(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明部は、前記照明光の光軸が向く位置を、前記複数の光源の並び方向に沿って離間した第一の位置から第二の位置に変化させるときには、前記光源の点灯位置を前記第二の位置から前記第一の位置に向かう方向に移動させる
請求項3に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
図1は、一実施の形態に係る表示装置1の概略図である。
【0011】
表示装置1は、画像形成部100と、制御部200と、検出部300と、を有する。
【0012】
画像形成部100は、表示部110と、分離部120と、照明部130と、を有する。画像形成部100は、照明部130から照射された照明光を表示部110で変調して画像を形成する。観察者Uは、表示部110で表示された画像を分離部120を介して観察する。画像形成部100は、立体画像を表示する3Dモードと、平面画像を表示する2Dモードと、を有する。3Dモードで表示が行われるときには、分離部120に画像分離体Bが形成され、表示部110に複数の視差画像(右眼用視差画像R、左眼用視差画像L)を含む3D用の画像が表示される。2Dモードで表示が行われるときには、分離部120には画像分離体Bが形成されず、表示部110には視差画像を含まない2D用の画像が表示される。なお、画像形成部100の詳細については、後述する。
【0013】
制御部200は、表示制御部210と、分離体制御部220と、照明制御部230と、を有する。表示制御部210は、表示部110を制御して、表示部110に3D用の画像または2D用の画像を表示させる。分離体制御部220は、分離部120を制御して、3Dモード時に分離部120に画像分離体Bを形成させる。分離体制御部220は、画像分離体Bが形成される位置および画像分離体Bが形成されるタイミングなどを制御する。照明制御部230は、照明部130を制御して、照明部130から表示部110に向けて照明光を照射させる。照明制御部230は、照明光の光軸(照明光の中心線)の向き、照明光の広がり角および照明光が照射されるタイミングなどを制御する。
【0014】
検出部300は、観察者Uの位置に関する位置情報を検出し、位置情報を位置情報取得部240に供給する。位置情報取得部240は、例えば、制御部200と電気的に接続されるコネクターである。検出部300は、観察者Uを撮像する撮像部310と、撮像部310により撮像された観察者Uの画像を解析して位置情報を検出する画像解析部320と、を有する。位置情報取得部240は、画像解析部320から観察者Uの位置に関する位置情報を取得する。
【0015】
制御部200は、観察者Uの位置情報に基づいて、表示部110、分離部120および照明部130を制御する。3Dモードで表示が行われるときには、分離部120は、位置情報に基づいて画像分離体Bの位置を変化させる。照明部130は、画像分離体Bの位置が変化したタイミングに合わせて照明光の光軸の向きを位置情報に基づいて変化させる。表示部110は、照明光を変調して複数の視差画像を含む画像(3D用の画像)を表示する。2Dモードで表示が行われるときには、分離部120は、画像分離体Bを形成せず、照明部130は、照明光の光軸の向きを位置情報に基づいて変化させる。表示部110は、照明光を変調して画像(2D用の画像)を表示する。
【0016】
図2は、画像形成部100の概略構成を示す断面図である。
【0017】
画像形成部100は、表示部110と、分離部120と、照明部130と、を有する。以下の説明では、観察者Uによって画像が観察される側を「前面側」とし、観察者Uによって画像が観察される側とは反対側を「背面側」として、各部材の構成を説明する。
【0018】
表示部110は、第一の基板111と、第二の基板112と、液晶層113と、第一の偏光板114と、第二の偏光板115と、を有する。照明部130から照射された照明光は、第二の偏光板115を透過して液晶層113に入射し、液晶層113で変調される。液晶層113で変調された照明光は、第一の偏光板114を透過して画像として表示される。表示部110の表示モードは特に限定されず、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードや、TN(Twisted Nematic)モードなどの公知の表示モードが採用される。ECBモードとしては、VA(Virtical Alignment)モードなどの縦電界(液晶層113の層厚方向)を利用した縦電界モードや、IPS(In−Plane Switching)モードなどの横電界(液晶層113の層厚方向と直交する方向)を利用した横電界モードが採用可能である。
