以下になると、前記スイッチ素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止手段(例えば、図9の比較器CMP4およびフリップフロップFF1に相当)を備え、前記スイッチ素子のスイッチング制御を、前記力率改善回路の出力電圧に応じて行うとともに、前記力率改善回路の出力電圧を前記制御手段にフィードバックする応答速度を、前記スタンバイモードにおいて、前記スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて上げることを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0016】
この発明によれば、(1)から(3)のいずれかのスイッチング電源において、スイッチング停止手段により、力率改善回路の出力電圧を制御手段にフィードバックする信号のレベルが閾値以下になると、スイッチ素子のスイッチングを停止させることとした。このため、力率改善回路の出力電圧が過度に高くなってしまう前に、スイッチ素子の発振を停止させることが可能となり、力率改善回路の出力電圧が過度に高くなってしまうのを防止することができる。したがって、スタンバイモードにおいて、スイッチング電源の出力電圧が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0017】
また、この発明によれば、(1)から(3)のいずれかのスイッチング電源において、力率改善回路の出力電圧を制御手段にフィードバックする応答速度を、スタンバイモードではスタンバイモード以外の定常動作状態と比べて上げることとした。このため、スイッチング停止手段によりスイッチ素子が間欠動作を行うことになっても、力率改善回路の出力電圧を制御手段にフィードバックする応答速度が定常動作状態と比べて上がるので、間欠動作における間欠周期を短くすることができ、安定的に制御電圧を確保することができる。
【0018】
(5) 本発明は、(1)から(4)のいずれかのスイッチング電源について、前記力率改善回路の出力側に設けられたDC/DCコンバータ(例えば、図1のDC/DCコンバータ30に相当)を備え、前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に、動作を開始し、前記制御手段は、前記スイッチング電源の起動を開始してから前記予め定められた時間が経過するまでの期間において、前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子に流す電流を、予め定められたゼロより大きい所定値にすることと、前記スイッチ素子をスイッチング制御して、当該スイッチ素子のオン幅を、予め定められたゼロより大きい所定幅にすることと、のいずれかを行うとともに、前記スイッチ素子のオフ幅を制御することを特徴とするスイッチング電源を提案している。
【0019】
この発明によれば、(1)から(4)のいずれかのスイッチング電源において、力率改善回路の出力側に設けられたDC/DCコンバータの動作を、スイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に開始させることとした。このため、力率改善回路の動作から遅れてDC/DCコンバータを動作させたり、力率改善回路の出力電圧が所定の閾値に達した後にDC/DCコンバータを動作させたりすることができる。したがって、スイッチング電源の起動時にDC/DCコンバータを安定動作させることができる。
【0020】
なお、上述のように、DC/DCコンバータの動作を、スイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に開始させる場合、DC/DCコンバータが動作するまでは、力率改善回路から見ると略無負荷な状態となってしまう。そこで、この発明によれば、(1)から(4)のいずれかのスイッチング電源において、制御手段により、スイッチング電源の起動を開始してから上述の予め定められた時間が経過するまでの期間において、力率改善回路に設けられたスイッチ素子に流れる電流の電流値をゼロより大きい所定値にするか、または、このスイッチ素子のオン幅をゼロより大きい所定幅にするか、を行うとともにこのスイッチ素子のオフ幅を制御することとした。このため、スイッチング電源の起動時においても、制御電圧を確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、力率改善回路を有するスイッチング電源について、スタンバイモードにおいて、消費電力を削減しつつ、安定的に制御電圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御部の回路図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御回路の回路図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源の電源起動時におけるタイミングチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御部の回路図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御回路の回路図である。
図8】本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御部の回路図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るスイッチング電源の回路図である。
図11】本発明の第4実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御部の回路図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るスイッチング電源に設けられた制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0024】
<第1実施形態>
[スイッチング電源1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1の回路図である。スイッチング電源1は、交流電源Vinから入力された入力電圧を変換制御して、出力端子OUT1、GND1の間から出力するものであり、整流回路10、力率改善回路20、DC/DCコンバータ30、および制御部40を備える。
