特許第6360011号(P6360011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6360011溶湯保持炉の溶湯処理システム及び溶湯処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6360011
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】溶湯保持炉の溶湯処理システム及び溶湯処理方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 45/00 20060101AFI20180709BHJP
   B22D 43/00 20060101ALI20180709BHJP
   C22B 9/05 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   B22D45/00 B
   B22D43/00 A
   C22B9/05
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-147442(P2015-147442)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-24058(P2017-24058A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2017年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】592017002
【氏名又は名称】三建産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】寺西 真敏
(72)【発明者】
【氏名】籔本 博俊
(72)【発明者】
【氏名】桝木 慶之助
(72)【発明者】
【氏名】高見 貴之
(72)【発明者】
【氏名】福武 直人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真一
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−105455(JP,A)
【文献】 特開2002−153971(JP,A)
【文献】 特開2004−257715(JP,A)
【文献】 特開2014−087829(JP,A)
【文献】 特開2010−084213(JP,A)
【文献】 特開平06−174380(JP,A)
【文献】 特開2014−080663(JP,A)
【文献】 米国特許第05914440(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 43/00,45/00
C22B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇温された溶湯から不純物を除去する溶湯処理室と、前記溶湯処理室と左右2つの流路を介して接続され前記溶湯処理室で処理された溶湯を出湯する汲出し室を少なくとも備える溶湯保持炉の溶湯処理システムであって、
昇降自在かつ回転自在の回転軸と、その回転軸の先端に取付けられ、前記溶湯処理室内で前記2つの流路間に配置される旋回体からなる撹拌装置と、
前記撹拌装置の回転軸を、前記旋回体の高さが少なくとも前記溶湯処理室低部で前記2つの流路の上面位置よりも低い第一基準位置の高さから、その第一基準位置よりも高くかつ前記2つの流路の上面位置よりも高い第二基準位置の高さになるまで昇降させることができる昇降駆動装置と、
前記撹拌装置の回転軸を回転させる回転駆動装置と
前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から不活性ガスを噴出させるガス噴射装置と、
操業時には、前記昇降駆動装置を介して前記旋回体の高さを前記第二基準位置にした状態で前記回転駆動装置及び前記ガス噴射装置を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記昇降駆動装置を介して前記旋回体の高さを前記第一基準位置にした状態で前記回転駆動装置及び前記ガス噴射装置を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させる制御装置を、備え、
その上、前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するフラックス供給装置をさらに備えることを特徴とする溶湯保持炉の溶湯処理システム。
【請求項2】
昇温された溶湯から不純物を除去する溶湯処理室と、前記溶湯処理室と左右2つで一方よりも他方の方が高い位置にある流路を介して接続され前記溶湯処理室で処理された溶湯を出湯する汲出し室を少なくとも備える溶湯保持炉の溶湯処理システムであって、
昇降自在かつ回転自在の回転軸と、その回転軸の先端に取付けられ、前記溶湯処理室内で前記2つの流路間に配置される旋回体からなる撹拌装置と、