【0019】
表示部110には、複数の画素がマトリクス状に設けられている。1つの画素は、それぞれ異なる色を表示する複数の副画素を有する。複数の副画素で表示される色の組み合わせは任意である。例えば、1つの画素が、赤、緑および青の3つの色をそれぞれ表示する3つの副画素によって構成されてもよい。1つの画素が、シアン、イエローおよびマゼンタの3つの色をそれぞれ表示する3つの副画素によって構成されてもよい。色域を拡げるために、1つの画素が4以上の副画素によって構成されてもよい。
【0020】
2Dモードで表示が行われるときには、表示部110には、複数の画素によって、2D用の画像が表示される。3Dモードで表示が行われるときには、表示部110には、複数の画素によって、複数の視差画像を含む3D用の画像が表示される。3Dモードで表示が行われるときには、表示部110には、複数の視差画像にそれぞれ対応した複数の画像領域116が一方向に交互に並んで表示される。
【0021】
複数の画像領域116は、矩形の画素の一辺に沿ってストライプ状に形成されてもよく、矩形の画素の二辺に沿ってステップ状またはデルタ状の形状に形成されてもよい。例えば、
図21は、複数の画像領域116(右眼用画像領域116R、左眼用画像領域116L)が、矩形の画素または副画素PXの一辺に沿ってストライプ状に形成された例を示しており、
図22は、複数の画像領域116が、矩形の画素または副画素PXの二辺に沿ってステップ状に形成された例を示している。画像領域116がストライプ状に形成される場合には、画像領域116は、画素の一辺と平行な方向に長手方向を有し、画像領域116がステップ状またはデルタ状の形状に形成される場合には、画像領域116は、画素の一辺に対して斜めに交差する方向(ステップ状またはデルタ状の形状が画素の一辺と交差する方向に連続する方向)に長手方向を有する。複数の画像領域116は、画像領域116の長手方向と直交する一方向に交互に並んで表示される。
【0022】
複数の画像領域116の各々は、ストライプ状、ステップ状またはデルタ状の配列で並ぶ複数の画素または複数の副画素によって形成される。例えば、
図2では、複数の右眼用画像領域116Rと複数の左眼用画像領域116Lとが一方向に交互に並んで表示されている。複数の右眼用画像領域116Rによって右眼用視差画像Rが表示され、複数の左眼用画像領域116Lによって左眼用視差画像Lが表示される。
【0023】
表示部110の前面側には、接着層125を介して分離部120が設けられている。分離部120は、第一の基板121と、第二の基板122と、液晶層123と、第一の偏光板114と、第三の偏光板124と、を有する。第一の偏光板114は、表示部110の第一の偏光板114と兼用される。第一の偏光板114を透過した照明光は、液晶層123で変調される。液晶層123で変調された照明光は、第三の偏光板124を透過して観察者に観察される。分離部120の表示モードは特に限定されない。例えば、ECBモードやTNモードなどの公知の表示モードが採用される。ECBモードとしては、VAモードなどの縦電界モードや、IPSモードなどの横電界モードが採用可能である。
【0024】
分離部120は、光の透過率を制御可能な複数のシャッター領域126を有する。複数のシャッター領域126の各々の透過率は、分離部120に入力される分離体制御信号によって制御される。分離体制御信号によって、複数のシャッター領域126の各々の液晶層123に印加される電圧が制御され、これにより、複数のシャッター領域126の各々の液晶層123の変調量が制御される。
【0025】
例えば、複数のシャッター領域126は、分離体制御信号によってそれぞれ、電圧が液晶層123に印加されるオン状態と、電圧が液晶層123に印加されないオフ状態と、のいずれかの状態に制御される。シャッター領域126がオン状態のときには、シャッター領域126に入射した照明光は、第三の偏光板124に吸収される方向に偏光方向が調整される。よって、シャッター領域126の透過率は低くなる。シャッター領域126がオフ状態のときには、シャッター領域126に入射した照明光は、第三の偏光板124を透過する方向に偏光方向が調整される。よって、シャッター領域126の透過率は高くなる。