【0025】
整流回路10は、交流電源Vinから入力された入力電圧を整流して、第1の出力端子OUT2および第2の出力端子OUT3の間から出力する。
【0026】
力率改善回路20は、抵抗R1、R2、R3、R4、R5、R6と、キャパシタC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7と、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、ダイオードD1、D2、D3と、インダクタL1と、インダクタL1と磁気結合する制御巻線L2と、を備える。
【0027】
整流回路10の第1の出力端子OUT2と第2の出力端子OUT3とは、抵抗R1、R2を直列接続したものを介して接続されるとともに、キャパシタC1を介して接続される。抵抗R1と抵抗R2との接続点には、制御部40の端子P3が接続される。また、第1の出力端子OUT2には、制御部40の端子P2が接続される。
【0028】
整流回路10の第2の出力端子OUT3には、基準電位GNDとして、制御部40の端子P4と、DC/DCコンバータ30と、が接続される。整流回路10の第1の出力端子OUT2には、インダクタL1の一端が接続され、インダクタL1の他端には、スイッチ素子Q1のドレインと、ダイオードD1のアノードと、が接続される。スイッチ素子Q1のソースには、抵抗R3を介して整流回路10の第2の出力端子OUT3が接続されるとともに、抵抗R6を介して制御部40の端子P6が接続される。スイッチ素子Q1のドレインとソースとは、キャパシタC2を介して接続され、スイッチ素子Q1のゲートには、制御部40の端子P5が接続される。また、制御部40の端子P6には、キャパシタC7を介して基準電位GNDが接続される。
【0029】
ダイオードD1のカソードには、DC/DCコンバータ30が接続される。また、ダイオードD1のカソードには、キャパシタC3を介して整流回路10の第2の出力端子OUT3が接続されるとともに、抵抗R4、R5を直列接続したものを介して整流回路10の第2の出力端子OUT3が接続される。抵抗R4と抵抗R5との接続点には、制御部40の端子P9が接続される。また、制御部40の端子P7には、キャパシタC6を介して基準電位GNDが接続される。
【0030】
制御巻線L2の一端には、整流回路10の第2の出力端子OUT3と、ダイオードD2のアノードと、が接続されるとともに、キャパシタC5を介して、ダイオードD3のカソードと、制御部40の端子P1と、DC/DCコンバータ30と、が接続される。制御巻線L2の他端には、制御部40の端子P8が接続されるとともに、キャパシタC4を介して、ダイオードD2のカソードと、ダイオードD3のアノードと、が接続される。
【0031】
DC/DCコンバータ30は、抵抗R4、R5を直列接続したものの間に生じている直流電圧、すなわち力率改善回路20の出力電圧を、出力端子OUT1、GND1の後段に接続されている負荷で必要とされている直流電圧に変換して、出力端子OUT1、GND1の間から出力する。
【0032】
以上の構成を備えるスイッチング電源1は、制御部40の端子P5からスイッチング制御信号を出力させ、このスイッチング制御信号によりスイッチ素子Q1をスイッチング制御して、スイッチング電源1の力率の改善を行う。また、スイッチング電源1は、スイッチ素子Q1をスイッチング制御してインダクタL1に電流を流すことによって、このインダクタL1と磁気結合する制御巻線L2に電圧を発生させ、この電圧をダイオードD2、D3およびキャパシタC4、C5により整流および平滑化する。キャパシタC5の両端電圧は、制御電圧として、制御部40の端子P1に供給されるとともに、DC/DCコンバータ30に供給され、この制御電圧により、制御部40およびDC/DCコンバータ30が動作する。
【0033】
図2は、制御部40の回路図である。制御部40は、レギュレータ41、マルチプライヤ42、制御回路43、および起動回路44を備えるとともに、抵抗R7、R8と、比較器CMP1と、誤差増幅器EA1と、バッファBUF1と、フリップフロップFF1と、直流電源Vref1、Vref2と、を備える。
【0034】
端子P1には、基準電位GNDに接続されたレギュレータ41が接続され、上述の制御電圧が供給される。この制御電圧は、レギュレータ41で安定化された後、制御部40の各素子に供給される。
【0035】
端子P2には、レギュレータ41に接続された起動回路44が接続され、交流電源Vinからの入力電圧を整流回路10で整流したものが供給される。スイッチング電源1の電源起動前には、スイッチ素子Q1がスイッチングしていないので、制御巻線L2に電圧が発生しておらず、キャパシタC5が充電されていないので、制御電圧が生成されない。一方、スイッチング電源1の電源起動時には、起動回路44からレギュレータ41に電圧が供給され、この電圧がレギュレータ41で安定化された後、制御部40の各素子に制御電圧として供給される。制御電圧が供給されてスイッチ素子Q1のスイッチングが開始された後には、起動回路44は、レギュレータ41への電圧供給を停止し、キャパシタC5からの制御電力の供給に切り替える。
【0036】
端子P9には、比較器CMP1の非反転入力端子と、誤差増幅器EA1の非反転入力端子と、が接続される。比較器CMP1の反転入力端子には、直流電源Vref1の正極が接続され、誤差増幅器EA1の反転入力端子には、直流電源Vref2の正極が接続される。直流電源Vref1の負極と、直流電源Vref2の負極と、には、基準電位GNDが接続される。比較器CMP1の出力端子には、フリップフロップFF1の第2のリセット端子が接続され、誤差増幅器EA1の出力端子には、マルチプライヤ42と、端子P7と、制御回路43の端子T6と、が接続される。
【0037】
比較器CMP1の非反転入力端子と、誤差増幅器EA1の非反転入力端子と、には、端子P9を介して、力率改善回路20の出力電圧を抵抗R4、R5で分圧した電圧、すなわち力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧が、入力される。
【0038】