前記撹拌装置の回転軸を、前記旋回体の高さが少なくとも前記溶湯処理室低部で前記2つの流路の上面位置よりも低い第一基準位置の高さから、その第一基準位置よりも高くかつ前記2つの流路のうち一方の流路の上面位置よりも高い第二基準位置の高さになるまで昇降させることができる昇降駆動装置と、
前記2つの流路のうち他方の流路と前記旋回体の間でかつ前記他方の流路より高い位置まで立設された仕切り壁と、
前記撹拌装置の回転軸を回転させる回転駆動装置と
前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から不活性ガスを噴出させるガス噴射装置と、
操業時には、前記昇降駆動装置を介して前記旋回体の高さを前記第二基準位置にした状態で前記回転駆動装置及び前記ガス噴射装置を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記昇降駆動装置を介して前記旋回体の高さを前記第一基準位置にした状態で前記回転駆動装置及び前記ガス噴射装置を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させる制御装置を、備え、
その上、前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するフラックス供給装置をさらに備えることを特徴とする溶湯保持炉の溶湯処理システム。
【請求項3】
昇温された溶湯から不純物を除去する溶湯処理室と、前記溶湯処理室と左右2つの流路を介して接続され前記溶湯処理室で処理された溶湯を出湯する汲出し室を少なくとも備える溶湯保持炉の溶湯処理方法であって、
前記溶湯処理室内で前記2つの流路間に、回転軸の先端に旋回体が取付けられてなる撹拌装置の前記旋回体を配置するとともに前記旋回体の中心部に形成された開口穴から不活性ガスを噴出させるようにして、
操業時には、前記旋回体の高さを前記2つの流路の両方の上面位置よりも高い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記旋回体の高さを前記2つの流路の上面位置と同等の位置あるいはそれら2つの流路の上面位置よりも低い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させるようにし、
その上、前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにしたことを特徴とする溶湯保持炉の溶湯処理方法。
【請求項4】
昇温された溶湯から不純物を除去する溶湯処理室と、前記溶湯処理室と左右2つで一方よりも他方の方が高い位置にある流路を介して接続され前記溶湯処理室で処理された溶湯を出湯する汲出し室を少なくとも備える溶湯保持炉の溶湯処理方法であって、
前記溶湯処理室内で前記2つの流路間に、回転軸の先端に旋回体が取付けられてなる撹拌装置の前記旋回体を配置するとともに前記旋回体の中心部に形成された開口穴から不活性ガスを噴出させるようにして、
操業時には、前記旋回体の高さを前記2つの流路の一方の上面位置よりも高い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記旋回体の高さを前記2つの流路の上面位置よりも低い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体を回転させるようにし、
その上、前記撹拌装置の旋回体の中心部に形成された開口穴から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにしたことを特徴とする溶湯保持炉の溶湯処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金等の非鉄金属を精錬する機能を備える溶湯保持炉の溶湯処理システム及び溶湯保持炉の溶湯処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミニウム合金等の非鉄金属は化学的に活性な金属であるため、容易に空気成と反応してAl23,MgOなどの酸化物を生成しやすく、また、溶湯表面から空気成分が混入して溶湯の清浄度を劣化させている。
酸化物や介在物や空気成分が溶湯に混入すると、製品の表面にあらわれて外観不良になるとともに製品に亀裂や破壊を生じさせるおそれがある。
【0003】
そこで、アルミニウム合金等の非鉄金属から不純物を除去するための処理装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−156377号公報
【0005】
特許文献1に記載された発明は、処理槽内に収容した溶融金属を、回転軸の先端に設けた気泡発生器よりガスを噴出し、同時にその外周に取付けた回転羽根を正転及び反転することにより撹拌して、溶融金属に含まれる水素ガスや非金属介在物等の不純物を除去するものである。
また、ガスに加えて溶湯処理用フラックスを投入して溶かし化学反応させることにより溶湯中の介在物を滓化させることも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明のような気泡発生器は、溶湯保持炉に溶湯が供給される前段階のところで設置され、アルミニウム合金等の非鉄金属から不純物を除去するための処理が行われた溶湯を溶湯保持炉に供給するものであるので、溶湯保持炉内、すなわち、溶湯処理室やその溶湯処理室と接続された汲出し室で溶湯から不純物を除去するものではなかった。