【0026】
図2に示すように、3Dモードで表示が行われるときには、分離部120は、複数のシャッター領域126のうち、画像分離体Bが形成されるべき位置の複数のシャッター領域126Sの透過率を低下させる。これにより、視差バリアとしての画像分離体Bが形成される。画像分離体Bは、透過率が低下した複数のシャッター領域126Sによって形成される。画像分離体Bが形成されない位置の複数のシャッター領域126Pは、高い透過率を有する。2Dモードで表示が行われるときには、全てのシャッター領域126の透過率が高い状態に維持される。複数のシャッター領域126の透過率が電気的に制御されることにより、高速かつ高精度に画像分離体Bの位置が制御される。そのため、観察者Uの位置が変化しても観察者Uの位置の変化に追随して画像分離体Bの位置が常に適切な位置に配置される。
【0027】
複数のシャッター領域126の形状は任意である。分離部120には、複数の矩形のシャッター領域126が、マトリクス状に設けられていてもよい。分離部120には、画像領域116の形状に対応した複数のストライプ状、ステップ状またはデルタ状の形状のシャッター領域126が一方向または二方向に並べて設けられてもよい。例えば、
図21は、複数のシャッター領域126(シャッター領域126S、シャッター領域126P)が、複数の画像領域116の長手方向と平行にストライプ状に形成された例を示しており、
図22は、複数のシャッター領域126が、複数の画像領域116の長手方向(画素または副画素PXの一辺と斜めに交差する方向)に沿ってステップ状に形成された例を示している。複数の画像領域116の並び方向(複数の画像領域116の長手方向と直交する方向)における複数のシャッター領域126のピッチは、複数の画像領域116のピッチよりも小さいことが好ましい。これにより、観察者Uの位置に応じて画像分離体Bの位置を微細に調整することができる。
【0028】
表示部110の背面側には、照明部130が設けられている。照明部130は、表示部110を背面側から照明する。照明部130から照射された照明光は、表示部110および分離部120を透過して観察者Uに観察される。表示部110を透過した照明光は画像として表示される。3Dモードで表示が行われるときには、表示部110を透過した照明光は、複数の視差画像(右眼用視差画像R、左眼用視差画像L)を含む画像として表示される。この画像に含まれる複数の視差画像は、分離部120に形成された画像分離体Bによって分離され、観察者Uの右眼と左眼にそれぞれ入射する。これにより、観察者Uにおいて立体画像が観察される。
【0029】
図3は、照明部130の要部の構成を示す断面図である。
図4は、照明部130に設けられた光源145の構成を示す模式図である。
図5は、照明部130に設けられた光源基板140を前面側から見た図である。
【0030】
図3に示すように、照明部130は、光源基板140と、光調整基板150と、を有する。光源基板140と光調整基板150は、表示部110の第二の偏光板115(
図2参照)と対向して設けられる。光調整基板150と光源基板140は、表示部110側からこの順に設けられている。
【0031】
光源基板140は、基板141と、基板141上に設けられた複数の光源145と、を有する。
図4に示すように、光源145は、例えば、陽極142と、有機発光層143と、陰極144と、が基板141側から順に積層された有機EL素子である。有機発光層143と陽極142との間には、必要に応じて正孔注入層と正孔輸送層とが設けられる。有機発光層143と陰極144との間には、必要に応じて電子注入層と電子輸送層とが設けられる。
【0032】
図5に示すように、複数の光源145は、それぞれストライプ状に形成されている。複数の光源145はそれぞれ、画像領域116(
図2参照)の長手方向と平行に延びる。複数の光源145は、複数の画像領域116の並び方向と平行な方向に並べて配置されている。複数の光源145の一端側には、複数の光源145と交差する方向に延びる複数の配線147が設けられている。
図5では、配線147の本数は6本であるが、配線147の数はこれに限られない。