比較器CMP1は、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧を、直流電源Vref1の正極の電圧と比較して、力率改善回路20の出力電圧の過電圧を検出する。具体的には、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧が直流電源Vref1の正極の電圧以上である場合には、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態であると判定し、フリップフロップFF1の第2のリセット端子にHレベル電圧を出力して、フリップフロップFF1をリセットする。一方、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧が直流電源Vref1の正極の電圧未満である場合には、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態ではないと判定し、フリップフロップFF1の第2のリセット端子にLレベル電圧を出力する。
【0039】
誤差増幅器EA1は、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする。具体的には、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧と、直流電源Vref2の正極の電圧と、の誤差をマルチプライヤ42にフィードバックする。
【0040】
なお、本実施形態では、誤差増幅器EA1は、力率改善回路において一般的に用いられる電流出力タイプのgmアンプであるものとする。このため、誤差増幅器EA1は、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧が直流電源Vref2の正極の電圧以上である場合には、出力端子から電流を吸い込み、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧が直流電源Vref2の正極の電圧未満である場合には、出力端子から電流を吐き出す動作を行う。吐き出したり吸い込んだりする電流の電流レベルは、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧と、直流電源Vref2の正極の電圧と、の誤差に応じて定まり、誤差が大きいほど電流レベルが大きくなる。
【0041】
また、誤差増幅器EA1の出力端子には、上述のように端子P7が接続されており、この端子P7には、図1を用いて上述したようにキャパシタC6を介して基準電位GNDが接続されている。このため、キャパシタC6の容量を適宜設定して、誤差増幅器EA1の応答帯域を調整することで、交流電源Vinの電源周波数の倍の周波数ではフィードバックが応答しないようにすることができる。仮に、交流電源Vinの電源周波数の倍の周波数でもフィードバックが応答してしまうと、交流電源Vinから入力された入力電流に歪が発生してしまい、力率が低下してしまうためである。
【0042】
端子P3には、マルチプライヤ42が接続される。このマルチプライヤ42には、誤差増幅器EA1の出力端子が接続されるとともに、制御回路43の端子T4も接続される。
【0043】
マルチプライヤ42には、誤差増幅器EA1の出力電圧が入力されるとともに、端子P3を介して、整流回路10の出力電圧を抵抗R1、R2で分圧した電圧、言い換えると力率改善回路20の入力電圧を抵抗R1、R2で分圧した電圧、すなわち力率改善回路20の入力電圧に応じた電圧が、入力される。このマルチプライヤ42は、誤差増幅器EA1の出力電圧と、力率改善回路20の入力電圧に応じた電圧と、を乗算し、乗算結果を端子T4に出力する。
【0044】
端子P6には、制御回路43の端子T5が接続され、端子P8には、抵抗R8を介して制御回路43の端子T7が接続される。端子P4には、基準電位GNDが接続され、端子P5には、抵抗R7を介してバッファBUF1の出力端子が接続される。バッファBUF1の入力端子には、フリップフロップFF1の出力端子が接続されるとともに、制御回路43の端子T1が接続される。フリップフロップFF1のセット端子には、制御回路43の端子T2が接続され、フリップフロップFF1の第1のリセット端子には、制御回路43の端子T3が接続される。
【0045】
フリップフロップFF1から出力された電圧は、バッファBUF1、抵抗R7、および端子P5を介してスイッチ素子Q1のゲートに入力される。このため、フリップフロップFF1の第1のリセット端子および第2のリセット端子のうち少なくともいずれかにHレベル電圧が入力されると、フリップフロップFF1がリセットされてフリップフロップFF1からLレベル電圧が出力され、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。また、フリップフロップFF1の第1のリセット端子および第2のリセット端子の双方にLレベル電圧が入力されている期間において、フリップフロップFF1のセット端子にHレベル電圧が入力されると、フリップフロップFF1がセットされてフリップフロップFF1からHレベル電圧が出力され、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0046】
図3は、制御回路43の回路図である。制御回路43は、オントリガ生成部431、リスタート部432、スタンバイ部433、およびオフ幅制御タイマ434を備えるとともに、論理積AND1、AND2、AND3、AND4と、論理和OR1、OR2、OR3と、比較器CMP2、CMP3と、インバータINV1、INV2、INV3と、直流電源Vref3と、を備える。
【0047】
端子T5には、比較器CMP2の非反転入力端子と、比較器CMP3の非反転入力端子と、が接続される。比較器CMP2の反転入力端子には、端子T4が接続され、比較器CMP3の反転入力端子には、直流電源Vref3の正極が接続され、直流電源Vref3の負極には、基準電位GNDが接続される。
【0048】