そのため、経時的には不純物の影響で製品が劣化するといった恐れは依然としてあった。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、効率良く非鉄金属を精錬しうる溶湯保持炉の溶湯処理システム及び溶湯処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の溶湯保持炉の溶湯処理システムは、昇温された溶湯(10)から不純物を除去する溶湯処理室(23)と、前記溶湯処理室(23)と左右2つの流路(33,34)を介して接続され前記溶湯処理室(23)で処理された溶湯(10)を出湯する汲出し室(24)を少なくとも備える溶湯保持炉(20)の溶湯処理システムであって、
昇降自在かつ回転自在の回転軸(41)と、その回転軸(41)の先端に取付けられ、前記溶湯処理室(23)内で前記2つの流路(33,34)間に配置される旋回体(42)からなる撹拌装置(40)と、
前記撹拌装置(40)の回転軸(41)を、前記旋回体(42)の高さが少なくとも前記溶湯処理室(23)低部で前記2つの流路(33,34)の上面位置よりも低い第一基準位置(101)の高さから、その第一基準位置(101)よりも高くかつ前記2つの流路(33,34)の上面位置よりも高い第二基準位置(102)の高さになるまで昇降させることができる昇降駆動装置(50)と、
前記撹拌装置(40)の回転軸(41)を回転させる回転駆動装置(60)と
前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から不活性ガスを噴出させるガス噴射装置(70)と、
操業時には、前記昇降駆動装置(50)を介して前記旋回体(42)の高さを前記第二基準位置(102)にした状態で前記回転駆動装置(60)及び前記ガス噴射装置(70)を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記昇降駆動装置(50)を介して前記旋回体(42)の高さを前記第一基準位置(101)にした状態で前記回転駆動装置(60)及び前記ガス噴射装置(70)を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させる制御装置(80)を、備え、
その上、前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するフラックス供給装置(90)をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、昇温された溶湯(10)から不純物を除去する溶湯処理室(23)と、前記溶湯処理室(23)と左右2つで一方(33)よりも他方(34)の方が高い位置にある流路(33,34)を介して接続され前記溶湯処理室(23)で処理された溶湯(10)を出湯する汲出し室(24)を少なくとも備える溶湯保持炉(20)の溶湯処理システムであって、
昇降自在かつ回転自在の回転軸(41)と、その回転軸(41)の先端に取付けられ、前記溶湯処理室(23)内で前記2つの流路(33,34)間に配置される旋回体(42)からなる撹拌装置(40)と、
前記撹拌装置(40)の回転軸(41)を、前記旋回体(42)の高さが少なくとも前記溶湯処理室(23)低部で前記2つの流路(33,34)の上面位置よりも低い第一基準位置(101)の高さから、その第一基準位置(101)よりも高くかつ前記2つの流路(33,34)のうち一方の流路(33)の上面位置よりも高い第二基準位置(102)の高さになるまで昇降させることができる昇降駆動装置(50)と、
前記2つの流路(33,34)のうち他方の流路(34)と前記旋回体(42)の間でかつ前記他方の流路(34)より高い位置まで立設された仕切り壁(100)と、
前記撹拌装置(40)の回転軸(41)を回転させる回転駆動装置(60)と
前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から不活性ガスを噴出させるガス噴射装置(70)と、
操業時には、前記昇降駆動装置(50)を介して前記旋回体(42)の高さを前記第二基準位置(102)にした状態で前記回転駆動装置(60)及び前記ガス噴射装置(70)を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記昇降駆動装置(50)を介して前記旋回体(42)の高さを前記第一基準位置(101)にした状態で前記回転駆動装置(60)及び前記ガス噴射装置(70)を介して不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させる制御装置(80)を、備え、
その上、前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するフラックス供給装置(90)をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の溶湯保持炉の溶湯処理方法は、昇温された溶湯(10)から不純物を除去する溶湯処理室(23)と、前記溶湯処理室(23)と左右2つの流路(33,34)を介して接続され前記溶湯処理室(23)で処理された溶湯(10)を出湯する汲出し室(24)を少なくとも備える溶湯保持炉(20)の溶湯処理方法であって、