【0033】
複数の光源145は、6本ごとに同じ配線147と電気的に接続されている。これにより、複数の光源145が6つのグループに分けられる。それぞれのグループに属する複数の光源145は同じ配線147によって同時に駆動される。互いに隣接する6つの光源145は、互いに異なる配線147と電気的に接続され、それぞれ独立に駆動を制御される。互いに隣接する6つの光源145は、一つの光源群146を構成する。基板141上には、複数の光源群146が複数の光源145の並び方向に並べて設けられている。
【0034】
一つの光源群146に含まれる光源145の数は、配線147の数によって増減させることができる。配線147の数がn本(nは2以上の整数)であれば、複数の光源145は、n本ごとに同じ配線147と電気的に接続される。これにより、複数の光源145がn個のグループに分けられる。それぞれのグループに属する複数の光源145は同じ配線147によって同時に駆動される。互いに隣接するn個の光源145は、互いに異なる配線147と電気的に接続され、それぞれ独立に駆動を制御される。互いに隣接するn個の光源145は、一つの光源群146を構成する。
【0035】
以下、複数の配線147を区別する場合には、それぞれの配線147の名称の先頭に番号を付し、符号の末尾にもその番号を付す。複数の配線147によってそれぞれ独立に駆動される複数の光源145を区別する場合には、それぞれの光源145の名称の先頭に番号を付し、符号の末尾にもその番号を付す。
【0036】
図3に示すように、光調整基板150は、基板151と、基板151上に設けられた複数の光調整層152と、を有する。複数の光調整層152は、それぞれ光源145の長手方向と平行に延びる。複数の光調整層152は、複数の光源群146と一対一に対応して設けられている。光調整層152は、対応する光源群146に含まれる複数の光源145と対向して設けられ、複数の光源145からそれぞれ放射された光L1を互いに光軸が異なる向きとなるように調整する。光調整層152は、例えば、複数の光源145の並び方向と平行な断面が表示部110に向けて凸となるレンズである。
【0037】
図3では、光調整層152が平凸レンズとして構成される例が記載されているが、レンズは、光源の位置に応じて、照射する光の方向を変更できるものであればよく、レンズの種類としては、平凸レンズおよびフレネルレンズのいずれを用いてもよい。
【0038】
照明部130は、各光源群146において点灯している一つまたは複数の光源145から放射された光L1を照明光L2として表示部110に照射する。照明部130は、画像分離体B(
図2参照)の位置が変化したタイミングに合わせて光源145の点灯位置を観察者の位置情報に基づいて変化させる。
【0039】
図6〜
図8は、光源145の点灯位置と照明光L2の光軸AXの向きとの関係を示す図である。
【0040】
図6に示すように、光調整層152の左端部に対向して設けられた第一の光源145−1を点灯させると、第一の光源145−1から放射された光L1は、光調整層152によって、右側に大きく傾いた方向に光軸AXを有する照明光L2に変換される。照明光L2は、表示部に大きな角度θaで入射する。照明光L2は、右側から画像を観察する観察者に向けて効率よく照射される。
【0041】
図7に示すように、光調整層152の中央部に対向して設けられた第四の光源145−4を点灯させると、第四の光源145−4から放射された光L1は、光調整層152によって、左側に僅かに傾いた方向に光軸AXを有する照明光L2に変換される。照明光L2は、表示部に小さな角度θbで入射する。照明光L2は、正面もしくは若干左側から画像を観察する観察者に向けて効率よく照射される。
【0042】
図8に示すように、光調整層152の右端部に対向して設けられた第六の光源145−6を点灯させると、第六の光源145−6から放射された光L1は、光調整層152によって、左側に大きく傾いた方向に光軸AXを有する照明光L2に変換される。照明光L2は、表示部に大きな角度θcで入射する。照明光L2は、左側から画像を観察する観察者に向けて効率よく照射される。
【0043】
図9〜
図11は、照明光L2の光軸AXの向きおよび照明光L2の広がり角Θを設定する方法を説明する図である。
図9〜
図11では、分離部などの図示を省略する。