比較器CMP2は、端子T5および端子P6を介して入力される抵抗R3の両端電圧を、端子T4を介して入力されるマルチプライヤ42の出力電圧と比較する。ここで、抵抗R3の両端電圧は、スイッチ素子Q1に流れた電流が抵抗R3を流れることによって、発生する。このため、比較器CMP2は、端子T5および端子P6を介して入力されるスイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧を、端子T4を介して入力されるマルチプライヤ42の出力電圧と比較することになる。比較器CMP2は、スイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧が、マルチプライヤ42の出力電圧以上である場合には、Hレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧が、マルチプライヤ42の出力電圧未満である場合には、Lレベル電圧を出力する。
【0049】
比較器CMP3は、端子T5および端子P6を介して入力されるスイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧を、直流電源Vref3の正極の電圧と比較して、スイッチ素子Q1に流れる電流が予め定められたゼロより大きい所定値以上であるか否かを判定する。具体的には、スイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧が、直流電源Vref3の正極の電圧以上である場合には、スイッチ素子Q1に流れる電流が所定値以上であると判定し、Hレベル電圧を出力し、スイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧が、直流電源Vref3の正極の電圧未満である場合には、スイッチ素子Q1に流れる電流は所定値未満であると判定し、Lレベル電圧を出力する。
【0050】
なお、上述の所定値には、制御巻線L2に生じる電圧を確保するために必要な最小限の値以上の値が予め設定される。
【0051】
比較器CMP2の出力端子には、論理積AND1の2つの入力端子のうち一方が接続され、比較器CMP3の出力端子には、論理積AND2の2つの入力端子のうち他方が接続される。論理積AND1の2つの入力端子のうち他方には、インバータINV1を介してスタンバイ部433の出力端子が接続され、論理積AND2の2つの入力端子のうち一方には、スタンバイ部433の出力端子が接続される。論理積AND1の出力端子には、論理和OR1の2つの入力端子のうち一方が接続され、論理積AND2の出力端子には、論理和OR1の2つの入力端子のうち他方が接続される。論理和OR1の出力端子には、端子T3を介して、フリップフロップFF1の第1のリセット端子が接続される。
【0052】
スタンバイ部433は、スタンバイモード以外の定常動作状態であればLレベル電圧を出力し、スタンバイモードであればHレベル電圧を出力する。
【0053】
このため、定常動作状態において、スイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧が、マルチプライヤ42の出力電圧以上である場合に、論理積AND1の2つの入力端子の双方にHレベル電圧が入力され、論理積AND1からHレベル電圧が出力されることになる。このHレベル電圧は、論理和OR1および端子T3を介してフリップフロップFF1の第1のリセット端子に入力され、フリップフロップFF1がリセットされる。
【0054】
また、スタンバイモードにおいて、スイッチ素子Q1に流れる電流が所定値以上である場合に、論理積AND2の2つの入力端子の双方にHレベル電圧が入力され、論理積AND2からHレベル電圧が出力されることになる。このHレベル電圧は、論理和OR1および端子T3を介してフリップフロップFF1の第1のリセット端子に入力され、フリップフロップFF1がリセットされる。
【0055】
なお、スタンバイ部433は、スタンバイモードであるのか、それともスタンバイモード以外の定常動作状態であるのかを、スイッチング電源1の外部から入力されたスタンバイ信号に基づいて判定してもよいし、軽負荷であるか否かを検知することによって判定してもよい。
【0056】
端子T6には、オフ幅制御タイマ434の入力端子が接続される。このオフ幅制御タイマ434の反転入力端子には、インバータINV3を介して端子T1が接続される。この端子T1には、リスタート部432の反転入力端子も接続される。オフ幅制御タイマ434の出力端子には、論理積AND4の2つの入力端子のうち他方が接続される。
【0057】
端子T7には、オントリガ生成部431の入力端子が接続される。このオントリガ生成部431の2つの出力端子のうち、一方には論理和OR3の2つの入力端子のうち一方が接続され、他方にはリスタート部432の入力端子が接続される。論理和OR3の2つの入力端子のうち他方には、リスタート部432の出力端子が接続される。論理和OR3の出力端子には、論理積AND3の2つの入力端子のうち一方が接続される。
【0058】
論理積AND3の2つの入力端子のうち他方には、インバータINV2を介してスタンバイ部433の出力端子が接続される。スタンバイ部433の出力端子には、論理積AND4の2つの入力端子のうち一方も接続される。論理積AND3の出力端子には、論理和OR2の2つの入力端子のうち一方が接続され、論理積AND4の出力端子には、論理和OR2の2つの入力端子のうち他方が接続される。論理和OR2の出力端子には、端子T2を介して、フリップフロップFF1のセット端子が接続される。
【0059】
スタンバイ部433は、上述のように、スタンバイモード以外の定常動作状態であればLレベル電圧を出力し、スタンバイモードであればHレベル電圧を出力する。
【0060】
このため、定常動作状態において、オントリガ生成部431およびリスタート部432のうち少なくともいずれかからHレベル電圧が出力された場合に、論理積AND3の2つの入力端子の双方にHレベル電圧が入力され、論理積AND3からHレベル電圧が出力されることになる。このHレベル電圧は、論理和OR2および端子T2を介してフリップフロップFF1のセット端子に入力され、フリップフロップFF1がセットされる。
【0061】
また、スタンバイモードにおいて、オフ幅制御タイマ434からHレベル電圧が出力された場合に、論理積AND4の2つの入力端子の双方にHレベル電圧が入力され、論理積AND4からHレベル電圧が出力されることになる。このHレベル電圧は、論理和OR2および端子T2を介してフリップフロップFF1のセット端子に入力され、フリップフロップFF1がセットされる。
【0062】