前記溶湯処理室(23)内で前記2つの流路(33,34)間に、回転軸(41)の先端に旋回体(42)が取付けられてなる撹拌装置(40)の前記旋回体(42)を配置するとともに前記旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から不活性ガスを噴出させるようにして、
操業時には、前記旋回体(42)の高さを前記2つの流路(33,34)の両方の上面位置よりも高い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記旋回体(42)の高さを前記2つの流路(33,34)の上面位置と同等の位置あるいはそれら2つの流路(33,34)の上面位置よりも低い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させるようにし、
その上、前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の溶湯保持炉の溶湯処理方法は、昇温された溶湯(10)から不純物を除去する溶湯処理室(23)と、前記溶湯処理室(23)と左右2つで一方(33)よりも他方(34)の方が高い位置にある流路(33,34)を介して接続され前記溶湯処理室(23)で処理された溶湯(10)を出湯する汲出し室(24)を少なくとも備える溶湯保持炉(20)の溶湯処理方法であって、
前記溶湯処理室(23)内で前記2つの流路(33,34)間に、回転軸(41)の先端に旋回体(42)が取付けられてなる撹拌装置(40)の前記旋回体(42)を配置するとともに前記旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から不活性ガスを噴出させるようにして、
操業時には、前記旋回体(42)の高さを前記2つの流路(33,34)の一方(33)の上面位置よりも高い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させ、
非操業時又はユーザからの指示があると、前記旋回体(42)の高さを前記2つの流路(33,34)の上面位置よりも低い位置にした状態で不活性ガスを噴出させつつ前記旋回体(42)を回転させるようにし、
その上、前記撹拌装置(40)の旋回体(42)の中心部に形成された開口穴(42a)から前記不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにしたことを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転軸の先端に取付けられ、中心部から不活性ガスが噴出される旋回体の高さを、溶湯処理室内において、通常の操業時には、溶湯処理室と汲出し室を連通する2つの流路よりも高い第二基準位置に設定し、非操業時又はユーザからの指示があると旋回体の高さを、溶湯処理室低部の第一基準位置の高さに設定するようにしたので、週末(休日)などの非操業時(ユーザからの指示があった場合も強制的)には、旋回体を溶湯処理室低部に設定した後、不活性ガスを噴出させつつ旋回体を回転(正転だけでなく逆転も含む)させるようにすることで溶湯の脱ガス処理を溶湯の底から広い範囲にわたって実施することができる。
しかも、溶湯処理室と汲出し室は2つの流路で連通され溶湯が循環されるようにしているので、2つの部屋内における溶湯の清浄化が自動的に実施され、経時的に溶湯に不純物が溜まり製品が劣化するといった恐れを防止することができる。
そして、操業時においても同じ溶湯処理室で不活性ガスを噴出させつつ旋回体を回転させることによって溶湯の脱ガス処理を実施するので不純物を効率的に除去することができる。
【0015】
また、これに加えて、旋回体の中心部に形成された開口穴から不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入することによりフラックスによる脱滓処理についても溶湯の広範囲にわたって実施することができる。なお、フラックスの残渣は溶湯処理室及び汲出し室の溶湯表面でそれぞれ回収される。
そして、操業時においても同じ溶湯処理室でフラックスによる脱滓処理が実施されるので溶湯が清浄化される。しかも、操業時には旋回体の高さは、溶湯処理室と汲出し室を連通する2つの流路よりも高い第二基準位置に設定してあるので、フラックスの残渣が汲出し室の方に浸入することは抑制され、フラックスが製品に混入することも防止される。
【0016】
また、本発明によれば、溶湯処理室と汲出し室を連通する2つの流路の高さが異なる場合、旋回体の高さを溶湯処理室低部の第一基準位置の高さから、その第一基準位置よりも高くかつ一方の流路の位置よりも高い第二基準位置の高さになるまで昇降させるようにし、他方の流路より高い位置まで仕切り壁を立設したので、操業時に旋回体を他方の流路の位置より低い位置にしたとしても処理後のフラックスが溶湯処理室側から汲出し室側に流れることは防止され、製品に混入する危険性も回避されます。