【0044】
図9に示すように、照明光L2の光軸AXの向きは、観察者Uの位置に基づいて制御される。照明部130は、観察者Uが表示部110の画像を観察する方向に照明光L2を照射する。
図1に示した検出部300は、例えば、観察者Uが表示部110を観察する角度(以下、「観察角」という)αを検出する。観察角αは、例えば、表示部110の表示面110a上に設定された基準位置SPと観察者Uとを結ぶ仮想線TLが、表示面110aの法線NLとなす角度である。照明部130は、例えば、表示部110に入射する照明光L2の入射角θが観察角αと等しくなるように照明光L2の光軸AXの向きを設定する。基準位置SPが設定される位置は、任意である。基準位置SPは、例えば表示面110aの中心に設定されるが、基準位置SPが設定される位置はこれに限定されない。
【0045】
照明光L2の広がり角Θは、観察者Uと表示部110との距離VRに基づいて制御される。距離VRは、観察者Uと基準位置SPとの距離Dでもよいし、表示面110aの法線NLと平行な方向における観察者Uと基準位置SPとの距離Hでもよい。距離VRが大きいときには、照明部130は、照明光L2の広がり角Θを小さくする。距離VRが小さいときには、照明部130は、照明光L2の広がり角Θを大きくする。
【0046】
例えば、
図10に示すように、距離VR1が大きいときには、観察者Uの右眼が画像を見る方向と観察者Uの左眼が画像を見る方向とがなす角度(以下、「眼間角度」という)EA1は小さくなる。そのため、照明光L2の広がり角Θaも眼間角度EA1と同様に小さくすることができる。照明光L2の広がり角Θaが眼間角度EA1よりも大きければ、複数の視差画像を分離して観察することができるが、照明光L2の広がり角Θaが眼間角度EA1に比べて大きすぎると、観察者Uに観察されない位置に照射される光が多くなる。よって、照明光L2の広がり角Θaは眼間角度EA1と同程度の大きさに設定される。
【0047】
図11に示すように、距離VR2が小さいときには、眼間角度EA2は大きくなる。そのため、照明光L2の広がり角Θbも眼間角度EA2と同様に大きくする必要がある。照明光L2の広がり角Θbが眼間角度EA2よりも大きければ、複数の視差画像を分離して観察することができるが、照明光L2の広がり角Θbが眼間角度EA2に比べて大きすぎると、観察者Uに観察されない位置に照射される光が多くなる。よって、照明光L2の広がり角Θbは眼間角度EA2と同程度の大きさに設定される。
【0048】
照明光L2の広がり角Θは、各光源群146(
図3参照)において点灯される光源145の点灯数を制御することにより制御することができる。照明部130は、観察者Uと表示部110との距離VRに基づいて光源145の点灯数を変化させる。
【0049】
図12〜
図14は、光源145の点灯数と照明光の広がり角との関係を説明する図である。
図12〜
図14において、横軸は照明光の照射角度DAを示しており、縦軸は照明光の明るさBRを示している。
図12〜
図14では、一つの光源群146を構成する光源145の数は10個である。以下、10個の光源145を区別する場合には、それぞれの光源145の名称の先頭に番号を付し、符号の末尾にもその番号を付す。
【0050】
図12に示すように、10個の光源145をそれぞれ単独で点灯させたときに得られる10個の照明光の光軸は、互いに4°ずつ異なる。各照明光の角度分布はガウシアン分布である。各照明光の広がり角は8°であり、各照明光は光軸を中心として概ね8°の範囲に照射される。よって、光源145の点灯数を増やせば、照明光の広がり角を大きくすることができる。また、光源145の点灯位置を変えれば、照明光の光軸の向き(表示部への入射角)を変化させることができる。
【0051】
例えば、
図13に示すように、光源群の中央部に位置する二つの光源145(第五の光源145−5、第六の光源145−6)を同時に点灯させると、照明光の広がり角は12°となり、照明光の表示部への入射角は0°となる。
図14に示すように、光源群の中央部に位置する四つの光源145(第四の光源145−4、第五の光源145−5、第六の光源145−6、第七の光源145−7)を同時に点灯させると、照明光の広がり角は20°となり、照明光の表示部への入射角は0°となる。
【0052】
図15は、観察者と表示部との距離VRと、最適な光源の点灯数Nと、の関係を示す図である。