オントリガ生成部431は、制御巻線L2に発生した電圧のネガティブエッジを検出すると、ワンショットパルスを生成して、論理和OR3の2つの入力端子のうち一方と、リスタート部432と、に出力する。具体的には、スイッチ素子Q1がオン状態である期間では、インダクタL1にエネルギーが蓄積されるとともに、端子P8の電位がマイナスになる電圧が制御巻線L2に発生する。スイッチ素子Q1がオフ状態になると、インダクタL1に蓄積されたエネルギーがDC/DCコンバータ30側に吐き出されるとともに、端子P8の電位がプラスになる電圧が制御巻線L2に発生する。インダクタL1からDC/DCコンバータ30側へのエネルギーの吐き出しが終わると、制御巻線L2に発生した電圧が低下し始める。オントリガ生成部431は、この制御巻線L2に発生した電圧が低下し始めるタイミング、すなわち制御巻線L2に発生した電圧のネガティブエッジを検出すると、ワンショットパルスを出力する。このため、定常動作状態においてオントリガ生成部431からワンショットパルスが出力されると、上述のようにフリップフロップFF1がセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0063】
リスタート部432は、オントリガ生成部431からワンショットパルスが出力されない期間に予め定められた時間が経過すると、Hレベル電圧を出力する。ここで、上述のオントリガ生成部431は、スイッチ素子Q1のスイッチングが開始されるとワンショットパルスを出力可能な状態になる。しかし、スイッチング電源1の電源起動時や、何らかの保護機能でスイッチ素子Q1のスイッチングが止まった後においては、制御巻線L2に電圧が発生していないために、オントリガ生成部431がワンショットパルスを出力できない場合が考えられる。そこで、このような場合には、リスタート部432からHレベル電圧が出力される。このため、定常動作状態においてリスタート部432からHレベル電圧が出力されると、フリップフロップFF1が上述のようにセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0064】
オフ幅制御タイマ434は、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御する。具体的には、フリップフロップFF1からLレベル電圧が出力されると、すなわちスイッチ素子Q1がオフ状態になると、オフ幅制御タイマ434の反転入力端子に、制御回路43の端子T1およびインバータINV3を介してHレベル電圧が入力される。また、オフ幅制御タイマ434の入力端子には、制御回路43の端子T6を介して、誤差増幅器EA1の出力電圧が入力される。オフ幅制御タイマ434は、カウント値として、入力端子に入力される誤差増幅器EA1の出力電圧が高くなるに従って小さい値を設定し、スイッチ素子Q1がオフ状態になってから上述のカウント値をカウントすると、ワンショットパルスを出力する。このため、スタンバイモードにおいてオフ幅制御タイマ434からワンショットパルスが出力されると、上述のようにフリップフロップFF1がセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になり、誤差増幅器EA1の出力電圧が高くなるとスイッチ素子Q1のオフ時間が短くなり、誤差増幅器EA1の出力電圧が低くなるとスイッチ素子Q1のオフ時間が長くなる。
【0065】
以上の構成を備える制御部40は、以下のように動作する。
【0066】
まず、フリップフロップFF1がリセットされる場合について、以下に説明する。フリップフロップFF1の第1のリセット端子および第2のリセット端子のうち少なくともいずれかにHレベル電圧が入力されると、フリップフロップFF1がリセットされ、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0067】
ここで、第2のリセット端子にHレベル電圧が入力されるのは、上述のように、比較器CMP1からHレベル電圧が出力された場合、すなわち力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態である場合である。
【0068】
また、第1のリセット端子にHレベル電圧が入力されるのは、上述のように、定常動作状態においてスイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧がマルチプライヤ42の出力電圧以上である場合と、スタンバイモードにおいてスイッチ素子Q1に流れる電流が所定値以上である場合と、である。
【0069】
以上より、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態である場合と、定常動作状態においてスイッチ素子Q1に流れた電流に応じた電圧がマルチプライヤ42の出力電圧以上である場合と、スタンバイモードにおいてスイッチ素子Q1に流れる電流が所定値以上である場合と、において、フリップフロップFF1がリセットされ、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。このため、スタンバイモードでは、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態にならない限り、スイッチ素子Q1に流れる電流が所定値になるまで、オン状態のスイッチ素子Q1がオフ状態に切り替わらないことになる。
【0070】
次に、フリップフロップFF1がセットされる場合について、以下に説明する。フリップフロップFF1の第1のリセット端子および第2のリセット端子の双方にLレベル電圧が入力されている期間において、フリップフロップFF1のセット端子にHレベル電圧が入力されると、フリップフロップFF1がセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になる。
【0071】
ここで、セット端子にHレベル電圧が入力されるのは、上述のように、定常動作状態においてオントリガ生成部431およびリスタート部432のうち少なくともいずれかからHレベル電圧が出力された場合と、スタンバイモードにおいてオフ幅制御タイマ434からHレベル電圧が出力された場合と、である。
【0072】