【0017】
なお、本発明のように、溶湯処理室内に撹拌装置の旋回体を配置して、操業時と非操業時には旋回体の高さを変えることによって効率的に溶湯を清浄化するものは、上述した特許文献には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る溶湯保持炉を示す概略平面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】操業時の様子を示す、図1のB−B線断面図である。
図4】非操業時の様子を示す、図1のB−B線断面図である。
図5】操業時の様子を示す、図1のC−C線拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る溶湯保持炉を制御する制御装置に関する電気的構成概要を示すブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係る別の溶湯保持炉に関し、図5に相当する拡大断面図である。
図8図7に示す溶湯保持炉に関し、図3に相当する拡大断面図である。
図9図7に示す溶湯保持炉に関し、図4に相当する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図6を参照して、本発明の実施形態に係る溶湯保持炉20の溶湯処理システム及び溶湯処理方法について説明する。
この溶湯保持炉20は、アルミニウム合金(その他の非鉄金属であってもよい)の非鉄金属を精錬する機能を備えるものであり、図1に示すように、溶湯10が投入される受湯室21と、溶湯10を加熱し昇温及び保温する昇温室22と、溶湯10から不純物を除去する溶湯処理室23と、溶湯処理室23で処理された溶湯10を出湯する汲出し室24を備えている。
受湯室21と昇温室22とは第1流路31を介して連通され、昇温室22と溶湯処理室23とは第2流路32を介して連通され、溶湯処理室23と汲出し室24とは左側の第3流路33と右側の第4流路34を介して連通されている。溶湯処理室23で処理された溶湯10が第3流路33を通して汲出し室24に流れ、汲出し室24内の溶湯10は第4流路34を通して再度溶湯処理室23側に流れるように溶湯10は循環するようにされている。第3流路33と第4流路34の位置は、図5に示すように、同じ高さで溶湯処理室23と汲出し室24の底部に設けられている。
【0020】
溶湯10は配湯樋21aから受湯室21の内部に流れるようにしている。
昇温室22には、アルミニウムの溶湯10中に浸漬して溶湯10を直接加熱する2本の電気ヒーター22a,22bや温度センサーTCが設けられている。なお、電気ヒーターにかえて石油などの化石燃料を用いたバーナの放射火炎によってアルミニウムの溶湯10を加熱するようにしてもよい。
【0021】
溶湯処理室23には、上下に延びる回転軸41とその回転軸41の先端に取付けられた円盤状の旋回体42からなる撹拌装置40が設けられている。また、汲出し室24には、アルミニウムの溶湯10中に浸漬された2本の電気ヒーター24a,24bや温度センサーTCも設けられている。
回転軸41は、リフターなどの昇降駆動装置50によって上下方向に昇降自在であるとともに、モーターなどの回転駆動装置60によって正転,逆転方向に回転自在に取付けられている。これにより、回転軸41の先端に取付けられた旋回体42も上下方向に昇降自在でかつ正転方向及び逆転方向に回転自在である。ここでは、旋回体42は溶湯処理室23内で2つの流路、すなわち第3流路33及び第4流路34の間に配置されている。
【0022】
昇降駆動装置50によって、撹拌装置40の回転軸41は、旋回体42の高さが溶湯処理室23低部の第一基準位置101の高さから、その第一基準位置101よりも高くかつ左右2つの第3流路33及び第4流路34の上面位置よりも高い第二基準位置102の高さになるまで昇降させることができるようになっている。ここでは、第一基準位置101の高さは、図5に示すように、左右2つの第3流路33及び第4流路34の上面位置よりも低い位置になるようにされている。なお、第3流路33及び第4流路34の下面位置よりもさらに低い位置に旋回体42の高さが位置するようにすることもできるが、溶湯の循環を効率的に行うには第3流路33及び第4流路34を溶湯処理室23と汲出し室24の底部に設けることが好ましい。
【0023】
また、撹拌装置40の旋回体42の中心部に形成された開口穴42aから不活性ガスを噴出させるガス噴射装置70と、同じく旋回体42の中心部に形成された開口穴42aから不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入するフラックス供給装置90も設けられている。
【0024】
また、この溶湯保持炉20の装置全体は、図6に示すような、制御装置80によって制御されている。制御装置80は、直接的に制御を行うCPUとROMやRAMといった記憶部から構成されている。制御装置80は、温度センサーTCや溶湯レベル検知センサー(図示しない)などからの信号を読込み、電気ヒーター22a,22b,24a,24bの温度制御や、昇降駆動装置50,回転駆動装置60,ガス噴射装置70,フラックス供給装置90の制御を実行する。
【0025】