図15において、横軸は距離VRを示しており、右側の縦軸は最適な光源の点灯数Nを示しており、左側の縦軸は眼間角度EAを示している。
【0053】
図15に示すように、最適な光源の点灯数Nは、距離VRが小さいほど多くなる。例えば、距離VRが30cm以下では、眼間角度EAは12°以上であり、最適な点灯数Nは8つである。距離VRが46cm以下では、眼間角度EAは8°以上であり、最適な点灯数Nは6つである。距離VRが92cm以下では、眼間角度EAは4°以上であり、最適な点灯数Nは4つである。よって、常に10個の光源を点灯させる場合に比べて、距離VRが30cm以下では20%の消費電力が削減され、距離VRが46cm以下では40%の消費電力が削減され、距離VRが92cm以下では60%の消費電力が削減される。
【0054】
この場合、観察者が表示部に近づくほど表示が明るくなり、観察者が表示部から遠ざかるほど表示が暗くなる。そのため、照明部130は、観察者と表示部との距離VRに基づいて、点灯する光源145の明るさを変化させてもよい。例えば、距離VRが小さくなるほど、点灯する光源の明るさを小さくすれば、距離VRによって明るさが大きく変動することが抑制される。
【0055】
図16〜
図19は、3Dモードで表示が行われるときの表示方法の説明図である。
図20は、3Dモードで表示が行われるときの各種信号のタイミングチャートである。
図20において、符号PDSは、
図1に示した画像解析部320が制御部200に供給する観察者の位置情報に関する信号を示しており、符号BDSは、分離体制御部220が分離部120に供給する分離体制御信号を示しており、符号TRは、分離部120に設けられた特定のシャッター領域126−1(
図16〜
図19参照)の透過率を示しており、符号LDSは、照明制御部230が照明部130に供給する照明制御信号を示している。
図20において、横軸は時刻を示している。
【0056】
以下、
図1、
図2および
図20を参照しながら、制御部200および検出部300の動作を説明する。
【0057】
画像解析部320は、観察者Uの位置情報に関する信号PDSを一定時間ごとに制御部200に供給する。位置情報取得部240は一定時間ごとに観察者Uの位置に関する位置情報を取得する(位置情報取得ステップ)。位置情報取得部240が取得した位置情報は制御部200に供給される。信号PDSが制御部200に供給されるタイミングは任意である。信号PDSは、撮像部310が観察者Uを撮像するタイミングに合わせて制御部200に供給されればよい。
【0058】
分離体制御部220は、信号PDSが供給されたタイミングに合わせて分離部120に分離体制御信号BDSを供給する。分離部120に設けられた複数のシャッター領域126の透過率は、分離体制御信号BDSによって観察者Uの位置情報に基づいてそれぞれ制御される。これにより、分離部120は、観察者Uの位置情報に基づいて画像分離体Bの位置を変化させる(分離体制御ステップ)。
【0059】
照明制御部230は、信号PDSが供給されたタイミングに合わせて照明部130に照明制御信号LDSを供給する。照明部130に設けられた光源145の点灯位置は、照明制御信号LDSによって観察者Uの位置情報に基づいて制御される。照明部130は、例えば、画像分離体Bが形成されるべき位置の複数のシャッター領域126の透過率TRの変化が完了してから表示部110に照明光L2を照射する。これにより、照明部130は、画像分離体Bの位置が変化したタイミングに合わせて照明光L2の光軸AXの向きを観察者Uの位置情報に基づいて変化させる(照明制御ステップ)。ただし、照明部130は、照明光L2を照射したまま、光源145の切り替えによって照明光l2の光軸AXの向きを変化させてもよい。
【0060】
表示部110は、照明光L2を変調して複数の視差画像を含む画像を表示する(表示ステップ)。
【0061】
以下、
図16〜
図19を参照して、分離部120および照明部130の動作を説明する。
図16〜
図19に示した時刻tは、
図20に示した時刻tに対応している。
【0062】
図16に示すように、時刻tがt0のときに、観察者Uは、表示部110の画像(右眼用視差画像R、左眼用視差画像L)を第一の位置から観察する。第一の位置は、基準位置SPと対向する位置である。観察者Uの観察角は0°である。
【0063】