以上より、定常動作状態においてオントリガ生成部431およびリスタート部432のうち少なくともいずれかからHレベル電圧が出力された場合と、スタンバイモードにおいてオフ幅制御タイマ434からHレベル電圧が出力された場合と、において、フリップフロップFF1がセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になる。ここで、オフ幅制御タイマ434は、上述のように、カウント値として、入力端子に入力される誤差増幅器EA1の出力電圧が高くなるに従って小さい値を設定し、スイッチ素子Q1がオフ状態になってから上述のカウント値をカウントすると、ワンショットパルスを出力する。このため、スタンバイモードにおいてオフ幅制御タイマ434からワンショットパルスが出力されると、上述のようにフリップフロップFF1がセットされ、スイッチ素子Q1がオン状態になり、誤差増幅器EA1の出力電圧が高くなるとスイッチ素子Q1のオフ時間が短くなり、誤差増幅器EA1の出力電圧が低くなるとスイッチ素子Q1のオフ時間が長くなる。
【0073】
図4は、スイッチング電源1の電源起動時におけるタイミングチャートである。VCCは、制御部40の端子P1に供給される制御電圧を示し、V_STBYは、スタンバイ部433の出力電圧を示す。V_PFCoutは、力率改善回路20の出力電圧を示し、I_PFCoutは、力率改善回路20の出力電流を示す。V_Q1gsは、スイッチ素子Q1のゲート−ソース間電圧を示す。
【0074】
なお、電源起動時にDC/DCコンバータ30が動作するまでの期間では、スタンバイモードと同様に、力率改善回路20の負荷は無負荷に近くなるので、制御電圧VCCを安定的に確保することが難しい。このため、電源起動時にDC/DCコンバータ30が動作するまでの期間でも、スタンバイモードと同様に、スタンバイ部433がHレベル電圧を出力するものとする。
【0075】
時刻t2からt4までの期間では、スタンバイ部433の出力電圧V_STBYがHレベルである。一方、時刻t4以降の期間では、スタンバイ部433の出力電圧V_STBYがLレベルである。制御部40は、電源起動時にDC/DCコンバータ30が動作するまでの期間でも、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御するとともに、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態にならない限り、スイッチ素子Q1に流れる電流が所定値になるまで、オン状態のスイッチ素子Q1がオフ状態に切り替わらないようにする。
【0076】
以上のスイッチング電源1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0077】
スイッチング電源1は、制御部40により、スタンバイモードにおいて、比較器CMP3と直流電源Vref3と論理積AND2とを用いて、スイッチ素子Q1に流れる電流の電流値を、制御巻線L2に生じる電圧を確保するために必要な最小限の値以上にするとともに、オフ幅制御タイマ434と論理積AND4とを用いて、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御する。このため、スタンバイモードにおいて、制御電圧を確保するために必要な最小限の幅以上のオン幅をスイッチ素子Q1において維持して、インダクタL1に流れる電流を確保することができるので、制御巻線L2に生じる電圧を確保して、キャパシタC5の充電を十分に行うことができ、その結果、制御電圧を安定的に確保することができる。また、スタンバイモードにおいて、インダクタL1に流れる電流を確保するために、特許文献2に示されているように負荷抵抗に電流を流すことはしないので、消費電力を削減することができる。
【0078】
<第2実施形態>
[スイッチング電源1Aの構成]
図5は、本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源1Aの回路図である。スイッチング電源1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1とは、制御部40の代わりに制御部40Aを備える点で異なる。スイッチング電源1Aにおいて、スイッチング電源1と同一の構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図6は、制御部40Aの回路図である。制御部40Aは、図2の制御部40とは、制御回路43の代わりに制御回路43Aを備える点と、直流電源Vref1の代わりにスイッチSW1および直流電源Vref4、Vref5を備える点と、で異なる。
【0080】
図7は、制御回路43Aの回路図である。制御回路43Aは、図3の制御回路43とは、端子T8を備える点で異なる。端子T8は、スタンバイ部433の出力端子に接続される。
【0081】
図6に戻って、スイッチSW1の出力端子には、比較器CMP1の反転入力端子が接続される。スイッチSW1の2つの入力端子のうち一方には、直流電源Vref4の正極が接続され、スイッチSW1の2つの入力端子のうち他方には、直流電源Vref5の正極が接続される。直流電源Vref4の負極と、直流電源Vref5の負極と、には、基準電位GNDが接続される。また、スイッチSW1には、端子T8を介してスタンバイ部433の出力電圧も入力される。
【0082】
以上の構成を備える制御部40Aは、図2の制御部40と同様に動作する。ただし、比較器CMP1の動作が、制御部40Aと制御部40とでは若干異なる。
【0083】
制御部40における比較器CMP1は、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧を、直流電源Vref1の正極の電圧と比較する。これに対して、制御部40Aにおける比較器CMP1は、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧と比較する電圧を、スタンバイモードであるのか、それともスタンバイモード以外の定常動作状態であるのかに応じて、切り替える。
【0084】
具体的には、スタンバイ部433の出力電圧が入力されるスイッチSW1により、制御部40Aにおける比較器CMP1の反転入力端子には、スタンバイモードである期間では直流電源Vref4の正極の電圧が入力され、スタンバイモード以外の定常動作状態である期間では直流電源Vref5の正極の電圧が入力される。ここで、直流電源Vref4の正極の電圧は、直流電源Vref5の正極の電圧よりも低いものとする。
【0085】