より具体的には、制御装置80は、通常の操業時には、昇降駆動装置50を介して旋回体42の高さを、図3に示すように、第二基準位置102にした状態で回転駆動装置60及びガス噴射装置70及びフラックス供給装置90を介して不活性ガスを噴出させるとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにして旋回体42を回転させるようになっている。
そして、制御装置80は、週末(休日)などの非操業時には、昇降駆動装置50を介して旋回体42の高さを、図4に示すように、第一基準位置101にした状態で回転駆動装置60及びガス噴射装置70及びフラックス供給装置90を介して不活性ガスを噴出させるとともに溶湯処理用フラックスを投入するようにして旋回体42を回転させるようになっている。
【0026】
これによれば、非操業時には、図4に示すように、旋回体42を左右2つの流路(第3流路33と第4流路34)の上面位置よりも低い位置に設定した後、不活性ガスを噴出させつつ旋回体42を回転(正転だけでなく逆転も含む)させるようにすることで、溶湯10の脱ガス処理を溶湯10の底から広い範囲にわたって実施することができる。しかも、溶湯処理室23と汲出し室24は2つの流路33,34で連通され溶湯10が循環されるようにしているので、2つの部屋内における溶湯10の清浄化が自動的に実施され、経時的に溶湯10に不純物が溜まり製品が劣化するといった恐れを防止することができる。
【0027】
また、これに加えて、旋回体42の中心部に形成された開口穴42aから不活性ガスとともに溶湯処理用フラックスを投入することによりフラックスによる脱滓処理についても溶湯の広範囲にわたって実施することができる。なお、フラックスの残渣は溶湯処理室23,汲出し室24及び昇温室22の溶湯表面でそれぞれ回収される。
【0028】
そして、操業時においても同じ溶湯処理室23で不活性ガスを噴出させつつ旋回体42を回転させることによって溶湯10の脱ガス処理を実施するので不純物を効率的に除去することができる。また、同じ溶湯処理室23でフラックスによる脱滓処理も実施されるので溶湯10が清浄化される。しかも、操業時には旋回体42の高さが、溶湯処理室23と汲出し室24を連通する2つの流路33,34よりも高い第二基準位置102に設定してあるので、フラックスの残渣が汲出し室24の方に浸入することは抑制され、フラックスが製品に混入することも防止される。
【0029】
なお、本発明の実施形態では、週末(休日)などの非操業時に制御装置80が自動的に旋回体42の高さ位置を下げて溶湯10の底部から撹拌させるようにしたが、スイッチボタンの押下などによりユーザからの指示があった場合に強制的に、旋回体42の高さ位置を下げて溶湯10の底部から広い範囲で撹拌させるようにしてもよい。
また、本発明の実施形態では、不活性ガスを噴出させて行う脱ガス処理に加えて、溶湯処理用フラックスを投入して行うフラックス処理も同時にするようにしたが、フラックス処理については実行することなく、脱ガス処理だけをすることもできる。
【0030】
また、本発明の実施形態では、操業時には旋回体42の高さを2つの流路33,34の位置よりも高い第二基準位置102までとしたが、図7乃至図9に示すように、第3流路33の位置に対して第4流路34の位置を高くした場合、旋回体42の高さを溶湯処理室23低部の第一基準位置101の高さから、その第一基準位置101よりも高くかつ2つの流路33,34のうち一方の流路、ここでは第3流路33の上面位置よりも高いが第4流路34の上面位置よりも低い第二基準位置102の高さになるまで昇降させるようにしてよい。なお、この場合には、第4流路34と旋回体42の間でかつ第4流路34のより高い位置まで延びる仕切り壁100を立設して、通常の操作時にフラックスの残渣が第4流路34を通して汲出し室24側に流れ込むことを防止している。
なお、第3流路33の位置に対して第4流路34の位置を高くした場合、操業時には旋回体42の高さを両流路33,34の上面位置よりも高くすれば仕切り壁100を立設する必要はないが、旋回体42の高さが高くなりすぎると循環効率が低下するので好ましくない。
【0031】
また、この溶湯保持炉10は、受湯室21と昇温室22と溶湯処理室23と汲出し室24を備えているが、このような炉に限定されるものではなく、少なくとも溶湯処理室23とその溶湯処理室23と2つの流路33,34を介して接続された汲出し室24を備えた炉であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 溶湯
20 溶湯保持炉
21 受湯室
21a 配湯樋
22 昇温室
22a,22b 電気ヒーター
23 溶湯処理室
24 汲出し室
24a,24b 電気ヒーター
31 第1流路
32 第2流路
33 第3流路
34 第4流路
40 撹拌装置
41 回転軸
42 旋回体
42a 開口穴
50 昇降駆動装置
60 回転駆動装置
70 ガス噴射装置
80 制御装置
90 フラックス供給装置
100 仕切り壁
101 第一基準位置
102 第二基準位置
TC 温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9