分離部120は、観察者Uに右眼用視差画像Rと左眼用視差画像Lとが適切に観察されるように、右眼用画像領域116Rと左眼用画像領域116Lとの境界部に位置する二つのシャッター領域126(シャッター領域126−1、シャッター領域126−2)の透過率を高くし、この二つのシャッター領域126と隣接する複数のシャッター領域126の透過率を低下させる。透過率が低下した複数のシャッター領域126によって画像分離体Bが形成される。
【0064】
照明部130は、観察者Uに向けて照明光L2が照射されるように、光源群146の中央部に位置する光源145−2を点灯させ、照明光L2を表示部110に垂直に入射させる。照明部130は、観察者Uと表示部110との距離に基づいて光源145の点灯数を変化させ、照明光L2の広がり角Θ1を制御する。
【0065】
図17に示すように、時刻tがt1のときに、観察者Uは、表示部110の画像を第二の位置から観察する。第二の位置は、複数の光源145の並び方向に沿って第一の位置から第一の方向D1(
図17では例えば右方向)に移動した位置である。観察者Uが第一の方向D1に移動すると、観察者Uの観察角も第一の方向D1に変化する。
【0066】
分離部120は、観察者Uに右眼用視差画像Rと左眼用視差画像Lとが適切に観察されるように、画像分離体Bの位置を観察者Uの移動方向と同じ第一の方向D1にずらす。具体的には、分離部120は、シャッター領域126−2と、シャッター領域126−2の隣りのシャッター領域126−3の透過率を高くし、シャッター領域126−1の透過率を低下させる。これにより、画像分離体Bの位置が、第一の位置で観察するときと比べて、シャッター領域一つ分だけ第一の方向D1に移動する。
【0067】
照明部130は、照明光L2の光軸AXが向く位置を、複数の光源145の並び方向に沿って離間した第一の位置から第二の位置に変化させるときには、光源145の点灯位置を第二の位置から第一の位置に向かう方向D2に移動させる。例えば、照明部130は、光源群146の左端部に位置する光源145−1を点灯させ、すでに点灯している中央部の光源145−2を消灯する。これにより、照明部130は、観察者Uの観察角αに対応させて、照明光L2を入射角θ1で表示部110に斜めに入射させる。照明部130は、観察者Uと表示部110との距離に基づいて光源145の点灯数を変化させ、照明光L2の広がり角Θ2を制御する。
図20に示したように、シャッター領域126−1の透過率は、徐々に変化する。そのため、照明部130は、シャッター領域126−1の透過率の変化が完了してから表示部110に照明光L2を照射する。
【0068】
図18に示すように、時刻tがt2のときに、観察者Uは、第二の位置で表示部110の画像を観察する。観察者Uは時刻t1から時刻t2まで同じ位置に停止して表示を観察する。画像分離体Bの位置は時刻t1から時刻t2まで変化せず、照明光L2の光軸AXの向きおよび照明光L2の広がり角Θ2も時刻t1から時刻t2まで変化しない。
【0069】
図19に示すように、時刻tがt3のときに、観察者Uは、表示部110の画像を第三の位置から観察する。第三の位置は、複数の光源145の並び方向に沿って第二の位置から第二の方向D2(
図19では例えば左方向)に移動した位置である。
図19では、例えば、第三の位置は第一の位置と一致する。観察者Uが第二の方向D2に移動すると、観察者Uの観察角も第二の方向D2に変化する。
【0070】
分離部120は、観察者Uに右眼用視差画像Rと左眼用視差画像Lとが適切に観察されるように、画像分離体Bの位置を観察者Uの移動方向と同じ第二の方向D2にずらす。具体的には、分離部120は、シャッター領域126−1とシャッター領域126−2の透過率を高くし、シャッター領域126−3の透過率を低下させる。これにより、画像分離体Bの位置が、第二の位置で観察するときと比べて、シャッター領域一つ分だけ第二の方向D2に移動する。
【0071】
照明部130は、照明光L2の光軸AXが向く位置を、複数の光源145の並び方向に沿って離間した第二の位置から第三の位置に変化させるときには、光源145の点灯位置を第三の位置から第二の位置に向かう方向D1に移動させる。例えば、照明部130は、光源群146の中央部に位置する光源145−2を点灯させ、すでに点灯している左端部の光源145−1を消灯する。これにより、照明部130は、観察者Uの観察角に対応させて、照明光L2を表示部110に垂直に入射させる。