このため、制御部40Aにおける比較器CMP1において、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧と比較する電圧が、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて低くなる。これによれば、力率改善回路20の出力電圧が上昇している際に、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて早い段階で、力率改善回路20の出力電圧が過電圧状態であると判定することになる。
【0086】
以上のスイッチング電源1Aによれば、スイッチング電源1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0087】
スイッチング電源1Aは、力率改善回路20の出力電圧に応じた電圧と比較器CMP1において比較する電圧を、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて低くする。このため、スタンバイモードにおいて、負荷が軽くなることによって力率改善回路20の出力電圧が上昇してしまっても、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて早い段階で過電圧状態であると判定することができる。したがって、スタンバイモードにおいて、スイッチング電源1Aの出力電圧が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0088】
<第3実施形態>
[スイッチング電源1Bの構成]
図8は、本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源1Bの回路図である。スイッチング電源1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1とは、制御部40の代わりに制御部40Bを備える点で異なる。スイッチング電源1Bにおいて、スイッチング電源1、1Aと同一の構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0089】
図9は、制御部40Bの回路図である。制御部40Bは、図2の制御部40とは、比較器CMP4および直流電源Vref6を備える点と、制御回路43の代わりに図7図示の制御回路43Aを備える点と、制御回路43Aの端子T8を介してスタンバイ部433の出力電圧が誤差増幅器EA1にも入力される点と、で異なる。
【0090】
比較器CMP4の反転入力端子には、誤差増幅器EA1の出力端子と、制御回路43Aの端子T6と、が接続され、比較器CMP4の非反転入力端子には、直流電源Vref6の正極が接続され、比較器CMP4の出力端子には、フリップフロップFF1の第3のリセット端子が接続される。直流電源Vref6の負極には、基準電位GNDが接続される。
【0091】
比較器CMP4は、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする信号のレベルが、直流電源Vref6の正極の電圧以下になると、フリップフロップFF1の第3のリセット端子にHレベル電圧を印加して、フリップフロップFF1をリセットする。これによれば、スイッチ素子Q1がオフ状態となり、スイッチ素子Q1のスイッチングが停止する。
【0092】
制御部40Bにおける誤差増幅器EA1は、制御部40における誤差増幅器EA1と同様に、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする。ただし、制御部40Bにおける誤差増幅器EA1は、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする応答速度を、スタンバイモードであるのか、それともスタンバイモード以外の定常動作状態であるのかに応じて切り替える。
【0093】
具体的には、制御部40Bにおける誤差増幅器EA1は、スタンバイ部433の出力電圧に応じて、スタンバイモードであるのか、それともスタンバイモード以外の定常動作状態であるのかを、判定する。また、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする応答速度を、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて上げる。ここで、誤差増幅器EA1の出力電圧は、フリップフロップFF1の第1のリセット端子に入力される電圧に影響を与える。このため、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて、力率改善回路20の出力電圧の変化に応じて迅速に、スイッチ素子Q1のスイッチング制御が行われることになる。具体的には、gmアンプである誤差増幅器EA1の吐き出し電流および吸い込み電流のレベルを変えることで、応答速度をかえることができる。電流レベルを増やせば、応答速度を上げることが可能である。
【0094】
以上のスイッチング電源1Bによれば、スイッチング電源1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0095】
スイッチング電源1Bは、比較器CMP4およびフリップフロップFF1により、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする信号のレベルが、直流電源Vref6の正極の電圧以下になると、スイッチ素子Q1のスイッチングを停止させる。このため、力率改善回路20の出力電圧が上昇して比較器CMP1により過電圧状態であると判定されるよりも前に、スイッチ素子Q1の発振を停止させることが可能となり、力率改善回路20の出力電圧が過度に高くなってしまうのを防止することができる。したがって、スタンバイモードにおいて、スイッチング電源1Bの出力電圧が高くなりすぎるのを防止することができる。
【0096】
また、スイッチング電源1Bは、電源起動時にDC/DCコンバータ30が動作するまでの期間でも、スタンバイモードと同様に、スイッチ素子Q1に流れる電流の電流値をゼロより大きい所定値にするとともに、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御する。このため、電源起動時にDC/DCコンバータ30が動作するまでの期間でも、スタンバイモードと同様に、スイッチ素子Q1が間欠動作してしまうのを抑制することができるので、制御電圧を安定的に確保することができる。