図20に示したように、シャッター領域126−1の透過率は、徐々に変化する。そのため、照明部130は、シャッター領域126−1の透過率の変化が完了してから表示部110に照明光L2を照射する。照明部130は、観察者Uと表示部110との距離に基づいて光源145の点灯数を変化させ、照明光L2の広がり角Θ3を制御する。
【0072】
以上のように、本実施形態の表示装置1では、観察者Uの位置に基づいて画像分離体Bの位置、照明光L2の光軸AXの向きおよび照明光L2の広がり角Θが変化する。そのため、観察者Uの位置が変化しても、逆視などの表示不良が発生しにくく、観察者Uに観察されない無駄な光も少ない。よって、光のロスを抑えつつ様々な位置で立体画像を表示することが可能である。
【0073】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0074】
例えば、上記の実施形態では、位置情報取得部240としてコネクターが例示されたが、位置情報取得部240はコネクターに限られない。フレキシブルプリント回路基板や入力端子などが位置情報取得部として用いられてもよい。また、分離部120として液晶パネルが例示されたが、分離部120は液晶パネルに限られない。開口部が形成された遮光板が分離部120として用いられてもよい。この場合、遮光板を観察者Uの位置に基づいて機械的に移動させる移動装置が表示装置1に設けられる。また、光調整層152としてレンズ(屈折素子)が例示されたが、光調整層152はレンズに限られない。ホログラム素子のように回折現象を用いて光軸を調整する回折素子が光調整層152として用いられてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、検出部300として、撮像部310と画像解析部320とを有するものが例示されたが、検出部300の構成はこれに限られない。例えば、検出部300は、赤外線や超音波を観察者Uに照射し、その反射波が受信されるまでの時間を距離に換算して観察者Uの位置情報を検出してもよい。また、検出部300は、GPS(Global Positioning System)を用いて、観察者Uと表示部110との相対位置に関する情報(位置情報)を検出してもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では、画像分離体Bが視差バリアである例が例示されたが、画像分離体の構成はこれに限定されない。画像分離体Bは、レンチキュラーレンズでもよい。この場合、分離部120は、屈折率分布を制御可能な複数のシャッター領域126を有する。分離部120は、複数のシャッター領域126の屈折率分布を制御することにより、画像分離体Bを形成する。画像分離体Bは、凸レンズ(平凸レンズまたはフレネルレンズ)として機能する複数のレンズ部によって構成される。各々のレンズ部は、複数のシャッター領域126により構成される。画像分離体Bによって、表示部110に表示された複数の視差画像が分離される。シャッター領域126の屈折率分布は、液晶層123の配向分布(液晶層123内の電界分布)によって制御される。分離部120では、分離体制御信号により、複数のシャッター領域126の液晶層123に印加する電圧が制御されることにより、複数のシャッター領域126に跨る凸レンズ状の屈折率分布が実現される。
【0077】
また、上記の実施形態では、光源145が有機EL素子で構成される例が例示されたが、光源145の構成はこれに限られない。光源145は、発光体と導光体とにより構成されてもよい。例えば、光源基板140には、
図5に示した複数の光源145の配置領域に、複数のストライプ状の第一の導光体が配置され、複数の配線147の配置領域に、複数(
図5の例では、例えば6本)のストライプ状の第二に導光体が配置される。複数の第一の導光体は、6本ごとに同じ第二の導光体と接続される。複数の第二の導光体の各々の端部には発光体が設けられる。それぞれの発光体は互いに独立に駆動される。この構成でも、複数の第一の導光体が6つのグループに分けられる。それぞれのグループに属する複数の第一の導光体には、共通の第二の導光体を介して発光体からの光が同時に入射し、それぞれの第一の導光体の内部を伝播した光が表示部110に向けて照射される。