【0097】
また、スイッチング電源1Bは、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする応答速度を、誤差増幅器EA1により、スタンバイモードでは、スタンバイモード以外の定常動作状態と比べて上げる。このため、比較器CMP4およびフリップフロップFF1によりスイッチ素子Q1が間欠動作を行うことになっても、力率改善回路20の出力電圧をマルチプライヤ42にフィードバックする応答速度が定常動作状態と比べて上がるので、間欠動作における間欠周期を短くすることができ、安定的に制御電圧を確保することができる。
【0098】
<第4実施形態>
[スイッチング電源1Cの構成]
図10は、本発明の第4実施形態に係るスイッチング電源1Cの回路図である。スイッチング電源1Cは、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源1とは、制御部40の代わりに制御部40Cを備える点で異なる。スイッチング電源1Cにおいて、スイッチング電源1と同一の構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
図11は、制御部40Cの回路図である。制御部40Cは、図2の制御部40とは、制御回路43の代わりに制御回路43Bを備える点で異なる。
【0100】
図12は、制御回路43Bの回路図である。制御回路43Bは、図3の制御回路43とは、比較器CMP3および直流電源Vref3の代わりに固定オン幅制御タイマ435を備える点で異なる。
【0101】
固定オン幅制御タイマ435の入力端子には、端子T1が接続され、固定オン幅制御タイマ435の出力端子には、論理積AND2の2つの入力端子のうち他方が接続される。
【0102】
固定オン幅制御タイマ435は、スイッチ素子Q1のオン幅をゼロより大きい所定幅にする。具体的には、フリップフロップFF1からHレベル電圧が出力されると、すなわちスイッチ素子Q1がオン状態になると、固定オン幅制御タイマ435の入力端子に、制御回路43Bの端子T1を介してHレベル電圧が入力される。固定オン幅制御タイマ435は、スイッチ素子Q1がオン状態になってから予め定められた所定時間をカウントすると、Hレベル電圧を出力する。ここで、上述の所定時間には、スイッチ素子Q1のオン幅が上述の所定幅になる時間が予め設定され、この所定幅には、制御巻線L2に生じる電圧を確保するために必要な最小限の値以上の幅が予め設定される。このため、スタンバイモードにおいてスイッチ素子Q1のオン幅が所定幅になると、すなわちスタンバイモードにおいて制御巻線L2に生じる電圧を確保するために必要な最小限の値以上にスイッチ素子Q1のオン幅がなると、論理積AND2の2つの入力端子の双方にHレベル電圧が入力され、フリップフロップFF1がリセットされ、スイッチ素子Q1がオフ状態になる。
【0103】
また、フリップフロップFF1からLレベル電圧が出力されると、すなわちスイッチ素子Q1がオフ状態になると、固定オン幅制御タイマ435の入力端子に、制御回路43Bの端子T1を介してLレベル電圧が入力される。固定オン幅制御タイマ435は、スイッチ素子Q1がオフ状態になると、Lレベル電圧を出力する。
【0104】
以上のスイッチング電源1Cによれば、以下の効果を奏することができる。
【0105】
スイッチング電源1Cは、制御部40Cにより、スタンバイモードにおいて、固定オン幅制御タイマ435と論理積AND2とを用いて、スイッチ素子Q1のオン幅を、制御巻線L2に生じる電圧を確保するために必要な最小限の値以上にするとともに、オフ幅制御タイマ434と論理積AND4とを用いて、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御する。このため、スタンバイモードにおいて、制御電圧を確保するために必要な最小限の幅以上のオン幅をスイッチ素子Q1において維持して、インダクタL1に流れる電流を確保することができるので、制御巻線L2に生じる電圧を確保して、キャパシタC5の充電を十分に行うことができ、その結果、制御電圧を安定的に確保することができる。また、スタンバイモードにおいて、インダクタL1に流れる電流を確保するために、特許文献2に示されているように負荷抵抗に電流を流すことはしないので、消費電力を削減することができる。
【0106】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0107】
例えば、上述の各実施形態において、DC/DCコンバータ30の動作を、スイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に開始させることとしてもよい。これによれば、力率改善回路20の動作から遅れてDC/DCコンバータ30を動作させたり、力率改善回路20の出力電圧が所定の閾値に達した後にDC/DCコンバータ30を動作させたりすることができる。したがって、スイッチング電源の起動時にDC/DCコンバータ30を安定動作させることができる。
【0108】
また、上述の各実施形態において、DC/DCコンバータ30の動作を、上述のようにスイッチング電源の起動を開始してから予め定められた時間が経過した後に開始させる場合において、スイッチ素子Q1に流れる電流の電流値をゼロより大きい所定値にするとともに、スイッチ素子Q1のオフ幅を制御してもよい。これによれば、スイッチング電源の起動を開始してからDC/DCコンバータ30が動作するまでは、力率改善回路20から見ると略無負荷な状態となってしまうが、制御電圧を確保することができる。なお、このことは、DC/DCコンバータ30がハイサイドドライブ回路を有しており、このハイサイドドライブ回路に制御電圧を供給する場合にも、好適である。
【符号の説明】
【0109】
1、1A、1B、1C;スイッチング電源
20;力率改善回路
30;DC/DCコンバータ
40、40A、40B、40C;制御部
43、43A、43B;制御回路
L1;インダクタ
L2;制御巻線
Q1;スイッチ素子
図1
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図12